JP3104296B2 - 薄膜トランジスタの製造方法 - Google Patents

薄膜トランジスタの製造方法

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JP3104296B2 JP03154055A JP15405591A JP3104296B2 JP 3104296 B2 JP3104296 B2 JP 3104296B2 JP 03154055 A JP03154055 A JP 03154055A JP 15405591 A JP15405591 A JP 15405591A JP 3104296 B2 JP3104296 B2 JP 3104296B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、薄膜トランジスタの
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】MOSスタティックRAMの一種に、
MOS型メモリセルを用いたものがある。図5に示すよ
うに、このMOS型メモリセルは、一対のドライバト
ランジスタQ1 、Q2 と一対の負荷トランジスタQ3
4 とから成るフリップフロップ回路と、セル外とのデ
ータのやりとりのための一対のアクセストランジスタQ
5 、Q6 とにより構成されている。WLはワード線、B
L、BL´はビット線を示す。Vddは電源電圧である。
【0003】近年、上述の負荷トランジスタQ3 、Q4
を多結晶シリコン(Si)薄膜を用いたpチャネルの薄膜
トランジスタ(TFT)(以下「多結晶SiTFT」とい
う)により形成する試みが盛んに行われている。この場
合、このpチャネル多結晶SiTFTのソース領域及びド
レイン領域は、チャネル領域形成用の多結晶Si薄膜中に
ホウ素(B)またはBF2 をイオン注入することにより
形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のソース領域及び
ドレイン領域を形成するためのイオン注入後には、多結
晶Si薄膜中に注入されたBの電気的活性化を図るために
熱処理が行われるが、この際にはこのBの拡散も起き
る。ところが、多結晶Si薄膜中でのBの拡散速度は速い
ことから、この熱処理時には、ソース領域及びドレイン
領域からチャネル領域へのBの横方向拡散が起きる。こ
のため、負荷トランジスタQ3 、Q4 のソース領域及び
ドレイン領域間がショートしたり、実効チャネル長が短
くなってパンチスルーが生じやすいなどの問題があっ
た。
【0005】そこで、この問題を防止するために、イオ
ン注入された不純物の電気的活性化を図るための熱処理
の温度を低くしたり、熱処理時間を短くしたりするほ
か、ソース領域及びドレイン領域の不純物濃度を低くせ
ざるを得なかった。例えば、この熱処理を800〜90
0℃の温度で数十分程度行うとすると、多結晶Si薄膜中
にイオン注入する不純物、例えばBF2 のドーズ量は、
1014cm-2程度に抑える必要があった(エネルギーは例
えば10keV程度)。
【0006】ところで、MOS型スタティックRAM
における各メモリセルの負荷トランジスタQ3 、Q4
ソースに電源電圧Vddを供給するための電源配線は、こ
れらの負荷トランジスタQ3 、Q4 のチャネル領域形成
用の多結晶Si薄膜により、このチャネル領域と一体に形
成される場合が多い。その例を図6に示す。図6におい
て、符号101が電源配線、102がチャネル領域、1
03はドレイン領域を示す。なお、ソース領域は、チャ
ネル領域102に隣接する部分の電源配線101により
構成される。
【0007】図6において、電源配線101を構成する
多結晶Si薄膜中には、その低抵抗化を図るために、ソー
ス領域及びドレイン領域を形成するためのイオン注入の
際に不純物が同時にイオン注入される。従って、上述の
ようにソース領域及びドレイン領域間のショートやパン
チスルーを防止するためにこのソース領域及びドレイン
領域を形成するためのイオン注入のドーズ量を低く抑え
ると、電源配線101の抵抗が高くなってしまう。例え
ば、この電源配線101を構成する多結晶Si薄膜の膜厚
が200Åである場合を考えると、BF2を5×1014c
m-2のドーズ量でイオン注入してから900℃で20分
熱処理を行った後のシート抵抗としては20kΩ/□程
度の値が得られるが、ドーズ量を1×1014cm-2に下げ
るとシート抵抗は100kΩ/□程度と高くなってしま
う。
【0008】このように電源配線101の抵抗が高くな
