JP3096202B2 - トリオキサンの製造方法 - Google Patents

トリオキサンの製造方法

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JP3096202B2
JP3096202B2 JP06009582A JP958294A JP3096202B2 JP 3096202 B2 JP3096202 B2 JP 3096202B2 JP 06009582 A JP06009582 A JP 06009582A JP 958294 A JP958294 A JP 958294A JP 3096202 B2 JP3096202 B2 JP 3096202B2
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D323/00Heterocyclic compounds containing more than two oxygen atoms as the only ring hetero atoms
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D323/00Heterocyclic compounds containing more than two oxygen atoms as the only ring hetero atoms
    • C07D323/04Six-membered rings
    • C07D323/06Trioxane

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリオキシメチレンの
原料であるトリオキサンをホルムアルデヒド水溶液より
製造する方法に関し、更に詳しくは、ホルムアルデヒド
水溶液からトリオキサンを製造するに際し、一貫して省
エネルギー化を図ったトリオキサンの製造方法を提供す
るものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】一般
に、ホルムアルデヒド水溶液よりトリオキサンを製造す
る工程は、次の3つの操作からなる。即ち ホルムアルデヒド水溶液よりトリオキサンを合成する
操作 合成して得られたトリオキサンを含むホルムアルデヒ
ド水溶液を触媒と分離する操作 トリオキサンを含むホルムアルデヒド水溶液からトリ
オキサンを分離精製する操作、である。 従って、ホルムアルデヒド水溶液からトリオキサンを製
造するに際し、抜本的な省エネルギーを図るためには、
これら各操作に一貫した新規な手法が必要である。従
来、純粋なトリオキサンを製造する方法としては、30〜
70重量%のホルムアルデヒド水溶液を硫酸等の液体酸の
存在下に加熱蒸留することによってトリオキサンを合成
しながら、生成したトリオキサンを含むホルムアルデヒ
ド水溶液を反応系から取り出し、トリオキサン20〜55重
量%、ホルムアルデヒド17〜35重量%、および水20〜50
重量%の組成の留出液を得た後、留出液を水に不溶ない
し難溶の溶剤でトリオキサンを抽出し、この抽出液を精
留してトリオキサンを分離する方法が用いられている
(特公昭41−6344号公報)。また、上記方法における液
体酸の代わりに、合成触媒として各種の固体酸を用いる
方法が例えば特公昭40−12794 号公報、特開昭58−2639
85号公報、特開昭59−134786号公報に開示されている。
【0003】また、蒸留あるいは蒸発により反応系から
取り出されたトリオキサン含有ホルムアルデヒド水溶液
よりトリオキサンを抽出するための溶剤についても各種
の提案がなされている(特公昭41−6344号公報、特公昭
42−12671 号公報)。さらに特開平3−145485号公報に
は30〜85重量%のホルムアルデヒド水溶液を蒸留塔に供
給し、塔下部から抜き出した液を酸触媒、特に固体酸触
媒が充填された反応器へ流入し、この反応器より流出し
たトリオキサンを含むホルムアルデヒド水溶液を蒸留塔
中段部に循環するトリオキサンの製造方法が開示されて
