JP2002275314A - 環状オレフィン系重合体組成物及びその成形品 - Google Patents

環状オレフィン系重合体組成物及びその成形品

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JP2002275314A
JP2002275314A JP2001077146A JP2001077146A JP2002275314A JP 2002275314 A JP2002275314 A JP 2002275314A JP 2001077146 A JP2001077146 A JP 2001077146A JP 2001077146 A JP2001077146 A JP 2001077146A JP 2002275314 A JP2002275314 A JP 2002275314A
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cyclic olefin
group
polymer composition
copolymer
olefin polymer
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JP2001077146A
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English (en)
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Shigetoshi Nishijima
茂俊 西島
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Publication date
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  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
  • Wrappers (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 環状オレフィン系重合体組成物中の高温高湿
度下による不具合、クラックや腐食の発生。 【解決手段】 特定元素成分を除去した組成物及びその
成形品により、不具合は低減できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は環状オレフィン系重
合体組成物とその成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】環状オレフィン系重合体は、透明であ
る、吸水率が低い、複屈折が少ない、剛性が高い、耐熱
性に優れる、耐薬品性に優れる、防湿性に優れる等など
の特長により、従来より、記録メディア材料とし、光磁
気ディスクや、CD、DVD、HD等への適用が検討され、実
用化されている。 光学部品においても、導光板や、レ
ンズ、プリズム、ミラー、回折格子等などに使用されて
きた。包装材料用途としては各種ボトル、ビン、シー
ト、PTP、SP等のパッケージングに使用されて来た。使
用される成形法は、射出成形、射出圧縮成形、インジェ
クションプロー成形、ブロー成形、押出成形、キャスト
成形等様々であり、成形品の形状もまた板、シート、フ
ィルム、ボトル、ビン等など用途によって多種多様であ
った。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、環状オレフィン
系重合体を用いた成形品は、高温高湿度下に晒される
と、クラックが発生したり、成形品上に製膜された金属
膜を腐食させることが有った。これは、前記重合体が基
本的に、水分との親和性が少ない為、水分が凝集し易く
且つ、透湿係数が低く、一旦凝集した水分が拡散しにく
い為と考えられている。従来は、水分の凝集を防ぐ目的
を達成するため、ある種の化合物の添加が試みられてい
た(特願昭62-110630)。しかし、上記の化合物の添加
のみでは、水分の凝集をある程度抑制できる場合はあっ
ても、成形品の使用目的によっては不十分な場合もあっ
た。
【0004】
【課題を解決するための手段】環状オレフィン系重合体
中に製造中に含まれるVIIa属などに該当するそれぞれの
元素の含有量を一定量以下に低減することにより、前記
の水分の凝集を低減できることを見いだし本願発明を完
成した。
【0005】即ち、本願発明は次の1)〜7)に関す
る。 1) 下記[A-1]、[A-2]、[A-3]および[A-4]か
らなる群より選ばれる少なくとも1種からなり、VIIa属
に該当するそれぞれの元素の含有量が1ppm以下である環
状オレフィン系重合体組成物。 [A-1]炭素原子数が2〜20のα-オレフィンと下記式
(I)または(II)で表される環状オレフィンとを共重
合させて得られるα-オレフィン・環状オレフィンラン
ダム共重合体
【0006】
【化3】 (式中、nは0または1であり、mは0または1以上の
整数であり、qは0または1であり、R1〜R18ならび
にRaおよびRbは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン
原子または炭化水素基であり、R15〜R18は互いに結合
して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環
または多環が二重結合を有していてもよく、またR15と
R16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成
していてもよい。)
【0007】
【化4】 (式中、pおよびqは0または1以上の整数であり、m
およびnは0、1または2であり、R1〜R19はそれぞ
れ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、
脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基またはアルコキシ
基であり、R9およびR10が結合している炭素原子と、
R13またはR11が結合している炭素原子とは直接あるい
は炭素数1〜3のアルキレン基を介して結合していても
よく、またn=m=0のとき、R15とR12またはR15と
R19とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形
成していてもよい。) [A-2]上記式(I)または(II)で表される環状オレ
