JP2005307174A - 射出成型用樹脂の製造方法及びプラスチック製光学素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、重合体の分散安定性に優れ、各種機能性添加剤の効果を十分に発現させることができる射出成型用樹脂の製造方法と、良好な光学的屈折率と高い精度の光学特性を具備し、長時間維持可能なプラスチック製光学素子を提供することである。
【解決手段】 モノマーを溶媒中で重合してポリマーを得る重合工程と、該ポリマーに滑剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、光安定剤及び酸化防止剤から選ばれる少なくとも1種の添加剤を加えてから溶媒を除去する溶媒除去工程と、溶媒が除去された該ポリマーを加熱して樹脂ペレットを得る加熱工程とからなる射出成型用樹脂の製造方法において、該添加剤を添加した後、平均粒径が100nm以下の無機粒子を添加することを特徴とする射出成型用樹脂の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規の射出成型用樹脂の製造方法とそれを用いたプラスチック製光学素子に関する。
MO、CD、DVDといった光情報記録媒体(以下、単に媒体ともいう)に対して、情報の読み取りや記録を行なうプレーヤー、レコーダー、ドライブといった情報機器には、光ピックアップ装置が備えられている。光ピックアップ装置は、光源から発した所定波長の光を媒体に照射し、反射した光を受光素子で受光する光学素子ユニットを備えており、光学素子ユニットはこれらの光を媒体の反射層や受光素子で集光させるためのレンズ等の光学素子を有している。
光ピックアップ装置の光学素子は、射出成形等の手段により安価に作製できる等の点で、プラスチックを材料として適用することが好ましい。光学素子に適用可能なプラスチックとしては、環状オレフィンとα−オレフィンの共重合体(例えば、特許文献1)等が知られている。
ところで、例えば、CD/DVDプレーヤーのような、複数種の媒体に対して情報の読み書きが可能な情報機器の場合、光ピックアップ装置は、両者の媒体の形状や適用する光の波長の違いに対応した構成とする必要がある。この場合、光学素子ユニットはいずれの媒体に対しても共通とすることがコストやピックアップ特性の観点から好ましい。
一方、プラスチックを材料として適用した光学素子ユニットにおいては、ガラスレンズのような光学的安定性を有する物質であることが求められている。例えば、環状オレフィンのような光学的プラスチック物質は、湿度に関して大幅に改善された屈折率の安定性を有すのに対し、温度に対する屈折率の安定性の改良は未だ十分でないのが現状である。
上記のようなプラスチックレンズの光学的屈折率を修正する方法の1つとして、微細粒子充填材を使用する方法が、種々提案されている。
この微細粒子充填材は、光学的プラスチックの屈折率を修正するために使用され、粒子サイズが十分に小さい充填材を用いることによって、充填材による光散乱を起こさず、充填されたプラスチックは、レンズとしての十分な透明性を維持することができるものである。例えば、プラスチックの屈折率を増加させるための微細粒子の添加を記載する技術文献としては、C.BeckerとP.Mueller及びH.Schmidtの編による“シリカ微細粒子で修飾された表面を有する熱可塑性微細合成物質における光学的及び熱力学調査”、SPIE Proceedings第3469巻、1998年7月、88−98ページ、並びにB.BrauneとP.Mueller及びH.Schmidtによる“光学的応用のための酸化タンタルナノマー(Tantalum Oxide Nanomers)”、SPIE Proceedings第3469巻、1998年7月、124−132ページ等に記載されている。
また、感温性を有するポリマー状ホスト物質と、分散された微細粒子物質から構成され、感温性が減少された微細合成物光学製品が提案されている(例えば、特許文献2〜5参照。)。しかしながら、本発明者の検討では、ポリマー重合過程で、微細粒子の添加時期により、生成されるポリマーの分散安定性に対し大きな影響を及ぼし、また、添加時期によっては、微細粒子が重合の妨げとなったり、あるいは機能性の各種添加剤の効果を妨げるという問題を抱えていることが判明した。また、上記提案されている特許文献においては、上述の課題を踏まえての重合過程での微細粒子の添加時期に関しては、何ら言及あるいは示唆がなされてはいない。
特開2002−105131号公報 (第4頁) 特開2002−207101号公報 (特許請求の範囲) 特開2002−241569号公報 (特許請求の範囲) 特開2002−241592号公報 (特許請求の範囲) 特開2002−241612号公報 (特許請求の範囲)
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、重合体の分散安定性に優れ、各種機能性添加剤の効果を十分に発現することができる射出成型用樹脂の製造方法と、良好な光学的屈折率と高い精度の光学特性を具備し、長時間維持可能なプラスチック製光学素子を提供することである。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
モノマーを溶媒中で重合してポリマーを得る重合工程と、該ポリマーに滑剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、光安定剤及び酸化防止剤から選ばれる少なくとも1種の添加剤を加えてから溶媒を除去する溶媒除去工程と、溶媒が除去された該ポリマーを加熱して樹脂ペレットを得る加熱工程とからなる射出成型用樹脂の製造方法において、該添加剤を添加した後、平均粒径が100nm以下の無機粒子を添加することを特徴とする射出成型用樹脂の製造方法。
(請求項2)
請求項1に記載の射出成型用樹脂の製造方法で製造された射出成型用樹脂を用いたプラスチック製光学素子であって、光源から出射される光を用いて、光情報記録媒体に対して情報の再生または記録を行う光ピックアップ装置に用いられ、少なくとも1つの光学面に、該光学面を通過する特定の波長光に対して、予め定められた光路差を付与する光路差付与構造を有することを特徴とするプラスチック製光学素子。
(請求項3)
前記光路差付与構造は、前記光学面が光軸を中心とした3つ以上の輪帯状レンズ面により構成され、該3つ以上の輪帯状レンズ面のうち、隣り合う輪帯状レンズ面は異なる屈折力を有することを特徴とする請求項2に記載のプラスチック製光学素子。
(請求項4)
前記光路差付与構造は、光軸を中心とした複数の回折輪帯からなり、該複数の回折輪帯の断面が鋸歯状であり、かつ、各回折輪帯の光学面が不連続面であることを特徴とする請求項2に記載のプラスチック製光学素子。
(請求項5)
前記光路差付与構造は、光軸を中心とした位相差を生じる複数の輪帯状凹部及び/または輪帯状凸部を同心円状に有することを特徴とする請求項2に記載のプラスチック製光学素子。
(請求項6)
前記光路差付与構造は、光軸を中心とした複数の回折輪帯からなり、該複数の回折輪帯の断面が鋸歯状であり、かつ、各回折輪帯の光学面が不連続面であり、
該複数の回折輪帯のうち少なくとも一つの回折輪帯の断面が階段状であり、かつ、各段の光学面が不連続面であることを特徴とする請求項2に記載のプラスチック製光学素子。
(請求項7)
前記光源から出射される光を、光情報記録媒体に対して集光させる対物光学素子として用いられることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載のプラスチック製光学素子。
本発明によれば、重合体の分散安定性に優れ、各種機能性添加剤の効果を十分に発現することができる射出成型用樹脂を製造することができ、更に良好な光学的屈折率と高い精度の光学特性を具備し、長時間維持可能なプラスチック製光学素子を得ることができる。また、本発明による光学素子は、高い精度を有する光路差付与構造を具備する。したがって、複数種の光情報記録媒体に対して再生、記録を行う光ピックアップ装置において、それぞれの光情報記録媒体に対応した波長の光束を反射面で収束させたり、上記反射面で反射した光を集光して受光素子に導いたりする動作を高い信頼性で行うことができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、モノマーを溶媒中で重合してポリマーを得る重合工程と、該ポリマーに滑剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、光安定剤及び酸化防止剤から選ばれる少なくとも1種の添加剤を加えてから溶媒を除去する溶媒除去工程と、溶媒が除去された該ポリマーを加熱して樹脂ペレットを得る加熱工程とからなる射出成型用樹脂の製造方法において、該添加剤を添加した後、平均粒径が100nm以下の無機粒子を添加する射出成型用樹脂の製造方法により、ポリマー重合の際に、ポリマー粒子の分散安定性に優れ、各種機能性添加剤の効果を十分に発現することができる高分子樹脂を得ることができる。
また、上記方法で作製した射出成型用樹脂を、光源から出射される光を用いて、光情報記録媒体に対して情報の再生または記録を行う光ピックアップ装置に適用し、少なくとも1つの光学面に、該光学面を通過する特定の波長光に対して、予め定められた光路差を付与する光路差付与構造を有するプラスチック製光学素子に適用することにより、例えば、Blu−Ray Disc等のいわゆる次世代光ディスク、情報の記録、再生に波長400nm近傍の光を用いても、光学素子がこのような短波長の光照射を受けても、光学素子自身が白濁したり、屈折率が変動を受けことがなく、極めて製品寿命のが長く、かつ良好な光学的屈折率と高い精度の光学特性を具備したプラスチック製光学素子を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
本発明でいう光学素子とは、光ピックアップ装置の光学系を構成する、例えば、対物レンズ、対物レンズユニット、カップリングレンズ(コリメータ)、ビームエキスパンダ、ビームシェイパ、補正板等の部材として使用することができるものを指す。
また、対物レンズとは、狭義には光ピックアップ装置に光情報記録媒体を装填した状態において、最も光情報記録媒体側の位置で、これと対向すべく配置される集光作用を有するレンズを指し、広義にはそのレンズとともに、アクチュエータによって少なくともその光軸方向に作動可能なレンズを指すものとする。
本発明でいう光情報記録媒体とは、CD、DVD、CD−R、MD、MO、高密度DVD等の所定の波長の光束を用いて情報の再生及び/又は記録を行う一般的な光ディスクを指す。
また、情報の再生とは光情報記録媒体の情報記録面上に記録された情報を再生することをいい、情報の記録とは光情報記録媒体の情報記録面上に情報を記録することをいう。なお、ここでいう再生とは、単に情報を読み取ることを含むものである。
また、本発明のプラスチック製光学素子及び光ピックアップ装置は、情報の記録だけあるいは再生だけを行うために用いるものであってもよいし、記録と再生の両方を行うために用いるものであってもよい。
また、少なくとも1つの光学面とは、レンズの表裏面のうちの光の入射面又は出射面のことを言い、これら入射面と出射面のどちらか一方の面に光路差付与構造を有していても良いし、両方の面に有していても良い。
以下、本発明の射出成型用樹脂の製造方法の詳細について説明する。
本発明の射出成型用樹脂の製造方法においては、ポリマーに添加剤を添加した後、平均粒径が100nm以下の無機粒子を添加することを特徴とする。
ポリマーに添加剤を投入した後に無機粒子を存在させることにより、ポリマー粒子と添加剤との界面における親和力または反発力を低減し、添加剤の濃度分布を狭くでき、また、ポリマー粒子が凝集して粒径が大きくなるのを効果的に防止することができ、その結果、各添加剤の効果を十分に発揮させることができる射出成型用樹脂を得ることができる。
本発明に係る無機粒子としては、平均粒径が100nm以下であれば特に制限はなく、例えば、無機酸化物、無機塩、金属酸化物、金属塩等を用いることができる。
