JP3593215B2 - 血清又は血漿分離用組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、血液成分の比重差を利用して遠心分離を行うのに用いられる血清又は血漿分離用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、チクソトロピー性を有する血清又は血漿分離用組成物、例えばシリコーンとシリカとからなる混合物を採血管内底部に予め収容した血液検査用容器が知られている(特開昭51−83654号)。この採血管内に血液を採取し、適当時間静置後遠心分離を行うと、その遠心力によってゲル状の血清又は血漿分離用組成物は流動性を有するようになる。また、ゲル状の血清又は血漿分離用組成物は血清又は血漿成分の比重と血餅又は血球成分のそれとの中間比重を有するため、採取した血液中を管底部から次第に上昇し、血清又は血漿層と血餅又は血球層との中間に位置するようになり、血清又は血漿成分と血餅又は血球成分とを分離することができる。このように血餅又は血球成分から分離された血清又は血漿成分は、採血管から容易に取り出されて各種の検査に付すことができ、また他の容器に移すことなく保存することもできる。
【0003】
このようなチクソトロピー性の血清又は血漿分離用組成物の主成分としては、上記のシリコーンの他に、α−オレフィン−マレイン酸ジエステル共重合体(特開昭56−166956号、特開平2−168159号)、ポリエステル系重合体(特開昭61−233368号)、アクリル系重合体(特開昭53−42283号)、塩素化ポリブテン(特開昭57−9718号)、シクロペンタジエン樹脂(特開平1−295163号)、シクロペンタジエン樹脂に水酸基、エステル基、エーテル基、エポキシ基等を導入したシクロペンタジエン樹脂の変性物(特開平2−95257号)等が知られており、こうした主成分に、シリカのように比重調整剤として働くと同時にチクソトロピー性を付与するゲル化剤としても働く無機充填剤や、プロピレングリコールやエチレンジアミンのような分子の両末端に極性基を有する物質(以上特開平1−295163号)、ソルビトールと芳香族アルデヒドとの縮合物(特開平2−168159号)のような有機ゲル化剤が必要に応じて配合されている。
【0004】
しかしながら、シリコーンは無機充填剤との相溶性に乏しく、また放射線(γ線、電子線など)滅菌により硬化反応が生じるため現在ではほとんど使われておらず、またα−オレフィン−マレイン酸ジエステル共重合体、ポリエステル系重合体、アクリル系重合体、シクロペンタジエン樹脂の変性物等のように極性基を有するものは、血液中の臨床検査対象項目の測定には比較的影響が少ないが、血中薬物濃度(例えば、抗てんかん薬であるフェノバルビタール、カルバマゼピン、フェニトイン等)の測定には影響を及ぼすことが多い。
【0005】
他方、塩素化ポリブテンを使用したものでは、使用後焼却廃棄する際に、塩素ガスを発生させるため、焼却炉を損傷したり、環境に悪影響を及ぼすといった問題点があった。
【0006】
このような欠点を有しない血清又は血漿分離用組成物として、特開平4−203965号公報には、シクロペンタジエンのオリゴマーと、有機ゲル化剤としてソルビトールと芳香族アルデヒドとの縮合物とからなるものが提案されている。この血清又は血漿分離用組成物は上記従来技術の問題を解決したものであるが、有機ゲル化剤の分散剤として、ジメチルスルホオキシド(以下、DMSOと略記する)又はN,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAと略記する)が使用されており、DMSOを含む組成物においては、放射線(γ線、電子線など)滅菌を行うと、DMSOの分解により、硫化ジメチルが生成し、悪臭が発生するという問題があり、DMAを含むものにおいては、DMAが血液との接触により溶血を起こすことがあり、血液中の特定の生化学検査項目の測定において正しい測定値を与えないことがあるという問題があった。
【0007】
また、この血清又は血漿分離用組成物は、保存中に該組成物から油状成分が分離する(以下、この現象を相分離という)ことがあるという問題があった。この油状成分は、上記組成物中のシクロペンタジエンのオリゴマーに含まれる低分子量成分であり、この成分と有機ゲル化剤および/または比重調整剤として添加されるシリカとの相溶性が低いことが相分離の原因である。この相分離が起こると、上記組成物を収容した採血管を横倒ししたり、転倒させたりしたときに、油状成分が管壁や栓体に付着してしまい、この採血管を使用して採血し血清又は血漿を血餅又は血球から遠心分離などによって分離した際に、油状成分が血清又は血漿層に浮遊し、その結果、血清又は血漿に含まれる成分の検査の際に、該成分が検査機器の血清又は血漿の採取針に詰まったり、検査値に影響を与えたりする。さらに、相分離が起こると、該組成物の均質性を損ない、隔壁安定性を低下させるという問題も招いた。
【0008】
また、シクロペンタジエンのオリゴマー、有機ゲル化剤及び有機ゲル化剤の分散剤からなる血清又は血漿分離用組成物を採血管の底部に収容し、該採血管を横に倒して保存(以下、横倒し保存という)しておくと該組成物が流れを生ずる(以下、これを「流れ」という)場合があった。この流れが発生すると、該組成物が採血管の側壁に展延する。この採血管に採血後、遠心分離をすると該組成物が管底から浮上して、血清層又は血漿層と血餅層又は血球層との中間に位置して形成される隔壁が十分な厚みを持たなくなり、血餅の膨張などにより該隔壁の破壊が発生する。流れ発生の原因は、該組成物のチクソトロピー性の不足にあり、これは上記有機ゲル化剤の量を増やすことにより解消する。しかしながら、有機ゲル化剤の量を増やすと、経時的にチクソトロピー性の増大が起こり、遠心分離時の反転性が悪くなり、最悪の場合には、反転しなくなることがあった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決するものであり、その目的の1つは、放射線滅菌により悪臭を発生せず、溶血等に起因する血清又は血漿の生化学検査値への影響がなく、成分の相分離を起こさず、かつ従来技術と同等の良好な血清又は血漿分離性、保存安定性等を有する血清又は血漿分離用組成物を提供することにある。
【0010】
また、本発明のもう1つの目的は、上記に加え、横倒し保存中の流れが少なく、且つ経時的な反転性の悪化が生じ難い血清又は血漿分離用組成物を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成すべくなされたものであり、下記の幾つかの組成物を提供する。
【0012】
シクロペンタジエンのオリゴマー、有機ゲル化剤、及び有機ゲル化剤の分散剤からなり、
有機ゲル化剤がソルビトールと芳香族アルデヒドの縮合物であり、
有機ゲル化剤の分散剤が下記式で定義されるHLB値として4.02〜9.0のHLB値を有するポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体である、
血清又は血漿分離用組成物(以下、第1組成物という)。
HLB値=0.098×(下記の測定方法で測定されるブロック共重合体の曇点)+4.02
