JPH11125701A - プラスチックレンズ - Google Patents

プラスチックレンズ

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JPH11125701A
JPH11125701A JP29106697A JP29106697A JPH11125701A JP H11125701 A JPH11125701 A JP H11125701A JP 29106697 A JP29106697 A JP 29106697A JP 29106697 A JP29106697 A JP 29106697A JP H11125701 A JPH11125701 A JP H11125701A
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JP
Japan
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component
weight
parts
plastic lens
polymerizable composition
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Withdrawn
Application number
JP29106697A
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English (en)
Inventor
Yukio Ichikawa
幸男 市川
Katsuichi Machida
克一 町田
Masuhiro Shoji
益宏 庄司
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kureha Corp
Original Assignee
Kureha Corp
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Publication date
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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 屈折率が高く、しかも比重が小さい点で十分
に優れた特性を有する重合体よりなるプラスチックレン
ズを提供すること。 【解決手段】 本発明のプラスチックレンズは、(A)
成分30〜70重量部、(B)成分15〜50重量部、
(C)成分5〜40重量部および(D)成分0〜10重
量部よりなる合計100重量部の重合性組成物を共重合
させることによって得られる共重合体よりなる。(A)
成分:下記一般式(1)で表されるジチオール、(B)
成分:4,4’−ビス(メタクリロイルチオ)ジフェニ
ルスルフィド、(C)成分:ジビニルベンゼン、(D)
成分:前記(A)成分、(B)成分および(C)成分の
少なくとも1つと共重合可能な共重合性単量体 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチックレン
ズに関するものであり、詳しくは、特定の硫黄化合物を
主成分とし、高屈折率で特に眼鏡用レンズとして優れた
特性を有するプラスチックレンズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】有機光学材料用重合体は、ガラスなどに
比較して軽量で取扱いが簡単であることから、近年、各
種光学材料として広く使用されている。このような有機
光学材料用重合体をとして、従来から、ポリスチレン系
樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリカーボネ
ート系樹脂、ジエチレングリコールジアリルカーボネー
ト樹脂が広く知られている。
【0003】しかしながら、このような従来の有機光学
材料用重合体は、概して屈折率が低く、複屈折が大き
く、高い分散性を有するなどの欠点を有し、しかも耐熱
性や耐衝撃性にも劣るため、必ずしも満足し得るもので
はない。例えばポリスチレン樹脂は、複屈折が大きく、
しかも、耐熱性や耐衝撃性などの物理的特性が不十分で
あり、またポリメチルメタクリレート系樹脂は屈折率が
低く、更に一般のポリカーボネート系樹脂は複屈折が大
きく、いずれも満足できるものではなかった。
【0004】一方、従来からレンズ用重合体として多用
されている「CR−39」と称されるジエチレングリコ
ールジアリルカーボネート樹脂は、屈折率が1.50と
低いものであるため、レンズとして使用する場合にはコ
バ厚や中心厚が大きくなり、レンズの外観が悪くなり、
また重量の増大を招く、という問題がある。
【0005】このような問題点を解決するため、主とし
て屈折率を向上させる方法が種々検討されている。例え
ば、芳香族環状化合物にハロゲン原子を導入してなる重
合体が特公平5−4404号公報に示されている。しか
しながら、この重合体は、屈折率が1.60と高いもの
の比重が1.37と大きく、プラスチックレンズの特長
である軽量性が劣ったものである。
【0006】また、特公平4−15249号公報および
特開昭60−199016号公報では、イソシアネート
化合物とポリチオールとの共重合体よりなる光学材料用
重合体が開示されている。しかしながら、この重合体
は、屈折率は1.60と高いけれども比重が1.30以
上であり、しかも重合温度が比較的低い上に重合速度が
速いことから、重合反応時の温度制御が困難であって製
品に大きな光学歪みが生ずる、という問題点がある。更
に特開平5−142501号公報には、トリメチロール
プロパントリス(β−チオプロピオネート)と、4,
4’−ビス(メタクリロイルチオ)ジフェニルスルフィ
ドと、ジビニルベンゼンとの共重合体よりなる光学材料
用重合体が提案されている。しかしながら、この光学材
料用重合体は、比重は小さいけれども屈折率が高々1.
