JP3098408B2 - 制電性フィルム - Google Patents

制電性フィルム

Info

Publication number
JP3098408B2
JP3098408B2 JP07301191A JP30119195A JP3098408B2 JP 3098408 B2 JP3098408 B2 JP 3098408B2 JP 07301191 A JP07301191 A JP 07301191A JP 30119195 A JP30119195 A JP 30119195A JP 3098408 B2 JP3098408 B2 JP 3098408B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
weight
antistatic
coating
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP07301191A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09141802A (ja
Inventor
俊史 石川
真一郎 岡田
雅之 福田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP07301191A priority Critical patent/JP3098408B2/ja
Publication of JPH09141802A publication Critical patent/JPH09141802A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3098408B2 publication Critical patent/JP3098408B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は制電性フィルムに関
し、更に詳しくは透明性、制電性に優れ、製版用フィル
ム等に有用な制電性フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルフィルム、特にポリエチレ
ンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを用いた
ポリエステルフィルムは、透明性、寸法安定性、機械特
性、電気特性、耐薬品性等に優れ、多くの分野で使用さ
れている。
【0003】しかしながら、かかるポリエステルフィル
ムは帯電し易い欠点を有しており、フィルムが帯電する
とその表面にゴミやほこりが付着し、品質上のトラブル
が生じる問題がある。また、フィルムの加工工程で有機
溶剤を用いる場合には、帯電したフィルムからの放電に
より引火の危険が生じる等の問題がある。
【0004】このような帯電による問題の対策として、
ポリエステルフィルムに有機スルホン酸塩等のアニオン
性化合物、金属粉、カーボン粉等を練り込む方法や、ポ
リエステルフィルムの表面に金属化合物を蒸着する方法
等が提案され実用化されている。しかしながら、このよ
うな方法ではフィルムの透明性が低下してしまう問題
や、加工コストが高いといった問題がある。
【0005】また、別の対策として、フィルム表面に帯
電防止剤を配合した合成樹脂(バインダー)の被膜を形
成させる方法が提案されている。この方法では、帯電防
止剤として塗工性の良好なアニオン性化合物やカチオン
性化合物が用いられているが、これらの帯電防止剤は低
湿度下での帯電防止性に劣る欠点がある。この欠点は帯
電防止剤を多量に使用することによりある程度改善でき
るが、高湿度下においてフィルム同士が貼り付いてしま
う(いわゆる『ブロッキング』)新たな問題が生じる。
このように上記の帯電防止剤を用いた制電性フィルムで
は、耐ブロッキング性と低湿度下での帯電防止性を同時
に満足することができなかった。
【0006】更に、別の対策として、フィルム表面にリ
ン酸系帯電防止剤を配合した合成樹脂(バインダー)の
被膜を形成させる方法が提案されている。例えば、リン
酸系帯電防止剤を含む塗布液を未延伸または一軸延伸の
ポリエステルフィルムに塗布した後、フィルムを延伸、
熱処理する方法(インラインコーティング法)が、特開
平6-255055号公報、特公平1-49114 号公報等に開示され
ている。このリン酸系帯電防止剤を用いる方法によれ
ば、低湿度下においても帯電防止性に優れ、また高湿度
下において耐ブロッキング性に優れた制電性フィルムが
得られる。しかしながら、リン酸系帯電防止剤を含む塗
布液は、ポリエステルフィルムへの濡れ性が悪いため塗
工性に問題があり、ポリエステルフィルム表面を予めコ
ロナ放電処理する等の前処理を施さないと均一な厚さや
良好な外観を有する制電性塗膜を得ることができず、そ
の用途が限定されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る従来技術の問題点を解消し、コロナ放電処理等の前処
理を施すことなく低加工コストで制電性塗膜を塗設で
き、かつ優れた塗膜外観、透明性、制電性、耐ブロッキ