上記曇点の測定方法は、上記ブロック共重合体0.5gを98%エチルアルコール水溶液5mlに溶解し、25℃に保ちつつ攪拌しながら2%フェノール水溶液で滴定し、溶液の混濁をもって終点とする。そして、滴定に要した2%フェノール水溶液のml数を曇点とする。
【0013】
シクロペンタジエンのオリゴマー、有機ゲル化剤、及び有機ゲル化剤の分散剤からなり、
有機ゲル化剤がソルビトールと芳香族アルデヒドの縮合物であり、
有機ゲル化剤の分散剤が第1組成物に記載の式で定義されるHLB値として4.02〜9.0のHLB値を有するポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体と、2個のメチル基と炭素数10以上のアルキル基を有する第3級アミン化合物とからなり、
第3級アミン化合物の量がシクロペンタジエンオリゴマー100重量部に対して0.03〜0.5重量部の範囲にある、
血清又は血漿分離用組成物(以下、第2組成物という)。
【0014】
シクロペンタジエンのオリゴマー、粘度低下剤、有機ゲル化剤、及び有機ゲル化剤の分散剤からなり、
シクロペンタジエンのオリゴマーが軟化点70〜140℃、及び180℃での溶融粘度30〜500センチポイズを有し、
粘度低下剤がフタル酸エステルであり、
有機ゲル化剤がソルビトールと芳香族アルデヒドの縮合物であり、
有機ゲル化剤の分散剤が第1組成物に記載の式で定義されるHLB値として4.02〜9.0のHLB値を有するポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、1−メチル−2−ピロリドン及びこれらの混合物よりなる群から選ばれたものである、
血清又は血漿分離用組成物(以下、第3組成物という)。
【0015】
シクロペンタジエンのオリゴマー、粘度低下剤、有機ゲル化剤、有機ゲル化剤の分散剤、及び比重調整剤からなり、
シクロペンタジエンのオリゴマーが軟化点70〜140℃、及び180℃での溶融粘度30〜500センチポイズを有し、
粘度低下剤がフタル酸エステルであり、
有機ゲル化剤がソルビトールと芳香族アルデヒドの縮合物であり、
有機ゲル化剤の分散剤が第1組成物に記載の式で定義されるHLB値として4.02〜9.0のHLB値を有するポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、1−メチル−2−ピロリドン及びこれらの混合物よりなる群から選ばれたものであり、
比重調整剤が塩化パラフィンであり、
シクロペンタジエンオリゴマー100重量部に対して粘度低下剤の割合が30〜130重量部、比重調整剤の割合が1〜100重量部の範囲にある、
血清又は血漿分離用組成物(以下、第4組成物という)。
【0016】
シクロペンタジエンのオリゴマー、相溶化剤、粘度低下剤、有機ゲル化剤、及び有機ゲル化剤の分散剤からなり、
シクロペンタジエンのオリゴマーが軟化点70〜140℃、及び180℃での溶融粘度30〜500センチポイズを有し、
相溶化剤が低分子量スチレン系熱可塑性樹脂であり、
粘度低下剤がフタル酸エステルであり、
有機ゲル化剤がソルビトールと芳香族アルデヒドの縮合物であり、
有機ゲル化剤の分散剤が第1組成物に記載の式で定義されるHLB値として4.02〜9.0のHLB値を有するポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、1−メチル−2−ピロリドン及びこれらの混合物よりなる群から選ばれたものであり、
相溶化剤の量がシクロペンタジエンオリゴマー100重量部に対して0.1〜15重量部の範囲にある、
血清又は血漿分離用組成物(以下、第5組成物という)。
【0017】
シクロペンタジエンのオリゴマー、粘度低下剤、有機ゲル化剤、及び有機ゲル化剤の分散剤からなり、
シクロペンタジエンのオリゴマーが軟化点70〜140℃、及び180℃での溶融粘度30〜500センチポイズを有し、
粘度低下剤がフタル酸エステルであり、
有機ゲル化剤がソルビトールと芳香族アルデヒドの縮合物であり、
有機ゲル化剤の分散剤がN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド及びこれらの混合物よりなる群から選ばれたものであり、
有機ゲル化剤の分散剤の量がシクロペンタジエンオリゴマー100重量部に対して0.01〜0.4重量部の範囲にある、
血清又は血漿分離用組成物(以下、第6組成物という)。
【0018】
主剤及び有機ゲル化剤からなり、
主剤が第1組成物に記載の式で定義されるHLB値として4.02〜9.0のHLB値を有するポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体であり、
有機ゲル化剤がソルビトールと芳香族アルデヒドの縮合物である、
血清又は血漿分離用組成物(以下、第7組成物という)。
【0019】
【発明の実施の形態】
上記第1〜第7組成物を個々に詳しく説明する。
【0020】
第1組成物
まず、シクロペンタジエンのオリゴマー、有機ゲル化剤、及び有機ゲル化剤の分散剤からなる第1組成物について、説明をする。
【0021】
・シクロペンタジエンのオリゴマー
第1組成物に用いられるシクロペンタジエンのオリゴマーには、シクロペンタジエンが多量体化されたオリゴマー、及びシクロペンタジエンが二量化されたジシクロペンタジエンが多量体化されたオリゴマーが含まれる。上記オリゴマーは、シクロペンタジエン又はジシクロペンタジエンを、例えば、ディールスアルダー反応等を利用して多量体化することにより製造され得る。これはジシクロペンタジエン樹脂(DCPD樹脂)と呼ばれることもある。なお、上記オリゴマーを第1組成物の成分として使用する際には、該オリゴマーを水素添加して残存する二重結合を飽和させておくのが好ましい。上記オリゴマーは、重合開始剤由来の極性残基を微量含有する場合があるが、分子中に殆ど極性基を有しないので、血液中の生体成分や薬物の吸着を起こさない。
【0022】
また、上記オリゴマーは、通常のオレフィン又はα−オレフィン系重合体と異なり、比重1.0以上のものが比較的容易に得られる。これは、重合体分子が密にパッキングしているからであり、100℃における蒸発減量が殆どない。従って、このシクロペンタジエンのオリゴマーを血清又は血漿分離用組成物に使用すると、揮発成分による血液凝固の遅延や、血餅の採血管壁付着等の問題がなく、また、悪臭も発生しない。
【0023】
上記オリゴマーの25℃における比重は、1.00〜1.10が好ましく、血清又は血漿と血餅又は血球との中間の値である1.02〜1.08がより好ましい。比重がこの範囲を外れると、該組成物の比重を好適な範囲に調整し難くなる。上記範囲の比重を有するオリゴマーは、重合条件等を選ぶことにより容易に得ることができる。
【0024】
・有機ゲル化剤
第1組成物に使用される有機ゲル化剤は、ソルビトールと芳香族アルデヒドの縮合物である。有機ゲル化剤の例としては、ジベンジリデンソルビトール、トリベンジリデンソルビトール、メチル置換ジベンジリデンソルビトール等がある。これらの中でもシクロペンタジエンのオリゴマーと配合された際に、該組成物へのチクソトロピー性の付与の点からジベンジリデンソルビトールが特に好ましい。
【0025】