本発明で用いることのできる無機粒子としては、例えば、フッ化バリウム、酸化アルミニウム、酸化ベリリウム、ダイアモンド、炭酸カルシウム、フッ化カルシウム、臭化セシウム、臭化セシウム、沃化セシウム、臭化カリウム、塩化カリウム、フッ化カリウム、沃化カリウム、リン酸チタンカリウム、ホウ酸リチウム、フッ化リチウム、沃素酸リチウム、アルミン酸リチウム、酸化マグネシウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、フッ化ナトリウム、沃化ナトリウム、酸化シリコン、石英、二酸化チタン、酸化イットリウム、硫化亜鉛や、複合金属化合物、例えば、LiNbO3、PLZT〔(Pb,La)(Zr,Ti)O3〕、LiAlSiO4、Nb25、Sc2312、PbTiO3、Lu2312、ZrW28、AlPO4等を挙げることができる。
本発明の射出成型用樹脂の製造方法において、本発明に係る無機粒子の添加位置は、後述する各添加剤をポリマーに添加した後であれば、特に制限はなく、例えば、添加剤を含むポリマー溶液より溶媒を除去する溶媒除去工程、あるいは溶媒が除去された該ポリマーを加熱して樹脂ペレットを得る加熱工程のいずれであっても良い。
本発明において、本発明に係る無機粒子の添加量は、特に制限はないが、概ねモノマーあるいはポリマーに対し、0.1〜50質量%であり、好ましくは1.0〜30質量%である。
次いで、本発明に係るモノマーについて説明する。
本発明の射出成型用樹脂の製造方法としては、モノマーを溶媒中で重合してポリマーを得る重合工程と、該ポリマーに滑剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、光安定剤及び酸化防止剤から選ばれる少なくとも1種の添加剤を加えてから溶媒を除去する溶媒除去工程と、溶媒が除去された該ポリマーを加熱して樹脂ペレットを得る加熱工程とから構成されている。
本発明でいう重合工程とは、モノマーを溶媒等に溶解した溶液に、例えば、重合開始剤、触媒等を添加した後、加熱等によりポリマーを生成する工程である。
射出成型用樹脂を形成するモノマー、ポリマーとしては、特に制限はなく、従来公知のモノマー、ポリマーを用いることができるが、本発明で好ましく用いることのできるモノマー、ポリマーの1つは、炭素原子数が2〜20のα−オレフィンと、下記一般式(1)または(2)で表される環状オレフィンから構成される。
Figure 2005307174
上記一般式(1)において、nは0または1を表し、mは0または1以上の整数を表し、qは0または1を表し、R1〜R18、Ra及びRbは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基を表し、R15〜R18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつこの単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。
Figure 2005307174
上記一般式(1)において、p及びqはそれぞれ0または1以上の整数を表し、m及びnはそれぞれ0、1または2を表し、R1〜R19はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基またはアルコキシ基を表し、R9及びR10が結合している炭素原子と、R13またはR11が結合している炭素原子とは直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またn=m=0のとき、R15とR12またはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。
前記一般式(1)において、nは0または1であり、mは0または1以上の整数であり、qは0または1である。なお、qが1の場合には、Ra及びRbは、それぞれ独立に、下記に示す原子または炭化水素基であり、qが0の場合には、Ra、Rbの結合はなくなり、両側の炭素原子が結合して5員環を形成する。
1〜R18ならびにRa及びRbは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基である。ここでハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。
また、炭化水素基としては、それぞれ独立に、通常、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基、芳香族炭化水素基が挙げられる。より具体的には、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基及びオクタデシル基が挙げられ、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基が挙げられ、芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基が例示される。これらの炭化水素基は、その水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。
更に前記一般式(1)において、R15〜R18がそれぞれ結合して(互いに共同して)単環または多環を形成していてもよく、しかも、このようにして形成された単環または多環は二重結合を有していてもよい。ここで、形成される単環または多環の具体例を下記に示す。
Figure 2005307174
上記例示において、1または2の番号が付された炭素原子は、一般式(1)におけるそれぞれR15(R16)またはR17(R18)が結合している炭素原子を示している。またR15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。このようなアルキリデン基は、通常、炭素原子数2〜20のアルキリデン基であり、このようなアルキリデン基としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基及びイソプロピリデン基を挙げることができる。
次いで、前記一般式(2)で表される環状オレフィンについて説明する。
前記一般式(2)において、p及びqは0または1以上の整数であり、m及びnは0、1または2である。またR1〜R19は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基またはアルコキシ基である。ハロゲン原子は、前記一般式(1)におけるハロゲン原子と同じ意味である。
炭化水素基としては、それぞれ独立に炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または芳香族炭化水素基が挙げられる。より具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基及びオクタデシル基が挙げられ、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基が挙げられ、芳香族炭化水素基としては、アリール基及びアラルキル基、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基及びフェニルエチル基が例示される。
また、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基などを例示することができる。これらの炭化水素基及びアルコキシ基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換されていてもよい。
ここで、R9及びR10が結合している炭素原子と、R13が結合している炭素原子またはR11が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよい。すなわち上記二個の炭素原子がアルキレン基を介して結合している場合には、R9及びR13で表される基が、またはR10及びR11で表される基が、互いに共同して、メチレン基(−CH2−)、エチレン基(−CH2CH2−)またはプロピレン基(−CH2CH2CH2−)のうちのいずれかのアルキレン基を形成している。
更に、n=m=0のとき、R15とR12またはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。この場合の単環または多環の芳香族環として、例えば、下記のようなR15とR12が更に芳香族環を形成している基が挙げられる。
Figure 2005307174
ここでqは、一般式(2)におけるqと同義である。
上記のような一般式(1)または一般式(2)で表される環状オレフィンのより具体的な例を以下に示す。一例として、
Figure 2005307174
で示されるビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(ノルボルネンともいう。上記式中において、1〜7の数字は炭素の位置番号を示す。)及びこの化合物に炭化水素基が置換した誘導体が挙げられる。
この置換炭化水素基として、5−メチル、5,6−ジメチル、1−メチル、5−エチル、5−n−ブチル、5−イソブチル、7−メチル、5−フェニル、5−メチル−5−フェニル、5−ベンジル、5−トリル、5−(エチルフェニル)、5−(イソプロピルフェニル)、5−(ビフェニル)、5−(β−ナフチル)、5−(α−ナフチル)、5−(アントラセニル)、5,6−ジフェニルを例示することができる。
更に他の誘導体として、シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセンなどのビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン誘導体を例示することができる。
この他、トリシクロ[4.3.0.125]デカ−3−エン、2−メチルトリシクロ[4.3.0.125]デカ−3−エン、5−メチルトリシクロ[4.3.0.125]デカ−3−エンなどのトリシクロ[4.3.0.125]デカ−3−エン誘導体、トリシクロ[4.4.0.125]ウンデカ−3−エン、10−メチルトリシクロ[4.4.0.125]ウンデカ−3−エンなどのトリシクロ[4.4.0.125]ウンデカ−3−エン誘導体、
Figure 2005307174
で示されるテトラシクロ[4.4.0.125.1710]ドデカ−3−エン(以下、単にテトラシクロドデセンともいう。上記式中において、1〜12の数字は炭素の位置番号を示す。)及びこれに炭化水素基が置換した誘導体が挙げられる。
その置換基の炭化水素基としては、8−メチル、8−エチル、8−プロピル、8−ブチル、8−イソブチル、8−ヘキシル、8−シクロヘキシル、8−ステアリル、5,10−ジメチル、2,10−ジメチル、8,9−ジメチル、8−エチル−9−メチル、11,12−ジメチル、2,7,9−トリメチル、2,7−ジメチル−9−エチル、9−イソブチル−2,7−ジメチル、9,11,12−トリメチル、9−エチル−11,12−ジメチル、9−イソブチル−11,12−ジメチル、5,8,9,10−テトラメチル、8−エチリデン、8−エチリデン−9−メチル、8−エチリデン−9−エチル、8−エチリデン−9−イソプロピル、8−エチリデン−9−ブチル、8−n−プロピリデン、8−n−プロピリデン−9−メチル、8−n−プロピリデン−9−エチル、8−n−プロピリデン−9−イソプロピル、8−n−プロピリデン−9−ブチル、8−イソプロピリデン、8−イソプロピリデン−9−メチル、8−イソプロピリデン−9−エチル、8−イソプロピリデン−9−イソプロピル、8−イソプロピリデン−9−ブチル、8−クロロ、8−ブロモ、8−フルオロ、8,9−ジクロロ、8−フェニル、8−メチル−8−フェニル、8−ベンジル、8−トリル、8−(エチルフェニル)、8−(イソプロピルフェニル)、8,9−ジフェニル、8−(ビフェニル)、8−(β−ナフチル)、8−(α−ナフチル)、8−(アントラセニル)、5,6−ジフェニル等を例示することができる。
更に他の誘導体として、(シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物)とシクロペンタジエンとの付加物などが挙げられる。
