JP3094232B2 - 新規なピロカルピン誘導体およびその製造方法 - Google Patents

新規なピロカルピン誘導体およびその製造方法

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JP3094232B2 JP04500392A JP50039292A JP3094232B2 JP 3094232 B2 JP3094232 B2 JP 3094232B2 JP 04500392 A JP04500392 A JP 04500392A JP 50039292 A JP50039292 A JP 50039292A JP 3094232 B2 JP3094232 B2 JP 3094232B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は緑内障の治療に有用である新規なピロカルピ
ンプロドラッグ化合物に関し、特に新規なビスピロカル
ピン酸エステルとその製造方法、およびその新規な化合
物を含有する緑内障治療用組成物に関する。
(+)−ピロカルピン、即ち(3S−cis)−3−エチ
ル−ジヒドロ−4−[(1−メチル−1H−イミダゾール
−5−イル)メチル]−2(3H)−フラノンは、緑内障
の治療に用いられ、眼からの眼房水の流れを増加させる
ことによって眼圧を低下させる薬剤である。ピロカルピ
ンによる眼内圧低下作用は、眼房水の流出の観点から重
要であるところの前眼房の角度を広げる毛様体筋収縮効
果に基づくものであって、眼房水の流出を促進する。
しかしながら、眼内圧の低下は、眼内におけるピロカ
ルピンによる唯一の作用ではない。その薬剤濃度が充分
高い場合は、ピロカルピンによる毛様体筋の収縮効果が
増大し、それによって水晶体が近距離を見るように順応
する。従って、患者がより遠くを見るように眼を調節す
ることが困難となり、これは患者にとって不都合であ
る。また、ピロカルピンは、虹彩を収縮させ、瞳孔を大
幅に縮小させる。医学的見地からは不要であり、且つ、
患者にとって不快であるこれらの作用とは別に、ピロカ
ルピンは、眼以外の部分にも副作用をもたらす。その様
な副作用としては特に、唾液分泌の増加や徐脈の増加が
挙げられる。
従来、緑内障の患者はピロカルピンを点眼薬として局
部的に投与している。しかし、この方法での投与では、
ピロカルピン投与量の約1%しか眼に吸収されず、約70
%が血流中に吸収される。この場合、ピロカルピンの眼
への吸収率が低いのは次の3つの主な要因によるもので
ある。
1)薬滴が眼の表面から急速に流れ去ること。
2)眼瞼の内側表面の結膜を通してピロカルピンが血流
へ急速に吸収されること。
3)ピロカルピンの角膜透過性が低いこと。
ピロカルピンは角膜を通して眼に吸収される。角膜に
おいては、ピロカルピンはまず、細胞膜脂質(脂肪)を
豊富に含む眼の表面の密度の高い上皮層に吸収される。
しかし、ピロカルピンは、あまり脂肪に溶け易くないた
め、角膜上皮に浸透する量は比較的少ない。角膜上皮
は、ピロカルピンの吸収を抑制するフィルムとして作用
すると同時に、角膜の水性支質(aqueous stroma)と内
皮とを通してピロカルピンを前眼房の眼房水へ運ぶ貯蔵
体として作用する。その前眼房の眼房水から、ピロカル
ピンはその作用部位、即ち毛様体筋に容易に到達でき
る。ピロカルピンの一部が不活性なピロカルピン酸に変
換すること、及び眼房水の循環および虹彩内の血液循環
によって眼からピロカルピンが急速に流出することによ
り、眼内におけるピロカルピンの作用時間は大幅に短く
なる。
眼の内部器官へのピロカルピンの吸収が少なく、ま
た、眼に投与されたピロカルピンの作用時間が短いと、
ピロカルピンによる治療が困難となる。ピロカルピンの
作用を改善し、また、その作用時間を長くするために
は、ピロカルピンを比較的大量に用いなければならな
い。比較的大量に用いることによって、眼房水内、虹彩
内、及び毛様体筋内においてピロカルピン濃度が高レベ
ルになり、それによって瞳孔が強度に収縮し、眼が近距
離を見るように順応する。更に、眼から急速に排出され
るタイプの薬剤であるピロカルピンの投与量を増加する
ことは、その作用を長引かせるためには比較的に効果の
ない方法なので、ピロカルピンの点眼薬は患者に応じて
1日に3〜8回投与される。点眼薬をその様に頻繁に投
与することは、特に、投与する毎に眼に副作用が起こる
場合、患者にとって不都合である。また、大量の投与
は、血液循環系へのピロカルピンの吸収量を増加させ、
それによってその他の副作用を起こす危険が増大する。
ピロカルピンの吸収が少ないことに関連する上記の欠
点を解決するため、角膜上皮への吸収のより良いピロカ
ルピンのプロドラッグ誘導体を用いる試みがなされた。
吸収性を高めるため、これらのピロカルピンのプロドラ
ッグ誘導体はピロカルピンよりも脂肪に溶け易いもので
なければならない。更に、それらのプロドラッグ誘導体
は、角膜上皮内で可能な限り完全に分解し、医薬的に有
効なピロカルピンと効果のない成分[プロモイエティ
(pro−moiety)]とを放出しなければならない。角膜
における分解の程度は、角膜上皮内におけるプロドラッ
グ誘導体の滞留時間およびその分解速度に依存する。角
膜上皮内におけるプロドラッグ誘導体の滞留時間は、親
油性の増加および拡散係数の減少に伴って長くなる。
現在までに、ピロカルピンの2種類のプロドラッグ誘
導体が開発されている。ボーダー(Bodor)は、米国特
許第4,061,722号において、第四級アンモニウム化合物
に基づくピロカルピンのプロドラッグを開示している。
ブンドガード(Bundgaard)等は、欧州特許出願公開第0
106541号公報において、ピロカルピン酸ジエステルを開
示し、これを用いて眼への吸収を高めている。しかし、
このピロカルピン酸ジエステルは、角膜内での分解が不
完全なことなど、幾つかの欠点を有しており、その結
果、分解していないプロドラッグが眼房水に吸収される
ため、プロドラッグによって得られる利点は殆ど無くな
る。また、活性成分であるピロカルピンそのものに比べ
て、このジエステルからは数多くの望ましくない副生成
物が発生する。
本発明は、前述の問題点を大幅に解決することができ
るか、または少なくとも最小に抑えることができる新規
なビスピロカルピン酸エステル、即ち、ビスピロカルペ
ートに関する。本発明によるプロドラッグ誘導体は、ブ
ンドガード(Bundgaard)等のプロドラッグの親油性が
同じものに比べて、少なくとも同程度急速にピロカルピ
ンとプロモイエティとに分解し、且つ、角膜を通るピロ
カルピンの透過性を少なくともブンドガード等のプロド
ラッグと同じ程度まで促進する。更に、ブンドガード等
の誘導体はピロカルピン1分子当り1つのプロモイエテ
ィを角膜内に運ぶのに対し、本発明のビスピロカルペー
ト誘導体はピロカルピン2分子当り1つのプロモイエテ
ィを運ぶ。このビスピロカルペート誘導体の角膜上皮内
における拡散係数は、ブンドガード等の化合物の場合よ
りも小さいため、まだ分解していないビスピロカルペー
ト誘導体は角膜上皮内により長く滞留する。従って、こ
のプロドラッグが完全に分解するために残された時間は
より長くなる。更に、本発明の新規な化合物は、より優
れた溶解性を有するので、薬剤組成物を調製するのによ
り好適である。
この様に、本発明は、薬剤を角膜から眼の内部器官へ
徐々に放出することができるので、ピロカルピンの作用
時間を効果的に長引かせることができ、しかも、眼内の
ピロカルピンの高い濃度ピークを下げることができるの
で、前述の副作用を減少するという観点から重要な効果
を示す。
本発明の新規なピロカルピンのプロドラッグ誘導体
は、次の一般式Iで表わされるビスピロカルピン酸エス
テル即ちビスピロカルペートまたはその酸付加物であ
る。
式Iにおいて、 a)Yは、水素原子または (Rは、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数
2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、
非置換もしくは置換された炭素数3〜7のシクロアルキ
ル基、非置換もしくは置換された炭素数3〜7のシクロ
アルケニル基、非置換もしくは置換されたアリール基、
または非置換もしくは置換されたアリール低級アルキル
基である)を表わし、 且つ、Wは−O−A−Z−Y′で表わされる基である [ここで、Aは、水酸基もしくは保護された水酸基で置
換されたまたは置換されていない炭素数1〜18のアルキ
レン基、炭素数2〜18のアルケニレン基、または炭素数
