JP3090778B2 - 血清又は血漿分離用組成物及び血液検査用容器 - Google Patents

血清又は血漿分離用組成物及び血液検査用容器

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JP3090778B2
JP3090778B2 JP04118803A JP11880392A JP3090778B2 JP 3090778 B2 JP3090778 B2 JP 3090778B2 JP 04118803 A JP04118803 A JP 04118803A JP 11880392 A JP11880392 A JP 11880392A JP 3090778 B2 JP3090778 B2 JP 3090778B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血液成分の比重差を利
用して遠心分離を行う場合に用いられる血清又は血漿分
離用組成物、及び該組成物を予め収容してなる血液検査
用容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、チキソトロピー性の血清又は血漿
分離用組成物として例えばシリコーンとシリカとからな
る混合物を採血管内底部に予め収容した血液検査用容器
が知られている(特開昭51−83654号)。この血
液検査用容器内に採血を行い、適当時間静置後遠心分離
操作を行うと、その遠心力によってゲル状の血清又は血
漿分離用組成物は流動性となる。また、ゲル状の血清又
は血漿分離用組成物は血清又は血漿成分の比重と血餅又
は血球成分のそれとの中間の比重を有するため、採取し
た血液中を管底部から次第に上昇し、血清又は血漿層と
血餅又は血球層との中間に位置するようになり、血清又
は血漿成分と血餅又は血球成分とを分離することができ
る。このように血餅又は血球成分から分離された血清又
は血漿成分は、血液検査用容器から容易に取り出されて
各種の検査に付すことができ、また他の容器に移すこと
なく保存することもできる。
【0003】このようなチキソトロピー性の血清又は血
漿分離用組成物の主成分としては、上記のシリコーンの
他にα−オレフィン−マレイン酸ジエステル共重合体
(特開昭56−166956号、特開平2−16815
9号)、ポリエステル系重合体(特開昭61−2333
68号)、アクリル系重合体(特開昭53−42283
号)、塩素化ポリブテン(特開昭57−9718号)、
シクロペンタジエン樹脂(特開平1−295163
号)、シクロペンタジエン樹脂に水酸基、エステル基、
エーテル基、エポキシ基等を導入したシクロペンタジエ
ン樹脂の変性物(特開平2−95257号)等が知られ
ており、こうした主成分に、シリカのように比重調整剤
として働くと同時にチキソトロピー性を付与するゲル化
剤としても働く無機充填剤や、プロピレングリコールや
エチレンジアミンのような分子の両末端に極性基を有す
る物質(以上特開平1−295163号)、ソルビトー
ルと芳香族アルデヒドとの縮合物(特開平2−1681
59号)のような有機のゲル化剤等が必要に応じて配合
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、シリコ
ーンは無機充填剤との相分離が著しく、またγ−線滅菌
により硬化反応が生じるため現在ではほとんど使われて
おらず、またα−オレフィン−マレイン酸ジエステル共
重合体、ポリエステル系重合体、アクリル系重合体、シ
クロペンタジエン樹脂の変性物等のように極性基を有す
るものは、血液中の臨床検査対象項目の測定には比較的
影響が少ないが、血中薬物濃度の測定に影響を及ぼすこ
とが多い(例えば、抗てんかん薬であるフェノバルビタ
ール、カルバマゼピン、フェニトイン等の血中濃度の測
定)。
【0005】他方、塩素化ポリブテンを使用したもので
は、使用後焼却廃棄する際に、塩酸を発生するため焼却
炉を損傷するという問題があった。
【0006】シクロペンタジエン樹脂はこれらの欠点を
有しない点では優れているが、粘度の温度依存性が大き
いため、シクロペンタジエン樹脂を主成分とする血清又
は血漿分離用組成物は、例えば、温度4℃に設定した遠
心分離機の分離条件では流動性が悪くなり、血清又は血
漿分離用組成物として機能しなくなることがある。すな
わち、シクロペンタジエン樹脂を主成分とする血清又は
血漿分離用組成物は、遠心分離操作を行う際、20〜2
5℃の室温付近で使用する限りは問題は生じないが、最
近では遠心分離器のモーターからの発熱による影響を排
除するために、冷凍機付きの遠心分離器を用いて温度4
℃の設定条件下で遠心分離が行われるようになってきて
おり、この場合にはシクロペンタジエン樹脂を主成分と
する血清又は血漿分離用組成物が良好な分離像を形成し
ないことがある。
【0007】上記のような分離像不良の問題の解決を企
図して、本発明者らは先にジクロペンタジエン樹脂とゲ
ル化剤とからなる2成分系組成物について検討を行った
(特願平2−335034号)。しかし、この組成物で
は、温度4℃の設定条件下での遠心分離の際、十分な流
動性が得られないことがわかった。