フィンの開環重合体または共重合体、 [A-3]前記[A-2]開環重合体または共重合体の水素化物 [A-4]前記[A-1]、[A-2]または[A-3]のグラフト変性物
【0008】2)水素を除くIa属に該当するそれぞれの
元素の含有量が 1ppm以下である1)記載の環状オレフ
ィン系重合体組成物。 3)IIa属に該当する元素のそれぞれの含有量が1ppm以
下である2)記載の環状オレフィン系重合体組成物。 4)IIIa属および遷移元素に該当する元素のそれぞれの
含有率が1ppm以下である請求項3記載の環状オレフィン
系重合体組成物。 5) 1)〜4)いずれか1項に記載の環状オレフィン
系重合体組成物を用いた成形品。 6)記録媒体である4)記載の成形品。 7)光学部品である4)記載の成形品。 8)が包装材料である4)記載の成形品。
【0009】
【発明の実施の態様】本発明の環状オレフィン系重合体
組成物において、環状オレフィン系重合体としては、
[A-1]:炭素原子数が2〜20のα-オレフィンと前記
式(I)または(II)で表される環状オレフィンとのラ
ンダム共重合体、[A-2]:前記式(I)または(II)で
表される環状オレフィンの開環重合体または共重合体、
[A-3]:上記[A-2]開環重合体または共重合体の水素化
物、および[A-4]:上記[A-1]、[A-2]または[A-3]のグ
ラフト変性物からなる群より選ばれる少なくとも1種が
用いられる。
【0010】本発明で用いられる環状オレフィン系重合
体は、DSCで測定したガラス転移温度(Tg)が、70
℃以上であることが好ましく、さらに好ましくは70〜
250℃であり、特に120〜180℃が好ましい。ま
た、本発明で用いられる環状オレフィン系重合体は、非
晶性または低結晶性であり、X線回折法によって測定さ
れる結晶化度が、通常20%以下であり、好ましくは1
0%以下、さらに好ましくは2%以下である。
【0011】本発明の環状オレフィン系重合体は、13
5℃のデカリン中で測定される極限粘度[η]が、通常
0.01〜20dl/gであり、好ましくは0.03〜
10dl/g、さらに好ましくは0.05〜5dl/g
であり、ASTM D1238に準じ260℃、荷重2.16kg
で測定される溶融流れ指数(MFR)は、通常0.1〜
200g/10分であり、好ましくは1〜100g/1
0分、さらに好ましく5〜50g/10分である。環状
オレフィン系重合体は、さらにその軟化点が、サーマル
メカニカルアナライザーで測定した軟化点 (TMA)と
して、通常30℃以上であり、好ましくは70℃以上、
さらに好ましくは80〜260℃である。
【0012】ここで、環状オレフィン系重合体を形成す
る式(I)または(II)で表される環状オレフィンにつ
いて説明する。環状オレフィン 本発明で用いられる
環状オレフィンは、下記式(I)または(II)で表わさ
れる。
【0013】
【化5】 上記式(I)中、nは0または1であり、mは0または
1以上の整数であり、qは0または1である。なお、q
が1の場合には、RaおよびRbは、それぞれ独立に、下
記に示す原子または炭化水素基であり、qが0の場合に
は、Ra、Rbの結合はなくなり、両側の炭素原子が結合
して5員環を形成する。
【0014】R1〜R18ならびにRaおよびRbは、本願
発明に反しない範囲でそれぞれ独立に水素原子、ハロゲ
ン原子または炭化水素基である。ここでハロゲン原子
は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子
である。また、炭化水素基としては、それぞれ独立に、
通常、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3
〜15のシクロアルキル基、芳香族炭化水素基が挙げら
れる。より具体的には、アルキル基としてはメチル基、
エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘ
キシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオ
クタデシル基が挙げられ、シクロアルキル基としては、
シクロヘキシル基が挙げられ、芳香族炭化水素基として
は、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。これら
の炭化水素基は、ハロゲン原子で置換されていてもよ
い。さらに上記式(I)において、R15〜R18がそれぞ
れ結合して(互いに共同して)単環または多環を形成し
ていてもよく、しかも、このようにして形成された単環
または多環は二重結合を有していてもよい。
【0015】
【式6】 式(II)中、pおよびqは0または1以上の整数であ
り、mおよびnは0、1または2である。またR1〜R1
9は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水
素基またはアルコキシ基である。ハロゲン原子は、上記
式(I)におけるハロゲン原子と同じ意味である。
【0016】炭化水素基としては、それぞれ独立に炭素
原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハ
ロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアル
キル基または芳香族炭化水素基が挙げられる。より具体
的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オ
クチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基
が挙げられ、シクロアルキル基としては、シクロヘキシ
ル基が挙げられ、芳香族炭化水素基としては、アリール
基およびアラルキル基、具体的には、フェニル基、トリ
ル基、ナフチル基、ベンジル基およびフェニルエチル基
などが挙げられる。また、アルコキシ基としては、メト
キシ基、エトキシ基およびプロポキシ基などを挙げるこ
とができる。これらの炭化水素基およびアルコキシ基
は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子
で置換されていてもよい。
【0017】ここで、R9およびR10が結合している炭
素原子と、R13が結合している炭素原子またはR11が結
合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜
3のアルキレン基を介して結合していてもよい。すなわ
ち上記二個の炭素原子がアルキレン基を介して結合して
