JP3114302B2 - 窒化珪素焼結体及びその製造方法 - Google Patents
窒化珪素焼結体及びその製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は窒化珪素焼結体及びその
製造方法に係る。
製造方法に係る。
【0002】
【従来の技術】窒化珪素は耐熱性構造材料として最も広
く実用され、また研究開発が進められている材料であ
る。窒化珪素は難焼結性であるので、Y2O3, Al2O3, MgO
などの焼結助剤を添加し、1700〜1800℃で焼結される。
く実用され、また研究開発が進められている材料であ
る。窒化珪素は難焼結性であるので、Y2O3, Al2O3, MgO
などの焼結助剤を添加し、1700〜1800℃で焼結される。
【0003】また、高強度化、緻密化のために、ホット
プレスを使用した焼結法、HIP(熱間等方加圧)を使
用した焼結法(特公昭62-13310号公報、N2 圧〜2500気
圧)あるいはガス圧焼結法(特公昭62-41191号公報、N
2 圧〜 300気圧)なども採用される。
プレスを使用した焼結法、HIP(熱間等方加圧)を使
用した焼結法(特公昭62-13310号公報、N2 圧〜2500気
圧)あるいはガス圧焼結法(特公昭62-41191号公報、N
2 圧〜 300気圧)なども採用される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】自動車エンジンでは室
温から1000℃までの温度範囲で高強度であることが要求
されるが、従来の窒化珪素焼結体では室温から1000℃ま
での範囲で構造材料として必要な 1000MPa以上の高強度
を実現することができなかった。その理由は、緻密な焼
結体を得るためには焼結助剤の量を多くするか、高温で
焼成する必要があるが、焼結助剤を多くすると粒界相が
厚くなり、また高温で焼結しても粒径が大きくなるため
に、強度が低下し、またその結果粒界も厚くなり、結
局、高温強度が低下するためと考えられる。
温から1000℃までの温度範囲で高強度であることが要求
されるが、従来の窒化珪素焼結体では室温から1000℃ま
での範囲で構造材料として必要な 1000MPa以上の高強度
を実現することができなかった。その理由は、緻密な焼
結体を得るためには焼結助剤の量を多くするか、高温で
焼成する必要があるが、焼結助剤を多くすると粒界相が
厚くなり、また高温で焼結しても粒径が大きくなるため
に、強度が低下し、またその結果粒界も厚くなり、結
局、高温強度が低下するためと考えられる。
【0005】そこで、本発明は、室温から1000℃までの
範囲で 1000MPa以上の高強度を有する窒化珪素焼結体及
びその製造方法を提供することを目的とする。
範囲で 1000MPa以上の高強度を有する窒化珪素焼結体及
びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、窒化珪素に対して総量で3〜8重量%の
Y2O3などの希土類金属酸化物とMgAl2O4 を含み、MgAl 2 O
4 が1〜5重量%含まれ、粒状晶に観察される組織とそ
の中に分散して存在する柱状晶に観察される組織からな
り、柱状晶の平均径及び柱状晶の平均短径が0.2〜0.6
μmであり、かつ密度が理論密度の99%以上であること
を特徴とする窒化珪素焼結体、及び窒化珪素粉末に対し
てY2O3粉末とMgAl2O4 粉末を焼結助剤として総量で3〜
8重量%添加しかつMgAl 2 O 4 が1〜5重量%である均一
混合粉末を成形し、該成形体を1530〜1650℃の範囲内の
温度まで加熱して予備焼結し、次いで該温度範囲内の温
度で圧力を1500気圧以上まで昇圧して本焼結することを
特徴とする窒化珪素焼結体の製造方法を提供する。さら
に、本発明は、Si3N4 粒状晶とSi3N4 柱状晶とを含み、
かつSi3N4 柱状晶同士において結晶粒のめり込みが見ら
れる組織を有することを特徴とする窒化珪素焼結体を提
供する。
に、本発明は、窒化珪素に対して総量で3〜8重量%の