上記ゲル化剤は、吸水性や水溶性を有しないため、長時間の間、血液検体と接触しても該組成物が吸水白濁することがなく、また、血液検体が上記ゲル化剤によって吸水されて濃縮されることもない。加えて、上記ゲル化剤は疎水基(ベンジル基)と親水基(水酸基)の両方を有するので、疎水性化合物に対しても親水性の化合物に対しても相溶性があり、これらのものと配合されても相分離を起こし難い。
【0026】
配合物に良好なチクソトロピー性を発現させるには、極性基を有しないか、又は極性基含有量が少ない疎水性の媒体に有機ゲル化剤を分散させることが好ましく、この点から疎水性の媒体として上記シクロペンタジエンのオリゴマーが好適に用いられる。
【0027】
有機ゲル化剤の量は、少なすぎると該組成物のチクソトロピー性が不足し保存中に該組成物が流れ易くなり、該組成物の使用時に隔壁が破壊され易くなり、多すぎると、該組成物のチクソトロピー性が過大になり、遠心分離しても隔壁が形成され難くなるので、シクロペンタジエンのオリゴマー100重量部に対して、0.02〜3重量部が好ましく、0.02〜1重量部がより好ましい。
【0028】
・有機ゲル化剤の分散剤
第1組成物に用いられる有機ゲル化剤の分散剤は、所定のHLB値を有するポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体である。
【0029】
上記ブロック共重合体のHLB値は、小さすぎると有機ゲル化剤が上記ブロック共重合体中に十分に分散できなくなり該組成物のチクソトロピー性が不足し、隔壁安定性が低下し、大きすぎると疎水性が不足し、該組成物の使用時に血液に溶けて血液を溶血させ赤血球中の成分が血清又は血漿に混入するため正確な生化学検体結果を与えなくなるので、4.02〜9.0、好ましくは4.02〜6.0の範囲にある。
【0030】
なお、HLB値は、親水性部−疎水性部の構造をとる一般的な非イオン性界面活性剤の親水性と疎水性の程度を表す指標として従来から用いられているものであり、Griffinの式により定義されているが、該組成物に使用されるブロック共重合体のように、親水性部−疎水性部−親水性部の構造をとるものにあっては、この式を適用することができないので、本発明でいうHLB値は、前記の経験式で定義されるものを指すものである。
【0032】
上記ブロック共重合体は、多数のメーカーから種々のグレードで上市されているが、上記のHLB値が4.02〜9.0のものであれば特に限定されず、いずれも使用可能である。
【0033】
有機ゲル化剤の分散剤の量は、少なすぎると有機ゲル化剤の分散性が低下し該組成物のチクソトロピー性が不十分となり、多すぎると該組成物の粘度が低下し、またシクロペンタジエンのオリゴマーとの相溶性が低下して該組成物のチクソトロピー性が低下するので、シクロペンタジエンのオリゴマー100重量部に対して、0.1〜15重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。
【0034】
・比重調整剤
第1組成物には、必要に応じて、比重調整剤を添加して血清又は血漿分離用組成物の比重を所望の比重に調整してもよい。このような比重調整剤としては、シリカ、ベントナイト、酸化チタンのような無機質粉末、又はポリスチレン、ポリウレタンのようなポリマー微粉末等が挙げられる。上記比重調整剤の平均粒径は、該組成物中への混合、分散の容易性の点から500μm以下が好ましい。
【0035】
比重調整剤の量は、多すぎるとシクロペンタジエンのオリゴマーと比重調整剤との比重差が大きいため、両者の分離が起こり易くなるので、上記オリゴマー100重量部に対して、好ましくは50重量部以下、より好ましくは10重量部以下の範囲である。
【0036】
・粘度低下剤
第1組成物には、必要に応じて、粘度を調整するためにさらに粘度低下剤を添加してもよい。粘度低下剤としては、血液成分又は血液凝固に影響しなければ特に限定されないが、例えば、フタル酸エステル又は安息香酸エステル等が好適である。
【0037】
粘度低下剤の量は、多すぎると該オリゴマーとシクロペンタジエンのオリゴマーとの比重差が大きいため、両者の分離が起こり易くなるので、該オリゴマー100重量部に対して、好ましくは50重量部以下、より好ましくは10重量部以下の範囲である。
【0038】
・組成物の好適比重
第1組成物の比重は、血清又は血漿と、血餅又は血球の中間の比重であることが好ましく、具体的には、25℃において1.03〜1.08の範囲が好ましく、より好ましくは1.04〜1.06の範囲である。
【0039】
・組成物の好適粘度
第1組成物の粘度は、通常の遠心分離操作によって、該組成物を血清層又は血漿層と、血餅層又は血球層の中間部に位置させる点や、採血管等の血液検査容器への収容作業のし易さの点から、25℃において好ましくは5〜100万センチポイズ、より好ましくは6〜50万センチポイズである。
【0040】
・使用方法
第1組成物を使用するには、真空タイプ又は非真空タイプの採血管として用いられる有底管状容器に、予め該組成物を収容しておくのが一般的である。そして、該組成物が収納された有底管状容器に所定の方法によって、採取した血液を注入、遠心分離操作を行うと、比重の相違により血液成分が血清又は血漿と血餅又は血中固形分(血球など)とに分離し、上部に位置する血清又は血漿部分と、下部に位置する血餅部分又は血中固形分との間に、該組成物が両者を隔てる隔壁として介在し、分離剤としての役割を果たす。
【0041】
第2組成物
ついで、シクロペンタジエンのオリゴマー、有機ゲル化剤、及び有機ゲル化剤の分散剤からなる第2組成物について、説明をする。
【0042】
・有機ゲル化剤の分散剤
第2組成物に用いられる有機ゲル化剤の分散剤は、第1組成物に記載の式で定義されるHLB値として4.02〜9.0のHLB値を有するポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、及び2個のメチル基と炭素数10以上のアルキル基を有する第3級アミンからなるものである。
【0043】
上記ブロック共重合体及びその量は第1組成物の説明の項で述べたものと同じであってよい。
【0044】
上記第3級アミンは、2個のメチル基と炭素数10以上のアルキル基を有する第3級アミンである。メチル基が1個であると、得られる組成物に流れが生じるので、その添加効果が十分でない。上記アルキル基の炭素数が9以下であると、第3級アミンとシクロペンタジエンのオリゴマーとの相溶性が低下するので、その添加効果が十分でない。このような第3級アミンの例としては、ドデシルジメチルアミン、テトラデシルジメチルアミン、ヘキサデシルジメチルアミンなどが挙げられる。
【0045】
上記第3級アミンの量は、少なすぎると該組成物の流れが発生し易くなり、多すぎると該組成物のチクソトロピー性が増大しすぎ反転性が悪くなるので、シクロペンタジエンのオリゴマー100重量部に対して、0.03〜0.5重量部であり、好ましくは0.05〜0.3重量部である。
【0046】
・第2組成物のその他の必須成分であるシクロペンタジエンのオリゴマー、及び有機ゲル化剤、第2組成物の任意付加成分である比重調整剤及び粘度低下剤、並びにこれらの量、さらには好適比重、好適粘度及び使用方法は、第1組成物の説明の項で述べたものと同じであってよい。
【0047】
第3組成物