2〜18のアルキニレン基であり、これらのアルキレン
基、アルケニレン基またはアルキニレン基は、非置換も
しくは置換された炭素数3〜7のシクロアルキル基、非
置換もしくは置換された炭素数3〜7のシクロアルケニ
ル基、非置換もしくは置換されたアリール基、または非
置換もしくは置換されたアリール低級アルキル基によっ
て置換されていてもよい;或いはAは、非置換もしくは
置換された炭素数3〜7のシクロアルキレン基、非置換
もしくは置換された炭素数3〜7のシクロアルケニレン
基、または非置換もしくは置換されたアリーレン基;或
いはAは、上記シクロアルキレン基、シクロアルケニレ
ン基またはアリーレン基を連鎖の一部として有する上記
アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基で
あり、−Z−Y′は下記の式で表わされる基であり、 上記式中のY′は、水素原子または (R′は上記Rの定義と同じであり、Rと同一であって
も異なってもよい)である]; 或いは b)Wは、−OR(Rは上記で定義した通りである)であ
り、 且つ、Yは である (ここで、Bは上記Aの定義と同じであり、−Z′−O
R′は下記の式で表わされる基であり、 上記式中のR′は、上記で定義した通りである); 或いは c)WとYは、共に結合(−W−Y−)して で表わされる基(AおよびBは上記で定義した通りであ
り、Zは上記の基−Z−Y′において定義した通りであ
る)を表わす。
上記の一般式Iに関しては、炭素数1〜18のアルキル
基は、直鎖状或いは枝分れ状の、好ましくは炭素数1〜
10、より好ましくは炭素数1〜4の低級アルキル基、例
えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルまたは
ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチ
ル、或いはペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、
ノニル、デシルなどである。
炭素数2〜18のアルケニル基は、直鎖状であっても枝
分れ状であってもよく、好ましくは炭素数2〜10、より
好ましくは炭素数2〜4の低級アルケニル基であって、
例えば、エテニル、1−エチルエテニル、1−プロペニ
ル、アリル、或いは1−、2−または3−ブテニル、2
−メチル−2−プロペニル、或いは1−、2−、3−ま
たは4−ペンテニル、イソペンテニル、3−メチル−2
−ブテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノ
ネニル、或いはデセニルを意味する。上記アルケニル
は、E−型であってもZ−型であってもよく、或いは共
役または非共役の、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニ
ルなどのジエニル基、ファルネシルなどのトリエニル
基、或いはポリエニル基であってもよい。
炭素数2〜18のアルキニル基は、直鎖状であっても枝
分れ状であってもよく、好ましくは炭素数2〜10、より
好ましくは炭素数2〜4の低級アルキニル基であって、
例えば、エチニル、1−プロピニル、プロパルギル、ブ
チニル、或いはペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、
オクチニル、ノニニル、或いはデシニルを意味する。更
に、共役または非共役のジイニル基、トリイニル基、ポ
リイニル基及びアルケニニル基も含まれる。
シクロアルキル基、シクロアルケニル基およびシクロ
アルキレン基、シクロアルケニレン基は、それぞれ炭素
数3〜7であって、非置換であっても、低級アルキル基
で置換されていてもよく、その場合、低級アルキル置換
基の好ましい炭素数は1〜4である。
アリール基は非置換或いは置換された、フェニルのよ
うな炭素環式芳香環、或いは、例えばナフチル、インデ
ニル、インダニル、テトラヒドロナフチルまたはビフェ
ニルのような二環式の不飽和または部分的に飽和した環
状体などを意味する。置換基としては、低級アルキル
基、低級アルコキシ基、ニトロ基またはハロゲンが含ま
れ、低級アルキル基及び低級アルコキシ基の好ましい炭
素数は1〜4である。
単環式アリール基およびアラルキル基は、次式によっ
て表わすことができる。
上記の式中、Qは独立的に、炭素数1〜4のアルキル
基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲンまたはニト
ロ基を表わし、nは0〜3の整数であり、mは0または
1の整数であり、Dは直鎖状または枝分れ状の炭素数1
〜6のアルキレン基、或いは共役または非共役の炭素数
2〜6のアルケニレン基またはアルキニレン基である。
ハロゲンは、塩素、臭素、フッ素または沃素である。
Aは2価のアルキレン基、アルケニレン基、またはア
ルキニレン基のような、直鎖状または枝分れ状の2価の
基であって、直鎖状の場合は炭素数が1〜18、好ましく
は1〜10、枝分れ状の場合は炭素数が2〜18、好ましく
は2〜10であり、例えば、メチレン、エチレン、プロピ
レン、ブチレン、および、ペンチレン、ヘキシレン、ヘ
プチレン、オクチレン、ノニレン、およびデシレン、更
に、それらに対応する不飽和の2価の基が挙げられ、い
ずれも置換基として前述のシクロアルキル基、シクロア
ルケニル基、アリール基またはアラルキル基を含んでい
てもよく、或いは水酸基または保護された水酸基で置換
されていてもよい。保護された水酸基とは、−OR″基ま
たは−OCOR″基であり、R″は炭素数1〜4のアルキル
基、アリール基またはアリールアルキル基(アルキル基
の炭素数は1〜4)であり、アリール基は上記で定義し
た通りである。
Aはシクロアルキレン基またはシクロアルケニレン基
であってもよく、例えば、シクロプロピレン、シクロブ
チレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロ
ヘプチレン或いはそれらに対応する不飽和の基であって
もよい。最後に述べた2価の環状体は、上記アルキレン
基、アルケニレン基およびアルキニレン基の一部を構成
するものであってもよい。
アリーレン基は、それ自身または鎖状基の一部とし
て、次式で表わすことができる。
−(D)m−Ar−(D′)m′− 上記の式中、2価のAr基は上記で定義した非置換また
は置換されたアリール基に対応したアリーレン基であ
り、DおよびD′は同一でも異なっていてもよく、上記
Dの定義と同じであって、特にメチレンまたはエチレン
を意味し、mおよびm′は独立的に0または1の整数で
ある。アリーレン基は、好ましくは、フェニレンまたは
ナフチレンである。
一般式Iの化合物の酸付加塩としては、好ましくは、
毒性の無い無機酸或いは有機酸との医薬的に許容される
付加塩である。好適な酸の例として、塩酸、臭化水素
酸、硫酸、硝酸、燐酸、また有機酸としては、例えば、
酢酸、プロピオン酸、ステアリン酸、蓚酸、マロン酸、
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマ
ル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、
安息香酸、パモイン酸(pamoic acid):4,4′−メチレ
ンビス(3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸)、メシル酸
やトシル酸のようなスルホン酸が挙げられる。
この様に、本発明の化合物はピロカルピン酸の二量体
エステル誘導体、即ち、ビスピロカルペートであって、
上記一般式に関して挙げたサブグループa)〜c)によ
る3つの主なタイプがある。こうして、サブグループ
a)のビスピロカルペートは、一般式I′で表わすこと
ができる。
サブグループb)のビスピロカルペートは、一般式
I″で表わすことができる。
サブグループc)のビスピロカルペート マクロライ
ド(macrolides)は、一般式Iで表わすことができ
る。
上記一般式I′、I″、Iにおける基Aおよび基B
は、一般式Iにおいて定義した通りである。
特に有利な化合物は、YおよびY′が水素であるとこ
ろの一般式I′で表わされるビスピロカルペート、特
に、O,O′−ジヒドロゲン(1,4−、1,3−或いは1,2−キ
シリレン)ビスピロカルペート、およびO,O′−ジヒド
ロゲン(1,3−プロピレン)ビスピロカルペートであ
る。
一般式I′で表わされる好ましいジアシル・ビスピロ
カルペートは、O,O′−ジプロピオニル(1,4−キシリレ
ン)ビスピロカルペート、O,O′−ジブチリル(1,4−キ
