JP3107286B2 - 内装部材の製造方法 - Google Patents

内装部材の製造方法

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  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、端縁部が裏側に折
り返された内装部材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば基材の表面に表皮層が積層されて
いる合成樹脂シート材を単に切断したままでは、切断面
に基材が露出するので、車両用を初め建物などの内装部
材には好まれない。このため、従来はシート材を所定形
状に成形したのち、その端縁部をそのまま裏側に折り返
すか、表皮層を基材からはみ出すように、基材を切断
し、そのはみ出した部分のみを基材の裏側に折り返し
て、基材の切断面を視界から隠蔽している。
【0003】しかしながら、シート材の端縁部をそのま
ま折り返したり、はみ出し部分のみを折り返す方法は手
間のかかる作業であり、基材が硬質の場合は困難とな
る。このためシート材の賦形と同時に端縁を折り返すこ
とが試みられているが、折り返し部分がアンダーカット
となるため成形型が複雑となり、かつ賦形と折り返しの
ために、少なくとも上下左右の2つの方向に型を移動さ
せなければならない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来の欠点を除去した内装部材の製造方法を提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、加熱軟化された合成樹脂シート材を、その
表面が雌型の成形面に対向するように、雄型と雌型の間
に配置した後、雄型と雌型の型締めを開始し、先ず前記
合成樹脂シート材の外周部を、雌型に設けられた切断刃
と、雄型に隣接して配置された切断刃受け台との協働作
用により切断し、次いで、外周部の切断された合成樹脂
シート材の端縁部を、雌型に形成され、かつ当該雌型の
内部側に突出する凸状成形面により雄型の凹所に向け加
圧して雄型の内部側へ曲折成形すると共に、合成樹脂シ
ート材を所定の形状に賦形することを特徴とする内装部
材の製造方法を提案する。
【0006】
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態例を図面を参照
しながらその詳細を説明する。図1乃至図5は本発明の
一つの実施形態例を示すものであり、成形型の型締めの
過程を順を追って説明するための要部断面図である。
【0008】図1は成形型の断面図であり、この成形型
は、雌型1、その下方に配置された雄型2、及びその雄
型2の周囲に隣接して配置された切断刃受け台3とを有
し、この受け台3は、雄型2とは独立して上下方向に移
動可能に支持されている。
【0009】雌型1は、後述するように成形された内装
部材の端縁部を除く内装部材本体の表面に対応する形状
の成形面11と、その成形面11の周縁に連なり、下方
に向けて湾曲形成された凹状の成形面12と、その凹状
の成形面12から斜め外側に連なり、下方に突出した切
断刃13とを備えている。そして、凹状の成形面12と
切断刃13との間に、雌型1の内部側に突出する凸状成
形面14が形成されている。この凸状成形面14は、雌
型1と雄型2の後述する型締め方向に延びる雌型1の内
周面に形成され、かつその型締め方向に対して直交する
方向に雌型1の内部中心側へ向けて突出している。
【0010】一方、雄型2は、成形された内装部材本体
の裏面に対応する形状の成形面21と、その成形面21
の周縁に連なり、下方に向けて湾曲形成された凸状の成
形面22と、その凸状の成形面22の下方に連なる凹所
23とを備えている。凹所23は、雌型1と雄型2の型
締め方向に延びる雄型2の外周面に形成され、かつその
型締め方向に対して直交する方向に雄型2の内部中心側
へ向けてくぼんだ状態に形成されている。
【0011】雌型1の凹状の成形面12は、後述するよ
うに成形された内装部材の曲折された端縁部外表面に対
応する形状に形成され、雄型2の凸状の成形面22は、