シクロペンタジエンのオリゴマー、粘度低下剤、有機ゲル化剤、及び有機ゲル化剤からなる第3組成物について、説明をする。
【0048】
・シクロペンタジエンのオリゴマー
第3組成物に用いられるシクロペンタジエンのオリゴマーは、第1組成物のオリゴマーであって、かつ、軟化点が70〜140℃、及び180℃での溶融粘度が30〜500センチポイズであるものである。
【0049】
上記オリゴマーの軟化点は、低すぎると該組成物の相分離が発生し易くなり、高すぎると溶融し難くなり、該組成物の製造が難しくなるので、70〜140℃であり、好ましくは80〜110℃である。なお、この軟化点とは、JIS K6863−1994「ホットメルト接着剤の軟化点試験方法」によって測定される軟化点を差す。
【0050】
上記オリゴマーの180℃における溶融粘度は、低すぎると該組成物の粘度が不足し、高すぎると該組成物の低温での粘度が高くなり該組成物を使用し難くなるので、30〜500センチポイズであり、好ましくは100〜500センチポイズである。なお、この溶融粘度とは、JIS K 6862−1984「ホットメルト接着剤の溶融粘度試験方法」中のA法を用い、ブルックフィールド社製、B型粘度計によりA−1型ローターを用いて測定される溶融粘度を差す。
【0051】
第3組成物に用いられるシクロペンタジエンのオリゴマーとしては、下記のような物性を有するものが特に好ましい。
【0052】
比重
25℃における比重(硫酸銅溶液を用いた浮沈法試験による)が1.02〜1.10、好ましくは1.03〜1.09であるもの。比重が上記範囲を逸脱すると、組成物の比重を好適に調整し難くなる場合がある。
【0053】
分子量
GPC法による分子量分布が数平均分子量で200〜500、好ましくは300〜450であり、重量平均分子量で600〜900、好ましくは700〜850であるもの。分子量が上記範囲の下限未満であると低分子量画分が実質的に含有され、相分離が発生し易くなり、上限を越えると樹脂の粘度が上昇し、粘度低下剤の効果が得られ難いことがある。
【0054】
ガラス転移点
DSC法によるガラス転移点が50〜90℃、好ましくは60〜80℃であるもの。ガラス転移点が上記範囲の下限未満であると低分子量画分が実質的に含有され、相分離が発生し易くなり、上記範囲の上限を越えると樹脂の粘度が上昇し、粘度低下剤の効果が得られ難いことがある。
【0055】
減量開始温度
TG法による減量開始温度が100〜400℃、好ましくは120〜350℃であるもの。この減量開始温度が上記範囲の下限未満であると低分子量画分が実質的に含有され、相分離が発生し易くなり、上記範囲の上限を越えると樹脂の粘度が上昇し、粘度低下剤の効果が得られ難いことがある。
【0056】
・粘度低下剤
第3組成物に用いられる粘度低下剤は、シクロペンタジエンのオリゴマーとの相溶性に優れる点からフタル酸エステルである。上記フタル酸エステルとしては、フタル酸のジエステルが好ましい。上記ジエステルとしては、2つのエステル基を形成するアルコール残基のうち少なくとも一方が炭素数6以上のものが好ましい。両方の炭素数が5以下であるジエステルはシクロペンタジエンのオリゴマーとの相溶性が低下する傾向がある。また、2つのエステル基を形成するアルコール残基のそれぞれの炭素数は、大きすぎると該組成物の比重を好適な範囲に調整し難くなるので、11以下が好ましい。
【0057】
第3組成物に用いられる粘度低下剤としては、フタル酸ブチルペンチル、フタル酸ジペンチル、フタル酸ブチルヘキシル、フタル酸ブチルヘプチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ペンチルヘプチル、フタル酸ブチルノニル、フタル酸ペンチルオクチル、フタル酸ヘキシルヘプチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ヘプチルオクチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸オクチルノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸オクチルデシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸デシルウンデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ブチルベンジルが例示される。
【0058】
特に好ましい粘度低下剤は、2つのエステル基を形成するアルコール残基の各炭素数が9〜11のフタル酸ジエステルである。該組成物の比重調整の観点では、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、及びフタル酸ジオクチルが最も好適である。
【0059】
第3組成物に用いられる粘度低下剤の量は、少なすぎると該組成物の粘度が高くなり該組成物を使用し難くなり、多すぎると該組成物の粘度が低下し該組成物を使用し難くなったり、該組成物の比重調整が難しくなったりするので、シクロペンタジエンのオリゴマー100重量部に対して、好ましくは30〜130重量部であり、より好ましくは50〜100重量部である。
【0060】
・有機ゲル化剤の分散剤
第3組成物に用いられる有機ゲル化剤の分散剤は、第1組成物に記載の式で定義されるHLB値として4.02〜9.0のHLB値を有するポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、1−メチル−2−ピロリドン及びこれらの混合物よりなる群から選ばれたものである。
【0061】
上記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体及びその量は、第1組成物の説明の項で述べたものと同じであってよい。
【0062】
1−メチル−2−ピロリドンは、有機ゲル化剤を良好に溶解する点、血液と反応して溶血反応を起こさない点、及び放射線の照射により分解して悪臭を発生させない点等から好適に使用される。
【0063】
上記1−メチル−2−ピロリドンの量は、少なすぎると有機ゲル化剤の分散性が低下し該組成物のチクソトロピー性が不十分となり、多すぎると溶血反応を引き起こすので、シクロペンタジエンのオリゴマー100重量部に対して、0.05〜5重量部が好ましく、0.05〜3重量部がより好ましい。
【0064】
・第3組成物のその他の必須成分である有機ゲル化剤、及び、第3組成物の任意付加成分である比重調整剤及び粘度低下剤、並びにこれらの量、さらには好適比重、好適粘度及び使用方法は、第1組成物の項で説明したものと同じであってよい。
【0065】
第4組成物
シクロペンタジエンのオリゴマー、粘度低下剤、有機ゲル化剤、有機ゲル化剤の分散剤、及び比重調整剤からなる第4組成物について、説明をする。
【0066】
・比重調整剤
第4組成物に用いられる比重調整剤は、塩化パラフィンである。これは化学的に不活性であり、水に不溶、無臭、無害であるので、血清又は血漿分離用組成物の成分として好適である。
【0067】
塩化パラフィンには塩素化度40%、45%、50%、65%及び70%のものがあり、何れも使用可能である。塩化パラフィンの25℃での比重は1.15〜1.70であり、比重調整剤として好適である。
【0068】
