JP2000212226A - 環状炭化水素系重合体及びその製造方法 - Google Patents

環状炭化水素系重合体及びその製造方法

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JP2000212226A
JP2000212226A JP1996399A JP1996399A JP2000212226A JP 2000212226 A JP2000212226 A JP 2000212226A JP 1996399 A JP1996399 A JP 1996399A JP 1996399 A JP1996399 A JP 1996399A JP 2000212226 A JP2000212226 A JP 2000212226A
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Teiji Obara
禎二 小原
Haruhiko Takahashi
治彦 高橋
Toshihide Murakami
俊秀 村上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微小な異物の含有量が極めて少ない高品質の
環状炭化水素系重合体、その製造方法、該環状炭化水素
系重合体を含む成形用材料、及び該成形用材料からなる
成形体を提供すること。 【解決手段】 モノ環状オレフィン系重合体、環状共役
ジエン系重合体またはその水素添加物及びビニル環状炭
化水素系重合体からなる群より選ばれる環状炭化水素系
重合体であって、粒径が0.5μm以上の異物の含有量
が3.0×104個/g以下であることを特徴とする環
状炭化水素系重合体、及び環状炭化水素系重合体の有機
溶媒溶液を電荷的捕捉機能を有するフィルターで濾過す
る工程を含む該環状炭化水素系重合体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、異物の含有量が少
ない高品質の環状炭化水素系重合体とその製造方法に関
する。また、本発明は、該環状炭化水素系重合体を含む
成形材料、該成形材料からなる光学部品や情報記録媒体
基板などの各種成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、水素化ポリスチレンや水素化
ビニルシクロヘキセン重合体などの環状炭化水素系重合
体は、透明性、低吸湿性、耐薬品性、耐熱性などに優
れ、複屈折が小さいため、例えば、光ディスク基板(特
開平1−294753号公報、特公平7−114030
号公報)、特開昭64−1706号公報)、光学レンズ
などの光学材料(特開平1−132603号公報、特公
平7−94496号公報、特開平4−75001号公
報)、医療用器材などの成形材料(特開平6−1999
50号公報)、磁気ディスク基板などの分野への用途展
開が図られている。
【0003】しかしながら、環状炭化水素系重合体は、
重合工程、水素添加工程、後処理工程などの諸工程で、
微小な粒状物や繊維状物などの不純物が混入したり、重
合触媒や水素化触媒が残存したり、あるいはゲル状物が
生成したりするため、微細に検査すると、極めて多数の
異物を含むことが判明した。例えば、水素化ポリスチレ
ンや水素化ビニルシクロヘキセン重合体を製造するに
は、ポリスチレンやビニルシクロヘキセン重合体を水素
添加する必要があるが、水素添加工程では、これらの未
水添の重合体を有機溶媒中で水素化触媒を用いて分子状
水素により水素添加し、次いで、水素化触媒を除去した
後、アルコールやケトンなどの貧溶媒と接触させること
により、生成した水素化重合体を析出させ、濾過により
分離して、乾燥させている。ところが、水素化触媒の除
去が不完全であったり、貧溶媒中の異物が生成水素化重
合体中に混入したり、分離・乾燥工程で空気中の塵が混
入したりする。重合工程でも、重合反応終了後の重合触
媒の除去が不完全になりやすい。また、生成した重合体
や水素化重合体は、様々な熱処理や化学反応により、ゲ
ル状物を生成することが多い。
【0004】これらの微小な異物は、環状炭化水素系重
合体と相溶することがないため、これらの異物を多量に
含有する環状炭化水素系重合体を、光学レンズなどの光
学部品、あるいは光ディスク基板や磁気ディスク基板な
どの情報記録媒体基板などの成形体に成形した場合、得
られた成形体の性能や機能に重大な悪影響を及ぼす。例
えば、光学レンズの場合、微小異物が多量に存在する
と、曇り価(ヘーズ値)が大きくなり、表面または内部
に不透明なもやがかかった状態となりやすい。光ディス
ク基板の場合、微小異物が多量に存在すると、信号再生
時のノイズや信号エラーの原因となる。光ディスクは、
レーザ光を用いて情報の再生または記録を行うが、技術
開発が急速に進み、最近では、DVD(デジタルビデオ
ディスク)が製品化されるに至っている。DVDなどの
大容量の光情報記録媒体は、従来のDC(コンパクトデ
ィスク)やLD(レーザディスク)よりも記録密度が格
段に大きくなっており、情報の記録及び読み出しに用い
るレーザ光のスポット径も極めて小さくなっている。し
たがって、光ディスク基板中の微小異物であっても、エ
ラーを起こしやすく、ビットエラーレートが大きくなり
やすい。磁気ディスク基板の場合、微小異物が多量に存
在すると、これらの異物が基板表面に多数の突起となっ
て出現する。表面突起は、磁気ヘッドに触れてトラッキ
ングエラーを生じさせやすい。
【0005】また、これらの微小な異物を多量に含有す
る環状炭化水素系重合体からなる成形体をシリコンウェ
ーハのキャリアー(プラスチックケース)などの半導体
関連部品として使用すると、成形体から微小な異物が発
生して、シリコンウェーハを汚染するなどの問題が生じ
やすい。例えば、シリコンウェーハをプラスチックケー
スに入れて、エッチングの薬液処理や超音波洗浄などを
行うと、プラスチックケースから微小な異物が発生して
シリコンウェーハに付着する。したがって、微小な異物
を多量に含有する環状炭化水素系重合体は、半導体製造
工程での処理容器などの半導体関連部品の分野に使用す
ることが制限される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、重合
体との相溶性がない微小な異物の含有量が極めて少ない
高品質の環状炭化水素系重合体とその製造方法を提供す
ることにある。また、本発明の目的は、微小な異物の含
有量が少ない環状炭化水素系重合体を含む成形用材料、
及び該成形用材料からなる成形体を提供することにあ
る。本発明の他の目的は、透明性、耐熱性、低吸湿性に
優れ、複屈折が小さく、しかも曇り価が顕著に改善され
た光学部品に適した成形用材料、並びに、該成形用材料
から成形された光学部品を提供することにある。
【0007】より具体的に、本発明の他の目的は、透明
性、耐熱性、低吸湿性に優れ、複屈折が小さく、しかも
曇り価及びビットエラーレートが顕著に改善された光情
報記録媒体に適した成形用材料、並びに、該成形用材料
から成形された光ディスク基板を提供することにある。
また、より具体的に、本発明の他の目的は、耐熱性や低
吸湿性に優れ、しかも表面突起が極めて少ない磁気情報
記録媒体に適した成形用材料、並びに、該成形用材料か
ら成形された磁気ディスク基板を提供することにある。
さらに、より具体的に、本発明の他の目的は、耐熱性や
低吸湿性に優れ、異物の発生が極めて少ない成形用材
料、並びに、該成形用材料から成形された処理容器など
の半導体関連部品を提供することにある。
【0008】本発明者らは、前記従来技術の問題点を克
服するために鋭意研究した結果、モノ環状オレフィン系
重合体、環状共役ジエン系重合体またはその水素添加
物、及びビニル環状炭化水素系重合体からなる群より選
ばれる環状炭化水素系重合体中に含まれる粒径が0.5
μm以上の異物の含有量を3.0×104 個/g以下に
まで低減させたところ、前記目的を達成できることを見
いだした。具体的に、異物の含有量の少ない環状炭化水
素系重合体を製造する方法としては、重合工程や水素添
加工程などで調製した環状炭化水素系重合体を有機溶媒
に溶解して溶液とし、該溶液を電荷的捕捉機能を有する
フィルターで濾過する方法が挙げられる。濾過後に、有
機溶媒を除去すれば、異物の含有量が極めて少ない環状
炭化水素系重合体を得ることができる。
【0009】有機溶媒を除去する場合、濾過により得ら
れた溶液から有機溶媒を主とする揮発成分を蒸発させる
方法(直接濃縮乾燥法)を採用することが、さらなる異
物の混入を避けつつ、高品質の環状炭化水素系重合体を
得る上で好ましい。また、環状炭化水素系重合体は、ノ
ルボルネン系重合体に比べて、熱分解による分子量の低
下を生じやすいので、直接濃縮乾燥法による揮発成分の
蒸発除去工程では、例えば、有機溶媒のフラッシュ法に
よる除去工程と加熱・減圧による有機溶媒の除去工程と
の組み合わせなどの2段階以上での濃縮乾燥を行うこと
が好ましい。この直接濃縮乾燥法の適用に際し、予め酸
化防止剤などの添加剤を濾過前または濾過後の溶液に添
加してから濃縮乾燥させると、添加剤の添加に伴う微小
な異物の生成を防ぐことができる。本発明は、これらの
知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、モノ環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重
合体またはその水素添加物、及びビニル環状炭化水素系
重合体からなる群より選ばれる環状炭化水素系重合体で
あって、粒径が0.5μm以上の異物の含有量が3.0
×104 個/g以下であることを特徴とする環状炭化水
素系重合体が提供される。
【0011】また、本発明によれば、モノ環状オレフィ
ン系重合体、環状共役ジエン系重合体またはその水素添
加物、及びビニル環状炭化水素系重合体からなる群より
選ばれる環状炭化水素系重合体の有機溶媒溶液を電荷的
捕捉機能を有するフィルターで濾過する工程を含む粒径
が0.5μm以上の異物の含有量が3.0×104 個/
g以下である環状炭化水素系重合体の製造方法が提供さ
れる。
【0012】さらに、本発明によれば、上記の環状炭化
水素系重合体を含む成形用材料、該成形用材料を成形し
てなる成形体が提供される。成形体としては、光学レン
ズなどの光学部品、光ディスクや磁気ディスクなどの情
報記録媒体の基板が挙げられる。また、本発明の環状炭
化水素系重合体を含む成形用材料は、半導体製造工程で
使用される処理容器などとしても好適である。
【0013】
【発明の実施の形態】環状炭化水素系重合体 本発明では、モノ環状オレフィン系重合体、環状共役ジ
エン系重合体またはその水素添加物、及びビニル環状炭
化水素系重合体からなる群より選ばれる環状炭化水素系
重合体を使用する。このような環状炭化水素系重合体
は、環中に橋架け構造を持たない環構造含有単量体、好
ましくは単環の環状炭化水素構造を有する単量体を付加
重合し、必要に応じて、残存する炭素−炭素不飽和結合
を水素添加して飽和させることにより得ることができ
る。したがって、本発明の環状炭化水素系重合体は、単
環の炭化水素構造を有する重合体であることが好まし
い。
【0014】単環の環状炭化水素構造としては、格別の
限定はないが、通常4〜12員環、好ましくは5〜8員
環、より好ましくは6員環である。このような単環の環
状炭化水素構造を有することにより、環状炭化水素系重
合体は、耐熱性、強度特性などの特性が高度にバランス
される。環状炭化水素構造は、飽和及び不飽和のいずれ
でもよいが、耐熱性、耐候性、耐光性などの観点から、
飽和であることが好ましい。環状炭化水素構造中、飽和
である環構造の含有量は、通常80%以上、好ましくは
90%以上、より好ましくは95%以上であり、実質的
に100%であることが最も好ましい。
【0015】環状炭化水素系重合体中の環構造は、主鎖
を構成するか、あるいは側鎖に存在する。弾性率と成形
性を高度にバランスさせる観点からは、側鎖に環構造を
有する環状炭化水素系重合体が好ましい。主鎖に環構造
を有する環状炭化水素系重合体としては、シクロペンテ
ン、シクロヘキセンなどのモノ環状オレフィンの付加重
合体;シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの
環状共役ジエン類の付加重合体またはその水素添加物を
挙げることができる。側鎖に環構造を有する環状炭化水
素系重合体としては、ビニルシクロヘキセン系重合体、
ビニルシクロヘキサン系重合体またはその水素添加物、
ポリスチレンなどのビニル芳香族系重合体またはその水
素添加物などのビニル環状炭化水素系重合体が挙げられ
る。
【0016】(1)主鎖に環構造を有する環状炭化水素
系重合体 主鎖に環構造を有する環状炭化水素系重合体の具体例と
しては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シク
ロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのモ
ノ環状オレフィンを付加(共)重合して得られるモノ環
状オレフィン系重合体;シクロペンタジエン、シクロヘ
キサジエン、シクヘプタジエン、シクロオクタジエンな
どの環状共役ジエンを付加(共)重合して得られる環状
共役ジエン系重合体またはその水素添加物が挙げられ
る。モノ環状オレフィンや環状共役ジエンは、アルキル
基(例えば、メチル基、エチル基)などの置換基を持っ
ていてもよい。
【0017】これらの中でも、耐熱性、成形性、強度特
性のバランスの観点から、環構造は5〜8員環が好まし
く、6員環がより好ましい。結合様式は、同様の理由に
よりモノ環状オレフィンの1,2−付加よりも、環状共
役ジエンの1,4−付加が好ましい。さらに、環内の炭
素−炭素不飽和結合は、水素添加により飽和されている
ことが好ましい。主鎖に環構造を有する環状炭化水素系
重合体の中では、シクロヘキサジエン系重合体の水素添
加物が最も好ましい。