Y2O3などの希土類金属酸化物とMgAl2O4 を含み、MgAl 2 O
4 が1〜5重量%含まれ、粒状晶に観察される組織とそ
の中に分散して存在する柱状晶に観察される組織からな
り、柱状晶の平均径及び柱状晶の平均短径が0.2〜0.6
μmであり、かつ密度が理論密度の99%以上であること
を特徴とする窒化珪素焼結体、及び窒化珪素粉末に対し
てY2O3粉末とMgAl2O4 粉末を焼結助剤として総量で3〜
8重量%添加しかつMgAl 2 O 4 が1〜5重量%である均一
混合粉末を成形し、該成形体を1530〜1650℃の範囲内の
温度まで加熱して予備焼結し、次いで該温度範囲内の温
度で圧力を1500気圧以上まで昇圧して本焼結することを
特徴とする窒化珪素焼結体の製造方法を提供する。さら
に、本発明は、Si3N4 粒状晶とSi3N4 柱状晶とを含み、
かつSi3N4 柱状晶同士において結晶粒のめり込みが見ら
れる組織を有することを特徴とする窒化珪素焼結体を提
供する。
【0007】出発原料としての窒化珪素及び焼結助剤
は、粒径0.6μm以下、より好ましくは0.1〜0.4μm
のものを使用する。出発原料の粒径が大きくなると、焼
結粒子の粒径が大きくなり、強度低下の原因になるから
である。また、純度はSi3N4 で金属不純物総量100ppm以
下、焼結助剤で99.9%以上のものを使用する。不純物が
これより多くなると粒界ガラス相の軟化温度が低下し、
1000℃における強度が低下する。
は、粒径0.6μm以下、より好ましくは0.1〜0.4μm
のものを使用する。出発原料の粒径が大きくなると、焼
結粒子の粒径が大きくなり、強度低下の原因になるから
である。また、純度はSi3N4 で金属不純物総量100ppm以
下、焼結助剤で99.9%以上のものを使用する。不純物が
これより多くなると粒界ガラス相の軟化温度が低下し、
1000℃における強度が低下する。
【0008】焼結助剤として用いる希土類金属酸化物
は、希土類金属すなわち、Sc, Y, La,Ce, Pr, Nd, Pm,
Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb, Lu の酸化物で
あり、これらは同様に作用することが確認される。
は、希土類金属すなわち、Sc, Y, La,Ce, Pr, Nd, Pm,
Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb, Lu の酸化物で
あり、これらは同様に作用することが確認される。
【0009】Si3N4 粉末に対する焼結助剤の添加量は希
土類金属酸化物MgAl2O4 の総量で3〜8wt%とする。焼
結助剤の添加量が少ないと緻密化せず、従って強度も向
上しない。一方、焼結助剤の量が多くなると、緻密焼結
はするが粒界ガラス相が増加し、高温強度が低下するか
らである。また、焼結助剤の希土類金属酸化物とMgAl2O
4 との割合は、限定するわけではないが重量比で1:1
〜4:1が好ましい。この範囲内で、容易に緻密化、高
強度化が達成されるからである。
土類金属酸化物MgAl2O4 の総量で3〜8wt%とする。焼
結助剤の添加量が少ないと緻密化せず、従って強度も向
上しない。一方、焼結助剤の量が多くなると、緻密焼結
はするが粒界ガラス相が増加し、高温強度が低下するか
らである。また、焼結助剤の希土類金属酸化物とMgAl2O
4 との割合は、限定するわけではないが重量比で1:1
〜4:1が好ましい。この範囲内で、容易に緻密化、高
強度化が達成されるからである。
【0010】出発粉末の成形は常法により行なうことが
できる。すなわち、典型的には、均一混合粉末を加圧成
形する。
できる。すなわち、典型的には、均一混合粉末を加圧成
形する。
【0011】次いで、焼成するが、本発明では焼成温度
を1530〜1650℃の範囲内として、従来の常圧焼結温度17
00〜1800℃、あるいは特公昭62-13310号公報のHIP焼
結温度1700〜1900℃より低い焼結温度を採用することを
特徴としている。すなわち、従来は、常圧焼結温度とし