いる場合には、R9およびR13で表される基が、または
R10およびR11で表される基が、互いに共同して、メチ
レン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2CH2-)またはプロピレ
ン基(-CH2CH2CH2-)のうちのいずれかのアルキレン基を
形成している。さらに、n=m=0のとき、R15とR12
またはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の
芳香族環を形成していてもよい。この場合の単環または
多環の芳香族環として、たとえば下記のようなR15とR
12がさらに芳香族環を形成している基が挙げられる。
【0018】
【式7】 ここでqは、式(II)におけるqと同じ意味である。上
記のような式(I)または式(II)で示される環状オレ
フィンを、より具体的に次に例示する。一例として、
【0019】
【式8】 で示されるビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン(=ノルボルネ
ン)(上記一般式中において、1〜7の数字は炭素の位
置番号を示す。)および該化合物に炭化水素基が置換し
た誘導体が挙げられる。
【0020】この置換炭化水素基として、5-メチル、5,
6-ジメチル、1-メチル、5-エチル、5-n-ブチル、5-イ
ソブチル、7-メチル、5-フェニル、5-メチル-5-フェニ
ル、5-ベンジル、5-トリル、5-(エチルフェニル)、5-
(イソプロピルフェニル)、5-(ビフェニル)、5-(β-ナフ
チル)、5-(α-ナフチル)、5-(アントラセニル)、5,6-ジ
フェニルなどを例示することができる。
【0021】さらに他の誘導体として、シクロペンタジ
エン-アセナフチレン付加物、1,4-メタノ-1,4,4a,9a-テ
トラヒドロフルオレン、1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10a-
ヘキサヒドロアントラセンなどのビシクロ[2.2.1]-2-ヘ
プテン誘導体を例示することができる。
【0022】この他、トリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセ
ン、2-メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン、5-メ
チルトリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセンなどのトリシク
ロ[4.3.0.12,5]-3-デセン誘導体、トリシクロ[4.4.0.1
2,5]-3-ウンデセン、10-メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]
-3-ウンデセンなどのトリシクロ[4.4.0.12,5]-3-ウンデ
セン誘導体、
【0023】
【式9】 で示されるテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセ
ン、およびこれに炭化水素基が置換した誘導体が挙げら
れる。
【0024】その炭化水素基として、8-メチル、8-エチ
ル、8-プロピル、8-ブチル、8-イソブチル、8-ヘキシ
ル、8-シクロヘキシル、8-ステアリル、5,10-ジメチ
ル、2,10-ジメチル、8,9-ジメチル、8-エチル-9-メチ
ル、11,12-ジメチル、2,7,9-トリメチル、2,7-ジメチル
-9-エチル、9-イソブチル-2,7-ジメチル、9,11,12-トリ
メチル、9-エチル-11,12-ジメチル、9-イソブチル-11,1
2-ジメチル、5,8,9,10-テトラメチル、8-エチリデン、8
-エチリデン-9-メチル、8-エチリデン-9-エチル、8-エ
チリデン-9-イソプロピル、8-エチリデン-9-ブチル、8-
n-プロピリデン、8-n-プロピリデン-9-メチル、8-n-プ
ロピリデン-9-エチル、8-n-プロピリデン-9-イソプロピ
ル、8-n-プロピリデン-9-ブチル、8-イソプロピリデ
ン、8-イソプロピリデン-9-メチル、8-イソプロピリデ
ン-9-エチル、8-イソプロピリデン-9-イソプロピル、8-
イソプロピリデン-9-ブチル、8-クロロ、8-ブロモ、8-
フルオロ、8,9-ジクロロ、8-フェニル、8-メチル-8-フ
ェニル、8-ベンジル、8-トリル、8-(エチルフェニル)、
8-(イソプロピルフェニル)、8,9-ジフェニル、8-(ビフ
ェニル)、8-(β-ナフチル)、8-(α-ナフチル)、8-(アン
トラセニル)、5,6-ジフェニル等を例示することができ
る。
【0025】さらには、(シクロペンタジエン-アセナ
フチレン付加物)とシクロペンタジエンとの付加物など
のテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン誘導
体、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]-4-ペンタデ
センおよびその誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,1
2.08,13]-3-ペンタデセンおよびその誘導体、ペンタシ
クロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]-3-ヘキサデセンおよび
その誘導体、ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]-4-
ヘキサデセンおよびその誘導体、ヘキサシクロ[6.6.1.1
3,6.110,13.02,7.09,14]-4-ヘプタデセンおよびその誘
導体、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.01
2,16]-5-エイコセンおよびその誘導体、ヘプタシクロ
[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]-4-エイコセ
ンおよびその誘導体、ヘプタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.1
11,18.03,8.012,17]-5-ヘンエイコセンおよびその誘導
体、オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,
8.012,17]-5-ドコセンおよびその誘導体、ノナシクロ[1
