JP3094445B2 - 光ディスク - Google Patents

光ディスク

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JP3094445B2
JP3094445B2 JP02329768A JP32976890A JP3094445B2 JP 3094445 B2 JP3094445 B2 JP 3094445B2 JP 02329768 A JP02329768 A JP 02329768A JP 32976890 A JP32976890 A JP 32976890A JP 3094445 B2 JP3094445 B2 JP 3094445B2
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temperature
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ene
thermoplastic resin
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功 西脇
弘信 篠原
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ジェイエスアール株式会社
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  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
  • Manufacturing Optical Record Carriers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、耐熱性、成形性、転写性、寸法安定性、反
射膜や記録膜の密着性などに優れ、複屈折が小さく、光
学特性に優れた光ディスク基板を用いた光ディスクに関
する。
〔従来の技術〕
最近に至り、従来の磁気方式に較べ、非接触、単位体
積あたりの情報量の多さなどから、情報を光によって読
み書きするメディアとして、光ディスクが大きく伸長し
てきている。光ディスクとしては情報をあらかじめ光デ
ィスクに導入し、それを音や画像として再生するコンパ
クトディスク(CD)、レーザーディスク(LD)、CD−RO
M、CD−Iなど、また光ディスク基板に記録膜などを付
着させ、レーザーによって情報を書き込んで用いるCD−
RやDRAW、または情報の読み書きが繰り返しできるE−
DRAWディスクなどがある。
これらの光ディスクは、それぞれの要求性能に応じ
て、プラスチック材料で成形された基板が用いられてい
る。例えば、コンパクトディスク、CD−ROM、CD−I、C
D−R、DRAW、E−DRAWなどのディスクでは、基板材料
としてポリカーボネートが用いられ、レーザーディスク
では、ポリメチルメタクリレートが一般に用いられてい
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、これらの光ディスクでは、基板材料に
おいて、必ずしも満足されているわけではなく、それぞ
れ種々の欠点を有している。
すなわち、コンパクトディスクでは、基板材料として
ポリカーボネートが用いられているが、この材料の表面
硬度の低さ、複屈折の大きさ、成形性の悪さなどの特有
の欠点によって、光ディスクの表面が傷ついたり、音が
歪んだり、成形の歩留まりが悪いなどの欠点を有してい
る。
レーザーディスクでは、ポリメチルメタクリレートの
吸水性の大きさによって、変形が生じたり、あるいはこ
の変形を防止するために2枚を貼り合わせるなど、余分
の工程が必要となっている。また、耐熱性が不充分であ
るため、反射膜であるアルミニウムを低温による真空蒸
着で実施せねばならず、この工程はバッチ方式となり、
生産性に問題がある。
CD−ROM、CD−R、CD−I、DRAWなどの光ディスクに
おいても、通常、ポリカーボネートが用いられている
が、複屈折が大きく、読み取りミスが生じたり、表面の
傷つきなどに問題がある。
E−DRAWでも、ポリカーボネートを用いることが試み
られているが、基板の複屈折が大きく、かつ熱や応力に
よって、複屈折が大きく変化するため、情報の読み取り
ミスが生じたり、レーザーによる読み書きの繰り返しに
ともなって、ポリカーボネートの耐熱性の問題から、ピ
ットが変形するなどの長期使用のための信頼性が不足す
る欠点がある。また、表面硬度が低いために、保護膜の
付着が必要であったり、保護膜を付着させない場合に
は、傷つきの問題などが生じる。
本発明は、前記従来技術の課題を背景になされたもの
で、耐熱性、成形性、転写性、寸法安定性、反射膜や記
録膜の密着性などに優れ、複屈折が小さく、光学特性に
優れた光ディスクを提供するものである。また、本発明
は、吸湿や高温における寸法変化や反りが小さく、従っ
て貼り合わせの必要のない単面の優れた性能を有するレ
ーザーディスク用の光ディスクを提供することを目的と
する。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、下記一般式(I)で表されるトリシクロデ
カンを基本骨格とし、固有粘度〔η〕inh(30℃、クロ
ロホルム中)が0.3〜1.5dl/g、ゲル含有量が0.01重量%
以下、かつハロゲン含有量が500ppm以下である熱可塑性
樹脂からなる光ディスク基板を用いた光ディスクを提供
するものである。
〔式中、A、B、DおよびEは水素原子、炭素数1〜10
の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換され
た炭素数1〜10の炭化水素基、 −(CH2nCOOR1、 −(CH2nOCOR1、 −(CH2nOR1−、−(CH2nCN、 −(CH2nCONR3R2、 −(CH2nCOOZ、 −(CH2nOCOZ、 −(CH2nOZ、−(CH2nW、または BとDから構成された もしくは(多)環状アルキレン基を示す。
ここで、R1、R2、R3およびR4は炭素数1〜20の炭化水
素基、Zはハロゲン原子で置換された炭化水素基、Wは
SiR5 pF3-p(R5は炭素数1〜10の炭化水素基、Fはハロ
ゲン原子、−OCOR6または−OR6(R6は炭素数1〜10の炭
化水素基を示す)、pは0〜3の整数を示し、nは0〜
10の整数を示す。〕 この熱可塑性樹脂としては、例えば下記一般式(II)
で表される少なくとも1種のテトラシクロドデセン誘導
体または該テトラシクロドデセンと共重合可能な不飽和
環状化合物とをメタセシス重合して得られる重合体を水
素添加して得られる水添重合体を用いることができる。
〔式中、A、B、DおよびEは、水素原子、炭素数1〜
10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換さ
れた炭素数1〜10の炭化水素基、 −(CH2nCOOR1、 −(CH2nOCOR1、 −(CH2nOR1、−(CH2nCN、 −(CH2nCONR3R2、 −(CH2nCOOZ、 −(CH2nOCOZ、 −(CH2nOZ、−(CH2nW、または BとDから構成された もしくは(多)環状アルキレン基を示す。
ここで、R1、R2、R3およびR4は、炭素数1〜20の炭化
水素基、Zはハロゲン原子で置換された炭化水素基、W
はSiR5 pF3-p(R5は炭素数1〜10の炭化水素基、Fはハ
ロゲン原子、−OCOR6または−OR6(R6は炭素数1〜10の
炭化水素基を示す)、pは0〜3の整数を示す)、nは
0〜10の整数を示す。〕 前記一般式(II)で表されるテトラシクロドデセン誘
導体の具体例としては、 8−メチルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−
3−エン、 8−エチルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−
3−エン、 8−プロピルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ
−3−エン、 8−メチル−9−メチルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.1
7,10〕ドデカ−3−エン、 8−メチル−9−エチルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.1
7,10〕ドデカ−3−エン、 8−メチル−9−プロピルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.1
7,10〕ドデカ−3−エン、 8−エチル−9−エチルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.1
7,10〕ドデカ−3−エン、 8−エチル−9−プロピルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.1
7,10〕ドデカ−3−エン、 8−プロピル−9−プロピルテトラシクロ〔4.4.0.
12,5.17,10〕ドデカ−3−エンなどのテトラシクロ〔4.
4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エンおよびそのアルキル
置換体、 4,9,5,8−ジメタノ−3a,4.4a,5,8,8a,9,9a−オクタドロ
−1H−ベンゾインデンなどのペンタシクロペンタデカジ
エン類およびそのアルキル置換体、 4,9,5,8−ジメタノ−2,3,3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−デカヒ
ドロ−1H−ベンゾインデンなどのペンタシクロペンタデ
セン類およびそのアルキル置換体、 8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.1
7,10〕ドデカ−3−エン、 8−エトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.1
7,10〕ドデカ−3−エン、 8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.1
2,5.17,10〕ドデカ−3−エン、 8−プロポキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.1
7,10〕ドデカ−3−エン、 8−ブトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.1
7,10〕ドデカ−3−エン、 8−(2−メチルプロポキシ)カルボニルテトラシクロ
〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、 8−(1−メチルプロポキシ)カルボニルテトラシクロ
〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、 8−(2,2−ジメチルエトキシ)カルボニルテトラシク
ロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、 8−シクロヘキシルオキシカルボニルテトラシクロ〔4.
4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、 8−(4′−t−ブチルシクロヘキシルオキシ)カルボ
ニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エ
ン、 8−フェノキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.1
7,10〕ドデカ−3−エン、 8−メチル−8−メトシキカルボニルテトラシクロ〔4.
4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、 8−メチル−8−エトシキカルボニルテトラシクロ〔4.
4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、 8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシク
ロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、 8−メチル−8−プロポキシカルボニルテトラシクロ
〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、 8−メチル−8−ブトシキカルボニルテトラシクロ〔4.
4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、 8−メチル−8−(2−メチルプロポキシ)カルボニル
テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、 8−メチル−8−(1−メチルプロポキシ)カルボニル
テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、 8−メチル−8−(2,2−ジメチルエトキシ)カルボニ
ルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エ
ン、 8−メチル−8−シクロヘキシルオキシカルボニルテト
ラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、 8−メチル−8−(4′−t−ブチルシクロヘキシルオ
キシ)カルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ド
デカ−3−エン、 8−メチル−8−フェノキシカルボニルテトラシクロ
〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、 8−シアノテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−
3−エン、 8−メチル−8−シアノテトラシクロ〔4.4.0.12,5.1
7,10〕ドデカ−3−エン、 などが挙げられる。
これらのシクロドデセン誘導体は、単独であるいは2
種以上を組み合わせて用いることができる。
また、前記テトラシクロドデセン誘導体は、これと共
重合可能な不飽和環状化合物を95モル%以下、好ましく
は50モル%以下程度使用して共重合体とすることもでき
る。この不飽和環状化合物としては、例えば一般式(II
I) 〔式中、A、B、DおよびEは、一般式(I)および
(II)と同じ〕で表されるビシクロ(2.2.1)ヘプト−
2−エン誘導体、シクロブテン、シクロペンテン、シク
ロオクテン、1,5−シクロオクタジエン、1,5,9−シクロ
ドデカトリエン、ノルボルネン、4−エチリデンノルボ
ルネン、5−メチルノルボルネン、ジシクロペンタジエ
ン、テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.01,6〕ドデカ−3
−エン、8−エチリデン−テトラシクロ〔4.4.12,5.1
7,10.01,6〕ドデカ−3−エンなどを挙げることができ
る。
前記一般式(II)で表されるテトラシクロドデセン誘
導体または一般式(III)で表される不飽和環状化合物
において、A、B、DおよびEのうちに極性基を含むこ
とが、成形して得た光ディスク基板に反射膜や記録膜を
形成させる際、膜の密着性が優れたものとなる点で好ま
しい。さらに、この極性基が−(CH2nCOOR1で表され
るカルボン酸エステル基であることが、得られる水添重
合体が高いガラス転移温度を有するものとなる点で好ま
しい。
特に、このカルボン酸エステル基よりなる極性置換基
は、一般式(II)のテトラシクロドデセン誘導体または
一般式(III)の不飽和環状化合物の1分子あたりに1
個含有されることが、得られる水添重合体の高い耐熱性
を保持したまま、吸湿性を低くできる点で好ましい。
また、−(CH2nCOOR1で表されるカルボン酸エステ
ル基のうち、nの値が小さいものほど、得られる水添重
合体のガラス転移温度がさらに高くなるので好ましい。
前記一般式において、R1は炭素数1〜20の炭化水素基
であるが、炭素数が多くなるほど得られる水添重合体の
吸湿性が小さくなる点では好ましいが、得られる水添重
合体のガラス転移温度とのバランスの点から、炭素数1
〜4の鎖状アルキル基または炭素数5以上の(多)環状
アルキル基であることが好ましく、特にメチル基、エチ
ル基、シクロヘキシル基であることが好ましい。
さらに、カルボン酸エステル基が結合した炭素原子
に、同時に炭素数1〜10の炭化水素基が置換基として結
合されている一般式(II)のテトラシクロドデセン誘導
体または一般式(III)の不飽和環状化合物は、得られ
る水添重合体のガラス転移温度を低下させずに、吸湿性
を低下させるので好ましい、特に、この置換基がメチル
基またはエチル基である一般式(II)のテトラシクロド
デセン誘導体または一般式(III)の不飽和環状化合物
は、その合成が容易な点で好ましい。
これらのテトラシクロドデセン誘導体、あるいはこれ
と共重合可能な不飽和環状化合物の混合物は、例えば特
開平−77520号公報第4頁右上欄第12行〜第6頁右下欄
第6行に記載された方法によって、メタセシス重合、水
素添加され、本発明に使用される熱可塑性樹脂とするこ
とができる。
本発明において、熱可塑性樹脂として使用される水添
重合体の分子量は、クロロホルム中、30℃で測定される
固有粘度(〔η〕inh)が、0.3〜1.5dl/gの範囲、ポリ
スチレン換算の重量平均分子量では、10,000〜700,000
である。
〔η〕inhまたは重量平均分子量が上記範囲にあるこ
とによって、成形加工性、耐熱性、耐水性、耐薬品性、
機械的特性などが良好である。
また、水添重合体の水素添加率は、60MHz、1H−NMRで
測定した値が50%以上、好ましくは90%以上、さらに好
ましくは98%以上である。水素添加率が高いほど、熱や
光に対する安定性が優れたものとなる。
なお、本発明の熱可塑性樹脂として使用される水添重
合体は、該水添重合体中に含まれるゲル含有量が0.01重
量%以下である。
ゲル含有量が0.01重量%を超えると、射出成形ではい
かなる成形条件の変更を行っても、成形品表面のシルバ
ーストリークやフィッシュアイの発生を防止することが
できなくなる。ゲル含有量が0.01重量%を下回るにつれ
て、射出成形の成形条件の制御により、これらの成形不
良を少なく抑えることができるようになる。特に、ゲル
含有量を0.01重量%以下に抑えることにより、より高い
温度、高い射出速度などの厳しい条件で射出成形を行う
ことができる。より精密な光学部品を成形する場合に
は、ゲル含有量0.01重量%以下に抑える。
このようなゲル含有量の少ない水添重合体を得る方法
としては、例えば下記のような方法を挙げることができ
る。
仕上げ(溶媒の除去)工程を、すべて不活性雰囲気下
で行う方法。
この仕上げ工程、特に溶媒の除去は、加熱して行われ
るので、ゲル化を防止するためにはチッ素雰囲気下で操
作することが望ましい。具体的には、仕上げ工程に入る
前の(水添)重合体溶液の取り扱いをすべてチッ素雰囲
気下で行う。溶媒の除去を減圧下で行う場合において
も、装置の漏れをできる限り減らすとともに、万一、漏
れがあっても空気ではなくチッ素が漏れるように装置全
体をチッ素雰囲気下に設置する、などの操作が挙げられ
る。
適当な酸化防止剤を、例えば重合体の水添工程後に添
加する方法。
ここで、ゲルの発生を防止するために用いることので
きる酸化防止剤としては、フェノール系などの一般によ
く知られている酸化防止剤が適用できる。具体的には、
ペンタエリスリトール−テトラキス〔3−(3−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−t−
ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、 3,9−ビス〔2−(3−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕1,1−
ジメチルエチル〕2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,
5〕ウンデカン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリ
ス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル
ベンジルイソシアヌレートなどが挙げられる。これらの
フェノール系酸化防止剤に、さらにリン系酸化防止剤を
組み合わせて使用してもよい、例えば、このリン系酸化
防止剤としては、ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−
メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイ
ト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスファイ
ト)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル
ホスホネートジエチルエステルなどが挙げられる。
仕上げ(溶媒の除去)時の温度をできるだけ下げる方
法。
この方法としては、次のような(イ)〜(ハ)の方法
が挙げられる。
(イ)溶媒をできるだけ沸点の低いものを用いる。
しかしながら、あまり沸点の低い溶媒を用いると、重
合時、水添時の内圧が高くなり、装置の耐圧を上げる必
要が生じたり、溶媒そのものが高価なものになるなどの
多の要因を考慮しなければならない。
(ロ)溶媒の除去を減圧下で行う。この方法は、充分
に効果が期待できる。
(ハ)処理される(水添)重合体溶液が、できるだけ
薄い膜となって効率よく溶媒が揮発できるような装置を
用いる。
以上のような方法により、溶媒の除去の際の温度は、
酸化防止剤を用いない条件では300℃以下に保つことが
好ましい。また、適当な酸化防止剤を用いた場合では、
380℃以下に保つことが好ましい。
また、前記〜の方法によってもゲルが発生してし
まった場合や、前記〜の方法を行わなかった場合な
どでゲルが発生してしまった場合には、ろ過により除去
してもよい。
発生したゲルのろ過による除去は、次のような方法で
行われる。すなわち、(水添)重合体を適当な良溶媒に
20重量%以下、好ましくは15重量%以下の濃度に溶か
し、この溶液を孔径が1μm程度のフィルターでろ過す
る。より完全にゲルを除去する必要がある場合には、孔
径が0.5μm程度のフィルターを用いることができる。
本発明においては、これらの方法のいずれも有効に活
用することができるし、これらの方法を組み合わせて水
添重合体を製造するとさらに効果的である。
また、本発明において、熱可塑性樹脂として使用され
る前記水添重合体は、該水添重合体中に含まれる水分量
を1,000ppm以下に抑えた場合には、射出成形時のシルバ
ーストリークおよびフィッシュアイの発生、成形品の表
面の剥離などがさらに抑制され、より安定した成形を行
うことができる。
より高い温度、高い射出速度などの厳しい条件で射出
成形を行う場合には、水添重合体の水分量を300ppm以下
に抑えると良好な結果が得られる。
さらに、長期にわたって安定に成形を行いたい場合に
は、水添重合体の水分量を100ppm以下に抑えることが望
ましい。
このように、水分の含有量の少ない水添重合体を得る
方法としては、一般の重合体の乾燥に用いられている方
法、例えば真空乾燥法、乾燥空気もしくは乾燥チッ素に
よる気流乾燥法などが挙げられる。
特に、水添重合体の酸化劣化を嫌う場合には、真空乾
燥法あるいは乾燥チッ素を用いた気流乾燥法が好まし
い。
さらに、本発明の熱可塑性樹脂として使用される前記
水添重合体は、該水添重合体中に含まれるハロゲン含有
量を500ppm以下に抑えることにより、加熱時の水添重合
体のゲルの発生や着色に対しては良好な結果を与えるこ
とができる。特に、ハロゲン含有量が100ppm以下、さら
に好ましくは50ppm以下に抑えた場合には、より良好な
耐熱性が得られる。
ハロゲン含有量の少ない水添重合体を得る方法として
は、 ハロゲン原子を含まない触媒や溶媒を使用して、(水
添)重合体を得る方法(以下「方法」という)、 (水添)重合体製造時に、ハロゲン原子を除く工程を
取り入れる方法(例えば、抽出法および/または水添触
媒への吸着方法、以下「方法」という)、などが挙げ
られる。
前記方法は、最も簡便で、ハロゲン原子が本質的に
(水添)重合体に取り込まれないことから効果が大き
い。しかしながら、方法は、触媒が高価であることな
どの問題点もある。この方法で使用する触媒として
は、メタセシス重合触媒として、(a)タングステンま
たはモリブデンのアルコシキ誘導体と、(b)有機リチ
ウム化合物、有機マグネシウム化合物、有機亜鉛化合
物、トリアルキルアルミニウム誘導体またはテトラアル
キルスズ化合物などの組合せが挙げられる。
また、方法における重合触媒としては、トルエン、
キシレン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シク
ロヘキサン、デカリンなどの芳香族炭化水素、1,2−ジ
メトキシエタン、ジメチレングリコールジメチルエーテ
ル、アニソールなどのエーテル系溶媒、酢酸メチル、酢
酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系
溶媒などが挙げられる。これらの重合溶媒は、混合系と
して使用することもできる。
さらに、方法における水素添加反応のための溶媒と
しては、前記重合に用いられる好ましい溶媒のうち、水
素添加される危険性のある芳香族系化合物を除いたすべ
ての溶媒を使用することができる。
一方、前記方法における抽出法は、特開平2−3622
4号公報に開示されているように、重合後または水素添
加後の(水添)重合体溶液に、(水添)重合体の貧溶媒
を加えて(水添)重合体を回収する方法が挙げられる。
この抽出法でハロゲン原子を除く場合には、貧溶媒とし
てメタノール、エタノール、プロパノールなどの低級ア
ルコール、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸
エチルなどの低級アルコールのエステル類、アセトン、
メチルエチルケトンなどのケトン類などが好ましい。こ
れらの貧溶媒は、組み合わせて用いることもできる。
また、前記方法における水添触媒への吸着方法は、
パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよびプラチニウム
の群から選ばれた少なくとも1種の金属触媒を用いて、
重合体を水素添加反応させることにより、重合体中のハ
ロゲン原子を除去する方法である。この際、金属触媒
は、担体に担持させて使用することが好ましい。
この担体としては、カーボン、シリカ、アルミナ、シ
リカマグネシア、チタニア、ジルコニア、ゼオライト、
シリカ−アルミナなどが挙げられる。
担持率は、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量
%、さらに好ましくは0.2〜7重量%である。この金属
触媒のなかでは、塩素除去率が高いことから、特にパラ
ジウムが好ましい。また、担体としては、比重、触媒、
調製のし易さから、アルミナ、シリカ、シリカマグネシ
アが好ましい。
この水添触媒への吸着方法の詳細については、特開平
3−106904号公報において記述されている。
本発明に使用される熱可塑性樹脂は、前記のような水
添重合体より構成されるが、これに公知の酸化防止剤、
紫外線吸収剤などを添加してさらに安定化することがで
きる。また、加工性を向上させるために、滑剤などの従
来の樹脂加工において用いられる添加剤を添加すること
もできる。
次に、本発明の熱可塑性樹脂を用いた光ディスクの成
形法について説明する。
まず、熱可塑性樹脂を必要に応じて本発明の効果を損
なわない量の他の安定剤、帯電防止剤などの添加剤とと
もに、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー、ヘン
シェルミキサーなどで混合あるいは混合後、押し出し
機、バンバリーミキサー、二本ロールなどで溶融混合す
るか、炭化水素や芳香族溶媒に溶解してポリマー溶液の
状態で混合し、その後、単軸押し出し機、ベント付き押
し出し機、二本スクリュー押し出し機、三本スクリュー
押し出し機、円錐型二本スクリュー押し出し機、コニー
ダー、プラティフィケーター、ミクストケーター、二軸
コニカルスクリュー押し出し機、遊星ねじ押し出し機、
歯車型押し出し機、スクリューレス押し出し機などを用
いて、射出成形を行い、ディスク成形用の金型(情報ピ
ットや案内溝を形成するためのスタンパーのセットされ
たものも含む)によって成形する。
すなわち、これらの押し出し機の加熱シリンダ内でス
クリューより均一に溶融可塑化された適量の樹脂を、高
速で金型内に射出保持し、冷却固化させるものである。
射出成形によって得られた光ディスク基板は、その
後、記録層あるいはレーザー光線を反射するための金属
層を、蒸着法、スパッタ法などの公知の方法によって形
成し、さらに必要に応じて保護層を設けて完成される。
より具体的には、前記のように情報ピットに対応する凹
凸を有するスタンパーをセットした金型内に、熱可塑性
樹脂を射出成形して得られた基板に、反射率の高い金
属、例えばNi、Al、Auなどをコーティングし、さらに、
これを保護するために公知のアクリル系などの紫外線硬
化樹脂などを塗布、硬化させ、レーザー光の反射を利用
して情報を読み出すCD、LDなどの再生専用ディスク、同
じく1μm以下の案内溝の付いた光ディスク基板に、Te
系やTa系金属などの記録媒体をスパッタなどでコートし
たものに、レーザー光を照射し、その媒体を融解させて
記録する追記型のディスク(DRAW)、また記録媒体とし
て、As−Te−Ge系のようにレーザー光照射による非晶−
結晶の相変化からくる光反射率、光透過率の変化を利用
したり、Tb−Fe−Coに代表されるアモルファス希土類・
遷移金属合金型膜のように、レーザー光照射により磁化
反転を利用したりする書換え型ディスクなどとすること
ができる。
本発明の熱可塑性樹脂を用いて、射出成形により成形
性、透明性、複屈折、機械的強度、反り、転写性、寸法
安定性などにおいて優れた光ディスク基板を得るために
は、本発明の熱可塑性樹脂を用い、樹脂温度と金型温度
を特定するのが好ましい。すなわち、本発明の熱可塑性
樹脂を用い、樹脂温度を260〜370℃、好ましくは280〜3
50℃、金型温度を100〜165℃、好ましくは110〜140℃、
射出速度80〜300mm/秒、好ましくは80〜200mm/秒の範囲
で組み合わせることが、優れた光ディスク基板を得るた
めに好ましい。従って、樹脂温度、金型温度および射出
速度の三条件のいずれが上記の範囲を外れても、目的と
する光ディスク基板が得難い。
例えば、樹脂温度が260℃未満の場合、成形されたデ
ィスクには歪みが生じ、複屈折が大きくなり、光学特性
が劣るものとなり、またピットの転写性が悪くなる。一
方、樹脂温度が370℃を超えると、樹脂が黄色に着色し
たり、分解、焼けを起こしたりする恐れがある。
また、金型温度が100℃未満の場合、樹脂温度が低い
場合と同様、光学特性、ピットの転写性が劣るものとな
る。一方、金型温度が165℃を超えると、成形後の冷却
の過程で、樹脂の内部歪みが増大することによる光学特
性の低下を招き、また場合によっては、得られるディス
クの強度低下が生じる。
なお、金型温度については、可動側の金型温度を固定
側よりもやや低め、特に1〜10℃低くコントロールする
ことが好ましい。
一方、射出速度については、80mm/秒未満で射出成形
を行った場合、得られる光ディスク基板の複屈折が大き
くなり易い。一方、射出速度が300mm/秒を超えると、成
形された光ディスク基板の機械的強度が低下する場合が
ある。
なお、射出速度は、溶融樹脂のゲート通過時の歪み速
度()で表すこともでき、下記の式で計算することが
できる。
(イ)ゲート形状が長方形の場合; =6Q/WH2 〔ここで、Qは通過流量(cc/秒)、Wはゲートの幅(c
m)、Hはゲートの厚み(cm)を表す。〕 (ロ)ゲート形状が円形の場合; =4Q/πR3 〔ここで、Qは前記に同じ、Rは半径(cm)を表す。〕 歪み速度()の範囲としては、2×104〜5×10
2(sec-1)が好ましく、さらに好ましくは1×104〜1
×103(sec-1)である。
歪み速度()の制御は、射出速度、射出圧力および
ゲート形状、面積によって行う。
歪み速度()が上記の範囲であると、成形品の歪み
がなく、また耐薬品性、外観の優れたものが得られる。
また、射出速度を多段に変化させて成形する場合、成
形品の半分以上は上記歪み速度で成形すればよい。
射出成形は、通常の大気雰囲気下で行うことができる
が、熱可塑性樹脂の分解、着色やゲルの発生を防止する
ためには、熱可塑性樹脂の成形機への供給をチッ素ガス
の雰囲気下で行うことができる。特に、水素添加率の低
い樹脂を用いる場合には、チッ素ガスの雰囲気下で供給
することが好ましい。
本発明の光ディスクは、前記の射出成形を行ったの
ち、レーザー光を反射するための金属層あるいは書き込
み、読み取りのための記録膜が形成される。Alなどの金
属層を形成する場合、本発明の光ディスク基板は耐熱性
が高いため、蒸着法ばかりでなく、スパッタ法を用いる
ことができる。
また、従来のポリカーボネートを用いた基板の場合に
較べ、より高温でのスパッタ条件を選べるので、反射膜
や記録膜の密着性がよくなる点でもメリットがある。さ
らに、レーザーディスクにおいては、バッチ式の真空蒸
着しかできなかったポリメチルメタクリレートの場合と
異なり、高温スパッタリングによる連続生産が可能とな
り、生産性を大幅に高めることができる。また、高温で
膜形成されるため、樹脂基板と金属反射膜層との密着性
も優れたものとなる。
反射膜や記録膜をスパッタリングによって形成させる
場合、通常行われるスパッタリング条件で行えばよい。
特に、密着性に優れた膜を形成するためには、基板温度
としては、常温から用いた熱可塑性樹脂のガラス転移温
度より10℃以上低い範囲で選ばれ、高いほど好ましい。
真空度(スパッタ圧力)としては、1〜50Torrが好まし
い。膜厚としては、反射膜の場合、100〜2,000Å、記録
膜の場合、200〜5,000Åの範囲が好ましい。
〔実施例〕
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明す
るが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。
なお、実施例中、部および%は、特に断らないかぎり
重量基準である。また、実施例中の各種の測定は、次の
とおりである。
固有粘度(〔η〕inh) 溶媒にクロロホルムを使用し、0.5g/dlの重合体濃度
で30℃の条件下、ウベローデ粘度計にて測定した。
ゲル含有量 25℃の温度で、水添重合体50gを1%濃度になるよう
にクロロホルムに溶解し、この溶液をあらかじめ重量を
測定してある孔径0.5μmのメンブランフィルター〔ア
ドバンテック東洋(株)製〕を用いてろ過し、ろ過後の
フィルターを乾燥後、その重量の増加量からゲル含有量
を算出した。
水分量 カールフィッシャー水分測定装置(三菱化成(株)
製、CA−5、VA−21)により、水添重合体を乾燥チッ素
気流下で200℃に加熱して発生する水分量を定量した。
ハロゲン原子含有量の定量 水添重合体中のハロゲン原子(塩素)の含有量を、蛍
光X線法により定量した。
水添率 水添単独重合体の場合には、60MHz、1H−NMRを測定
し、エステル基のメチル水素とオレフィン系水素のそれ
ぞれの吸収強度の比から水添率を測定した。また、水添
重合体の場合には、重合後の共重合体の1H−NMR吸収と
水添後の水添共重合体のそれを比較して算出した。
ガラス転移温度 走査熱量計(DSC)により、チッ素雰囲気下におい
て、10℃/分の昇温速度で測定した。
光ディスク基板の複屈折 日本電子光学(株)製、複屈折自動測定装置を用い、
波長633nmで測定した。
ピット転写性 走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、良好なものを
5、不良のものを1とする5段階評価を行った。
参考例1 8−メチル−8−メトシキカルボニルテトラシクロ
〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン100g、1,2−ジ
メトキシエタン60g、シクロヘキサン240g、1−ヘキセ
ン25g、およびジエチルアルミニウムクロライド0.96モ
ル/のトルエン溶液3.4mlを、内容積1のオートク
レーブに加えた。
一方、別のフラスコに、六塩化タングステンの0.05モ
ル/の1,2−ジメトキシエタン溶液20mlとパラアルデ
ヒドの0.1モル/の1,2−ジメトキシエタン溶液10mlを
混合した。
この混合溶液4.9mlを、前記オートクレーブ中の混合
物に添加した。密栓後、混合物を80℃に加熱して3時間
攪拌を行った。
得られた重合体溶液に、1,2−ジメトキシエタンとシ
クロヘキサンの2/8(重量比)の混合溶媒を加えて重合
体/溶媒が1/10(重量比)にしたのち、トリエタノール
アミン20gを加えて10分間攪拌した。
この重合溶液に、メタノール500gを加えて30分間攪拌
して静置した。2層に分離した上層を除き、再びメタノ
ールを加えて攪拌、静置後、上層を除いた。同様の操作
をさらに2回行い、得られた下層をシクロヘキサン、1,
2−ジメトキシエタンで適宜希釈し、重合体濃度が10%
のシクロヘキサン−1,2−ジメトキシエタン溶液を得
た。
この溶液に20gのパラジウム/シリカマグネシア(日
揮化学(株)製、パラジウム量=5%)を加えて、オー
トクレーブ中で水素圧40kg/cm2として165℃で4時間反
応させたのち、水添触媒をろ過によって取り除き、水添
重合体溶液を得た。
また、この水添重合体溶液に、酸化防止剤であるペン
タエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕を、
水添重合体に対して0.1%加えてから、380℃で減圧下に
脱溶媒を行った。
次いで、溶融した樹脂を、チッ素雰囲気下で押し出し
機によりペレット化し、熱可塑性樹脂Aを得た。熱可塑
性樹脂Aの分析結果を第1表に示す。
参考例2 8−メチル−8−メトシキカルボニルテトラシクロ
〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン100gの代わり
に、8−メチル−8−メトシキカルボニルテトラシクロ
〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン85gと、5−メ
チル−シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ〔2.2.
1〕−2−ヘプテン15g、1−ヘキセン25gの代わりに同8
gを用いた以外は、参考例1と同様の操作を行い、熱可
塑性樹脂Bを得た。熱可塑性樹脂Bの分析結果を第1表
に示す。
なお、以下の実施例および比較例において、金型温度
は、固定側の温度を表し、可動側はこれよりも5℃低く
した。
実施例1 (a);参考例1で得られた熱可塑性樹脂Aのペレッ
トを原料として、住友重機械工業(株)製、射出成形機
「Disk 5M III型機」を用い、CD(コンパクトディス
ク)のためのピット形成用スタンパーを金型に装着し、
樹脂温度340℃、金型温度120℃、射出速度100mm/秒で射
出成形し、厚み1.2mmの120mmφ光ディスク基板を得た。
この光ディスク基板の複屈折およびピット転写性を評
価した。結果を第2表に示す。
また、射出成形した光ディスク基板のピット形成面上
に、日本真空技術(株)製、真空蒸着装置を用いて真空
度2×10-6Torrの条件下、Alを1,000Å厚に蒸着した。
次いで、Al面上に紫外線硬化型のアクリレート樹脂を
塗布、硬化し、10μm厚の硬化膜を形成させ、CDを作製
した。
(b);参考例2で得られた熱可塑性樹脂Bのペレッ
トを原料とする以外は、実施例1と同様にして光ディス
ク基板の作製および評価を行い、CDを得た。
前記(a)〜(b)で得られたCDを、ソニー(株)
製、CDプレーヤーにかけたところ、極めて良好な音質が
得られた。
比較例1 (c)〜(f);熱可塑性樹脂Aのペレットを原料と
し、樹脂温度、金型温度の条件を第2表中に示すように
変更して光ディスク基板を作製、評価した。
(g);帝人化成(株)製、ポリカーボネート(PC)
「パンライト」を原料とし、樹脂温度330℃、金型温度1
10℃として、実施例1と同様に光ディスク基板を作製、
評価した。なお、前記温度条件は、このポリカーボネー
トにおいては最良の光学特性を与えるものであった。
結果を併せて第2表に示す。
実施例2 (h);熱可塑性樹脂Aのペレットを原料として、名
機製作所(株)製、射出成形機「M−200」を用い、LD
(レーザーディスク)のためのピット形成用スタンパー
を金型に装着し、樹脂温度350℃、金型温度130℃、射出
速度120mm/秒で射出成形し、厚み1.2mmの200mmφ光ディ
スク基板を得た。
この光ディスク基板について、実施例1(a)と同様
の測定を行った。
次に、射出成形した基板のピット形成面上に、中外炉
工業(株)製、インラインスパッタリング装置を用い
て、真空度8×10-3Torr、スパッタリング開始時の基板
温度70℃の条件下で、Alを600Åの厚みに成膜させた。
次いで、Al面上に紫外線硬化型のアクリレート樹脂を塗
布、硬化し、10μm厚の硬化膜を形成させた。
このように処理された光ディスク基板と無処理の基板
を張り合わせてLDを作製した。
(i);熱可塑性樹脂Bのペレットを原料とする以外
は、(h)と同様にして光ディスク基板の作製、評価を
行い、LDを得た。
前記(h)〜(i)の光ディスク基板の評価結果を第
3表に示す。また、(h)〜(i)で得られたLDを、パ
イオニア(株)製、LDプレーヤーにかけたところ、極め
て良好な画質と音質が得られた。
比較例2 (j)〜(m);熱可塑性樹脂Bのペレットを原料と
し、樹脂温度、金型温度の条件を第3表中に示すように
変更して、光ディスク基板を作製、評価した。
(n);帝人化成(株)製、ポリカーボネート(PC)
「パンライト」を原料とし、樹脂温度330℃、金型温度1
10℃として、実施例2と同様に光ディスク基板を作製、
評価を行った。なお、前記温度条件が、このポリカーボ
ネートにおいては、最良の光学特性を与えるものであっ
た。
結果を第3表に示す。
(o);三菱レイヨン(株)製、ポリメチルメタクリ
レート(PMMA)「アクリペットVH」を原料として、樹脂
温度240℃、金型温度60℃の条件として、実施例2と同
様にして光ディスク基板を作製、評価した。なお、前記
温度条件が、このポリメチルメタクリレートにおいて
は、最良の光学特性を与えるものであった。結果を第3
表に示す。
また、このポリメチルメタクリレート製基板につい
て、実施例2と同様にしてAlのスパッタリングを試みた
が、基板が熱により変形してしまい、良好な膜が得られ
なかった。
一方、成形したポリメチルメタクリレート製基板につ
いて、実施例1と同様にして真空蒸着法によりAlを1,00
0Å厚に蒸着した。
得られたAl蒸着基板を、55℃、相対湿度90%の雰囲気
下に24時間放置したところ、基板に大きな反りが生じ
た。
これに対し、実施例2の(h)〜(i)で得られた基
板に、前記条件でAlを蒸着したものについて、同様に加
湿試験を行ったが、まったく反りは認められなかった。
従って、本発明の光ディスク基板を用いれば、単面のレ
ーザーディスクを製造することも可能である。
実施例3 (p);熱可塑性樹脂Aのペレットを原料として、住
友重機械工業(株)製、射出成形機「Disk 5M III型
機」を用い、スタンパー(鏡面)に金型に装着し、樹脂
温度340℃、金型温度120℃、射出速度140mm/秒で射出成
形し、厚み1.2mmの130mmφ光ディスク基板を得た。
この光ディスク基板について、実施例1(a)と同様
の測定を行った。
次に、この基板について、中外炉工業(株)製、イン
ラインスパッタリング装置を用いて、真空度6×10-3To
rr、スパッタリング開始時の基板温度80℃の条件下で、
Si3N4/TbFeCo/Si3N4の3層の記録膜(膜厚は、いずれも
500Å)を形成させた。
(q);熱可塑性樹脂Bのぺレットを原料とする以外
は、(p)と同様にして光ディスク基板の作製、評価を
行った。また、(p)と同様にして、スパッタリングに
より3層の記録膜を形成させた。
(p)〜(q)の記録膜を形成させた光ディスク基板
を顕微鏡で観察したところ、成膜状態は良好であった。
また、これらを温度85℃、相対湿度85%の恒温、恒湿槽
中に1週間放置したのち、記録膜の状態を顕微鏡で観察
したが、テスト前と較べて変化はみられず、膜の密着性
も良好であった。
比較例3 (r);帝人化成(株)製、ポリカーボネート(PC)
「パンライト」を原料とし、樹脂温度330℃、金型温度1
10℃として、実施例3と同様に光ディスク基板を作製、
評価を行った。なお、前記温度条件が、このポリカーボ
ネートにおいては、最良の光学特性を与えるものであっ
た。
結果を第4表に示す。
実施例4、比較例4 熱可塑性樹脂Aのペレットを用い、射出速度を変化さ
せた以外は、実施例2の(h)と同様の条件で光ディス
ク基板を成形した。射出速度と複屈折の関係を第4表に
示す。
*)成形条件;樹脂温度=350℃、金型温度=130℃ なお、射出速度が160mm/秒以上では、複屈折はほとん
ど一定の値を示した。しかしながら、射出速度が300mm/
秒を超えると、得られた基板は脆く、クラックが入りや
すいものであった。
以上の実施例および比較例より、本発明において熱可
塑性樹脂の種類、樹脂温度、金型温度および射出速度の
条件がすべて組み合わされてはじめて目的とする優れた
光ディスクが得られることが理解される。
実施例5 参考例1で得られた熱可塑性樹脂Aのペレットを原料
として、φ130mmのISO準拠光ディスク基板を射出成形機
を用いて成形した。この光ディスク基板のプリフォーマ
ット部分のピット成形性を走査型電子顕微鏡で観察した
ところ、スタンパーのピット形状が極めて忠実に転写さ
れていることが分かった。
比較例5 ポリカーボネートを原料とし、射出成形法によって作
製したφ130mmのISO準拠光ディスク基板のプリフォーマ
ット部分を走査型電子顕微鏡で観察したところ、ピット
エッジに傾斜がみられ充分に転写されていないことが分
かった。
〔発明の効果〕
本発明の光ディスクは、基板の耐熱性、成形性、転写
性、寸法安定性、記録膜の密着性などに優れ、複屈折が
小さく、光学特性に優れている。
このため、CD用途に使用すると、成形性、転写性に優
れ、複屈折が小さく、高温でのスパッターが可能で、金
属膜の密着性が良好となり、また傷つき難いという利点
がある。
また、LD用途に使用すると、吸水性が小さいため反り
が小さく、片面LDが製造でき、高温による金属スパッタ
ーが可能である。すなわち、ポリメチルメタクリレート
では、真空蒸着しかできず、バッチ方式であったが、本
発明ではスパッターが可能であるため、連続生産が可能
であり、生産効率が大幅に向上する。しかも、高温でス
パッターが可能であるため、金属膜の密着性に優れる。
さらに、E−DRAW用途に使用すると、成形性、転写
性、複屈折が優れ、高温による記録膜(例えば、Tb−Fe
−Co)の付着が可能であるため、記録膜の密着性に優れ
る。また、耐熱性に優れ、高速回転による熱発生により
光学特性が変化せず、繰り返し読み書きしてもピットの
変形がない、などの長所を有する。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29L 7:00 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 61/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I)で表されるトリシクロデ
    カンを基本骨格とし、固有粘度〔η〕inh(30℃、クロ
    ロホルム中)が0.3〜1.5dl/g、ゲル含有量が0.01重量%
    以下、かつハロゲン含有量が500ppm以下である熱可塑性
    樹脂からなる光ディスク基板を用いた光ディスク。 〔式中、A、B、DおよびEは水素原子、炭素数1〜10
    の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換され
    た炭素数1〜10の炭化水素基、 −(CH2nCOOR1、 −(CH2nOCOR1、 −(CH2nOR1−、−(CH2nCN、 −(CH2nCONR3R2、 −(CH2nCOOZ、 −(CH2nOCOZ、 −(CH2nOZ、−(CH2nW、または BとDから構成された もしくは(多)環状アルキレン基を示す。 ここで、R1、R2、R3およびR4は炭素数1〜20の炭化水素
    基、Zはハロゲン原子で置換された炭化水素基、WはSi
    R5 pF3-p(R5は炭素数1〜10の炭化水素基、Fはハロゲ
    ン原子、−OCOR6または−OR6(R6は炭素数1〜10の炭化
    水素基を示す)、pは0〜3の整数を示し、nは0〜10
    の整数を示す。〕
  2. 【請求項2】樹脂温度260〜370℃、金型温度100〜165
    ℃、射出速度80〜300mm/秒で、請求項1記載の熱可塑性
    樹脂を射出成形して得た光ディスク基板を用いた光ディ
    スク。
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