シリレン)ビスピロカルペート、およびO,O′−ジシク
ロプロピルカルボニル(1,4−キシリレン)ビスピロカ
ルペートである。
また、O,O′−ジプロピオニル(エチレン)ビスピロ
カルペート、O,O′−ジプロピオニル(2−ヒドロキシ
−1,3−プロピレン)ビスピロカルペート、O,O′−ジシ
クロプロピルカルボニル(1,5−ペンチレン)ビスピロ
カルペート、およびO,O′−ジシクロプロピルカルボニ
ル(1,6−ヘキシレン)ビスピロカルペートも好ましい
化合物である。
一般式I″で表わされる好ましい化合物は、(ジベン
ジル)ビスピロカルペート、特に、O,O′−グルタリル
(ジベンジル)ビスピロカルペートである。また、O,
O′−スクシニル(ジエチル)ビスピロカルペートも好
ましい化合物である。
本発明はまた、一般式Iで表わされる化合物の製造方
法に関する。
a)前記一般式I′で表わされる化合物は、下記の化学
式で表わされるピロカルピン酸 またはその塩を、式X−A−X′(XおよびX′は、そ
れぞれ独立して、水酸基、或いはハロゲン,アシルオキ
シ基,アルキルスルホニルオキシ基またはアリールスル
ホニルオキシ基のような反応性の残基を表わし、Aは前
記した通りである)の化合物と反応させて、下記の式II
で表わされる化合物を生成し、 (式IIにおいて、Aは上記した通りであり、Zは前記式
で表わされる基である) そして、所望により、前記式I′中のY及び/又はY′
が水素原子でない場合には、式IIの化合物を式RCO2H
(Rは前記した通りである)の酸またはその官能性誘導
体と反応させ、或いは前記式I′中のY′が水素原子で
ない場合であって、RがR′と異なるときには、その後
式R′CO2H(R′は、前記した通りであるが、Rと同一
でない)の酸またはその官能性誘導体と反応させて、式
II中の水酸基がエステル化された化合物を生成し、そし
て更に所望により、式IIの化合物またはその水酸基がエ
ステル化された化合物をその酸付加塩に転換することに
よって、製造することができる。
また、b)前記一般式I″で表わされる化合物は、下
記の式III及び/又はIII′で表わされるピロカルピン酸
及び/又はそのエステルを、 (RおよびR′は、前記した通りであり、同一であって
も異なってもよい) 下記の式IVで表わされるジカルボン酸またはその2価の
酸誘導体と反応させ、 (Bは前記した通りである) そして、所望により、得られる生成物をその酸付加塩に
転換することによって、製造することができる。
更に、c)前記一般式Iで表わされる化合物は、下
記の式IIで表わされる化合物を、 (式IIにおいて、Aは前記した通りであり、Zは前記式
で表わされる基である) 下記の式IVで表わされるジカルボン酸またはその2価の
酸誘導体と反応させ、 (Bは前記した通りである) そして、所望により、得られる生成物をその酸付加塩に
転換することによって、製造することができる。
上記の反応において、官能性の酸誘導体としては、酸
のハロゲン化物、無水物、アルキルスルホネートおよび
アリールスルホネートが好ましく用いられる。反応溶媒
としては、反応試薬に不活性な溶媒、例えば炭化水素、
ハロゲン化炭化水素、エーテル、またはケトンなどが用
いられる。好適な炭化水素は、ベンゼンや、トルエンや
キシレンのようなアルキルベンゼンなどの芳香族炭化水
素である。好適なハロゲン化炭化水素としては、例え
ば、ジクロロメタン、クロロホルム、およびクロロベン
ゼンがある。ケトンとしては、アセトン、エチルメチル
ケトン、およびイソブチルメチルケトンが挙げられ、ま
た、エーテルとしては、ジエチルエーテル、ジイソプロ
ピルエーテル、ジブチルエーテル、1,4−ジオキサンが
挙げられる。その他の好適な溶媒としては、ジメチルス
ルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルな
どが挙げられる。
反応温度は臨界的ではなく、例えば、−10℃から溶媒
の沸点の範囲内でよい。好ましくは室温が用いられる。
反応時間は、広い範囲内から選ぶことができ、一般的に
は12〜72時間で、通常は約24時間である。反応には、ア
ルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩或いは有機
塩基など、酸結合剤を用いることが適切である。好適な
金属炭酸塩としては、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウ
ムなどが挙げられ、有機塩基としては、ピリジンおよび
その同族体、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、キノリ
ンおよびその同族体、N,N−ジメチルアニリン、および
トリアルキルアミン、特にトリエチルアミンなどが挙げ
られる。上記の反応は、均質な溶液中または相間移動状
態の不均質系中で行なうことができる。
本発明の化合物のエステル結合は、カルボジイミドな
どの公知の脱水剤(water cleaving reagents)を用い
ることによっても形成することができる。場合によって
は、公知の酸触媒によるエステル化反応を用いてもよ
い。
本発明による緑内障治療用組成物は、この技術分野に
おいて公知の賦形剤および他のアジュバントを用いるこ
とにより公知の方法で調製される。賦形剤は、例えば、
液体、懸濁液、エマルジョン、クリーム、軟膏などのい
ずれであってもよい。緑内障治療用組成物は、眼に挿入
するための固形医薬の形態にしてもよい。投与に適した
形態の例としては、緩衝液で適切なpHに調整するか、酸
または塩基で適切なpHに調整した滅菌水溶液中に本発明
による化合物を適切な濃度、例えば、0.1〜4%含む点
眼液を挙げることができ、この場合、本発明による化合
物は水溶性の酸付加塩の形態で用いられることが好まし
い。望ましい濃度の点眼液を、患者に応じて好ましくは
1日に1〜3回点眼する。
試験報告 試験方法 本発明の化合物について以下のように試験を行なっ
た。欧州特許出願公開第0106541号に記載されているピ
ロカルピンジエステルについて同一の条件で対応する試
験を行い、本発明のビスピロカルペートと比較した。
1)化合物の安定性 化合物の安定性の試験は、緩衝液を用いた加水分解で
行なった。緩衝液のイオン強度(μ)は0.5とし、pH値
としては4.2、6.0、7.4および9.0を用い、適用した温度
は37℃、50℃、60℃および70℃であった。
上記pH値の緩衝液中でそれぞれの化合物に関して得ら
れた分解定数kに基づいて算出した半減期T1/2(T1/2
=0.693/k、k=2.303×kk、kkは時間の関数としての残
存エステルの対数を表わすプロットの角度係数である)
を後記の表Iに示す。この値は37℃での半減期である。
表Iに示す結果から、本発明のビスピロカルペート
は、塩基性溶液中よりも酸性溶液中の方がより安定であ
ること、及び、少なくとも欧州特許出願公開第0106541
号によるジエステルと同じくらい安定であることが分か
る。
異なる温度における分解定数を測定し、更にアレニウ
スの式(1)(log kは[1/T]の関数として得られ
る)に対応するプロットの式から所望の温度における分
解定数kを算出することによって、異なる保存条件下に
おける誘導体化合物の貯蔵安定性が推定できる。
所望の温度における分解定数(k)から、薬剤の10%
が分解する期間を表わす保存期間t10%(t10%=0.10
4/k)が算出できる。例えば、4℃におけるO,O′−ジプ
ロピオニル(1,4−キシリレン)ビスピロカルペートの
10%の期間は、ほぼ500日である。
2)親油性 pH7.40での化合物の分配係数(P)を測定することに
よって、化合物の親油性を調べた。測定はオクタノール
−緩衝液混合物中で、HPLCを用いて緩衝液相中の化合物
の濃度を測定することによって行なった。しかし、親油
性の高い化合物の分配係数は、逆相(RP)液体クロマト
グラフィー(HPLC)を用いて、滞留時間から求めた[ベ
ックマン(Beckmann)116ポンプおよび166UV検知器;マ
ラソン(Marathon)自動サンプル供給器]。
ピロカルピンおよび本発明によるビスピロカルペート
の22℃におけるlog Pの値と容量比k′を下記の表I
に示す。この結果から、本発明の化合物はピロカルピン
よりも大幅に親油性が高いことが分かる。
3)酵素による加水分解 本発明による新規なビスピロカルペートおよび公知の
ピロカルピン酸ジエステルの酵素による加水分解の半減
期を、37℃においてpH7.4の血漿/緩衝液(80%/20%)
の混合物中で測定した。時間の関数としての残存エステ