いる。しかしながら、これらの方法はいずれも酸触媒存
在下でホルムアルデヒド水溶液からトリオキサンを合成
した後、反応系からトリオキサン含有ホルムアルデヒド
水溶液を取り出し、さらには必要に応じてトリオキサン
を濃縮するにあたり、蒸留あるいは蒸発によってこれを
行うものであり、多量のエネルギーを要する。
【0004】即ち、反応系からのトリオキサンの取り出
しを蒸留あるいは蒸発によって行う場合、トリオキサン
・ホルムアルデヒド・水の間の気液平衡の関係上、前記
特公昭41−6344号公報等にも記載の如く、トリオキサン
に富む気相側(蒸留液)にも多量の水分が含まれること
は避けられず、この水分の蒸発に伴って多量の蒸発熱
(顕熱および潜熱)が失われることとなり、トリオキサ
ンの製造に必要なエネルギー量が増大することになる。
【0005】また、特開平4−49250 号公報には、固体
酸触媒反応工程と、抽出工程を組み合わせ、トリオキサ
ンを反応原液より抽出する方法が提案されている。この
方法では、固体酸を充填した反応器を2基以上設け、1
基以上の反応器でホルムアルデヒド水溶液あるいはホル
ムアルデヒド水溶液と抽出溶媒との混合液を強制的に循
環しながら反応させてトリオキサンを合成し、反応液を
抽出溶剤と接触させてトリオキサンを抽出分離し、トリ
オキサンを抽出した後のホルムアルデヒド水溶液を、他
の反応器におけるトリオキサン合成原料として用いるも
のである。ところが、この方法では、2基以上の反応器
を必須とし、また抽出器も反応器に対応する数だけ必要
となるか、あるいは1つの抽出器(塔)の場合、複雑な
構成を余儀なくされるため反応設備の設置に多大な費用
を必要とする。また、合成したトリオキサンを含有する
ホルムアルデヒド水溶液と抽剤および固体酸触媒を同時
に接触させる場合、長期にわたって使用するとこれらの
間に反応が生じて触媒が劣化し、これに伴って反応収率
も低下するおそれがある。さらに1基目の反応器でトリ
オキサンを合成し、抽出器で抽出した後のホルムアルデ
ヒド濃度の低下したホルムアルデヒド水溶液を他の反応
器に供給してトリオキサンを合成し、順次この操作を繰
り返す本公報記載の方法では原料ホルムアルデヒドから
トリオキサンへの見掛け上の転化率は向上するものの、
ホルムアルデヒドからトリオキサンへの合成反応は平衡
反応であるため、2基目以降の反応器でのトリオキサン
の反応平衡は順次低下し、抽出効率が低下すると共に、
その後のトリオキサンの単離が難しくなる。特に、特開
平4−49250 号公報の実施例に記載の如くトリオキサン
より低沸点の有機溶剤を用いてトリオキサンを抽出した
場合、上記のようなトリオキサンの反応平衡の低下とこ
れに伴う抽出効率の低下と相まって、その後のトリオキ
サンの分離精製操作に多大なエネルギーが消費されるで
あろうと予測される。以上述べたように、これら従来の
トリオキサン製造法には、ホルムアルデヒド水溶液より
トリオキサンを製造するに際し、トリオキサンの合成か
らトリオキサンの精製に到るまでの一貫した工程によっ
て、抜本的にトリオキサン製造時において消費されるエ
ネルギーを削減しようとの試みは全くなされておらず、
一貫した抜本的省エネルギー対策に関する技術思想は皆
無であった。
【0006】上記事情に鑑み、本発明者らは特願平4−
208265号において、ホルムアルデヒド水溶液より純粋な
トリオキサンを製造するに際し、含有する水の相変化を
伴うことなくトリオキサンの合成及び反応系からのトリ
オキサンの取り出しを行い、なおかつ反応系からのトリ
オキサンの精製に適した有機溶媒を選択するという提案
を行った。かかるプロセスによりトリオキサン製造時に
おいてからりのエネルギーの削減が図れるが、その後さ
らに検討した結果、かかるプロセスにおいて、トリオキ
サン含有ホルムアルデヒド水溶液からトリオキサンを有
機溶媒へ抽出した抽剤中に微量の水分やホルムアルデヒ
ドなどの低沸点成分が含まれ、次のトリオキサンの精製
において、蒸留効率を下げるという問題があることが判
明した。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、微
