JP3100239B2 - グラウト注入方法および注入装置 - Google Patents

グラウト注入方法および注入装置

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JP3100239B2
JP3100239B2 JP04260182A JP26018292A JP3100239B2 JP 3100239 B2 JP3100239 B2 JP 3100239B2 JP 04260182 A JP04260182 A JP 04260182A JP 26018292 A JP26018292 A JP 26018292A JP 3100239 B2 JP3100239 B2 JP 3100239B2
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公 一 八ッ繁
田 佳 史 代
井 徹 桜
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安藤建設株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プレキャスト部材を組
み立てる際に、プレキャスト部材と敷きモルタルとの間
に形成される空隙へグラウトを充填するためのグラウト
注入方法および注入装置に関する。
【0002】
【従来の技術】プレキャスト工法は、たとえば、省力化
と工期短縮の要請の高い大型店舗や工場倉庫あるいは集
合住宅に採用されているが、プレキャスト工法による建
てられる柱や壁などのプレキャスト部材、たとえばプレ
キャスト柱1は、図9に示すように、たとえば床のよう
な既設躯体2の上に敷きモルタル3を介して一体的に結
合される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】プレキャスト工法によ
りプレキャスト柱を既設躯体2の上に組み立てる際に
は、図10に示すように、プレキャスト柱1は、既設躯
体2に対して点線で示す傾斜した状態から実線で示す垂
直状態に置かれるが、既設躯体2の上に配置される敷き
モルタル3は、弾性がないので傾斜した状態のプレキャ
スト柱1に押さえられた後元の状態に戻りにくく、その
ため、プレキャスト柱1が既設躯体2に対して実線で示
す垂直位置に置かれた時、プレキャスト柱1の下面と敷
きモルタル3の上面との間に空隙4が形成される。この
空隙4は、既設躯体2の上1センチから2センチの位置
にあるから、この空隙4にモルタルを注入する補修作業
は面倒であり、また、この補修作業が確実に行われたか
どうかを確認することがむずかしい。
【0004】本発明は上記した点に鑑みてなされたもの
で、プレキャスト部材を組み立てる際のプレキャスト部
材と敷きモルタルとの間に形成される空隙へのグラウト
の注入を簡単かつ確実に行い得るようにしたグラウト注
入方法および注入装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のグラウト注入方
法は、薄いフィルム片を、プレキャスト部材と敷きモル
タルとの間に形成される空隙を囲むようにプレキャスト
部材と敷きモルタルの外面に配置し、内面に上方開口の
凹部を設けるとともに外面に各凹部に連通する注入孔を
設けた弾性押さえバンドを、フィルム片の外面に凹部が
フィルム片により覆われるように配置し、弾性押さえバ
ンドに設けた凹部のうちのフィルム片のプレキャスト部
材と敷きモルタルとの間に形成される空隙に対応する部
位の凹部に、注入孔を通して穿孔具を挿入してフィルム
片に孔を開け、弾性押さえバンドに設けた凹部の注入孔
からプレキャスト部材と敷きモルタルとの間に形成され
る空隙にグラウトを充填するように構成される。
【0006】また、本発明のグラウト注入装置は、内面
に上方に開口する凹部および外面に前記各凹部に連通す
る注入孔を設けた弾性押さえバンドと、前記弾性押さえ
バンドの内面に沿って配置されたときに前記弾性押さえ
バンドの凹部を覆って、前記弾性押さえバンドの各凹部
が互いに独立した空間を形成するようにした薄いフィル
ム片と、を有して構成される。
【0007】
【作用】本発明のグラウト注入方法では、プレキャスト
部材と敷きモルタルとの間に形成される空隙を囲むフィ
ルム片を弾性押さえバンドの注入孔から挿入される穿孔
具により孔を開け、弾性押さえバンドの凹部を空隙に連
通し、弾性押さえバンドに設けた凹部の注入孔から空隙