また、テトラシクロ[4.4.0.125.1710]ドデカ−3−エン誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.136.027.0913]ペンタデカ−4−エン及びその誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.125.1912.0813]ペンタデカ−3−エン及びその誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.136.027.0913]ペンタデカ−4,10−ジエン化合物、ペンタシクロ[8.4.0.125.1912.0813]ヘキサデカ−3−エン及びその誘導体、ペンタシクロ[6.6.1.136.027.0914]ヘキサデカ−4−エン及びその誘導体、ヘキサシクロ[6.6.1.136.11013.027.0914]ヘプタデカ−4−エン及びその誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.129.147.11117.038.01216]エイコサ−5−エン及びその誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.136.11017.11215.027.01116]エイコサ−4−エン及びその誘導体、ヘプタシクロ[8.8.0.129.147.11118.038.01217]ヘンエイコサ−5−エン及びその誘導体、オクタシクロ[8.8.0.129.147.11118.11316.038.01217]ドコサ−5−エン及びその誘導体、ノナシクロ[10.9.1.147.11320.11518.0210.038.01221.01419]ペンタコサ−5−エン及びその誘導体、ノナシクロ[10.10.1.158.11421.11619.0211.049.01322.01520]ヘキサコサ−6−エン及びその誘導体などが挙げられる。
本発明で使用することのできる前記一般式(1)または一般式(2)で表される環状オレフィンの具体例は、上述したごとくであるが、より具体的なこれらの化合物の構造については、特開平7−145213号公報の段落番号〔0032〕〜同〔0054〕に示されており、本発明においても、同公報に例示されるものを環状オレフィンとして使用することができる。
上記のような一般式(1)または一般式(2)で表される環状オレフィンの製造方法としては、例えば、シクロペンタジエンと、対応する構造を有するオレフィン類とのディールス・アルダー反応を挙げることができる。
これらの環状オレフィンは、単独でも、あるいは2種以上組み合わせても用いることができる。
本発明で用いられる環状オレフィンからなる処理前重合体は、前記一般式(1)または一般式(2)で表される環状オレフィンを用いて、例えば、特開昭60−168708号、同61−120816号、同61−115912号、同61−115916号、同61−271308号、同61−272216号、同62−252406号及び同62−252407号などの公報において提案された方法に従い、適宜、条件を選択することにより製造することができる。
そのうち、炭素原子数が2〜20のα−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体は、α−オレフィンから誘導される構成単位を、通常は5〜95モル%、好ましくは20〜80モル%の量で、環状オレフィンから誘導される構成単位を、通常は5〜95モル%、好ましくは20〜80モル%の量で含有している。なおα−オレフィン及び環状オレフィンの組成比は、13C−NMRによって測定される。
ここで、α−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体を構成する炭素原子数が2〜20のα−オレフィンについて説明する。
α−オレフィンとしては、直鎖状でも分岐状でもよく、エチレン、プロピレン、ブタ−1−エン、ペンタ−1−エン、ヘキサ−1−エン、オクタ−1−エン、デカ−1−エン、ドデカ−1−エン、テトラデカ−1−エン、ヘキサデカ−1−エン、オクタデカ−1−エン、エイコサ−1−エンなどの炭素原子数が2〜20の直鎖状α−オレフィン;3−メチルブタ−1−エン、3−メチルペンタ−1−エン、3−エチルペンタ−1−エン、4−メチルペンタ−1−エン、4−メチルヘキサ−1−エン、4,4−ジメチルヘキサ−1−エン、4,4−ジメチルペンタ−1−エン、4−エチルヘキサ−1−エン、3−エチルヘキサ−1−エンなどの炭素原子数が4〜20の分岐状α−オレフィンなどが挙げられる。これらのなかでは、炭素原子数が2〜4の直鎖状α−オレフィンが好ましく、エチレンが特に好ましい。このような直鎖状または分岐状のα−オレフィンは、1種単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。
このα−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体では、上記のような炭素原子数が2〜20のα−オレフィンから誘導される構成単位と環状オレフィンから誘導される構成単位とが、ランダムに配列して結合し、実質的に線状構造を有している。この共重合体が実質的に線状であって、実質的にゲル状架橋構造を有していないことは、この共重合体が有機溶媒に溶融した際に、その溶液に不溶分が含まれていないことにより確認することができる。例えば、極限粘度[η]を測定する際に、この共重合体が135℃のデカリンに完全に溶融することにより確認することができる。
本発明で用いられるα−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体において、上記一般式(1)または一般式(2)で表される環状オレフィンの少なくとも一部は、下記一般式(3)または一般式(4)で示される繰り返し単位を構成していると考えられる。
Figure 2005307174
上記一般式(3)において、n、m、q、R1〜R18ならびにRa及びRbは、前記一般式(1)におけるそれぞれと同義である。
Figure 2005307174
上記一般式(4)において、n、m、p、q及びR1〜R19は、前記一般式(2)におけるそれぞれと同義である。
また、本発明に係るα−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体は、必要に応じ、本発明の目的効果を損なわない範囲内で、他の共重合可能なモノマーから誘導される構成単位を有していてもよい。
このような他のモノマーとしては、上記のような炭素原子数が2〜20のα−オレフィンまたは環状オレフィン以外のオレフィンを挙げることができ、具体的には、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)シクロヘキサ−1−エン及びシクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン、ヘキサ−1,4−ジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチルヘキサ−1,4−ジエン、オクタ−1,7−ジエン、ジシクロペンタジエン及び5−ビニル−2−ノルボルネンなどの非共役ジエン類を挙げることができる。
α−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体において、上記のような他のモノマーから誘導される構成単位を含有させる場合には、通常、20モル%以下であり、10モル%以下の量とすることが好ましい。
本発明で用いられるα−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体は、炭素原子数が2〜20のα−オレフィンと前記一般式(1)または一般式(2)で表される環状オレフィンとを用いて、前述の公報に開示された製造方法により製造することができる。これらのうちでも、この共重合反応を、炭化水素溶媒中で行い、この炭化水素溶媒に可溶性のバナジウム化合物及び有機アルミニウム化合物から形成される触媒を用いる製造方法が好ましい。
また、この共重合反応では、固体状の周期律表4族のメタロセン系触媒を用いることもできる。ここで固体状の周期律表4族のメタロセン系触媒とは、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む遷移金属化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物と、必要により配合される有機アルミニウム化合物とからなる触媒である。ここで周期律表4族の遷移金属としては、例えば、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムが挙げられ、これらの遷移金属が少なくとも1個のシクロペンタジエニル骨格を含む配位子を有している触媒である。シクロペンタジエニル骨格を含む配位子の例としては、シクロペンタジエニル基、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フロオレニル基を挙げることができる。ここで、シクロペンタジエニル基にはアルキル基が置換していてもよい。これらの基は、アルキレン基などの他の基を介して結合していてもよい。また、シクロペンタジエニル骨格を含む配位子以外の配位子の例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。
また、有機アルミニウムオキシ化合物及び有機アルミニウム化合物は、通常ポリオレフィン類の製造に使用されるものを用いることができる。このような固体状の周期律表4族のメタロセン系触媒については、例えば、特開昭61−221206号、同64−106号及び同2−173112号公報等に記載されているものを使用することができる。
本発明においては、水素添加処理も好適に用いることができる。水素添加処理の処理前重合体として用いられるグラフト変性物は、上記のα−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体のグラフト変性物である。
ここで用いられる変性剤としては、通常不飽和カルボン酸類が挙げられ、具体的には、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸(ナジック酸(登録商標))などの不飽和カルボン酸、更にこれら不飽和カルボン酸の誘導体例えば不飽和カルボン酸無水物、不飽和カルボン酸ハライド、不飽和カルボン酸アミド、不飽和カルボン酸イミド、不飽和カルボン酸のエステル化合物などが例示される。
不飽和カルボン酸の誘導体としては、より具体的に、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、塩化マレイル、マレイミド、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエートなどが挙げられる。
これらの中では、α,β−不飽和ジカルボン酸及びα,β−不飽和ジカルボン酸無水物、例えば、マレイン酸、ナジック酸(登録商標)及びこれら酸の無水物が好ましく用いられる。これらの変性剤は、2種以上組合わせて用いることもできる。
このようなα−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体のグラフト変性物は、所望の変性率になるように、変性剤をこの共重合体に配合してグラフト重合させ製造することもできるし、予め高変性率の変性物を調製し、次いでこの変性物と未変性のエチレン・環状オレフィンランダム共重合体とを所望の変性率になるように混合することにより製造することもできる。
α−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体と変性剤とからグラフト変性物を得るには、従来公知のポリマー変性方法を広く適用することができる。例えば、溶融状態にあるエチレン・環状オレフィンランダム共重合体に変性剤を添加してグラフト重合(反応)させる方法、あるいはエチレン・環状オレフィンランダム共重合体の溶媒溶液に変性剤を添加してグラフト反応させる方法などによりグラフト変性物を得ることができる。
このようなグラフト反応は、通常60〜350℃の温度で行われる。また、グラフト反応は、有機過酸化物及びアゾ化合物などのラジカル開始剤の共存下に行うことができる。
本発明では、水素添加処理の処理前重合体として、上記のようなα−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体、及びそのグラフト変性物のいずれかを単独で用いることができ、また同じグループの2種以上や、異なる2以上のグループを組み合わせて用いることもできる。
本発明に係る環状オレフィン系重合体は、DSCで測定(昇温速度10℃/min)したガラス転移温度(Tg)が、60〜230℃であることが好ましく、更には、70〜210℃であることが好ましい。
