JP3119712B2 - 光学レンズ - Google Patents

光学レンズ

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JP3119712B2
JP3119712B2 JP04040746A JP4074692A JP3119712B2 JP 3119712 B2 JP3119712 B2 JP 3119712B2 JP 04040746 A JP04040746 A JP 04040746A JP 4074692 A JP4074692 A JP 4074692A JP 3119712 B2 JP3119712 B2 JP 3119712B2
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輝夫 阪上
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呉羽化学工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学レンズに関し、更
に詳しくは、架橋共重合体よりなる極めて軽量な光学レ
ンズに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光学レンズとして種々の無機ガラ
スレンズが使用されてきたが、最近においては、合成樹
脂レンズが、その軽量性、加工性、安定性、染色性、大
量生産性、コストの低減可能性を有することから、無機
ガラスレンズと共に広く使用され始めている。
【0003】光学レンズ材料に要求される種々の物性の
うち、低比重であることは極めて重要である。比重の小
さい材料よりなる光学レンズを用いれば、例えば、顕微
鏡、写真機、望遠鏡などの光学機器や眼鏡レンズにおい
て重要な位置を占めるレンズ系の軽量化を図ることが可
能となる。
【0004】このため、合成樹脂レンズ材料において、
一層の低比重化を図り、無機ガラスレンズ材料に対する
優位性を強調する傾向にある。
【0005】例えば、眼鏡用の合成樹脂レンズ材料とし
て現在最も普及しているものに「CR−39」と称され
るジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂が
ある。この樹脂の比重は、1.31(温度20℃におけ
る値をいう。以下において同じ。)である。
【0006】また、最近、高屈折率レンズ材料として、
ハロゲン原子や硫黄原子を含有する光学レンズ材料が知
られているが、このような光学レンズ材料の比重は1.
3〜1.4程度に集中している。
【0007】更に、比較的比重の小さい光学レンズ材料
として、ポリスチレン(比重:1.02)、ポリメチル
メタクリレート(比重:1.20)、ポリカーボネート
(比重:1.19)などの熱可塑性樹脂などが知られて
いる。
【0008】一方、耐熱性、耐溶剤性、機械的強度など
の諸性能に優れた光学レンズ材料として、架橋構造を有
する共重合体が紹介されており、例えば、トリアジン環
構造を有する光学レンズ材料「ニコンライトデラックス
II」などが実用化されている。この光学レンズ材料の比
重は1.17であり、比較的低比重ではあるが、光学レ
ンズの軽量化を図るために十分なものであるとはいえな
い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
光学レンズ材料、特に架橋構造を有する共重合体におい
ては、その低比重化を十分に図れているとはいえず、高
い架橋密度と極めて低い比重とを兼ね備えた光学レンズ
材料の開発が強く望まれている。
【0010】本発明は、以上のような事情に基いてなさ
れたものであって、その目的は、架橋密度が高く、しか
も低比重という優れた物理的特性を有すると共に、良好
な光学的特性をも有する架橋共重合体よりなる光学レン
ズを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の光学レンズは、
下記化3で表される単量体(A成分)15〜50重量
部、下記化4で表される単量体(B成分)35〜65重
量部および芳香族ビニル化合物(C成分)5〜30重量
部よりなる混合単量体80〜100重量%と、これらと
共重合可能な共重合性単量体(D成分)20〜0重量%
とからなる単量体成分を共重合して得られる、比重が
1.10以下の架橋共重合体よりなることを特徴とす
る。
【0012】