【0008】本発明の目的は、チキソトロピー性の血清
又は血漿分離用組成物として、シクロペンタジエン樹脂
と粘度調整剤と有機ゲル化剤とからなる混合物であっ
て、温度4℃の設定条件における遠心分離操作において
も良好な分離像を得ることができる血清又は血漿分離用
組成物、及び該組成物を予め収容してなる血液検査用容
器を提供することである。
【0009】ところで、血清又は血漿分離用組成物を滅
菌処理する方法の一つとして、該組成物に所要線量のγ
−線を照射する場合がある。
【0010】上記目的に適うシクロペンタジエン樹脂と
粘度調整剤と有機ゲル化剤とを含有する血清又は血漿分
離用組成物は、4℃の設定条件における遠心分離操作に
おいても良好な分離像を得ることができ、かつ、血中薬
物濃度の測定にも影響を及ぼさないものであり、従来の
血清又は血漿分離用組成物に比べ優れている。
【0011】しかしながら、この血清又は血漿分離用組
成物は、γ−線照射による滅菌処理により著しく発泡を
起こすことがある。これは、該組成物がγ−線照射によ
って分解され、ガス化することによるものである。該血
清又は血漿分離用組成物は、発泡を起こし部分的に分解
してしまっても、分解の程度にもよるが、本来の血清又
は血漿分離機能を損なうことはない。しかし、経時的に
粘度調整剤が該組成物から相分離を来たしやすくなるの
で、γ−線照射による分解は好ましくない。
【0012】本発明のもう一つの目的は、4℃の設定条
件における遠心分離操作においても良好な分離像を得る
ことができ、かつ、血中薬物濃度の測定にも影響を及ぼ
さず、しかも、γ−線照射による滅菌処理に対して分解
発泡する恐れのない安定な血清又は血漿分離用組成物、
及び該組成物を予め収容してなる血液検査用容器を提供
することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記第一
の目的を達成すべく検討を重ねた結果、特定のシクロペ
ンタジエン樹脂と特定の粘度調整剤と特定の有機ゲル化
剤を適当な割合で含有する組成物が、温度4℃の設定条
件における遠心分離操作においても良好な分離像を得る
ことができることを見出して本発明を完成するに至っ
た。
【0014】本発明者らは、また、上記第二の目的を達
成すべく検討を重ねた結果、γ−線安定剤として、フエ
ノール系抗酸化剤と光安定剤とホスファイト系抗酸化剤
を適当な割合で含有する混合物を、シクロペンタジエン
樹脂と粘度調整剤と有機ゲル化剤とからなる血清又は血
漿分離用組成物に添加することにより、良好な分離像を
示し、血中薬物濃度の測定に影響を及ぼさず、しかもγ
−線照射による分解発泡の恐れのない血清又は血漿分離
用組成物を得ることができることを見出して本発明を完
成するに至った。
【0015】すなわち、上記第一目的を達成することが
できる、本発明による血清又は血漿分離用組成物は、シ
クロペンタジエン樹脂と粘度調整剤と有機ゲル化剤とを
含有する血清又は血漿分離用組成物であって、該シクロ
ペンタジエン樹脂は温度25℃において液状の樹脂で、
該粘度調整剤はプロピオン酸、酪酸、安息香酸又はフタ
ル酸から得られた液状のエステルで、該有機ゲル化剤は
ソルビトールと芳香族アルデヒドとの縮合物であり、更
に、上記シクロペンタジエン樹脂100重量部に対し、
上記粘度調整剤の割合が0.8〜25重量部、上記有機
ゲル化剤の割合が0.03〜0.9重量部であることを
特徴とするものである。
【0016】上記第二目的を達成することができる、本
発明による血清又は血漿分離用組成物は、シクロペンタ
ジエン樹脂と粘度調整剤と有機ゲル化剤とγ−線安定剤
とを含有する血清又は血漿分離用組成物であって、該シ
クロペンタジエン樹脂は温度25℃において液状の樹脂
で、該粘度調整剤はプロピオン酸、酪酸、安息香酸又は
フタル酸から得られた液状のエステルで、該有機ゲル化
剤はソルビトールと芳香族アルデヒドとの縮合物で、該
γ−線安定剤はフェノール系抗酸化剤と光安定剤とホス
ファイト系抗酸化剤との混合物であり、更に、上記シク
ロペンタジエン樹脂100重量部に対し、上記粘度調整
剤の割合が0.8〜25重量部、上記有機ゲル化剤の割
合が0.03〜0.9重量部、該γ−線安定剤の割合が
1.32〜7.7重量部であることを特徴とするもので
ある。
【0017】本発明の好ましい実施形態においては、該
フェノール系抗酸化剤はn−オクタデシル−3−(4′
−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)
プロピオネートで、光安定剤はビス(2,2,6,6−
テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートで、ホスフ
ァイト系抗酸化剤は4,4′−ブチリデン−ビス(3−
メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホ
スファイトであり、上記シクロペンタジエン樹脂100
重量部に対し、上記フェノール系抗酸化剤の割合は0.
12〜0.7重量部、光安定剤の割合は0.6〜3.5
重量部、ホスファイト系抗酸化剤の割合は0.6〜3.