65程度であって必ずしも十分なものとはいえない。ま
た、ジフェニルスルフィド骨格を有するジチオールから
なる組成物が提案されているが、屈折率、比重および耐
熱性の点でなお不十分なものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来に
おいては、特に屈折率および比重の点で十分に優れた特
性を有する光学材料用重合体が提供されていない。本発
明は、以上のような事情に基づいてなされたものであっ
て、その目的は、屈折率が高く、しかも比重が小さい点
で十分に優れた特性を有する重合体よりなるプラスチッ
クレンズを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のプラスチックレ
ンズは、下記(A)成分30〜70重量部、(B)成分
15〜50重量部、(C)成分5〜40重量部および
(D)成分0〜10重量部よりなる合計100重量部の
重合性組成物を共重合させることによって得られる共重
合体よりなることを特徴とする。 (A)下記一般式(1)で表されるジチオール (B)4,4’−ビス(メタクリロイルチオ)ジフェニ
ルスルフィド (C)ジビニルベンゼン (D)前記(A)成分、(B)成分および(C)成分の
少なくとも1つと共重合可能な共重合性単量体
【0009】
【化2】
【0010】以上において、重合性組成物は、(A)成
分〜(D)成分の合計100重量部において、(D)成
分としてα−メチルスチレンダイマーを0.01〜5重
量部を含有することができる。また、上記重合性組成物
は、(A)成分〜(D)成分の合計100重量部に対し
て、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤0.05〜2重
量部を含有することが好ましい。そして、当該重合性組
成物による共重合体によれば、屈折率が1.64以上、
比重が1.32未満であるプラスチックレンズが提供さ
れる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明のプラスチックレンズは、後述の(A)成
分、(B)成分および(C)成分を必須成分として含有
してなる重合性組成物を共重合させることによって得ら
れる共重合体よりなるものである。
【0012】(A)成分 (A)成分は、上記の一般式(1)で表されるジチオー
ル化合物(以下、「特定のジチオール化合物」とい
う。)である。ここに、特定のジチオール化合物の具体
例としては、4,4’−ビス(4−メルカプトメチル)
フェニルスルフィド(一般式(1)でn=0の化合
物)、4,4’−ビス(4−メルカプト−2−チアプロ
ピル)フェニルスルフィド(一般式(1)でn=1の化
合物)、4,4’−ビス(7−メルカプト−2,5−ジ
チアペンチル)フェニルスルフィド(一般式(1)でn
=2の化合物)であり、これらのうち一種を選択して使
用することもできるし、二種以上を併用することもでき
る。これらの化合物は、例えば特開平9−59248号
公報に記載された方法で得ることができる。
【0013】(B)成分は、4,4’−ビス(メタクリ
ロイルチオ)ジフェニルスルフィドであり、また(C)
成分はジビニルベンゼンである。そして、上記の(A)
成分、(B)成分および(C)成分よりなる重合性組成
物が調製され、これが共重合処理される。この重合性組
成物には、必要に応じて用いられる補助成分である下記
の(D)成分が含有されてもよい。
【0014】この(D)成分は、(A)成分、(B)成
分および(C)成分の少なくとも1つと共重合可能な共
重合性単量体である。(D)成分の具体例としては、例
えばビニル基を有するモノマー若しくはオリゴマー、エ
ポキシ基を有するモノマー若しくはオリゴマー、エピサ
ルファイド基を有するモノマー若しくはオリゴマー、イ
ソシアネート基を有するモノマー、イソチオシアネート
基を有するモノマー、チオール基を有するモノマー若し
くはオリゴマーなどを挙げることができる。これらの共
重合性単量体は、最終的に得られる共重合体に求められ
る特性に応じて単官能性単量体のみでなく多官能性単量
体を用いることができ、またそれらの単量体の2種類以
上を併用することもできる。
【0015】ビニル基を有するモノマー若しくはオリゴ
マーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン
ダイマー、メチル(メタ)アクリレート、ジエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)ア
クリレートなどを挙げることができる。エポキシ基を有
するモノマー若しくはオリゴマーとしては、例えば、フ
ェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシ
ジルエーテル、ビスフェノールAのグリシジルエーテル
などを挙げることができる。エピサルファイド基を有す
るモノマー若しくはオリゴマーとしては、上記のエポキ
シ基を有するモノマー若しくはオリゴマーのエポキシ基
をエピサルファイド基に変換したものなどを挙げること
ができる。
【0016】イソシアネート基を有するモノマーとして
は、例えば、キシリレンジイソシアネート、ジクロロジ
フェニルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシア
ネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン
などを挙げることができる。イソチオシアネート基を有
するモノマーとしては、例えば、キシリレンジイソチオ
シアネート、ジクロロジフェニルジイソチオシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソチオシアネート、ビス(イソ