【化3】 (化3中、Xは水素原子またはメチル基を示し、nは6
〜18の整数である。)
【0013】
【化4】 (化4中、Rは炭素数6〜20のアルキル基を示し、X
は水素原子またはメチル基を示す。)
【0014】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明の光学レンズは、特定の単量体であるA成分、B成
分およびC成分よりなる混合単量体を必須の単量体成分
とし、この混合単量体を共重合し、またはこの混合単量
体とD成分とからなる単量体成分を共重合して得られる
架橋共重合体よりなるものである。
【0015】<A成分>共重合反応により架橋共重合体
を構成するA成分は、上記化3で表されるアルキレンジ
アクリレートまたはアルキレンジメタクリレート(以
下、「アルキレンジ(メタ)アクリレート」ともい
う。)である。
【0016】A成分であるアルキレンジ(メタ)アクリ
レートを表す化3において、アルキレン基の繰り返し数
nの値は、得られる架橋共重合体の物理的性質に重要な
関連があり、本発明において、nの値は6〜18の整数
とされる。nの値が6〜18の範囲にあるアルキレンジ
(メタ)アクリレートをA成分として用いることによ
り、高い架橋密度および低比重という優れた物理的特性
を有する架橋共重合体を得ることができる。nの値が6
未満であると、得られる架橋共重合体の低比重化を十分
に達成することができない。また、当該架橋共重合体の
架橋点間分子鎖が短いものとなり、架橋密度が高くなり
すぎることから実用強度の低下をもたらす。一方、nの
値が18を超えると、得られる架橋共重合体の架橋密度
が十分高いものとならず、このような架橋共重合体より
なる光学レンズは、表面硬度が低く、耐熱性に劣るもの
となる。このように、nの値が6〜18の範囲内にある
アルキレンジ(メタ)アクリレートであれば、光学レン
ズの使用目的に応じて種々のものを選択してA成分とし
て使用することができる。
【0017】化3で表されるアルキレンジ(メタ)アク
リレートの具体例としては、1,6−ヘキサンジオール
ジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリ
レート、1,7−ヘプタンジオールジアクリレート、
1,7−ヘプタンジオールジメタクリレート、1,8−
オクタンジオールジアクリレート、1,8−オクタンジ
オールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジア
クリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレー
ト、1,10−デカンジオールジアクリレート、1,1
0−デカンジオールジメタクリレート、1,12−ドデ
カンジオールジアクリレート、1,12−ドデカンジオ
ールジメタクリレート、1,18−ステアリルジオール
ジアクリレートおよび1,18−ステアリルジオールジ
メタクリレートなどを挙げることができ、これらは単独
で、あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0018】<B成分>共重合反応により架橋共重合体
を構成するB成分は、上記化4で表されるアルキルアク
リレートまたはアルキルメタクリレート(以下、「アル
キル(メタ)アクリレート」ともいう。)である。
【0019】B成分であるアルキル(メタ)アクリレー
トを表す化4において、アルキル基Rの炭素数も、得ら
れる架橋共重合体の物理的性質に重要な関連があり、本
発明において、アルキル基Rの炭素数は6〜20とされ
る。アルキル基Rの炭素数が6未満であると、得られる
架橋共重合体において、1.10以下の低比重化を達成
することができない。一方、アルキル基Rの炭素数が2
0を超えると、得られる架橋共重合体よりなる光学レン
ズは、耐熱性に劣り、実用的なものとならない。このよ
うに、アルキル基Rの炭素数が6〜20の範囲内にある
アルキル(メタ)アクリレートであれば、光学レンズの
使用目的に応じて種々のものを選択してB成分として使
用することができる。
【0020】化4で表されるアルキル(メタ)アクリレ
ートの具体例としては、n−ヘキシルアクリレート、n
−ヘキシルメタクリレート、n−オクチルアクリレー
ト、n−オクチルメタクリレート、イソオクチルアクリ
レート、イソオクチルメタクリレート、2−エチルヘキ
シルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレー
ト、n−ラウリルアクリレート、n−ラウリルメタクリ
レート、n−ステアリルアクリレート、n−ステアリル
メタクリレート、イソステアリルアクリレート、イソス
テアリルメタクリレート、イソデシルアクリレート、イ
ソデシルメタクリレート、トリデシルアクリレート、ト
リデシルメタクリレートなどを挙げることができ、これ
らは単独で、あるいは2種以上混合して用いることがで
きる。
【0021】<C成分>以上のA成分およびB成分と共
に、混合単量体を構成する単量体として、芳香族ビニル
化合物(C成分)が用いられる。このC成分は、A成分
およびB成分と共重合可能な単量体であって、それ自体
がある程度比重の小さいものである。混合単量体中にC
成分が含有されていることにより、得られる架橋共重合
体よりなる光学レンズの諸性能が改良される。具体的に
は、光学レンズの屈折率の向上、架橋密度が高まること
による耐熱性の向上、染色性の向上、光学レンズの表面
特性が改良されることによるハードコート層との密着性
の向上、製造時における単量体成分の粘度調節による成
型加工性の向上など、種々の目的に応じて適する芳香族
ビニル化合物を用いることができる。
【0022】斯かる芳香族ビニル化合物(C成分)の具
体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、4−メ
チルスチレン、4−メトキシスチレン、ジビニルベンゼ
ン、4−クロルスチレン、4−ヒドロキシメチルスチレ
ン、2−エチルスチレン、4−エチルスチレンなどを挙
げることができ、これらは単独で、あるいは2種以上混
合して用いることができる。
【0023】<A成分,B成分およびC成分の組成割合
>以上のA成分と、B成分と、C成分とにより、必須の
単量体成分である混合単量体が構成される。混合単量体
における各単量体の組成割合としては、混合単量体10
0重量部につき、A成分が15〜50重量部、好ましく
は20〜45重量部とされ、B成分が35〜65重量
部、好ましくは35〜60重量部とされ、C成分が5〜
30重量部、好ましくは5〜25重量部とされる。A成
分の組成割合が50重量部を超えると、得られる光学レ
ンズは、架橋密度が高くなりすぎて脆く破損しやすいも
のとなる。一方、この割合が15重量部未満では、得ら
れる光学レンズは耐熱性や耐溶剤性に劣るものとなる。
B成分の組成割合が65重量部を超えると、得られる光
学レンズは、耐熱性や耐溶剤性に劣るものとなる。一
方、この割合が35重量部未満では、目的とする低比重
化を十分に達成することができない。C成分の組成割合
が30重量部を超えると、A成分およびB成分との相溶
性が低下するため、得られる光学レンズは透明性に劣る
ものとなる。一方、この割合が5重量部未満では、混合
単量体の粘度が高くなって流動性が低下し、注型操作な
どが困難になるほか、得られる光学レンズは屈折率の低
いものとなり、またレンズの表面特性の改良効果も得ら
れなくなる。
【0024】<D成分>架橋共重合体を得るために用い
られる単量体成分は、上記のA成分、B成分およびC成
分よりなる混合単量体を必須成分とするものであるが、
任意成分として、これら混合単量体を構成する各成分と
共重合可能な共重合性単量体(D成分)が含有されてい
てもよい。単量体成分におけるD成分の割合は、本発明
の主旨を逸脱しない範囲、具体的には単量体成分全体の
0〜20重量%の範囲とされる。単量体成分中にD成分
が含有されていることにより、得られる光学レンズの表
面特性が改良される。具体的に説明すれば、A成分、B
成分およびC成分のみよりなる単量体成分を共重合して
得られる架橋共重合体は、疎水性が大きいため、例え
ば、その表面にハードコート層を形成する場合に、ハー
ドコート層との密着性が劣るという傾向があるが、D成
分の添加により、ハードコート層との密着性を向上させ
ることができる。
【0025】斯かる共重合性単量体(D成分)の具体例
としては、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボン酸
基含有単量体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、
2−ヒドロキシエチルアクリレートなどの水酸基含有単
量体、その他各種のアクリルエステル、メタクリルエス