また、環状オレフィン系重合体は、非晶性または低結晶性であり、X線回折法によって測定される結晶化度が、通常20%以下であり、好ましくは10%以下、更に好ましくは2%以下である。
135℃のデカリン中で測定される極限粘度[η]は、好ましくは0.01〜20dl/gであり、より好ましくは0.05〜10dl/g、更に好ましくは0.08〜5dl/gである。
軟化点は、サーモメカニカルアナライザーで測定した軟化点(TMA)として、通常30℃以上であり、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは90〜250℃、特に好ましくは100〜200℃である。ここで、軟化点の測定は、デュポン社製 Thermo Mechanical Analyzerを用いて、厚さ1mmのシートの熱変形挙動により行った。すなわちシート上に荷重49gをかけた石英製針を乗せ、5℃/minの速度で昇温し、針がシート中に0.635mm侵入した温度を軟化点(TMA)とした。
上記の環状オレフィン系重合体のなかでは、α−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体を水添処理して得られ、軟化点(TMA)が80℃以上であり、かつ極限粘度[η]が0.05〜10dl/gであるものが好ましい。
本発明における水添処理は、前記した処理前重合体を、環状飽和炭化水素を主成分とする溶媒中で、水素添加触媒の存在下に、水素添加することが好ましい。処理前重合体の溶剤としては、シクロヘキサン、n−ヘキサン、デカリン、シクロヘプタン、シクロペンタン、n−ヘプタン、n−オクタンなどが挙げられる。これらは1種単独で、或いは2種以上混合して用いることができる。
これらの中では、シクロヘキサン、n−ヘキサンが好ましく、特に、シクロヘキサンを50質量%以上含有する溶剤が好ましい。
水素添加触媒金属としては、例えば、Pt、Rh、Pd、Cu、Y、Fe、Ru、W、Znなどが挙げられる。好ましくは、ラニーニッケル、活性炭担持パラジウム、ウィルキンソン錯体が用いられる。
水素添加の方法は、例えば、処理前重合体を1〜30質量%、好ましくは3〜20質量%溶融した前記水素添加用の溶媒に、この重合体に対して0.5〜10質量%の濃度の触媒(金属として)を加え、反応温度20〜200℃、好ましくは40〜120℃、水素分圧0.1〜20MPa、好ましくは0.5〜10MPaにおいて行う。反応時間は、要求される色相の改善度の応じて適宜選ばれるが、通常、5分〜12時間、好ましくは5分〜6時間の間で選ばれる。反応後、触媒は濾過などにより除去される。
また、本発明の射出成型用樹脂の製造方法において、射出成型用樹脂を形成するモノマー、ポリマーとして好ましく用いることのできるモノマー、ポリマーの他の1つは、重量平均分子量(Mw)が1,000〜1,000,000である重合体全繰り返し単位中に、下記一般式(I)で表される脂環式構造を有する繰り返し単位(a)と、下記一般式(II)、下記一般式(III)及び下記一般式(IV)から選ばれる少なくとも1種の鎖状構造の繰り返し単位(b)とを、合計含有量が90質量%以上になるように含有し、該繰り返し単位(b)の含有量が1質量%以上、10質量%未満である脂環式炭化水素系共重合体である。
Figure 2005307174
上記一般式(I)中、Xは脂環式炭化水素基であり、一般式(I)〜一般式(IV)中、R1〜R13は、それぞれ独立に水素原子、鎖状炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、または極性基(ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、又はシリル基)で置換された鎖状炭化水素基である。n1〜n4はそれぞれ質量%を表し、少なくともn2は1質量%以上、10質量%未満を表す。
前記一般式(I)〜一般式(IV)において、R1〜R13は、それぞれ独立に水素原子、鎖状炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、または極性基(ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、またはシリル基)で置換された鎖状炭化水素基等を表す。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子を挙げることができる。極性基で置換された鎖状炭化水素基としては、例えば、炭素原子1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6のハロゲン化アルキル基が挙げられる。鎖状炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6のアルキル基、炭素原子数2〜20、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6のアルケニル基が挙げられる。
前記一般式(I)におけるXは、脂環式炭化水素基を表し、それを構成する炭素数は、4個〜20個、好ましくは4個〜10個、より好ましくは5個〜7個である。脂環式構造を構成する炭素数をこの範囲にすることで、複屈折を低減することができ好ましい。また、脂環式構造は単環構造に限らず、例えば、ノルボルナン環やジシクロヘキサン環などの多環構造のものでも良い。
n1〜n4はそれぞれ質量%を表し、少なくともn2は1質量%以上、10質量%未満を表す。
次いで、本発明に係る脂環式炭化水素系共重合体について、その詳細を説明する。
脂環式炭化水素基は、炭素−炭素不飽和結合を有してもよいが、その含有量は、全炭素−炭素結合の10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下である。脂環式炭化水素基の炭素−炭素不飽和結合をこの範囲とすることで、透明性、耐熱性を向上させることができ好ましい。また、脂環式炭化水素基を構成する炭素には、例えば、水素原子、炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、極性基(例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基等)等で置換された鎖状炭化水素基等が結合していてもよく、中でも水素原子又は炭素原子数1〜6個の鎖状炭化水素基が耐熱性、低吸水性の点で好ましい。
また、前記一般式(III)においては、主鎖中に炭素−炭素不飽和結合を有しているが、透明性、耐熱性を強く要求される場合、炭素−炭素不飽和結合の含有率は、主鎖を構成する全炭素−炭素間結合の10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下である。
特に、前記一般式(I)で表される繰り返し単位の中でも、下記一般式(V)で表される繰り返し単位が、耐熱性、低吸水性の点で優れている。
Figure 2005307174
また、前記一般式(II)で表される繰り返し単位の中でも、下記一般式(VI)で表される繰り返し単位が、耐熱性、低吸水性の点で優れている。
Figure 2005307174
また、前記一般式(III)で表される繰り返し単位の中でも、下記一般式(VII)で表される繰り返し単位が、耐熱性、低吸水性の点で優れている。
Figure 2005307174
また、前記一般式(IV)で表される繰り返し単位の中でも、下記一般式(VIII)で表される繰り返し単位が、耐熱性、低吸水性の点で優れている。
Figure 2005307174
上記一般式(V)、一般式(VI)、一般式(VII)及び一般式(VIII)において、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、Rk、Rm、Rn、Rpはそれぞれ独立に水素原子または低級鎖状炭化水素基を示し、水素原子または炭素数1〜6の低級アルキル基であることが、耐熱性、低吸水性に優れる観点から好ましい。
n5〜n8はそれぞれ質量%を表す。
前記一般式(II)及び一般式(III)で表される鎖状構造の繰り返し単位の中では、前記一般式(III)で表される鎖状構造の繰り返し単位の方が、得られる炭化水素系重合体の強度特性に優れている点で好ましい。
本発明においては、炭化水素系共重合体中の、前記一般式(I)で表される脂環式構造を有する繰り返し単位(a)と、前記一般式(II)、一般式(III)及び一般式(IV)から選ばれる少なくとも1種の鎖状構造の繰り返し単位(b)との合計含有量が、質量基準で、90%以上であることが特徴の1つであるが、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上である。合計含有量を上記で規定する範囲にすることにより、低複屈折性、耐熱性、低吸水性、機械強度が高度にバランスされた脂環式炭化水素系共重合体を得ることができる。
本発明に係る脂環式炭化水素系共重合体における鎖状構造の繰り返し単位(b)の含有量は、質量基準で1%以上、10%未満であることが特徴の1つであるが、好ましくは1%以上、8%以下、より好ましくは2%以上、6%以下の範囲である。繰り返し単位(b)の含有量を上記で規定する範囲とすることにより、低複屈折性、耐熱性、低吸水性が高度にバランスされた脂環式炭化水素系共重合体を得ることができる。
また、繰り返し単位(a)の連鎖長は、脂環式炭化水素系共重合体の分子鎖長に対して十分に短く、具体的には、脂環式構造を有する繰り返し単位連鎖の重量平均分子量をAとし、(脂環式炭化水素系共重合体の重量平均分子量(Mw))×(脂環式構造を有する繰り返し単位数/脂環式炭化水素系共重合体を構成する全繰り返し単位数)をBとしたとき、AがBの30%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以下、更に好ましくは15%以下、特に好ましくは10%以下の範囲である。Aがこの範囲外では、低複屈折性に劣る。
更に、繰り返し単位(a)の連鎖長が、特定の分布を有しているもの好ましい。具体的には、脂環式構造を有する繰り返し単位連鎖の重量平均分子量をAとし、脂環式構造を有する繰り返し単位連鎖の数平均分子量をCとしたとき、A/Cが好ましくは1.3以上、より好ましくは1.3〜8、最も好ましくは1.7〜6の範囲である。A/Cが過度に小さいとブロック程度が増加し、過度に大きいとランダムの程度が増加して、いずれの場合にも低複屈折性に劣る。
本発明に係る脂環式炭化水素系共重合体の分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下、GPC)により測定されるポリスチレン(またはポリイソプレン)換算重量平均分子量(Mw)で、1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜300,000、最も好ましくは50,000〜250,000の範囲である。脂環式炭化水素系共重合体の重量平均分子量(Mw)が過度に小さいと成形物の強度特性に劣り、逆に過度に大きいと成形物の複屈折が大きくなる。
本発明に係る脂環式炭化水素系共重合体の分子量分布は、使用目的に応じて適宜選択できるが、GPCにより測定されるポリスチレン(またはポリイソプレン)換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で、通常2.5以下、好ましくは2.3以下、より好ましくは2以下の範囲である。Mw/Mnがこの範囲にあると、機械強度と耐熱性が高度にバランスされる。
本発明に係る脂環式炭化水素系共重合体のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常50℃〜250℃、好ましくは70℃〜200℃、より好ましくは90℃〜180℃である。
次いで、本発明に係る脂環式炭化水素系共重合体の製造方法について説明する。
本発明に係る脂環式炭化水素系共重合体の製造方法としては、(方法1)芳香族ビニル系化合物と共重合可能なその他のモノマーとを共重合し、主鎖及び芳香環の炭素−炭素不飽和結合を水素化する方法、(方法2)脂環式ビニル系化合物と共重合可能なその他のモノマーとを共重合し、必要に応じて水素化する方法等が挙げられる。