0.9.1.14,7.113,20.115,18.02, 10.03,8.012,21.014,1
9]-5-ペンタコセンおよびその誘導体などが挙げられ
る。
【0026】本発明で使用することのできる前記式
(I)または式(II)の具体例は、上記した通りである
が、より具体的なこれらの化合物の構造については、本
願出願人の出願による特開平7-145213号公報明
細書の段落番号[0032]〜[0054]に示されて
おり、本願発明においても、上記明細書に例示されるも
のを本願発明の環状オレフィンとして使用することがで
きる。
【0027】上記のような一般式(I)または(II)で
表される環状オレフィンの製造方法としては、例えば、
シクロペンタジエンと対応する構造を有するオレフィン
類とのディールス・アルダー反応を挙げることが出来
る。これらの環状オレフィンは、単独であるいは2種以
上組み合わせて用いることができる。
【0028】本発明で用いられる環状オレフィン系重合
体は、上記のような式(I)または式(II)で表される
環状オレフィンを用いて、たとえば特開昭60-168708
号、同61-120816号、同61-115912号、同61-115916号、
同61-271308号、同61-272216号、同62-252406号および
同62-252407号などの公報開示の方法に従い、適宜条件
を選択することにより製造することができる。 [A-1]α-オレフィン・環状オレフィンランダム共重合
体 [A-1]α-オレフィン・環状オレフィンランダム共重合
体は、炭素原子数が2〜20のα-オレフィンから誘導
される構成単位を、通常は20〜95モル%、好ましく
は30〜90モル%の量で、環状オレフィンから誘導さ
れる構成単位を、通常は5〜80モル%、好ましくは1
0〜70モル%の量で含有している。なおα-オレフィ
ンおよび環状オレフィンの組成比は、13C−NMRによ
って測定される。
【0029】ここで、α-オレフィン・環状オレフィン
ランダム共重合体[A-1]を構成する炭素原子数が2〜
20のα-オレフィンについて説明する。α-オレフィン
としては、直鎖状でも分岐状でもよく、エチレン、プロ
ピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテ
ン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサ
デセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどの炭素原子
数が2〜20の直鎖状α-オレフィン;3-メチル-1-ブテ
ン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メ
チル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル
-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-
ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセンなどの炭素原子数が4
〜20の分岐状α-オレフィンなどが挙げられる。これ
らのなかでは、炭素原子数が2〜4の直鎖状α-オレフ
ィンが好ましく、エチレンが特に好ましい。このような
直鎖状または分岐状のα-オレフィンは、1種単独でま
たは2種以上組合わせて用いることができる。
【0030】この[A-1]α-オレフィン・環状オレフィ
ンランダム共重合体では、上記のような炭素原子数が2
〜20のα-オレフィンから誘導される構成単位と環状
オレフィンから誘導される構成単位とが、ランダムに配
列して結合し、実質的に線状構造を有している。この共
重合体が実質的に線状であって、実質的にゲル状架橋構
造を有していないことは、この共重合体が有機溶媒に溶
解した際に、この溶液に不溶分が含まれていないことに
より確認することができる。たとえば、極限粘度[η]
を測定する際に、この共重合体が135℃のデカリンに
完全に溶解することにより確認することができる。
【0031】本発明で用いられる[A-1]α-オレフィン
・環状オレフィンランダム共重合体において、上記式
(I)または(II)で表される環状オレフィンの少なく
とも一部は、下記式(IV)または(V)で示される繰り
返し単位を構成していると考えられる。
【0032】
【式10】 式(IV)において、n、m、q、R1〜R18ならびにRa
およびRbは式(I)と同じ意味である。
【0033】
【式11】 式(V)において、n、m、p、qおよびR1〜R19は
式(II)と同じ意味である。
【0034】また本発明で用いられる[A-1]α-オレフ
ィン・環状オレフィンランダム共重合体は、本発明の目
的を損なわない範囲で、必要に応じて他の共重合可能な
モノマーから誘導される構成単位を有していてもよい。
【0035】このような他のモノマーとしては、上記の
ような炭素原子数が2〜20のα-オレフィンまたは環
状オレフィン以外のオレフィンを挙げることができ、具
体的には、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキ
セン、3,4-ジメチルシクロペンテン、3-メチルシクロヘ
キセン、2-(2-メチルブチル)-1-シクロヘキセンおよび
シクロオクテン、3a,5,6,7a-テトラヒドロ-4,7-メタノ-
1H-インデンなどのシクロオレフィン、1,4-ヘキサジエ
ン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサ
ジエン、1,7-オクタジエン、ジシクロペンタジエンおよ
び5-ビニル-2-ノルボルネンなどの非共役ジエン類を挙
げることができる。これらの他のモノマーは、単独であ
るいは組み合わせて用いることができる。
【0036】[A-1]α-オレフィン・環状オレフィンラ
ンダム共重合体において、上記のような他のモノマーか
ら誘導される構成単位は、通常は20モル%以下、好ま
しくは10モル%以下の量で含有されていてもよい。
【0037】本発明で用いられる[A-1]α-オレフィン
・環状オレフィンランダム共重合体は、炭素数が2〜2
0のα-オレフィンと式(I)または(II)で表される
環状オレフィンとを用いて前記公報に開示された製造方
法により製造することができる。これらのうちでも、こ
の共重合を炭化水素溶媒中で行ない、触媒として該炭化
水素溶媒に可溶性のバナジウム化合物および有機アルミ
ニウム化合物から形成される触媒を用いて[A-1]α-オ