量の水分やホルムアルデヒドなどの低沸点成分の含有に
より、そのままの抽出相だけでは蒸留効率の低い特願平
4−208265号の技術を更に改良すべく鋭意検討し、本発
明を完成したものである。即ち本発明は、ホルムアルデ
ヒド水溶液からトリオキサンを製造する方法であって、
下記(i) 〜(iv)の工程を具備していることを特徴とする
トリオキサンの製造方法に関する。 (i) 高濃度のホルムアルデヒド水溶液を固体酸触媒が充
填された反応器に通してトリオキサンを得る工程 (ii) (i)で得られたトリオキサンを含有するホルムアル
デヒド水溶液から、トリオキサンより高沸点で且つトリ
オキサンと共沸組成を持たない水に不溶な有機溶媒によ
り、トリオキサンを抽出する工程 (iii) (ii)で得られたトリオキサン含有有機溶媒相に含
まれる低沸点物質を蒸留または蒸発により予め除去する
工程 (iv) (iii)で低沸点成分を除去したトリオキサン有機溶
媒について蒸留操作を行い、その蒸留塔塔頂からトリオ
キサンを得、蒸留塔塔底よりの有機溶媒を(ii)の工程に
戻す工程 本発明の方法において特徴的なことは、まず第1に、従
来技術、例えば前記特公昭41−6344号公報および特開平
3−145485号公報等に記載されている方法にみられるよ
うに、ホルムアルデヒド水溶液よりトリオキサンを合成
し、合成されたトリオキサンを反応系から取り出すに際
し、トリオキサンを含有するホルムアルデヒド水溶液を
たきあげてトリオキサンを濃縮する操作を本発明におい
ては伴わないことである。即ち、本発明方法では合成さ
れたトリオキサンを原料ホルムアルデヒド水溶液から分
離するに際し、水の相変化を伴わずに分離するため、従
来技術で見られる水の蒸発に伴う大きなエネルギーを要
することがない。第2に、特開平4−49250 号公報に記
載の方法で提案されているような複雑な操作が不要で、
しかも反応器には常に制御された高濃度のホルムアルデ
ヒド水溶液が供給されるため反応液中のトリオキサン平
衡濃度を高く維持することができ、反応液からのトリオ
キサンの抽出及びその後の分離精製を効率的に行うこと
ができることである。第3に、本発明方法では、トリオ
キサン抽出後のトリオキサンを分離精製する操作の合理
化にも着目して抽出溶媒の選択を行っており、ホルムア
ルデヒド水溶液からトリオキサンを合成する工程からト
リオキサンを精製する工程に到るまで一貫した効率化を
図り、大幅な省エネルギー化を実現せしめるトリオキサ
ンの製造方法を提供したことである。第4に、特願平4
−208265号記載の発明で問題となっていた、微量の水分
やホルムアルデヒドなどの低沸点成分を予め除去し、ト
リオキサンの精製操作を効率化したものである。
【0008】以下、本発明のトリオキサンの製造方法を
詳細に説明する。まず、本発明で使用する高濃度のホル
ムアルデヒド水溶液とは、濃度40〜85重量%(ホルムア
ルデヒド基準)のものである。ここで、高濃度のホルム
アルデヒド水溶液の濃度が40重量%未満では、(i) の工
程においてホルムアルデヒドからトリオキサンへの転化
率が悪く、85重量%を越えるとパラホルムの発生があり
操作が困難となるためである。好ましくは55〜80重量
%、さらに好ましくは60〜75重量%に調整するのがよ
い。上記高濃度のホルムアルデヒド水溶液は、通常のホ
ルムアルデヒドの製造法、例えばメタノール酸化法(い
わゆる空気過剰法およびメタノール過剰法)、メチラー
ル酸化法(例えば特開平1−287051号公報)より得たホ
ルムアルデヒド水溶液、あるいはホルムアルデヒドガス
を原料として調製され、これら原料を通常用いられる吸
収・蒸発・蒸留等の操作を用いて濃縮あるいは希釈して
得られる。即ち、原料ホルムアルデヒド水溶液のホル
ムアルデヒド濃度が目的濃度未満である場合は、これを
蒸発または蒸留操作によって濃縮せしめて目的濃度とす
れば良く、原料ホルムアルデヒド水溶液のホルムアル
デヒド濃度が目的濃度を越える場合及びホルムアルデヒ
ドガスである場合は、これに水又はホルムアルデヒド水
