JP4348539B2 - 非磁性ガーネット基板の製造方法とその非磁性ガーネット基板およびこの基板を用いて得られるビスマス置換型磁性ガーネット膜 - Google Patents

非磁性ガーネット基板の製造方法とその非磁性ガーネット基板およびこの基板を用いて得られるビスマス置換型磁性ガーネット膜 Download PDF

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本発明は、ビスマス置換型磁性ガーネット膜を液相エピタキシャル成長法により育成する際に適用される非磁性ガーネット基板の製造方法とその非磁性ガーネット基板に係り、特に、ビスマス置換型磁性ガーネット膜の育成中に非磁性ガーネット基板が割れ難く、しかも育成されたビスマス置換型磁性ガーネット膜に結晶欠陥が生じ難い非磁性ガーネット基板の製造方法とその非磁性ガーネット基板およびビスマス置換型磁性ガーネット膜の改良に関するものである。
ビスマス置換型磁性ガーネット膜は、光ファイバ通信や光計測において、光アイソレータ、光サーキュレータ、光スイッチ等に組み込まれるファラデー回転子として多用されている。例えば、光アイソレータは、光通信システムで半導体レーザ光源から発した伝送光が光学系を介して伝達される際、一部の光が途中の光学系の入射端面で反射して光源まで戻り、通信障害を起こすことを防止するために用いられる。このような光アイソレータは、常磁性体のビスマス置換型磁性ガーネット膜から成るファラデー回転子を偏光子と検光子とで挟み、これを筒状磁石の中に納めて構成されている。
上記ビスマス置換型磁性ガーネット膜は一般式(R、Bi)(Fe、Ga、Al)12(但し、Rは希土類元素で、Tb、Gd、Yb、Ho、Er,Tm,Dy等である。)で表され、大きなファラデー回転効果を有し、主に、生産性に優れた液相エピタキシャル成長法(以下、LPE法と略称する。)により育成される。
このLPE法は一般には以下のように行われる。まず、溶媒となる物質を一定温度の液体状態に保持し、この溶媒に溶質成分を飽和状態まで溶解させる。しかる後、非磁性ガーネット基板を溶液中に浸し、この状態で徐々に温度を下げていき、過飽和状態となって溶液状態で存在できなくなった溶質成分を非磁性ガーネット基板上に析出させる。
そして、ビスマス置換型磁性ガーネット膜が育成された基板から上記ビスマス置換型磁性ガーネット膜を得るには、例えば、非磁性ガーネット基板を研削研磨して除去することにより得ることができる。また、上記非磁性ガーネット基板としては、GdGa12基板(格子定数1.238nm)、(Gd、Ca)(Ga、Mg、Zr)12基板(格子定数1.2498nm)、NdGa12基板(格子定数1.2509nm)、(Gd、Sc)Ga12基板(格子定数1.256nm)等が用いられている。
ところで、この非磁性ガーネット基板は、従来、単結晶インゴットをチョクラルスキー法等の引き上げ法によって育成し、その肩部を切断して直胴部を得、これを円筒状に研削する。次いで、内周刃切断機またはワイヤーソーで所望の厚さのウェハに切断し、このウェハを所望の条件で研磨して得ている(特許文献1参照)。
上記ウェハの研磨は、通常、酸化物結晶の研磨において一般的に用いられる工程、例えば、単結晶ウェハのべべリング工程、ポリッシュ工程等が用途に応じ組合されて適用されている。そして、LPE法に用いる非磁性ガーネット基板を得る場合には、一般に、ポリッシュの際にウェハ外周端部が欠けることにより発生するチッピングを防止するため、まず、ウェハ外周端面の角を丸めるべべリングと呼ばれる物理研磨処理を行い、その後、ウェハ表面をポリッシュする。
しかし、こうして得られたウェハを基板として用い上記LPE法によるビスマス置換型磁性ガーネット膜の育成を行うと、ビスマス置換型磁性ガーネット膜の育成中に上記基板が割れる現象が頻発して良好な生産性が得られないという問題が発生している。この傾向は基板の直径が大きくなるほど顕著になり、直径3インチの基板では頻度は高くないが、3.5インチ以上になると頻度が増加する。