チオシアネートメチル)シクロヘキサンなどを挙げるこ
とができる。チオール基を有するモノマー若しくはオリ
ゴマーとしては、例えば、1,3−ベンゼンジチオー
ル、1,4−ベンゼンジチオール、ビス(4−メルカプ
トフェニル)スルフィド、1,2−エタンジチオール、
ペンタエリスリトールテトラキスメルカプトプロピオネ
ートなどを挙げることができる。
【0017】本発明のプラスチックレンズに係る共重合
体を得るための重合性組成物において、上記(A)成
分、(B)成分および(C)成分並びに(D)成分は、
いずれも特定の割合で含有される。具体的には、(A)
成分〜(D)成分の合計100重量部において、(A)
成分が30〜70重量部、(B)成分が15〜50重量
部、(C)成分が5〜40重量部、(D)成分が0〜1
0重量部となる割合とされるが、より好ましくは、
(A)成分が40〜65重量部、(B)成分が18〜4
5重量部、(C)成分が8〜30重量部、(D)成分が
0〜10重量部となる割合である。
【0018】ここに、(A)成分の割合が30重量部未
満の場合には、得られる共重合体は屈折率およびアッベ
数が共に高いものとならず、一方、70重量部を超える
場合には、共重合体が耐熱性および剛性の高いものとな
らない可能性がある。また、(B)成分の割合が15重
量部未満の場合には、共重合体が屈折率の高いものとな
らず、一方、50重量部を超える場合には共重合体がア
ッベ数の高いものとならない可能性がある 更に、(C)成分の割合が5重量部未満の場合には、重
合性組成物の粘度が高くなるために取扱い性が悪くなっ
たり、得られる共重合体に光学歪みが生じやすくなり、
一方、40重量部を超える場合には、共重合体が屈折率
の高いものとならない可能性がある。(D)成分は、得
られる共重合体における密着性、接着性、切削性、研磨
性などの諸物性を調整する目的、その他の目的で必要に
応じて使用される補助成分であり、従って含有されなく
てもよいが、10重量部を超える程多量に用いると、得
られる共重合体は屈折率が高いものとならない可能性が
ある。
【0019】本発明プラスチックレンズに係る共重合体
は、上記(A)成分、(B)成分、(C)成分および
(D)成分からなる重合性組成物を共重合することによ
って得られるが、この重合性組成物は比較的高い反応性
を有するものであることから、当該重合性組成物の可使
時間を長くするために、または重合時の光学歪みの発生
を防止するために、(A)成分〜(D)成分の合計10
0重量部において、当該(D)成分の一部または全部と
して、α−メチルスチレンダイマーを0.01〜5重量
部となる割合で重合性組成物に含有させることがより好
ましい。
【0020】また、重合性組成物は、得られるプラスチ
ックレンズの耐候性を向上させるために、(A)成分〜
(D)成分の合計100重量部に対して、耐候性改良剤
として、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を0.05
〜1重量部となる割合で含有することがより好ましい。
プラスチックの耐候性改良剤としては、従来からベンゾ
フェノン系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、
ヒドロキシベンゾエート系、シアノアクリレート系など
の各種の紫外線吸収剤が知られているが、驚くべきこと
に、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤が本発明のプ
ラスチックレンズに係る共重合体に対して特異的に優れ
た耐候性効果を示すことが見出された。
【0021】上記ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤
の具体例としては、次のものを挙げることができる。 (1)2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール (2)2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−
5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾー
ル (3)2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジt−ブ
チルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール (4)2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジt−ブ
チルフェニル)ベンゾトリアゾール (5)2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフ
ェニル)ベンゾトリアゾール (6)2−(2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,
5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’
−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール (7)2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジt−ア
ミルフェニル)ベンゾトリアゾール これらの紫外線吸収剤は2種類以上を併用することもで
きる。
【0022】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有
量は、(A)成分〜(D)成分の合計100重量部に対
して、0.05〜2重量部であることが好ましく、0.