ルの対数を表わすプロットから求められた化合物の分解
定数(k)と半減期T1/2後記の表IIに示す。
この結果から、緩衝液中において、安定な試験化合物
が酵素(エステラーゼ)の影響下で分解して、(pH7.40
で自然に分解してピロカルピンを生成する)中間生成物
O,O′−ジヒドロゲンビスピロカルペートとなることが
分かる。従って、ピロカルピン生成速度に対する中間生
成物ビスピロカルペートの影響は非常に大きい。ピロカ
ルピンの生成はその中間生成物のエピマー化の可能性に
関係なく殆ど完了した。加水分解時間が非常に長い場
合、生成されたピロカルピンがエピマー化することもあ
り、イソピロカルピンの生成量は0〜10%であった。
4)角膜透過性 ピロカルピン塩酸塩の角膜透過性および上記の試験に
よる評価から最も有望なプロドラッグ誘導体の角膜透過
性を拡散室内で測定した。拡散室内では、これらの化合
物が放出相(上皮側)から角膜を通して受容相(内皮
側)に移動した。この試験では、ウサギの角膜を用い
た。
拡散室の受容側から取出したサンプルから、受容相で
のプロドラッグの濃度と分解によって遊離した薬剤の濃
度とをHPLCを用いて測定した。このようにして、角膜内
のプロドラッグの分解速度を求めた。
透過速度(μmol/min)から算出した透過係数(Pap
p、cm/s)と、それらの平均偏差と試験回数とを後記の
表IIに示す。
この結果から、両方の基から得られた化合物により、
ピロカルピンの透過性を大幅に高められることが分か
る。この結果は更に、ピロカルピンエステルは角膜内で
分解してピロカルピンを生成すること、及び、ピロカル
ピン酸に結合した基によって、プロドラッグの角膜透過
性およびピロカルピンの生成速度を調整できることが分
かる。
5.結論 本発明の化合物は水溶液中でも安定な化合物であり、
それによって、点眼液処方剤の調製が可能であることが
判明した。更に、ピロカルピン酸に結合する基を変える
ことによって、ピロカルピン誘導体の親油性、酵素分解
性、角膜透過性、および眼内のピロカルピンの生成を、
目的に応じて容易に調整できることが分かった。眼のエ
ステラーゼ酵素が、ビスピロカルペートの中間生成物へ
の加水分解を開始させ、その中間生成物は自然に分解し
てピロカルピンを生成する。
本発明による化合物を欧州特許出願公開第0106541号
による化合物と比較すると、本発明による化合物は全て
の面で、少なくともこの公知の化合物と同じくらいに優
れていることが分かる。本発明による化合物であるビス
ピロカルペートの大きな利点は、1分子のビスピロカル
ペートから2分子のピロカルピンが生成することであ
り、これによって、プロドラッグ構造体から分裂する代
謝産物、特にモノカルボン酸、アルデヒドなどのピロカ
ルピン1分子当りの生成量が、比較的少ない。代謝産物
の量を少なくすることによって、目薬による眼の刺激や
刺痛を軽減することができる。
本発明の化合物を用いることによって、ピロカルピン
による薬物療法に関する問題点[生体利用効率の低さ、
身体および眼への副作用、頻繁な投薬や、それによる患
者のコンプライアンスの低さ]を大幅に解決することが
できる。角膜透過性がより優れているので、本発明の化
合物の投薬量はかなり少なくてすみ、一日当りの投薬回
数を減せるので、副作用が減少し、また患者の応諾率が
高くなり、緑内障患者の薬物療法がより効果的になる。
以下の実施例は本発明を具体的に説明するものである
が、本発明を何ら限定するものではない。
使用機器 融点測定:ライヒェルト・テルモバール(Reichert The
rmovar)装置 屈折率の測定:アタゴ・イルミネータ(Atago Illumina
tor)装置 pKa値の測定:水−エタノール(50%−50%)混合液中
のピロカルピン誘導体の滴定 質量分析計:VG70−250SE 電子衝撃イオン化装置内における測定条件: 電子エネルギー:70eV(特に断りのない限り) イオン化電流:500μA イオン化装置内の温度:150℃ サンプルホルダーの温度:2〜5分間で30℃→500℃ 分解能:10,000 サーモスプレイ(Thermospray)型質量分析計: VGサーモスプレー/プラズマスプレー(thermospray/
plasmaspray) VGトリオ(Trio)−2 四重極(quadropoli)型 ベックマン(Beckmann)112ポンプ (サーモスプレーイオン化における測定条件を毎日最
適化した。) NMR分光器:ブルーカー(Bruker)AC250/アスペクト(A
spect)3000 1H/13C5mmデュアル・プローブ CD3OD20mg/ml δppm(テトラメチルシラン=0) 実施例1 O,O′−ジヒドロゲン(1,4−キシリレン)ビスピロカル
ペート (一般式I′において、Y=Y′=H、A=1,4−キシ
リレン) a)ピロカルピン酸ナトリウム塩 ピロカルピン塩酸塩(3.92g;16.00モル)を蒸留水(4
ml)に溶かし、得られた溶液を約0℃に冷却した。この
溶液に、18mlの氷冷した2MのNaOHを4回に分けて加え、
約0℃で1時間放置した。5mlの1MのHClで過剰のNaOHを
中和した後、この溶液を減圧下で蒸発させた。残留物を
60mlの無水エタノールに溶解し、60℃で10分間混合し
た。4℃に冷却した後、NaClの不溶分を濾過により取り
除いた。濾液を減圧下で蒸発させ、白色で極めて吸湿性
の高いナトリウムピロカルペート3.93gを得た。
b)O,O′−ジヒドロゲン(1,4−キシリレン)ビスピロ
カルペート 8.00mmol(1987mg)のピロカルピン酸ナトリウム塩を
含む60mlのジメチルスルホキシド溶液に、3.00mmol(52
4mg)のα,α′−ジクロロ−p−キシレンのジメチル
スルホキシド溶液を約1時間かけて滴下して加えた。こ
の溶液を室温で48〜72時間混合し、100mlの蒸留水に注
ぎ込んだ。この混合液をクロロホルムで100mlづつ2回
に分けて抽出した。クロロホルム抽出物を併せ、100ml
の蒸留水で洗浄し、100mlの2%重炭酸ナトリウム溶液
で洗浄し、更に、100mlの蒸留水で洗浄した。このクロ
ロホルム抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥し、クロロホ
ルムを減圧下で蒸発させ、得られたビスピロカルペート
をクロロホルム/石油エーテル混合液で結晶化させ、そ
れによって、表題の化合物770mg(1.39mmol)を得た。
融点:170〜171℃ pKa=6.25 k′=0.8101 HR−MS[高分解能質量分析計(high resolution mass s
pectrometer)]−スペクトル:m/e(相対強度):[M
+.]ピークなし、208(19%)、207(6%)、96(42
%)、95(100%)。
HPLC−MS[サーモスプレイ(thermospray)型]:m/e
(相対強度):555[M+1](12%)、417(3%)、3
84(4%)、347(46%)、267(10%)、250(5
%)、209(100%)。
NMR:δ 7.47 bs 2H、7.39 s 4H、6.69 bs 2H、5.09 s 4
H、3.51 m 4H、3.48 s 6H、2.65 m 2H、2.53 m 2H、2.4
2 m 2H、1.97 m 2H、1.67 m 4H、及び0.84 t 6H。
実施例2 O,O′−ジヒドロゲン(1,3−キシリレン)ビスピロカル
ペート (一般式I′において、Y=Y′=H、A=1,3−キシ
リレン) 実施例1に記載の方法によりピロカルピンのナトリウ
ム塩(1287mg;5.18mmol)とα,α′−ジブロモ−m−
キシレン(342mg;1.30mmol)とから表題のビスピロカル
ペートを得た。得られたビスピロカルペートを酢酸エチ
ル/エーテル混合液で結晶化させた。収量は380mg(0.6
9mmol)であった。
融点:116〜117℃ pKa=6.30 k′=0.8291 HR−MS−スペクトル:m/e(相対強度):[M+.]ピー
クなし、209(11%)、208(38%)、96(44%)、95
(100%) HPLC−MS[サーモスプレイ(thermospray)型]:m/e
(相対強度):555[M+1](7%)、417(7%)、3
85(8%)、347(46%)、267(9%)、250(10
%)、209(100%)。
NMR:δ 7.47 bs 2H、7.44 bs 1H、7.35 m 3H、6.70 bs
2H、5.09 bs 4H、3.52 m 4H、3.48 s 6H、2.66 m 2H、
2.52 m 2H、2.43 m 2H、1.97 m 2H、1.67 m 4H、及び0.