そして、この原因のひとつとして、上記ウェハ外周端面のべべリング処理に起因してそのベベル面に発生するマイクロクラックと加工歪み層が挙げられている。すなわち、べべリングと呼ばれる物理研磨処理による加工面は粗いため、上記ベベル面にはマイクロクラックと呼ばれる電子顕微鏡で確認される程度の小さな亀裂が発生し、更に、物理研磨処理により結晶表面に応力が掛かって加工歪み層が存在し、これ等マイクロクラックと加工歪み層がウェハ表面のポリッシュ工程において除去されないからである。そして、基板直径が大きくなる程、基板とビスマス置換型磁性ガーネット膜の熱膨張率差による応力が大きくなる傾向があり、マイクロクラックと加工歪み層をきっかけとしてビスマス置換型磁性ガーネット膜の育成中において基板に割れが発生し易くなると考えられている。
この対策として、育成される磁性ガーネット膜の表面をリン酸、硫酸、硝酸等の鉱酸によりエッチング処理して遷移相を除去する特許文献2に記載の処理方法の適用が考えられる。すなわち、べべリング処理とポリッシュ処理が施された後の単結晶ウェハを鉱酸に浸漬し、単結晶ウェハ表面をエッチングしてベベル面に存在するマイクロクラックと加工歪み層を除去し、次いで、マイクロクラックと加工歪み層が除去された基板を用いて液相エピタキシャル成長法によりビスマス置換型磁性ガーネット膜を育成する方法である。
そして、この方法によりビスマス置換型磁性ガーネット膜の育成中に基板が割れる頻度は低減したが、その反面、得られたビスマス置換型磁性ガーネット膜に比較的大きなピットと呼ばれる結晶欠陥が多発する別の問題点が顕著となった。
そこで、この原因を調査したところ、ウェハに内在する転位と呼ばれる結晶欠陥が上記エッチング処理により基板のポリッシュ面に出現し、この転位がビスマス置換型磁性ガーネット膜に比較的大きなピットを多発させる原因になっていることが分かった。そして、この比較的大きなピット部分は外観不良となり、製品とすることができないのでビスマス置換型磁性ガーネット膜の収率を著しく低下させる問題を引き起こす。
尚、本明細書中で、上記ベベル面とは単結晶ウェハにおける外周端面の角を丸めるべべリングと呼ばれる物理研磨処理が施された外周端面を意味し、また、上記ポリッシュ面とは単結晶ウェハ表面のポリッシュ処理が施された面を意味している。
特公平8−5756号公報 特許2800973号公報
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、ビスマス置換型磁性ガーネット膜の育成中に非磁性ガーネット基板が割れ難く、しかも育成されたビスマス置換型磁性ガーネット膜に結晶欠陥が生じ難い非磁性ガーネット基板の製造方法とその非磁性ガーネット基板および上記ビスマス置換型磁性ガーネット膜を提供することにある。
この課題を解決するため、本発明者等は非磁性ガーネット基板を製造する方法について鋭意研究を重ねた結果、ベベリング処理された単結晶ウェハのベベル面に対し、このベベル面と研磨材との間に化学的作用を生じさせながらベベル面を機械的に研磨するメカノケミカルポリッシュ処理を施した場合、上記単結晶ウェハのベベル面に存在するマイクロクラックと加工歪み層が除去されることを見出すと共に、メカノケミカルポリッシュ処理によりマイクロクラックと加工歪み層が除去された単結晶ウェハ基板を用いLPE法によりビスマス置換型磁性ガーネット膜を育成した場合、このビスマス置換型磁性ガーネット膜に結晶欠陥が生じ難いことを見出すに至った。本発明はこのような技術的発見に基づき完成されている。
すなわち、請求項1に係る発明は、
非磁性ガーネット単結晶ウェハの外周端面をべべリングするべべリング工程と上記ウェハ表面をポリッシュするポリッシュ工程とを有し、ビスマス置換型磁性ガーネット膜を液相エピタキシャル成長法により育成するために適用される非磁性ガーネット基板の製造方法を前提とし、
上記べべリング工程の後で上記ポリッシュ工程後に、または、上記べべリング工程の後で上記ポリッシュ工程前に、ベベリング処理された上記単結晶ウェハのベベル面と研磨材との間に化学的作用を生じさせながら上記ベベル面を機械的に研磨するメカノケミカルポリッシュにより上記ベベル面に存在するマイクロクラックと加工歪み層を除去することを特徴とし、
請求項2に係る発明は、
請求項1に記載の発明に係る非磁性ガーネット基板の製造方法を前提とし、
上記単結晶ウェハが、一般式(Gd、Ca)(Ga、Mg、Zr)12で表される非磁性ガーネットであることを特徴とする。
次に、請求項3に係る発明は、
非磁性ガーネット基板を前提とし、
この非磁性ガーネット基板が請求項1または2に記載の製造方法により得られたことを特徴とし、
また、請求項4に係る発明は、
ビスマス置換型磁性ガーネット膜を前提とし、