1〜1重量部であることがより好ましい。この割合が
0.05重量部未満の場合には耐候性向上効果を得るこ
とが困難であり、一方、2重量部を超える程に添加して
も耐候性向上効果はそれ程変わらず、むしろ得られる共
重合体の透明性が低下する傾向がある。
【0023】本発明の重合性組成物には、必要に応じ
て、帯電防止剤、着色剤、熱安定剤、酸化防止剤、充填
剤などの添加剤を更に含有させることができる。
【0024】以上のような構成成分からなる重合性組成
物の重合反応は、ラジカル重合、光重合などの重合機構
を利用して実行することができるが、特に通常のラジカ
ル重合開始剤や光重合開始剤を用いる方法が好ましい。
例えばラジカル重合においては、重合反応を30〜12
0℃の温度で開始させるラジカル重合開始剤が好ましく
用いられる。また、光重合においては、室温程度の温度
で、光源として高圧水銀灯或いは低圧水銀灯を用いて行
われる。紫外線吸収剤が含有される場合には、重合性組
成物は光重合しにくいものとなるので熱重合法がより好
ましい場合が多いが、具体的な組成、目的とする共重合
体の特性などに応じて選択すればよい。
【0025】本発明の重合性組成物から得られる共重合
体は架橋重合体であり、当該共重合体の溶解や融解を伴
う成形法によって成形加工を行うことは困難である。そ
のため、目的とする成形体が直接的に得られる注型重合
法を用いることが望ましい。注型重合用容器は、板状、
レンズ状、円筒状、角柱状、円錐状、球状、その他の目
的乃至用途に応じて設計された鋳型あるいは型枠などが
ある。その材質としては、無機ガラス、プラスチック、
金属など任意のものを選択することができる。実際の重
合反応は、重合開始剤を含有した重合性組成物を注型重
合用容器に注入して加熱することにより行われるが、単
量体組成物を別の反応容器で予め若干反応させ、粘度が
増大したプレポリマーまたはシロップを注型重合用容器
に注入して重合を完結する態様で行うこともできる。ま
た、注型重合によって得られた板状あるいは塊状の共重
合体から目的とする形状の成形体を削り出す方法などを
利用することもできる。このようにして得られた成形体
には、必要に応じて、表面研磨処理、帯電防止処理、あ
るいはその表面に適宜の無機材質や有機系コート剤を塗
布して硬度の高い被覆層を形成するなどの後処理を行う
こともできる。
【0026】本発明のプラスチックレンズは、その組成
成分の特徴から、屈折率が1.64以上、特に1.65
以上と十分に高くなり、これ同時に、比重が1.32未
満、特に1.30未満と十分に小さくなる。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれらによって限定されるものではない。なお、
以下において、重合仕込み量は、特に記す場合を除き、
純分で示した。また、光線透過率以外の「%」および
「部」はそれぞれ「質量%」および「質量部」を示す。
【0028】実施例1〜4並びに比較例1および2 表1に示した割合で、(A)成分の4,4’−ビス(7
−メルカプト−2,5−ジチアペンチル)フェニルスル
フィド(一般式(1)でn=2の化合物、以下「BD
S」と記す。)と、(B)成分の4,4’−ビス(メタ
クリロイルチオ)ジフェニルスルフィド(以下「MPS
MA」と記す。)と、(C)成分のジビニルベンゼン
(純度96%、以下「DVB」と記す。)とを混合して
重合性組成物を調製し、この重合性組成物にラジカル重
合開始剤であるラウロイルパーオキサイドの1重量部を
十分に混合し、その後脱気した。この重合性組成物の混
合液をガラス製のレンズ用モールドに注入して、50℃
で10時間、60℃で8時間、80℃で3時間、100
℃で2時間と順次に異なる温度で加熱して重合を完結さ
せ、これにより、−2ジオプターのプラスチックレンズ
を製造した。
【0029】得られたプラスチックレンズの各々を試料
として下記の事項についてその性能を測定しまた評価し
た。結果を表1に示す。 (1)屈折率およびアッベ数:アッベ屈折計を用い、2
0℃で測定した。 (2)比重:ASTM D792に準じて測定した。 (3)耐熱性:JIS K7206に準じて、100℃
における針入度(mm)を測定した。 (4)耐衝撃性:米国FDA規格に準じて重さ16.3
3gの鋼球を127cmの高さから試料上に落下させ、
破壊しなかったものを「○」と評価し、破壊したものを