て1700〜1800℃が採用されるが、この温度では焼結体が
充分に緻密化せず、理論密度の99%に達する高密度の焼
結体を得ることはできなかった。そこで、高温で充分に
焼結させるために、Si3N4 の熱分解を抑制すべく高圧を
かけて焼成する方法(HIP) が利用されている。このよう
なHIP法によれば焼結が進み、理論密度の99%以上の
高密度の焼結体を得ることも可能である。しかしなが
ら、高温で焼結されるため、粒径も成長し、強度が所望
の様に向上しないという問題があった。
を1530〜1650℃の範囲内として、従来の常圧焼結温度17
00〜1800℃、あるいは特公昭62-13310号公報のHIP焼
結温度1700〜1900℃より低い焼結温度を採用することを
特徴としている。すなわち、従来は、常圧焼結温度とし
て1700〜1800℃が採用されるが、この温度では焼結体が
充分に緻密化せず、理論密度の99%に達する高密度の焼
結体を得ることはできなかった。そこで、高温で充分に
焼結させるために、Si3N4 の熱分解を抑制すべく高圧を
かけて焼成する方法(HIP) が利用されている。このよう
なHIP法によれば焼結が進み、理論密度の99%以上の
高密度の焼結体を得ることも可能である。しかしなが
ら、高温で焼結されるため、粒径も成長し、強度が所望
の様に向上しないという問題があった。
【0012】これに対して、本発明は、驚くことに、15
00気圧以上の高圧を利用する場合には、従来Si3N4 が焼
結しないと考えられていた1530〜1650℃の低い温度でも
焼結が進行し、理論密度の99%以上、さらには99.5%以
上の高密度のSi3N4 焼結体を得ることができること、ま
たこのように低温高圧下で焼結した場合には粒成長が抑
えられるため1000℃で 1000MPa以上という高強度の発現
も可能になるということを発見して為されたものであ
る。従来より、窒化珪素の一般的焼結温度として1600℃
以上であることが言及されることはあったが、実際に16
00℃でSi3N4 焼結体を作製した例はなく、仮に1600℃で
焼結されたとしても、得られる焼結体の密度は極めて低
いものとならざるを得ないことが、当業者の常識であ
る。また、前述の如く、HIP法を採用する理由は、よ
り高温であるいはより長時間焼結してより緻密な焼結体
を得るためにSi3N4 及び酸化物助剤の熱分解を防止する
ことにあるから、HIP処理を採用しながら、なおかつ
焼成温度を1700℃より低くしようということは、当業者
の常識では考えられないことであった。本発明者は、あ
えてこれを行ない、上記の如く驚くべき知見を得て、本
発明に到達したものである。
00気圧以上の高圧を利用する場合には、従来Si3N4 が焼
結しないと考えられていた1530〜1650℃の低い温度でも
焼結が進行し、理論密度の99%以上、さらには99.5%以
上の高密度のSi3N4 焼結体を得ることができること、ま
たこのように低温高圧下で焼結した場合には粒成長が抑
えられるため1000℃で 1000MPa以上という高強度の発現
も可能になるということを発見して為されたものであ
る。従来より、窒化珪素の一般的焼結温度として1600℃
以上であることが言及されることはあったが、実際に16
00℃でSi3N4 焼結体を作製した例はなく、仮に1600℃で
焼結されたとしても、得られる焼結体の密度は極めて低
いものとならざるを得ないことが、当業者の常識であ
る。また、前述の如く、HIP法を採用する理由は、よ
り高温であるいはより長時間焼結してより緻密な焼結体
を得るためにSi3N4 及び酸化物助剤の熱分解を防止する
ことにあるから、HIP処理を採用しながら、なおかつ
焼成温度を1700℃より低くしようということは、当業者
の常識では考えられないことであった。本発明者は、あ
えてこれを行ない、上記の如く驚くべき知見を得て、本
発明に到達したものである。
【0013】そこで、本発明では、1530〜1650℃、特に
1600℃未満の温度で焼成する事を特徴としているが、直
ちに高圧にすると焼結体内の気孔の圧力も高くなって、
緻密化しないので、最初に低圧下で予備焼結させる。予