85 t 6H。
実施例3 O,O′−ジヒドロゲン(1,2−キシリレン)ビスピロカル
ペート (一般式I′において、Y=Y′=H、A=1,2−キシ
リレン) 実施例1に記載の方法によりピロカルピンのナトリウ
ム塩(1166mg;4.70mmol)とα,α′−ジブロモ−o−
キシレン(310mg;1.18mmol)とから表題のビスピロカル
ペートを得た。得られたビスピロカルペートを酢酸エチ
ル/石油エーテル混合液で結晶化させた。収量は380mg
(0.69mmol)であった。
融点:62〜64℃ pKa=6.30 k′=0.8291 HR−MS−スペクトル:m/e(相対強度):[M+.]ピー
クなし、208(12%)、96(19%)、95(100%)。
HPLC−MS[サーモスプレイ(thermospray)型]:m/e
(相対強度):555[M+1](11%)、417(7%)、3
85(8%)、347(46%)、267(9%)、250(14
%)、209(100%)。
NMR:δ 7.47 bs 2H、7.34 m 4H、6.70 bs 2H、5.24 s 4
H、3.52 m 4H、3.48 s 6H、2.66 m 2H、2.53 m 2H、2.4
2 m 2H、1.97 m 2H、1.67 m 4H、及び0.85 t 6H。
実施例4 O,O′−ジヒドロゲン(1,7−ヘプチレン)ビスピロカル
ペート (一般式I′において、Y=Y′=H、A=1,7−ヘプ
チレン) 実施例1に記載の方法によりピロカルピンのナトリウ
ム塩(1994mg;8.03mmol)と1,7−ジブロモヘプタン(51
8mg;2.01mmol)とから表題のビスピロカルペートを得
た。得られたビスピロカルペートをクロロホルム/石油
エーテル混合液で結晶化させた。収量は1050mg(1.91mm
ol)であった。
融点:117〜120℃ pKa=6.30 k′=1.1266 HR−MS−スペクトル:m/e(相対強度):208(16%)、96
(2%)、95(100%)。
HPLC−MS[サーモスプレイ(thermospray)型]:m/e
(相対強度):549[M+1](4%)、341(16%)、2
67(7%)、250(5%)、209(100%)。
NMR:δ 7.50 bs 2H、6.73 bs 2H、4.05 t 4H、3.59 s 6
H、3.53 m 4H、2.72 m 2H、2.50 m 2H、2.47 m 2H、1.9
9 m 2H、1.68 m 4H、1.64 bm 8H、1.37 m 2H、及び0.88
t 6H。
実施例5 O,O′−ジヒドロゲン(1,6−ヘキシレン)ビスピロカル
ペート (一般式I′において、Y=Y′=H、A=1,6−ヘキ
シレン) 実施例1に記載の方法によりピロカルピンのナトリウ
ム塩(1353mg;5.45mmol)と1,6−ジブロモヘキサン(49
9mg;2.04mmol)とから表題のビスピロカルペートを得
た。得られたビスピロカルペートをクロロホルム/石油
エーテル混合液で結晶化させた。収量は717mg(1.34mmo
l)であった。
融点:115〜118℃ pKa=6.30 k′=0.8924 HR−MS−スペクトル:m/e(相対強度):[M+.]ピー
クなし、208(16%)、96(24%)、95(100%)。
HPLC−MS[サーモスプレイ(thermospray)型]:m/e
(相対強度):535[M+1](5%)、327(26%)、2
67(13%)、250(7%)、209(100%)。
NMR:δ 7.49 bs 2H、6.73 bs 2H、4.05 t 4H、3.60 s 6
H、3.53 m 4H、2.72 m 2H、2.51 m 2H、2.47 m 2H、1.9
9 m 2H、1.67 m 4H、1.65 m 4H、1.41 m 4H、及び0.88
t 6H。
実施例6 O,O′−ジヒドロゲン(1,5−ペンチレン)ビスピロカル
ペート (一般式I′において、Y=Y′=H、A=1,5−ペン
チレン) 実施例1に記載の方法によりピロカルピンのナトリウ
ム塩(1051mg;4.23mmol)と1,5−ジブロモペンタン(24
4mg;1.06mmol)とから表題のビスピロカルペートを得
た。得られたビスピロカルペートを酢酸エチル/石油エ
ーテル混合液で結晶化させた。収量は395mg(0.75mmo
l)であった。
融点:84〜87℃ pKa=6.30 k′=0.7532 HR−MS−スペクトル:m/e(相対強度):209(8%)、20
8(9%)、96(27%)、95(100%)。
HPLC−MS[サーモスプレイ(thermospray)型]:m/e
(相対強度):521[M+1](15%)、417(6%)、3
51(9%)、313(73%)、267(11%)、250(12
%)、209(100%)。
NMR:δ 7.50 bs 2H、6.73 bs 2H、4.07 t 4H、3.60 s 6
H、3.55 m 4H、2.73 m 2H、2.52 m 2H、2.48 m 2H、1.9
9 m 2H、1.68 m 4H、1.64 m 4H、1.52 m 2H、及び0.89
t 6H。
実施例7 O,O′−ジヒドロゲン(1,4−ブチレン)ビスピロカルペ
ート (一般式I′において、Y=Y′=H、A=1,4−ブチ
レン) 実施例1に記載の方法によりピロカルピンのナトリウ
ム塩(1069mg;4.31mmol)と1,4−ジブロモブタン(233m
g;1.08mmol)とから表題のビスピロカルペートを得た。
得られたビスピロカルペートをクロロホルム/エーテル
/酢酸エチル混合液で結晶化させた。収量は185mg(0.3
7mmol)であった。
融点:127〜129℃ pKa=6.35 k′=0.6582 HR−MS−スペクトル:m/e(相対強度):299(21%)、26
7(11%)、209(20%)、208(7%)、139(49%)、
96(39%)、95(100%)。
HPLC−MS[サーモスプレイ(thermospray)型]:m/e
(相対強度):507[M+1](18%)、417(6%)、3
37(6%)、299(66%)、267(11%)、250(11
%)、209(100%)。
NMR:δ 7.50 bs 2H、6.73 bs 2H、4.08 t 4H、3.60 s 6
H、3.54 m 4H、2.73 m 2H、2.52 m 2H、2.47 m 2H、2.0
0 m 2H、1.81 m 4H、1.68 m 4H、及び0.89 t 6H。
実施例8 O,O′−ジヒドロゲン(1,3−プロピレン)ビスピロカル
ペート (一般式I′において、Y=Y′=H、A=1,3−プロ
ピレン) 実施例1に記載の方法によりピロカルピンのナトリウ
ム塩(1021mg;4.11mmol)と1,3−ジブロモプロパン(20
8mg;1.03mmol)とから表題のビスピロカルペートを得
た。得られたビスピロカルペートを酢酸エチル/エーテ
ル混合液で結晶化させた。収量は330mg(0.70mmol)で
あった。
融点:71〜73℃ pKa=6.40 k′=0.6139 HR−MS−スペクトル:m/e(相対強度):303(4%)、20
9(46%)、208(15%)、96(27%)、95(100%)。
HPLC−MS[サーモスプレイ(thermospray)型]:m/e
(相対強度):493[M+1](25%)、417(7%)、3
23(9%)、285(73%)、267(9%)、250(10
%)、209(100%)。
NMR:δ 7.50 bs 2H、6.72 bs 2H、4.19 t 4H、3.60 s 6
H、3.54 m 4H、2.72 m 2H、2.53 m 2H、2.49 m 2H、1.9
9 m 2H、2.08 qv 2H、1.68 m 4H、及び0.89 t 6H。
実施例9 O,O′−ジアセチル(1,4−キシリレン)ビスピロカルペ
ート (一般式I′において、Y=Y′=アセチル、A=1,4
−キシリレン;フマレート) トルエン(150ml)中に679mg(1.22mmol)のO,O′−
ジヒドロゲン(1,4−キシリレン)ビスピロカルペート
(実施例1参照)と2026mg(14.66mmol)の炭酸カリウ
ムとを含む混合液に、767mg(9.77mmol)の塩化アセチ
ルを30〜40時間かけて滴下して加えた。この混合液を40
〜72時間撹拌した。得られた反応混合液に2%重炭酸ナ
トリウム溶液(150ml)を加え、得られた混合液を室温
で3時間撹拌した。2層を分離させ、トルエン層を水で
2回(2×150ml)で洗浄し、硫酸カルシウムで30分乾
燥させ、減圧下で蒸発させて、O,O′−ジアセチル(1,4
−キシリレン)ビスピロカルペート(遊離塩基)を油状
物(780mg;1.22mmol)として得た。得られた油状物をト
ルエン(20ml)に溶解し、フマル酸(425mg;3.66mmol)
を2−プロパノール(10ml)に溶解した溶液を加えた。
得られたビスピロカルペートの塩を石油エーテルで沈澱
させた。混合液を1昼夜静置し、O,O′−ジアセチル
(1,4−キシリレン)ビスピロカルペートフマル酸塩を
濾過により単離し、750mg(0.76mmol)の表題のビスピ
ロカルペートフマル酸塩を得た。
nd 20=1.5230(遊離塩基) 融点:58〜60℃ pKa=6.03 k′=1.3987 HR−MS−スペクトル:m/e(相対強度):638(M+.
(5%)、565(3%)、458(22%)、443(19%)、3
87(24%)、208(21%)、207(45%)、96(20%)、
95(100%)。
HR−MS=分子量=638.32739(測定値) 638.33156(計算値) HPLC−MS[サーモスプレイ(thermospray)型]:m/e
(相対強度):677(35%)、661(21%)、639[M+
1](100%)、469(13%)、431(50%)、389(37
%)、209(100%)。
NMR:δ 8.46 bs 2H、7.41 s 4H、7.19 bs 2H、6.71(fu
m.)、5.15 m 4H、4.06 m 4H、3.71 s 6H、2.71 m 4H、
2.56 m 2H、2.36 m 2H、2.00 s 6H、1.69 m 4H、及び0.
86 t 6H。
実施例10 O,O′−ジプロピオニル(1,4−キシリレン)ビスピロカ
ルペート (一般式I′において、Y=Y′=プロピオニル、A=
1,4−キシリレン;フマレート) 実施例9に記載の方法によってO,O′−ジヒドロゲン
(1,4−キシリレン)ビスピロカルペート(473mg;0.85m
mol)(実施例1参照)と塩化プロピオニル(631mg;6.8
2mmol)とから表題のビスピロカルペートを得た。得ら
れたビスピロカルペートを2−プロパノール/トルエン
/石油エーテル混合液で結晶化させた。収量は730mg
(0.72mmol)であった。
nd 20=1.5205(遊離塩基) 融点:86〜89℃ pKa=5.80 k′=2.3038 HR−MS−スペクトル:m/e(相対強度):666(M+.