このビスマス置換型磁性ガーネット膜が請求項3に記載の非磁性ガーネット基板を用いて液相エピタキシャル法により得られたことを特徴とし、
請求項5に係る発明は、
請求項4に記載の発明に係るビスマス置換型磁性ガーネット膜を前提とし、
一般式(Yb、Tb、Bi)Fe12で表されるYbTbBiFe系磁性ガーネット膜であることを特徴とする。
本発明に係る非磁性ガーネット基板の製造方法によれば、
ベベリング処理された単結晶ウェハのベベル面と研磨材との間に化学的作用を生じさせながらベベル面を機械的に研磨するメカノケミカルポリッシュにより上記ベベル面に存在するマイクロクラックと加工歪み層が除去されるため、得られた非磁性ガーネット基板を用いて液相エピタキシャル成長法によりビスマス置換型磁性ガーネット膜を育成した場合、ビスマス置換型磁性ガーネット膜の育成中において非磁性ガーネット基板が割れる現象を回避できる効果を有している。
また、上記マイクロクラックと加工歪み層をエッチング処理ではないメカノケミカルポリッシュ処理により除去しているため、ウェハに内在する転位と呼ばれる結晶欠陥が単結晶ウェハのポリッシュ面に出現しにくい特徴がある。
従って、本発明に係る製造方法で得られた非磁性ガーネット基板を用いて液相エピタキシャル成長法によりビスマス置換型磁性ガーネット膜を育成した場合、上記転位に起因した結晶欠陥の少ないビスマス置換型磁性ガーネット膜が得られる効果を有している。
以下、本発明に係る非磁性ガーネット基板の製造方法とこの製造方法により得られた非磁性ガーネット基板を詳細に説明する。
まず、本発明に係る非磁性ガーネット基板の製造方法は、上述したようにベベリング処理された単結晶ウェハのベベル面と研磨材との間に化学的作用を生じさせながらベベル面を機械的に研磨するメカノケミカルポリッシュにより上記ベベル面に存在するマイクロクラックと加工歪み層を除去することを特徴としている。
具体的には、非磁性ガーネット単結晶ウェハのベベル面に、例えばナイロン製のブラシを回転させながら当て、同時に研磨材であるコロイダルシリカを塗布することによって上記ベベル面に対し化学的作用を加えながら機械的にポリッシュを行う。これによって上記単結晶ウェハ外周端面のべべリング処理に起因してそのベベル面に発生したマイクロクラックと加工歪み層が除去される。
そして、鉱酸によるエッチング処理が不要となるため、ウェハに内在する転位と呼ばれる結晶欠陥が非磁性ガーネット単結晶ウェハのポリッシュ面に出現しにくくなる。この結果、本発明に係る製造方法で得られた非磁性ガーネット基板にはそのベベル面にマイクロクラックと加工歪み層が存在せず、更に、ポリッシュ面にも転位と呼ばれる結晶欠陥が存在しにくい。
従って、本発明に係る製造方法で得られた非磁性ガーネット基板を用いて液相エピタキシャル成長法によりビスマス置換型磁性ガーネット膜を育成した場合、ビスマス置換型磁性ガーネット膜の育成中において非磁性ガーネット基板が割れる現象を回避でき、かつ、上記転位に起因したピットと呼ばれる結晶欠陥の少ないビスマス置換型磁性ガーネット膜を高収率で得ることができる。
尚、ベベル面に存在するマイクロクラックと加工歪み層を除去するための上記メカノケミカルポリッシュの処理については、ベベル面のポリッシュにより、ウェハのポリッシュ面に傷等が入ることを防ぐために、べべリング処理を施した後で非磁性ガーネット単結晶ウェハ表面のポリッシュ工程前に行うことが望ましいが、べべリング処理を施した後で非磁性ガーネット単結晶ウェハ表面のポリッシュ工程後に行っても構わない。
また、上記単結晶ウェハとしては特に限定されるものではなく、一般にLPE法で単結晶ウェハ基板として適用されるものなら任意であり、例えば、GdGa12単結晶、(Gd、Ca)(Ga、Mg、Zr)12単結晶、NdGa12単結晶、(Gd、Sc)Ga12単結晶等の非磁性ガーネット単結晶ウェハが挙げられる。この中で、特にビスマス置換型磁性ガーネット膜の育成に好適な格子定数が1.2490〜1.25151である(Gd、Ca)(Ga、Mg、Zr)12単結晶およびNdGa12単結晶が好ましく、SGGGと呼ばれる(Gd、Ca)(Ga、Mg、Zr)12単結晶がより好ましい。
また、上記単結晶ウェハの製造方法についても特に限定されるものではなく、例えば、チョクラルスキー法等の引き上げ法によって育成された単結晶インゴットの肩部を切断して得られた直胴部を円筒研削し、次いで内周刃切断機またはワイヤーソーで所望の厚さに切断して求める方法が挙げられる。また、上記単結晶ウェハのベべリング処理やポリッシュ処理の方法も特に限定されるものではなく、酸化物単結晶の研磨において一般的に用いられる手法が適用される。