溶液を添加せしめて目的濃度とすれば良い。
【0009】(i) の工程は、高濃度のホルムアルデヒド
水溶液を固体酸触媒を含有した反応器に通じてトリオキ
サンを生成させる工程である。ここで用いられる固体酸
触媒としては、有機物固体酸、無機物固体酸のいずれで
もよく、これらの2種以上の混合物でもよい。有機固体
酸としては、スルホン酸基、フルオロアルカンスルホン
酸基等を有するイオン交換樹脂、イオン交換膜、イオン
交換繊維、又、無機物固体酸としては、酸性白土、シリ
カ、アルミナ、シリカアルミナ、アルミナボリア、ゼオ
ライト等の無機物酸化物複合体、あるいは固体担体に硫
酸、燐酸、ほう酸などを含浸させたものが例示される。
また、これらの固体酸触媒を含有する反応器本体として
は、充填層型、パイプ管型、籠型、流動層型、段塔型な
ど何れの形式でもよい。また、反応に係る諸条件、例え
ば触媒の種類、反応器への触媒充填量、原料ホルムアル
デヒド水溶液の供給量、滞留時間、反応温度等は相互に
関連し合うものであり、一義的にこれらの条件を決定す
ることはできないが、反応器において、ホルムアルデヒ
ドからトリオキサンへの反応が十分に進行し、一般的に
は反応器出口におけるトリオキサン濃度が原料ホルムア
ルデヒド水溶液に対して実質的に平衡濃度になるよう、
これらの条件を設定する。設定にあたっては、触媒の反
応性、耐熱性、製造量、実用性を加味した反応器容量が
考慮される。かかる諸条件の内、反応温度としては一般
的に85〜130 ℃が好ましい。80℃未満では反応速度が遅
く、130 ℃を越えると副反応であるカニツァロ反応が増
大する。また、反応器での滞留時間は通常25秒乃至25分
となるよう他の条件を設定することが好ましい。滞留時
間が25秒未満では反応性の高い触媒を選択しても反応が
十分進行しないか、反応制御が難しいものとなり、逆に
25分を越えるようになると副反応であるカニッツァロ反
応が増大し、また所望製造量によっては大きな反応器が
必要となり実用性に欠ける場合がある。
【0010】次に、(ii)の工程は、(i) で得られたトリ
オキサンを含有するホルムアルデヒド水溶液を相変化さ
せることなく抽出器に導入し、トリオキサンより高い沸
点を有し、且つトリオキサンと共沸組成を持たない、水
に不溶な有機溶媒を用いて、トリオキサンを抽出する工
程である。ここで用いられる有機溶媒は、トリオキサン
より高い沸点を有し、且つトリオキサンと共沸組成を持
たず、水に不溶であることを要件とする。また、密度は
0.8 〜0.95又は1.05〜1.15、ホルムアルデヒド水溶液に
対する有機溶剤へのトリオキサンの分配比が0.5 以上の
ものが好ましい。トリオキサンより高沸点の溶媒を用い
るのは、抽出後の蒸留操作において少量成分であるトリ
オキサンを塔頂側(気相)に留出させた方がエネルギー
収支上有利だからである。また、トリオキサンと共沸組
成を持たないものを用いることは、蒸留後の操作を煩雑
にしないためにも必要である。さらに有機溶剤の密度を
好ましくは上述した範囲にしたのは、抽出操作における
液分散および相分散を容易ならしめるためである。ま
た、分配比を好ましくは0.5 以上としたのは、一定以上
の抽出効率を確保するためである。上記諸条件を具備す
るものとしては、飽和脂肪族炭化水素、ハロゲン化脂肪
族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、アルキ
ル化芳香族、ハロゲン化芳香族化合物などが好適であ
る。更に具体的には、ノナン、1−クロロオクタン、ナ
フタレン、フェニルエーテル、アニソール、モノクロロ
ベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のジクロロベンゼン
類、キシレン類、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ジ
エチルベンゼン、クメン、メシチレン、ビフェニルなど
が特に好ましい。また、(ii)におけるトリオキサンの抽
出形式としては、通常用いられる抽出器形式であれば特