上記の方法で本発明に係る脂環式炭化水素系共重合体を製造する場合には、芳香族ビニル系化合物または脂環式ビニル系化合物(a′)と共重合可能なその他のモノマー(b′)との共重合体で、共重合体中の化合物(a′)由来の繰り返し単位が、D=(芳香族ビニル系化合物及び/又は脂環式ビニル系化合物由来の繰り返し単位連鎖の重量平均分子量)、E=(炭化水素系共重合体の重量平均分子量(Mw)×(芳香族ビニル系化合物及び/又は脂環式ビニル系化合物由来の繰り返し単位数/炭化水素系共重合体を構成する全繰り返し単位数))とした時、DがEの30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、最も好ましくは10%以下である連鎖構造を有する共重合体の、主鎖、及び芳香環やシクロアルケン環等の不飽和環の炭素−炭素不飽和結合を水素化する方法により効率的に得ることができる。Dが上記で規定する条件を外れると、得られる脂環式炭化水素系共重合体の低複屈折性が劣る。
本発明においては、上記各製造方法の中でも、上記(方法1)に記載の方法がより効率的に脂環式炭化水素系共重合体を得ることができる点で好ましい。
上記水素化前の共重合体としては、更に、芳香族ビニル系化合物及び/又は脂環式ビニル系化合物由来の繰り返し単位の連鎖の数平均分子量をFとしたときの、D/Fが一定の範囲であるのが好ましい。具体的には、D/Fが好ましくは1.3以上、より好ましくは1.3以上、8以下、最も好ましくは1.7以上、6以下の範囲である。D/Fがこの範囲外では、得られる脂環式炭化水素系共重合体の低複屈折性が劣る。
上記化合物(a′)由来の繰り返し単位の連鎖の重量平均分子量および数平均分子量は、例えば、文献Macromorecules 1983,16,1925−1928に記載の芳香族ビニル系共重合体の主鎖中不飽和二重結合をオゾン付加した後還元分解し、取り出した芳香族ビニル連鎖の分子量を測定する方法等により確認できる。
水素化前の共重合体の分子量は、GPCにより測定されるポリスチレン(またはポリイソプレン)換算重量平均分子量(Mw)で、1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜300,000の範囲である。共重合体の重量平均分子量(Mw)が過度に小さいと、それから得られる脂環式炭化水素系共重合体の成形物の強度特性に劣り、逆に過度に大きいと水素化反応性に劣る。
上記(方法1)において使用する芳香族ビニル系化合物の具体例としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−プロピルスチレン、α−イソプロピルスチレン、α−t−ブチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノフルオロスチレン、4−フェニルスチレン等が挙げられ、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン等が好ましい。
上記(方法2)において使用する脂環式ビニル系化合物の具体例としては、例えば、シクロブチルエチレン、シクロペンチルエチレン、シクロヘキシルエチレン、シクロヘプチルエチレン、シクロオクチルエチレン、ノルボルニルエチレン、ジシクロヘキシルエチレン、α−メチルシクロヘキシルエチレン、α−t−ブチルシクロヘキシルエチレン、シクロペンテニルエチレン、シクロヘキセニルエチレン、シクロヘプテニルエチレン、シクロオクテニルエチレン、シクロデケニルエチレン、ノルボルネニルエチレン、α−メチルシクロヘキセニルエチレン、及びα−t−ブチルシクロヘキセニルエチレン等が挙げられ、これらの中でも、シクロヘキシルエチレン、α−メチルシクロヘキシルエチレンが好ましい。
これらの芳香族ビニル系化合物及び脂環式ビニル系化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
共重合可能なその他のモノマーとしては、格別な限定はないが、鎖状ビニル化合物及び鎖状共役ジエン化合物等が用いられ、鎖状共役ジエンを用いた場合、製造過程における操作性に優れ、また得られる脂環式炭化水素系共重合体の強度特性に優れる。
鎖状ビニル化合物の具体例としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等の鎖状オレフィンモノマー;1−シアノエチレン(アクリロニトリル)、1−シアノ−1−メチルエチレン(メタアクリロニトリル)、1−シアノ−1−クロロエチレン(α−クロロアクリロニトリル)等のニトリル系モノマー;1−(メトキシカルボニル)−1−メチルエチレン(メタアクリル酸メチルエステル)、1−(エトキシカルボニル)−1−メチルエチレン(メタアクリル酸エチルエステル)、1−(プロポキシカルボニル)−1−メチルエチレン(メタアクリル酸プロピルエステル)、1−(ブトキシカルボニル)−1−メチルエチレン(メタアクリル酸ブチルエステル)、1−メトキシカルボニルエチレン(アクリル酸メチルエステル)、1−エトキシカルボニルエチレン(アクリル酸エチルエステル)、1−プロポキシカルボニルエチレン(アクリル酸プロピルエステル)、1−ブトキシカルボニルエチレン(アクリル酸ブチルエステル)などの(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、1−カルボキシエチレン(アクリル酸)、1−カルボキシ−1−メチルエチレン(メタクリル酸)、無水マレイン酸などの不飽和脂肪酸系モノマー等が挙げられ、中でも、鎖状オレフィンモノマーが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテンが最も好ましい。
鎖状共役ジエンは、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、及び1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これら鎖状ビニル化合物及び鎖状共役ジエンの中でも鎖状共役ジエンが好ましく、ブタジエン、イソプレンが特に好ましい。これらの鎖状ビニル化合物及び鎖状共役ジエンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの鎖状ビニル系化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記化合物(a′)を重合する方法は、格別制限はないが、一括重合法(バッチ法)、モノマー逐次添加法(モノマー全使用量の内の一部を用いて重合を開始した後、残りのモノマーを逐次添加して重合を進めていく方法)等が挙げられ、特にモノマー逐次添加法を用いると、好ましい連鎖構造を有する炭化水素系共重合体が得られる。水素化前の共重合体は、前述のDの値がより小さい程、及び/又は、D/Fが大きな値を示す程、よりランダムな連鎖構造を有する。共重合体がどの程度のランダム性を有しているかは、芳香族ビニル系化合物の重合速度と共重合可能なその他のモノマーの重合速度との速度比で決まり、この速度比が小さい程、よりランダムな連鎖構造を有していることになる。
前記モノマー逐次添加法によれば、均一に混合された混合モノマーが重合系内に逐次的に添加されるため、バッチ法とは異なり、ポリマーの重合による成長過程においてモノマーの重合選択性をより下げることができるので、得られる共重合体がよりランダムな連鎖構造になる。また、重合系内での重合反応熱の蓄積が小さくてすむので重合温度を低く安定に保つことがでる。
モノマー逐次添加法の場合、まずモノマーの全使用量のうち、通常、0.01〜60質量%、好ましくは0.02〜20質量%、より好ましくは0.05〜10質量%のモノマーを初期モノマーとして予め重合反応器内に存在させた状態で開始剤を添加して重合を開始する。初期モノマー量をこのような範囲にすると、重合開始後の初期反応において発生する反応熱除去を容易にすることができ、得られる共重合体をよりランダムな連鎖構造にすることができる。
上記初期モノマーの重合転化率を70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上になるまで反応を継続すると、得られる共重合体の連鎖構造がよりランダムになる。その後、前記モノマーの残部を継続的に添加するが、添加の速度は重合系内のモノマーの消費速度を考慮して決定される。
通常は、初期モノマーの重合添加率が90%に達するまでの所要時間をT、初期モノマーの全使用モノマーに対する比率(%)をIとしたとき、関係式[(100−I)×T/I]で与えられる時間の0.5〜3倍、好ましくは0.8〜2倍、より好ましくは1〜1.5倍となる範囲内で残部モノマーの添加が終了するように決定される。具体的には通常0.1〜30時間、好ましくは0.5時間〜5時間、より好ましくは1時間〜3時間の範囲となるように、初期モノマー量と残りモノマーの添加速度を決定する。また、モノマー添加終了直後の全モノマー重合転化率は、通常80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。モノマー添加終了直後の全モノマー重合転化率を上記の範囲とすると、得られる共重合体の連鎖構造がよりランダムになる。
重合反応は、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等、特別な制約はないが、重合操作、後工程での水素化反応の容易さ、及び最終的に得られる炭化水素系共重合体の機械的強度を考えると、アニオン重合法が好ましい。
ラジカル重合の場合は、開始剤の存在下で、通常0〜200℃、好ましくは20〜150℃で、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の方法を用いることができるが、特に樹脂中への不純物等の混入等を防止する必要のある場合は、塊状重合、懸濁重合が望ましい。ラジカル開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、t−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物、アゾイソブチロニトリル、4,4−アゾビス−4−シアノペンタン酸、アゾジベンゾイル等のアゾ化合物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムに代表される水溶性触媒やレドックス開始剤などが使用可能である。
アニオン重合の場合には、開始剤の存在下で、通常0℃〜200℃、好ましくは20℃〜100℃、特に好ましくは20℃〜80℃の温度範囲において、塊状重合、溶液重合、スラリー重合等の方法を用いることができるが、反応熱の除去を考慮すると、溶液重合が好ましい。この場合、重合体及びその水素化物を溶解できる不活性溶媒を用いる。溶液反応で用いる不活性溶媒は、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、iso−オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類等が挙げられ、中でも脂肪族炭化水素類や脂環式炭化水素類を用いると、水素化反応にも不活性な溶媒としてそのまま使用することができる。これらの溶媒は、それぞれ単独で、或いは2種類以上を組み合わせて使用でき、通常、全使用モノマー100質量部に対して200〜10,000質量部となるような割合で用いられる。
上記アニオン重合の開始剤としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウムなどのモノ有機リチウム、ジリチオメタン、1,4−ジオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン等の多官能性有機リチウム化合物などが使用可能である。
重合反応においては、重合促進剤やランダマイザー(或る1成分の連鎖が長くなるのを防止する機能を有する添加剤)などを使用できる。アニオン重合の場合には、例えば、ルイス塩基化合物をランダマイザーとして使用できる。ルイス塩基化合物の具体例としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルフェニルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−t−アミルオキシド、カリウム−t−ブチルオキシド等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物が挙げられる。これらのルイス塩基化合物は、それぞれ単独で、或いは2種類以上を組み合わせて使用できる。
上記のラジカル重合やアニオン重合により得られた重合体は、例えば、スチームストリッピング法、直接脱溶媒法、アルコール凝固法等の公知の方法で回収できる。また、重合時に、水素化反応で不活性な溶媒を用いた場合には、重合溶液から重合体を回収せず、そのまま水素添加工程に使用することができる。