ング性を有する、製版用制電性フィルム等に有用な制電
性フィルムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、本発明
によれば、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、
(A)二次転移点が40〜85℃の水性ポリエステル共
重合体30〜75重量%、(B)リン酸エステル塩系制
電剤20〜45重量%、(C)平均粒径が10〜500
nmの微粒子3〜25重量%および(D)HLBが12
以下の界面活性剤1〜20重量%よりなる組成物を含む
水性液を塗布し、乾燥、延伸して得られる制電性塗膜を
設けた制電性フィルムにより達成される。以下、本発明
について詳細に説明する。
【0009】[ポリエステルフィルム]本発明において
ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとは、芳
香族二塩基酸またはそのエステル形成性誘導体とジオー
ルまたはそのエステル形成性誘導体とから合成される線
状飽和ポリエステルである。かかるポリエステルの具体
例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレー
ト)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシ
レート等を挙げることができる。
【0010】これらの中、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボネート
が、高ヤング率である等の機械的特性に優れ、耐熱寸法
安定性等の熱的特性等に優れたフィルムが得られるため
特に好ましい。
【0011】本発明におけるポリエステルには、フィル
ムの滑り性を良好なものとするために滑剤を配合するこ
とができる。かかる滑剤としては、例えば酸化珪素、酸
化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、
カオリン、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機
微粒子、架橋シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、
架橋アクリル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等のような
有機微粒子を挙げることができる。また、滑剤の他に、
着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光
増白剤等を配合することもできる。
【0012】本発明におけるポリエステルフィルムは、
二軸延伸フィルム、特に透明な二軸延伸フィルムである
ことが好ましい。
【0013】また、ポリエステルフィルムの厚さは、5
〜500μmであることが好ましく、更に20〜500
μm、特に50〜300μmであることが好ましい。こ
の厚さが5μm未満であると用途によってはフィルムの
腰が弱く不適当となることがあり、一方フィルムが50
0μmを超えると製膜が難しくなることがある。
【0014】本発明の制電性フィルムを、透明性を要求
される用途(例えば製版用フィルム)に用いるに場合
は、ポリエステルフィルムとして光線透過率が80%以
上、特に85%以上の透明フィルムを用いることが好ま
しい。
【0015】[共重合体(A)]本発明において、水性
液に含まれる(A)二次転移点が40〜85℃の水性ポ
リエステル共重合体(以下『共重合体(A)』と略記す
る)とは、二次転移点(Tg)が40〜85℃(好まし
くは45〜80℃)である、水に可溶な、または分散可
能な水性ポリエステル共重合体である。この二次転移点
が40℃未満であると、得られた制電性フィルムの耐ブ
ロッキング性が劣り、一方85℃を超えると制電性フィ
ルム制電性重合体の透明性が低下する。
【0016】共重合体(A)は、多価カルボン酸成分と
ポリオール成分からなる共重合ポリエステルである。こ
の多価カルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フタ
ル酸、無水フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボ
ン酸、アジピン酸、セバシン酸、フェニルインダンジカ
ルボン酸、ダイマー酸等を挙げることができる。これら
の成分は二種以上を用いることができる。かかる多価カ
ルボン酸成分の中でも、テレフタル酸、2,6ーナフタ
レンジカルボン酸、イソフタル酸が好ましく、テレフタ
ル酸、2,6ーナフタレンジカルボン酸が制電性塗膜と
ポリエステルフィルムとの接着性が良好となるため特に
好ましい。
【0017】また、共重合体(A)のポリオール成分と
しては、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジ
オール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシリレン
グリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、
トリメチロールプロパン、ポリ(エチレンオキシド)グ
リコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコー
ル、下記式(I)や下記式(II)のビスフェノールAの
エチレンオキサイド付加物やプロピレンオキサイド付加
物等を挙げることができる。これらは二種以上を用いる
ことができる。
【0018】
【化1】
【0019】
【化2】
【0020】かかるポリオール成分の中でもエチレング
リコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加
物やプロピレンオキサイド付加物、1,4−ブタンジオ
ールが好ましく、エチレングリコール、ビスフェノール
Aのエチレンオキサイド付加物やプロピレンオキサイド
付加物が、制電性塗膜とポリエステルフィルムとの接着
性が良好となるため、また制電性フィルムの耐ブロッキ
ング性が良好となるため特に好ましい。
【0021】尚、共重合体(A)の水性液化を容易にす
るために若干量のスルホン酸塩基を有する化合物やカル
ボン酸塩基を有する化合物を共重合成分として用いるこ
とが好ましい。
【0022】かかるスルホン酸塩基を有する化合物とし
ては、例えば5−Naスルホイソフタル酸、5−アンモ
ニウムスルホイソフタル酸、4−Naスルホイソフタル
酸、4−メチルアンモニウムスルホイソフタル酸、2−
Naスルホイソフタル酸、5−Kスルホイソフタル酸、
4−Kスルホイソフタル酸、2−Kスルホイソフタル
酸、Naスルホコハク酸等のスルホン酸アルカリ金属塩
系またはスルホン酸アミン塩系化合物等を挙げることが
できる。
【0023】また、カルボン酸塩基を有する化合物とし
ては、例えば無水トリメリット酸、トリメリット酸、無
水ピロメリット酸、ピロメリット酸、トリメシン酸、シ
クロブタンテトラカルボン酸、ジメチロールプロピオン
酸等、或いはこれらのモノアルカリ金属塩等を挙げるこ
とができる。
【0024】また、共重合体(A)は、アクリル成分、
ポリウレタン成分、シリコーン成分、エポキシ成分、フ
ェノール樹脂成分等で変性したブロック重合体、グラフ
ト重合体として用いることもできる。
【0025】[制電剤(B)]本発明において、水性液
に含まれるリン酸エステル塩系制電剤(B)(以下『制
電剤(B)』と略記する)とはリン酸エステル塩系化合
物であるが、特に好ましい化合物としてリン酸エステル
塩系の低分子化合物、例えばリン酸アルキルエステルナ
トリウム塩、リン酸アルキルエステルカリウム塩、リン
酸アリールエステルナトリウム塩、リン酸アリールエス
テルカリウム塩、リン酸ジアルキルエステルナトリウム
塩、リン酸ジアルキルエステルカリウム塩、リン酸ジア
リールエステルナトリウム塩、リン酸ジアリールエステ
ルカリウム塩、リン酸ポリアルキレンオキサイドナトリ
ウム塩、リン酸ポリアルキレンオキサイドカリウム塩、
置換リン酸部分エステル塩等を挙げることができ、これ
らより選ばれる1つであってもよく、複数を組合せて用
いることもできる。
【0026】[微粒子(C)]本発明において、水性液
に含まれる(C)平均粒径が10〜500nmの微粒子
(以下『微粒子(C)』と略記する)としては、例えば
炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、
カオリン、酸化珪素、酸化亜鉛等の無機微粒子、或いは
架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メ
ラミン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂
粒子、ポリオレフィン粒子等の有機微粒子を挙げること
ができる。この微粒子(C)の粒径は、10〜500n
mであり、20〜300nmであることが好ましい。微
粒子(C)の粒径が10nm未満であると制電性フィル
ムの耐ブロッキング性が低下し、一方500nmを超え
ると制電性フィルムの透明性が低下する。
【0027】[界面活性剤(D)]本発明において、水
性液に含まれる(D)HLBが12以下の界面活性剤
(以下『界面活性剤(D)』と略記する)とは、HLB
が12以下の界面活性剤である。このHLBはHydr
ophile−Lipophile Balanceの
略で界面活性剤の分子中に占める親油性部分と親水性部
分のバランスを数字で表したものであって、Atlas
社のGriffin氏によって提案されたものである。
このHLB値は下式により計算することができる。
【0028】
【数1】HLB=20(1−MO /M) (ここで、MO は疎水基の分子量、Mは界面活性剤の分
子量である)
【0029】本発明にいて水性液に含まれる制電剤
(B)には、親水性が高いためポリエステルフィルムの
表面で塗布ハジキが生し易いという欠点があるが、HL
Bが12以下の界面活性剤(D)を併用することによ
り、制電剤(B)の親水性が緩和され、ポリエステルフ