【0018】(2)側鎖に環構造を有する環状炭化水素
系重合体 側鎖に環構造を有する環状炭化水素系重合体の具体例と
しては、例えば、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロ
ヘキサン、ビニルシクロオクタンなどのビニルシクロア
ルカンの付加重合体;ビニルシクロペンテン、ビニルシ
クロヘキセン、ビニルシクロオクテンなどのビニルシク
ロアルケンの付加重合体またはその水素添加物;スチレ
ンなどのビニル芳香族化合物の付加重合体またはその水
素添加物などを挙げることができる。これらの中でも、
耐熱性、成形性、強度特性のバランスの観点から、環構
造は、5〜8員環が好ましく、ビニルシクロヘキセン系
重合体、ビニルシクロヘキサン系重合体またはその水素
添加物、ビニル芳香族系重合体または水素添加物などの
6員環が最も好ましい。また、環内に炭素−炭素不飽和
結合があるビニル環状炭化水素系重合体は、不飽和結合
を水素添加して飽和重合体とすることにより、耐熱性、
耐候性、耐光性などに加えて、弾性率が向上するため好
ましい。したがって、ビニル環状炭化水素系重合体とし
ては、ビニル芳香族系重合体の水素添加物、ビニルシク
ロヘキセン系重合体の水素添加物、及びビニルシクロヘ
キサン系重合体が特に好ましい。
【0019】本発明で使用するビニル環状炭化水素系重
合体を得るために用いられるビニル環状炭化水素系単量
体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、
α−エチルスチレン、α−プロピルスチレン、α−イソ
プロピルスチレン、α−t−ブチルスチレン、2−メチ
ルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレ
ン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチ
ルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル
−2−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロ
スチレン、モノフルオロスチレン、4−フェニルスチレ
ンなどのビニル芳香族化合物(スチレン系単量体);ビ
ニルシクロヘキサン、3−メチルイソプロペニルシクロ
ヘキサンなどのビニルシクロヘキサン系単量体;4−ビ
ニルシクロヘキセン、4−イソプロペニルシクロヘキセ
ン、1−メチル−4−ビニルシクロヘキセン、1−メチ
ル−4−イソプロペニルシクロヘキセン、2−メチル−
4−ビニルシクロヘキセン、2−メチル−4−イソプロ
ペニルシクロヘキセンなどのビニルシクロヘキセン系単
量体;d−テルペン、l−テルペン、ジテルペンなどの
テルペン系単量体;などのビニル六員環炭化水素系単量
体またはその置換体などが好ましい。芳香環を含有する
スチレン系単量体を用いる場合は、得られた重合体を水
素添加反応させて、芳香環の水素添加率80%以上にま
で飽和させることが好ましい。これらの単量体は、それ
ぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用す
る。
【0020】本発明においては、重合体中の繰り返し単
位が50重量%未満となる範囲で、前述の単量体とそれ
以外の単量体を共重合させてもよい。共重合可能な単量
体としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重
合などの重合法により共重合可能なものであれば特に制
限はない。その具体例としては、例えば、エチレン、プ
ロピレン、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−
メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテンなど
のα−オレフィン系単量体;シクロペンタジエン、1−
メチルシクロペンタジエン、2−メチルシクロペンタジ
エン、2−エチルシクロペンタジエン、5−メチルシク
ロペンタジエン、5、5−ジメチルシクロペンタジエン
などのシクロペンタジエン系単量体;シクロブテン、シ
クロペンテン、シクロヘキセン、ジシクロペンタジエン
などの環状オレフィン系単量体;1,3−ブタジエン、
イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、
1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジン、フラン、
チオフェンなどの共役ジエン系単量体;アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル
などのニトリル系単量体;メタクリル酸メチルエステ
ル、メタクリル酸エチルエステル、メタクリル酸プロピ
ルエステル、メタクリル酸ブチルエステル、アクリル酸
メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、アクリル
酸プロピルエステル、アクリル酸ブチルエステルなどの
(メタ)アクリル酸エステル系単量体;アクリル酸、メ
タクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和脂肪酸系単量
体;フェニルマレイミド;エチレンオキサイド、プロピ
レンオキサイド、トリメチレンオキサイド、トリオキサ
ン、ジオキサン、シクロヘキセンオキサイド、スチレン
オキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン
などの環状エーテル系単量体;メチルビニルエーテル、
N−ビニルカルバゾール、N−ビニル−2−ピロリドン
などの複素環含有ビニル化合物系単量体;などが挙げら
れる。
【0021】一般に、これらの共重合可能な単量体に由
来する繰り返し単位の含有量が多くなると、得られる重
合体の透明性、強度、耐熱性などが低下する傾向を示
す。したがって、これらの共重合可能な単量体に由来す
る繰り返し単位の含有割合は、全繰り返し単位に基づい
て、通常50重量%未満、好ましくは30重量%未満、
より好ましくは10重量%未満であり、その下限は、0
重量%である。
【0022】単量体として、芳香環を含有するスチレン
系単量体を用いる場合は、複屈折を小さくするために、
重合後、水素添加反応を行うことにより、芳香環の水素
添加率が、通常80%以上、好ましくは85%以上、よ
り好ましくは90%以上になるように、水素添加するこ
とが好ましい。この水素添加率は、多くの場合90〜1
00%であり、高度の耐熱性、耐候性、低複屈折などが
要求される場合には、98〜100%にすることができ
る。また、単量体として、ビニルシクロヘキセン系単量
体などのビニルシクロアルケンを用いる場合にも、耐熱
性、耐候性などを向上させるために、重合後に、水素添
加反応を行って環中の炭素−炭素二重結合を飽和させる
ことが好ましい。この場合も、水素添加率を、通常80
%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%
以上、多くの場合90〜100%になるように、水素添
加することが好ましい。高度の耐熱性、耐候性、低複屈
折などが要求される場合には、水素添加率を98〜10
0%にすることができる。また、得られる重合体中に共
重合可能な単量体に起因する炭素−炭素不飽和結合が存
在する場合にも、水素添加反応により実質的に飽和させ
ることが好ましい。この水素添加率が過度に小さいと、
複屈折が大きくなったり、耐熱性や耐候性が低下するの
で好ましくない。水素添加率は、常法に従って、1H−
NMR測定により求めることができる。
【0023】(3)環状炭化水素系重合体の構造と物性 本発明で使用する環状炭化水素系重合体は、環状炭化水
素の繰り返し単位を通常50重量%以上、好ましくは7
0重量%以上、より好ましくは90重量%以上含有する
ものであることが望ましい。この環状炭化水素の繰り返
し単位の割合の上限は、100重量%である。また、本
発明で使用する好ましい環状炭化水素系重合体は、側鎖
に6員環構造を有するビニル環状炭化水素系重合体であ
り、側鎖に6員環構造を有するビニル環状炭化水素の繰
り返し単位を全繰り返し単位中好ましくは90重量%以
上、より好ましくは95重量%以上含有するものであ
る。側鎖の6員環構造は、シクロヘキセン環やベンゼン
環を水素添加してなるシクロヘキサン環であることが特
に好ましい。
【0024】本発明で使用する環状炭化水素系重合体の
ガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、通常
80〜300℃、好ましくは100〜280℃、より好
ましくは120〜250℃の範囲である。ガラス転移温
度が上記範囲にあるときに、高温時の強度特性(弾性
率)と成形加工性のバランスに優れる。
【0025】本発明で使用する環状炭化水素系重合体の
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロ
マトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレ
ン換算値で、通常10,000〜1,000,000、
好ましくは50,000〜500,000、より好まし
くは100,000〜300,000の範囲である。環
状炭化水素系重合体の重量平均分子量(Mw)が小さす
ぎると、強度特性に劣り、大きすぎると、成形性に劣
り、複屈折が充分ではなくなる。重量平均分子量(M
w)が上記範囲にあると、該重合体の強度特性、成形
性、及び複屈折がバランスされて好適である。環状炭化
水素系重合体の重量平均分子量(Mw)は、強度特性、
成形性、複屈折などの諸特性を高度にバランスさせるに
は、100,000〜300,000の範囲に調整する
ことが好ましく、100,000〜270,000の範
囲がより好ましく、100,000〜250,000の
範囲が特に好ましい。
【0026】環状炭化水素系重合体の分子量分布は、G
PCで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量
(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)
で表すと、通常5.0以下、好ましくは4.0以下、よ
り好ましくは3.0以下、特に好ましくは2.0以下で
ある。環状炭化水素系重合体は、Mw/Mnが上記範囲
内にあるとき、機械強度及び耐熱性が良好である。この
Mw/Mnが大きすぎると、強度特性や耐熱性が低下す
る。特に機械強度及び耐熱性を高度に向上させるには、
Mw/Mnが2.0以下であることが好ましく、1.7
以下がより好ましく、1.3以下が特に好ましい。
【0027】本発明で使用する環状炭化水素系重合体が
水素添加物の場合には、未水素添加重合体の重量平均分
子量(Mw)が過度に大きいと、芳香環やシクロヘキセ
ン環などの環の水素添加反応が困難となり、水素添加率
が100%近くになるまで水素添加反応を進ませると、
競争反応である分子鎖切断反応が進んで分子量分布が大
きくなり、かつ、低分子量成分が増加するため、強度特
性や耐熱性が低下する傾向を示す。未水素添加重合体の
重量平均分子量(Mw)が過度に小さいと、強度特性に
劣り、充分な機械的強度を有する成形体を得ることがで
きない。したがって、未水素添加重合体の重量平均分子
量(Mw)も、前記範囲内にあることが機械的強度、耐
熱性などの観点から好ましい。
【0028】(4)製造方法 本発明で使用する環状炭化水素系重合体の製造方法は、
特に限定されず、公知の方法を採用することができる。
例えば、モノ環状オレフィン(単環の環状オレフィン系
単量体)の付加(共)重合体を得る方法としては、例え
ば、国際特許W0 96/23010号公報に記載され
ているNi,Pd錯体を重合触媒として用いる方法を挙
げることができる。環状共役ジエンの付加(共)重合体
を得る方法としては、例えば、特開平7−247321
号公報に記載の周期律表第Ia族の有機金属を触媒とし
て用いる方法を挙げることができる。ビニルシクロアル
カン、ビニルシクロアルケン、ビニル芳香族化合物など
ビニル環状炭化水素系単量体の付加(共)重合体を得る
方法としては、公知のラジカル重合触媒、アニオン重合
触媒、カチオン重合触媒、及びチーグラー・ナッタ重合
触媒の中から適したものを触媒として用いる方法を挙げ
ることができる。これらの重合体は、共重合可能な他の
単量体との共重合体であってもよい。さらに、上記の重
合体の主鎖や側鎖の環構造中に炭素−炭素二重結合が含
まれる場合には、公知の水素添加触媒を用いて水素添加
してもよい。水素添加触媒としては、例えば、Ni,P
dをアルミナやシリカに担持した触媒や、Ni,Pd系
チーグラー触媒などを挙げることができる。
【0029】以下、本発明で最も好ましく使用されるビ
ニル環状炭化水素系重合体の製造方法について、さらに
詳細に説明する。本発明で使用するビニル環状炭化水素
系重合体は、前記の如き各種ビニル環状炭化水素系単量
体をラジカル重合、アニオン重合、アニオンリビング重
合、カチオン重合、カチオンリビング重合などの公知の
重合方法を用いて重合し、必要に応じて水素添加反応す
ることにより得ることができる。重合方法として、ラジ
カル重合法を採用する場合には、触媒として有機過酸化
物を用いた公知の方法で重合することができる。カチオ
ン重合法を採用する場合には、触媒としてBF3 、PF
6 などを用いた公知の方法で重合することができる。分
子量分布の小さい重合体を得るには、アニオンリビング
重合法により重合することが好ましい。具体的には、炭
化水素系溶媒中で、有機アルカリ金属を開始剤として、
ビニル炭化水素系単量体を重合する。
【0030】有機アルカリ金属としては、例えば、n−
ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチル
リチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチ
ルベンリチウムなどのモノ有機リチウム化合物;ジリチ
オメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ
−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオ
ベンゼンなどの多官能性有機リチウム化合物;ナトリウ
ムナフタレン、カリウムナフタレンなどが挙げられる。
これらの中でも、有機リチウム化合物が好ましく、モノ
有機リチウム化合物が特に好ましい。これらの有機アル
カリ金属は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み
合わせて用いることができる。有機アルカリ金属の使用
量は、要求される生成重合体の分子量によって適宜選択
され、通常、単量体100g当り、0.05〜100ミ
リモル、好ましくは0.10〜50ミリモル、より好ま
しくは0.15〜20ミリモルの範囲である。
【0031】重合方法としては、塊状重合、乳化重合、
懸濁重合、溶液重合などの各種重合法を適用することが
できるが、重合後に水素添加反応を行う場合には、水素
添加反応を連続して行うことができるため、溶液重合が
好ましい。溶液重合に使用する溶媒としては、炭化水素
系溶媒が好ましく、具体的には、上記開始剤を破壊しな
いものであれば格別な制限はなく、例えば、n−ブタ
ン、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、
n−ヘプタン、iso−オクタンなどの脂肪族炭化水素
類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペ
ンタン、メチルシクロヘキサン、デカリンなどの脂環式
炭化水素類;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素
類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;
などが挙げられる。これらの中でも、脂肪族炭化水素類
や脂環式炭化水素類を用いると、水素添加反応をそのま
ま行うことができるので好ましい。これらの炭化水素系
溶媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わ
せて、通常、単量体濃度が1〜40重量%になる量比で
用いられる。
【0032】重合反応系にルイス塩基を存在させると、
分子量分布の狭い重合体を得ることができる。ルイス塩
基としては、溶液重合で通常使用されているものであれ
ば特に制限はなく、例えば、エーテル化合物;テトラメ
チルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチル
アミン、ピリジン、キヌクリジンなどの第三級アミン化
合物;カリウム−t−アミルオキシド、カリウム−ブチ
ルオキシドなどのアルカリ金属アルコキシド化合物;ト
リフェニルホスフィンなどのホスフィン化合物;などが
挙げられる。これらの中でも、エーテル化合物が、得ら
れる重合体の分子量分布を狭くすることができるので好
ましい。
【0033】ルイス塩基のエーテル化合物としては、特
に限定はないが、炭素数が通常2〜100、好ましくは
4〜50、より好ましくは4〜20のものが好適に用い
られる。具体的には、例えば、ジメチルエーテル、ジエ
チルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエー
テル、ジアミルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチ
ルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルイ
ソプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルイ
ソアミルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルイ
ソプロピルエーテル、エチルブチルエーテルなどの脂肪
族モノエーテル類;アニソール、フェネトール、ジフェ
ニルエーテル、ジベンジルエーテルなどの芳香族モノエ
ーテル類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランな
どの環状モノエチルエーテル類;エチレングリコールジ
メチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエー
テル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレン
グリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジ
ブチルエーテル、エチレングリコールジアミルエーテ
ル、エチレングリコールジオクチルエーテル、プロピレ
ングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール
ジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエー
テル、イソプロピレングリコールジメチルエーテル、イ
ソプロピレンジエチルエーテル、ブチレングリコールジ
メチルエーテル、ブチレングリコールジエチルエーテ
ル、ブチレングリコールジブチルグリコールなどのアル
キレングリコールジアルキルエーテル類;エチレングリ
コールメチルフェニルエーテルなどのアルキレングリコ
ールジアルキルアリールエーテル類;エチレングリコー
ルジフェニルエーテルなどのアルキレングリコールジア
リールエーテル類;エチレングリコールジベンジルエー
テルなどのアルキレングリコールジアラルキルーテル
類;などが挙げられる。
【0034】これらのルイス塩基は、それぞれ単独で、
あるいは2種以上を組み合わせて使用することができ
る。ルイス塩基の使用割合は、開始剤の有機アルカリ金
属1モルに対して、通常、0.001〜10ミリモル、
好ましくは0.01〜5ミリモル、より好ましくは0.
1〜2ミリモルである。
【0035】重合反応は、等温反応、断熱反応のいずれ
でもよく、通常−70〜150℃、好ましくは−50〜
120℃の重合温度範囲で行われる。重合時間は、0.
01〜20時間、好ましくは0.1〜10時間の範囲で
ある。重合反応後は、スチームストリッピング法、直接
脱溶媒法、アルコール凝固法などの公知の方法により重
合体を回収することができる。重合時に水素添加反応に
不活性な溶媒を用いた場合は、重合溶液から重合体を回
収せずに、そのまま水素添加工程に供することができ
る。
【0036】重合体の水素添加方法は、格別な制限はな
く、常法に従って行うことができるが、ビニル芳香族系
重合体の水素添加を行う場合は、芳香族環の水素添加率
が高く、かつ、重合体鎖の切断が少ない水素添加方法が
好ましい。具体的には、例えば、有機溶媒中で、ニッケ
ル、コバルト、鉄、チタン、ロジウム、パラジウム、白
金、ルテニウム、及びレニウムからなる群より選ばれる
少なくとも一種の金属を含む水素化触媒を用いて、水素
添加反応を行う。水素化触媒は、これらの中でも、ニッ
ケル触媒が、特にMw/Mn値の小さい水素添加物が得
られるので好適である。水素化触媒は、不均一触媒及び
均一触媒のいずれでもよい。
【0037】不均一系触媒は、金属または金属化合物の
ままか、あるいは適当な担体に担持して用いることがで
きる。担体としては、例えば、活性炭、シリカ、アルミ
ナ、炭酸カルシウム、チタニア、マグネシア、ジルコニ
ア、ケイソウ土、炭化珪素等が挙げられる。この場合の
担体上の上記金属の担持量は、通常0.01〜80重量
%、好ましくは0.05〜60重量%の範囲である。
【0038】均一系触媒としては、ニッケル、コバル
ト、チタンまたは鉄化合物と、有機金属化合物(例え
ば、有機アルミニウム、有機リチウム化合物)とを組み
合わせた触媒;ロジウム、パラジウム、白金、ルテニウ
ム、レニウム等の有機金属錯体;などを用いることがで
きる。均一系触媒に用いられるニッケル、コバルト、チ
タンまたは鉄化合物としては、例えば、各種金属のアセ
チルアセトン塩、ナフテン酸塩、シクロペンタジエニル
化合物、シクロペンタジエニルジクロロ化合物等が用い
られる。有機アルミニウムとしては、トリエチルアルミ
ニウム、トリイソブチルアルミニウム等のアルキルアル
ミニウム;ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアル
ミニウムジクロリド等のハロゲン化アルキルアルミニウ
ム;ジイソブチルアルミニウムハイドライド等の水素化
アルキルアルミニウム;などが好適に用いられる。有機
金属錯体の例としては、上記各金属のγ−ジクロロ−π
−ペンゼン錯体、ジクロロ−トリス(トリフェニルホス
フィン)錯体、ヒドリッド−クロロ−トリス(トリフェ
ニルホスフィン)錯体等の金属錯体が使用される。
【0039】これらの水素添加触媒は、それぞれ単独
で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ
る。水素添加触媒の使用量は、ビニル芳香族系重合体や
ビニルシクロヘキセン系重合体などの不飽和重合体10
0重量部当り、通常、0.01〜50重量部、好ましく
は0.1〜30重量部、より好ましくは0.3〜15重
量部の範囲である。
【0040】水素化反応に用いる有機溶媒としては、例
えば、前述の重合反応に用いた溶媒の他に、アルコール
類、エステル類などが挙げられる。これらの有機溶媒
は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて
用いることができる。有機溶媒の使用量は、ビニル芳香
族系重合体の濃度が、通常1〜50重量%、好ましくは
3〜40重量%となる量である。水素添加反応は、通常
10〜250℃、好ましくは50〜200℃、より好ま
しくは80〜180℃の範囲の温度で、通常1〜300
kg/cm2 、好ましくは5〜250kg/cm2 、よ
り好ましくは10〜200kg/cm2 の範囲の水素圧
力で行う。
【0041】異物の含有量が少ない環状炭化水素系重合
本発明の異物の含有量が少ない高品質の環状炭化水素系
重合体は、粒径0.5μm以上の異物の含有量が3.0
×104 個/g以下である環状炭化水素系重合体であ
る。ここで、異物とは、環状炭化水素系重合体と相溶化
せずに微小な粒状物、繊維状物、板状物などとして混入
している不純物(汚染物)、触媒残渣、ゲル化物などを
意味する。粒径0.5μm以上の異物の含有量は、環状
炭化水素系重合体の濃度1.5重量%の有機溶媒溶液を
光散乱式微粒子検出器を用いて測定した値である。
【0042】本発明の環状炭化水素系重合体は、粒径
0.5μm以上の異物の含有量が3×104 個/g以
下、好ましくは2.0×104 個/g以下である。特に
高度の透明性(低曇り価)や低いビットエラーレートの
光ディスク基板などが求められる用途では、粒径0.5
μm以上の異物の含有量を、好ましくは1.0×104
個/g以下、より好ましくは7.0×103 個/g以
下、特に好ましくは5.0×103 個/g以下にまで低
減することができる。粒径0.5μm以上の異物の含有
量の下限は、異物除去処理効率の観点から、通常0.1
×103 個/g程度、多くの場合0.5×103 個/g
程度である。
【0043】環状オレフィン系重合体中の異物の含有量
は、光散乱式微粒子検出器を用いて測定することができ
る。異物の形状は、通常、粒状であるが、それに限定さ
れない。異物の内容も、外部から混入した不純物のほ
か、触媒残渣、ゲル化物、副反応物など、環状炭化水素
系系重合体に相溶化しないものの全てを含み、光散乱式
微粒子検出器を用いて測定される粒径0.5μm以上の
ものを異物として、その含有量を測定する。
【0044】重合工程や水素添加工程などを経て得られ
る環状炭化水素系重合体は、通常、粒径0.5μm以上
の異物の含有量が3×104 個/gをはるかに超えて多
いものである。このように多量の微小な異物を含有する
環状炭化水素系重合体を用いて、例えば、光学レンズを
作製すると、その曇り価を充分に低くすることができな
い。また、光ディスク基板を作製した場合には、ビット
エラレートを充分に小さくすることが難しい。磁気ディ
スク基板を作製した場合には、表面突起を充分に小さく
することができない。半導体製造工程での処理容器など
の半導体関連部品を作製した場合には、シリコンウエハ
への異物粒子による汚染問題を引き起こす。これに対し
て、粒径0.5μm以上の異物の含有量を3×104
/g以下にまで大幅に低減させることにより、これらの
諸問題のない成形体を得ることが可能となる。
【0045】本発明の異物の含有量が少ない高品質の環
状炭化水素系重合体は、ガラス転移温度(Tg)が通常
80〜300℃、好ましくは100〜280℃、より好
ましくは120〜250℃の範囲であり、GPCにより
測定されるポリスチレン換算値による重量平均分子量
(Mw)が通常10,000〜1,000,000、好
ましくは50,000〜500,000、より好ましく
は100,000〜300,000の範囲である。この
重量平均分子量(Mw)は、強度特性、成形性、複屈折
などの諸特性を高度にバランスさせるには、100,0
00〜300,000の範囲に調整することが好まし
く、100,000〜270,000の範囲がより好ま
しく、100,000〜250,000の範囲が特に好
ましい。その分子量分布(Mw/Mn)は、通常5.0
以下、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.0以
下、特に好ましくは2.0以下である。特に機械強度及
び耐熱性を高度に向上させるには、Mw/Mnは、2.