レフィン・環状オレフィンランダム共重合体を製造する
ことが好ましい。
【0038】また、この共重合反応では固体状のIV族メ
タロセン系触媒を用いることもできる。ここで固体状IV
族メタロセン系触媒とは、シクロペンタジエニル骨格を
有する配位子を含む遷移金属化合物と、有機アルミニウ
ムオキシ化合物と、必要により配合される有機アルミニ
ウム化合物とからなる触媒である。ここでIV族の遷移金
属としては、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムで
あり、これらの遷移金属が少なくとも1個のシクロペン
タジエニル骨格を含む配位子を有している。シクロペン
タジエニル骨格を含む配位子の例としては、アルキル基
が置換していてもよいシクロペンタジエニル基またはイ
ンデニル基、テトラヒドロインデニル基、フロオレニル
基を挙げることができる。これらの基は、アルキレン基
など他の基を介して結合していてもよい。また、シクロ
ペンタジエニル骨格を含む配位子以外の配位子の例とし
ては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ア
ラルキル基等があげられる。
【0039】また、有機アルミニウムオキシ化合物およ
び有機アルミニウム化合物は、通常オレフィン系樹脂の
製造に使用されるものを用いることができる。このよう
な固体状IV族メタロセン系触媒については、例えば特開
昭61-221206号、同64-106号および特開平2-173112号公
報等に記載されているものを使用し得る。 [A-2] 環状オレフィンの開環重合体または共重合体 [A-2]環状オレフィンの開環重合体または共重合体
は、前記式(I)または(II)で表される環状オレフィ
ンの開環重合体、または前記式(I)および/または
(II)で表される環状オレフィンの開環重合単位を含む
共重合体である。共重合体の場合、2種以上の異なる環
状オレフィンを組み合わせて用いる。
【0040】環状オレフィンの開環重合体または開環共
重合体において、上記式(I)または(II)で表される
環状オレフィンの少なくとも一部は、下記式(VI)また
は(VII)で表される繰り返し単位を構成していると考
えられる。
【式12】 式(VI)において、n、m、qおよびR1〜R18ならび
にRaおよびRbは式(I)と同じ意味である。
【0041】
【式13】 式(VII)において、n、m、p、qおよびR1〜R19は
式(II)と同じ意味である。
【0042】このような開環重合体または開環共重合体
は、前記公報に開示された製造方法により製造すること
ができ、例えば、上記式(I)で表される環状オレフィ
ンを開環重合触媒の存在下に、重合または共重合させる
ことにより製造することができる。開環重合触媒として
は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、
インジウムまたは白金などから選ばれる金属のハロゲン
化物、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と還元剤と
からなる触媒、あるいは、チタン、パラジウム、ジルコ
ニウムまたはモリブテンなどから選ばれる金属のハロゲ
ン化物またはアセチルアセトン化合物と有機アルミニウ
ム化合物とからなる触媒を用いることができる。 [A-3]開環重合体または共重合体の水素化物 本発明で用いられる[A-3]開環重合体または共重合体
の水素化物は、上記のようにして得られる開環重合体ま
たは共重合体[A-2]を、従来公知の水素添加触媒の存
在下に水素化して得られる。
【0043】この[A-3]開環重合体または共重合体の
水素化物においては、式(I)または(II)で表される
環状オレフィンのうち少なくとも一部は、下記式(VII
I)または(IX)で表される繰り返し単位を構成してい
ると考えられる。
【0044】
【式14】 式(VIII)において、n、m、qおよびR1〜R18なら
びにRaおよびRbは式(I)と同じ意味である。
【0045】
【式15】 式(IX)においてn、m、p、q、R1〜R19は式(I
I)と同じ意味である。 [A-4] グラフト変性物 環状オレフィン系重合体のグラフト変性物は、上記の
[A-1]α-オレフィン・環状オレフィンランダム共重合
体、[A-2]環状オレフィンの開環重合体または共重合
体、または、[A-3]開環重合体または共重合体の水素
化物のグラフト変性物である。
【0046】ここで用いられる変性剤としては、通常不
飽和カルボン酸類があげられ、具体的には、(メタ)ア
クリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル
酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロ
トン酸、エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-
2,3-ジカルボン酸(ナジック酸TM)などの不飽和カルボ
ン酸、さらにこれら不飽和カルボン酸の誘導体たとえば
不飽和カルボン酸無水物、不飽和カルボン酸ハライド、
不飽和カルボン酸アミド、不飽和カルボン酸イミド、不
飽和カルボン酸のエステル化合物などが例示される。不
飽和カルボン酸の誘導体としては、より具体的に、無水
マレイン酸、無水シトラコン酸、塩化マレイル、マレイ
ミド、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グ
リシジルマレエートなどが挙げられる。
【0047】これらのなかでは、α,β−不飽和ジカル
ボン酸およびα,β−不飽和ジカルボン酸無水物たとえ
ばマレイン酸、ナジック酸およびこれら酸の無水物が好
ましく用いられる。これらの変性剤は、2種以上組合わ
せて用いることもできる。
【0048】このような環状オレフィン系重合体のグラ
フト変性物は、所望の変性率になるように環状オレフィ
ン系重合体に変性剤を配合してグラフト重合させ製造す
ることもできるし、予め高変性率の変性物を調製し、次
いでこの変性物と未変性の環状オレフィン系重合体とを
所望の変性率になるように混合することにより製造する
こともできる。
【0049】環状オレフィン系重合体と変性剤とから環
状オレフィン系重合体のグラフト変性物を得るには、従
来公知のポリマー変性方法を広く適用することができ
る。たとえば溶融状態にある環状オレフィン系重合体に
変性剤を添加してグラフト重合(反応)させる方法、あ
るいは環状オレフィン系重合体の溶媒溶液に変性剤を添