ィルムに対する均一塗布が可能になる。このHLBが1
2を超える界面活性剤を用いると親水性が強くなり、ハ
ジキ塗布斑が発生する。
【0030】HLBが12以下の界面活性剤としては、
例えばポリエチレンオキサイド・ポリプロピレンオキサ
イドブロック共重合体、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテ
ル、ポリオキシエチレンモノアルキレート、ポリオキシ
エチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、
グリセリン脂肪酸エステル等を挙げることができる。こ
れらは場合によっては、塗布斑を発生させない範囲にお
いてHLBが12を超える他の界面活性剤と組合せるこ
ともできる。
【0031】[制電性塗膜]本発明においては、ポリエ
ステルフィルムの少なくとも片面に、共重合体(A)3
0〜75重量%、制電剤(B)20〜45重量%、微粒
子(C)3〜25重量%および界面活性剤(D)1〜2
0重量%よりなる組成物を含む水性液を塗布し、乾燥、
延伸して得られる制電性塗膜を設ける。
【0032】上記の組成物の割合は、共重合体(A)が
35〜60重量%、制電剤(B)が24〜40重量%、
微粒子(C)が5〜20重量%および界面活性剤(D)
が3〜15重量%であることが好ましい。
【0033】共重合体(A)の割合が30重量%未満の
場合は高湿度下での耐ブロッキング性(以下『耐湿性』
ということがある)が劣り、一方75重量%を超えると
制電性が低下する。制電剤(B)の割合が40重量%を
超えると耐湿性が十分でなくなり、他方20重量%未満
では制電性が不足する。微粒子(C)の割合が25重量
%を超えると透明性が低下し、他方3重量%未満では耐
ブロッキング性が悪化する。また、界面活性剤(D)の
割合が20重量%を超えると耐ブロッキング性が十分で
なくなり、他方1重量%未満では水性液のポリエステル
フィルムへの濡れ性が不足し、塗膜外観が悪化する。
【0034】[水性液]本発明における水性液中の固形
分濃度は、通常30重量%以下であり、更には0.4重
量%以上20重量%以下であることが好ましい。この割
合が0.4重量%未満であると、ポリエステルフィルム
への濡れ性が不足し、また30重量%を超えると塗膜外
観が悪化するので好ましくない。
【0035】かかる水性液には、本発明の目的を損なわ
ない範囲で、例えば紫外線吸収剤、顔料、消泡剤、塗工
性改良剤、潤滑剤、ブロッキング防止剤や、メラミン
系、尿素系、グアナミン系、エポキシ系、アジリジン
系、ブロックイソシアネート系等の架橋剤、カップリン
グ剤等の他の添加剤を添加することができる。
【0036】[制電性塗膜の塗設]本発明においては、
上述の各成分を含む水性液をポリエステルフィルムの少
なくとも片面に塗布するが、該フィルムとしては結晶配
向が完了する前のポリエステルフィルムであることが好
ましい。
【0037】この結晶配向が完了する前のポリエステル
フィルムとしては、ポリエステルを溶融押出してそのま
まフィルム状とした未延伸状フィルム、未延伸フィルム
を縦方向または横方向の何れか一方に延伸配向させた一
軸延伸フィルム、縦方向及び横方向の二方向に低倍率延
伸配向させたもの(最終的に縦方向または横方向に再延
伸せしめて配向結晶化を完了せしめる前の二軸延伸フィ
ルム)等を例示することができる。これらの中、縦方向
に一軸延伸したフィルムが好ましい。
【0038】ポリエステルフィルムへの水性液の塗布方
法としては、公知の任意の塗工法が適用できる。例えば
ロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビア
コート法、リバースコート法、ロールブラッシュ法、ス
プレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法及びカ
ーテンコート法等を単独または組み合わせて適用すると
良い。なお、水性液には、その安定性を良好なものとす
るため、または塗工性を助ける目的で若干量の有機溶剤
を含ませてもよい。
【0039】塗布量は走行しているフィルム1m2 当た
り0.5〜50g、更には5〜30gが好ましい。最終
乾燥塗膜(制電性塗膜)の厚さとしては、0.01〜1
μmであろことが好ましく、特に0.02〜0.6μm
であることが好ましい。塗膜の厚さが0.01μm未満
であると、十分な帯電防止性が得られないことがあり、
他方1μmを超えると、耐ブロッキング性が低下するこ
とがある。
【0040】塗膜の塗設はフィルムの用途に応じて片面
のみに行うことも両面に行うこともできる。塗布後、乾
燥することにより、均一な塗膜となる。
【0041】本発明においては、ポリエステルフィルム
に水性液を塗布した後、乾燥、延伸処理を行なうが、こ
の乾燥は90〜130℃で2〜20秒間行なうのが好ま
しい。この乾燥は延伸処理の予熱処理ないし延伸時の加
熱処理を兼ねることができる。
【0042】ポリエステルフィルムの延伸処理は、温度
70〜140℃で縦方向に2.5〜7倍、横方向に2.