にグラウトを注入することで、空隙をグラウトで充填
し、この空隙へのグラウトの充填を空隙から溢れるグラ
ウトが凹部に設けた上方開口から弾性押さえバンドの外
部に漏れ出ることを目視し、これによりモルタル注入が
確実に行われたことを確認する。
【0008】また、本発明のグラウト注入装置において
は、弾性押さえバンドをプレキャスト柱と敷きモルタル
との間に形成される空隙を囲むように配置し、弾性押さ
えバンドの内側に設けたフィルム片を破くことで、空隙
をグラウトで充填することができる。
【0009】
【実施例】以下本発明の一実施例を図面につき説明す
る。図1は本発明のグラウト注入装置の弾性押さえバン
ドを示す。この弾性押さえバンド10は、ゴムのような
伸縮自在の弾性材料で作られた幅5センチの帯状をなし
ており、一端側に設けた取付け孔11には固定具12が
装着されている。また、押さえバンド10の固定具12
が突出する側と反対側の面には、上方開口の凹部13が
長手方向に間隔を置いて形成されている。隣り合う凹部
13の間に位置する隔壁14は、各凹部13が独立した
空間を形成するようにしている。各凹部13の上下方向
中間位置には他面に開口する孔15が形成されている。
この孔15はほぼ楕円形をなし、中心が下端から約2セ
ンチの位置にある。これは敷きモルタル3の厚さが約2
センチであることに対応している。この孔15は図示し
ないモルタルグラウト供給源に接続することで、グラウ
ト注入孔として作用し、かつ、固定具12に係着するこ
とで係合孔としても作用している。押さえバンド10の
上面および側面に目盛りを付しておくと、押さえバンド
10の張力(伸び)の調節が可能となる。
【0010】図3は押さえバンド10の凹部13を設け
た面に接合されるフィルム片16を示す。このフィルム
片16はたとえば油紙のような破れ易い特性を有する帯
状片であり、長手方向に伸縮するように多数のしわを有
している。このフィルム片16は、モルタルグラウトを
絶縁するものであれば、塩化ビニールフィルムのような
合成樹脂フィルムであってもよい。このフィルム片16
の一端側には係合孔16aが形成されている。このフィ
ルム片16は、押さえバンド10と別体としてプレキャ
スト部材、たとえばプレキャスト柱1の下面と敷きモル
タル3の上面との間に形成される空隙4を覆うようにし
てもよい。
【0011】図4は本発明のモルタルグラウト注入装置
の取付け状態を示す。この場合、敷きモルタル3のプレ
キャスト柱1と密着している部分に、硬質プラスチック
製定着具17を埋込み、この定着具17にフィルム片1
6の係合孔16aおよび押さえバンド10の取付け孔1
1を係合し、この定着具17を起点としてプレキャスト
柱1の下面と敷きモルタル3の上面との間に形成される
空隙4を含むプレキャスト柱1と敷きモルタル3の部分
を囲むように配置し、押さえバンド10の弾性力を利用
して、押さえバンド10の取付け孔11に装着した固定
具12に対応位置の凹部13の孔15を係合する。ここ
で、符号18はフィルム片16の破かれてモルタルグラ
ウトが注入された後の位置を示す。
【0012】つぎに作用を説明する。まず、図5に示す
ように、プレキャスト柱1を既設躯体2の上に配置され
た敷きモルタル3に垂直位置に置く。ついで、金ごて2
0を用いてプレキャスト柱1の外面よりはみでる敷きモ
ルタル3を取り除く。図6は敷きモルタル3を取り除い
た後の状態を示し、プレキャスト柱1と敷きモルタル3
の間に空隙4が形成されている。敷きモルタル3のプレ
キャスト柱1と密着している部分の敷きモルタル3に、
硬質プラスチック製定着具17を埋込む。
【0013】つぎに、図7に示すように、この定着具1
7を起点としてフィルム片16および押さえバンド10
をプレキャスト柱1の下面と敷きモルタル3の上面との
間に形成される空隙4を含むプレキャスト柱1と敷きモ
ルタル3の部分を囲むように配置する。この押さえバン
ド10は具有する弾性力により所定の張力で固定され
る。この張力は押さえバンド10に付した目盛りにより
調節される。
【0014】押さえバンド10が固定されたら、空隙4
の形成位置に対応する押さえバンド10の凹部13の孔
15から、図示しない突き刺し具を挿入し、凹部13の
内側に位置するフィルム片を破く。空隙4が広い範囲で
あれば複数の凹部からフィルム片を破く。これにより、
凹部13と空隙4が連通することになる。フィルム片が
破かれたら、図示しないモルタルグラウト注入装置をこ