テル、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フ
ェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキ
シエトキシ)フェニル]プロパンなどのジアクリルエス
テルおよびジメタクリルエステル、各種のウレタンアク
リレートやウレタンメタクリレート、ビニル基含有化合
物などを挙げることができる。
【0026】A成分、B成分、C成分よりなる混合単量
体の共重合反応、あるいは混合単量体とD成分との共重
合反応は、通常のラジカル重合開始剤により進行する。
従って、この共重合反応のための重合方式、反応の条件
などは通常のラジカル重合反応の場合と同様であってよ
い。しかしながら、A成分であるアルキレンジ(メタ)
アクリレートは二官能性単量体であるので、その一部が
単独で重合して架橋反応が進行し、その結果、生成する
架橋共重合体の溶解あるいは溶融を伴う処理を行うこと
は事実上不可能となるため、目的とする光学レンズとし
ての形状が直接的に得られる注型重合法を利用すること
が好ましい。
【0027】注型重合法は周知の技術であり、そのまま
本発明に適用することができる。注型重合用容器として
は、板状、レンズ状、円筒状、角柱状、円錐状、球状、
その他の、目的乃至用途に応じて設計された鋳型または
型枠、その他の容器が使用される。その材質は、無機ガ
ラス、プラスチック、金属、その他の目的に応じた任意
のものを選択することができる。実際の重合反応は、混
合単量体を必須成分とする単量体成分と重合開始剤とよ
りなる混合物を注型重合用容器内に投入し、加熱するこ
とによって実施することができるが、別の反応容器を用
いて予め単量体成分をある程度まで反応させ、粘度が高
くなったプレポリマーまたはシロップを注型重合用容器
内に投入して重合を完結する態様によって行うこともで
きる。所要の単量体成分および重合開始剤は、その全量
を一時に混合してもよいし、また段階的に混合してもよ
い。単量体成分には、生成する共重合体に期待される用
途に応じて、帯電防止剤、着色剤、充填剤、紫外線吸収
剤、熱安定剤、酸化防止剤、その他の補助資材を含有さ
せることができる。
【0028】
【作用】本発明の光学レンズに係る架橋共重合体は、特
定のアルキレンジ(メタ)アクリレート(A成分)、特
定のアルキル(メタ)アクリレート(B成分)および芳
香族ビニル化合物(C成分)が特定の割合で含有されて
なる混合単量体を、必須の単量体成分とし、この単量体
成分を共重合して得られるものであるため、架橋密度が
高く、しかも1.10以下の低い比重を有するものとな
る。
【0029】本発明の光学レンズは、これを構成する架
橋共重合体が、以上のように特定の単量体成分から得ら
れる点に特徴を有するものである。従って、当該架橋共
重合体によって実際の光学レンズを得るためには、従来
から利用されている手段を適用することができる。すな
わち、注型重合法によって直接的に特定の形状を有する
光学レンズを得る手段、板状体または塊状体から目的と
する形状の光学レンズを削りだす手段などを利用するこ
とができる。この光学レンズには、更に必要に応じて、
表面研磨処理、帯電防止処理、その他の後処理を行うこ
とができ、これによって所望の性能を有する光学レンズ
を得ることができる。更に、光学レンズの表面硬度を高
くするために、表面に適宜の無機材料を塗被したり、有
機系コート剤をディッピングなどにより塗被することも
可能である。
【0030】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明がこれらによって限定されるものではない。な
お、以下の実施例および比較例において、「部」は「重
量部」を表す。また、重合仕込量は、特に断りのないか
ぎり純分で示している。
【0031】各実施例および比較例により得られた光学
レンズの諸性能は、以下のようにして評価した。 (1)透明性:JIS K7105に基く可視光線透過
率の測定。 (2)屈折率:アッベの屈折計による温度20℃におけ
る屈折率の測定。 (3)表面硬度:JIS K5400に基く鉛筆硬度に
より測定。 (4)耐熱性:JIS K7206に準じて測定された
針入度が0.4mmとなる温度(針入温度)の測定。
【0032】<実施例1>1,9−ノナンジオールジメ
タクリレート(A成分)30部と、ラウリルメタクリレ