5重量部である。
【0018】本発明により、上記のような血清又は血漿
分離用組成物を収容してなる血液検査用容器が提供せら
れる。
【0019】以下、本発明による血清又は血漿分離用組
成物及び血液検査用容器について詳細に説明する。
【0020】a)シクロペンタジエン樹脂 シクロペンタジエン樹脂は、DCPD樹脂あるいはシク
ロペンタジエン系石油樹脂とも称されるもので、ナフサ
分解油のC5 留分中に15〜20%含まれるシクロペン
タジエン(CPD)を熱二量化することにより得られ
る。二量化生成物中には、他にシクロペンタジエンとイ
ソプレン、1,3−ペンタジエンとの共二量体も含まれ
る。この二量化と解二量化、蒸留操作の繰り返しにより
高純度に精製したものがシクロペンタジエン樹脂であ
る。シクロペンタジエン樹脂の数平均分子量は、ゲル浸
透クロマトグラフィ(GPC)のポリスチレン検量によ
る測定値で100以上300以下であることが好まし
い。その理由は、平均分子量の値が小さすぎると揮発分
量が多くなり、逆にこの値が大きすぎると粘度が高くな
り、20〜25℃の室温付近ではほぼ固体となってしま
うためである。
【0021】なお、このシクロペンタジエン樹脂を本発
明の血清又は血漿分離用組成物として用いる際には、該
シクロペンタジエン樹脂の持つ二重結合を水添により飽
和させておくことが望ましい。その理由は、水添された
シクロペンタジエン樹脂は、耐熱性や耐候性の優れたも
のとなるためである。この場合、水素添加物の臭素価は
JIS2453に規定される方法による測定値で5.0
(gBr2 /100g)以下であることが好ましく、臭
素価がこれを越えると悪臭がはなはだしくなる。
【0022】更に、該シクロペンタジエン樹脂は、通常
のオレフィンあるいはα−オレフィン系重合体と異な
り、比重1.00以上のものを比較的容易に得ることが
できる。このことは重合体分子が密にパッキングしてい
ることを意味し、100℃蒸発減量がほとんどないこと
とも符合する。好ましいシクロペンタジエン樹脂の例と
して表Aに示す3種のものが挙げられる。
【0023】
【表1】 上記のように比重の大きいシクロペンタジエン樹脂は容
易に調製できるので、血清又は血漿分離用組成物として
要求される血清又は血漿と血餅又は血球との中間の比重
すなわち1.02〜1.08程度の比重を有するシクロ
ペンタジエン樹脂を重合条件等の選定により容易に得る
ことができる。また、該シクロペンタジエン樹脂を血清
又は血漿分離剤として使用する際には、必要に応じて比
重調整剤を添加、混合して比重を所望の値に調整するこ
ともできる。この目的に使われる調整剤としては、シリ
カ、アルミナ、ガラス、タルク、カオリン、ベントナイ
ト、チタニア、ジルコニウム、アスベストのような無機
質微粉末、あるいはポリスチレン、ポリウレタンのよう
な有機ポリマー微粉末等が例示され、その添加量は、該
シクロペンタジエン樹脂100重量部に対し、50重量
部以下、特に1重量部以上10重量部以下にすることが
好ましい。添加量が少な過ぎると比重調整の役目を果た
さなくなり、逆に多過ぎると樹脂と比重調整剤との比重
差が開き過ぎるため混合物が分離し易くなり好ましくな
い。更に、上記微粉末を加えた場合は、混合物にチキソ
トロピー性が付与されることが多い。無機質微粉末又は
有機ポリマー微粉末の何れを用いる場合も、微粉末とし
ては混合分散を容易にするために平均粒径500μm以
下のものが好ましい。
【0024】一方、シクロペンタジエン樹脂は、温度が
下がれば下がるほど粘度が急激に上昇する性質を有す
る。すなわち、温度20〜25℃付近で使用する限りに
おいては何ら問題は生じないが、例えば、温度4℃に設
定された遠心分離機を用いた分離条件ではシクロペンタ
ジエン樹脂を主成分とする血清又は血漿分離用組成物は
良好な反転性を示さなくなることが多い。そのため、低
温度での反転性を改善するためには低温度での血清又は
血漿分離剤の粘度を低下させる必要がある。
【0025】なお、反転性とは、底部に該血清又は血漿
分離用組成物が収容されている採血管に採血を行った
後、該分離用組成物が遠心分離操作によって流動化し、
血清又は血漿層と血餅又は血球層との中間に位置するよ
うになる性質のことである。
【0026】b)粘度調整剤 本発明者らは種々検討を重ねたところ、温度4℃に設定
された遠心分離器に、温度約23℃の血清又は血漿分離
用組成物が収容された血液検査用容器をセットし、13
00G、5分間という遠心分離条件で遠心分離を行う
と、血液検査用容器に収容された血清又は血漿分離用組
成物の温度は低くとも15℃にしか達しないことを見出
した。このことにより、15℃において充分な隔壁形成
能を有する血清又は血漿分離用組成物を設計すれば、温
度4℃に設定された遠心分離条件で良好な反転性を示す
ことが判明した。更に検討を進めたところ、15℃にお
いて100万センチポアズ(cP)以下の粘度になるよ
うに分離剤を調整すればよいことが見出された。
【0027】本発明においては、上記のような粘度条件
を満たす分離剤を得るには、上記シクロペンタジエン樹
脂に粘度調整剤として、温度25℃における粘度が10