0以下であることが好ましく、1.7以下がより好まし
く、1.3以下が特に好ましい。
【0046】また、異物の含有量が少ない本発明の環状
炭化水素系重合体は、揮発性成分の含有量が通常0.3
重量%(3,000ppm)以下、好ましくは0.1重
量%(1,000ppm)以下、より好ましくは500
ppm以下である。特に高品質の成形体を得るには、揮
発成分の含有量を500ppm以下にまで低減させるこ
とが好ましく、より好ましくは300ppm以下、特に
好ましくは200ppm以下にまで低減させる。揮発性
成分としては、有機溶剤、未反応モノマーまたはその変
性物などが挙げられる。揮発成分の含有量が多すぎる環
状炭化水素系重合体は、射出成形により光ディスク基板
などの厚みの薄い成形体に成形した場合に、スルバース
トリークやボイドが発生しやすくなる。
【0047】異物の除去方法 環状炭化水素系重合体から微小な異物を除去する方法
(換言すれば、異物の含有量が小さな環状炭化水素重合
体の製造方法)は、特に限定されず、粒径0.5μm以
上の異物の含有量を3×104 個/g以下に低減できる
方法であれば如何なる方法をも採用することができる。
好ましい異物の除去方法としては、環状炭化水素系重合
体を含有する溶液を機械的フィルターや電荷的捕捉機能
を有するフィルターで濾過する方法を挙げることができ
る。また、濾過工程の後、濾液を濃縮乾燥して、溶媒な
どの揮発性成分を除去することが好ましい。
【0048】(1)濾過工程 本発明では、重合工程や水素添加工程などで得られた環
状炭化水素系重合体を含有する溶液、あるいは環状炭化
水素系重合体を有機溶媒に溶解させて調製した溶液を濾
過することにより、微小な異物を除去することが好まし
い。濾過方法としては、(a)該溶液を孔径が0.5μ
m以下、好ましくは0.3μm以下の機械的フィルター
で少なくとも2回濾過する方法、(b)該溶液を電荷的
捕捉機能を有する濾過フィルターで濾過する方法などを
挙げることができる。これらの方法の中でも、(b)の
電荷的捕捉機能を有する濾過フィルターを用いる方法が
微小異物の除去能が高く、目開きによる機械的フィルタ
ーによる濾過では通過する微小異物が取り除けられ、濾
過後の再凝集による異物の再生成などが防止されるので
好適である。
【0049】環状炭化水素系重合体を溶解した溶液とし
ては、通常、環状炭化水素系重合体を重合した後の重合
体含有溶液、あるいは水素添加反応した後の反応溶液が
そのまま用いられる。ただし、反応溶液から触媒を除去
する工程を配置してもよい。濾過の際の重合体含有溶液
の濃度は、通常1〜40重量%、好ましくは5〜35重
量%、より好ましくは10〜30重量%である。重合体
含有溶液の濃度が過度に低いと大量の溶媒を処理する必
要があり、過度に高いと濾過性が低下する。重合反応後
または水素添加反応後の溶液濃度は、通常10〜25重
量%程度であるので、通常は、濃縮や希釈をすることな
く、そのまま濾過することができる。
【0050】重合工程または水素添加工程の後、固形の
重合体として回収した環状炭化水素系重合体を使用する
場合には、該重合体を有機溶媒に溶解させて溶液とす
る。有機溶媒としては、環状炭化水素系重合体を溶解し
得るものであれば格別な制限はなく、例えば、n−ブタ
ン、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、
n−ヘプタン、iso−オクタンなどの脂肪族炭化水素
類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペ
ンタン、メチルシクロヘキサン、デカリンなどの脂環式
炭化水素類;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素
類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;
メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアル
コール類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;
スチレンジクロリド、ジクロロエタン、ジクロロエチレ
ン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベ
ンゼン、トリクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水
素;などが挙げられる。これらの有機溶媒は、それぞれ
単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用すること
ができる。重合体含有溶液の濃度は、通常1〜40重量
%、好ましくは5〜35重量%、より好ましくは10〜
30重量%とする。
【0051】濾過前の重合体溶液には、酸化防止剤など
の各種添加剤やその他の樹脂成分などを添加して、溶解
させることができる。これらの添加成分は、有機溶媒に
溶解させてから添加してもよい。例えば、酸化防止剤を
環状炭化水素系重合体に溶融ブレンドすると、微小な異
物を充分に除去することが難しいが、溶液状態でブレン
ドし、濾過することにより、異物を大幅に低減させるこ
とができる。
【0052】電荷的捕捉機能を有するフィルターは、電
気的に荷電異物を捕捉除去する機能を有するフィルター
であり、通常、濾材に電荷を付与したものが用いられ
る。一般的には、ゼータ電位を制御したゼータ電位濾過
フィルター(ζ−フィルター)が用いられる。ゼータ電
位濾過フィルターとしては、一般的には、例えば、特表
平4−504379号公報に記載されているセルロース
繊維/シリカ/陽電荷変性剤(ポリアミンエピクロロヒ
ドリン樹脂、脂肪族ポリアミンなど)のような、濾材に
陽電荷変性剤を付与したフィルターなどが用いられる。
前記以外の濾材としては、例えば、ポリプロピレン製、
ポリエチレン製、PTFE製などの繊維製またはメンブ
ランフィルター、セルロース製の繊維製フィルター、ガ
ラス繊維製フィルター、珪藻土などの無機物製フィルタ
ー、金属繊維製フィルターなどが挙げられる。その他の
陽電荷変性剤としては、例えば、メラミンホルムアルデ
ヒド陽イオンコロイド、無機陽イオンコロイドシリカな
どが挙げられる。市場では、陽電荷変性濾過フィルター
が、キュノ社によって商標「ゼータプラス」で販売され
ている。電荷的捕捉機能を有する濾過フィルターの孔径
は、通常、0.5〜1μm程度である。電荷的捕捉機能
を有する濾過フィルターでの濾過は、処理能力が必ずし
も高くないので、通常は、機械的濾過フィルターと組み
合わせて濾過が行われる。各フィルターの使用の順番
は、格別の制限はなく、例えば、機械的濾過フィルタ
ー/電荷的捕捉機能フィルター/機械的濾過フィルター
の順、機械的濾過フィルター/電荷的捕捉機能フィル
ターの順、電荷的捕捉機能フィルター/機械的濾過フ
ィルターの順、機械的濾過フィルター/機械的濾過フ
ィルター/電荷的捕捉機能フィルターの順など任意であ
る。
【0053】機械的濾過フィルターとしては、溶媒によ
って悪影響を受けないものであれば特に限定されず、例
えば、ポリプロピレン製、ポリエチレン製、PTFE製
などの繊維製またはメンブランフィルター、セルロース
製の繊維製フィルター、ガラス繊維製フィルター、珪藻
土などの無機物製フィルター、金属繊維製フィルターな
どが挙げられる。機械的濾過フィルターの孔径は、格別
な制限はないが、通常10μm以下、好ましくは5μm
以下、より好ましくは1μm以下である。これらの機械
的濾過フィルターは、それぞれ単独で、あるいは2種以
上を組み合わせて用いることができる。ただし、電荷的
捕捉機能を有するフィルターを併用しない場合には、機
械的濾過フィルターとしては、孔径が通常0.5μm以
下、好ましくは0.3μm以下のものを用いて、2回以
上濾過操作を繰り返すことが望ましい。
【0054】(2)揮発成分の除去工程 濾過後の濾液は、外部環境から異物が混入しないよう
に、例えば、密閉系で減圧下に加熱して揮発成分の除去
を行い、次いで、クリーンルーム内などのクリーン度の
高い環境下、例えば、クリーン度をクラス1,000以
下、好ましくはクラス100以下に厳重に管理した環境
下で、冷却し、ペレット化することが望ましい。すなわ
ち、環状炭化水素系重合体から粒径0.5μm以上の異
物を除去するには、環状炭化水素系重合体を有機溶媒に
溶解させて溶液を調製し、この溶液を濾過するが、濾過
後に溶媒を除去するには、特別の方法を採用することが
望ましい。濾液を貧溶媒中に投入して重合体を凝固・析
出させ、次いで、濾過により重合体を分離する方法を採
用すると、貧溶媒中の異物が混入したり、これらの操作
中に空気中の異物が混入しやすい。したがって、異物が
混入しない有機溶媒の除去方法を採用することが好まし
い。また、有機溶媒の除去工程では、未反応モノマーな
どのその他の揮発成分も同時に除去されるが、それによ
って、揮発成分の合計含有量が通常0.3重量%(3,
000ppm)以下、好ましくは0.1重量%(1,0
00ppm)以下、より好ましくは500ppm以下に
なるまで低減させることが望ましい。特に高品質の成形
体を得るには、この除去工程で、揮発成分の含有量が好
ましくは500ppm以下、より好ましくは300pp
m以下、特に好ましくは200ppm以下になるまで低
減させる。
【0055】本発明においては、異物除去工程に続い
て、揮発成分除去工程で重合体溶液中の揮発分を除去す
る。揮発成分としては、例えば、重合反応や水素添加反
応に用いた溶媒、重合工程の反応液を直接水素添加反応
に供した場合に含有される未反応モノマーなどがある。
環状炭化水素系重合体中の揮発成分の含有量が上記範囲
より多いと、該重合体を、投影面積が大きく、厚みの薄
い光ディスク基板(特に大型の光ディスク基板)などを
射出成形により成形した場合、ボイドやシルバーストリ
ークの発生が見られる。
【0056】揮発成分の除去は、重合体溶液を減圧下に
加熱することにより行われる。この方法を濃縮乾燥法と
いう。このための装置としては、例えば、コントロ(日
立製作所社製)、スミス式(神鋼ファウドラー社製)な
どの遠心薄膜連続蒸発器型乾燥器、ボテーター(ケメト
ロン社製)、オンレーター(桜製作所社製)などの掻面
熱交換型連続反応器型乾燥器、SCR(三菱重工社製)
などの高粘度リアクタ装置などが挙げられる。
【0057】これらの装置の操作条件は、適宜選択しう
るが、濾過後の重合体溶液を、通常25kPa以下、好
ましくは15kPa以下、より好ましくは5kPa以下
の圧力下で、通常220〜300℃、好ましくは240
〜290℃、より好ましくは250〜270℃の温度に
加熱して、揮発成分を除去する。操作時間は、揮発成分
を充分に除去し得る時間とするが、通常、10分間以上
である。操作圧力が高すぎると、蒸発速度が遅く生産性
が悪いことに加えて、揮発成分の残留量が多くなる。操
作温度が高すぎると、環状炭化水素系重合体の熱分解や
着色が起こりやすくなる。該重合体が熱分解すると、分
子量が低下したり、分子量分布が増大したりする。操作
温度が低すぎると、蒸発速度が遅く生産性が悪いことに
加えて、揮発成分の残留量が多くなる。この際、窒素、
アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で処理することがで
きる。環状炭化水素系重合体は、酸素の存在下で加熱す
ると、熱劣化により変色することがある。
【0058】揮発成分の除去の基本的操作は、上記のと
おりであるが、環状炭化水素系重合体は、例えば、他の
環状構造含有重合体であるノルボルネン系重合体に比べ
て、熱分解による分子量の低下が生じやすい。また、揮
発成分の除去工程では、環状炭化水素系重合体中に残留
する揮発成分の含有量を数百ppm以下程度にまで低減
することが特に望ましいが、一段の濃縮乾燥により一気
にその程度までの揮発成分の除去を行おうとすると、蒸
発潜熱により重合体または重合体溶液の温度が急激に低
下して、重合体が部分的に固着して詰まりを生じたり、
装置の振動を引き起こすことがある。
【0059】そのため、揮発成分の除去工程は、2段階
以上の工程で行うことが好ましい。具体的には、濃縮乾
燥装置を2機以上使用して、連続的に揮発成分の除去を
行う方法を挙げることができる。これを多段濃縮乾燥法
という。この場合、各段で同じ種類の濃縮乾燥装置を用
いてもよいし、あるいは、異なる装置を組み合わせて用
いてもよい。異なる装置の組み合わせとしては、例え
ば、第1段階として、加熱が可能で攪拌装置を持たない
容器に、高温・高圧の重合体溶液を導入して、揮発成分
を蒸発させ(フラッシュ)、次いで、第2段階として、
加熱・減圧が可能で、かつ攪拌装置を備えた濃縮乾燥装
置を用い、第1段階で得られた濃縮重合体溶液または溶
融重合体を導入して、残りの揮発成分を除去する方法を
挙げることができる。
【0060】具体的に、第1段階では、重合体溶液の濃
度が通常30〜99.5重量%、好ましくは40〜98
重量%、より好ましくは50〜95重量%になるまで、
溶媒などの揮発成分を除去する。第1段階での重合体の
濃度を過度に高くしようとすると、蒸発熱量が大きくな
り、装置の負荷が増大する。第1段階での重合体溶液の
濃度が低すぎると、重合体溶液の蒸発潜熱が大きく、回
収される揮発成分の量も増大するため、次工程での装置
への負荷が大きくなる。いずれの場合も、少なくとも最