に限定されず、例示すると充填塔、棚段塔などが用いら
れ、接触方式も交流あるいは並流の何れでもよい。ま
た、抽出操作後の有機溶媒中のトリオキサンの組成は、
通常トリオキサンの合成時におけるホルムアルデヒド水
溶液濃度に依存する反応平衡濃度と該有機溶剤に対する
トリオキサンの分配性に依存し、通常1乃至10重量%で
ある。本発明は、かかる如く反応器で得られたトリオキ
サン含有ホルムアルデヒド水溶液を相変化させることな
く抽出器に導入してトリオキサンを溶媒で抽出するこ
と、又、抽出溶媒として上記条件に合致するものを用い
ることを複合させた所に大きな特徴があり、より少ない
エネルギーで純粋なトリオキサンを製造する上で大きく
寄与する。反応系からのトリオキサンの分離に蒸留又は
蒸発を用いた場合、あるいはトリオキサンの抽出に上記
条件に合致しない溶媒を用いた場合にはこのような効果
は殆ど期待できない。
【0011】(iii) の工程は本発明において最も特徴的
なものであり、(ii)の工程で得られたトリオキサン含有
有機溶媒相から、抽出時に同伴した微量の水分やホルム
アルデヒドなどの低沸点成分を予め除去する工程であ
る。トリオキサン含有有機溶媒相中の低沸点成分の含量
は一般に数10ppm 〜2000ppm であるが、本操作におい
て、フラッシュ蒸留または蒸発操作によって、これらの
成分が取り除かれる。装置としては、1〜数秒程度の蒸
留塔または蒸発缶が用いられる。又、操作温度は、選択
された有機溶媒によって異なるが、その有機溶媒の沸点
よりわずかに低い温度が好ましい。
【0012】最後の(iv)の工程は、 (iii)の操作後、微
量の低沸点成分をも含まないトリオキサン−有機溶媒系
について蒸留操作を行い、その蒸留塔塔頂からトリオキ
サンを得、蒸留塔塔底よりの有機溶媒を(ii)の抽出工程
に戻す工程である。この時用いられる蒸留塔の形式は棚
段塔、ほう鐘塔、充填塔の何れでもよく、使用する有機
溶剤とその溶液中のトリオキサン濃度によって各種方法
を用いることができる。
【0013】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。但し、本発明は、これらの実施例により限定され
るものではない。 実施例1 図1のプロセスフローAに従う実験装置を組み立てた。
図中、符号1は容量3リットルの蒸発缶、2は 300cm3
のダイヤイオン SK104(三菱化成製スチレン系強酸性陽
イオン交換樹脂)を満たした反応器、3は内径30mm、高
さ1.5 mの内部にラシヒリングが満たされた充填塔タイ
プの抽出塔、4は容量3リットルの蒸発缶、5は内径30
mmのシーブトレイ40段の蒸留塔である。まず、ラインa
より50重量%のホルムアルデヒド水溶液を100 g/hで
フィードし、蒸発缶1において、抽出塔3からの回収分
を含めて60重量%ホルムアルデヒド水溶液となるように
濃縮した。次に、濃縮後のホルムアルデヒド水溶液を、
ラインbを介して95℃に保った反応器2へ通液し、3.5
重量%のトリオキサンを含有するホルムアルデヒド水溶
液を得た(工程(i) )。次に、得られたトリオキサン含
有ホルムアルデヒド水溶液をラインcを介して抽出器3
に導入するとともに、ラインgよりo−ジクロロベンゼ
ンを2600ml/hの流量で通液し、ホルムアルデヒド水溶
液中からトリオキサンを抽出した(工程(ii))。このと
き、トリオキサン・o−ジクロロベンゼン中に水分が80
0ppm同伴していた。この抽出液をラインdを介して蒸発
缶4へ通液し、フラッシュ蒸発を行い水分を除去した
(工程(iii) )。本蒸発缶の下部より取り出した溶液中
には水分は含まれていなかった。この水分を含まない抽
出液をラインeを介して蒸留塔5へフィードして、蒸留
操作を行い、塔頂より、毎時46gのトリオキサンを得た
(工程(iv))。以上の実施例において、トリオキサン1
gを得るのに必要な蒸気量は1.87gであった。
【0014】比較例1 図2のプロセスフローBに従う実験装置を組み立てた。
図2中、符号1は容量3リットルの蒸発缶、2は 300cm
3 のダイヤイオン SK104(三菱化成製スチレン系強酸性