5〜7倍、面積倍率で8倍以上、更には9〜28倍延伸
することが好ましい。再延伸する場合には、1.05〜
3倍の倍率で延伸するのが好ましい(但し、面積倍率は
前記と同じ)。延伸後の熱固定処理は最終延伸温度より
高く融点以下の温度で1〜30秒間行なうのが好まし
い。例えばポリエチレンテレフタレートフィルムでは1
70〜240℃で2〜30秒熱固定するのが好ましい。
【0043】かくして得られた制電性フィルムは、例え
ば光線透過率が80%以上、特に85%以上であり、ま
た表面固有抵抗(温度23℃、湿度35%)が1×10
12Ω以下、特に1×1010〜1×1011Ωであり、塗膜
外観、透明性、高湿度下での耐ブロッキング性、低湿度
下での帯電防止性に優れたものであり、表示用、OHP
用、印刷用、製版用、包装用フィルムなどに好ましく使
用でき、特に製版用フィルムとして有用である。
【0044】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明を更にに説明す
る。なお、例中の特性は、次の方法で測定した。
【0045】1.塗膜外観 塗膜被覆フィルムの塗膜外観を目視にて判定する。その
塗布表面が均一で欠陥のないものを○、斑やハジキ状欠
陥が有るものを×とする。
【0046】2.光線透過率(透明性) 村上色彩技術研究所製 HR−100型ヘーズメーター
により、ASTM・D1003に準じて測定する。
【0047】3.摩擦係数(滑り性) ASTM・D1894−63に準じ、東洋テスター社製
のスリッパリー測定機を使用し、フィルムの表面と裏面
を合わせ、荷重1Kgを加えて静摩擦係数(μs)を測
定する。尚、静摩擦係数は0.50以下が好ましく、
0.40以下が更に好ましい。
【0048】4.耐ブロッキング性(耐湿性) 50mm幅に切断したサンプルフィルムの表面と裏面を
合わせ、50Kg/cm2 の荷重下、60℃×80%R
Hにて17時間処理した後、引張り試験機にて荷重を加
えた箇所の剥離強度(g/50mm)を測定する。剥離
強度の値より下記の通り評価する。 耐ブロッキング性良好: 剥離強度≦10 耐ブロッキング性やや良好: 10<剥離強度≦30 耐ブロッキング性不良: 30<剥離強度
【0049】5.表面固有抵抗(帯電防止性) サンプルフィルムの表面固有抵抗を、タケダ理研社製・
固有抵抗測定器を使用し、測定温度23℃、測定湿度35%
の条件で、印加電圧500 Vで1分後の表面固有抵抗値
(Ω)を測定する。尚、表面抵抗値は1×1012Ω以下
が好ましく、1×1011Ω以下が更に好ましい。
【0050】[実施例1]テレフタル酸90mol%、
イソフタル酸5mol%、5−Naスルホイソフタル酸
5mol%、エチレングリコール60mol%及び下記
構造式で示されるビスフェノールAのエチレンオキサイ
ド付加物40mol%からつくられた固有粘度0.51
の共重合ポリエステル(Tg=60℃)を固形分濃度5
%の水分散液に調整し、水性液Aとした。
【0051】
【化3】
【0052】一方、テレフタル酸及びエチレングリコー
ルからつくられたポリエステル(固有粘度0.65)を
20℃に維持した回転冷却ドラム上に溶融押出して未延
伸フィルムとし、次に機械軸方向に3.6倍延伸した
後、上記水性液A60重量%と帯電防止剤であるリン酸
ジペンチルエステルナトリウム塩の水溶液(濃度5重量
%)20重量%と界面活性剤であるポリオキシエチレン
ノニルエーテル(HLB=11.3)の水溶液(濃度5
重量%)10重量%と架橋アクリル樹脂粒子(粒径60
nm)の水分散液(濃度5重量%)10重量%とを混合
して調製した水性塗液を5g/m2 (wet)の量でキ
スコート法にてフィルムの両面に塗布した。引き続き横
方向に3.9倍延伸し、フィルム厚100μm、塗膜厚
0.06μの塗膜被覆二軸延伸ポリエステルフィルムを
得た。
【0053】このフィルムの処理面の塗膜外観、光線透
過率、摩擦係数、耐ブロッキング性、および表面固有抵
抗を表1に示す。
【0054】[実施例2]界面活性剤をポリオキシエチ
レンノニルフェニルエーテル(HLB=10.7)に変
更する以外は実施例1と同様にして塗膜被覆二軸延伸ポ
リエステルフィルムを得た。このフィルムの処理面の塗
膜外観、光線透過率、摩擦係数、耐ブロッキング性、お
よび表面固有抵抗を表1に示す。