終段階では、前記の減圧条件下で濃縮乾燥を行うものと
する。
【0061】したがって、多段濃縮乾燥法としては、例
えば、(1)第1段階を前記減圧乾燥条件下で濃縮乾燥
を行って、重合体溶液の濃度を30〜99.5重量%と
し、次いで、第2段階も前記減圧乾燥条件下で濃縮乾燥
を行って、揮発成分の含有量を通常0.3重量%以下、
好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは数百pp
m以下にまで低減させる方法、(2)第1段階をフラッ
シュ法で行って、重合体溶液の濃度を30〜99.5重
量%とし、次いで、第2段階を前記の減圧乾燥条件下で
濃縮乾燥を行って、揮発成分の含有量を通常0.3重量
%以下、好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは
数百ppm以下にまで低減させる方法などが挙げられ
る。これらの工程を3機以上の乾燥装置を用いて、3段
階以上で行ってもよい。
【0062】このような多段濃縮乾燥を行うことによ
り、乾燥装置一機当りの蒸発潜熱を小さくすることがで
き、重合体が部分的に固着して詰まりを生じたり、装置
の振動を引き起こすなどの不都合を防止することができ
る。したがって、濃度の低い重合体溶液を用いた場合で
あっても、連続的に揮発成分の除去処理を行うことがで
きる。また、多段濃縮を行うことにより、揮発成分の除
去効率が向上し、比較的低温での乾燥処理を行うことも
可能である。低温で濃縮乾燥処理を行うことにより、環
状炭化水素系重合体の熱分解を抑制することができ、さ
らには、酸化劣化(焼け)も抑制され、異物(焼けブ
ツ)量の低減、色調の改善なども図ることができる。こ
れに対して、1段階で濃縮乾燥処理を行うと、環状炭化
水素系重合体が熱履歴を過剰に受けて、分子量が低下し
たり、分子量分布が大きくなる。逆にそれを防止しよう
として、乾燥温度や減圧レベルを緩やかなものにする
と、情報記録媒体基板になどに使用するのに好ましい分
子量範囲及び残留溶媒量のものを得ることが困難とな
る。
【0063】この工程では、必要に応じて、酸化防止
剤、光安定性剤、紫外線吸収剤などの添加剤を添加して
もよい。すなわち、濃縮乾燥前の重合体溶液に、これら
の添加剤を均一に溶解させてから、濃縮乾燥させること
ができる。ただし、異物の含有量を可能な限り低減させ
る場合には、前記濾過工程の前に、これらの添加剤を重
合体溶液に加えることが望ましい。酸化防止剤などの添
加剤は、乾燥条件下で容易に揮散しないものが好まし
い。
【0064】前記の濾過工程と揮発成分除去工程を組み
合わせることにより、粒径0.5μm以上の異物の含有
量が3×104 個/g以下、好ましくは2.0×104
個/g以下の環状炭化水素系重合体を得ることができ
る。また、乾燥条件を適宜選択し、組み合わせることに
より、揮発成分の含有量を通常0.3重量%(3,00
0ppm)以下、好ましくは0.1重量%(1,000
ppm)以下、より好ましくは500ppm以下にまで
低減させることができる。高品質の重合体を得るには、
多くの場合500ppm以下、より好ましくは300p
pm以下、特に好ましくは200ppm以下にまで低減
させることができる。本発明の方法によって製造された
環状炭化水素系重合体は、実質的に非晶性であり、透明
性、寸法安定性、耐熱性、低吸水性に優れ、透湿性がほ
とんど認められない。
【0065】添加剤 本発明の環状炭化水素系重合体には、必要に応じて、酸
化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、帯電防止
剤、着色剤、近赤外線吸収剤などの添加剤を含有させる
ことができる。
【0066】(1)酸化防止剤 酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止
剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤など
が挙げられる。フェノール系酸化防止剤としては、従来
公知のものが使用でき、例えば、2−t−ブチル−6−
(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジ
ル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−
t−アミル−6−〔1−(3,5−ジ−t−アミル−2
−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニルアクリレート
などの特開昭63−179953号公報や特開平1−1
68643号公報に記載されるアクリレート系フェノー
ル化合物;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノ
ール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノー
ル、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−メ
チレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、4,4′−ブチリデン−ビス(6−t−ブチル−
m−クレゾール)、4,4′−チオビス(3−メチル−
6−t−ブチルフェノール)、ビス(3−シクロヘキシ
ル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、
3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒド
ロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−
1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラ
オキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリ
ス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェ
ニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−
トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)ベンゼン、テトラキス〔メチレン−3−(3′,
5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート〕メタン[すなわち、ペンタエリスリメチ
ル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕]、トリエチレ
ングリコールビス〔3−(3−t−ブチルー4−ヒドロ
キシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、トコフ
ェノールなどのアルキル置換フェノール系化合物;6−
(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)
−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジ
ン、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルアニリ
ノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリア
ジン、6−(4−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブ
チルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,
5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−
1,3,5−トリアジンなどのトリアジン基含有フェノ
ール系化合物;などが挙げられる。これらの中でも、ア
クリレート系フェノール化合物及びアルキル置換フェノ
ール系化合物が好ましく、アルキル置換フェノール系化
合物が特に好ましい。
【0067】リン系酸化防止剤としては、一般の樹脂工
業で通常使用されるものであれば格別な限定はなく、例
えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシ
ルホスファイト、フェニルジイソデシルホスフェイト、
トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノ
ニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t
−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブ
チル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(シ
クロヘキシルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレ
ンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホ
スファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−
ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフ
ェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−
9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェ
ナントレンなどのモノホスファイト系化合物;4,4′
−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェ
ニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4′−イソ
プロピリデン−ビス〔フェニル−ジ−アルキル(C12
15)ホスファイト〕、4,4′−イソプロピリデン−
ビス〔ジフェニルモノアルキル(C12〜C15)ホスファ
イト〕、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−ト
リデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタ
ン、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−
4,4′−ビフェニレンジホスファイト、サイクリック
ネオペンタンテトライルビス(イソデシルホスファイ
ト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(ノニ
ルフェニルホスファイト)、サイクリックネオペンタン
テトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルホス
ファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス
(2,4−ジメチルフェニルホスファイト)、サイクリ
ックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブ
チルフェニルホスファイト)などのジホスファイト系化
合物;などが挙げられる。これらの中でも、モノホスフ
ァイト系化合物が好ましく、トリス(ノニルフェニル)
ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイ
ト、及びトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホ
スファイトが特に好ましい。
【0068】イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジ
ラウリル−3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチ
ル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル−
3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル−
3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール
−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネー
ト)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,
4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカ
ンなどを挙げることができる。これらの酸化防止剤は、
それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用い
ることができる。酸化防止剤の配合割合は、環状炭化水
素系重合体100重量部当り、通常、0.0001〜
5.0重量部、好ましくは0.001〜10重量部、よ
り好ましくは0.01〜0.5重量部の範囲である。