ート(B成分)60部と、α−メチルスチレン(C成
分)10部とを混合して単量体成分を調製し、この単量
体成分に、ターシャリブチルパーオキシネオデカノエー
ト(重合開始剤)1.2部を添加して十分に混合した。
この混合液をガラス製のレンズ用モールド中に注入し
て、50℃で10時間、60℃で8時間、80℃で3時
間、100℃で2時間と順次に異なる温度で加熱して重
合を完結させ、これにより、−2.00ジオプターの無
色透明なレンズを製造した。このレンズは、可視光線透
過率が92%、屈折率が1.496、アッベ数が56で
あり、比重は1.008と十分に小さいものであった。
また、このレンズは、アセトンおよびベンゼンに全く不
溶であって耐有機溶剤性に富むものであった。更に、こ
のレンズの表面硬度は2H、針入温度は92℃であっ
て、いずれも優れたものであった。これらのことから、
このレンズに係る架橋共重合体は、優れた架橋効果と光
学的特性を有すると共に、重合度が十分に高くて機械的
強度も高く、低比重という良好な物理的特性も有してお
り、光学レンズとして極めてバランスのよいものである
ことが明らかである。
【0033】<実施例2>1,10−デカンジオールジ
アクリレート(A成分)25部と、ステアリルメタクリ
レート(B成分)45部と、ジビニルベンゼン(C成
分)8部と、α−メチルスチレン(C成分)10部と、
メタクリル酸(D成分)12部とを混合して単量体成分
を調製したこと以外は実施例1と同様にして重合を行
い、+2.25ジオプターの無色透明なレンズを製造し
た。このレンズは、可視光線透過率が91%、屈折率が
1.520、アッベ数が48であり、比重は1.021
と十分に小さいものであった。また、このレンズは、ア
セトンおよびベンゼンに全く不溶であって耐有機溶剤性
に富むものであった。更に、このレンズの表面硬度は3
H、針入温度は95℃であって、いずれも優れたもので
あった。これらのことから、このレンズに係る架橋共重
合体は、優れた架橋効果と光学的特性を有すると共に、
重合度が十分に高くて機械的強度も高く、低比重という
良好な物理的特性も有しており、光学レンズとして極め
てバランスのよいものであることが明らかである。ま
た、このレンズの表面に、通常のシリコーン系ハードコ
ート剤を塗布したところ、形成されたハードコート層の
密着性は優れたものであった。
【0034】<比較例1>1,9−ノナンジオールジメ
タクリレート(A成分)10部と、ラウリルメタクリレ
ート(B成分)70部と、α−メチルスチレン(C成
分)20部とを混合して単量体成分を調製したこと以外
は実施例1と同様にして重合を行ってレンズを製造し
た。このレンズは透明性を有し、比重は1.021と小
さいものであった。しかし、このレンズは、室温におい
て、指の力で容易に変形する柔軟なものであり、耐熱性
が相当小さくて使用に耐えないものであった。また、こ
のレンズは、アッベの屈折計による屈折率の測定時に使
用される接触液(1−ブロモナフタレン)に容易に溶解
されてしまい、屈折率を測定することができなかった。
以上のことから、単量体成分におけるA成分の割合が低
い場合には、得られる架橋共重合体が耐熱性および耐溶
剤性の点で劣るものとなることが理解される。
【0035】<比較例2>1,9−ノナンジオールジメ
タクリレート(A成分)70部と、ラウリルメタクリレ
ート(B成分)20部と、α−メチルスチレン(C成
分)10部とを混合して単量体成分を調製したこと以外
は実施例1と同様にして重合を行い、−6.00ジオプ
ターのレンズを製造した。このレンズの比重は1.07
4と小さいものであった。しかし、このレンズは非常に
脆く、50cmの高さから落下させたところ、レンズが
破砕してしまい、実用的な強度を有するものではなかっ
た。このことから、単量体成分におけるA成分の割合が
過剰である場合には、得られる架橋共重合体の架橋密度
が高くなりすぎて脆く破損しやすいものとなることが理
解される。
【0036】<比較例3>1,9−ノナンジオールジメ
タクリレート(A成分)10部と、ラウリルメタクリレ
ート(B成分)10部と、エチレングリコールジメタク
リレート30部と、2,2−ビス[4−(メタクリロキ
シエトキシ)3,5−ジブロモフェニル]プロパン(D
成分)50部とを混合して単量体成分を調製したこと以
外は実施例1と同様にして重合を行い、+2.00ジオ
プターのレンズを製造した。このレンズの比重は、1.