加してグラフト反応させる方法などによりグラフト変性
物を得ることができる。このようなグラフト反応は、通
常60〜350℃の温度で行われる。またグラフト反応
は、有機過酸化物およびアゾ化合物などのラジカル開始
剤の共存下に行うことができる。
【0050】本発明では、環状オレフィン系重合体とし
て、上記のような[A-1]、[A-2]、[A-3]および[A
-4]のいずれかを単独で用いることができ、またこれら
を組み合わせて用いることもできる。これらのうちで
は、α-オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体
[A-1]、さらにはエチレン・環状オレフィンランダム
共重合体が好ましく用いられる。とりわけ、エチレン・
テトラシクロドデセン共重合体またはエチレン・ノルボ
ルネン共重合体が好ましい。
【0051】本発明においては、この環状オレフィン系
重合体に、必要に応じて、さらに他の樹脂を配合してな
る樹脂組成物を用いることもできる。他の樹脂は、本発
明の目的を損なわない範囲で添加される。ここで環状オ
レフィン系重合体に添加しうる重合体(樹脂成分)を以
下に例示する。 添加し得る他の樹脂成分 (1)1個または2個の不飽和結合を有する炭化水素から
誘導される重合体。 具体的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リメチルブテン-1、ポリ4-メチルペンテン-1、ポリブテ
ン-1およびポリスチレンなどのポリオレフィンが挙げら
れる。なおこれらのポリオレフィンは架橋構造を有して
いてもよい。
【0052】(2)ハロゲン含有ビニル重合体。 具体的にはポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ
フッ化ビニル、ポリクロロプレン、塩素化ゴムなどが挙
げられる。 (3)α,β-不飽和酸とその誘導体から誘導された重合
体。 具体的にはポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポ
リアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、または前記
の重合体を構成するモノマーとの共重合体、たとえばア
クリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アク
リロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・
スチレン・アクリル酸エステル共重合体などが挙げられ
る。
【0053】(4)不飽和アルコールおよびアミン、また
は不飽和アルコールのアシル誘導体またはアセタールか
ら誘導される重合体。 具体的にはポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポ
リスレアリン酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル、ポリマレ
イン酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタ
レート、ポリアリルメラミン、または前記重合体を構成
するモノマーとの共重合体、たとえばエチレン・酢酸ビ
ニル共重合体などが挙げられる。 (5)エポキシドから誘導される重合体。 具体的にはポリエチレンオキシドまたはビスグリシジル
エーテルから誘導された重合体などが挙げられる。 (6)ポリアセタール。 具体的にはポリオキシメチレン、ポリオキシエチレン、
コモノマーとしてエチレンオキシドを含むようなポリオ
キシメチレンなどが挙げられる。 (7)ポリフェニレンオキシド。 (8)ポリカーボネート。 (9)ポリスルフォン。
【0054】(10)ポリウレタンおよび尿素樹脂。 (11)ジアミンおよびジカルボン酸および/またはアミノ
カルボン酸、または相応するラクタムから誘導されたポ
リアミドおよびコポリアミド。 具体的にはナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、
ナイロン12などが挙げられる。 (12)ジカルボン酸およびジアルコールおよび/またはオ
キシカルボン酸、または相応するラクトンから誘導され
たポリエステル。 具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、ポリ1,4-ジメチロール・シクロヘキサ
ンテレフタレートなどが挙げられる。 (13)アルデヒドとフェノール、尿素またはメラミンから
誘導された架橋構造を有した重合体。 具体的には、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、尿素
・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド
樹脂などが挙げられる。 (14)アルキッド樹脂。 具体的にはグリセリン・フタル酸樹脂などが挙げられ
る。
【0055】(15)飽和および不飽和ジカルボン酸と多価
アルコールとのコポリエステルから誘導され、架橋剤と
してビニル化合物を使用して得られる不飽和ポリエステ
ル樹脂ならびにハロゲン含有改質樹脂。 (16)天然重合体。 具体的にはセルロース、ゴム、蛋白質、あるいはそれら
の誘導体たとえば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロ
ース、セルロースエーテルなどが挙げられる。 (17)軟質重合体。 例えば、環状オレフィン成分を含む軟質重合体、α-オ
レフィン系共重合体、α-オレフィン・ジエン系共重合
体、芳香族ビニル系炭化水素・共役ジエン系軟質共重合
体、イソブチレンまたはイソブチレン・共役ジエンから
なる軟質重合体または共重合体等が挙げられる。
【0056】その他の添加物本発明で用いる環状オレフ
ィン系重合体には、さらに上述の成分に加えて、発明の
目的を損なわない範囲で、従来公知の耐候安定剤、耐熱
安定剤、帯電防止剤、難燃剤、スリップ剤、アンチブロ
ッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成
油、ワックス、石油樹脂、有機または無機の充填剤など
が配合されていてもよい。
【0057】たとえば、任意成分として配合される耐候
安定剤の紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合
物、ベンゾトリアゾール系化合物、ニッケル系化合物、
ヒンダードアミン系化合物があり、具体的には、2,2',
