JP3117741B2 - 偏向ヨークコイルの製造方法 - Google Patents

偏向ヨークコイルの製造方法

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JP3117741B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、CRTを用いた高品位
テレビ受像機や高精細度ディスプレイ装置に使用される
偏向ヨークコイルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】CRT表示装置に使用される偏向ヨーク
コイルは、CRTのネック部に取り付けられ、電子銃か
ら発生した電子ビームを走査して受像管上に画像を描く
ものである。そして、従来の偏向ヨークコイルは、導体
径が0.3mm〜0.5mmの単線のエナメル線からなる導
線を1本〜3本コイル巻きして製造していた。しかし、
最近は、CRT表示装置の高精細度化に伴い水平偏向コ
イルに流れる電流の周波数を高める必要が生じ、前記導
体径の導線では偏向ヨークコイルの発熱が大きく、画像
に障害を及ぼす欠点があった。そこで、最近の偏向ヨー
クコイルでは、その発熱を減らすために、導線の導体径
をより小さく、かつ使用本数をより多くする傾向にあ
る。このような偏向ヨークコイルは、図5に示すよう
に、複数本の巻枠1各々に導体径の小さい導線2を巻回
し、これらの巻枠1からテンション調整装置3を経由し
て導線2を繰り出し、束ねロール4を経て巻線機5でこ
れらの導線2をコイル巻きすることにより製造されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記最近の偏
向ヨークコイルをコイル巻きするには、導線の数だけ巻
枠が必要であるため、いきおい巻枠1の設置スペースを
広く取る必要があり、また、コイル巻き時の断線防止及
びコイルの線詰まりの乱れ防止のために各導線2ごとに
精密なテンション調整が必要となり、導線2の細線化及
び多数本化に制約を受けるという問題があった。なお、
図6に示すような複数本の導線2を撚り合わせた撚り線
6(いわゆるリッツ線)を使用してコイル巻きする方法
もあるが、撚り線6の製造のための撚り加工工数が加わ
って著しくコスト高となり、さらに、導線2を撚り合わ
せているので、必然的に撚り線内及び撚り線間に多くの
隙間が生じ、コイル巻きしたときの線詰まりが著しく低
下し、コイル設計面で制約を受けるという問題がある。
本発明は、従来の偏向ヨークコイルを改良して、上述の
ような問題点を取り除くことを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の偏向ヨークコイルの製造方法は、複数本の
導線を扁平に相接するように並列してなる束ね線を巻枠
に巻回し、該巻枠から束ね線を繰り出してコイル巻きし
て偏向ヨークコイルを製造するに際し、束ね線を巻枠に
巻回するピッチが、束ね線における導線の並列幅の2倍
以上であるように巻回し、束ね線が巻枠の少なくとも1
本から繰り出されることを特徴とするものである。そし
て、束ね線を巻枠に巻回するピッチは、束ね線における
導線の並列幅の2倍以上、好ましくは2.0〜3.4倍
にするとよい。また、束ね線は2本〜6本の導線からな
るようにし、導線の導体径は0.18mm〜0.30mmに
することが好ましい。
【0005】
【作用】上記偏向ヨークコイルの製造方法では、少なく
とも1本の巻枠から束ね線を繰り出してコイル巻きすれ
ばよいので巻枠の設置スペースが狭くてすみ、また、テ
ンション調整装置の数を大巾に減らせるので導線の細線
化及び多数本化が容易に達成され、さらに束ね線は撚っ
ていないのでコストが低くてすみ、かつコイル巻きした
ときの線詰まりが良好である。そして、束ね線を巻枠に
巻回するピッチを束ね線における導線の並列幅の2倍以
上にする理由は、2倍以下にすると、巻枠から繰り出す
導線がもつれてテンションが一様でなくなり、導線の引
伸びや断線により偏向ヨークコイルの品質を損ない易く
なるからである。また、束ね線を2本〜6本の導線から
構成する理由は、1本にすると束ね線としての効果がな
く、6本より多くするとコイル巻き時に巻き乱れが生じ
易いからである。
【0006】さらに、導線の導体径を0.18mm〜0.
30mmにする理由は、0.18mmより細くするとコイル
巻き時及びコイル巻きした偏向ヨークコイルに断線が生
じ易く、また0.30mmより太くすると高周波電流によ
り発熱し易くなり、高周波用偏向ヨークコイルとしての
品質を損なうからである。
【0007】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
するが、本発明はこれらに限定されないことは勿論であ
る。 実施例1 図1に示すように、1本の巻枠11に束ね本数n=6本
の導線12を扁平に相接するように並列してなる束ね線
13を巻回し、この束ね線13を巻枠11から繰り出し
て図2に示すようにサドル形にコイル巻きした自己支持
型偏向ヨークコイル14を製造するものである。
【0008】導線12には、図3に示すように、導体径
d=0.22mmの導体15に被覆16を施した仕上外径
Dmmの自己融着性エナメル線の単線を使用している。こ
の被覆16は、ポリエステルイミド等からなる絶縁層1
7とポリアミド等からなる融着層18との複合構造とな
っている。また、束ね線13は、図1に示すように、導
線12の並列幅W(=nD)の2倍以上のピッチP(≧
2W)をもって巻枠11に巻回されている。上記の如く
して得られた偏向ヨークコイルを従来の偏向ヨークコイ
ルと比較した結果を表1に示す。
【0009】
【表1】
【0010】但し、表中の従来例1は、実施例1と同じ
導線12の単線を6本の巻枠から繰り出してコイル巻き
したもの、従来例2は、実施例1と同じ導線12を6本
使用した撚り線(撚りピッチ15mm)を1本の巻枠から
繰り出してコイル巻きしたものである。表1から、実施
例1は多くの点で従来例1、2より改善されていること
が判る。
【0011】実施例2〜実施例4 複数本の巻枠11から繰り出した束ね線13をコイル巻
きした他は実施例1と同様にして自己支持型偏向ヨーク
コイル14を得た。これらの方法で得られた偏向ヨーク
コイルの構成及び評価を表2に示す。
【0012】
【表2】
【0013】但し、表中の実施例4は、2本の巻枠11
から繰り出した束ね本数n=4本の束ね線13と、1本
の巻枠11から繰り出した束ね本数n=3本の束ね線1
3とを併用してコイル巻きしたものである。また、評価
欄の断線の数値は、100個のコイルの中で断線が発生
したコイルの数を示している。表2から、いずれの実施
例も断線やコイルの巻乱れの点で著しく優れていること
が判る。
【0014】なお、上記実施例1〜4の偏向ヨークコイ
ルは、導線12に自己融着性エナメル線を使用した自己
支持型偏向ヨークコイル14であったが、他の実施例と
して、図4に示すような絶縁層17のみを被覆したエナ
メル線を使用して、セクション(スリット)巻偏向ヨー
クコイル(図示せず)としてもよい。
【0015】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように、少なく
とも1本の巻枠から束ね線を繰り出してコイル巻きすれ
ばよいので巻枠の設置スペースが狭くてすみ、また、テ
ンション調整装置の数を大巾に減らすことができるので
導線の細線化及び多数本化が容易であり、また、束ね線
は撚っていないのでコストが低く、かつコイル巻きした
ときの線詰まりが良好であるという利点を有する。そし
て、束ね線を巻枠に巻回するピッチを束ね線における導
線の並列幅の2倍以上にすると、巻枠から繰り出す導線
がもつれずテンションが一様になり、導線の引伸びや断
線による偏向ヨークコイルの品質の損傷を防止し、ま
た、束ね線を2本〜6本の導線から構成すると、コイル
巻き時の巻き乱れがなく、さらに、導線の導体径を0.
18mm〜0.30mmにすると、偏向ヨークコイルに断線
が生ぜず、高周波電流による発熱が少なくなり、高周波
用偏向ヨークコイルとしての品質を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法において、束ね線を巻回した巻枠
の一実施例を示す説明図である。
【図2】本発明の方法により得られる自己支持型偏向ヨ
ークコイルの一実施例を示す斜視図である。
【図3】上記実施例に使用する導線の断面図である。
【図4】導線の他の実施例を示す断面図である。
【図5】従来の偏向ヨークコイルの製造工程図である。
【図6】従来の撚り線の斜視図である。
【符号の説明】
11 巻枠 12 導線 13 束ね線 d 導体径 n 束ね本数 P 束ね線の巻回ピッ
チ W 導線の並列幅

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数本の導線を扁平に相接するように並
    列してなる束ね線を巻枠に巻回し、該巻枠から束ね線を
    繰り出してコイル巻きして偏向ヨークコイルを製造する
    に際し、束ね線を巻枠に巻回するピッチが、束ね線にお
    ける導線の並列幅の2倍以上であるように巻回し、束ね
    線が巻枠の少なくとも1本から繰り出されることを特徴
    とする偏向ヨークコイルの製造方法。
  2. 【請求項2】 束ね線を巻枠に巻回するピッチが、束ね
    線における導線の並列幅の2.0〜3.4倍である請求
    項1記載の偏向ヨークコイルの製造方法。
  3. 【請求項3】 束ね線が2本〜6本の導線からなる請求
    項1又は2記載の偏向ヨークコイルの製造方法。
  4. 【請求項4】 導線の導体径が0.18mm〜0.30mm
    である請求項1、2又は3記載の偏向ヨークコイルの製
    造方法。
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