36と大きく、低比重化を満足するものではなかった。
これは、単量体成分中の必須成分である混合単量体の割
合が過少であり、また、臭素原子を含有する単量体が多
量に含有されているからである。
【0037】<比較例4>1,9−ノナンジオールジメ
タクリレート(A成分)25部と、ラウリルメタクリレ
ート(B成分)40部と、α−メチルスチレン(C成
分)15部と、ジビニルベンゼン(C成分)20部とを
混合して単量体成分を調製したこと以外は実施例1と同
様にして重合を行い、−4.25ジオプターのレンズを
製造した。このレンズの比重は1.033と比較的低い
ものであった。しかし、このレンズは濁りがあり、可視
光線透過率は74%に止まり、光学レンズとして実用的
なものではなかった。これは、単量体成分中のC成分の
含有割合が過剰であったからである。
【0038】<実施例3>1,6−ヘキサンジオールジ
メタクリレート(A成分)25部と、イソデシルメタク
リレート(B成分)55部と、ジビニルベンゼン(C成
分)5部と、スチレン(C成分)10部と、α−メチル
スチレン(C成分)5部とを混合して単量体成分を調製
したこと以外は実施例1と同様にして重合を行い、+
1.00ジオプターの無色透明なレンズを製造した。こ
のレンズは、可視光線透過率が91.4%、屈折率が
1.528、アッベ数が43であり、比重は1.070
と十分に小さいものであった。また、このレンズは、ア
セトンおよびベンゼンに全く不溶であって耐有機溶剤性
に富むものであった。更に、このレンズの表面硬度は2
H、針入温度は96℃であって、いずれも優れたもので
あった。これらのことから、このレンズに係る架橋共重
合体は、優れた架橋効果と光学的特性を有すると共に、
重合度が十分に高くて機械的強度も高く、低比重という
良好な物理的特性も有しており、光学レンズとして極め
てバランスのよいものであることが明らかである。
【0039】<実施例4>1,9−ノナンジオールジメ
タクリレート(A成分)30部と、イソステアリルアク
リレート(B成分)58部と、α−メチルスチレン(C
成分)7部と、ジビニルベンゼン(C成分)5部とを混
合して単量体成分を調製したこと以外は実施例1と同様
にして重合を行い、−4.25ジオプターの無色透明な
レンズを製造した。このレンズは、可視光線透過率が9
1.3%、屈折率が1.507、アッベ数が53であ
り、比重は0.998と十分に小さいものであった。ま
た、このレンズは、アセトンおよびベンゼンに全く不溶
であって耐有機溶剤性に富むものであった。更に、この
レンズの表面硬度は2H、針入温度は82℃であって、
いずれも優れたものであった。これらのことから、この
レンズに係る架橋共重合体は、優れた架橋効果と光学的
特性を有すると共に、重合度が十分に高くて機械的強度
も高く、低比重という良好な物理的特性も有しており、
光学レンズとして極めてバランスのよいものであること
が明らかである。
【0040】<実施例5>1,8−オクタンジオールジ
アクリレート(A成分)25部と、イソデシルメタクリ
レート(B成分)40部と、スチレン(C成分)20部
と、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フ
ェニル]プロパン(D成分)15部とを混合して単量体
成分を調製したこと以外は実施例1と同様にして重合を
行い、+3.00ジオプターの無色透明なレンズを製造
した。このレンズは、可視光線透過率が91%、屈折率
が1.530、アッベ数が42であり、比重は1.08
1と十分に小さいものであった。また、このレンズは、
アセトンおよびベンゼンに全く不溶であって耐有機溶剤
性に富むものであった。更に、このレンズの表面硬度は
3H、針入温度は92℃であって、いずれも優れたもの
であった。これらのことから、このレンズに係る架橋共
重合体は、優れた架橋効果と光学的特性を有すると共
に、重合度が十分に高くて機械的強度も高く、低比重と
いう良好な物理的特性も有しており、光学レンズとして