(5%)、472(53%)、457(45%)、401(58%)、2
09(14%)、208(13%)、207(34%)、96(43%)、
95(100%)。
HR−MS=分子量=666.35667(測定値) 666.36296(計算値) HPLC−MS[サーモスプレイ(thermospray)型]:m/e
(相対強度):705(46%)、689(22%)、667[M+
1](100%)、459(18%)、404(11%)、351(41
%)、209(80%)。
NMR:δ 8.39 bs 2H、7.41 s 4H、7.15 bs 2H、6.72(fu
m.)、5.15 m 4H、4.07 m 4H、3.69 s 6H、2.71 m 4H、
2.55 m 2H、2.36 m 2H、2.30 q 4H、1.69 m 4H、1.08 t
6H、及び0.86 t 6H。
実施例11 O,O′−ジブチリル(1,4−キシリレン)ビスピロカルペ
ート (一般式I′において、Y=Y′=ブチリル、A=1,4
−キシリレン;フマレート) 実施例9に記載の方法によってO,O′−ジヒドロゲン
(1,4−キシリレン)ビスピロカルペート(431mg;0.78m
mol)(実施例1参照)と塩化ブチリル(663mg;6.22mmo
l)とから表題のビスピロカルペートを得た。得られた
ビスピロカルペートを2−プロパノール/トルエン/石
油エーテル混合液で結晶化させた。収量は800mg(0.77m
mol)であった。
nd 20=1.5070(遊離塩基) 融点:90〜92℃ pKa=6.00 k′=4.0127 HR−MS−スペクトル:m/e(相対強度):694(M+.
(3%)、486(26%)、471(14%)、415(17%)、2
09(15%)、208(20%)、207(37%)、96(26%)、
95(100%)。
HR−MS=分子量=694.39378(測定値) 694.39415(計算値) HPLC−MS[サーモスプレイ(thermospray)型]:m/e
(相対強度):732(77%)、717(36%)、695[M+
1](100%)、525(9%)、487(13%)、455(7
%)、417(14%)、297(7%)、209(28%)。
NMR:δ 8.51 bs 2H、7.41 s 4H、7.21 bs 2H、6.71(fu
m.)、5.15 m 4H、4.07 m 4H、3.72 s 6H、2.72 m 4H、
2.55 m 2H、2.36 m 2H、2.27 t 4H、1.69 m 4H、1.59 m
4H、0.91 t 6H、及び0.86 t 6H。
実施例12 O,O′−ジバレリル(1,4−キシリレン)ビスピロカルペ
ート (一般式I′において、Y=Y′=バレリル、A=1,4
−キシリレン;フマレート) 実施例9に記載の方法によってO,O′−ジヒドロゲン
(1,4−キシリレン)ビスピロカルペート(395mg;0.71m
mol)(実施例1参照)と塩化バレリル(685mg;5.68mmo
l)とから表題のビスピロカルペートを得た。得られた
ビスピロカルペートを2−プロパノール/トルエン/石
油エーテル混合液で結晶化させた。収量は567mg(0.53m
mol)であった。
nd 20=1.5080(遊離塩基) 融点:84〜86℃ pKa=6.00 k′=7.3861 HR−MS−スペクトル:m/e(相対強度):722(M+.
(9%)、500(60%)、485(31%)、429(41%)、2
09(14%)、208(17%)、207(34%)、96(46%)、
95(100%)。
HR−MS=分子量=722.42308(測定値) 722.42546(計算値) HPLC−MS[サーモスプレイ(thermospray)型]:m/e
(相対強度):761(86%)、745(33%)、723[M+
1](100%)、431(16%)、362(9%)、209(35
%)。
NMR:δ 8.35 bs 2H、7.41 s 4H、7.13 bs 2H、6.72(fu
m.)、5.15 m 4H、4.07 m 4H、3.69 s 6H、2.70 m 4H、
2.55 m 2H、2.36 m 2H、2.29 t 4H、1.69 m 4H、1.55 m
4H、1.33 m 4H、0.91 t 6H、及び0.86 t 6H。
実施例13 O,O′−ジシクロプロピルカルボニル(1,4−キシリレ
ン)ビスピロカルペート (一般式I′において、Y=Y′=シクロプロピルカル
ボニル、A=1,4−キシリレン;フマレート) 実施例9に記載の方法によってO,O′−ジヒドロゲン
(1,4−キシリレン)ビスピロカルペート(547mg;0.99m
mol)(実施例1参照)と塩化シクロプロピルカルボニ
ル(788mg;7.92mmol)とから表題のビスピロカルペート
を得た。得られたビスピロカルペートを2−プロパノー
ル/トルエン/石油エーテル混合液で結晶化させた。収
量は843mg(0.81mmol)であった。
nd 20=1.5290(遊離塩基) 融点:73〜75℃ pKa=6.00 k′=2.4684 HR−MS−スペクトル:m/e(相対強度):690(M+.
(5%)、484(36%)、469(19%)、413(30%)、2
09(7%)、208(16%)、207(46%)、96(30%)、
95(100%)。
HR−MS=分子量=690.36014(測定値) 690.36286(計算値) HPLC−MS[サーモスプレイ(thermospray)型]:m/e
(相対強度):728(89%)、713(42%)、691[M+
1](100%)、623(12%)、521(23%)、480(30
%)、453(32%)、415(46%)、209(73%)。
NMR:δ 8.55 bs 2H、7.41 s 4H、7.24 bs 2H、6.71(fu
m.)、5.16 m 4H、4.08 m 4H、3.73 s 6H、2.74 m 4H、
2.57 m 2H、2.38 m 2H、1.70 m 4H、1.69 m 2H、0.87 t
6H、及び0.86 m 8H。
実施例14 O,O′−ジベンゾイル(1,4−キシリレン)ビスピロカル
ペート (一般式I′において、Y=Y′=ベンゾイル、A=1,
4−キシリレン;フマレート) 実施例9に記載の方法によってO,O′−ジヒドロゲン
(1,4−キシリレン)ビスピロカルペート(486mg;0.88m
mol)(実施例1参照)と塩化ベンゾイル(990mg;7.04m
mol)とから表題のビスピロカルペートを得た。得られ
たビスピロカルペートを2−プロパノール/トルエン/
石油エーテル混合液で結晶化させた。収量は464mg(0.4
2mmol)であった。
nd 20=1.5605(遊離塩基) 融点:72〜75℃ pKa=5.80 k′=5.9304 HR−MS−スペクトル:m/e(相対強度):762(M+.
(1%)、243(10%)、208(15%)、207(38%)、9
6(26%)、95(100%)。
HR−MS=分子量=762.36774(測定値) 762.36286(計算値) HPLC−MS[サーモスプレイ(thermospray)型]:m/e
(相対強度):785(28%)、763[M+1](100%)、
593(16%)、555(21%)、489(7%)、451(8
%)、209(42%)。
NMR:δ 8.41 bs 2H、7.93 m 4H、7.60 m 2H、7.46 m 4
H、7.32 s 4H、7.20 bs 2H、6.71(fum.)、5.07 m 4
H、4.32 m 4H、3.71 s 6H、2.82 m 4H、2.65 m 2H、2.5
3 m 2H、1.75 m 4H、及び0.89 t 6H。
実施例15 O,O′−アジポイル(ジベンジル)ビスピロカルペート (一般式I″において、R=R′=ベンジル、B=1,4
−ブチレン;フマレート) 60mlのジメチルスルホキシド中に7.78mmol(1932mg)
のピロカルピン酸ナトリウム塩(製造方法は実施例1に
開示した)を含む溶液に、7.78mmol(985mg)の塩化ベ
ンジルを約1時間かけて加えた。この溶液を室温で48〜
72時間撹拌し、100mlの蒸留水に注ぎ込んだ。この混合
液を酢酸エチルで各100mずつ2回に分けて抽出した。酢
酸エチル抽出物を併せ、150mlの蒸留水で洗浄し、150ml
の2%重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、更に、150mlの
蒸留水で洗浄した。この酢酸エチル抽出物を硫酸カルシ
ウムで乾燥し、酢酸エチルを減圧下で蒸発させ、ピロカ
ルピン酸ベンジルエステルを得た。得られたピロカルピ
ン酸ベンジルエステルをクロロホルム/石油エーテル混
合液で結晶化させて、精製されたエステル1125mg(5.56
mmol)を得た。
融点:101〜104℃ pKa=6.50 k′=0.7658 HR−MS−スペクトル:m/e(相対強度):208(15%)、96
(45%)、95(100%)。
HR−MS=分子量=M+.−ピークなし HPLC−MS[サーモスプレイ(thermospray)型]:m/e
(相対強度):317[M+1](51%)、209(100%)。
NMR:δ 7.47 bs 1H、7.33 m 5H、6.69 bs 1H、5.10 s 2
H、3.52 m 2H、3.47 s 3H、2.70 m 1H、2.52 m 1H、2.4
5 m 1H、1.98 m 1H、1.70 m 2H、及び0.86 t 3H。
トルエン(40ml)中に406mg(1.28mmol)のピロカル
ピン酸ベンジルエステルと553mg(3.00mmol)の炭酸カ
リウムとを含む混合液に、108mg(0.59mmol)の塩化ア
ジポイルを約24時間かけて滴下して加えた。得られた溶
液を室温で約48時間撹拌した。得られた反応混合液に2
%重炭酸ナトリウム溶液(40ml)を加え、得られた混合
液を室温で3時間撹拌した。この混合液を相分離し、ト
ルエン相を蒸留水で2回(2×50ml)洗浄し、硫酸カル
シウムで30分乾燥させ、減圧下で蒸発させて、O,O′−
アジポイル(ジベンジル)ビスピロカルペート(遊離塩
基)を油状物(324mg;0.44mmol)として得た。得られた
油状物をトルエン(15ml)に溶解し、フマル酸(153mg;
1.32mmol)を2−プロパノール(5ml)に溶かした溶液
を加えた。ビスピロカルペートの塩を石油エーテルで沈
澱させた。混合液を1夜静置して、O,O′−アジポイル
(ジベンジル)ビスピロカルペートフマル酸塩(327mg;
0.30mmol)を得た。
nd 20=1.5340(遊離塩基) 融点:98〜100℃ pKa=6.00 k′=4.4810 HR−MS−スペクトル:m/e(相対強度):742(M+.