比重調整剤の量は、多すぎるとシクロペンタジエンのオリゴマーと比重調整剤との比重差が大きいため、両者の分離が起こり易くなり、また少なすぎると比重調整作用が十分発揮されないので、上記オリゴマー100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは5〜60重量部である。
【0069】
・第4組成物のその他の必須成分であるシクロペンタジエンのオリゴマー、粘度低下剤、有機ゲル化剤、有機ゲル化剤の分散剤、並びにこれらの量、さらには好適比重、好適粘度及び使用方法は、第3組成物の説明の項で述べたものと同じであってよい。
【0070】
第5組成物
シクロペンタジエンのオリゴマー、相溶化剤、粘度低下剤、有機ゲル化剤、及び有機ゲル化剤の分散剤からなる第5組成物について、説明をする。
【0071】
・相溶化剤
第5組成物に用いられる相溶化剤は、低分子量スチレン系熱可塑性樹脂、たとえば低分子量ポリスチレンである。JIS K 6863−1994による軟化点が130〜180℃であり、浮沈法による25℃での比重が1.03〜1.07であり、GCP法による数平均分子量が34,000〜46,000であり、GCP法による重量平均分子量が69,000〜91,000である低分子量スチレン系熱可塑性樹脂が好ましい。相溶化剤の量は、少なすぎると相溶化効果が不足し相分離が発生し、多すぎると組成物の粘度が大きくなり反転しなくなるので、シクロペンタジエンのオリゴマー100重量部に対し0.1〜15重量部、好ましくは0.5〜10重量部の範囲にある。
【0072】
・第5組成物のその他の必須成分であるシクロペンタジエンのオリゴマー、粘度低下剤、有機ゲル化剤、有機ゲル化剤の分散剤、及び、第5組成物の任意付加成分である比重調整剤、並びにこれらの量、さらには好適比重、好適粘度及び使用方法は、第4組成物の説明の項で述べたものと同じであってよい。
【0073】
第6組成物
シクロペンタジエンのオリゴマー、粘度低下剤、有機ゲル化剤、及び有機ゲル化剤の分散剤からなる第6組成物について、説明をする。
【0074】
・有機ゲル化剤の分散剤
第6組成物に用いられる有機ゲル化剤の分散剤は、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAと略記する)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)及びこれらの混合物よりなる群から選ばれたものである。
【0075】
第6組成物の有機ゲル化剤の分散剤の量は、少なすぎると有機ゲル化剤の分散効果が十分発揮されず、有機ゲル化剤のチクソトロピー性が発揮されず隔壁が安定性に欠け、多すぎると採血時に該組成物と接触した血液が溶血し、検査値に悪影響を及ぼするので、シクロペンタジエンのオリゴマー100重量部に対し0.01〜0.4重量部であり、好ましくは0.05〜0.4重量部である。
【0076】
・第6組成物のその他の必須成分であるシクロペンタジエンのオリゴマー、粘度低下剤、有機ゲル化剤、及び、第6組成物の任意付加成分である比重調整剤、並びにこれらの量、さらには好適比重、好適粘度及び使用方法は、第4組成物の説明の項で述べたものと同じであってよい。
【0077】
第7組成物
最後に、主剤及び有機ゲル化剤からなる第7組成物について、説明をする。
【0078】
第7組成物において、主剤として用いられる、所定のHLB値を有するポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体は、第1組成物において有機ゲル化剤の分散剤として用いられるものと同じであってよい。
【0079】
また、有機ゲル化剤も、第1組成物の説明の項で述べたものと同じであってよい。
【0080】
上記有機ゲル化剤の量は、少なすぎると該組成物のチクソトロピー性が不足し保存中に該組成物が流れ易くなり、該組成物の使用時に隔壁が破壊され易くなり、多すぎると該組成物のチクソトロピー性が過大になり、遠心分離しても隔壁が形成され難くなるので、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体100重量部に対して、5〜100重量部が好ましく、20〜70重量部がより好ましい。
【0081】
第7組成物においても、必要に応じて、比重調整剤及び/又は粘度低下剤を添加してもよい。
【0082】
比重調整剤及び粘度低下剤の量は、多すぎると上記分散剤と比重調整剤との比重差が大きいため、両者の分離が起こり易くなるので、上記ブロック共重合体100重量部に対して、好ましくは40重量部以下、より好ましくは20重量部以下である。
【0083】
・第7組成物の好適比重、好適粘度及び使用方法は、第1組成物の説明の項で述べたものと同じであってよい。
【0084】
(作用)
本発明組成物は以上の通り構成されているので、つぎのような作用を生じる。
・第1〜5組成物の作用
シクロペンタジエンのオリゴマーと、有機ゲル化剤としてソルビトール及び芳香族アルデヒドの縮合物とからなる従来の血清又は血漿分離用組成物は、有機ゲル化剤をDMSO又はDMAのような有機溶媒に一旦溶解させた後、シクロペンタジエンのオリゴマーと無機質微粉末(気相法による微粉末シリカ等)の均質な混合物に配合することによって、調製されていた。
【0085】
しかしながら、上記のような有機溶媒は該組成物中に残留し、放射線を照射されると分解して悪臭の発生原因になったり、又は血液に作用して溶血を引き起こしたりして生化学検査値に異常をもたらすことがあった。
【0086】
本発明による第1〜5組成物では、有機ゲル化剤の分散剤として特定のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体を用いるので、DMSO又はDMAのような有機溶媒は必要なく、したがって放射線の照射によって悪臭物質を生じない。また、該分散剤自体は、上記有機溶媒と異なり、有機ゲル化剤や微粉末シリカと共に、水素結合に関与することができ、従来に比べさらに良好なチクソトロピー性を得ることができる。加えて、該分散剤は、疎水性高分子化合物であるから、血液、血清、及び血漿に一部が溶解して溶血などを生じさせないという利点もある。
【0087】
・第2組成物の作用
本発明組成物は保存安定性に優れているが、それでも長期間保存すると、有機ゲル化剤のシクロペンタジエンのオリゴマー中への分散が徐々に進行するため、チクソトロピー性の経時亢進が発生し易くなる。
【0088】
第2組成物では、分散剤としてポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体と第3級アミンが共同して作用することにより、有機ゲル化剤を短時間でシクロペンタジエンのオリゴマー中に均一に分散させるため、チクソトロピー性の経時亢進による反転性不良の発生が防止されると共に、流れも防止される。
【0089】
・第3〜6組成物の作用
シクロペンタジエンのオリゴマーと有機ゲル化剤などを含む従来の血清又は血漿分離用組成物において、相分離した油状成分は、主に、該組成物中のシクロペンタジエンのオリゴマーに含まれる低分子量成分であり、これに、粘度低下剤、有機ゲル化剤などが一部混入している。
【0090】