以下、不飽和結合の水素化方法について、更に詳細に説明する。
水素化前の共重合体の芳香環やシクロアルケン環などの不飽和環の炭素−炭素二重結合や主鎖の不飽和結合等の水素化反応を行う場合は、反応方法、反応形態に特別な制限はなく、公知の方法にしたがって行えばよいが、水素化率を高くでき、且つ水素化反応と同時に起こる重合体鎖切断反応の少ない水素化方法が好ましく、例えば、有機溶媒中、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、ロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、及びレニウムから選ばれる少なくとも1つの金属を含む触媒を用いて行う方法が挙げられる。水素化触媒は、不均一触媒、均一触媒のいずれも使用可能である。
不均一系触媒は、金属または金属化合物のままで、又は適当な担体に担持して用いることができる。担体としては、例えば、活性炭、シリカ、アルミナ、炭化カルシウム、チタニア、マグネシア、ジルコニア、ケイソウ土、炭化珪素等が挙げられ、触媒の担持量は、通常0.01〜80質量%、好ましくは0.05〜60質量%の範囲である。均一系触媒は、ニッケル、コバルト、チタンまたは鉄化合物と有機金属化合物(例えば、有機アルミニウム化合物、有機リチウム化合物)とを組み合わせた触媒、またはロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、レニウム等の有機金属錯体触媒を用いることができる。ニッケル、コバルト、チタンまたは鉄化合物としては、例えば、各種金属のアセチルアセトン塩、ナフテン塩、シクロペンタジエニル化合物、シクロペンタジエニルジクロロ化合物等が用いられる。有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド等のハロゲン化アルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等の水素化アルキルアルミニウム等が好適に用いられる。
有機金属錯体触媒の例としては、上記各金属のγ−ジクロロ−π−ベンゼン錯体、ジクロロ−トリス(トリフェニルホスフィン)錯体、ヒドリド−クロロ−トリフェニルホスフィン錯体等の金属錯体が使用される。これらの水素化触媒は、それぞれ単独で、或いは2種類以上組み合わせて使用することができ、その使用量は、重合体に対して、質量基準にて、通常、0.01〜100部、好ましくは0.05〜50部、より好ましくは0.1〜30部である。
水素化反応は、通常10℃〜250℃であるが、水素化率を高くでき、且つ、水素化反応と同時に起こる重合体鎖切断反応を小さくできるという理由から、好ましくは50℃〜200℃、より好ましくは80℃〜180℃である。また水素圧力は、通常0.1MPa〜30MPaであるが、上記理由に加え、操作性の観点から、好ましくは1MPa〜20MPa、より好ましくは2MPa〜10MPaである。
このようにして得られた、水素化物の水素化率は、1H−NMRによる測定において、主鎖の炭素−炭素不飽和結合、芳香環の炭素−炭素二重結合、不飽和環の炭素−炭素二重結合のいずれも、通常90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上である。水素化率が低いと、得られる共重合体の低複屈折性、熱安定性等が低下する。
水素化反応終了後に水素化物を回収する方法は特に限定されていない。通常、濾過、遠心分離等の方法により水素化触媒残渣を除去した後、水素化物の溶液から溶媒を直接乾燥により除去する方法、水素化物の溶液を水素化物にとっての貧溶媒中に注ぎ、水素化物を凝固させる方法を用いることができる。
また、本発明の射出成型用樹脂の製造方法に用いることのできるモノマーあるいはポリマーとしては、上記説明した共重合体の他に、以下の化合物を挙げることができる。
(1)1個または2個の不飽和結合を有する炭化水素から誘導される重合体
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルブタ−1−エン、ポリ4−メチルペンタ−1−エン、ポリブタ−1−エン及びポリスチレンなどのポリオレフィンが挙げられる。なおこれらのポリオレフィンは架橋構造を有していてもよい。
(2)ハロゲン含有ビニル重合体
例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリクロロプレン、塩素化ゴムなどが挙げられる。
(3)α,β−不飽和酸とその誘導体から誘導された重合体
例えば、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、または前記の重合体を構成するモノマーとの共重合体、例えばアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。
(4)不飽和アルコール及びアミン、または不飽和アルコールのアシル誘導体またはアセタールから誘導される重合体
例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル、ポリマレイン酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタレート、ポリアリルメラミン、または前記重合体を構成するモノマーとの共重合体、例えばエチレン・酢酸ビニル共重合体などが挙げられる
(5)エポキシドから誘導される重合体
例えば、ポリエチレンオキシドまたはビスグリシジルエーテルから誘導された重合体などが挙げられる。
(6)ポリアセタール
例えば、ポリオキシメチレン、ポリオキシエチレン、コモノマーとしてエチレンオキシドを含むようなポリオキシメチレンなどが挙げられる。
(7)ポリフェニレンオキシド
(8)ポリカーボネート
(9)ポリスルフォン
(10)ポリウレタン及び尿素樹脂
(11)ジアミン及びジカルボン酸及び/またはアミノカルボン酸、または相応するラクタムから誘導されたポリアミド及びコポリアミド
例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などが挙げられる。
(12)ジカルボン酸及びジアルコール及び/またはオキシカルボン酸、または相応するラクトンから誘導されたポリエステル
例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ1,4−ジメチロール・シクロヘキサンテレフタレートなどが挙げられる。
(13)アルデヒドとフェノール、尿素またはメラミンから誘導された架橋構造を有した重合体
例えば、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。
(14)アルキッド樹脂
例えば、グリセリン・フタル酸樹脂などが挙げられる。
(15)飽和及び不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとのコポリエステルから誘導され、架橋剤としてビニル化合物を使用して得られる不飽和ポリエステル樹脂ならびにハロゲン含有改質樹脂。
(16)天然重合体
例えば、セルロース、ゴム、蛋白質、あるいはそれらの誘導体例えば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテルなどが挙げられる。
(17)軟質重合体
例えば、環状オレフィン成分を含む軟質重合体、α−オレフィン系共重合体、α−オレフィン・ジエン系共重合体、芳香族ビニル系炭化水素・共役ジエン系軟質共重合体、イソブチレンまたはイソブチレン・共役ジエンからなる軟質重合体または共重合体等が挙げられる。
本発明の射出成型用樹脂の製造方法においては、本発明に係る無機粒子を含むポリマーに、滑剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、光安定剤及び酸化防止剤から選ばれる少なくとも1種の添加剤を加えことを1つの特徴とする。
滑剤としては、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド等が適用できる。
このうち、脂肪酸としては、具体的には、例えば、2−エチルヘキソイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリリン酸、エルカ酸、ベヘン酸、モンタン酸、ナフテン酸が挙げられる。
また、上記金属塩としては、これらの酸の各種金属塩が挙げられる。金属塩形成用金属としてはLi、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Cd、Pbなどが挙げられる。金属塩としては、具体的には、例えば、ステアリン酸系の金属塩としては、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸アルミニウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムが挙げられ、モンタン酸の金属塩としては、モンタン酸カルシウム、モンタン酸カルシウムなどが挙げられる。
これらの金属塩の内では、ステアリン酸マグネシウムなどのマグネシウム塩、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、モンタン酸カルシウムなどのカルシウム塩が特に好ましく用いられる。
また、脂肪酸酸アミドとしては、モノアミド(例:オレイン酸アミド(C1835ON)、ステアリン酸アミド[C1837ON]、エルカ酸アミド[C2243ON]ベヘン酸アミド[C2245ON])、ビスアミド(例:メチレンビスステアリルアミド、エチレンビスステアリルアミド)等が挙げられる。
界面活性剤は、同一分子中に親水基と疎水基とを有する化合物である。界面活性剤は環状オレフィン樹脂表面への水分の付着や上記表面からの水分の蒸発の速度を調節することで、環状オレフィン樹脂の白濁を防止する。
界面活性剤の親水基としては、具体的にヒドロキシ基、炭素数1以上のヒドロキシアルキル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、アミド基、アンモニウム塩、チオール、スルホン酸塩、リン酸塩、ポリアルキレングリコール基などが挙げられる。ここで、アミノ基は1級、2級、3級のいずれであってもよい。界面活性剤の疎水基としては、具体的に炭素数6以上のアルキル基、炭素数6以上のアルキル基を有するシリル基、炭素数6以上のフルオロアルキル基などが挙げられる。ここで、炭素数6以上のアルキル基は置換基として芳香環を有していてもよい。アルキル基としては、具体的にヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデセニル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ミリスチル、ステアリル、ラウリル、パルミチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。芳香環としてはフェニル基などが挙げられる。この界面活性剤は、上記のような親水基と疎水基とをそれぞれ同一分子中に少なくとも1個ずつ有していればよく、各基を2個以上有していてもよい。