【0055】[実施例3]樹脂粒子を架橋ポリスチレン
樹脂粒子(粒径120nm)に変更する以外は実施例1
と同様にして、塗膜被覆二軸延伸ポリエステルフィルム
を得た。このフィルムの処理面の塗膜外観、光線透過
率、摩擦係数、耐ブロッキング性、および表面固有抵抗
を表1に示す。
【0056】[比較例1]界面活性剤をポリオキシエチ
レンノニルフェニルエーテル(HLB=14.2)に変
更する以外は実施例1と同様にして塗膜被覆二軸延伸ポ
リエステルフィルムを得た。このフィルムの処理面の塗
膜外観、光線透過率、摩擦係数、耐ブロッキング性、お
よび表面固有抵抗を表1に示す。
【0057】[比較例2]塗剤組成を水性液A30重量
%、帯電防止剤であるリン酸ジペンチルエステルカリウ
ム塩の水溶液(濃度5重量%)50重量%と界面活性剤
であるポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(H
LB=10.7)の水溶液(濃度5重量%)10重量%
及び架橋アクリル樹脂粒子(粒径60nm)の水性液
(濃度5重量%)10重量%に変更する以外は実施例1
と同様にして塗膜被覆二軸延伸ポリエステルフィルムを
得た。このフィルムの処理面の塗膜外観、光線透過率、
摩擦係数、耐ブロッキング性、および表面固有抵抗を表
1に示す。
【0058】[比較例3]塗剤組成を水性液A70重量
%と帯電防止剤であるリン酸ジペンチルエステルカリウ
ム塩の水溶液(濃度5重量%)20重量%と界面活性剤
であるポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(H
LB=10.7)の水溶液(濃度5重量%)10重量%
に変更する以外は実施例1と同様にして塗膜被覆二軸延
伸ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの処理面
の塗膜外観、光線透過率、摩擦係数、耐ブロッキング
性、および表面固有抵抗を表1に示す。
【0059】[比較例4]塗液の塗布しない以外は実施
例1と同様にして得た二軸延伸ポリエステルフィルムの
表面の光線透過率、摩擦係数、耐ブロッキング性、およ
び表面固有抵抗を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】表1に示した結果から明らかなように、本
発明の制電性フィルムは塗膜外観、透明性、滑り性、耐
ブロッキング性および制電性に優れたものであった。
【0062】
【発明の効果】本発明においてはポリエステルフィルム
の少なくとも片面に特定組成の制電性塗膜を設けている
ため、優れた塗膜外観を有し、かつ高湿度下における耐
ブロッキング性と低湿度下における制電性に優れた、製
版用フィルム等に有用な制電性フィルムを提供すること
ができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−141525(JP,A) 特開 昭62−273273(JP,A) 特開 昭63−254173(JP,A) 特開 平8−216354(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 C08J 7/04 C09D 167/00 - 167/04 C08L 67/00 - 67/04 C08L 33/00 - 33/26

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面
    に、(A)二次転移点が40〜85℃の水性ポリエステ
    ル共重合体30〜75重量%、(B)リン酸エステル塩
    系制電剤20〜45重量%、(C)平均粒径が10〜5
    00nmの微粒子3〜25重量%および(D)HLBが
    12以下の界面活性剤1〜20重量%よりなる組成物を
    含む水性液を塗布し、乾燥、延伸して得られる制電性塗
    膜を設けた制電性フィルム。
  2. 【請求項2】 (A)二次転移点が40〜85℃の水性
    ポリエステル共重合体が35〜60重量%、(B)リン
    酸エステル塩系制電剤が24〜40重量%、(C)平均
    粒径が10〜500nmの微粒子が5〜20重量%およ
    び(D)HLBが12以下の界面活性剤が3〜15重量
    %である請求項1に記載の制電性フィルム。