極めてバランスのよいものであることが明らかである。
【0041】<比較例5>1,9−ノナンジオールジメ
タクリレートに代えてエチレングリコールジメタクリレ
ート30部を用いて単量体成分を調製したこと以外は実
施例1と同様にして重合を行い、−2.00ジオプター
の無色透明なレンズを製造した。このレンズの比重は
1.146であり、目的とする低比重化を満足するもの
ではなかった。また、このレンズは非常に脆く、50c
mの高さから落下させたところ、レンズが破砕してしま
い、実用的な強度を有するものではなかった。以上のこ
とから、上記化3におけるnの値が小さいアルキレンジ
メタクリレートを用いた場合には、目的とする低比重化
を十分に達成することができず、また、架橋密度が高く
なりすぎることから実用強度の低下をもたらすことが理
解される。
【0042】<比較例6>1,9−ノナンジオールジメ
タクリレートに代えて1,22−ベヘニルジオールジメ
タクリレート30部を用いて単量体成分を調製したこと
以外は実施例1と同様にして重合を行い、−2.00ジ
オプターの無色透明なレンズを製造した。このレンズ
は、比重が1.018と低いものであったが、室温にお
いて、指の力で容易に変形する柔軟なものであり、使用
に耐えないものであった。以上のことから、上記化3に
おけるnの値が大きいアルキレンジメタクリレートを用
いた場合には、得られる架橋共重合体の架橋密度が十分
高いものとならず、表面硬度が低く実用的ではないこと
が理解される。
【0043】<比較例7>イソデシルメタクリレートに
代えてメチルメタクリレート55部を用いて単量体成分
を調製したこと以外は実施例3と同様にして重合を行
い、+1.00ジオプターの無色透明なレンズを製造し
た。このレンズの比重は1.16であり、目的とする低
比重化を満足するものではなかった。このことから、上
記化4におけるアルキル基Rの炭素数が過小であるアル
キルメタクリレートを用いた場合には、目的とする低比
重化を十分に達成することができないことが理解され
る。
【0044】<比較例8>ラウリルメタクリレートに代
えてベヘニルメタクリレート60部を用いて単量体成分
を調製したこと以外は実施例1と同様にして重合を行
い、−2.00ジオプターの無色透明なレンズを製造し
た。このレンズは、比重が0.996と低いものであっ
たが、軟らかく、また、針入温度が48℃であり、耐熱
性が相当小さくて使用に耐えないものであった。このこ
とから、上記化4におけるアルキル基Rの炭素数が過大
であるアルキルメタクリレートを用いた場合には、耐熱
性に劣り、実用的なものとならないことが理解される。
【0045】
【発明の効果】以上のように、本発明の光学レンズは、
これを構成する架橋共重合体が、1.10以下の極めて
小さい比重を有し、かつ高度な架橋構造体を有するもの
であり、更に高い無色透明性を有していて、光学レンズ
に要求される好適な光学的特性を有する。しかも、耐溶
剤性、耐熱性、表面硬度などの物理的特性にも優れてお
り、性能バランスの極めて良好なものである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記化1で表される単量体(A成分)1
    5〜50重量部、下記化2で表される単量体(B成分)
    35〜65重量部および芳香族ビニル化合物(C成分)
    5〜30重量部よりなる混合単量体80〜100重量%
    と、これらと共重合可能な共重合性単量体(D成分)2
    0〜0重量%とからなる単量体成分を共重合して得られ
    る、比重が1.10以下の架橋共重合体よりなることを
    特徴とする光学レンズ。 【化1】 (化1中、Xは水素原子またはメチル基を示し、nは6
    〜18の整数である。) 【化2】 (化2中、Rは炭素数6〜20のアルキル基を示し、X
    は水素原子またはメチル基を示す。)
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