00cP以下、好ましくは100cP以下で、凝固点が
0℃以下、好ましくは−10℃以下である液状物質を、
15℃において分離剤の粘度が100万cP以下になる
ように添加すればよいことが見出された。上記粘度調整
剤としては、より具体的にはプロピオン酸又は酪酸又は
安息香酸又はフタル酸とアルコールとを反応させて得ら
れるエステルが使用される。該アルコールとしては、特
に限定されないが、例えば炭素数1〜12のアルキルア
ルコールが挙げられ、例えばメチルアルコール、エチル
アルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、
イソペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチ
ルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニル
アルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコー
ル、ドデシルアルコール等が例示される。これらのアル
キルアルコールは単独でも2以上の組合せでもよい。フ
タル酸エステルの場合は、炭素数8〜12の炭素数が高
いアルコールから得られたエステルが好ましい。特に炭
素数9〜11の直鎖率の高いアルコール混合物から得ら
れたエステルが、エステルとシクロペンタジエン樹脂と
の相溶性が良くなり相分離が起こりにくいので、好まし
い。このようなエステルとしては、三菱ガス化学(株)
社製、商品名:PL−200が例示される。PL−20
0は、アルコールとしてシエル化学(株)社製、商品
名:リネボール911(炭素分布はC9 =20重量%、
10=45重量%、C11=35重量%からなり、全アル
コールの直鎖率は80〜85%)を使用し、これを無水
フタル酸と反応させて得られるフタル酸エステルであ
る。
【0028】粘度調整剤の添加量は、該シクロペンタジ
エン樹脂100重量部に対して0.8重量部以上25重
量部以下、特に、3重量部以上20重量部以下にするこ
とが好ましい。この添加量が少な過ぎると粘度低下効果
が期待できず、逆に、多過ぎると相分離が起こり易くな
り好ましくない。
【0029】c) 有機ゲル化剤 有機ゲル化剤はチキソトロピー性を付与する助剤として
作用する。有機ゲル化剤としては、特開平2−1681
59号に示されるような、ソルビトールと芳香族アルデ
ヒドとの縮合物が用いられる。このような縮合物として
は、例えばジベンジリデンソルビトール、トリベンジリ
デンソルビトール、メチル置換ジベンジリデンソルビト
ール等が例示され、特にジベンジリデンソルビトールが
好ましい。
【0030】ソルビトールと芳香族アルデヒドとの縮合
物からなる有機ゲル化剤は、以下のような優れた点を有
する。
【0031】まず、上記縮合物からなる有機ゲル化剤は
吸湿性や水溶性を有しないため、長時間の間、血液検体
と接触させても分離剤が吸水白濁することがなく、検体
の濃縮が起こらない。加えて、該有機ゲル化剤は疎水基
としてのベンジル基と親水性基としての水酸基とを有す
るので、疎水性物質及び親水性物質のいずれとも相溶性
があり、相分離が起こり難い。またこの有機ゲル化剤
は、良好なチキソトロピー性を発現するためには、極性
基を有しないか、あるいは極性基含有量の少ない疎水性
の媒体に分散されることが好ましい。更に、この有機ゲ
ル化剤は、これと、特開平2−168159号に示され
るようなα−オレフィンとマレイン酸ジエステルの共重
合物との組み合わせよりも、シクロペンタジエン樹脂と
の組み合わせにおいて効果的にチキソトロピー性を発現
する。このことにより、シクロペンタジエン樹脂に添加
する有機ゲル化剤の量をより少なくすることができるた
め、血中薬物濃度の測定に影響を与えないというシクロ
ペンタジエン樹脂本来の持つ長所を損なわずに済む。な
お、有機ゲル化剤としては、特開平1−295163号
に示されるようなプロピレングリコール、エチレンジア
ミン等の分子の両末端に極性基を有する物質が知られて
いるが、これらは水溶性であるために血液と長時間接触
させると分離剤が吸湿し、検体を濃縮させるという問題
がある。
【0032】有機ゲル化剤は、加熱溶融により組成物の
他の成分中に分散させることもできるが、あるいは適当
な溶媒、例えばジメチルスルホキシド、N−メチルピロ
リドン、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロヘキサ
ノン、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホ
スホトリアミド、セルソルブ系溶媒等の極性溶媒100
重量部に対して、例えば、温度25℃において該有機ゲ
ル化剤5重量部以上30重量部以下を溶解させた有機ゲ
ル化剤溶液としたものを添加すれば、加熱することなく
他の成分中に分散させることができる。こうして有機ゲ
ル化剤を他の成分中に分散させることにより、他の成分
との相溶性が付与されるため、相分離が起こり難い。
【0033】また、有機ゲル化剤の添加量は、該シクロ
ペンタジエン樹脂100重量部に対して有機ゲル化剤