【0069】(2)紫外線吸収剤及び光安定剤 本発明においては、環状炭化水素系重合体中に紫外線吸
収剤及び/または光安定剤を配合することにより、耐光
性を格段に改善することができる。紫外線吸収剤として
は、樹脂工業で一般的に使用されるものであれば格別な
限定がなく用いることができ、例えば、ベンゾフェノン
系、サリチル酸系、ベンゾトリアゾール系、アクリレー
ト系、金属錯塩系などの紫外線吸収剤を挙げることがで
きる。光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤
を挙げることができる。紫外線吸収剤及び/または光安
定剤の中でも、ヒンダードアミン系光安定剤が特に好ま
しい。
【0070】ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、
例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒ
ドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキ
シ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸3水
和物、2−ヒドロキシ−4−オクチロキシベンゾフェノ
ン、4−ドデカロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノ
ン、4−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノ
ン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェ
ノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシ
ベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0071】サリチル酸系紫外線吸収剤としては、例え
ば、フェニルサルチレート、4−t−ブチルフェニル−
2−ヒドロキシベンゾエート、フェニル−2−ヒドロキ
シベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−
3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエー
ト、ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒド
ロキシベンゾエートなどが挙げられる。
【0072】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として
は、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニ
ル)2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル
−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロ
−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−
ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H
−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル
−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾー
ル、5−クロロ−2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−
ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2
−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニ
ル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキ
シ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリア
ゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルフェニ
ル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾ
トリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,
4,5,6−テトラヒドロフタリミジルメチル)フェノ
ール、2,2′−メチレンビス[4−(1,1,3,3
−テトラメチルブチル)−6−[(2H−ベンゾトリア
ゾール−2−イル)フェノール]]などが挙げられる。
【0073】金属錯塩系紫外線吸収剤としては、通常ニ
ッケルやコバルトの錯塩が用いられる。具体的には、ニ
ッケル[2,2′−チオビス(4−t−オクチル)フェ
ノレート]ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルチ
オカルバメート、ニッケルビス[o−エチル−3,5−
(ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)]ホスフ
ェート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェー
ト、[1−フェニル,3−メチル,4−デカノニル,ピ
ラゾエート(5)2]ニッケルなどを挙げることができ
る。
【0074】ヒンダードアミン系光安定剤としては、格
別な制限はないが、通常、構造中に3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル基、2,2,6,6−ペ
ンタメチルピペリジル基、または1,2,2,6,6−
ペンタメチル−4−ピペリジル基を有している化合物が
用いられる。具体的には、1−[2−〔3−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニ
ルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕
−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(例えば、
サノールLS2626、三共社製)、2−(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブ
チルマロン酸−ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメ
チル−4−ピペリジル)[例えば、Tinuvin14
4(日本チバガイギー社製)、アデカスタブLA−94
(旭電気化学社製)、アデカスタブLA−63P(旭電
気化学社製)]などが挙げられる。
【0075】これらの紫外線吸収剤及び/または光安定
剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせ
て用いることができる。その配合割合は、環状炭化水素
系重合体100重量部当り、通常、0.0001重量部
〜5.0重量部、好ましくは0.001重量部〜1.0
重量部、より好ましくは0.01重量部〜0.5重量部
の範囲である。
【0076】(3)可塑剤 可塑剤としては、例えば、トリクレジルフォスフェー
ト、トリキシリルフォスフェート、トリフェニルフォス
フェート、トリエチルフェニルフォスフェート、ジフェ
ニルクレジルフォスフェート、モノフェニルジクレジル
フォスフェート、ジクレジルモノキシレニルフォスフェ
ート、アリールアルキルフォスフェート、ジフェニルモ
ノキシレニルフォスフェート、モノフェニルジキシレニ
ルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリエ
チルフォスフェート、トリクロルエチルフォスフェー
ト、トリオクチルフォスフェート、トリス(イソプロピ
ルフェニル)フォスフェートなどのリン酸トリエステル
系可塑剤;フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタ
ル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−n−
オクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸
ジイソノニル、フタル酸オクチルデシル、フタル酸ブチ
ルベンジルなどのフタル酸エステル系可塑剤;オレイン
酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステルなどの脂
肪酸一塩基酸エステル系可塑剤;アジピン酸ジブチル、
アジピン酸ジ−n−脂肪酸二塩基酸エステル系可塑剤;
二価アルコールエステル系可塑剤;オキシ酸エステル系
可塑剤;などを使用することができる。これらの中で
も、リン酸トリエステル系可塑剤が好ましく、トリクレ
ジルフォスフェート及びトリキシリルフォスフェートが
特に好ましい。
【0077】柔軟化剤ないし可塑剤としては、例えば、
スクアラン(C3062、Mw=422.8)、流動パラ
フィン(ホワイトオイル、JIS−K2231に規定さ
れるISO−VG10、ISO−VG15、ISO−V
G32、ISO−VG68、ISO−VG100、VG
8およびVG12など)などのパラフィン類;分子量が
10,000以下のポリイソブテン、水添ポリブタジエ
ン、水添ポリイソプレンなどの液状ポリマー;などを用
いることができる。これらの可塑剤は、それぞれ単独
で、あるいは2種以上を組み合わせて、本発明の目的を
損なわない範囲内で適量が使用される。
【0078】(4)帯電防止剤 帯電防止剤としては、例えば、アルキルスルホン酸ナト
リウム塩、アルキルスルホン酸ホスホニウム塩などのア
ルキルスルホン酸塩;ステアリン酸のグリセリンエステ
ルなどを挙げることができる。これらの帯電防止剤は、
それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて、本
発明の目的を損なわない範囲内で適量が使用される。
【0079】(5)近赤外線吸収剤及び着色剤 本発明の環状炭化水素系重合体を光学レンズ用の成形用
材料として使用する場合には、特定波長領域の光線のみ
を吸収する吸収剤、あるいは染料や顔料などの着色剤を
均一分散配合して、フィルター機能を持たせることがで
きる。吸収剤や着色剤は、格別な限定はないが、600
〜2500nmの近赤外線波長領域において、任意の波
長領域の光線を選択的に吸収する近赤外線吸収剤;60
0nm以下の可視光域の光線波長領域の光線を選択的に
吸収する染料や顔料などの着色剤などが挙げられる。
【0080】近赤外線吸収剤の具体例としては、例え
ば、シアニン系近赤外線吸収剤、ピリリウム系近赤外線
吸収剤、スクワリリウム系近赤外線吸収剤、クロコニウ
ム系近赤外線吸収剤、アズレニウム系近赤外線吸収剤、
フタロシアニン系近赤外線吸収剤、ジチオール金属錯体
系近赤外線吸収剤、ナフトキノン系近赤外線吸収剤、ア
ントラキノン系近赤外線吸収剤、インドフェノール系近
赤外線吸収剤、アジ系近赤外線吸収剤、などが挙げられ
る。市販の近赤外線吸収剤としては、例えば、SIR−
103、SIR−114、SIR−128、SIR−1
30、SIR−132、SIR−152、SIR−15
9、SIR−162(以上、三井東圧染料社製)、Ka
yasorb IR−750、Kayasorb IR
G−002、Kayasorb IRG−003、IR
−820B、Kayasorb IRG−022、Ka
yasorb IRG−023、Kayasorb C
Y−2、Kayasorb cCY−4、Kayaso
rb CY−9(以上、日本化薬社製)等などを挙げる
ことができる。これらの吸収剤は、それぞれ単独で、あ
るいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0081】着色剤としては、有機着色剤と無機着色剤
が挙げられるが、均一分散性の点から有機着色剤が好ま
しい。有機着色剤としては、有機顔料及び染料を用いる
ことができる。染料は、水不溶性のものが好ましい。有
機着色料としては、格別な限定はなく、透明性樹脂に一
般的に配合される有機顔料や染料を用いることができ
る。有機着色剤の好適な例としては、例えば、ピグメン
トレッド38等のジアリリド系顔料;ピグメントレッド
48:2、ピグメントレッド53、ピグメントレッド5
7:1等のアゾレーキ系顔料;ピグメントレッド14
4、ピグメントレッド166、ピグメントレッド22
0、ピグメントレッド221、ピグメントレッド248
等の縮合アゾ系顔料;ピグメントレッド171、ピグメ
ントレッド175、ピグメントレッド176、ピグメン
トレッド185、ピグメントレッド208等のペンズイ
ミダゾロン系顔料;ピグメントレッド178、ピグメン
トレッド179等のペリレン系顔料;ピグメントレッド
177等のアントラキノン系顔料;アントラキノン系着
色染料を挙げることができる。これら着色剤は、それぞ
れ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いること
ができる。
【0082】(6)その他の添加剤 本発明の環状炭化水素系重合体には、必要に応じて、脂