備焼結の圧力はSi3N4 が熱分解しない限り、低い圧力が
望ましいが、減圧下ではSi3N4 が熱分解し易いので、一
般的には1気圧N2 雰囲気で行なう。ただし、この予備
焼結もHIP装置内で行なうことが都合がよい関係上、
実際の圧力は1〜30気圧位になるであろう。要は、本焼
結の1500気圧以上に対して低い圧力、常圧付近であれば
よい。
1600℃未満の温度で焼成する事を特徴としているが、直
ちに高圧にすると焼結体内の気孔の圧力も高くなって、
緻密化しないので、最初に低圧下で予備焼結させる。予
備焼結の圧力はSi3N4 が熱分解しない限り、低い圧力が
望ましいが、減圧下ではSi3N4 が熱分解し易いので、一
般的には1気圧N2 雰囲気で行なう。ただし、この予備
焼結もHIP装置内で行なうことが都合がよい関係上、
実際の圧力は1〜30気圧位になるであろう。要は、本焼
結の1500気圧以上に対して低い圧力、常圧付近であれば
よい。
【0014】典型的には、予備焼結は、1気圧付近のN
2 雰囲気下、0.5〜10℃/分程度の昇温速度で1530〜16
50℃の範囲内の温度まで昇温して行なう。昇温プロフィ
ルは所望に変更できる。予備焼結の終点の1つのメドは
理論密度の90%程度である。1530〜1650℃の範囲内の温
度に到達したら、次に圧力を5〜20気圧/分程度の昇圧
速度で1500気圧以上まで昇圧し、その圧力に保持して本
焼結を行なう。本焼結の圧力は1500気圧以上、典型的に
は1500〜2500気圧である。1500気圧未満では焼結体の10
00℃強度が低下するからである。高圧側は装置の問題が
なければ、特に上限はない。
2 雰囲気下、0.5〜10℃/分程度の昇温速度で1530〜16
50℃の範囲内の温度まで昇温して行なう。昇温プロフィ
ルは所望に変更できる。予備焼結の終点の1つのメドは
理論密度の90%程度である。1530〜1650℃の範囲内の温
度に到達したら、次に圧力を5〜20気圧/分程度の昇圧
速度で1500気圧以上まで昇圧し、その圧力に保持して本
焼結を行なう。本焼結の圧力は1500気圧以上、典型的に
は1500〜2500気圧である。1500気圧未満では焼結体の10
00℃強度が低下するからである。高圧側は装置の問題が
なければ、特に上限はない。
【0015】こうして、本発明の方法により低温高圧焼
結された窒化珪素焼結体は、Si3N4 結晶粒の粒成長を抑
制したままで緻密に焼結し、理論密度の99%以上、さら
には99.5%以上の高密度で、かつ1000℃での4点曲げ強
度が 1000MPa以上の高強度を発現する。本発明者は、従
来、99%以上の相対密度で 1000MPa以上の1000℃に於け
る強度を実現した窒化珪素焼結体を知らない。
結された窒化珪素焼結体は、Si3N4 結晶粒の粒成長を抑
制したままで緻密に焼結し、理論密度の99%以上、さら
には99.5%以上の高密度で、かつ1000℃での4点曲げ強
度が 1000MPa以上の高強度を発現する。本発明者は、従
来、99%以上の相対密度で 1000MPa以上の1000℃に於け
る強度を実現した窒化珪素焼結体を知らない。
【0016】なお、本発明の方法により得られる窒化珪
素焼結体中の窒化珪素粒子は、図1のSEM写真に見ら
れるように一般的な粒状晶に観察される組織と、その中
に分散して存在する柱状晶に観察される組織とからなる
が、粒状晶の平均径及び柱状晶の平均短径はいずれも0.
2〜0.6μm、さらには0.2〜0.4μm、柱状晶の平均
長径は1〜4μm、さらには1〜3μmであり、これは
従来法(HIP) による焼結体の場合(図2)のほぼ1/3
の大きさである。このように結晶粒径が小さいことによ
り、高温強度を低下させる粒界相が極めて薄くなり、特
に粒界3重点が小さくなっていることが観察されたの
で、このために高温強度が改善されるものと考えられ
る。
素焼結体中の窒化珪素粒子は、図1のSEM写真に見ら
れるように一般的な粒状晶に観察される組織と、その中
に分散して存在する柱状晶に観察される組織とからなる
が、粒状晶の平均径及び柱状晶の平均短径はいずれも0.