ると、この電源配線101における電圧降下により、各
メモリセルの負荷トランジスタQ3 、Q4 のソース領域
に実際に印加される電圧は電源電圧Vddよりも低くなっ
てしまい、しかも電源配線101に対する外部からの電
源電圧Vddの供給点に近いメモリセルと遠いメモリセル
とでその負荷トランジスタQ3 、Q4 のソース領域に印
加される電圧が異なってしまうなどの問題が生じる。特
に、この電源配線101、チャネル領域102及びドレ
イン領域103を構成する多結晶Si薄膜の膜厚は、負荷
トランジスタQ3 、Q4 のオフ時(ゲート電圧が0Vの
時)のドレイン電流Ids(OFF)を低く抑えることに
より、このオフ時のドレイン電流Ids(OFF)に対す
るオン時のドレイン電流Ids(ON)の比、すなわちI
ds(ON)/Ids(OFF)を大きくすることが望まし
いことなどの理由で数十〜数百Å程度と小さくするた
め、この問題は深刻である。
【0009】この問題は、MOS型スタティックRA
Mの低電源電圧動作マージンの減少、電源電圧の変動に
対する動作安定性の低下などの問題につながるため、そ
の解決が強く望まれるものである。
【0010】従って、この発明の目的は、そのチャネル
領域とそのソース領域またはドレイン領域に電源電圧を
供給するための電源配線とが半導体薄膜により形成され
た薄膜トランジスタにおいて、ソース領域及びドレイン
領域間のショートやパンチスルーを防止しつつ、電源配
線の低抵抗化を図ることができる薄膜トランジスタの
造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
【0012】上記目的を達成するために、この発明は、
そのチャネル領域(3)とそのソース領域またはドレイ
ン領域に電源電圧を供給するための電源配線(2)とが
半導体薄膜により形成された薄膜トランジスタの製造方
法において、チャネル領域(3)及び電源配線(2)の
形状にパターニングされた半導体薄膜を形成する工程
と、半導体薄膜のうちソース領域及びドレイン領域とな
る部分と電源配線(2)となる部分とにソース領域及び
ドレイン領域と同一導電型の不純物の第1のイオン注入
を行う工程と、半導体薄膜のうち電源配線(2)となる
部分にソース領域及びドレイン領域と同一導電型の不純
物の第2のイオン注入を行う工程とを具備するものであ
る。
【0013】
【作用】
【0014】上述のように構成されたこの発明の薄膜ト
ランジスタの製造方法によれば、ソース領域及びドレイ
ン領域間のショートやパンチスルーを防止するために、
半導体薄膜のうちソース領域及びドレイン領域となる部
分と電源配線(2)となる部分とに行われる第1のイオ
ン注入のドーズ量を低く抑えても、この半導体薄膜のう
ち電源配線(2)となる部分に行われる第2のイオン注
入により、電源配線(2)の抵抗を低くすることができ
る。
【0015】
【実施例】以下、この発明の実施例について図面を参照
しながら説明する。この実施例は、メモリセルの負荷ト
ランジスタをpチャネル多結晶SiTFTにより構成した
MOS型スタティックRAMにこの発明を適用したも
のである。このMOS型スタティックRAMのメモリ
セルの等価回路は図5に示す通りでである。
【0016】この実施例によるMOS型スタティック
RAMにおいて、ドライバトランジスタQ1 、Q2 及び
アクセストランジスタQ5 、Q6 は、Si基板中に形成さ
れるnチャネルMOSトランジスタにより形成する。こ
れらのドライバトランジスタQ1 、Q2 のゲート電極及
びアクセストランジスタQ5 、Q6 のゲート電極を構成
するワード線は、一層目の多結晶Si膜や、多結晶Si膜上
に高融点金属シリサイド膜を重ねたポリサイド膜により
形成する。そして、これらのドライバトランジスタ
1 、Q2 及びアクセストランジスタQ5 、Q6 上に、
層間絶縁膜を介して、pチャネル多結晶SiTFTから成
る負荷トランジスタQ3 、Q4 のゲート電極を例えば二
層目の多結晶Si膜により形成する。
【0017】この実施例においては、このゲート電極を
覆うようにゲート絶縁膜を形成した後、このゲート絶縁
膜上に多結晶Si薄膜を形成し、この多結晶Si薄膜を、負
荷トランジスタQ3 、Q4 のソース領域に電源電圧Vdd
を供給するための電源配線及び負荷トランジスタQ3
4 のチャネル領域の形状にパターニングする。この
後、このパターニングされた多結晶Si薄膜のうち電源配
線となる部分と負荷トランジスタQ3 、Q4 のソース領
域及びドレイン領域となる部分とに、BまたはBF2
イオン注入する。このイオン注入のドーズ量は、負荷ト