成形された内装部材の曲折された端縁部の裏面(内面)
に対応する形状に形成されている。
【0012】図2は、基材42の表面に表皮層41が貼
着され、加熱により軟化された合成樹脂シート材4を、
表皮層41が雌型1の成形面11に対向するように、雄
型2の成形面21上に装着したときの成形型の要部断面
図である。この状態で、合成樹脂シート材4は、その外
周部が雄型2の周囲に設けられた切断刃受け台3上に載
置される。
【0013】上述のように、加熱軟化された合成樹脂シ
ート材4を、その表面が雌型1の成形面11に対向する
ように、雄型2と雌型1の間に配置する。しかる後、図
3に示すように雌型1を下降させて雄型2と雌型1の型
締めを開始し、先ず合成樹脂シート材4の外周部を、雌
型1に設けられた切断刃13と、雄型2に隣接して配置
された切断刃受け台3との協働作用により所定の形状に
切断する。図3はこのときの成形型の様子を示す要部断
面図である。その際、切断刃受け台3の上の刃受け面
を、雄型2の凸状の成形面22の上面よりやや下方に位
置させ、合成樹脂シート材4の外周部をわずか垂れ下げ
ると、これを正確な形状に切断することができるので好
ましい。
【0014】次に、図4に示すように、雌型1を切断刃
受け台3と共に、さらに下降させ、すでに切断刃13に
よって外周部が切断されている合成樹脂シート材4の端
縁部を、雌型1の凸状成形面14と雄型2の凸状の成形
面22との間の狭い間隙で、順次一時的にしごきながら
圧縮し、合成樹脂シート材4の端縁部を雄型2の凹所2
3に向けて加圧する。
【0015】このとき、型締めの過程で、雌型1の凹状
の成形面12と切断刃13との間に位置し、成形型の内
部側に突出する凸状成形面14と、雄型2の凸状の成形
面22とが最も近接したときの両者間の距離は、成形す
る合成樹脂シート材の種類、軟化状態、膨張状態等や凸
部の形状、表皮材の有無などにより異なるが、一般に成
形前の合成樹脂シート材の厚さの1/2〜1/30程度
である。特に好ましいのは1/5〜1/20の範囲であ
る。両者が極端に接近するとシート材が切断することが
あり、離れすぎるとしごきの効果が発揮されない。この
例では、雌型1の凸状成形面14と雄型2の凸状の成形
面22とがすれ違うとき、成形前の合成樹脂シート材4
の厚さの1/10にまで接近するようになっている。こ
のため、合成樹脂シート材4の端縁部は雌型1と雄型2
によって保持された状態で型締めが進行し、合成樹脂シ
ート材4の端縁部は、延伸されてその端末に向けて厚さ
が徐々に薄くなる。
【0016】その際、表皮層41より滑りの悪い基材4
2の裏面が雄型2の凸状の成形面22に面していること
と、雄型2の凸状の成形面22の曲率半径が雌型1の凸
状成形面14の曲率半径よりも小さく設定されているこ
とによって、しごき効果がさらに発揮され、合成樹脂シ
ート材4の端縁部が雌型1の凸状成形面14によって雄
型2の凹所23に加圧されて雄型2の内部側に曲げられ
る。このように、雄型2の凸状の成形面22の曲率半径
を、雌型1の凸状成形面14の曲率半径より小さくして
おくと、合成樹脂シート材4の端縁部に対するしごき効
果が特に高められ、合成樹脂シート材4の端縁部を効果
的に雄型2の凹所23に押し込み、その端縁部を効果的
に曲げることができる。
【0017】図5は図4に示した状態から、さらに雌型
1を下降させて、型締めの最終段階に至ったときの成形
型の断面図である。このとき、外周部の切断された合成
樹脂シート材4の端縁部は、雌型1に形成され、かつ当
該雌型1の内部側に突出した凸状成形面14によって、
雄型2の凹所23に向けて加圧され、雄型2の内部側へ
曲折成形されていると共に、合成樹脂シート材4は、雌
型1と雄型2とにより、所定の形状に賦形されている。
すなわち、合成樹脂シート材4の端縁部は、雌型1と雄
型2の型締め方向に対して直交する向きに雌型1の内部
側に突出した凸状成形面14によって、同じく型締め方
向に対して直交する向きに雄型2の内部側にへこんだ凹
所23に加圧されて曲折成形されるのである。成形型が
所定の型締めの最終位置にあるとき、雌型1の凸状成形
面14は、雄型2の凹所23に対向している。