0.03〜0.9重量部、特に0.04〜0.4重量部
とすることが好ましい。この添加量が少な過ぎると、チ
キソトロピー性の付与が不十分であり、遠心分離操作に
おける遠心力以外のより軽微な力で流動性を帯びてしま
い取り扱いが困難となる。逆にこの添加量が多過ぎると
チキソトロピー性が過大となり、本発明組成物が通常の
遠心分離条件では血清又は血漿層と血餅又は血球層との
中間に移動し得なくなる。
【0034】d) γ−線安定剤 γ−線安定剤は、フェノール系抗酸化剤と光安定剤とホ
スファイト系抗酸化剤とからなる混合物である。
【0035】フェノール系抗酸化剤の代表例としては、
n−オクタデシル−3−(4′−ヒドロキシ−3′,
5′−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネートが挙げ
られ、光安定剤の代表例としては、ビス(2,2,6,
6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートが挙げ
られ、ホスファイト系抗酸化剤の代表例としては、4,
4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチル
フェニル−ジ−トリデシル)ホスファイトが挙げられ
る。
【0036】γ−線安定剤として使用される物質を表B
−1、B−2、及びB−3に例示する。
【0037】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】 シクロペンタジエン樹脂と粘度調整剤と有機ゲル化剤と
からなる血清又は血漿分離用組成物に、γ−線安定剤を
添加する際に、シクロペンタジエン樹脂と粘度調整剤と
有機ゲル化剤との配合物にγ−線安定剤をそのまま添加
しても構わないが、N−メチルピロリドンやジメルチル
スルホキシドのような極性を有する有機溶剤にこれを予
め溶解させて溶液状態で添加することにより、該γ−線
安定剤をそのまま添加するよりも、より多くのγ−線安
定剤を添加することができ、分散状態のよい血清又は血
漿分離用組成物を容易に得ることができる。
【0038】γ−線安定剤のフェノール系抗酸化剤の添
加量は、該シクロペンタジエン樹脂100重量部に対
し、0.12〜0.7重量部、特に0.17〜0.7重
量部とするのが好ましい。γ−線安定剤の光安定剤の添
加量は、0.6〜3.5重量部、特に0.8〜3.5重
量部とするのが好ましい。γ−線安定剤のホスファイト
系抗酸化剤の添加量は、0.6〜3.5重量部、特に
0.8〜3.5重量部とするのが好ましい。
【0039】γ−線安定剤を構成する上記三つの成分の
添加量が少なすぎると、γ−線照射により該組成物の分
解により該組成物が発泡することがある。逆に、各添加
量が多すぎると、上記三つの成分の分散を補助する目的
で使用する上記極性溶媒により、該組成物が吸湿し、検
体を濃縮させてしまうので、好ましくない。
【0040】γ−線安定剤の作用機序は以下のとおりで
ある。すなわち、γ−線安定剤はγ−線照射により血清
又は血漿分離用組成物に生じたラジカル等の分解中間物
を補捉し、該中間体が更に分解する段階へ進むことを阻
止する。
【0041】e) 容器 本発明による血清又は血漿分離用組成物を使用するに
は、真空タイプあるいは非真空タイプの採血管として用
いられる有底管状容器に予め該組成物を収容し、同容器
を血液検査用容器としておくのが一般的である。この容
器に所定の方法によって、採取した血液を注入し、適当
時間静置後遠心分離操作を行うと、比重の相違により血
液成分が血清又は血漿と血餅又は血球成分とに分離し、
該組成物の比重が1.02〜1.08の間に設定されて
いる場合には上に位置する該血清又は血漿層と下に位置
する該血餅又は血球層との間に本発明組成物が両者を隔
てる隔膜ないしは隔壁として介在し、分離剤としての役
割を果たす。用いられる血液検査用容器の材質はガラ
ス、プラスチック等であり得、特に制限されない。
【0042】このガラスやプラスチック製の血液検査用
容器に収容される本発明組成物の量は、その検査用容器
の容積や形状によって異なるが、一般に、該容器1本当
たり0.3〜3.0g程度である。
【0043】本発明において、血液検査用容器の材質は
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、変性天然樹脂、ガラス等
であり得る。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−
1、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩
化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、アクリロニトリル重合体、スチレンま
たはブタジエン等を共重合させたアクリルニトリル系共
重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イ
ソプレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合