肪族アルコール、脂肪族エステル、芳香族エステル、ト
リグリセライド類、フッ素系界面活性剤、高級脂肪酸金
属塩等の離型剤;滑剤、重金属不活性材などのその他の
添加剤を添加することができる。また、所望により、そ
の他の樹脂を加えてもよい。これらの配合割合は、本発
明の目的を損なわない範囲内で適宜設定することができ
る。
【0083】(7)溶液ブレンド法 本発明の目的を充分に達成するには、各種添加剤成分を
環状炭化水素系重合体の溶液に添加してブレンドするこ
とが好ましい。これを溶液ブレンド法という。添加剤を
ブレンドした溶液は、濾過後に濃縮乾燥する。添加剤を
溶液ブレンドしても、環状炭化水素系重合体に均一に相
溶する場合には、濾過後の重合体溶液に添加剤をブレン
ドし、次いで、濃縮乾燥してもよい。
【0084】特に、酸化防止剤を溶液ブレンドすると、
透明性、耐熱性、低吸水性に優れ、複屈折が小さく、し
かも透明性を阻害する異物の混入量が著しく低減した環
状炭化水素系重合体を得ることができる。このような高
品質の環状炭化水素系重合体は、光学レンズ用の成形用
材料として特に好適である。酸化防止剤は、そのままで
重合体溶液に添加するか、あるいは酸化防止剤の溶液を
調製し、該溶液を重合体溶液に添加する。したがって、
本発明によれば、酸化防止剤を含有する環状炭化水素系
重合体溶液を減圧下に加熱して有機溶媒を除去する成形
用材料の製造方法が提供される。
【0085】成形用材料 本発明では、粒径0.5μm以上の異物の含有量が3×
104 個/g以下の環状炭化水素系重合体を単独で、あ
るいは酸化防止剤などの添加剤成分を含有する環状炭化
水素系重合体(樹脂組成物)を成形用材料として使用す
る。
【0086】成形体 本発明の成形用材料は、射出成形法、押出成形法、圧縮
成形法、回転成形法、溶液キャスト法などの各種成形法
により、各種成形体に成形することができる。成形体と
しては、特に限定されないが、例えば、光学レンズ(プ
ラスチックレンズ)などの光学部品、光ディスク基板や
磁気ディスク基板などの情報記録媒体基板、シリコンウ
エハのキャリヤーなどの半導体製造工程での処理容器な
どを挙げることができる。
【0087】(1)光学部品 本発明の成形用材料は、充分に小さな複屈折と優れた機
械強度を有し、かつ、耐湿性や成形加工性に優れるた
め、各種の光学部品用に好適である。本発明の成形用材
料が適用可能な光学部品としては、例えば、光学レン
ズ、プリズム、光学ミラー、血液検査セル等の各種医療
用検査セル、光学フィルム(偏光フィルム、位相差フィ
ルム、光拡散フィルムなど)、液晶ディスプレイなどの
導光板などが挙げられる。
【0088】これらの中でも、光学レンズ(プラスチッ
クレンズ)の用途が好ましく、特に酸化防止剤を溶液ブ
レンドした環状炭化水素系重合体は、光学レンズ用途に
特に好適である。光学レンズとは、太陽光などの連続し
た波長分布をもった光線や、レーザ光線などの単波長の
光線などを透過させ、その光線の光路を変更させるよう
な機能を有するものであれば特に制限はないが、代表的
なものとしては、単レンズが挙げられる。単レンズと
は、2つ以上の球面、非球面、または平面で囲まれた透
明体のことをいい、光線を収束させる機能をもつもの、
発散させる機能を持つもの、屈折させる機能を持つもの
に分類することができる。
【0089】主に平面から構成され、光線を屈折させる
機能を持つ単レンズとしては、プリズムレンズが代表的
なものである。プリズムレンズ以外の単レンズは、主に
球面と平面から構成され、焦点を持つことを特徴として
おり、光線を焦点に収束させる機能を持つものと、光線
を焦点から発散させる機能を持つものに分類できる。焦
点を持った単レンズとしては、球面レンズと非球面レン
ズが挙げられる。球面レンズは、その形状から、両凸レ
ンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズ、メニスク
凸レンズ、メニスク凹レンズの6つの基本的な形に分類
できる。凸面を持ったレンズは、光線を収束させる機能
を有し、凹面を持ったレンズは、光線を発散させる機能
を有する。メニスクレンズとは、レンズの縁が三日月状
に湾曲しているレンズのことをいう。非球面レンズは、
非球面を有する単レンズのことをいい、楕円面、双曲
面、放物面といった面を持ったレンズのことである。非
球面レンズは、一般的には、軸回転対称の面を持ったレ
ンズや面対称のレンズであるが、3次元非球面もしくは
3次元自由曲面といわれる何らの対称を持たない複雑な
形状の面を持った非球面レンズもある。その他の特殊な
レンズとしては、フルネルレンズ、レイティキュラーレ
ンズ、などのように平板に微細凹凸を形成したレンズな
どが挙げられる。
【0090】本発明の光学レンズは、上記成形用材料を
常法に従って成形して得ることができる。成形方法とし
ては、例えば、射出成形法、圧縮成形法、押出成形法な
どを利用することができる。成形条件として、例えば、
射出成形法の場合は、シリンダ温度は、通常220〜3
50℃、好ましくは250〜300℃である。金型温度
は、通常50〜180℃、好ましくは80〜150℃で
ある。射出圧力は、通常30〜200MPa、好ましく
は60〜150MPaである。保圧時間は、通常1〜3
00秒間、好ましくは5〜150秒間である。冷却時間
は,20〜300秒間、好ましくは30〜150秒間で
ある。シリンダ温度は、高すぎると分解、劣化等が起こ
って強度特性が低下し、低すぎると成形品に残留応力が
発生して複屈折が大きくなる。金型温度は、高すぎると
離型不良が発生し、低すぎると成形品に残留応力が発生
して複屈折が大きくなる。保圧時間は、長すぎると分解
・劣化等が起こって強度特性が低下し、短すぎると成形
収縮が大きくなる。冷却時間は、長すぎると生産性が低
下し、短すぎると成形品中に残留応力が残って複屈折が
大きくなる。よって、これらの成形条件が上記範囲にあ
る場合、成形品である光学レンズの機械強度、複屈折、
離型性、生産性等が高度にバランスされて好適である。
【0091】本発明の光学レンズは、その表面に、熱硬
化法、紫外線硬化法、真空蒸着法、スパッタリング法、
イオンプレーティング法等の方法により、無機化合物、
シランカップリング剤等の有機シリコン化合物、アクリ
ル系モノマー、ビニルモノマー、メラミン樹脂、エポキ
シ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などをハードコー
トすることにより、光学特性、耐薬品性、耐摩耗性、透
湿性等を向上させることができる。
【0092】本発明の光学レンズは、複屈折が小さく、
機械的強度特性及び耐熱性に優れるので、カメラの撮像
系レンズ、ビデオカメラの撮像レンズ、顕微鏡レンズ、
内視鏡レンズ、望遠鏡レンズ、双眼鏡レンズ、眼鏡レン
ズ、拡大レンズなどの全光線透過型レンズ、CD、CD
−ROM、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き
変え可能な光ディスク;光磁気ディスク)、MD(ミニ
ディスク)などの光ディスクのピックアップレンズレー
ザビームプリンタのfθレンズ、センサ用レンズなどの
レーザ走査系レンズ、カメラのファインダー系のプリズ
ムレンズ、などの幅広い用途に用いられる。また、前述
の吸収剤や着色剤を配合したものは、赤外線センサレン
ズ、オートフォーカスレンズ、バンドパスフィルタレン
ズなどに用いられる。
【0093】(2)情報記録媒体基板 本発明に係る情報記録媒体としては、光学的または磁気
的に読みとり可能な情報記録媒体などが挙げられる。本
発明の成形用材料は、これらの情報記録媒体の基板とし
て好適に使用することができる。具体的には、音楽用C
D、CD−ROM、レーザディスクなどの微細な凹凸に
よる反射光の変化を利用し、書き換え不可能なもの;C
D−R、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き換
え可能な光ディスク);光磁気ディスク、MD(ミニデ
ィスク)、DVD(デジタルビデオディスク)など、官
能性色素や相変化による反射率の変化を利用し、追記ま
たは書き換え可能なもの;などがある。
【0094】光ディスク基板に微小異物が多量に存在す
ると、信号再生時のノイズや信号エラーの原因となる。
DVDなどの大容量の光情報記録媒体は、従来品よりも
記録密度が格段に大きくなっており、情報の記録及び読
み出しに用いるレーザ光のスポット径も極めて小さくな
っている。したがって、光ディスク基板中の微小異物で
あっても、エラーを起こしやすく、ビットエラーレート
が大きくなりやすい。粒径0.5μm以上の異物の含有
量が極めて少ない本発明の環状炭化水素系重合体を含有
する成形用材料を用いて光ディスク基板を作製すると、
ビットエラーレートを低く抑制することができる。
【0095】磁気ディスク基板に微小異物が多量に存在
すると、これらの異物が基板表面に多数の突起となって
出現し、磁気ヘッドに触れてトラッキングエラーを生じ
させやすい。粒径0.5μm以上の異物の含有量が極め
て少ない本発明の環状炭化水素系重合体を含有する成形
用材料を用いて磁気ディスク基板を作製すると、例え
ば、基板表面に50nm以上の大きさの突起が生成する
のを抑制することができる。本発明の環状炭化水素系重
合体を含有する成形用材料は、ハブやスペーサなどの情
報記録媒体基板の周辺部品を成形するのににも使用する
ことができる。
【0096】(3)半導体処理器材 本発明の成形体は、透明性、耐熱性、耐水性、耐酸・ア
ルカリ性などの特性に優れていることに加えて、粒径
0.5μm以上の異物の含有量が少ないという特徴があ
り、ICキャリアー、ウェーハキャリアー、情報記録媒
体キャリアー、キャリアーテープ、ウェーハシッパー等
のキャリアー;これらの蓋:超純水容器、超純水用配管
材等の超純水設備用材料;配管用継手、薬液容器、洗浄
槽などの半導体処理用器材としても有用である。すなわ
ち、シリコンウェーハの保管・搬送、表面処理、薬液に
よるエッチング処理、超音波洗浄処理などの集積回路の
製造工程に用いられる種々の器材に使用した場合に、本
発明の成形体は、微粒子異物の発生が極めて少ないた
め、超LSI、ULSIなどの極めて集積化された半導
体の製造に用いる場合も、微小異物による製品不良を抑
えることができる。
【0097】
【実施例】以下に、製造例、実施例、及び比較例を挙げ
て、本発明について、より具体的に説明する。なお、部
及び%は、特に断りのない限り、重量基準である。各種
の物性の測定は、下記の方法に従って行った。 (1)分子量は、トルエンを溶媒にしてGPCで測定
し、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を
求めた。 (2)分子量分布は、トルエンを溶媒にしてGPCで測
定し、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)
と数平均分子量(Mn)を求めて、重量平均分子量(M
w)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)を算出
した。 (3)芳香環の水素添加率は、1H−NMR法により測
定した。 (4)曇り価(ヘーズ値)は、JIS K−7105に
従って、色差・濁度測定器(日本電色工業社製、COH
−300A)により測定した。
【0098】(5)粒径0.5μm以上の異物の含有量 精製したトルエンに環状炭化水素重合体を溶解させて
1.5%濃度の溶液と、光散乱式微粒子検出器(KS−
58、リオン社製)を用いて、粒径0.5μm以上の異
物個数を測定した。 (6)光ディスクのビットエラーレート 光ディスク基板の成形後、日本真空技術社製RFマグ
ネトロンスパッタリング装置を用い、記録膜としてSi
34 /TbFeCo/Si34 の3層膜(膜厚は、各
層とも500オングストローム)を製膜し、光磁気ディ
スクを得た。 ビットエラーレートは、下記の条件での測定した。 書き込みレーザーパワー 5.5 mW 再生レーザーパワー 1.0 mw ディスク回転数 1800 rpm キャリア周波数 2 MHz 印加磁界 300 Oe レーザー波長 830 nm
【0099】[製造例1]ビニル芳香族系重合体の水素
添加物(A)の製造 攪拌装置を備えたステンレス鋼製反応器を充分に乾燥し
窒素置換した後、その中に、脱水シクロヘキサン960
部、スチレンモノマー240部、及びジブチルエーテル
3.81部を仕込み、40℃で攪拌しながら、n−ブチ
ルリチウム溶液(15%含有ヘキサン溶液)0.65部
を添加して、重合を開始した。同条件下で3時間重合を
行った後、イソプロピルアルコール1.26部を添加し
て反応を停止させた。このようにして製造したビニル芳
香族系重合体(a)の重量平均分子量(Mw)と分子量
分布(Mw/Mn)を測定したところ、Mw=180,
000、Mw/Mn=1.04であった。次いで、ビニ
ル芳香族系重合体(a)を含有する重合溶液1200部
を攪拌装置を備えた耐圧反応容器に移送し、ニッケル−
珪藻土触媒(日揮化学工業社製;N113,ニッケル担
持量40%)24部を添加混合した。仕込み終了後、反
応容器内部を水素ガスで置換し、攪拌しながら、150
℃で水素を供給して、圧力70kg/cm2 に保ち、6
時間水素添加反応を行った。水素添加反応終了後、ラジ
オライト#800を濾過床として、加圧濾過器(フンダ
フィルター、石川島播磨重工社製)を使用し、圧力2.
5kg/cm2 で加圧濾過して、無色透明な溶液を得
た。得られた水素添加物(A)は、Mw=153,00
0、Mw/Mn=1.09、水素化率は、ほぼ100%
であった。
【0100】[実施例1]濾過工程 製造例1で得られた水素添加物(A)を含有する溶液
に、重合体固形分100部当り、酸化防止剤として、ペ
ンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕
0.02部を加えて溶解させた。この溶液を金属ファイ
バー製フィルター(孔径0.5μm、ニチダイ社製)に
て濾過した。次いで、濾液をゼータプラスフィルター3
OS(孔径0.5〜1μm、キュノ社製)で濾過し、さ
らに、金属ファイバー製フィルター(孔径0.2μm、
ニチダイ社製)で濾過して異物を除去した。
【0101】濃縮乾燥工程 上記で得られた濾液(重合体濃度=20%)を、揮発成
分除去の第1段階として、まず予備加熱装置で250℃
に加熱し、圧力3.0MPaで円筒型濃縮乾燥器(日立
製作所製)に連続的に供給した。濃縮乾燥機の運転条件
は、圧力60kPa、内部の濃縮された重合体溶液の温
度が260℃となるように調節した。濃縮された溶液
は、濃縮乾燥機から連続的に導出した。この濃縮された
重合体溶液の濃度は、96%であった。さらに、揮発成
分除去の第2段階として、同型の濃縮乾燥機に、重合体
溶液の温度を260℃を保ったまま、圧力1.5MPa
で供給した。運転条件は、圧力1.5kPa、温度27
0℃とした。溶融状態の重合体は、濃縮乾燥機から連続
的に導出し、クラス100のクリーンルーム内でダイか
ら押し出し、水冷後、ペレタイザー(OSP−2、長田
製作所製)でカッティングして、ペレット(環状炭化水
素系重合体)を得た。ペレットは、表面を研磨したステ
ンレス製密閉容器に充填し、保管した。このペレットを
クロロベンゼンに溶解させた溶液を用いて、ガスクロマ
トグラフ(日立製作所社製、G−3000:検出限界1
0ppm)により分析したところ、揮発成分含有量は、
150ppmであった。また、このペレットを用いて重
量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を
測定したところ、Mw=150,000、Mw/Mn=
1.10であった。さらに、0.2μmカートリッジフ
ィルターにて濾過精製したトルエンを用い、このペレッ
トを溶解させて1.5%濃度の溶液とし、光散乱式微粒
子検出器(KS−58、リオン社製)を用いて、粒径
0.5μm以上の異物個数を測定した結果、2.1×1
3 個/gであった。
【0102】光学レンズ 前記ペレットを射出成形機(ファナック株式会社製AU
TOSHOTC MODEL 30A)に供給し、型締
力30t、樹脂温度260℃、型温度100℃、射出圧
力900kg/cm2 にて、有効径4.5mm、厚さ
3.4mm、焦点距離4.5mmのCDプレイヤー用非
球面ピックアップレンズを成形した。射出成形機のシリ
ンダー内での樹脂の滞留時間(樹脂温度250℃以上)
は25分間に制御した。得られたレンズの780nmで
の光線透過率は、91%以上であった。また、このレン
ズの曇り価は、0.1%であった。
【0103】光ディスクディスク基板 前記ペレットを射出成形機(住友重機械工業社製;DI
SC−3)に供給し、光ディスク用スタンパーを取り付
けた金型を使用して、樹脂温度300℃、型温度100
℃に設定して射出成形を行い、径85mmφの光ディス
ク基板を作製した。この光ディスク基板を用いて、ビッ
トエラーレートを測定したところ、1×10-5以下であ
った。
【0104】[実施例2]実施例1の濾過工程におい
て、重合体溶液を金属ファイバー製フィルター(孔径
0.5μm、ニチダイ社製)にて濾過した後、濾液をゼ
ータプラスフィルター3OS(孔径0.5〜1μm、キ
ュノ社製)で濾過し、さらに、金属ファイバー製フィル
ター(孔径0.5μm、ニチダイ社製)で濾過したこと
以外は、実施例1と同様に操作を行った。結果を表1に
示す。
【0105】[実施例3]実施例1の濾過工程におい
て、重合体溶液を金属ファイバー製フィルター(孔径
0.5μm、ニチダイ社製)にて濾過した後、濾液を金
属ファイバー製フィルター(孔径0.5μm、ニチダイ
社製)で濾過し、さらに、ゼータプラスフィルター3O
S(孔径0.5〜1μm、キュノ社製)で濾過したこと
以外は、実施例1と同様に操作を行った。結果を表1に
示す。
【0106】[実施例4]実施例1の濾過工程におい
て、重合体溶液を金属ファイバー製フィルター(孔径
0.5μm、ニチダイ社製)にて濾過した後、濾液を金
属ファイバー製フィルター(孔径0.2μm、ニチダイ
社製)で濾過したこと以外は、実施例1と同様に操作を
行った。結果を表1に示す。
【0107】[実施例5]実施例1の濾過工程におい
て、重合体溶液を金属ファイバー製フィルター(孔径
0.5μm、ニチダイ社製)にて濾過した後、濾液を金
属ファイバー製フィルター(孔径0.2μm、ニチダイ
社製)で濾過し、さらに、金属ファイバー製フィルター
(孔径0.2μm、ニチダイ社製)で濾過したこと以外
は、実施例1と同様に操作を行った。結果を表1に示
す。
【0108】[比較例1]実施例1の濾過工程におい
て、重合体溶液を金属ファイバー製フィルター(孔径
0.5μm、ニチダイ社製)にて濾過した後、濾液を金
属ファイバー製フィルター(孔径0.5μm、ニチダイ
社製)で濾過したこと以外は、実施例1と同様に操作を
行った。結果を表1に示す。
【0109】[比較例2]製造例1で得られた水素添加
物(A)を含有する溶液を金属ファイバー製フィルター
(孔径0.5μm、ニチダイ社製)にて濾過した。次い
で、濾液をゼータプラスフィルター3OS(孔径0.5
〜1μm、キュノ社製)で濾過し、さらに金属ファイバ
ー製フィルター(孔径0.2μm、ニチダイ社製)で濾
過して異物を除去した。この溶液100部を、300部
のイソプロピルアルコール中に注ぎ入れ、攪拌して水素
添加物を析出させた。析出した水素添加物と溶媒を40
0メッシュステンレスフィルターにて分離し、回収され
た水素添加物は、クリーンルーム内に設置した真空乾燥
器にて、120℃、0.1kPa以下で24時間乾燥
し、水素添加物を得た。得られた水素添加物100部に
実施例1に使用したのと同じ酸化防止剤0.05部を配
合し、クリーンルーム内に設置したスクリュー径40m
mの単軸押出機(SV−40、田辺プラスチック機械社
製)にて240℃で溶融押出し、ペレタイザーでカッテ
ィングしてペレットを得た。このペレットを用いたこと
以外は、実施例1と同様にして光学レンズ及び光ディス
ク基板を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0110】[比較例3]製造例1で得られた水素添加
物(A)を含有する溶液に酸化防止剤を加えることな
く、実施例1と同様にして、濾過及び濃縮乾燥を行っ
た。このようにして得られた水素添加物100部に実施
例1に使用したのと同じ酸化防止剤0.05部を配合
し、クリーンルーム内に設置したスクリュー径37mm
の二軸押出機(東芝機械社製、TEM−35B)にて2
40℃で溶融押し出しし、ペレタイザーでカッティング
してペレットを得た。このペレットを用いたこと以外
は、実施例1と同様にして光学レンズ及び光ディスク基
板を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0111】
【表1】
【0112】(脚注)重合体溶液の濾過方法は、すべて
の重合体溶液を金属ファイバー製フィルター(孔径0.
5μm、ニチダイ社製)で濾過した後、以下のようにし
て、さらなる濾過を行った。 1:ゼータプラスフィルター30S(孔径0.5〜1μ
m、キュノ社製)→金属ファイバー製フィルター(孔径
0.2μm、ニチダイ社製) 2:ゼータプラスフィルター30S(孔径0.5〜1μ
m、キュノ社製)→金属ファイバー製フィルター(孔径
0.5μm、ニチダイ社製) 3:金属ファイバー製フィルター(孔径0.5μm、ニ
チダイ社製)→ゼータプラスフィルター30S(孔径
0.5〜1μm、キュノ社製) 4:金属ファイバー製フィルター(孔径0.2μm、ニ
チダイ社製) 5:金属ファイバー製フィルター(孔径0.2μm、ニ
チダイ社製)→金属ファイバー製フィルター(孔径0.
2μm、ニチダイ社製) 6:金属ファイバー製フィルター(孔径0.5μm、ニ
チダイ社製)
【0113】
【発明の効果】本発明によれば、重合体との相溶性がな
い微小な異物の含有量が極めて少ない高品質の環状炭化
水素系重合体とその製造方法が提供される。濾過工程と
濃縮乾燥工程(特に多段濃縮乾燥法)とを組み合わせた
本発明の製造方法によれば、熱分解による分子量の低下
などの不都合を回避しつつ、高品質の環状炭化水素系重
合体を得ることができる。また、本発明によれば、微小
な異物の含有量が少ない環状炭化水素系重合体を含む成
形用材料、及び該成形用材料からなる成形体が提供され
る。本発明の環状炭化水素系重合体を含む成形用材料か
ら形成された成形体は、透明性、耐熱性、低吸湿性に優
れ、複屈折が小さく、しかも曇り価が顕著に改善されて
いるため、光学レンズなどの光学部品に適している。本
発明の環状炭化水素系重合体を含む成形用材料から形成
された光ディスク基板は、ビットエラーレートが顕著に
改善されている。本発明の環状炭化水素系重合体を含む
成形用材料から形成された磁気ディスク基板は、表面に
微小な突起が生成するのが抑制されているため、トラッ
キングエラーが顕著に抑制されている。本発明の環状炭
化水素系重合体を含む成形用材料から形成された成形体
は、異物の発生が少ないため、半導体関連部品としても
好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村上 俊秀 神奈川県川崎市川崎区夜光一丁目2番1号 日本ゼオン株式会社総合開発センター内 Fターム(参考) 4J002 BB011 BC021 BC081 BC091 BC111 BK001 DB006 FD020 FD040 FD050 FD070 FD090 FD110 GP00 GS00 4J100 AA20P AB02P AB03P AB04P AB08P AB10P AR03P AR04P AR05P AR16P AR17P AR18P AR22P CA01 CA04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モノ環状オレフィン系重合体、環状共役
    ジエン系重合体またはその水素添加物、及びビニル環状
    炭化水素系重合体からなる群より選ばれる環状炭化水素
    系重合体であって、粒径が0.5μm以上の異物の含有
    量が3.0×104 個/g以下であることを特徴とする
    環状炭化水素系重合体。
  2. 【請求項2】 モノ環状オレフィン系重合体、環状共役
    ジエン系重合体またはその水素添加物、及びビニル環状
    炭化水素系重合体からなる群より選ばれる環状炭化水素
    系重合体の有機溶媒溶液を電荷的捕捉機能を有するフィ
    ルターで濾過する工程を含む粒径が0.5μm以上の異
    物の含有量が3.0×104 個/g以下である環状炭化
    水素系重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の環状炭化水素系重合体を
    含む成形用材料。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の成形用材料を成形してな
    る成形体。
  5. 【請求項5】 光学部品である請求項4記載の成形体。
  6. 【請求項6】 情報記録媒体基板である請求項4記載の
    成形体。
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