の凹部13の孔15に連結し、この凹部13を通して空
隙4にモルタルグラウト21を注入する。この凹部は隔
壁14により絶縁されているので、モルタルグラウトが
他の部分に漏れることはない。空隙4へのモルタルグラ
ウトの充填が完了すると、それ以上のモルタルグラウト
は凹部の上方開口部から外部に漏れることになる。作業
者はこの漏れを目視したら、空隙4へのモルタルグラウ
トの充填完了と判断し、モルタルグラウト注入装置の作
動を止める。
【0015】そして、空隙4へ充填されたモルタルグラ
ウト21が硬化したら、押さえバンド10およびフィル
ム片16を取り外し、モルタルグラウト21の面を平滑
に仕上げる。押さえバンド10は再利用される。なお、
敷きモルタル3に埋込まれた硬質プラスチック製定着具
17は図示しない切断具により切り取られ平滑面とされ
る。
【0016】上記実施例ではプレキャスト柱と敷きモル
タルとの間に形成される空隙にグラウドを注入したが、
プレキャスト柱がプレキャスト壁であってもよいのはも
ちろんである。
【0017】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のグラウト注
入方法は、プレキャスト部材を組み立てる際のプレキャ
スト部材と敷きモルタルとの間に形成される空隙へのグ
ラウトの注入を簡単かつ確実に行なうことができ、かつ
空隙へのグラウトの充填完了を目視により判断できる。
また、本発明のグラウト注入装置は、構造が簡単で取扱
いが容易で、プレキャスト柱と敷きモルタルとの間に形
成される空隙へのグラウトの注入を確実に行なうことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるグラウト注入装置の弾性押さえバ
ンドの側面図
【図2】本発明によるグラウト注入装置の弾性押さえバ
ンドの上面図
【図3】本発明によるグラウト注入装置のフィルム片を
示す図
【図4】本発明によるグラウト注入装置の敷きモルタル
への取付け状態を示す図
【図5】組み立てられたプレキャスト柱と敷きモルタル
とを示す図
【図6】プレキャスト柱と敷きモルタルとの間に形成さ
れる空隙を示す図
【図7】本発明によるグラウト注入方法によりグラウト
を注入した状態を示す図
【図8】本発明によるグラウト注入方法によりプレキャ
スト柱と敷きモルタルとの間に形成される空隙にグラウ
トを充填した状態を示す図
【図9】プレキャスト工法により建てられるプレキャス
ト柱を示す図
【図10】プレキャスト工法によりプレキャスト柱と敷
きモルタルとの間に形成される空隙を示す図
【符号の説明】
1 プレキャスト柱 3 敷きモルタル 4 空隙 10 弾性押さえバンド 13 凹部 15 孔 16 フィルム片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04G 21/22 E04B 1/21 E04B 1/58

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】薄いフィルム片を、プレキャスト部材と敷
    きモルタルとの間に形成される空隙を囲むようにプレキ
    ャスト部材と敷きモルタルの外面に配置し、内面に上方
    開口の凹部を設けるとともに外面に各凹部に連通する注
    入孔を設けた弾性押さえバンドを、フィルム片の外面に
    凹部がフィルム片により覆われるように配置し、弾性押
    さえバンドに設けた凹部のうちのフィルム片のプレキャ
    スト部材と敷きモルタルとの間に形成される空隙に対応
    する部位の凹部に、注入孔を通して穿孔具を挿入してフ
    ィルム片に孔を開け、弾性押さえバンドに設けた凹部の
    注入孔からプレキャスト部材と敷きモルタルとの間に形
    成される空隙にグラウトを充填することを特徴とするグ
    ラウト注入方法。
  2. 【請求項2】内面に上方に開口する凹部および外面に前
    記各凹部に連通する注入孔を設けた弾性押さえバンド
    と、 前記弾性押さえバンドの内面に沿って配置されたときに
    前記弾性押さえバンドの凹部を覆って、前記弾性押さえ
    バンドの各凹部が互いに独立した空間を形成するように
    した薄いフィルム片と、を有することを特徴とするグラ
    ウト注入装置。
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