体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メチル
メタクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合
体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリ
レート共重合体、ポリビニルアルコールアセタール化
物、ポリビニルアルコールブチラール化物等が用いら
れ、熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステ
ル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ−アクリレート樹脂等
が用いられ、また、変性天然樹脂としては、酢酸セルロ
ース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、
エチルセルロース、エチルキチン等が用いられる。
【0044】ガラスとしては、例えば、ソーダ石灰ガラ
ス、リンケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス等のケイ酸塩
ガラスや石英ガラス等が好ましく用いられる。
【0045】
【実施例】次に、この発明を具体的に説明する実施例及
びこれとの比較を示すための比較例をいくつか挙げ、さ
らに得られた組成物の性能を評価した。
【0046】実施例1−1〜1−14、2−1〜2−1
4、3−1〜3−14、4−1〜4−14、5−1〜5
−5、6−1〜6−2、7−1〜7−8及び比較例1−
1〜1−4、2−1〜2−4、3−1〜3−4、4−1
〜4−4、8−1〜8−4、9−1〜9−4 シクロペンタジエン樹脂の水素添加物として表Aに示す
ような性状のエクソン化学(株)社製のECR−327
(商品名)、日本ゼオン(株)社製のクイントン水添物
−1、クイントン水添物−2(商品名)を用い、粘度調
整剤としてフタル酸エステルA(フタル酸ジ(2−エチ
ルヘキシル))、フタル酸エステルB(三菱ガス化学
(株)社製PL−200(商品名))、プロピオン酸イ
ソペンチル、酪酸イソペンチル及び安息香酸ブチルを用
い、有機ゲル化剤として新日本理化(株)製のジベンジ
リデンソルビトールであるゲルオールD(ただし、ゲル
オールDはジメチルスルホキシドに溶解して20重量%
溶液として用いた)、及びプロピレングリコール(比較
例において)を用い、比重調整剤として日本アエロジル
(株)社製の微粉末シリカであるアエロジル(1次粒径
5〜20nm、平均1次粒径約7nm)を用いた。
【0047】そして、これらを表C−1、−2、−3、
−4、−5、−6、−7、−8及び−9に示す割合で配
合し、減圧下に80分間混練を行って血清又は血漿分離
用組成物を用意した。
【0048】得られた該組成物の性状として比重及び粘
度を測定し、また、該組成物の性能として反転性及び吸
水白濁の様子を観察し、横倒し後の評価を行った。
【0049】これらの結果は表D−1、−2、−3、−
4、−5、−6、−7、−8及び−9に示すとおりであ
る。
【0050】なお、比重の測定は約23℃の恒温室で硫
酸銅比重液を用いた浮沈法で行い、粘度の測定は東京計
器製E型粘度計に循環式恒温水槽を接続し、コーン型ロ
ータ(3.0°、径14.0mm)を用いて回転数0.
5rpmで、測定温度15℃と25℃で行った。
【0051】また、性能評価は次のように行った。
【0052】反転性と吸水白濁の様子はつぎの操作によ
って調べた。すなわち、上記組成物を市販の10ml硬
質ガラスプレーンチューブに1.2g収容して同チュー
ブを血液検査用容器とし、これにヒト新鮮血8mlを分
注し、23℃付近の室温に静置して、凝固完了を確認し
た後、この容器を15℃で30分間静置し、15℃に設
定した冷凍機付き遠心分離器にて1300Gで5分間の
遠心分離操作を行った。その後、内容物を観察し、反転
性については分離像の形成の程度を◎、○、×(◎=良
好な分離像が形成された、○=組成物の一部が管壁に残
るものの隔壁は形成された、×=隔壁が形成されない)
で判定した。また、吸水白濁の有無を肉眼で調べた。
【0053】横倒し後の評価については、同じく上記組
成物を市販の10ml硬質ガラスプレーンチューブに
1.2g収容して同チューブを血液検査用容器とし、こ
れを60℃で24時間横倒しした。この状態で組成物の
流れの様子を観察し、粘度調整剤が上記組成物から分離
してしまったものを“相分離”、また、上記組成物がチ
ューブ管口まで流れてしまったものを“過流動”と判定
した。
【0054】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】 上記各表から明らかなように、実施例1−1〜1−1
4、2−1〜2−14、3−1〜3−14、4−1〜4
−14、5−1〜5−5、6−1〜6−2、7−1〜7
−8の分離用組成物では良好な分離像が形成され、該組
成物の吸水白濁も無く横倒し後の評価も良好であった。
【0055】これに対し、表C−1と表D−1から明ら
かなように、比較例1−1、1−3の分離用組成物では