ランジスタQ3 、Q4 のソース領域及びドレイン領域間
のショートやパンチスルーを防止するために、例えば1
×1014cm-2程度に低く抑える。この後、注入不純物の
電気的活性化を図るために熱処理を行う。なお、このイ
オン注入は、多結晶Si薄膜のパターニング前に行うこと
も可能である。
【0018】このようにして形成された電源配線、チャ
ネル領域及びドレイン領域を図1及び図2(図1の2−
2線に沿っての拡大断面図)に示す。図1及び図2にお
いて、符号1がゲート絶縁膜、2が電源配線、3がチャ
ネル領域、4がドレイン領域を示す。ソース領域は、チ
ャネル領域3に隣接する部分の電源配線2により構成さ
れる。なお、図1及び図2において、BまたはBF2
イオン注入が行われた部分に「・」で点描を付す。これ
らの負荷トランジスタQ3 、Q4 のゲート電極(図示せ
ず)は、チャネル領域3と交差して形成されている。な
お、これらの負荷トランジスタQ3 、Q4 のチャネル幅
は例えば0.5〜0.6μm、チャネル長は例えば1〜
2μmである。
【0019】次に、図1及び図2に示すように、電源配
線2以外の部分をマスク5で覆う。この後、このマスク
5を用いて電源配線2の部分だけにBまたはBF2 の二
回目のイオン注入を図2において矢印で示すように行
う。すなわち、この電源配線2の部分にBまたはBF2
のイオン注入を追加する(図1及び図2において、Bま
たはBF2 の二回目のイオン注入が行われた部分に○で
点描を付す)。この二回目のイオン注入のドーズ量は、
電源配線2の抵抗を十分に低くすることができるよう
に、例えば1014〜1016cm-2と一回目のイオン注入に
比べて高くする。この後、注入不純物の電気的活性化を
図るための熱処理を行う。なお、上述の一回目のイオン
注入後に行われる熱処理は、この二回目のイオン注入後
に行われる熱処理により兼用することも可能である。
【0020】マスク5を用いて電源配線2の部分に行わ
れるこの二回目のBまたはBF2 のイオン注入により、
この電源配線2の抵抗は十分に低くなる。次に、マスク
5を除去した後、以後の工程を実施して、目的とする
MOS型スタティックRAMを完成させる。
【0021】図1において、マスク5の端部とチャネル
領域3との間の距離ΔLは、注入不純物の電気的活性化
のための熱処理の温度や時間、さらには二回目のイオン
注入のドーズ量などにより調整することができるが、通
常は数千Å〜数μmである。典型的には、電気的活性化
を図るための熱処理時におけるBの横方向拡散の距離は
0.5μm程度であり、またフォトリソグラフィー工程
におけるマスク合わせずれは0.15μm程度であるの
で、実用的にはΔLとして1μm程度を見込めば足り
る。マスク5の材料としては、イオン注入のマスクとな
るものならばどのようなものを用いてもよいが、具体的
には例えば二酸化シリコン(SiO2 )膜、窒化シリコン
(Si3 4 )膜、フォトレジストなどを用いることがで
きる。
【0022】以上のように、この実施例によれば、負荷
トランジスタQ3 、Q4 のソース領域及びドレイン領域
を形成するためのBまたはBF2 のイオン注入を1×1
14cm-2程度にドーズ量を低く抑えて行った後に、マス
ク5を用いて電源配線2の部分だけにBまたはBF2
イオン注入を追加して行うようにしている。これによっ
て、負荷トランジスタQ3 、Q4 のソース領域及びドレ
イン領域のショートやパンチスルーを防止しつつ、電源
配線2を十分に低抵抗化することができる。そして、こ
のように電源配線2を十分に低抵抗化することができる
ことにより、この電源配線2における電圧降下を少なく
することができる。このため、この電源配線2に対する
外部からの電源電圧Vddの供給点からの距離によらず、
各メモリセルの負荷トランジスタQ3 、Q4 のソース領
域に実際に供給される電圧をほぼ電源電圧Vddに等しく
することができる。これによって、MOS型スタティ
ックRAMの低電源電圧動作マージンの向上を図ること
ができるとともに、電源電圧の変動に対する動作安定性
の向上を図ることができる。
【0023】次に、この発明の他の実施例について説明
する。この実施例においては、図3に示すように、上記
実施例と同様にして、ゲート絶縁膜1上に多結晶Si薄膜
により電源配線2などを形成した後に電源配線2以外の
部分をマスク5で覆った後、このマスク5で覆われてい
ない部分の電源配線2上に導電層6を形成する。
【0024】この導電層6は、例えば、多結晶Si薄膜か
ら成る電源配線2上に選択CVD法によりタングステン