また、本発明に係るメカノケミカルポリッシュ処理の方法としては、単結晶ウェハのベベル面のみをポリッシュできる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、特開平11−28649号公報に記載されたガラスディスクの外周端面を研磨するガラスディスク研磨装置を用いる方法が一例として挙げられる。
因みに、上記非磁性ガーネット単結晶ウェハ基板を用いてLPE法によりビスマス置換型磁性ガーネット膜を得るには、以下に示す方法が例示される。
まず、酸化鉛(PbO)、酸化ビスマス(Bi)および酸化ホウ素(B)等の融剤、希土類酸化物(R)、酸化鉄(Fe)等の溶質成分を混合し、白金製坩堝に装入する。次に、これを高温度に加熱し、完全に溶解させて均一とし育成用の融液とする。その後、融液温度を若干降下させ、過飽和状態を実現する。次に、過飽和状態となった融液に、上記非磁性ガーネット単結晶ウェハ基板のポリッシュ面を完全に浸漬し、この基板上に所定組成のビスマス置換型磁性ガーネット膜を所望の厚さエピタキシャル成長させる。ここで、上記融剤の内、酸化ビスマス(Bi)はガーネット結晶の希土類元素サイトへの置換元素としての役割を担っている。
そして、非磁性ガーネット基板を用いた液相エピタキシャル成長法によるビスマス置換型磁性ガーネット膜の製造方法は、光ファイバ通信や光計測において好適に用いられる大きなファラデー回転効果を有する磁性ガーネット膜、特に大きなファラデー回転効果を有する一般式(Yb、Tb、Bi)Fe12で表されるYbTbBiFe系磁性ガーネット膜を育成させる場合に有効である。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこの実施例により何ら限定されるものではない。尚、実施例および比較例で用いたピット不良率の評価方法は以下の通りである。
[ピット不良率の評価方法]
LPE法で得られた磁性ガーネット膜を11mm角にダイシングし、その後、非磁性ガーネット基板を除去し、基板一枚当たり44枚の11mm角の磁性ガーネット膜のチップを得た。
次に、得られた11mm角チップの表面を鏡面研磨し、ピットの観察を行った。ピットの核部分の直径が300μm以上であるピットの個数を測定し、その個数が5個以内を良品とした。そして、不良品となった11mm角チップの個数からピット不良率を求めた。
また、実施例と比較例で用いた非磁性ガーネット単結晶ウェハ外周端面のベベリング処理は#800の砥石で行い、かつ、ベベル面に対するメカノケミカルポリッシュ処理はコロイダルシリカを研磨剤として行った。
非磁性ガーネット単結晶ウェハのベベル面をメカノケミカルポリッシュ処理してベベル面のマイクロクラックと加工歪み層が除去された基板を作製し、これをLPE法の基板として用い評価した。
[単結晶ウェハのベベル面に対するメカノケミカルポリッシュ処理の方法]
ベベリング処理と表面ポリッシュ処理が施された上記SGGGウェハ10枚のベベル面をメカノケミカルポリッシュし、純水で10分間洗浄し、その後、スピン乾燥して、SGGG基板を得た。
[LPE法による磁性ガーネット膜の育成と評価]
酸化鉛2300g、酸化硼素140g、酸化ビスマス3100g、酸化鉄460g、酸化テルビウム56.6g、および、酸化イッテルビウム4.4gをPt製容器に装入し、かつ、このPt製容器を縦型管状炉内に配置し、全体を950℃まで加熱し十分に撹拌して均一に混合し、YbTbBiFe系磁性ガーネット膜のエピタキシャル膜成長用融液を得た。
この融液に上記SGGG基板のポリッシュ面が完全に浸漬するように設置し、同時に基板を回転し、この状態にて融液の成長制御温度を1時間当たり0.6℃の割合で降下させ、20時間エピタキシャル成長を行い、厚さ530μmのYbTbBiFe系磁性ガーネット膜を作製した。尚、同様の育成を10回行った。
そして、得られたYbTbBiFe系磁性ガーネット膜の観察を行い、育成中に発生した基板割れの発生度合を求めた。また、11mm角チップのピット不良率を求めた。
結果を以下の表1に示す。
[比較例1]
非磁性ガーネット単結晶ウェハをエッチングしてベベル面のマイクロクラックと加工歪み層が除去された基板を作製し、これをLPE法の基板として用い評価した。