粘度調整剤の量が少ないために反転性が悪く、比較例1
−2、1−4の分離用組成物では粘度調整剤の量が多過
ぎるために横倒し後の評価で相分離を起こしてしまっ
た。
【0056】また、表C−2と表D−2から明らかなよ
うに、比較例2−1、2−3の分離用組成物では有機ゲ
ル化剤の量が少ないために横倒し後の評価で過流動を起
こしてしまい、比較例2−2、2−4の分離用組成物で
は有機ゲル化剤の量が多過ぎるために粘度の上昇が大き
過ぎるために反転性が悪くなってしまった。
【0057】また、表C−3と表D−3から明らかなよ
うに、比較例3−1、3−3の分離用組成物では粘度調
整剤の量が少ないために反転性が悪く、比較例3−2、
3−4の分離用組成物では粘度調整剤の量が多過ぎるた
めに横倒し後の評価で相分離を起こしてしまった。
【0058】また、表C−4と表D−4から明らかなよ
うに、比較例4−1、4−3の分離用組成物では有機ゲ
ル化剤の量が少ないために横倒し後の評価で過流動を起
こしてしまい、比較例4−2、4−4の分離用組成物で
は有機ゲル化剤の量が多過ぎるために粘度の上昇が大き
過ぎるために反転性が悪くなってしまった。
【0059】また、表C−8と表D−8から明らかなよ
うに、比較例8−1の分離用組成物では有機ゲル化剤に
プロピレングリコールを用いているため分離用組成物の
吸水白濁を起こし、比較例8−2の分離用組成物では粘
度調整剤を全く添加していないため15℃での反転性が
悪くなってしまい、比較例8−3〜8−4の分離用組成
物では有機ゲル化剤を全く添加しないため横倒し後の評
価で過流動を起こしてしまった。
【0060】表C−9と表D−9から明らかなように、
比較例9−1の分離用組成物では有機ゲル化剤にプロピ
レングリコールを用いているため分離用組成物の吸水白
濁を起こし、比較例9−2の分離用組成物では粘度調整
剤を全く添加していないため15℃での反転性が悪くな
ってしまい、比較例9−3〜9−4の分離用組成物では
有機ゲル化剤を全く添加しないため横倒し後の評価で過
流動を起こしてしまった。
【0061】実施例10−1〜10−6及び比較例11 シクロペンタジエン樹脂の水素添加物として表Aに示す
ような性状のエクソン化学(株)社製ECR−327の
100重量部に対し、粘度調整剤としてフタル酸エステ
ルB(三菱ガス化学(株)社製、商品名:PL−20
0)を5重量部の割合で用い、有機ゲル化剤として新日
本理化(株)製のジベンジリデンソルビトールであるゲ
ルオールDを0.2重量部の割合で用い(ただし、ゲル
オールDはジメチルスルホキシドに溶解して20重量%
溶液として用いた)、比重調整剤として日本アエロジル
(株)社製の微粉末シリカであるアエロジル(1次粒径
5〜20nm、平均1次粒径約7nm)を3重量部の割
合で用い、γ−線安定剤のフェノール系抗酸化剤として
は、n−オクタデシル−3−(4′−ヒドロキシ−
3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート
(旭電化工業(株)製、商品名:ADK STAB A
O−50)を用い、光安定剤としては、ビス(2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート
(旭電化工業(株)製、商品名:ADK STAB L
A−77)を用い、ホスファイト系抗酸化剤としては、
4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブ
チルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト(旭電化
工業(株)製、商品名:ADK STAB 260)を
用いた。
【0062】γ−線安定剤としては、上記三つの成分の
混合物をN−メチルピロリドンに溶解して58重量%溶
液としたものを用いた。
【0063】そして、これらのγ−線安定剤成分を前記
のECR−327の100重量部、フタル酸エステルB
の5重量部、ゲルオールDの0.2重量部、及びアエロ
ジルの3重量部に対し、表Eに示す割合で配合し、減圧
下に80分間混練を行って血清又は血漿分離用組成物を
用意した。
【0064】得られた該組成物の性能として、γ−線照
射後の発泡の様子、反転性、及び吸水による白濁の様子
の評価を行った。
【0065】これらの結果は表Eに示すとおりである。
【0066】性能評価は次のように行った。
【0067】まず、上記組成物1.2gを市販の10m
l硬質ガラスプレーンチューブに収容し、得られた血液
検査用容器を性能評価用サンプルとした。
【0068】γ−線照射後の発泡の様子については、上
記血液検査用容器にコバルト−60を線源とするγ−線を
各評価用サンプルに2.5Mrad(実測2.6〜2.8Mr
ad)及び5.0Mrad(実測5.2〜5.6Mrad)照射し
た。ついで、発泡の有無を肉眼で調べ、全サンプル数
(各試験毎に100本)に対する発泡しなかったサンプ
ル数の割合を発泡抑制率として算出した(医療用具のγ
−線による滅菌は通常2.5Mradの照射で十分ではある
が、照射のばら付き加減や再滅菌のことを考慮して5.