(5%)、741(8%)、629(39%)、625(52%)、5
36(75%)、535(100%)、459(69%)、445(43
%)、357(33%)、299(45%)、209(55%)、207
(64%)、95(69%)、91(56%)。
HR−MS=分子量=742.390380(測定値) 742.394150(計算値) HPLC−MS[サーモスプレイ(thermospray)型]:m/e
(相対強度):780(75%)、765(28%)、743[M+
1](100%)、480(8%)、445(10%)、317(23
%)、209(26%)。
NMR:δ 8.36 bs 2H、7.35 m 10H、7.14 bs 2H、6.72(f
um.)、5.14 m 4H、4.07 m 4H、3.65 s 6H、2.68 m 4
H、2.54 m 2H、2.34 m 2H、2.30 t 4H、1.69 m 4H、1.5
9 t 4H、及び0.87 t 6H。
実施例16 O,O′−グルタルン(ジベンジル)ビスピロカルペート (一般式I″において、R=R′=ベンジル、B=1,3
−プロピレン;フマレート) 実施例15に記載の方法によってピロカルピン酸ベンジ
ルエステル(633mg;2.00mmol)と塩化グルタリル(135m
g;0.80mmol)とから表題のビスピロカルペートを得た。
得られたビスピロカルペートを2−プロパノール/トル
エン/石油エーテル混合液で結晶化させた。収量は477m
g(0.44mmol)であった。
nd 20=1.5330(遊離塩基) 融点:55〜58℃ pKa=6.00 k′=3.7658 HR−MS−スペクトル:m/e(相対強度):728(M+.
(0、15%)、419(8%)、343(16%)、209(12
%)、208(14%)、207(45%)、96(31%)、95(76
%)、91(100%)。
HR−MS=分子量=728.3734740(測定値) 728.3785152(計算値) HPLC−MS[サーモスプレイ(thermospray)型]:m/e
(相対強度):729[M+1](36%)、431(45%)、3
17(35%)、209(100%)。
NMR:δ 8.47 bs 2H、7.35 m 10H、7.20 bs 2H、6.71(f
um.)、5.14 m 4H、4.07 m 4H、3.67 s 6H、2.68 m 4
H、2.54 m 2H、2.34 t 4H、2.32 m 2H、1.84 m 2H、1.6
9 m 4H、及び0.87 t 6H。
実施例17 O,O′−スクシニル(ジベンジル)ビスピロカルペート (一般式I″において、R=R′=ベンジル、B=エチ
レン;フマレート) 実施例15に記載の方法によってピロカルピン酸ベンジ
ルエステル(633mg;2.00mmol)と塩化スクシニル(124m
g;0.80mmol)とから表題のビスピロカルペートを得た。
得られたビスピロカルペートを2−プロパノール/トル
エン/石油エーテル混合液で結晶化させた。収量は402m
g(0.38mmol)であった。
nd 20=1.5360(遊離塩基) 融点:65〜67℃ pKa=6.00 k′=3.4557 HR−MS−スペクトル:m/e(相対強度):714(M+.
(1%)、537(10%)、415(9%)、329(11%)、2
08(10%)、207(31%)、96(23%)、95(94%)、9
1(100%)。
HR−MS=分子量=714.3668980(測定値) 714.3628652(計算値) HPLC−MS[サーモスプレイ(thermospray)型]:m/e
(相対強度):751(10%)、715[M+1](47%)、4
17(32%)、317(57%)、209(100%)。
NMR:δ 8.44 bs 2H、7.35 m 10H、7.17 bs 2H、6.71(f
um.)、5.14 m 4H、4.09 m 4H、3.65 s 6H、2.68 m 4
H、2.58 s 4H、2.53 m 2H、2.32 m 2H、1.69 m 4H、及
び0.86 t 6H。
実施例18 O,O′−フマロイル(ジベンジル)ビスピロカルペート (一般式I″において、R=R′=ベンジル、B=エテ
ニレン;フマレート) 実施例15に記載の方法によってピロカルピン酸ベンジ
ルエステル(633mg;2.00mmol)と塩化フマロイル(122m
g;0.80mmol)とから表題のビスピロカルペートを得た。
得られたビスピロカルペートを2−プロパノール/トル
エン/石油エーテル混合液で結晶化させた。収量は112m
g(0.11mmol)であった。
nd 20=1.5415(遊離塩基) 融点:64〜66℃ pKa=6.05 k′=4.2785 HR−MS−スペクトル:m/e(相対強度):712(M+.
(0、4%)、411(41%)、407(34%)、318(56
%)、317(96%)、299(39%)、209(67%)、207
(40%)、96(47%)、95(100%)、91(62%)。
HR−MS=分子量=712.3462220(測定値)、20eV 712.3472151(計算値) HPLC−MS[サーモスプレイ(thermospray)型]:m/e
(相対強度):750(40%)、733(20%)、713[M+
1](100%)、450(15%)、413(32%)、317(96
%)、209(42%)。
実施例19 O,O′−テレフタロイル(ジベンジル)ビスピロカルペ
ート (一般式I″において、R=R′=ベンジル、B=p−
フェニレン;フマレート) 実施例15に記載の方法によってピロカルピン酸ベンジ
ルエステル(633mg;2.00mmol)と塩化テレフタロイル
(162mg;0.80mmol)とから表題のビスピロカルペートを
得た。得られたビスピロカルペートを2−プロパノール
/トルエン/石油エーテル混合液で結晶化させた。収量
は370mg(0.33mmol)であった。
nd 20=1.5510(遊離塩基) 融点:130〜133℃ pKa=6.00 k′=7.3354 HR−MS−スペクトル:m/e(相対強度):762(M+.
(1%)、208(13%)、207(46%)、96(36%)、95
(100%)、91(70%)。
HR−MS=分子量=762.3563840(測定値) 762.3628652(計算値) HPLC−MS[サーモスプレイ(thermospray)型]:m/e
(相対強度):763[M+1](82%)、465(52%)、3
17(97%)、267(23%)、209(100%)。
NMR:δ 8.46 bs 2H、8.05 s 4H、7.32 m 10H、7.24 bs
2H、6.72(fum.)、5.10 m 4H、4.37 m 4H、3.70 s 6
H、2.83 m 4H、2.66 m 2H、2.54 m 2H、1.75 m 4H、及
び0.91 t 6H。
実施例20 O,O′−ジシクロプロピルカルボニル(1,6−ヘキシレ
ン)ビスピロカルペート (一般式I′において、Y=Y′=シクロプロピルカル
ボニル、A=1,6−ヘキシレン;フマレート) 実施例9に記載の方法によってO,O′−ジヒドロゲン
(1,6−ヘキシレン)ビスピロカルペート(600mg;1.12m
mol)(実施例5参照)と塩化シクロプロピルカルボニ
ル(766mg;7.33mmol)とから表題のビスピロカルペート
を得た。得られたビスピロカルペートを2−プロパノー
ル/トルエン/石油エーテル混合液で結晶化させた。収
量は620mg(0.61mmol)であった。
nd 20=1.5020(遊離塩基) 融点:60〜63℃(フマル酸塩) pKa=6.00(遊離塩基) HR−MS−スペクトル:m/e(相対強度):670(M+.