「×」と評価した。 (5)耐候性:ウエザーメーター「Ci35」(ATL
AS社製)を用いて60時間の耐候性試験を行い、試験
前後の試料の色の変化を調べ、黄変がほとんど認められ
なかったものを「○」と評価し、明らかに黄変が認めら
れたものを「×」と評価した。
【0030】表1の結果から、実施例1〜4のプラスチ
ックレンズは、いずれも、屈折率が高く、アッベ数が大
きく、比重が小さく、耐熱性および耐衝撃性が高い、と
いう優れた特性を有することが明らかである。これに対
し、比較例1のプラスチックレンズは、重合性組成物に
おける(A)成分の割合が過大であるために耐熱性およ
び耐衝撃性が低いものであり、また比較例2のプラスチ
ックレンズは、重合性組成物における(B)成分の割合
が過小であるために耐衝撃性が低いものであった。
【0031】比較例3 表1に示した割合で、BDSおよびキシリレンジイソシ
アネート(以下「XDI」と記す。)のみによる重合性
組成物を調製し、これにラジカル重合開始剤としてラウ
ロイルパーオキサイドの代わりにジブチルスズラウリレ
ートの0.02部を用いたこと以外は、実施例1と同様
にしてプラスチックレンズを製造した。このプラスチッ
クレンズについての性能を表1に示すが、このプラスチ
ックレンズは、重合性組成物の成分として(B)成分お
よび(C)成分が含有されないため、耐熱性が低く、比
重が大きいものであった。
【0032】
【表1】
【0033】実施例5〜8 (A)成分として4,4’−ビス(4−メルカプト−2
−チアプロピル)フェニルスルフィド(一般式(1)で
n=1の化合物、以下「HES」と記す。)を用い、混
合割合を表2に示したとおりとしたこと以外は、実施例
1と同様にしてプラスチックレンズを製造した。得られ
た各プラスチックレンズについての性能を表2に示す。
表2の結果から、実施例5〜8のプラスチックレンズ
は、いずれも、屈折率が高く、アッベ数が大きく、比重
が小さく、耐熱性および耐衝撃性が高い、という優れた
特性を有することが明らかである。
【0034】
【表2】
【0035】実施例9および10並びに参考例1〜3 (A)成分のBDSの50部と、(B)成分のMPSM
Aの32部と、(C)成分のDVBの18部とを、表3
に示した種類の紫外線吸収剤0.3部と共に混合して重
合性組成物を調製したこと以外は、実施例1と同様にし
てプラスチックレンズを製造した。
【0036】表3における紫外線吸収剤の具体的内容は
次のとおりである。 「ベンゾトリアゾール系1」:2−(2’−ヒドロキシ
−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール
「Viosorb583」(共同薬品社製) 「ベンゾトリアゾール系2」:2−(2’−ヒドロキシ
−3’,5’−ジt−アミルフェニル)ベンゾトリアゾ
ール「Viosorb591」(共同薬品社製) 「シアノアクリレート系」:エチル−2−シアノ−3,
3−ジフェニルアクリレート「Viosorb910」
(共同薬品社製) 「サリシレート系」:p−t−ブチルフェニルサリシレ
ート「Viosorb90」 「ヒドロキシベンゾエート系」:2,4−ジ−t−ブチ
ルフェニル−3’,5’−ジt−ブチル−4’−ヒドロ
キシベンゾエート「Viosorb80」(共同薬品社
製)
【0037】得られた各プラスチックレンズについての
性能を表3に示す。表3の結果から、実施例9および1
0のプラスチックレンズは、いずれも、屈折率が高く、
アッベ数が大きく、比重が小さく、耐熱性および耐衝撃
性が高く、その上、含有される紫外線吸収剤がベンゾト
リアゾール系のものであるため、優れた耐候性を有する
ことが明らかである。一方、参考例1〜3のプラスチッ
クレンズは、含有される紫外線吸収剤がベンゾトリアゾ
ール系のものでないため、耐候性が劣ることが明らかで
ある。
【0038】
【表3】
【0039】実施例11 既述の実施例1の重合性組成物に係る種類と割合の各成
分に更にα−メチルスチレンダイマー1部を混合して重
合性組成物を調製し、モールドとして直径80mm、中
心厚さ3mmのガラス製モールドを使用したこと以外は
実施例1と同様にしてプラスチックレンズを製造した。
このプラスチックレンズにおいて光学歪み(脈理)を有
無を目視により判定したが、脈理の存在は認められなか
った。このプラスチックレンズの性能は、屈折率1.6
74、アッベ数26.2、比重1.251、耐熱性0.