(W)を選択成長させることにより形成したり、W膜や
モリブデン(Mo)膜などの金属膜、タングステンシリサ
イド(WSix )膜などの金属シリサイド膜、不純物がド
ープされた多結晶Si薄膜などを全面に形成した後にこれ
らをエッチングによりパターニングしたりすることによ
り形成することができる。後者のように金属膜などを全
面に形成した後にこれをパターニングすることにより導
電層6を形成する場合には、この導電層6の形状を電源
配線2と異なる形状としてもよい。また、Wの選択成長
により導電層6を形成する場合には、この導電層6を電
源配線2上に自己整合的に形成することができるという
利点がある。
【0025】上述のようにして導電層6を形成した後に
は、熱処理を行うことによりこの導電層6と下地の電源
配線2との相互拡散やシリサイド化を行わせて、これら
の導電層6及び電源配線6間が低抵抗で互いに電気的に
接続されるようにする。この実施例によれば、上記実施
例と同様に、負荷トランジスタQ3 、Q4 のソース領域
及びドレイン領域間のショートやパンチスルーを防止し
つつ、電源配線2を十分に低抵抗化することができ、そ
れによって低電源電圧動作マージンの向上や電源電圧の
変動に対する動作安定性の向上を図ることができる。
【0026】次に、この発明のさらに他の実施例につい
て説明する。この実施例においては、図4に示すよう
に、上記実施例と同様にしてゲート絶縁膜1上に多結晶
Si薄膜により電源配線2などを形成した後、全面に層間
絶縁膜7を形成し、この層間絶縁膜7上に例えばアルミ
ニウム(Al)配線のような上層の配線8を電源配線2に
沿って形成する。ここで、この配線8は、層間絶縁膜7
に形成されたコンタクトホール(図示せず)を通じて電
源配線2と接続(シャント)される。この実施例によっ
ても、上記実施例と同様な利点を得ることができる。
【0027】以上、この発明の実施例につき具体的に説
明したが、この発明は、上述の実施例に限定されるもの
ではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が
可能である。例えば、上述の実施例においては、pチャ
ネル多結晶SiTFTから成る負荷トランジスタQ3 、Q
4 のゲート電極上にゲート絶縁膜1を介してそのチャネ
ル領域2が形成されている場合について説明したが、こ
の発明は、チャネル領域2上にゲート絶縁膜1を介して
ゲート電極が形成されている場合、すなわちゲート電極
とチャネル領域2との上下関係が上述の実施例と逆の場
合にも適用することが可能である。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、薄膜トランジスタのソース領域及びドレイン領域間
のショートやパンチスルーを防止しつつ、電源配線の低
抵抗化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を説明するための平面図で
ある。
【図2】図1の2−2線に沿っての拡大断面図である。
【図3】この発明の他の実施例を説明するための断面図
である。
【図4】この発明のさらに他の実施例を説明するための
断面図である。
【図5】MOS型メモリセルの等価回路を示す回路図
である。
【図6】従来のMOS型スタティックRAMにおける
問題を説明するための平面図である。
【符号の説明】
1 ゲート絶縁膜 2 電源配線 3 チャネル領域 4 ドレイン領域 Q1 、Q2 ドライバトランジスタ Q3 、Q4 負荷トランジスタ Q5 、Q6 アクセストランジスタ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 そのチャネル領域とそのソース領域また
    はドレイン領域に電源電圧を供給するための電源配線と
    が半導体薄膜により形成された薄膜トランジスタの製造
    方法において、 上記チャネル領域及び上記電源配線の形状にパターニン
    グされた上記半導体薄膜を形成する工程と、 上記半導体薄膜のうち上記ソース領域及び上記ドレイン
    領域となる部分と上記電源配線となる部分とに上記ソー
    ス領域及び上記ドレイン領域と同一導電型の不純物の第
    1のイオン注入を行う工程と、 上記半導体薄膜のうち上記電源配線となる部分に上記ソ
    ース領域及び上記ドレイン領域と同一導電型の不純物の
    第2のイオン注入を行う工程と を具備することを特徴と
    する薄膜トランジスタの製造方法。
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