【0018】所定の冷却時間を経た後、雌型1を上昇さ
せて成形型を開放することにより、成形された内装部材
が得られる。合成樹脂シート材4の端縁部の端末は、雄
型2の凸状の成形面22よりも、雄型2の内部側にあ
り、アンダーカットとなるが、薄くなっているので型開
きには支障はない。このように、内装部材の裏面側へ折
り返された端縁部は、内装部材本体外周より内部側にあ
り、その厚さは端末に向けて漸減している。すなわち、
完成した内装部材の端縁部は、その端縁部を除く内装部
材本体から90゜を超えて折り返されていることにな
る。
【0019】上述のようにして、雄型2と雌型1との間
に配置された合成樹脂シート材4を、雄型2と雌型1の
型締めによって所定の形状に賦形しながら、当該合成樹
脂シート材4の端縁部を、雌型1に形成され、かつ当該
雌型1の内部側に向けて突出する凸状成形面14により
雄型2の凹所23に向け加圧して雄型2の内部側へ曲折
成形することにより、裏面側へ折り返された端縁部を形
成して成る内装部材を得ることができるのである。この
ようにして端末の切断面が露出せず、従って見栄えがよ
く、さらには折り返しにより端縁部の剛性を向上させた
内装部材を、簡単かつ低コストで製造することができ
る。複雑な成形型や複雑な工程は不要である。
【0020】また、上述した内装部材の製造方法によれ
ば、合成樹脂シート材のトリミング、賦形、及び端縁部
折り返しの3工程を、一つの方向での型締め型開きから
成る単純な工程で実施することができ、型製造費を含め
て、内装部材の製造コストを低廉にすることができる。
かかる簡単な工程で、端末の切断面が露出しない見栄え
のよい内装部材を製造できるのである。
【0021】図6乃至図9は別の実施形態例であって、
内装部材の一例である車両用の一体成形天井を製造する
方法を説明する図である。
【0022】図6は成形天井5の一例を説明するために
一部を切欠いて断面で示した、車両の屋根側から見た斜
視図である。成形天井の中央部はほぼ平坦であるが、周
囲は車両屋根形状に倣って斜め外側に垂れ下がってい
る。そして成形天井は、室内側に装飾用の表皮層が貼着
された基材により一体に成形されている。このような成
形天井は、従来、例えばその3辺において、端末で基材
が乗員の視界から隠蔽するために、2工程以上を費やし
て端縁部51を折り返していた。これに対し、以下に説
明する実施形態例では、合成樹脂シート材のトリミン
グ、賦形、折り返しを1工程の成形で実施することがで
きる。
【0023】図7は、加熱軟化された、基材42の表面
に表皮層41が貼着された合成樹脂シート材4が、雄型
2の成形面21上に載置された状態での成形型の要部断
面図である。前記したように天井の周囲が斜めに垂れ下
がっているので、成形天井5の室内側、すなわち合成樹
脂シート材4の表皮層41側を上向きで成形するとき、
雌型1、雄型2の端縁近くの成形面11,21は、外側
に向かって高くなるように傾斜している。
【0024】図8は、図7の状態から雌型1を降下させ
て、雌型1の切断刃13と切断刃受け台3とで、合成樹
脂シート材4の外周部を切断した状態を示す成形型の要
部断面図である。前記の実施形態例の場合と同様に、切
断刃受け台3の上の刃受け面は、雄型2の凸状の成形面
22の上面よりやや下方に位置させ、合成樹脂シート材
4の外周部をわずか垂れ下がるようにシート材4を配置
すると、正確な形状に切断することができる。
【0025】図9は、図8の状態から雌型1を、切断刃
受け台3と共にさらに下降させた型締めの最終段階を示
す成形型の要部断面図である。合成樹脂シート材4の端
縁部は、雌型1の凸状成形面14と雄型の凸状の成形面
22との間の狭い間隙で、順次一時的にしごかれながら
圧縮され、延伸されて端末に向けて厚さが徐々に薄くな
るとともに、合成樹脂シート材4の端末は、端縁部を除
くシート材本体の外周より内側にある。このようにして
製造された成形天井5の場合、その端縁部51は中央の
平坦な本体部分から90゜を超えて折り返されていて、
成形天井5の周囲に傾斜部分から見れば、端縁部51が
180゜近く折り返されていることになる。
【0026】このようにして成形天井5を製造すると、