第3〜6組成物においては、シクロペンタジエンのオリゴマーとして、低分子量成分の含量が非常に少ないものを用いるので成分の相分離が起こり難い。このシクロペンタジエンのオリゴマーは、常温で固体であるが、これに粘度低下剤が添加されることにより、常温で流動性を有するようになる。この粘度低下剤を含むシクロペンタジエンのオリゴマーに、上記特定の有機ゲル化剤、上記特定の分散剤、及び必要に応じて比重調整剤が添加されることにより得られる第3〜6組成物は、チクソトロピー性及び比重が血清又は血漿分離用組成物として好適な範囲にあり、かつ実質上、相分離を起こさない。
【0091】
・第5組成物の作用
シクロペンタジエンのオリゴマーとして、特定の軟化点及び特定の溶融粘度を有するものを用いれば実質上の相分離は起きないが、ごく微量には粘度低下剤が分離する場合もありうる。特に、従来の採血管よりも長い有効期間を保証する場合には相分離が起きる可能性がある。
【0092】
第5組成物では、相溶化剤を添加することによってオリゴマーと粘度低下剤の相溶性を高め、相分離をほぼ完全に解消できる。
【0093】
・第6組成物の作用
従来の組成物では有機ゲル化剤の分散剤として有効な量のDMA及び/又はDMFを添加すると溶血が発生していた。
【0094】
第6組成物では、特定の軟化点及び特定の溶融粘度を有するシクロペンタジエンのオリゴマーと粘度低下剤を用い、かつ有機ゲル化剤と有機ゲル化剤の分散剤としてDMA及び/又はDMFを添加することによって、従来の組成物よりも少量のDMA及び/又はDMFで同等の分散効果を得ることができる。その結果、分散剤濃度の低下によって溶血を引き起こすことがない。
【0095】
・第7組成物の作用
上記従来技術においては、チクソトロピー性の発現は、有機ゲル化剤とシリカの水素結合による網目構造によってなされており、主剤であるシクロペンタジエンのオリゴマーはこれに関与していない。
【0096】
一方、第7組成物では、チクソトロピー性の発現は、有機ゲル化剤単一の水素結合による網目構造によってなされているので、従来の組成物のように網目構造が経時的に変化することがなく、相分離が一層起こり難い。
【0097】
上記従来技術においては、組成物に添加されたシリカはシクロペンタジエンのオリゴマー中に一旦分散された後、再凝集する傾向があり、この過程で、シリカと有機ゲル化剤の網目構造から低分子量成分が押し出され、相分離が助長される傾向がある。
【0098】
第7組成物では、チクソトロピー性の付与には主として有機ゲル化剤が関与しているので、比重調整剤として若干のシリカを使用した場合、シリカの再凝集が起こっても、相分離が助長されることがない。
【0099】
また、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体は、非イオン性界面活性剤であり、有機ゲル化剤を均質に分散し、良好なチクソトロピー性を発現させる。加えて、そのHLB値は4.02〜9.0であって一般的な非イオン性界面活性剤に比して疎水性が極めて高いので、これは血液と殆ど相溶せず、従って血液の生化学検査値に悪影響を与えない。
【0100】
さらに、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体は、従来技術のシクロペンタジエンのオリゴマーに比して、粘度の温度依存性が低い。従って第7組成物の温度依存性も従来技術に比して十分小さく、従来問題であった、低温遠心分離時の血清または血漿の分離不良も起こり難い。
【0101】
【実施例】
つぎに、本発明を具体的に説明するために本願発明の実施例及びこれとの比較を示すための比較例をいくつか挙げ、さらに得られた組成物の性能を評価した。
【0102】
各実施例において、▲1▼はシクロペンタジエンのオリゴマー、▲2▼は粘度低下剤、▲3▼は有機ゲル化剤、▲4▼は有機ゲル化剤の分散剤(第7組成物に対応する実施例19及び比較例19〜20においては主剤)、▲5▼は比重調整剤、及び▲6▼は相溶化剤を意味する。
【0103】
また、比重の測定は約25℃の恒温室で硫酸銅比重液を用いた浮沈法で行い、粘度の測定はブルックフィールドE型粘度計を用い回転数1.0rpmで測定温度25℃で行った。
【0104】
なお、実施例1と2及び比較例1〜5は第1組成物に対応し、実施例3及び比較例6〜8は第2組成物に対応し、実施例4〜8及び比較例9は第3組成物に対応し、実施例9〜13及び比較例10〜14は第4組成物に対応し、実施例14と15及び比較例15と16は第5組成物に対応し、実施例16〜18及び比較例17と18は第6組成物に対応し、実施例19及び比較例19と20は第7組成物に対応する。
【0105】
組成物の配合成分として使用した材料は以下の通りである。
【0106】
▲1▼シクロペンタジエンのオリゴマー
・ジシクロペンタジエンのオリゴマーA:シクロペンタジエン樹脂の水素添加物、エクソン化学社製、ECR−327S、比重1.04
・ジシクロペンタジエンのオリゴマーB:日本ゼオン社製、LL101、比重1.04
・シクロペンタジエンのオリゴマーC:トーネックス社製、KR242、軟化点106℃、180℃の溶融粘度320センチポイズ、比重1.07、数平均分子量約400、重量平均分子量約800、ガラス転移点約75℃、減量開始温度約200℃
・シクロペンタジエンのオリゴマーD:トーネックス社製、KR240、軟化点85℃、180℃の溶融粘度72センチポイズ、比重1.073、数平均分子量約350、重量平均分子量約750、ガラス転移点約65℃、減量開始温度約130℃。
【0107】
▲2▼粘度低下剤
・粘度低下剤A:アルコール残基が炭素数9〜11のアルキル基であるフタル酸ジエステル、三菱ガス化学社製、PL−200
・フタル酸ジ−2−エチルヘキシル:積水化学工業社製、DOP。
【0108】
▲3▼有機ゲル化剤
・ジベンジリデンソルビトール:新日本理化社製、ゲルオールD。
【0109】
▲4▼有機ゲル化剤の分散剤
・有機ゲル化剤の分散剤A:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体(旭電化工業社製、アデカプルロニックL−121、HLB値 5.1)
・有機ゲル化剤の分散剤B:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体(旭電化社製、アデカプルロニックL−44、HLB値9.5)
・1−メチル−2−ピロリドン:和光純薬社製
・DMSO:和光純薬社製
・DMA:和光純薬社製
・DMF:和光純薬社製
・ヘキサデシルジメチルアミン:日本油脂社製、ニッサン3級アミンPB。
【0110】
▲5▼比重調整剤
・微粉末シリカA:気相法による微粉末シリカ、トクヤマ社製、DM−30S
・微粉末シリカB:気相法による微粉末シリカ、日本アエロジル社製、アエロジルR−812
・酸化チタン:安原産業社製、タイペークA−100
・塩化パラフィンA:和光純薬社製、塩素化度40%
・塩化パラフィンB:和光純薬社製、塩素化度70%。
【0111】
▲6▼相溶化剤
・低分子量スチレン系熱可塑性樹脂:大日本インキ化学社製、ディックエラスチレン#200。
【0112】
なお、各性能試験においてnは繰返し回数を意味する。
【0113】
実施例1
▲1▼ジシクロペンタジエンのオリゴマーA 100重量部
▲2▼粘度低下剤A 5.40重量部