  3. 【請求項3】 制電性塗膜の厚みが、0.02〜0.6
    μmである請求項1に記載の制電性フィルム。
  4. 【請求項4】 ポリエステルフィルムが、光線透過率8
    0%以上の透明フィルムである請求項1に記載の制電性
    フィルム。
  5. 【請求項5】 製版用フィルムに用いる請求項4に記載
    の制電性フィルム。
JP07301191A 1995-11-20 1995-11-20 制電性フィルム Expired - Fee Related JP3098408B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP07301191A JP3098408B2 (ja) 1995-11-20 1995-11-20 制電性フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP07301191A JP3098408B2 (ja) 1995-11-20 1995-11-20 制電性フィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09141802A JPH09141802A (ja) 1997-06-03
JP3098408B2 true JP3098408B2 (ja) 2000-10-16

Family

ID=17893878

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP07301191A Expired - Fee Related JP3098408B2 (ja) 1995-11-20 1995-11-20 制電性フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3098408B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09141802A (ja) 1997-06-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3098404B2 (ja) 帯電防止性ポリエステルフィルム
JP3205205B2 (ja) Ohp用ポリエステルフイルム
JP3098408B2 (ja) 制電性フィルム
JP3205258B2 (ja) 易接着性ポリエステルフィルム
JP5404733B2 (ja) 塗布フィルム
JP2525480B2 (ja) 帯電防止性ポリエステルフイルム
JP4742470B2 (ja) 積層ポリエステルフィルム
JP2000289168A (ja) ポリエステルフィルム
JP3172082B2 (ja) 帯電防止性ポリエステルフィルム
JP3210232B2 (ja) 帯電防止性ポリエステルフィルム
EP0835752A2 (en) Laminated polyester film and ink jet printing sheet
JP3527051B2 (ja) 帯電防止性ポリエステルフィルム
JPH0681714B2 (ja) 被覆プラスチックフィルム
JPH0316728A (ja) 蒸着ポリエステルフィルム
JP3105343B2 (ja) 帯電性の改良された易接着性ポリエステルフイルム及びその製造法
JPH04301447A (ja) ポリエステル複合フィルム
JP3259451B2 (ja) 積層ポリエステルフィルム及びその製造方法
JP2528210B2 (ja) 易接着性高強度ポリエステルフイルムの製造方法
JP3210213B2 (ja) 易接着性ポリエステルフィルム
JP3227984B2 (ja) 易接着性ポリエステルフィルム
JPH0253222B2 (ja)
JPH01236247A (ja) ポリエステル系被覆フィルム
JPH09207295A (ja) 金属化ポリエステルフィルム
JP2004098596A (ja) 二軸配向ポリエステルフィルム
JPH11291428A (ja) 易接着性ポリエステルフィルム

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090811

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees