JP3158432B2 - プラスチックレンズ - Google Patents

プラスチックレンズ

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JP3158432B2
JP3158432B2 JP32976990A JP32976990A JP3158432B2 JP 3158432 B2 JP3158432 B2 JP 3158432B2 JP 32976990 A JP32976990 A JP 32976990A JP 32976990 A JP32976990 A JP 32976990A JP 3158432 B2 JP3158432 B2 JP 3158432B2
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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、光学特性、吸水や熱に対する寸法安定性、
成形性、表面処理膜の密着性などに優れたプラスチック
レンズに関する。
〔従来の技術〕
カメラ、光ディスクプレーヤー、ビデオカメラ、電子
黒板、ファクシミリ、コピーマシンなどの民生用機器
や、自動車などのヘッドランプなどに、レンズが使用さ
れている。これらのレンズは、従来、ガラスが使用され
ていたが、軽量化、小型化、コストダウンなどの目的
で、プラスチック化が進んでいる。プラスチックは、種
々の形状をインジェクションで簡単に成形できるので、
レンズの非球面化を容易にし、ガラスでは数個のレンズ
を組み合わせる必要があったものを、一つのレンズでそ
の機能を持たせるなどの工夫や、様々な形状が容易なた
め、自動車などの用途では、デザイン自由度が大幅に高
まるなどのメリットが生じている。
また、以上のことより、レンズを使用した機器の小型
化、軽量化が達成され、自動車などの輸送機器において
も軽量化が達成されるなどのメリットが生じている。
このような理由で、各種機器のレンズは、プラスチッ
ク化が進んでいるが、従来からレンズ用として用いられ
ているプラスチック材料は、ポリメチルメタクリレート
やポリカーボネートであり、これらの材料の欠点から、
用途分野が大きく制限されているのが現状である。
〔発明が解決しようとする課題〕
すなわち、ポリメチルメタクリレートは、光学特性は
優れているが、吸湿性が大きく、また耐熱性も小さいの
で、湿度や熱によって寸法変化が生じたり、吸湿によっ
て光学特性が変化するので、精密性を要求され、かつ高
温状態で使用する可能性のある機器のレンズとしては、
使用されていないのが実情である。
また、ポリカーボネートは、吸湿による寸法変化は小
さいものの、成形性が悪く、光学特性が劣るので、精密
レンズや大型のレンズを使用するための実用特性を満足
せず、かつ歩留まりが悪いなどの欠点を有するのが実情
である。
このような実情において、優れた光学特性を有し、成
形が容易でかつ過酷な環境下においても寸法安定性を保
つ必要から、耐熱性に優れ、吸湿性の小さな材料の出現
が待ち望まれている。
また、光学レンズでは、光学的に歪みのないレンズに
する必要があり、本来、優れた特性を持つ材料といえど
も、レンズを成形する条件をうまく選定しなければ、実
用的に使用できる性能を有するレンズを得ることができ
ない。すなわち、材料とそれをレンズにする成形法が組
み合わさってはじめて優れた特性のレンズが製造できる
のである。
本発明は、前記従来技術の課題を背景になされたもの
で、光学特性、吸水や熱に対する寸法安定性、成形性に
優れ、さらに表面処理膜の密着性などに優れたプラスチ
ックレンズ用の材料を提供し、この材料を用いて実用的
に優れたプラスチックレンズを提供することを目的とす
る。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、レンズ用の材料としてトリシクロデカンを
基本骨格とする熱可塑性樹脂からなるプラスチックレン
ズを提供するものである。
本発明のプラスチックレンズの材料に用いられる熱可
塑性樹脂は、その骨格に一般式(I)で表されるトリシ
クロデカン構造を含むものである。
〔式中、A、B、DおよびEは下記一般式(II)に同
じ。〕 この熱可塑性樹脂としては、例えば下記一般式(II)
で表される少なくとも1種のテトラシクロドデセン誘導
体または該テトラシクロドデセンと共重合可能な不飽和
環状化合物とをメタセシス重合して得られる重合体を水
素添加して得られる水添重合体を用いることができる。
〔式中、A、B、DおよびEは、水素原子、炭素数1〜
10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換さ
れた炭素数1〜10の炭化水素基、 −(CH2nCOOR1、 −(CH2nOCOR1、 −(CH2nOR1、−(CH2nCN、 −(CH2nCONR3R2、 −(CH2nCOOZ、 −(CH2nOCOZ、 −(CH2nOZ、−(CH2nW、または BとDから構成された もしくは(多)環状アルキレン基を示し、かつ、A、
B、DおよびEの少なくとも1つが−(CH2nCOOR1
表されるカルボン酸エステル基である。
ここで、R1、R2、R3およびR4は、炭素数1〜20の炭化
水素基、Zはハロゲン原子で置換された炭化水素基、W
はSiR5 pF3-p(R5は炭素数1〜10の炭化水素基、Fはハ
ロゲン原子、−OCOR6または−OR6(R6は炭素数1〜10の
炭化水素基を示す)、pは0〜3の整数を示す)、nは
0〜10の整数を示す。〕 前記一般式(II)で表されるテトラシクロドデセン誘
導体の具体例としては、 8−メチルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−
3−エン、 8−エチルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−
3−エン、 8−プロピルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ
−3−エン、 8−メチル−9−メチルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.1
7,10〕ドデカ−3−エン、8−メチル−9−エチルテト
ラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、8−
メチル−9−プロピルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.
17,10〕ドデカ−3−エン 8−エチル−9−エチルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.1
7,10〕ドデカ−3−エン、 8−エチル−9−プロピルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.1
7,10〕ドデカ−3−エン、 8−プロピル−9−プロピルテトラシクロ〔4.4.0.
12,5.17,10〕ドデカ−3−エンなどのテトラシクロ〔4.
4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エンおよびそのアルキル
置換体、 4,9,5,8−ジメタノ−3a,4.4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒド
ロ−1H−ベンゾインデンなどのペンタシクロペンタデカ
ジエン類およびそのアルキル置換体、 4,9,5,8−ジメタノ−2,3,3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−デカヒ
ドロ−1H−ベンゾインデンなどのペンタシクロペンタデ
セン類およびそのアルキル置換体、 8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.1
7,10〕ドデカ−3−エン、 8−エトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.1
7,10〕ドデカ−3−エン、 8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.1
2,5.17,10〕ドデカ−3−エン、 8−プロポキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.1
7,10〕ドデカ−3−エン、 8−ブトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.1
7,10〕ドデカ−3−エン、 8−(2−メチルプロポキシ)カルボニルテトラシクロ
〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、 8−(1−メチルプロポキシ)カルボニルテトラシクロ
〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、 8−(2,2−ジメチルエトキシ)カルボニルテトラシク
ロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、 8−シクロヘキシルオキシカルボニルテトラシクロ〔4.
4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、 8−(4′−t−ブチルシクロヘキシルオキシ)カルボ
ニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エ
ン、 8−フェノキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.1
7,10〕ドデカ−3−エン、 8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.
4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、 8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ〔4.
4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、 8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシク
ロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、 8−メチル−8−プロポキシカルボニルテトラシクロ
〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、 8−メチル−8−ブトキシカルボニルテトラシクロ〔4.
4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、 8−メチル−8−(2−メチルプロポキシ)カルボニル
テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、 8−メチル−8−(1−メチルプロポキシ)カルボニル
テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、 8−メチル−8−(2,2−ジメチルエトキシ)カルボニ
ルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エ
ン、 8−メチル−8−シクロヘキシルオキシカルボニルテト
ラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、 8−メチル−8−(4′−t−ブチルシクロヘキシルオ
キシ)カルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ド
デカ−3−エン、 8−メチル−8−フェノキシカルボニルテトラシクロ
〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、 8−シアノテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−
3−エン、 8−メチル−8−シアノテトラシクロ〔4.4.0.12,5.1
7,10〕ドデカ−3−エン、 などが挙げられる。
これらのシクロドデセン誘導体は、単独であるいは2
種以上を組み合わせて用いることができる。
また、前記テトラシクロドデセン誘導体は、これと共
重合可能な不飽和環状化合物を95モル%以下、好ましく
は50モル%以下程度使用して共重合体とすることもでき
る。この不飽和環状化合物としては、例えば一般式(II
I) 〔式中、A、B、DおよびEは、一般式(I)および
(II)と同じ〕で表されるビシクロ(2.2.1)ヘプト−
2−エン誘導体、シクロブテン、シクロペンテン、シク
ロオクテン、1,5−シクロオクタジエン、1,5,9−シクロ
ドデカトリエン、ノルボルネン、4−エチリデンノルボ
ルネン、5−メチルノルボルネン、ジシクロペンタジエ
ン、テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10.01,6〕ドデカ−
3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ〔4.4.0.
12,5.17,10.01,6〕ドデカ−3−エンなどを挙げること
ができる。
前記一般式(II)で表されるテトラシクロドデセン誘
導体または一般式(III)で表される不飽和環状化合物
において、A、B、DおよびEのうちに極性基を含むこ
とにより、成形して得たレンズを表面処理する場合、表
面処理層の密着性が優れたものとなる。ここで、本発明
において、この極性基が−(CH2nCOOR1で表されるカ
ルボン酸エステル基であるために、得られる水添重合体
が高いガラス転移温度を有するものとなる。
特に、このカルボン酸エステル基よりなる極性置換基
は、一般式(II)のテトラシクロドデセン誘導体または
一般式(III)の不飽和環状化合物の1分子あたりに1
個含有されることが、得られる水添重合体の高い耐熱性
を保持したまま、吸湿性を低くできる点で好ましい。
また、−(CH2nCOOR1で表されるカルボン酸エステ
ル基のうち、nの値が小さいものほど、得られる水添重
合体のガラス転移温度がさらに高くなるので好ましい。
前記一般式において、R1は炭素数1〜20の炭化水素基
であるが、炭素数が多くなるほど得られる水添重合体の
吸湿性が小さくなる点では好ましいが、得られる水添重
合体のガラス転移温度とのバランスの点から、炭素数1
〜4の鎖状アルキル基または炭素数5以上の(多)環状
アルキル基であることが好ましく、特にメチル基、エチ
ル基、シクロヘキシル基であることが好ましい。
さらに、カルボン酸エステル基が結合した炭素原子
に、同時に炭素数1〜10の炭化水素基が置換基として結
合されている一般式(II)のテトラシクロドデセン誘導
体または一般式(III)の不飽和環状化合物は、得られ
る水添重合体のガラス転移温度を低下させずに、吸湿性
を低下させるので好ましい。特に、この置換基がメチル
基またはエチル基である一般式(II)のテトラシクロド
デセン誘導体または一般式(III)の不飽和環状化合物
は、その合成が容易な点で好ましい。
これらのテトラシクロドデセン誘導体、あるいはこれ
と共重合可能な不飽和環状化合物の混合物は、例えば特
開平4−77520号公報第4頁右上欄第12行〜第6頁右下
欄第6行に記載された方法によって、メタセシス重合、
水素添加され、本発明に使用される熱可塑性樹脂とする
ことができる。
本発明において、熱可塑性樹脂として使用される水添
重合体の分子量は、クロロホルム中、30℃で測定される
固有粘度(〔η〕inh)が、0.3〜1.5dl/gの範囲、ポリ
スチレン換算の重量平均分子量では、10,000〜700,000
である。
〔η〕inhまたは重量平均分子量が上記範囲にあるこ
とによって、成形加工性、耐熱性、耐水性、耐薬品性、
機械的特性などが良好である。
また、水添重合体の水素添加率は、60MHz、1H−NMRで
測定した値が50%以上、好ましくは90%以上、さらに好
ましくは98%以上である。水素添加率が高いほど、熱や
光に対する安定性が優れたものとなる。
本発明の熱可塑性樹脂として使用される水添重合体
は、該水添重合体中に含まれるゲル含有量が5重量%以
下、好ましくは1重量%以下である。
ゲル含有量が5重量%を超えると、射出成形ではいか
なる成形条件の変更を行っても、成形品表面のシルバー
ストリークやフィッシュアイの発生を防止することがで
きなくなる。ゲル含有量が5重量%を下回るにつれて、
射出成形の成形条件の制御により、これらの成形不良を
少なく抑えることができるようになる。特に、ゲル含有
量を1重量%以下に抑えた場合には、より高い温度、高
い射出速度などの厳しい条件で射出成形を行うことがで
きる。より精密な光学部品を成形する場合には、ゲル含
有量を0.1重量%以下、さらに好ましくは0.01重量%以
下に抑えることが好ましい。
このようなゲル含有量の少ない水添重合体を得る方法
としては、例えば下記のような方法を挙げることができ
る。
仕上げ(溶媒の除去)工程を、すべて不活性雰囲気下
で行う方法。
この仕上げ工程、特に溶媒の除去は、加熱して行われ
るので、ゲル化を防止するためにはチッ素雰囲気下で操
作することが望ましい。具体的には、仕上げ工程に入る
前の(水添)重合体溶液の取り扱いをすべてチッ素雰囲
気下で行う。溶媒の除去を減圧下で行う場合において
も、装置の漏れをできる限り減らすとともに、万一、漏
れがあっても空気ではなくチッ素が漏れるように装置全
体をチッ素雰囲気下に設置する、などの操作が挙げられ
る。
適当な酸化防止剤を、例えば重合体の水添工程後に添
加する方法。
ここで、ゲルの発生を防止するために用いることので
きる酸化防止剤としては、フェノール系などの一般によ
く知られている酸化防止剤が適用できる。具体的には、
ペンタエリスリトール−テトラキス〔3−(3−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ピロピオネー
ト〕、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−t−
ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビ
ス〔2−(3−(t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メ
チルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチル
エチル〕2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデ
カン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−
t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル
イソシアヌレートなどが挙げられる。これらのフェノー
ル系酸化防止剤に、さらにリン系酸化防止剤を組み合わ
せて使用してもよい。例えば、このリン系酸化防止剤と
しては、ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフ
ェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト)、3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート
ジエチルエステルなどが挙げられる。
仕上げ(溶媒の除去)時の温度をできるだけ下げる方
法。
この方法としては、次のような(イ)〜(ハ)の方法
が挙げられる。
(イ)溶媒をできるだけ沸点の低いものを用いる。
しかしながら、あまり沸点の低い溶媒を用いると、重
合時、水添時の内圧が高くなり、装置の耐圧を上げる必
要が生じたり、溶媒そのものが高価なものになるなどの
他の要因を考慮しなければならない。
(ロ)溶媒の除去を減圧下で行う。この方法は、充分に
効果が期待できる。
(ハ)処理される(水添)重合体溶液が、できるだけ薄
い膜となって効率よく溶媒が揮発できるような装置を用
いる。
以上のような方法により、溶媒の除去の際の温度は、
酸化防止剤を用いない条件では300℃以下に保つことが
好ましい。また、適当な酸化防止剤を用いた場合では、
380℃以下に保つことが好ましい。
また、前記〜の方法によってもゲルが発生してし
まった場合や、前記〜の方法を行わなかった場合な
どでゲルが発生してしまった場合には、ろ過により除去
してもよい。
発生したゲルのろ過による除去は、次のような方法で
行われる。すなわち、(水添)重合体を適当な良溶媒に
20重量%以下、好ましくは15重量%以下の濃度に溶か
し、この溶液を孔径が1μm程度のフィルターでろ過す
る。より完全にゲルを除去する必要がある場合には、孔
径が0.5μm程度のフィルターを用いることができる。
本発明においては、これらの方法のいずれも有効に活
用することができるし、これらの方法を組み合わせて水
添重合体を製造するとさらに効果的である。
また、本発明において、熱可塑性樹脂として使用され
る前記水添重合体は、該水添重合体中に含まれる水分量
を1,000ppm以下に抑えた場合には、射出成形時のシルバ
ーストリークおよびフィッシュアイの発生、成形品の表
面の剥離などがさらに抑制され、より安定した成形を行
うことができる。
より高い温度、高い射出速度などの厳しい条件で射出
成形を行う場合には、水添重合体の水分量を300ppm以下
に抑えると良好な結果が得られる。
さらに、長期にわたって安定に成形を行いたい場合に
は、水添重合体の水分量を100ppm以下に抑えることが望
ましい。
このように、水分の含有量の少ない水添重合体を得る
方法としては、一般の重合体の乾燥に用いられている方
法、例えば真空乾燥法、乾燥空気もしくは乾燥チッ素に
よる気流乾燥法などが挙げられる。
特に、水添重合体の酸化劣化を嫌う場合には、真空乾
燥法あるいは乾燥チッ素を用いた気流乾燥法が好まし
い。
さらに、本発明の熱可塑性樹脂として使用される前記
水添重合体は、該水添重合体中に含まれるハロゲン含有
量を500ppm以下に抑えることにより、加熱時の水添重合
体のゲルの発生や着色に対して良好な結果を与えること
ができる。特に、ハロゲン含有量が100ppm以下、さらに
好ましくは50ppm以下に抑えた場合には、より良好な耐
熱性が得られる。
ハロゲン含有量の少ない水添重合体を得る方法として
は、 ハロゲン原子を含まない触媒や溶媒を使用して、(水
添)重合体を得る方法(以下「方法」という)、 (水添)重合体製造時に、ハロゲン原子を除く工程を
取り入れる方法(例えば、抽出法および/または水添触
媒への吸着方法、以下「方法」という)、などげ挙げ
られる。
前記方法は、最も簡便で、ハロゲン原子が本質的に
(水添)重合体中に取り込まれないことから効果が大き
い。しかしながら、方法は、触媒が高価であることな
どの問題点もある。この方法で使用する触媒として
は、メタセシス重合触媒として、(a)タングステンま
たはモリブデンのアルコキシ誘導体、(b)有機リチウ
ム化合物、有機マグネシウム化合物、有機亜鉛化合物、
トリアルキルアルミニウム誘導体またはテトラアルキル
スズ化合物などの組合せが挙げられる。
また、方法における重合溶媒としては、トルエン、
キシレン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シク
ロヘキサン、デカリンなどの芳香族炭化水素、1,2−ジ
メトキシエタン、ジメチレングリコールジメチルエーテ
ル、アニソールなどのエーテル系溶媒、酢酸メチル、酢
酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系
溶媒などが挙げられる。これらの重合溶媒は、混合系と
して使用することもできる。
さらに、方法における水素添加反応のための溶媒と
しては、前記重合に用いられ好ましい溶媒のうち、水素
添加される危険性のある芳香族系化合物を除いたすべて
の溶媒を使用することができる。
一方、前記方法における抽出法は、特開平2−3622
4号公報に開示されているように、重合後または水素添
加後の(水添)重合体溶液に、(水添)重合体の貧溶媒
を加えて(水添)重合体を回収する方法が挙げられる。
この抽出法でハロゲン原子を除く場合には、貧溶媒とし
てメタノール、エタノール、プロパノールなどの低級ア
ルコール、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸
エチルなどの低級アルコールのエステル類、アセトン、
メチルエチルケトンなどのケトン類などが好ましい。こ
れらの貧溶媒は、組み合わせて用いることもできる。
また、前記方法における水添触媒への吸着方法は、
パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよびプラチニウム
の群から選ばれた少なくとも1種の金属触媒を用いて、
重合体を水素添加反応させることにより、重合体中のハ
ロゲン原子を除去する方法である。この際、金属触媒
は、担体に担持させて使用することが好ましい。
この担体としては、カーボン、シリカ、アルミナ、シ
リカマグネシア、チタニア、ジルコニア、ゼオライト、
シリカ−アルミナなどが挙げられる。
担持率は、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量
%、さらに好ましくは0.2〜7重量%である。この金属
触媒のなかでは、塩素除去率が高いことから、特にパラ
ジウムが好ましい。また、担体としては、比重、触媒、
調製のし易さから、アルミナ、シリカ、シリカマグネシ
アが好ましい。
この水添触媒への吸着方法の詳細については、特開平
3−106904号公報において詳述されている。
本発明に使用される熱可塑性樹脂は、前記のような水
添重合体より構成されるが、これに公知の酸化防止剤、
紫外線吸収剤などを添加してさらに安定化することがで
きる。また、加工性を向上させるために、滑剤などの従
来の樹脂加工において用いられる添加剤を添加すること
もできる。
次に、本発明の熱可塑性樹脂を用いたプラスチックレ
ンズの成形法について説明する。
まず、熱可塑性樹脂を必要に応じて本発明の効果を損
なわない量の他の安定剤、帯電防止剤などの添加剤とと
もに、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー、ヘン
シェルミキサーなどで混合あるいは混合後、押し出し
機、バンバリーミキサー、二本ロールなどで溶融混合す
るか、炭化水素や芳香族溶媒に溶解してポリマー溶液の
状態で混合し、その後、単軸押し出し機、ベント付き押
し出し機、二本スクリュー押し出し機、三本スクリュー
押し出し機、円錐型二本スクリュー押し出し機、コニー
ダー、プラティフィケーター、ミクストケーター、二軸
コニカルスクリュー押し出し機、遊星ねじ押し出し機、
歯車型押し出し機、スクリューレス押し出し機などを用
いて、レンズ形状のキャビティーを有する金型内に射出
して、そこで冷却固化させ、金型から取り出して成形品
を得る。
すなわち、これらの押し出し機の加熱シリンダ内でス
クリューより均一に溶融可塑化された適量の樹脂を、高
速で金型内に射出保持し、冷却固化させるものである。
射出成形法によって、光学特性、寸法安定性、成形性
などにおいて優れたプラスチックレンズを得るために
は、本発明の熱可塑性樹脂を用い、樹脂温度と金型温度
を特定するのが好ましい。
すなわち、本発明の熱可塑性樹脂を用い、樹脂温度を
260〜370℃、好ましくは280〜350℃、金型温度を100〜1
65℃、好ましくは110〜140℃の範囲で組み合わせること
が好ましい。従って、樹脂温度を260〜370℃に設定して
も、金型温度が100〜165℃の範囲を外れると、上記特性
において優れたプラスチックレンズを得難い。また逆
に、金型温度を100〜165℃に設定しても、樹脂温度が26
0〜370℃の範囲を外れた場合でも同様である。
例えば、樹脂温度が260℃未満の場合、成形されたレ
ンズには歪みが生じ、複屈折が大きくなり、光学特性が
劣るものとなり、また金型キャビティー面の転写精度が
悪くなったり、特に高温あるいは高湿環境下での寸法安
定性が悪化する場合がある。一方、樹脂温度が370℃を
超えると、樹脂が黄色に着色したり、分解、焼けを起こ
したりする恐れがある。
また、金型温度が100℃未満の場合、樹脂温度が低い
場合と同様、レンズの光学特性、金型内キャビティーの
転写性が劣るものとなる。一方、金型温度が165℃を超
えると、成形後の冷却の過程で、樹脂の内部歪みが増大
することによる光学特性の低下を招く場合がある。
射出成形は、通常の大気雰囲気下で行うことがきる
が、熱可塑性樹脂の分解、着色やゲルの発生を防止する
ためには、熱可塑性樹脂の成形機への供給をチッ素ガス
の雰囲気下で行うことができる。
特に、水素添加率の低い樹脂を用いる場合には、チッ
素ガス雰囲気下で供給することが好ましい。
本発明のプラスチックレンズは、前記の射出成形を行
ったのち、直後、反射防止、表面硬化、防曇、撥水など
の表面処理を施すことができる。
これらの処理は、具体的には金属酸化物、金属フッ化
物、無機化合物などの真空蒸着、スパッタリング、イオ
ンプレーティング法、シリコン化合物の熱硬化法、多官
能アクリレート系樹脂の熱硬化、紫外線硬化もしくは電
子線硬化法などによって行われる。なかでも、反射防止
性、光透過性の向上のために、SiO、SiO2、ZrTiO4など
の無機化合物、金属酸化物によって表面処理膜を形成さ
せることが好ましく、特にこれらの無機化合物、金属酸
化物を多層膜として成膜することが好ましい。
本発明のプラスチックレンズは、耐熱性が優れている
ことにより、前記表面処理を高い温度条件で行うことが
できるため、生産性の向上につなげることができるほ
か、コーティング層の密着性も良好なものとすることが
できる。
本発明のプラスチックレンズは、射出成形によって製
造されるあらゆるレンズに応用することができる。
〔実施例〕
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明す
るが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。
なお、実施例中、部および%は、特に断らないかぎり
重量基準である。また、実施例中の各種の測定は、次の
とおりである。
固有粘度(〔η〕inh) 溶媒にクロロホルムを使用し、0.5g/dlの重合体濃度
で30℃の条件下、ウベローデ粘度計にて測定した。
ゲル含有量 25℃の温度で、水添重合体50gを1%濃度になるよう
にクロロホルムに溶解し、この溶液をあらかじめ重量を
測定してある孔径0.5μmのメンブランフィルター〔ア
ドバンテック東洋(株)製〕を用いてろ過し、ろ過後の
フィルターを乾燥後、その重量の増加量からゲル含有量
を算出した。
水分量 カールフィッシャー水分測定装置(三菱化成(株)
製、CA−5、VA−21)により、水添重合体を乾燥チッ素
気流下で200℃に加熱して発生する水分量を定量した。
ハロゲン原子含有量の定量 水添重合体中のハロゲン原子(塩素)の含有量を、蛍
光X線法により定量した。
水添率 水添単独重合体の場合には、60MHz、1H−NMRを測定
し、エステル基のメチル水素とオレフィン系水素のそれ
ぞれの吸収強度の比から水添率を測定した。また、水添
共重合体の場合には、重合後の共重合体の1H−NMR吸収
の水添後の水添共重合体のそれを比較して算出した。
ガラス転移温度 走査熱量計(DSC)により、チッ素雰囲気下におい
て、10℃/分の昇温速度で測定した。
透過波面収差 レーザー干渉計により測定した。
レンズの複屈折 日本電子光学(株)製、複屈折自動測定装置を用い、
波長633nmで、レンズ中心部の複屈折を測定した。
干渉縞の変化 レーザー干渉計により、温度60℃、相対湿度90%の雰
囲気下に168時間放置した後の干渉縞の変化(耐湿試
験)および温度100℃で168時間放置した後の干渉縞の変
化(耐熱試験)を観察した。
参考例1 8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ
〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン100g、1,2−ジ
メトキシエタン60g、シクロヘキサン240g、1−ヘキセ
ン25g、およびジエチルアルミニウムクロライド0.96モ
ル/のトルエン溶液3.4mlを、内容積1のオートク
レーブに加えた。
一方、別のフラスコに、六塩化タングステンの0.05モ
ル/の1,2−ジメトキシエタン溶液20mlとパラアルデ
ヒドの0.1モル/の1,2−ジメトキシエタン溶液10mlを
混合した。
この混合溶液4.9mlを、前記オートクレーブ中の混合
物に添加した。密栓後、混合物を80℃に加熱して3時間
攪拌を行った。
得られた重合体溶液に、1,2−ジメトキシエタンとシ
クロヘキサンの2/8(重量比)の混合溶媒を加えて重合
体/溶媒が1/10(重量比)にしたのち、トリエタノール
アミン20gを加えて10分間攪拌した。
この重合溶液に、メタノール500gを加えて30分間攪拌
して静置した。2層に分離した上層を除き、再びメタノ
ールを加えて攪拌、静置後、上層を除いた。同様の操作
をさらに2回行い、得られた下層をシクロヘキサン、1,
2−ジメトキシエタンで適宜希釈し、重合体濃度が10%
のシクロヘキサン−1,2−ジメトキシエタン溶液を得
た。
この溶液に20gのパラジウム/シリカマグネシア(日
揮化学(株)製、パラジウム量=5%)を加えて、オー
トクレーブ中で水素圧40kg/cm2として165℃で4時間反
応させたのち、水素触媒をろ過によって取り除き、水添
重合体溶液を得た。
また、この水添重合体溶液に、酸化防止剤であるペン
タエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕を、
水添重合体に対して0.1%加えてから、380℃で減圧下に
脱溶媒を行った。
次いで、溶融した樹脂を、チッ素雰囲気下で押し出し
機によりペレット化し、熱可塑性樹脂Aを得た。熱可塑
性樹脂Aの分析結果を第1表に示す。
参考例2 8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ
〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン100gの代わり
に、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ
〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン85gと、5−メ
チル−シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ〔2.2.
1〕−2−ヘプテン15g、1−ヘキセン25gの代わりに同8
gを用いた以外は、参考例1と同様の操作を行い、熱可
塑性樹脂Bを得た。熱可塑性樹脂Bの分析結果を第1表
に示す。
実施例1 (a);参考例1で得られた熱可塑性樹脂Aのペレット
を原料として、住友重機械工業(株)製、射出成形機
「SG−75」を用い、外径7.4mmφ、レンズ面厚み2.7mm、
周辺部厚み3.0mmのCD(コンパクトディスク)用ピック
アップ非球面対物レンズを射出成形した。この際の樹脂
温度は300℃、金型温度は135℃、圧力は50kg/cm2とし
た。
成形されたレンズについて、レーザー干渉計により透
過波面収差を測定した。また、レンズ中心部の複屈折を
測定した。さらに、干渉縞の変化を観察した。結果を第
2表に示す。
(b);参考例2で得られた熱可塑性樹脂Bのペレット
を原料とする以外は、実施例1と同様にしてレンズの成
形および評価を行った。
比較例1 (c);三菱レーヨン(株)製、ポリメチルメタクリレ
ート「アクリペットVH」を用い、樹脂温度230℃、金型
温度100℃とした以外は、実施例1と同様にしてレンズ
の成形および評価を行った。結果を第2表に示す。
実施例2 (d);参考例1で得られた熱可塑性樹脂Aのペレット
を原料として、住友重機械工業(株)製、射出成形機
「SG50」を用い、外径12mmφ、曲率半径設定値R1=21.5
9mm、R2=19.23mmのカメラ用シャッターレンズを射出成
形した。
この際の樹脂温度は320℃、金型温度は130℃、圧力60
kg/cm2とした。
成形されたレンズについて、干渉縞、曲率半径R1およ
びR2を観測した。また、温度60℃、相対湿度90%の雰囲
気下、および温度100℃の雰囲気下に、それぞれ168時間
放置したのちの曲率半径R1およびR2を測定した。
結果を第3表に示す。
比較例2 (e)〜(h);参考例1で得られた熱可塑性樹脂Aの
ペレットを原料として、樹脂温度、金型温度の条件を第
3表中に示したように変更してレンズを作製した。成形
されたレンズについて、干渉縞を観測した。
(i);三菱レーヨン(株)製、ポリメチルメタクリレ
ート「アクリペットVH」を用い、樹脂温度250℃、金型
温度100℃とした以外は、実施例2と同様にしてレンズ
の作製、評価を行った。
結果を第3表に示す。
を変更した比較例2(e)〜(h)では、多少、干渉縞
に歪みが認められた(△)。
**)樹脂にわずかに焼け、黄変がみられた。
実施例3 (j);参考例2で得られた熱可塑性樹脂Bのペレット
を原料として、アイダエンジニアリング(株)製、射出
圧縮成形機「MAX100」を用い、外寸135mm×20mm×18m
m、曲率半径設計値R1=360mm、R2=150mmのレーザービ
ームプリンター用大型レンズを射出成形した。
この際の樹脂温度は300℃、金型温度は135℃とした。
得られたレンズは、ヒケやソリ、または充填不良もな
く、良好な外観を有していた。また、偏光計によって、
内部歪みを観察したが、極めて歪みの少ないものであっ
た。
比較例3 (k);帝人化成(株)製のポリカーボネート「パンラ
イト」を原料とした以外は、実施例3と同様にしてレー
ザービームプリンター用大型レンズを射出成形した。得
られたレンズは、ヒケおよびソリがあり、一部充填不良
もみられた。また、偏光計で観察したところ、内部歪み
も実施例3に較べて大きいものであった。
実施例2と比較例2および実施例3と比較例3とよ
り、本発明の熱可塑性樹脂を用いても、その射出成形の
温度条件が特定の範囲を外れた場合、および射出成形の
温度条件が特定された範囲内のものであっても、本発明
の熱可塑性樹脂以外の樹脂を用いた場合には、目的とす
るプラスチックレンズが得られないことが理解される。
実施例4 (l)〜(m);実施例1の(a)〜(b)で得られた
CD用ピックアップ非球面対物レンズ上に、第1層が厚み
0.83μmのSiO、第2層が厚み0.13μmのSiO2、第3層
が厚み0.13μmのZrTiO4、第4層が厚み0.25μmのSiO2
よりなる多層構造を有する反射防止膜をレンズの両面に
蒸着した。得られたレンズの波長780nmにおける透過率
は、(a)、(b)いずれの成膜したレンズに対して
も、97%以上と良好な値を示した。また、これらのレン
ズ上に形成された反射防止膜の密着性を評価するため、
23℃×10分間のエタノール浸漬試験、60℃、90%相対湿
度×168時間の耐湿性試験、100℃×168時間の耐熱性試
験を行った。いずれの試験においても、反射防止膜に異
常は認められず、レンズ下地と良好な密着性を示してい
た。
〔発明の効果〕 本発明のプラスチックレンズは、光学特性、吸水や熱
に対する寸法安定性、成形性に優れ、さらに表面処理膜
の密着性などに優れている。
従って、本発明のプラスチックレンズは、カメラ関係
におけるファインダーレンズ、撮影レンズ、使い捨てカ
メラ用レンズ、CD、LDなどの光ディスクのピックアップ
レンズやセンサーレンズ、プロジェクトTV用レンズ、VT
Rのファインダーレンズやズームレンズ、ファクシミリ
用単眼レンズやロッドレンズ、レーザービームプリンタ
ー用レンズ、ハンディーコピーや電子黒板用読み取りレ
ンズ、双眼鏡用対物および接眼レンズ、眼鏡用レンズ、
コンタクトレンズなどの光学用レンズのほか、自動車や
照明、玩具用レンズなど、一般のレンズを挙げることが
でき、小型、大型、あるいは精密、汎用にわたって用い
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 1/04 C08G 61/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I)で表されるトリシクロデ
    カンを基本骨格とし、固有粘度〔η〕inh(30℃、クロ
    ロホルム中)が0.3〜1.5dl/g、ゲル含有量が5重量%以
    下、かつハロゲン含有量が500ppm以下である熱可塑性樹
    脂からなるプラスチックレンズ。 〔式中、A、B、DおよびEは水素原子、炭素数1〜10
    の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換され
    た炭素数1〜10の炭化水素基、 −(CH2nCOOR1、 −(CH2nOCOR1、 −(CH2nOR1−、−(CH2nCN、 −(CH2nCONR3R2、 −(CH2nCOOZ、 −(CH2nOCOZ、 −(CH2nOZ、−(CH2nW、または BとDから構成された もしくは(多)環状アルキレン基を示し、かつ、A、
    B、DおよびEの少なくとも1つが−(CH2nCOOR1
    表されるカルボン酸エステル基である。 ここで、R1、R2、R3およびR4は炭素数1〜20の炭化水素
    基、Zはハロゲン原子で置換された炭化水素基、WはSi
    R5 pF3-p(R5は炭素数1〜10の炭化水素基、Fはハロゲ
    ン原子、−OCOR6または−OR6(R6は炭素数1〜10の炭化
    水素基を示す)、pは0〜3の整数を示し、nは0〜10
    の整数を示す。〕
  2. 【請求項2】樹脂温度260〜370℃、金型温度100〜165℃
    で、請求項1記載の熱可塑性樹脂を射出成形して得たプ
    ラスチックレンズ。
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