▲3▼ジベンジリデンソルビトール 0.13重量部
▲4▼有機ゲル化剤の分散剤A 0.52重量部
▲5▼微粉末シリカB 2.30重量部
これらを減圧下に1時間混練し、組成物を調製した。この組成物の比重は1.05、25℃における粘度は約14万センチポイズであった。
【0114】
実施例2
実施例1と同様にして得られた組成物を後述する試験に供した。
【0115】
比較例1
成分▲4▼として、有機ゲル化剤の分散剤Aの代わりにDMSOを0.52重量部用いた点を除いて、実施例1と同様にして、組成物を調製した。
【0116】
比較例2
比較例1と同様にして得られた組成物を後述する試験に供した。
【0117】
比較例3
成分▲4▼として、有機ゲル化剤の分散剤Aの代わりにDMAを0.52重量部用いた点を除いて、実施例1と同様にして、組成物を調製した。
【0118】
比較例4
比較例3と同様にして得られた組成物を後述する試験に供した。
【0119】
比較例5
成分▲4▼として、有機ゲル化剤の分散剤Aの代わりに有機ゲル化剤の分散剤B0.52重量部を用いた点を除いて、実施例1と同様にして、組成物を調製した。性能評価
実施例1及び比較例1、3及び5で得られた血清又は血漿分離用組成物を対象に、下記の項目について、性能を評価した。
【0120】
まず、市販の10ml容のポリエチレンテレフタレート製の採血管の底部に組成物を約1.2g収容し、採血管の内部を700mmHgの真空度に保ちながら口部をブチルゴムからなる栓体で密栓した。このようにして作製した血液検査容器を以下の試験に供した。
【0121】
1)放射線照射試験(n=50)
線量が25±7kグレイのコバルト60由来γ線を照射した。照射後、開栓し臭いを嗅ぎ、悪臭の有無を官能評価した。
【0122】
2)反転性試験及び隔壁安定性試験(n=10)
血液検査容器にウサギ新鮮血4mlを分注し、血液の凝固完了を確認した後、15℃で1300G、10分間の条件で遠心分離を行い、血清分離用組成物が試験管の底部から浮上して血清と血餅の中間に隔壁を形成したかどうか(反転性試験)を観察し、隔壁の厚みを測定した。
【0123】
また、遠心分離後の血液検査容器を水平に2週間静置し、上記隔壁の流れ(変形)の有無を観察(隔壁安定性試験)した。
【0124】
3)生化学検査値の測定(n=3)
血液検査容器にウサギ新鮮血4mlを分注し、血液の凝固完了を確認した後、15℃で1300G、10分間の条件で遠心分離を行い、分離された血清層を分取した。得られた血清中に油状成分は認められなかった。この血清を用いて、下記3項目について、生化学検査を行った。対照試験としては、上記分離用組成物を収容しない点を除いて上記と同様の方法で作製した血液検査容器を用いて分取した血清を試験した(分析依頼先:福山臨床検査センター)。
【0125】
項目a:乳酸脱水素酵素
項目b:クレアチンフォスフォキナーゼ
項目c:ヒドロキシ酪酸脱水素酵素
【0126】
実施例2及び比較例2と4で得られた血清又は血漿分離用組成物については、1)放射線照射試験において線量が20±10kグレイの加速電子線を照射した点を除いて、実施例1の組成物の試験と同様にして試験を行った。
【0127】
以上の試験結果を表1にまとめて示す。
【0128】
【表1】
【0129】
表1中、悪臭は硫化ジメチルの悪臭が認められた場合に「あり」とし、悪臭が認められなかった場合に「なし」とした。隔壁厚みは、通常5mm以上であれば良好である。隔壁の流れについては、この流れがあると隔壁安定性が不足し、遠心分離後の血液検査容器をそのまま保存すると、すでに分離した血清層に血餅層が再び侵入してくる。流れ「なし」とは隔壁が安定しており、流れが起きる恐れがないことを意味する。生化学検査では、対照値に対する測定値の比率(測定値/対照値)は、一般に0.90〜1.10の範囲であれば、臨床検査上は支障がない。
【0130】
実施例1と2の組成物を用いて得られた血清中の成分の測定値は、いずれの項目でも、対照試験の測定値と同等であり、該組成物が生化学検査に悪影響を及ぼさないことが分かった。比較例1〜5の組成物を用いて得られた血清中の成分の測定値は、いずれの項目でも、対照試験の測定値より高い値を示し、正しい測定値を与えなかった。
【0131】
実施例3
▲1▼ジシクロペンタジエンのオリゴマーB 100重量部
▲2▼粘度低下剤A 6.00重量部
▲3▼ジベンジリデンソルビトール 0.82重量部
▲4▼有機ゲル化剤の分散剤A 0.82重量部
▲4▼ヘキサデシルジメチルアミン 0.22重量部
▲5▼微粉末シリカA 1.98重量部
これらを減圧下に1時間混練し、組成物を調製した。この組成物の比重は1.05、25℃における粘度は約25万センチポイズであった。
【0132】
比較例6
成分▲4▼ヘキサデシルジメチルアミンの量を0.02重量部に変え、かつ、成分▲2▼粘度低下剤Aの量を6.18重量部に変えた点を除いて、実施例3と同様にして、組成物を調製した。この組成物の比重は1.05、25℃における粘度は約20万センチポイズであった。
【0133】
比較例7
成分▲4▼ヘキサデシルジメチルアミンの量を0.66重量部に変え、かつ、成分▲2▼粘度低下剤Aの量を5.55重量部に変えた点を除いて、実施例3と同様にして、組成物を調製した。この組成物の比重は1.05、25℃における粘度は約40万センチポイズであった。
【0134】
比較例8
▲1▼ジシクロペンタジエンのオリゴマーB 100重量部
▲2▼粘度低下剤A 6.20重量部
▲3▼ジベンジリデンソルビトール 0.82重量部
▲4▼DMSO 0.82重量部
▲5▼微粉末シリカA 1.98重量部
これらを減圧下に1時間混練し、組成物を調製した。この組成物の比重は1.05、25℃における粘度は約20万センチポイズであった。
【0135】
性能評価
実施例3及び比較例6〜8で得られた血清又は血漿分離用組成物を対象に、下記の項目について、性能を評価した。
【0136】
実施例1の組成物の試験と同様にして組成物から血液検査容器を作製し、以下の試験に供した。
【0137】
1)流れ試験(n=5)
血液検査容器を60℃で水平に保持し、7日間静置した後、試験前の組成物と管内面の接点から、試験後の組成物の流れの先端までの距離を測定した。
【0138】
2)反転性試験及び隔壁安定性試験(n=5)
実施例1の組成物の試験と同様にして組成物の反転性試験及び隔壁安定性試験を行った。
【0139】
以上の試験結果を表2にまとめて示す。
【0140】
【表2】
【0141】
表2中、隔壁厚みは、通常5mm以上であれば良好である。流れは10mm以下であれば良好である。隔壁安定性は、静置2週間後でも隔壁が変形しなかった場合に「良好」とし、静置2週間後、隔壁が破壊しもしくは隔壁が形成されず、血清と血餅の分離が不可能であった場合に「不良」とした。
【0142】
実施例4
▲1▼シクロペンタジエンのオリゴマーC 100重量部
▲2▼粘度低下剤A 66.6重量部
▲3▼ジベンジリデンソルビトール 0.1重量部
▲4▼有機ゲル化剤の分散剤A 0.1重量部
▲4▼1−メチル−2−ピロリドン 0.3重量部
▲5▼微粉末シリカA 5.9重量部
成分▲1▼を130℃で加熱溶融し、この溶融物に成分▲2▼〜▲4▼を添加し、30分間混練した。常温に冷却後、ここへ成分▲5▼を添加し、真空下で30分間混練して組成物を得た。得られた組成物の25℃での比重は1.05、25℃における粘度は約16万センチポイズであった。