そして、上記非磁性ガーネット単結晶ウェハのエッチング処理を以下の方法で行った以外は実施例1と同様に行い、育成中の基板割れの発生と11mm角チップのピット不良率を求めた。
この結果も以下の表1に示す。
[非磁性ガーネット単結晶ウェハのエッチング方法]
ベベリング処理と表面ポリッシュ処理が施された上記SGGGウェハを、150℃に加温した体積比が1:1のリン酸と硫酸の混合液中に10分間浸漬させ、その後、純水で10分間洗浄し、スピン乾燥して、SGGG基板を得た。
[比較例2]
ベベリング処理と表面ポリッシュ処理が施された上記SGGGウェハをエッチングせずにそのまま用いた以外は比較例1と同様に行い、育成中の基板割れの発生と11mm角チップのピット不良率を求めた。
この結果も以下の表1に示す。
Figure 0004348539
「確 認」
表1に示された結果から以下のことが確認される。
(1)ベベリング処理と表面ポリッシュ処理が施されたSGGGウェハのベベル面をメカノケミカルポリッシュ処理して得られた基板が適用された実施例1においては、磁性ガーネット膜の育成中に割れた基板の個数は0個(0/10)であり、かつ、得られた磁性ガーネット膜のピット不良率も2%と低いことが確認される。
(2)これに対し、ベベリング処理と表面ポリッシュ処理が施されたSGGGウェハのベベル面をエッチング処理して得られた基板が適用された比較例1においては、磁性ガーネット膜の育成中に割れた基板の個数が1個(1/10)で実施例1との差異が少ないことが確認される一方、得られた磁性ガーネット膜のピット不良率が45%と高く、実施例1に較べて劣っていることも確認される。
(3)また、ベベリング処理と表面ポリッシュ処理が施されたSGGGウェハをそのまま基板(ベベル面に対しメカノケミカルポリッシュ処理やエッチング処理が施されていない基板)として適用した比較例2においては、ベベル面に存在するマイクロクラックと加工歪み層が原因となって磁性ガーネット膜の育成中に割れた基板の個数が4個(4/10)と実施例1に較べ劣っていることが確認される一方、ウェハに内在する転位と呼ばれる結晶欠陥が基板のポリッシュ面に出現していないため得られた磁性ガーネット膜のピット不良率は3%と低いことも確認される。
本発明の製造方法で得られた非磁性ガーネット基板を用いて液相エピタキシャル成長法によりビスマス置換型磁性ガーネット膜を育成した場合、ビスマス置換型磁性ガーネット膜の育成中における基板の割れが低減され、かつ、転位に起因した結晶欠陥の少ないビスマス置換型磁性ガーネット膜を得ることができる。
従って、光アイソレータ、光サーキュレータ、光スイッチ等に組み込まれるファラデー回転子の構成材料として好適なビスマス置換型磁性ガーネット膜を育成する際に適用される非磁性ガーネット基板の製造方法として利用することができる。

Claims (5)

  1. 非磁性ガーネット単結晶ウェハの外周端面をべべリングするべべリング工程と上記ウェハ表面をポリッシュするポリッシュ工程とを有し、ビスマス置換型磁性ガーネット膜を液相エピタキシャル成長法により育成するために適用される非磁性ガーネット基板の製造方法において、
    上記べべリング工程の後で上記ポリッシュ工程後に、または、上記べべリング工程の後で上記ポリッシュ工程前に、ベベリング処理された上記単結晶ウェハのベベル面と研磨材との間に化学的作用を生じさせながら上記ベベル面を機械的に研磨するメカノケミカルポリッシュにより上記ベベル面に存在するマイクロクラックと加工歪み層を除去することを特徴とする非磁性ガーネット基板の製造方法。
  2. 上記単結晶ウェハが、一般式(Gd、Ca)(Ga、Mg、Zr)12で表される非磁性ガーネットであることを特徴とする請求項1に記載の非磁性ガーネット基板の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法により得られたことを特徴とする非磁性ガーネット基板。
  4. 請求項3に記載の非磁性ガーネット基板を用いて液相エピタキシャル法により得られたことを特徴とするビスマス置換型磁性ガーネット膜。
  5. 一般式(Yb、Tb、Bi)Fe12で表されるYbTbBiFe系磁性ガーネット膜であることを特徴とする請求項4に記載のビスマス置換型磁性ガーネット膜。
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