陽イオン交換樹脂)を満たした反応器、3は内径30mm、
高さ1.5 mの内部にラシヒリングが満たされた充填塔タ
イプの抽出塔、5は内径30mmのシーブトレイ20段の蒸留
塔である。即ち、図2のプロセスフローBは、実施例1
に比較して、抽出後の微量の低沸点物除去のためのフラ
ッシュ蒸発缶4を省いたものである。実施例1と同様に
ラインaより50重量%のホルムアルデヒド水溶液を100
g/hでフィードし、蒸発缶1において回収分を含めて
60重量%ホルムアルデヒド水溶液となるように濃縮し
た。次に、濃縮後のホルムアルデヒド水溶液をラインb
を介して95℃に保った反応器2へ通液し、3.5 重量%の
トリオキサンを含有するホルムアルデヒド水溶液を得
た。次に、得られたトリオキサン含有ホルムアルデヒド
水溶液をラインcを介して抽出器3に導入するととも
に、ラインfよりo−ジクロロベンゼンを2600ml/hの
流量で通液し、ホルムアルデヒド水溶液中からトリオキ
サンを抽出した。この抽出液をラインdを介して蒸留塔
5へフィードして、蒸留操作を行い、塔頂より、毎時46
gのトリオキサンを得た。但し、本トリオキサン中には
水分が0.4 %含まれていた。以上の比較例において、ト
リオキサン1gを得るのに必要な蒸気量は1.80gであっ
た。
【0015】実施例2〜5 実施例1と同様、プロセスフローAに沿い、触媒、抽出
用有機溶媒、有機溶媒の流量を、それぞれ表1に示すよ
うに変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。な
お実施例2〜5の結果は、実施例1の結果とあわせて表
1に示す。 比較例2〜5 比較例1と同様、プロセスフローBに沿い、抽出後の微
量低沸点成分除去のためのフラッシュ蒸発が省かれてい
る以外は、各実施例番号と同様の触媒、抽出用有機溶
媒、有機溶媒流量を用い、比較例1と同様の操作を行っ
た。なお比較例2〜5の結果は、比較例1の結果とあわ
せて表1に示す。
【0016】比較例6 図3は、従来のトリオキサンの製法によるプロセスフロ
ーの1例を示すものであり、本例は、この図3のプロセ
スフローCに従って実験装置を組み立て、操作を行っ
た。図3中、符号1は容量3リットルの蒸発缶、6は硫
酸が2重量%の割合で仕込まれた容量5リットルの加熱
蒸発式反応器、3は内径30mm、高さ0.5 mの内部にラシ
ヒリングが満たされた充填塔タイプの抽出塔、5、7は
内径30mmのシーブトレイ20段の蒸留塔である。ラインa
より50重量%のホルムアルデヒド水溶液を100 g/hで
フィードし、蒸発缶1で回収分を含めて60重量%ホルム
アルデヒド水溶液となるように濃縮した。次に濃縮後の
ホルムアルデヒド水溶液をラインcを介して反応器6へ
通液し、加熱反応させながら蒸発を行ってラインdより
17重量%のトリオキサンを含有するホルムアルデヒド水
溶液を得た。次に、この液を蒸留塔5でさらに蒸留し、
塔頂よりトリオキサン41重量%を含有するホルムアルデ
ヒド水溶液を得、これにより得られたトリオキサン含有
ホルムアルデヒド水溶液をラインhを介して抽出器3に
導入するとともに、ラインgよりベンゼンを 200ml/h
の流量で抽出器3内にフィードし、ホルムアルデヒド水
溶液中からトリオキサンを抽出した。次に、得られた抽
出液をラインeを介して蒸留塔7へフィードして、蒸留
操作に付し、この蒸留塔7の塔底より毎時42gのトリオ
キサンを得た。本トリオキサン中には水分は含まれてい
なかった。本比較例において、トリオキサン1gを得る
のに必要な蒸気は9gであった。
【0017】
【表1】
【0018】*1 陽イオン交換樹脂X;三菱化成製ス
チレン系強酸性陽イオン交換樹脂 陽イオン交換樹脂Y;デュポン社製フルオロアルカンス
ルホン酸系イオン交換樹脂 *2 ナフタレン/ジエチルベンゼン=9:1(重量
比)
【0019】
【発明の効果】上述した実施例にて明らかなように、本
発明のトリオキサンの製造方法によれば、ホルムアルデ
ヒド水溶液からトリオキサンを製造する工程において一