2〜0.6μm、さらには0.2〜0.4μm、柱状晶の平均
長径は1〜4μm、さらには1〜3μmであり、これは
従来法(HIP) による焼結体の場合(図2)のほぼ1/3
の大きさである。このように結晶粒径が小さいことによ
り、高温強度を低下させる粒界相が極めて薄くなり、特
に粒界3重点が小さくなっていることが観察されたの
で、このために高温強度が改善されるものと考えられ
る。
【0017】また、図3に示す写真は後記の実施例の試
料No.1の透過型電子顕微鏡(TEM)観察写真である
が、驚くべきことに、焼結体中のSi3N4 柱状晶同士が相
互にめり込んで結合していることが認められる。本発明
の焼結体においては、粒異相が極めて薄く、粒界三重点
が小さいが、さらに上記の如く結晶粒間のめり込みが強
度、特に1000℃強度を従来のSi3N4 焼結体より著しく高
める理由と考えられる。
料No.1の透過型電子顕微鏡(TEM)観察写真である
が、驚くべきことに、焼結体中のSi3N4 柱状晶同士が相
互にめり込んで結合していることが認められる。本発明
の焼結体においては、粒異相が極めて薄く、粒界三重点
が小さいが、さらに上記の如く結晶粒間のめり込みが強
度、特に1000℃強度を従来のSi3N4 焼結体より著しく高
める理由と考えられる。
【0018】ここに、柱状晶間のめり込みとは、通常の
Si3N4 焼結体中のSi3N4 粒子が滑らかな(直線的な)界面
で粒界相を介し他のSi3N4 粒子と接触しているのに対
し、Si 3N4 粒子が厚さ1nm程度の粒界相と共に他のSi3N
4 粒子の中に入り込んで同一の曲面を持ち接触している
形態を示し、そのめり込みの深さは約10nm以上で、T
EMで観察したとき全長が観察できる粒子において少な
くとも1箇所以上はその接触形態が観察できる状態をい
う。これは従来見られなかった組織である。
Si3N4 焼結体中のSi3N4 粒子が滑らかな(直線的な)界面
で粒界相を介し他のSi3N4 粒子と接触しているのに対
し、Si 3N4 粒子が厚さ1nm程度の粒界相と共に他のSi3N
4 粒子の中に入り込んで同一の曲面を持ち接触している
形態を示し、そのめり込みの深さは約10nm以上で、T
EMで観察したとき全長が観察できる粒子において少な
くとも1箇所以上はその接触形態が観察できる状態をい
う。これは従来見られなかった組織である。
【0019】焼結体中のSi3N4 柱状晶同士をめり込んで
結合させるには、1500気圧以上の高圧をかけることが必
要である。さらに、粒子が細かければ細かいほど単位体
積当たりのめり込んだ結合が密になり効果が大きく、例
えば後出比較例試料No.14 のように、焼成温度が高くな
ると粒子が大きくなり、効果が充分には得られなくな
る。
結合させるには、1500気圧以上の高圧をかけることが必
要である。さらに、粒子が細かければ細かいほど単位体
積当たりのめり込んだ結合が密になり効果が大きく、例
えば後出比較例試料No.14 のように、焼成温度が高くな
ると粒子が大きくなり、効果が充分には得られなくな
る。
【0020】高圧をかけるとSi3N4 結晶同士がめり込む
理由はSi3N4 の結晶方位に硬い面と柔らかい面があり、
予備焼結後に高圧をかけることによって硬い結晶方位の
粒子が柔らかい結晶方位の粒子を変形させながら入り込
むことによって生じると推定できる。
理由はSi3N4 の結晶方位に硬い面と柔らかい面があり、
予備焼結後に高圧をかけることによって硬い結晶方位の
粒子が柔らかい結晶方位の粒子を変形させながら入り込
むことによって生じると推定できる。
【0021】
【作用】1500気圧以上の高圧をかけることにより1650℃
以下の低い温度でSi3N4 を緻密に焼結することができ、
粒成長を抑制し、粒界相の厚さを薄くでき、その結果、
高密度、高強度、高硬度の焼結体が得られる。
以下の低い温度でSi3N4 を緻密に焼結することができ、
粒成長を抑制し、粒界相の厚さを薄くでき、その結果、
高密度、高強度、高硬度の焼結体が得られる。
【0022】
【実施例】Si3N4 粉末(平均粒径0.2μm、金属不純物
総量 30ppm、α化率ほぼ 100%)に焼結助剤としてY2O3
粉末(平均粒径0.3μm、純度99.9%)、MgAl2O4 粉末
(平均粒径0.3μm、純度99.9%)の添加量を表1に示
すような組成で混合(Si3N4 製ボールミル)した各種粉
末を200Kgf/cm2 の圧力で加圧成形し、その成形体を薄
ゴムにつめ真空封入後CIPにて 3000Kgf/cm2 の圧力
で加圧後、この成形体を表1に示す条件でN2 雰囲気中
の炉内で焼結させた。昇温速度は5℃/min、最高温度
に到達するまでは1atm のN2 雰囲気下で、最高温度到
達後に表1に示す条件まで毎分 15atmの昇圧速度で加圧
した。また、最高温度での保持時間は4時間とした。こ
の昇温、昇圧プロファイルを図4に示す。
総量 30ppm、α化率ほぼ 100%)に焼結助剤としてY2O3
粉末(平均粒径0.3μm、純度99.9%)、MgAl2O4 粉末
(平均粒径0.3μm、純度99.9%)の添加量を表1に示
すような組成で混合(Si3N4 製ボールミル)した各種粉
末を200Kgf/cm2 の圧力で加圧成形し、その成形体を薄
ゴムにつめ真空封入後CIPにて 3000Kgf/cm2 の圧力
で加圧後、この成形体を表1に示す条件でN2 雰囲気中
の炉内で焼結させた。昇温速度は5℃/min、最高温度
に到達するまでは1atm のN2 雰囲気下で、最高温度到
達後に表1に示す条件まで毎分 15atmの昇圧速度で加圧
した。また、最高温度での保持時間は4時間とした。こ
の昇温、昇圧プロファイルを図4に示す。
【0023】これらの焼結体の室温4点曲げ強度(JIS R
1601)、高温4点曲げ強度(JIS R 1604 、大気中)を測
定して表1に示す結果を得た。焼結体の相対密度はn−
ブタノール置換法で求めた嵩密度を理論密度で除して得
た値である。残部は気孔率であるが、光学顕微鏡による
鏡面研磨面の観察結果からも裏付けられた。
1601)、高温4点曲げ強度(JIS R 1604 、大気中)を測
定して表1に示す結果を得た。焼結体の相対密度はn−
ブタノール置換法で求めた嵩密度を理論密度で除して得
た値である。残部は気孔率であるが、光学顕微鏡による
鏡面研磨面の観察結果からも裏付けられた。
【0024】図1に試料No.1のSEM写真を示す。この
場合、柱状晶の平均径は長径が2μm,短径が0.3μ
m,粒状晶の平均径は0.2μmであった。図3に試料
No.1のTEM写真を示す。前記の如く、柱状晶同士のめ
り込みが観察される。
場合、柱状晶の平均径は長径が2μm,短径が0.3μ
m,粒状晶の平均径は0.2μmであった。図3に試料
No.1のTEM写真を示す。前記の如く、柱状晶同士のめ
り込みが観察される。
【0025】
【表1】
【0026】比較のために、上記実施例と同様な方法で
成形したのち、この成形体を表2に示す条件でN2 雰囲
気の炉内焼結させ、表2の結果を得た。
成形したのち、この成形体を表2に示す条件でN2 雰囲
気の炉内焼結させ、表2の結果を得た。
【0027】
【表2】
【0028】図2に試料No.14 のSEM写真を示す。実
施例の試料No.1及び比較例試料No.11 の焼結体組織をT
EMにて詳細に観察した結果、β−Si3N4 の粒子径はほ
ぼ同じであるが試料No.1は本発明の製造法によりβ−Si
3N4 粒子がより一層緻密に充填され、高温強度を低下さ
せる粒界相が極めて薄くなり、特に粒界3重点が小さく
なっていることが観察できた。その結果、高温曲げ強度
が改善されたものと考えられる。
施例の試料No.1及び比較例試料No.11 の焼結体組織をT
EMにて詳細に観察した結果、β−Si3N4 の粒子径はほ
ぼ同じであるが試料No.1は本発明の製造法によりβ−Si
3N4 粒子がより一層緻密に充填され、高温強度を低下さ
せる粒界相が極めて薄くなり、特に粒界3重点が小さく
なっていることが観察できた。その結果、高温曲げ強度
が改善されたものと考えられる。
【0029】また、焼結体のビッカース硬度を測定した
ところ、下記の結果を得た。 実施例 試料No.1 Hv=1850kg/mm2 比較例 試料No.11 Hv=1450kg/mm2
ところ、下記の結果を得た。 実施例 試料No.1 Hv=1850kg/mm2 比較例 試料No.11 Hv=1450kg/mm2
【0030】上記のごとく、β−Si3N4 が従来より一層
緻密に充填された結果、硬度が高くなったものである。
なお、表1と表2を比較すると、実施例の焼結体は室温
強度も極めて高いことが注目される。
緻密に充填された結果、硬度が高くなったものである。
なお、表1と表2を比較すると、実施例の焼結体は室温
強度も極めて高いことが注目される。
【0031】次に、上記実施例において、Y2O3粉末に代
えて、Yb2O3(平均粒径0.5μm、純度99.9%)、
La2O3(平均粒径0.6μm、純度99.9%)、CeO2
(平均粒径0.5μm、純度99.9%)、Sm2O3(平均
粒径0.8μm、純度99.9%)、Sc2O3(平均粒径
0.3μm、純度99.9%)及びY2O3の各粉末を単独
で又は組合せて用い、表3〜5に示す条件で上記実施例
の操作及び試験を繰り返した。
えて、Yb2O3(平均粒径0.5μm、純度99.9%)、
La2O3(平均粒径0.6μm、純度99.9%)、CeO2
(平均粒径0.5μm、純度99.9%)、Sm2O3(平均
粒径0.8μm、純度99.9%)、Sc2O3(平均粒径
0.3μm、純度99.9%)及びY2O3の各粉末を単独
で又は組合せて用い、表3〜5に示す条件で上記実施例
の操作及び試験を繰り返した。
【0032】結果を表3〜5に示す。焼結助剤としてY2
O3に代えて希土類金属酸化物を用いてもY2O3と同様の効
果が奏せられている。
O3に代えて希土類金属酸化物を用いてもY2O3と同様の効
果が奏せられている。
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
【表5】
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、自動車エンジン等に好
適な、理論密度の99%以上の高密度でかつ1000℃強度が
1000MPa以上という高強度の窒化珪素焼結体が得られ
る。
適な、理論密度の99%以上の高密度でかつ1000℃強度が
1000MPa以上という高強度の窒化珪素焼結体が得られ
る。
【図1】実施例の窒化珪素焼結体の結晶組織を示す図面
に代る電子顕微鏡写真(SEM) である。
に代る電子顕微鏡写真(SEM) である。
【図2】比較例の窒化珪素焼結体の結晶組織を示す図面
に代る電子顕微鏡写真(SEM) である。
に代る電子顕微鏡写真(SEM) である。
【図3】実施例の窒化珪素焼結体の結晶組織を示す図面
に代る電子顕微鏡写真(TEM) である。
に代る電子顕微鏡写真(TEM) である。
【図4】実施例の焼成プロファイルを示す図である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/584
Claims (3)
- 【請求項1】 窒化珪素に対して総量で3〜8重量%の
希土類金属酸化物とMgAl2O4 を含み、MgAl 2 O 4 が1〜5
重量%含まれ、粒状晶に観察される組織とその中に分散
して存在する柱状晶に観察される組織からなり、粒状晶
の平均径及び柱状晶の平均短径が0.2〜0.6μmであ
り、かつ密度が理論密度の99%以上であることを特徴と
する窒化珪素焼結体。 - 【請求項2】 Si3N4 柱状晶同士において結晶粒のめり
込みが見られる組織を有することを特徴とする請求項1
記載の窒化珪素焼結体。 - 【請求項3】 窒化珪素粉末に対して希土類金属酸化物
粉末とMgAl2O4 粉末を焼結助剤として総量で3〜8重量
%添加しかつMgAl 2 O 4 が1〜5重量%である均一混合粉
末を成形し、 該成形体を1530〜1650℃の範囲内の温度まで加熱して予
備焼結し、次いで該温度範囲内の温度で圧力を1500気圧
以上まで昇圧して本焼結することを特徴とする窒化珪素
焼結体の製造方法。
Applications Claiming Priority (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33362490 | 1990-11-30 | ||
JP20557991 | 1991-07-23 | ||
JP2-333624 | 1991-07-23 | ||
JP3-205579 | 1991-07-23 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0578175A JPH0578175A (ja) | 1993-03-30 |
JP3114302B2 true JP3114302B2 (ja) | 2000-12-04 |
Family
ID=26515139
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP03335523A Expired - Fee Related JP3114302B2 (ja) | 1990-11-30 | 1991-11-26 | 窒化珪素焼結体及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3114302B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3281927B1 (en) * | 2015-04-07 | 2020-02-19 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Silicon nitride sintered body and high-temperature-resistant member using the same |
-
1991
- 1991-11-26 JP JP03335523A patent/JP3114302B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0578175A (ja) | 1993-03-30 |
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