このような界面活性剤としては、より具体的には、例えば、ミリスチルジエタノールアミン、2−ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシドデシルアミン、2−ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシトリデシルアミン、2−ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシテトラデシルアミン、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ジ−2−ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシドデシルアミン、アルキル(炭素数8〜18)ベンジルジメチルアンモニウムクロライド、エチレンビスアルキル(炭素数8〜18)アミド、ステアリルジエタノールアミド、ラウリルジエタノールアミド、ミリスチルジエタノールアミド、パルミチルジエタノールアミド、などが挙げられる。これらのうちでも、ヒドロキシアルキル基を有するアミン化合物又はアミド化合物が好ましく用いられる。本発明では、これら化合物を2種以上組合わせて用いてもよい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系及びトリアジン系のものから選ばれることが好ましい。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、ヒドロキシ置換ベンゾトリアゾール化合物であって、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3、5−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3、5−ジメチルフェニル)−5−メトキシベンゾトリアゾール、2−(2−nオクタデシルオキシ−3、5−ジメチルフェニル)−5−メチルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メトキシフェニル)−5−メチルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−フェニルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5,6−ジクロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4,5−ジクロロフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−5−ブトキシカルボニルベンゾトリアゾール、2−(2−アセトキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2Hベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)フェノールなどを挙げることができる。これらは、例えば、シーソーブ706、チヌビン328、チヌビンP、サイアソーブUV5411などの商品名で市販されている。
また、トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]フェノールなどを挙げることができる。これらは、例えば、サイアソーブUV1164、チヌビン1577FFなどの商品名で市販されている。
本発明において用いることのできる光安定剤としては、低分子量のものと高分子量のものを使用することができる。それぞれ単独で使用しても、あるいは2種以上を併用しても良い。
低分子量ヒンダードアミン系光安定剤は、分子量が1000以下、好ましくは900以下のものであって、例えば、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキサノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(o−クロロベンゾイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェノキシアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,3,8−トリアザ−7,7,9,9−テトラメチル−2,4−ジオキソ−3−nオクチル−スピロ[4,5]デカン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)テレフタレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2−アセトキシプロパン−1,2,3−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2−ヒドロキシプロパン−1,2,3−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)トリアジン−2,4,6−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)ホスファイト、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタン−1,2,3−トリカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロパン−1,1,2,3−テトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレートなどを挙げることができる。より具体的には、サノールLS770、チヌビン144、アデカスタブLA−57、アデカスタブLA−62、アデカスタブLA−67、グッドライトUV−3034などの商品名で市販されているものを使用することができる。
また、高分子量ヒンダードアミン系光安定剤は、分子量が1000を越え、好ましくは1200〜5000程度のものであって、下記に示す高分子型ヒンダードアミンを挙げることができる。
Figure 2005307174
Figure 2005307174
より具体的には、サイアソーブUV3346、キマソーブ944LD、チヌビン622LDなどの商品名で市販されているものを挙げることができる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール]、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、2,2−エチリデンビス(4−sec−ブチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、トコフェロールなどを挙げることができる。
次いで、本発明のプラスチック製光学素子について説明する。
本発明のプラスチック製光学素子は、上記説明した本発明の射出成型用樹脂の製造方法で製造された射出成型用樹脂を用いたプラスチック製光学素子であって、光源から出射される光を用いて、光情報記録媒体に対して情報の再生または記録を行う光ピックアップ装置に用いられ、少なくとも1つの光学面に、該光学面を通過する特定の波長光に対して、予め定められた光路差を付与する光路差付与構造を有することを特徴とする。
更には、1)前記光路差付与構造は、前記光学面が光軸を中心とした3つ以上の輪帯状レンズ面により構成され、該3つ以上の輪帯状レンズ面のうち隣り合う輪帯状レンズ面は異なる屈折力を有すること、2)前記光路差付与構造は、光軸を中心とした複数の回折輪帯からなり、前記複数の回折輪帯の断面が鋸歯状であり、かつ、各回折輪帯の光学面が不連続面であること、3)前記光路差付与構造は、光軸を中心とした位相差を生じる複数の輪帯状凹部及び/または輪帯状凸部を同心円状に有すること、4)前記光路差付与構造は、光軸を中心とした複数の回折輪帯からなり、前記複数の回折輪帯の断面が鋸歯状であり、かつ、各回折輪帯の光学面が不連続面であり、これら複数の回折輪帯のうち少なくとも一つの回折輪帯の断面が階段状であり、かつ、各段の光学面が不連続面であること、5)光源から出射される光を、前記光情報記録媒体に対して集光させる対物光学素子として用いられることが好ましい。
本発明のプラスチック製光学素子は、本発明に係る射出成型用樹脂を成形して得られる。成形方法としては、低複屈折性、機械強度、寸法精度等の特性に優れた光学素子を得る観点から射出成形により得られる。一般に、溶融成形法としては、例えば、プレス成形、押し出し成形、射出成形等が挙げられるが、射出成形が成形性、生産性の観点から好ましい。成形条件は使用目的、又は成形方法により適宜選択されるが、例えば、射出成形における樹脂温度は、通常150〜400℃、好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜330℃の範囲で適宜選択される。樹脂温度が過度に低いと流動性が悪化し、成形品にヒケやひずみを生じ、樹脂温度が過度に高いと樹脂の熱分解によるシルバーストリークが発生したり、光学素子が黄変するなどの成形不良が発生するおそれがある。
本発明のプラスチック製光学素子は、球状、棒状、板状、円柱状、筒状、チューブ状、繊維状、フィルムまたはシート形状など種々の形態で使用することができ、また、低複屈折性、透明性、機械強度、耐熱性、低吸水性に優れる。
プラスチック製光学素子の具体例としては、以下のものが挙げられる。光学レンズや光学プリズムとしては、カメラの撮像系レンズ;顕微鏡、内視鏡、望遠鏡レンズなどのレンズ;眼鏡レンズなどの全光線透過型レンズ;CD、CD−ROM、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き変え可能な光ディスク;光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(デジタルビデオディスク)などの光ディスクのピックアップレンズ;レーザービームプリンターのfθレンズ、センサー用レンズなどのレーザー走査系レンズ;カメラのファインダー系のプリズムレンズなどが挙げられる。光ディスク用途としては、CD、CD−ROM、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き変え可能な光ディスク;光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(デジタルビデオディスク)などが挙げられる。その他の光学用途としては、液晶ディスプレイなどの導光板;偏光フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルムなどの光学フィルム;光拡散板;光カード;液晶表示素子基板などが挙げられる。
これらの中でも、低複屈折性が要求される光ピックアップ装置を構成する光学系レンズやレーザー走査系レンズとして好適であり、光ピックアップ装置の光学系レンズに最も好適である。
光ピックアップ装置の光学系レンズとしては、例えば、対物レンズ、対物レンズユニット、カップリングレンズ(コリメータ)、ビームエキスパンダ、ビームシェイパ、補正板等として使用することができる。
対物レンズユニットは、複数の単玉光学レンズを光軸方向に一体に組み合わせて構成してなるレンズ群であり、前記複数の単玉光学レンズのうちの少なくとも一つの単玉光学レンズとして本発明のプラスチック製光学素子を使用することが好ましい。
次いで、本発明のプラスチック製光学素子を組み込んだ光ピックアップ装置について、図を交えて説明する。
図1は、本発明のプラスチック製光学素子を有する光ピックアップ装置の全体構成の一例を示す概略図である。また、図2は、本発明のプラスチック製光学素子(対物レンズ)の一例を示す側断面図である。
図1において、本発明の光ピックアップ装置1は、波長650nmの光を適用する現行のDVD(以下、現行DVDと表記)、波長405nmの光を適用するいわゆる次世代の光ディスク(以下、次世代DVDと表記)の2種類の光情報記録媒体5について情報の再生、記録を行なう装置である。
光ピックアップ装置1は、光源(レーザー発振器)2から出射されるレーザ光(光)を、コリメータレンズ3、図2に記載の構成からなる対物レンズ(プラスチック製光学素子)10を通過させて、光軸4上で光情報記録媒体5の情報記録面6に集めて集光スポットを形成し、情報記録面6からの反射光を、偏向ビームスプリッタ7で取り込み、検出器8の受光面に再びビームスポットを形成するものである。
光源2は、レーザダイオードを有して構成されており、公知の切り換え方法により、650nm、405nmという2種類の波長の光を選択して出射できる構成となっている。
コリメータレンズ3、対物レンズ(本発明のプラスチック製光学素子)10、偏向ビームスプリッタ7により、光学素子ユニットを構成している。
本発明に係る対物レンズ10は、本発明に係る射出成型用樹脂を射出成形で成形することにより作製される。対物レンズ10は図2に示すように、両面非球面の単レンズであり、その一方(光源側)の光学面11上に、該光学面11を通過する所定の波長の光に対して予め定められた光路差を付与する光路差付与構造20を有している。
光路差付与構造20は、光学面11が光軸4を中心とした3つの輪帯状レンズ面(以下、内側から順に第1輪帯状レンズ面21、第2輪帯状レンズ面22、第3輪帯状レンズ面23と言う)により構成され、該3つの輪帯状レンズ面21〜23のうち隣り合う輪帯状レンズ面21〜23は異なる屈折力を有している。
第1輪帯状レンズ面21と第3輪帯状レンズ面23とは、同一の光学面11上にあり、第2輪帯状レンズ面22は、光学面11から平行移動した面となっている。