56mm、耐衝撃性「○」であり、優れた特性を有する
ものであった。また、モールドとして直径80mm、中
心厚さ8mmのガラス製モールドを使用した他は上記と
同様にしてプラスチックレンズを製造したが、このプラ
スチックレンズにおいても、脈理の存在は認められなか
った。
【0040】参考例4 実施例11と同様の操作を、既述の実施例1の重合性組
成物すなわちα−メチルスチレンダイマー1部を混合し
ない重合性組成物を用いて行ったところ、モールドとし
て中心厚さが3mmのガラス製モールドを使用した場合
には、得られるプラスチックレンズに脈理の存在は認め
られなかったが、中心厚さが8mmのガラス製モールド
を使用した場合には、得られるプラスチックレンズに脈
理の存在が認められた。
【0041】参考例5 α−メチルスチレンダイマーの代わりにスチレンを使用
したこと以外は実施例11と同様にして重合性組成物を
調製し、同様にしてプラスチックレンズを製造したとこ
ろ、中心厚さが8mmのガラス製モールドを使用して得
られたプラスチックレンズに脈理が認められた。
【0042】以上のことから、厚みの大きいプラスチッ
クレンズを製造する場合には、α−メチルスチレンダイ
マーを追加的に用いることにより、光学歪みの点におい
ても優れた特性のプラスチックレンズが得られること、
並びに、スチレンではそのような効果が得られないこと
が理解される。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、屈折率が高く、アッベ
数が大きく、比重が小さく、耐熱性および耐衝撃性が高
い、という優れた特性を有するプラスチックレンズを得
ることができる。また、請求項2に係る発明によれば、
α−メチルスチレンダイマーが用いられることにより、
厚みが大きくても光学歪みのない優れた特性のプラスチ
ックレンズを得ることができる。更に、請求項3に係る
発明によれば、特定の種類の紫外線吸収剤が含有される
ため、高い耐候性が得られる点で更に優れた特性を有す
るプラスチックレンズを得ることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(A)成分30〜70重量部、
    (B)成分15〜50重量部、(C)成分5〜40重量
    部および(D)成分0〜10重量部よりなる合計100
    重量部の重合性組成物を共重合させることによって得ら
    れる共重合体よりなることを特徴とするプラスチックレ
    ンズ。 (A)下記一般式(1)で表されるジチオール (B)4,4’−ビス(メタクリロイルチオ)ジフェニ
    ルスルフィド (C)ジビニルベンゼン (D)前記(A)成分、(B)成分および(C)成分の
    少なくとも1つと共重合可能な共重合性単量体 【化1】
  2. 【請求項2】 重合性組成物は、(A)成分〜(D)成
    分の合計100重量部において、(D)成分としてα−
    メチルスチレンダイマーを0.01〜5重量部含有して
    なることを特徴とする請求項1に記載のプラスチックレ
    ンズ。
  3. 【請求項3】 重合性組成物は、(A)成分〜(D)成
    分の合計100重量部に対して、ベンゾトリアゾール系
    紫外線吸収剤を0.05〜2重量部含有してなることを
    特徴とする請求項1または請求項2に記載のプラスチッ
    クレンズ。
  4. 【請求項4】 屈折率が1.64以上、比重が1.32
    未満であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいず
    れか一に記載のプラスチックレンズ。
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