0Mradの照射でも試験を行った)。
【0069】反転性及び吸水白濁の様子については、上
記実施例の手法に従って操作を行った。表E中の◎、○
及び×は前記と同じ意味である。
【0070】
【表25】 上記表から明らかなように、反転性は実施例及び比較例
のいずれの分離用組成物においても全く良好であった。
【0071】実施例10−1、10−2及び10−3の
分離用組成物では、吸水による白濁は認められなかっ
た。ただし、2.5Mrad及び5.0Mradのいずれのγ線
照射に対しても発泡の現象が見られた。
【0072】実施例10−4の分離用組成物では、吸水
による白濁は見られず、2.5Mradのγ−線照射に対し
ては発泡の現象は認められなかった。ただし、5.0Mr
adのγ−線照射に対しては発泡の現象が見られた。
【0073】実施例10−5及び10−6の分離用組成
物では、吸水による白濁も見られず、2.5Mrad及び
5.0Mradのいずれのγ−線照射に対しても発泡の現象
は認められなかった。
【0074】したがって、実施例10−1、10−2及
び10−3の分離用組成物は、前述した第一の目的を達
成できるものであり、実施例10−4、10−5及び1
0−6の分離用組成物は、前述した第一及び第二の目的
をいずれも達成できるものである。
【0075】これに対し、比較例11の分離用組成物で
は、2.5Mrad及び5.0Mradのいずれのγ−線照射に
対しても発泡の現象は見られなかったものの、N−メチ
ルピロリドンの量の増大による吸水のため分離用組成物
の吸水白濁が起こった。
【0076】実施例12−1〜12−4 実施例2−5、2−6、2−7、及び2−8において、
血清又は血漿分離用組成物を10ml容量の硬質ガラス
プレーンチューブに収容する代わりに、該組成物を10
ml容量のポリエチレンテレフタレート樹脂製チューブ
に収容し、その他の点は上記実施例と全く同様に行っ
た。
【0077】その結果、上記樹脂チューブに収容した組
成物の性能(反転性、吸水による白濁、横倒し後の評
価)は、実施例2−5、2−6、2−7、及び2−8に
おいてガラスチューブに収容した組成物の性能と全く同
じであった。
【0078】実施例13−1〜13−6 実施例10−1〜10−6において、血清又は血漿分離
用組成物を10ml容量の硬質ガラスプレーンチューブ
に収容する代わりに、該組成物を10ml容量のポリエ
チレンテレフタレート樹脂製チューブに収容し、その他
の点は上記実施例と全く同様に行った。
【0079】その結果、上記樹脂チューブに収容した組
成物の性能(発泡抑制率、反転性、吸水による白濁)
は、実施例10−1〜10−6においてガラスチューブ
に収容した組成物の性能と全く同じであった。
【0080】
【発明の効果】本発明のシクロペンタジエン樹脂と粘度
調整剤と有機ゲル化剤とからなる血清又は血漿分離用組
成物によれば、冷凍機付きの遠心分離器を使用する際に
も支障なく良好な分離像を形成することができる。ま
た、該組成物は極性をほとんど持たないため、遠心分離
後において吸湿性を示さず、かつ血液中の臨床検査対象
項目の測定だけでなく、血中薬物濃度の測定に何ら悪影
響を及ぼさない。
【0081】また、本発明によるシクロペンタジエン樹
脂と粘度調整剤と有機ゲル化剤とγ−線安定剤とからな
る血清又は血漿分離用組成物は、上記効果に加え、γ−
線照射による滅菌処理に対して分解発泡する恐れがない
という顕著な効果を奏することができる。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シクロペンタジエン樹脂と粘度調整剤と
    有機ゲル化剤とを含有する血清又は血漿分離用組成物で
    あって、該シクロペンタジエン樹脂は温度25℃におい
    て液状の樹脂で、該粘度調整剤はプロピオン酸、酪酸、
    安息香酸又はフタル酸から得られた液状のエステルで、
    該有機ゲル化剤はソルビトールと芳香族アルデヒドとの
    縮合物であり、更に、上記シクロペンタジエン樹脂10
    0重量部に対し、上記粘度調整剤の割合が0.8〜25
    重量部、上記有機ゲル化剤の割合が0.03〜0.9重
    量部であることを特徴とする血清又は血漿分離用組成
    物。
  2. 【請求項2】 シクロペンタジエン樹脂と粘度調整剤と
    有機ゲル化剤とγ−線安定剤とを含有する血清又は血漿
    分離用組成物であって、該シクロペンタジエン樹脂は温
    度25℃において液状の樹脂で、該粘度調整剤はプロピ
    オン酸、酪酸、安息香酸又はフタル酸から得られた液状
    のエステルで、該有機ゲル化剤はソルビトールと芳香族
    アルデヒドとの縮合物で、該γ−線安定剤はフェノール
    系抗酸化剤と光安定剤とホスファイト系抗酸化剤との混
    合物であり、更に、上記シクロペンタジエン樹脂100
    重量部に対し、上記粘度調整剤の割合が0.8〜25重
    量部、上記有機ゲル化剤の割合が0.03〜0.9重量
    部、該γ−線安定剤の割合が1.32〜7.7重量部で
    あることを特徴とする血清又は血漿分離用組成物。
  3. 【請求項3】 該γ−線安定剤のフェノール系抗酸化剤
    がn−オクタデシル−3−(4′−ヒドロキシ−3′,
    5′−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネートで、光
    安定剤がビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピ
    ペリジル)セバケートで、ホスファイト系抗酸化剤が
    4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブ
    チルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイトであり、
    上記シクロペンタジエン樹脂100重量部に対し、上記
    フェノール系抗酸化剤の割合が0.12〜0.7重量
    部、光安定剤の割合が0.6〜3.5重量部、ホスファ
    イト系抗酸化剤の割合が0.6〜3.5重量部であるこ
    とを特徴とする請求項2記載の血清又は血漿分離用組成
    物。
  4. 【請求項4】 請求項1から3のうちの1つに記載の血
    清又は血漿分離用組成物を収容してなる血液検査用容
    器。
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