第1輪帯状レンズ面21は、波長650nm、405nm両方の光を通過させ、第2輪帯状レンズ面22は、現行DVDに対応した波長650nmの光を通過させ、第3輪帯状レンズ面23は、次世代光ディスクに対応した波長405nmの光を通過させる。そして、各輪帯状レンズ面21〜23を通過した光は、情報記録面6の同じ位置に集光されるようになっている。
なお、図2では、第1輪帯状レンズ面21と第3輪帯状レンズ面23とは同一光学面11上に設けられているが、これら第1及び第3輪帯状レンズ面21、23とは同一光学面上に設けなくても良く、また、第2輪帯状レンズ面22は、光学面11から平行移動した面となっているが、特に平行移動した面でなくても良い。また、3つの輪帯状レンズ面21〜23は5つであっても良く、少なくとも3つ以上であれば良い。
対物レンズ10は、上述の環状オレフィン樹脂を適用しているので、溶融して金型に射出して成形する際、金型の第1輪帯状レンズ面21、第2輪帯状レンズ面22、第3輪帯状レンズ面23の境界部分に対応する部分に確実に樹脂が行き渡っている。そのため、対物レンズ10は光路差付与構造20が高い精度で付与されている。
この様にして形成された光路差付与構造20の作用により、対物レンズ10は現行DVD、次世代光ディスクといった複数種の光情報記録媒体5に対して、光源2で出射した光の情報記録面6への集光と、情報記録面6で反射した光の検出器8へ向けての集光を高い信頼性で行なうことができる。また、対物レンズ10をなす樹脂組成物は、本発明に係る特定の構造からなる酸化防止剤を含んでいるので、次世代光ディスクの情報を再生、記録するための405nmという光を透過する場合でも、白濁や屈折率の変動がほとんど生じない。よって、光ピックアップ装置1を長期間にわたり、高いピックアップ特性で作動させることができる。
なお、本発明のプラスチック製光学素子(対物レンズ10)は、上記光路差付与構造20を有するものに限らず、例えば、図3〜図7にその一例を示す光路差付与構造20a〜20dを有する対物レンズ10a〜10eとしても良い。
図3における光路差付与構造20aは、光軸4を中心とした複数の回折輪帯21aからなり、複数の回折輪帯21aの断面が鋸歯状であり、かつ、各回折輪帯21aの光学面11aが不連続面となっている。また、複数の回折輪帯21aは、光軸4から離れるにしたがって厚みが増すように形成されている。図3に示す対物レンズ10aは、いわゆる回折レンズである。
図4における光路差付与構造20bは、光軸4を中心とした位相差を生じる複数の輪帯状凹部21bを同心円状に有している。輪帯状凹部21bは、光学面11bのうちの光軸4を中心とした一方の面(図4における光軸4を中心に上下の光学面)に5つずつ形成されている。また、隣り合う輪帯状凹部21bどうしは、連続して一体になっており、各輪帯状凹部21b全体としての断面が階段状となっている。また、各輪帯状凹部21bを形成する光学面22bは、光学面11bに対して平行移動した面となっている。図4に示す対物レンズ10bはいわゆる位相差レンズである。
なお、図4では、隣り合う輪帯状凹部21bどうしが連続して一体になっていて、全体の断面が階段状のものであるとしたが、単に光学面11bに輪帯状凹部21bを個々に設けたものとしても良い(この場合、例えば図2に示した対物レンズ10と同様の構造となる)。
また、図4では輪帯状凹部21bを同心円状に有しているとしたが、図5に示すように、図2の第3輪帯状レンズ面23上に輪帯状凸部23bを有した対物レンズ10cとしても良い(図5中、図2と同様の構成部分については同様の符号を付した)。
図6における光路差付与構造20dは、光軸4を中心とした複数の回折輪帯21dからなり、複数の回折輪帯21dの断面が鋸歯状であり、かつ、各回折輪帯21dの光学面11dが不連続面である。そして、各回折輪帯21dの断面が光軸方向に沿った3段22dの階段状であり、各段22dの光学面12dが不連続面で、光軸4に対して直交する面となっている。
なお、図6に示すレンズ10dは、例えば、図7に示すように図6と同様の光路差付与構造20dを有するホログラム光学素子(HOE)10eと対物レンズ10fとで別体の構成としても良い。この場合、ホログラム光学素子10eは、平板状の光学素子を使用して、該光学素子の対物レンズ10fの面に光路差付与構造20dを設ける。
本発明の光ピックアップ装置1は、例えば、CD、現行DVD、次世代光ディスクの3種の光情報記録媒体5について情報の再生、記録を行なうこととしてもよい。光ピックアップ装置1で情報の再生、記録を行なう光情報記録媒体5の組み合わせは設計事項であり、適宜設定される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
《樹脂組成物の作製》
〔試料1の作製〕
公知の方法で重合したエチレン−テトラシクロドデセン共重合体(メルトインデックス35g/10min、共重合体1と称す)を10質量%含むシクロヘキサン溶液中に、酸化防止剤としてIrganox 1010(チバ・スペシャリティケミカルズ社製)を、共重合体成分に対して1質量%添加、攪拌し、10分後に無機粒子として公知の方法でテトラメトキシシランにより表面修飾されたニオブ酸リチウム微粒子(平均粒径5nm)を、共重合体成分に対して10質量%添加して攪拌した。
本発明でいうメルトインデックスとは、260℃における荷重2.16kgの条件で測定される溶融指数(g/10分)のことである(ASTM D1238準拠)。
次いで、この溶液から公知の方法で溶媒を除去し、押出機により約230℃で混練したのちペレット化した。
このペレットを用いて、インライン方式の射出成型機により、シリンダー温度を240度にて、厚さ3mm、巾20mm、長さ50mmの試験用プレートである試料1を作製した。
〔試料2の作製〕
上記試料1の作製において、共重合体1に代えて、環状オレフィン系重合体であるビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(メルトインデックス36g/10min、共重合体2と称す)を用いた以外は同様にして、試料2を作製した。
〔試料3の作製〕
上記試料1の作製において、共重合体1に代えて、脂環式炭化水素系共重合体であるポリマー1(メルトインデックス36g/10min、共重合体3と称す)を用いた以外は同様にして、試料3を作製した。
Figure 2005307174
〔試料4〜6の作製〕
上記試料1の作製において、無機粒子であるニオブ酸リチウム微粒子に代えて、平均粒径が5nmのNb25、PbTiO3、AlPO4を用いた以外は同様にして、試料4〜6を作製した。
〔試料7〜9の作製〕
上記試料1〜3の作製において、無機粒子と酸化防止剤の添加位置を逆にし、酸化防止剤を添加する前に、無機粒子を添加した以外は同様にして、試料7〜9を作製した。
《プラスチック製光学素子の評価》
〔着色度の測定〕
上記作製した各試料を、JIS K7105に基づいて、CIE(commission Internationale de I’Eclairage:国際照明委員会)のL***表示における知覚色度指数b*をX−rite938 Spectrodensitometer(X−Rite社製)を用いて測定し、これを着色度の尺度とした。
〔耐久性の評価〕
23℃、55%RHの環境室内で、図1に記載の光ピックアップ装置を用いて、光源2よりレーザダイオードにより405nmの波長の光を、各試験用プレート上に、直径1cmの円形スポット光として250時間の連続照射を施した後、そのレーサー照射箇所を目視観察して酸化防止剤の効果を調べ、下記の基準に従って耐久性の評価を行った。
◎:連続照射後も、レーザー照射箇所に変質は全く認められず、酸化防止剤の効果が十分に発揮されている
○:連続照射後に、レーザー照射箇所に極弱い濁りが認められるが実用上は全く問題がなく、酸化防止剤の効果が発揮されている
△:連続照射後に、レーザー照射箇所に弱い白濁現象が認められるが実用上許容の範囲にある
×:連続照射後に、レーザー照射箇所に強い白濁現象が認められ、酸化防止剤の効果が弱く、実用上問題がある
以上により得られた結果を、表1に示す。
Figure 2005307174
表1の結果より明らかな様に、本発明で規定する方法に従って作製した試料は、比較例に対し、着色度が低く、またレーザー照射による変質も少ないことから、添加剤である酸化防止剤の効果を十分に引き出していることが分かる
更に、上記樹脂組成物を用いてプラスチック製光学素子を作製し評価した結果、本発明のプラスチック製光学素子は、比較例に対し、良好な光学的屈折率を具備し、透明性が高く、着色もなく、かつ次世代光ディスクの記録・再生に用いられる405nmの光を長時間照射しても、白濁化等の材料変質耐性に優れていることを確認することができた。
本発明のプラスチック製光学素子を有する光ピックアップ装置の全体構成の一例を示す概略図である。 本発明のプラスチック製光学素子(対物レンズ)の一例を示す側断面図である。 本発明の光路差付与構造を有する対物レンズの他の一例を示す側断面図である。 本発明の光路差付与構造を有する対物レンズの他の一例を示す側断面図である。 本発明の光路差付与構造を有する対物レンズの他の一例を示す側断面図である。 本発明の光路差付与構造を有する対物レンズの他の一例を示す側断面図である。 本発明の光路差付与構造を有するホログラム光学素子及び対物レンズとから構成される一例を示す側断面図である。
符号の説明
1 光ピックアップ装置
2 光源
4 光軸
5 光情報記録媒体
10、10a、10b、10c、10d、10f 対物レンズ(プラスチック製光学素子、対物光学素子)
11、11a、11d、12d、22b 光学面
20、20a、20b、20c、20d 光路差付与構造
21 第1輪帯状レンズ面(輪帯状レンズ面)
21a、21d 回折輪帯
21b 輪帯状凹部
22 第2輪帯状レンズ面(輪帯状レンズ面)
23 第3輪帯状レンズ面(輪帯状レンズ面)
23b 輪帯状凸部

Claims (7)

  1. モノマーを溶媒中で重合してポリマーを得る重合工程と、該ポリマーに滑剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、光安定剤及び酸化防止剤から選ばれる少なくとも1種の添加剤を加えてから溶媒を除去する溶媒除去工程と、溶媒が除去された該ポリマーを加熱して樹脂ペレットを得る加熱工程とからなる射出成型用樹脂の製造方法において、該添加剤を添加した後、平均粒径が100nm以下の無機粒子を添加することを特徴とする射出成型用樹脂の製造方法。
  2. 請求項1に記載の射出成型用樹脂の製造方法で製造された射出成型用樹脂を用いたプラスチック製光学素子であって、光源から出射される光を用いて、光情報記録媒体に対して情報の再生または記録を行う光ピックアップ装置に用いられ、少なくとも1つの光学面に、該光学面を通過する特定の波長光に対して、予め定められた光路差を付与する光路差付与構造を有することを特徴とするプラスチック製光学素子。
  3. 前記光路差付与構造は、前記光学面が光軸を中心とした3つ以上の輪帯状レンズ面により構成され、該3つ以上の輪帯状レンズ面のうち、隣り合う輪帯状レンズ面は異なる屈折力を有することを特徴とする請求項2に記載のプラスチック製光学素子。
  4. 前記光路差付与構造は、光軸を中心とした複数の回折輪帯からなり、該複数の回折輪帯の断面が鋸歯状であり、かつ、各回折輪帯の光学面が不連続面であることを特徴とする請求項2に記載のプラスチック製光学素子。
  5. 前記光路差付与構造は、光軸を中心とした位相差を生じる複数の輪帯状凹部及び/または輪帯状凸部を同心円状に有することを特徴とする請求項2に記載のプラスチック製光学素子。
  6. 前記光路差付与構造は、光軸を中心とした複数の回折輪帯からなり、該複数の回折輪帯の断面が鋸歯状であり、かつ、各回折輪帯の光学面が不連続面であり、
    該複数の回折輪帯のうち少なくとも一つの回折輪帯の断面が階段状であり、かつ、各段の光学面が不連続面であることを特徴とする請求項2に記載のプラスチック製光学素子。
  7. 前記光源から出射される光を、光情報記録媒体に対して集光させる対物光学素子として用いられることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載のプラスチック製光学素子。
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