端末で基材が露出しないので見栄えがよくなるのみなら
ず、折り返しで天井周囲の強度が向上するほか、車両へ
の取り付けが容易となる。なお、この成形天井5の場
合、その端縁部51の3辺を折り返しているが、天井の
周囲全体を折り返すことも可能であり、成形天井のみな
らず、各種内装材の製造に適用することができる。
【0027】上述した各実施形態例の成形型において、
その成形面に排気孔を開口して真空成形機能を併設する
と、成形面の模様を忠実に転写できるほか、成形品の形
状を安定化することができる。なお、真空成形機能を働
かせなくとも、型内の残留空気を排気孔から逃すことが
できるので好ましい。
【0028】また、この発明で使用される合成樹脂シー
ト材としては、基材単独でもよいが、前述の実施形態例
において示したように、基材の表面に表皮層が貼着され
ているもの、或いは裏面に裏打ち層が貼着されているも
のでもよい。基材としては、熱可塑性合成樹脂シート、
未硬化の熱硬化性合成樹脂シートなどが挙げられる。好
ましい材料としては、汎用の熱可塑性合成樹脂に、ガラ
ス繊維を混入した材料がある。さらにポリプロピレン樹
脂に水中で抄紙法によりガラス繊維を分散させた材料
は、乾式の混練機でガラス繊維を分散させた材料に比べ
て、分散が均一でかつ繊維長が長いので、成形品の機械
的強度が向上するので特に好ましい。この材料は、加熱
時に厚さが膨張し、かつ成形時に元の厚さ以上に圧縮す
ることもできるので、部分的に厚さの異なった成形品を
製造することができる。
【0029】
【発明の効果】請求項1に記載の内装部材の製造方法に
よれば、合成樹脂シート材のトリミング、賦形及び端縁
部折り返しの3工程を、一つの方向での型締め型開きか
らなる単純な1工程で実施することができ、型製造費を
含めて、内装部材の製造コストを低廉にすることができ
る。かかる簡単な工程で、端末の切断面が露出しない、
見栄えのよい内装部材を製造することができるのであ
る。
【0030】
【図面の簡単な説明】
【図1】成形型の要部断面図である。
【図2】図1の成形型に、合成樹脂シート材を装着した
要部断面図である。
【図3】図2に示した状態から、雌型を下降させ切断刃
で合成樹脂シート材の外周部を切断したときの成形型の
要部断面図である。
【図4】図3に示した状態から、さらに雌型を下降さ
せ、合成樹脂シート材の端縁部を、雌型の凸状成形面と
雄型の凸状の成形面との間の狭い間隙で、順次一時的に
しごきながら圧縮している状態を説明する成形型の要部
断面図である。
【図5】図4に示した状態から、さらに雌型を下降させ
て、型締めの最終段階に至ったときの成形型の要部断面
図である。
【図6】成形天井の一例を説明するために一部を切欠い
て断面で示した、車両の屋根側から見た斜視図である。
【図7】合成樹脂シート材が、雄型の成形面上に載置さ
れた状態での別の成形型の要部断面図である。
【図8】図7の状態から雌型を降下させて、合成樹脂シ
ート材を所定形状に切断した状態を示す成形型の要部断
面図である。
【図9】図8の状態から雌型をさらに下降させた型締め
の最終段階を示す成形型の要部断面図である。
【符号の説明】
1 雌型 2 雄型 3 切断刃受け台 4 合成樹脂シート材 11 成形面 13 切断刃 14 凸状成形面 23 凹所 51 端縁部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱軟化された合成樹脂シート材を、
    の表面が雌型の成形面に対向するように、雄型と雌型の
    間に配置した後、雄型と雌型の型締めを開始し、先ず前
    記合成樹脂シート材の外周部を、雌型に設けられた切断
    刃と、雄型に隣接して配置された切断刃受け台との協働
    作用により切断し、次いで、外周部の切断された合成樹
    脂シート材の端縁部を、雌型に形成され、かつ当該雌型
    の内部側に突出する凸状成形面により雄型の凹所に向け
    加圧して雄型の内部側へ曲折成形すると共に、合成樹脂
    シート材を所定の形状に賦形することを特徴とする内装
    部材の製造方法
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