貫したエネルギー削減が可能となり、特にトリオキサン
の分離精製に際し、抽出時に混入する微量の水分等の低
沸点成分を前除去することにより蒸留操作がより容易に
なった。さらに抽出有機溶媒が反応器に流入しないの
で、触媒の有機溶媒による劣化を考慮する必要がなく運
転操作が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明のトリオキサンの製造方法を
行うのに好適なプロセスフローの一例を示す図である。
【図2】 図2は、本発明のトリオキサンの製造方法か
ら低沸点成分除去の工程を省いた場合のプロセスフロー
の一例を示す図である。
【図3】 図3は、従来のトリオキサンの製造方法を行
うプロセスフローの一例を示す図である。
【符号の説明】
1…蒸発缶 2…反応器 3…抽出塔 4…蒸発缶 5…蒸留塔 6…反応器 7…蒸留塔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 笠井 有三 静岡県富士市岩本338−8 (72)発明者 福井 勇一 静岡県富士市森下52 (56)参考文献 特開 平6−73046(JP,A) 特開 平7−188213(JP,A) 特開 昭58−198482(JP,A) 特開 平4−49250(JP,A) 特開 平3−123777(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 323/06

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホルムアルデヒド水溶液からトリオキサ
    ンを製造する方法であって、下記(i) 〜(iv)の工程を具
    備していることを特徴とするトリオキサンの製造方法。 (i) 高濃度のホルムアルデヒド水溶液を固体酸触媒が充
    填された反応器に通してトリオキサンを得る工程 (ii) (i)で得られたトリオキサンを含有するホルムアル
    デヒド水溶液から、トリオキサンより高沸点で且つトリ
    オキサンと共沸組成を持たない水に不溶な有機溶媒によ
    り、トリオキサンを抽出する工程 (iii) (ii)で得られたトリオキサン含有有機溶媒相に含
    まれる低沸点物質を蒸留または蒸発により予め除去する
    工程 (iv) (iii)で低沸点成分を除去したトリオキサン有機溶
    媒について蒸留操作を行い、その蒸留塔塔頂からトリオ
    キサンを得、蒸留塔塔底よりの有機溶媒を(ii)の工程に
    戻す工程
  2. 【請求項2】 高濃度のホルムアルデヒド水溶液のホル
    ムアルデヒド濃度が、40〜85重量%である請求項1記載
    のトリオキサンの製造方法。
  3. 【請求項3】 高濃度のホルムアルデヒド水溶液を得る
    方法が、原料ホルムアルデヒド水溶液のホルムアルデ
    ヒド濃度が40重量%未満である場合は、これを蒸発また
    は蒸留操作によって濃縮せしめて目的濃度とする方法で
    あり、原料ホルムアルデヒド水溶液のホルムアルデヒ
    ド濃度が85重量%を越える場合及びホルムアルデヒドガ
    スである場合は、これに水又はホルムアルデヒド水溶液
    を添加せしめて目的濃度とする方法である請求項1又は
    2記載のトリオキサンの製造方法。
  4. 【請求項4】 使用する固体酸触媒が、無機物固体酸、
    有機物固体酸もしくはこれらの混合物である請求項1〜
    3の何れか1項記載のトリオキサンの製造方法。
  5. 【請求項5】 使用する有機溶媒が、飽和脂肪族炭化水
    素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香
    族炭化水素、アルキル化芳香族、ハロゲン化芳香族化合
    物、芳香族エーテル類及び芳香族ケトン類より選ばれた
    1種又は2種以上の混合物である請求項1〜4の何れか
    1項記載のトリオキサンの製造方法。
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