(2%)、464(13%)、449(10%)、337(10%)、2
09(10%)、207(21%)、96(53%)、95(100%)。
HPLC−MS[サーモスプレイ(thermospray)型]:m/e
(相対強度):671[M+1](100%)。
NMR:δ 8.53 bs 2H、7.24 bs 2H、6.72(fum.)、4.12
bm 8H、3.81 s 6H、2.77 m 4H、2.52 m 2H、2.38 m 2
H、1.70 m 8H、1.61 m 2H、1.45 m 4H、0.91 m 6H、0.9
0 m 8H。
80%血漿中での酵素加水分解(pH7.40、37℃): t1/2=15分 化学加水分解(50℃): pH7.40:t1/2=664t pH6.00:t1/2=3405t pH4.20:t1/2=3221t Log(P)=0.880(pH5.0) 実施例21 O,O′−ジシクロプロピルカルボニル(1,5−ペンチレ
ン)ビスピロカルペート (一般式I′において、Y=Y′=シクロプロピルカル
ボニル、A=1,5−ペンチレン;フマレート) 実施例9に記載の方法によってO,O′−ジヒドロゲン
(1,5−ペンチレン)ビスピロカルペート(424mg;0.82m
mol)(実施例6参照)と塩化シクロプロピルカルボニ
ル(682mg;6.52mmol)とから表題のビスピロカルペート
を得た。得られたビスピロカルペートを2−プロパノー
ル/トルエン/石油エーテル混合液で結晶化させた。収
量は230mg(0.23mmol)であった。
融点:56〜59℃ HR−MS−スペクトル:m/e(相対強度):656(M+.
(3%)、450(39%)、435(23%)、379(13%)、3
63(13%)、209(15%)、207(29%)、96(50%)、
95(100%)。
HPLC−MS[サーモスプレイ(thermospray)型]:m/e
(相対強度):657[M+1](92%)。
NMR:δ 8.34 bs 2H、7.15 bs 2H、6.71(fum.)、4.12
bm 8H、3.77 s 6H、2.77 m 4H、2.51 m 2H、2.38 m 2
H、1.71 m 8H、1.61 m 2H、1.48 m 4H、0.91 m 6H、0.8
8 m 8H。
80%血漿中ので酵素加水分解(pH7.40、37℃): t1/2=13分 化学加水分解(50℃): pH7.40:t1/2=553t pH6.00:t1/2=2368t pH4.20:t1/2=4624t Log(P)=0.401(pH5.0)
フロントページの続き (72)発明者 スホネン、ペッカ フィンランド国、エスエフ−70200 ク オピオ、レトケイリイェンティエ 9 ディー 33 (72)発明者 ウルッティ、アルト フィンランド国、エスエフ−70420 ク オピオ、ケロクヤ 11 ビー 10 (72)発明者 ハンヒイェルヴィ、ハンヌ フィンランド国、エスエフ−20600 ツ ルク、パロケルイェンカトゥ 1 エイ エス. 2 (72)発明者 ポーヤラ、エスコ フィンランド国、エスエフ−33720 タ ンペレ、トートリンカトゥ 7 ビー 6 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 233/64 C07D 405/14 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の一般式Iで表わされるビスピロカルピ
    ン酸エステル誘導体またはその酸付加塩。 式Iにおいて、 a)Yは、水素原子または (Rは、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数
    2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、
    非置換もしくは置換された炭素数3〜7のシクロアルキ
    ル基、非置換もしくは置換された炭素数3〜7のシクロ
    アルケニル基、非置換もしくは置換されたアリール基、
    または非置換もしくは置換されたアリール低級アルキル
    基である)を表わし、 且つ、Wは−O−A−Z−Y′で表わされる基である [ここで、Aは、水酸基もしくは保護された水酸基で置
    換されたまたは置換されていない炭素数1〜18のアルキ
    レン基、炭素数2〜18のアルケニレン基、または炭素数
    2〜18のアルキニレン基であり、これらのアルキレン
    基、アルケニレン基またはアルキニレン基は、非置換も
    しくは置換された炭素数3〜7のシクロアルキル基、非
    置換もしくは置換された炭素数3〜7のシクロアルケニ
    ル基、非置換もしくは置換されたアリール基、または非
    置換もしくは置換されたアリール低級アルキル基によっ
    て置換されていてもよい;或いはAは、非置換もしくは
    置換された炭素数3〜7のシクロアルキレン基、非置換
    もしくは置換された炭素数3〜7のシクロアルケニレン
    基、または非置換もしくは置換されたアリーレン基;或
    いはAは、上記シクロアルキレン基、シクロアルケニレ
    ン基またはアリーレン基を連鎖の一部として有する上記
    アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基で
    あり、−Z−Y′は下記の式で表わされる基であり、 上記式中のY′は、水素原子または (R′は上記Rの定義と同じであり、Rと同一であって
    も異なってもよい)である]; 或いは b)Wは、−OR(Rは上記で定義した通りである)であ
    り、 且つ、Yは である (ここで、Bは上記Aの定義と同じであり、−Z′−O
    R′は下記の式で表わされる基であり、 上記式中のR′は、上記で定義した通りである); 或いは c)WとYは、共に結合(−W−Y−)して で表わされる基(AおよびBは上記で定義した通りであ
    り、Zは上記の基−Z−Y′において定義した通りであ
    る)を表わす。
  2. 【請求項2】一般式Iで表わされる化合物が、(キシリ
    レン)ビスピロカルペートであることを特徴とする請求
    項1記載のビスピロカルピン酸エステル誘導体またはそ
    の酸付加塩。
  3. 【請求項3】前記(キシリレン)ビスピロカルペート
    が、(1,4−キシリレン)ビスピロカルペートであるこ
    とを特徴とする請求項2記載のビスピロカルピン酸エス
    テル誘導体またはその酸付加塩。
  4. 【請求項4】前記(1,4−キシリレン)ビスピロカルペ
    ートが、O,O′−ジプロピオニル(1,4−キシリレン)ビ
    スピロカルペート、O,O′−ジブチリル(1,4−キシリレ
    ン)ビスピロカルペート、またはO,O′−ジシクロプロ
    ピルカルボニル(1,4−キシリレン)ビスピロカルペー
    トであることを特徴とする請求項3記載のビスピロカル
    ピン誘導体またはその酸付加塩。
  5. 【請求項5】一般式Iで表わされる化合物が、(ジベン
    ジル)ビスピロカルペートであることを特徴とする請求
    項1記載のビスピロカルピン誘導体またはその酸付加
    塩。
  6. 【請求項6】前記(ジベンジル)ビスピロカルペート
    が、O,O′−グルタリル(ジベンジル)ビスピロカルペ
    ートであることを特徴とする請求項5記載のビスピロカ
    ルピン誘導体またはその酸付加塩。
  7. 【請求項7】下記の化学式で表わされるピロカルピン酸 またはその塩を、式X−A−X′(XおよびX′は、そ
    れぞれ独立して、水酸基、或いはハロゲン,アシルオキ
    シ基,アルキルスルホニルオキシ基またはアリールスル
    ホニルオキシ基のような反応性の残基を表わし、Aは請
    求項1で定義した通りである)の化合物と反応させて、
    下記の式IIで表わされる化合物を生成し、 (式IIにおいて、Aは上記で定義した通りであり、Zは
    請求項1に記載の式で表わされる基である) そして、所望により、下記の式I′中のY及び/又は
    Y′が水素原子でない場合には、式IIの化合物を式RCO2
    H(Rは請求項1で定義した通りである)の酸またはそ
    の官能性誘導体と反応させ、或いは下記の式I′中の
    Y′が水素原子でない場合であって、RがR′と異なる
    ときには、その後式R′CO2H(R′は、請求項1で定義
    した通りであるが、Rと同一でない)の酸またはその官
    能性誘導体と反応させることによって、式II中の水酸基
    がエステル化された化合物を生成し、そして更に所望に
    より、式IIの化合物またはその水酸基がエステル化され
    た化合物をその酸付加塩に転換することを特徴とする、 一般式I′ (式I′において、Aは上記で定義した通りであり、Y
    およびY′は請求項1で定義した通りである) で表わされる請求項1のa)に記載のビスピロカルピン
    酸エステル誘導体またはその酸付加塩の製造方法。
  8. 【請求項8】下記の式III及び/又はIII′で表わされる
    ビスピロカルピン酸及び/又はそのエステルを、 (RおよびR′は、請求項1で定義した通りであり、同
    一であっても異なってもよい) 下記の式IVで表わされるジカルボン酸またはその2価の
    酸誘導体と反応させ、 (Bは請求項1で定義した通りである) そして、所望により、得られる生成物をその酸付加塩に
    転換することを特徴とする、 一般式I″ (式I″において、B、RおよびR′は上記で定義した
    通りである) で表わされる請求項1のb)に記載のビスピロカルピン
    酸エステル誘導体またはその酸付加塩の製造方法。
  9. 【請求項9】次の一般式IIで表わされる化合物を、 (式IIにおいて、Aは請求項1で定義した通りであり、
    Zは請求項1に記載の式で表わされる基である) 下記の式IVで表わされるジカルボン酸またはその2価の
    酸誘導体と反応させ、 (Bは請求項1で定義した通りである) そして、所望により、得られる生成物をその酸付加塩に
    転換することを特徴とする、 一般式I (式Iにおいて、AおよびBは上記で定義した通りで
    ある) で表わされる請求項1のc)に記載のビスピロカルピン
    酸エステル誘導体またはその酸付加塩の製造方法。
  10. 【請求項10】活性成分として、請求項1記載の一般式
    Iで表わされる化合物またはその酸付加塩を含有するこ
    とを特徴とする緑内障治療用組成物。
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