4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-(2'-ヒドロ
キシ-3'-t-ブチル-5'-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾ
トリアゾールや2-(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-ブチ
ルフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス(3,5-ジ-t-ブチ
ル-4-ヒドロキシベンゾイルフォスフォリックアシッド
エチルエステルのニッケル塩、ビス(2,2',6,6'-テトラ
メチル-4-ピペリジン)セバケイトなどが挙げられる。
【0058】また、任意成分として配合される耐熱安定
剤としては、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチ
ル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、
β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピ
オン酸アルキルエステル、2,2'-オキザミドビス[エチ
ル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピ
オネートなどのフェノール系酸化防止剤、ステアリン酸
亜鉛、ステアリン酸カルシウム、1,2-ヒドロキシステア
リン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩、グリセリンモノ
ステアレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリ
スリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジ
ステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート
などの多価アルコール脂肪酸エステルなどを挙げること
ができ、また、ジステアリルペンタエリスリトールジフ
ォスファイト、フェニル-4,4'-イソプロピリデンジフェ
ノール-ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス
(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリト
ールジフォスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニ
ル)フォスファイト等のリン系安定剤を使用してもよ
い。これらは単独で配合してもよいが、組み合わせて配
合してもよい。たとえばテトラキス[メチレン-3-(3.5-
ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
メタンとステアリン酸亜鉛とグリセリンモノステアレー
トとの組み合わせなどを例示できる。これらの安定剤
は、1種または2種以上組み合わせて用いることができ
る。
【0059】前記した製造工程中でIa属、VIIa属、IIa
属等の金属を含有する環状オレフィン系重合体組成物
は、溶剤に溶解し、ろ過等の処理を行うことで含有する
金属を一定量以下に減少し、本願発明の環状オレフィン
系重合体組成物とすることができる。環状オレフィン系
重合体もしくは環状オレフィン系重合体組成物を溶解さ
せる溶剤としては、シクロヘキサン、メチルシクロヘキ
サン、エチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、デ
カリン、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭
素等の炭化水素、特に、シクロヘキサン、メチルシクロ
ヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカリン等の飽和環
状炭化水素系の溶媒が、環境や、安全性の面より好まし
く使用される。
【0060】環状オレフィン系重合体溶液をアセトンや
メタノール等のケトンやアルコール等の貧溶媒と混合し
重合体を沈殿、析出させる方法、環状オレフィン系重合
体溶液を以下に示されるような方法でろ過や、吸着後、
溶媒を揮発させたり、貧溶媒中で析出させたりする方法
により、Ia属、VIIa属、IIa属等の金属含有量が一定量
以下の環状オレフィン系重合体重合体を得ることができ
る。また、本願発明の目的に反しない範囲でイオン交換
によって無機元素分離することにより、前記の金属含有
量が一定量以下の環状オレフィン系重合体組成物を得る
ことができる。
【0061】ろ過、吸着の方法としては、既に公知の方
法が使用可能であり、例えば、珪藻土、パーライト、バ
ガス、無機塩類の結晶、ミリポアフィルター、活性アル
ミナ、活性炭、活性白土、シリカゲル、モレキュラーシ
ーブ、骨炭を通すことが出来る。またζ電位を利用した
ろ過方法やフィルターを使用しても良い。 更に、ろ過
時のケーキ、プレコートの生成を促進、或いは強化する
為に、繊維状のセルロース、石綿を任意の割合で混合し
たり、あらかじめセルロース等でプレコートを生成して
おいても良い。この場合の混合割合は、1〜10重量%、好
ましくは1〜5重量%が用いられる。
【0062】ろ過助剤は、原液に混入して用いても良い
が、好ましくはあらかじめろ材面上にろ過助剤の薄層を
形成しておくと濾過が容易になる。濾過を行うろ材とし
ては、濾過助剤を保持することの出来るものであれば、
特に限定されずガラス繊維、合成繊維、金網などの各種
の織物; 有孔金属板; 砂、アスベスト等の充填層; 素焼
き板等の多孔体を用いることができる。 濾過は通常の
濾過、減圧濾過、加圧濾過の何れの方法で行っても良
い。
【0063】イオン交換は本発明の目的に合致する範囲
で使用可能であって、イオン交換樹脂、イオン交換液、
イオン交換繊維、イオン交換紙、イオン交換膜等を使用
できる。上記に代表される手法を用いて本願発明の環状
オレフィン系重合体組成物を得ることができる。
【0064】得られた本願発明の環状オレフィン系重合
体組成物は熱成形や、流延法による成形に適しており、
成形品としては、ボード、光ディスク、磁気ディスク、
光磁気ディスク、レンズ、ピックアップレンズ、fqレン
ズ、arcsinレンズ、コリメーターレンズ、フレネルレン
ズ、プリズム、導光板などの光を屈折、反射、透過させ
て機能したり、回折を利用する回折格子等の光学部品に
使用できる。 包装用材料としては、医療用として、PTP
用シートやSP用フイルム、また、易引き裂き性を利用し
た包装材料、内部の環境をコントロールする鮮度保持包
装等にも使用可能である。また飲料用のボトル、医薬用
バイアルビン、広口ビン、シュリンク包装等にも適用可
能である。本願発明の適用範囲は、使用する目的に適う
範囲で、多層であっても、単層であってもかまわない。
【0065】
【実施例】実施例1 特開昭60-168708、に記載された方法を使用してエチレ
ンとテトラシクロドデセンの共重合体である、E/TD Tg=
130°C、 260°Cで測定したMFRが35g/10minの環状オレフ
ィン系重合体2kgをシクロヘキサン40kgに室温で溶解し
た。シクロヘキサン溶液を、珪藻土(セライト社製、セ
ライト#500)を用いてろ過した後、シクロヘキサン溶液1
Lをアセトン10L中に攪拌しながら、徐々に滴下した。ア
セトン中に析出した重合体粉末を回収、これらを繰り返
した後、重合体1kgに対し、グリセリンモノステアレー
トを5g追加し、2軸押出機を用いて260度で押し出し、ペ
レット化し、ペレット1.8kgを得た。このペレット中のI
a属と、IIa属の含有量を発光分光分析により分析した。
また、電量滴定により、VIIa属の含有量を分析した。
一方、前記ペレットを持ちいて、東芝製IS-50にてシリ
ンダー温度270°C、金型温度 120℃で、外径120mmφ、
厚さ1.2mmの樹脂ディスク基板を製造した。得られた樹
脂ディスク基板に厚さ50nmのアルミ蒸着膜をスパッタし
製膜した。この蒸着膜の上から、オーバーコート剤(大
日本インキ製ダイキュリアSD-211)をスピンコートし、
紫外線で効果させた。膜厚は8μmであった。この蒸着と
保護コート済みのディスクを70℃ 90%RHの中で72時間放
置し、外観を観察し、アルミ蒸着層に発生したピンホー
ルを100倍の顕微鏡で拡大観察した。
【0066】比較例1.重合体のろ過処理をしなかった
以外は実施例1と同様に処理した。
【0067】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 51/08 C08L 51/08 G02B 1/04 G02B 1/04 G11B 7/24 526 G11B 7/24 526M Fターム(参考) 3E086 AD01 AD04 AD07 AD16 AD18 BA02 BA04 BA15 BB41 BB71 CA27 CA28 4F071 AA15 AA20 AA21 AA86 AA88 AB06 AG12 AG19 AH04 AH14 BB02 BB05 BB06 BC01 BC04 4J002 BB02W BB11W BB17W BK00X BN03Y BN17Y DA006 DA066 GG02 GP00 GS00 5D029 KA12

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記[A-1]、[A-2]、[A-3]および
    [A-4]からなる群より選ばれる少なくとも1種からな
    り、VIIa属に該当するそれぞれの元素の含有量が1ppm以
    下である環状オレフィン系重合体組成物。 [A-1]炭素原子数が2〜20のα-オレフィンと下記式
    (I)または(II)で表される環状オレフィンとを共重
    合させて得られるα-オレフィン・環状オレフィンラン
    ダム共重合体 【化1】 (式中、nは0または1であり、mは0または1以上の
    整数であり、qは0または1であり、R1〜R18ならび
    にRaおよびRbは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン
    原子または炭化水素基であり、R15〜R18は互いに結合
    して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環
    または多環が二重結合を有していてもよく、またR15と
    R16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成
    していてもよい。) 【化2】 (式中、pおよびqは0または1以上の整数であり、m
    およびnは0、1または2であり、R1〜R19はそれぞ
    れ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、
    脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基またはアルコキシ
    基であり、R9およびR10が結合している炭素原子と、
    R13またはR11が結合している炭素原子とは直接あるい
    は炭素数1〜3のアルキレン基を介して結合していても
    よく、またn=m=0のとき、R15とR12またはR15と
    R19とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形
    成していてもよい。) [A-2]上記式(I)または(II)で表される環状オレ
    フィンの開環重合体または共重合体、 [A-3]前記[A-2]開環重合体または共重合体の水素化物 [A-4]前記[A-1]、[A-2]または[A-3]のグラフト変性物
    からなりVIIa属に該当するそれぞれの元素の含有量が1p
    pm以下である環状オレフィン系重合体組成物
  2. 【請求項2】水素を除くIa属に該当するそれぞれの元素
    の含有量が 1ppm以下である請求項1記載の環状オレフ
    ィン系重合体組成物。
  3. 【請求項3】IIa属に該当する元素のそれぞれの含有量
    が1ppm以下である請求項2記載の環状オレフィン系重合
    体組成物。
  4. 【請求項4】IIIa属および遷移元素に該当する元素のそ
    れぞれの含有率が1ppm以下であ る請求項3記載の環状
    オレフィン系重合体組成物。
  5. 【請求項5】請求項1〜4いずれか1項に記載の環状オ
    レフィン系重合体組成物を用いた成形品。
  6. 【請求項6】記録媒体である請求項4記載の成形品。
  7. 【請求項7】光学部品である請求項4記載の成形品。
  8. 【請求項8】包装材料である請求項4記載の成形品。
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