【0143】
実施例5
成分▲4▼の使用量を0.4重量部に変え、1−メチル−2−ピロリドンを使用しなかったこと以外は、実施例4と同様に配合して組成物を得た。得られた組成物の25℃での比重は1.05、25℃における粘度は約16万センチポイズであった。
【0144】
実施例6
成分▲4▼を使用せず、1−メチル−2−ピロリドンの使用量を0.4重量部としたこと以外は、実施例4と同様に配合して組成物を得た。得られた組成物の25℃での比重は1.05、25℃における粘度は約16万センチポイズであった。
【0145】
実施例7
▲1▼シクロペンタジエンのオリゴマーD 100重量部
▲2▼粘度低下剤A 55.6重量部
▲3▼ジベンジリデンソルビトール 0.1重量部
▲4▼1−メチル−2−ピロリドン 0.4重量部
▲5▼微粉末シリカA 5.9重量部
上記成分を用いた点を除いて、実施例4と同様にして、組成物を調製した。
【0146】
。得られた組成物の25℃での比重は1.05、25℃における粘度は約16万センチポイズであった。
【0147】
実施例8
▲1▼シクロペンタジエンのオリゴマーC 100重量部
▲2▼フタル酸ジ−2−エチルヘキシル 93.20重量部
▲3▼ジベンジリデンソルビトール 0.12重量部
▲4▼1−メチル−2−ピロリドン 0.48重量部
▲5▼微粉末シリカA 6.20重量部
上記成分を用いた点を除いて、実施例4と同様にして、組成物を調製した。得られた組成物の25℃での比重は1.05、25℃における粘度は約16万センチポイズであった。
【0148】
比較例9
▲1▼ジシクロペンタジエンのオリゴマーB 100重量部
▲2▼粘度低下剤A 6.20重量部
▲3▼ジベンジリデンソルビトール 0.82重量部
▲4▼DMSO 0.82重量部
▲5▼微粉末シリカA 1.98重量部
成分▲1▼〜▲5▼を常温にて真空下で60分間混練して、組成物を得た。得られた組成物の25℃での比重は1.05、25℃における粘度は約20万センチポイズであった。
【0149】
性能評価
実施例4〜8及び比較例9で得られた血清又は血漿分離用組成物を対象に、下記の項目について、性能を評価した。
【0150】
実施例1の組成物の試験と同様にして組成物から血液検査容器を作製し、以下の試験に供した。
【0151】
1)相分離試験(n=5)
血液検査容器の口部を下向きにして傾斜角度45度の斜面に血液検査容器を保持し、60℃で24時間静置した後、組成物から油状成分が分離(相分離)するか否かを調べた。
【0152】
2)反転性試験及び隔壁安定性試験(n=5)
実施例1の組成物の試験と同様にして試験を行った。また、遠心分離後の血清相に、該組成物の相分離によると考えられる油滴が存在するか否かを観察した。
【0153】
以上の試験結果を表3にまとめて示す。
【0154】
【表3】
【0155】
表3中、相分離は、組成物から油状成分が分離しなかった場合に「なし」とし、分離した場合に「あり」とした。反転性は、組成物が血清層と血餅層の中間に位置して隔壁を形成し、隔壁が厚み約7mmで良好な分離像を与えた場合に「良好」とし、そうでない場合に「不良」とした。油滴が発生しなかった場合に油滴「あり」とし、油滴が発生し溶血性試験ができなかった場合、油滴「あり」とした。また、隔壁安定性の評価基準は表2についての基準と同じである。
【0156】
上記反転性試験で形成された隔壁の厚みはいずれも約7mmであった。反転性試験で実施例4〜8の組成物は良好な分離像を与えたが、比較例組成物は油滴を生じた。
【0157】
実施例9
▲1▼シクロペンタジエンのオリゴマーC 100重量部
▲2▼フタル酸ジ−2−エチルヘキシル 75重量部
▲3▼ジベンジリデンソルビトール 0.24重量部
▲4▼有機ゲル化剤の分散剤A 0.24重量部
▲4▼1−メチル−2−ピロリドン 0.72重量部
▲5▼塩化パラフィンA 25重量部
成分▲1▼を130℃で加熱溶融し、この溶融物に残りの全成分を添加した後、全体を30分間混練し、組成物を調製した。この組成物の25℃での比重は1.04、粘度は約12万センチポイズであった。
【0158】
実施例10
▲1▼シクロペンタジエンのオリゴマーC 100重量部
▲2▼フタル酸ジ−2−エチルヘキシル 70重量部
▲3▼ジベンジリデンソルビトール 0.27重量部
▲4▼有機ゲル化剤の分散剤A 0.27重量部
▲4▼1−メチル−2−ピロリドン 0.80重量部
▲5▼塩化パラフィンA 50重量部
上記成分を用いた点を除いて、実施例9と同様にして、組成物を調製した。この組成物の25℃での比重は1.05、粘度は約13万センチポイズであった。
【0159】
実施例11
▲1▼シクロペンタジエンのオリゴマーC 100重量部
▲2▼フタル酸ジ−2−エチルヘキシル 50重量部
▲3▼ジベンジリデンソルビトール 0.2重量部
▲4▼有機ゲル化剤の分散剤A 0.2重量部
▲4▼1−メチル−2−ピロリドン 0.6重量部
▲5▼塩化パラフィンA 50重量部
上記成分を用いた点を除いて、実施例9と同様にして、組成物を調製した。この組成物の25℃での比重は1.06、粘度は約14万センチポイズであった。
【0160】
実施例12
▲1▼シクロペンタジエンのオリゴマーC 100重量部
▲2▼粘度低下剤A 100重量部
▲3▼ジベンジリデンソルビトール 0.24重量部
▲4▼有機ゲル化剤の分散剤A 0.24重量部
▲4▼1−メチル−2−ピロリドン 0.72重量部
▲5▼塩化パラフィンB 10重量部
上記成分を用いた点を除いて、実施例9と同様にして、組成物を調製した。この組成物の25℃での比重は1.05、粘度は約12万センチポイズであった。
【0161】
実施例13
▲1▼シクロペンタジエンのオリゴマーC 100重量部
▲2▼フタル酸ジ−2−エチルヘキシル 100重量部
▲3▼ジベンジリデンソルビトール 0.51重量部
▲4▼1−メチル−2−ピロリドン 2.02重量部
▲5▼塩化パラフィンA 50重量部
上記成分を用いた点を除いて、実施例9と同様にして、組成物を調製した。この組成物の25℃での比重は1.04、粘度は約12万センチポイズであった。
【0162】
比較例10
▲1▼ジシクロペンタジエンのオリゴマーB 100重量部
▲2▼粘度低下剤A 6.20重量部
▲3▼ジベンジリデンソルビトール 0.82重量部
▲4▼DMSO 0.82重量部
▲5▼微粉末シリカA 1.98重量部
上記成分▲1▼〜▲5▼を常温の真空下で1時間混練し、組成物を調製した。この組成物の25℃での比重は1.05、粘度は約20万センチポイズであった。
【0163】
比較例11
▲1▼シクロペンタジエンのオリゴマーC 100重量部
▲2▼フタル酸ジ−2−エチルヘキシル 20重量部
▲3▼ジベンジリデンソルビトール 0.07重量部
▲4▼1−メチル−2−ピロリドン 0.29重量部
▲5▼塩化パラフィンA 25重量部
上記成分を用いた点を除いて、実施例9と同様にして、組成物を調製した。この組成物の25℃での比重は1.07、粘度は約40万センチポイズであった。
【0164】
比較例12
▲1▼シクロペンタジエンのオリゴマーC 100重量部
▲2▼フタル酸ジ−2−エチルヘキシル 140重量部
▲3▼ジベンジリデンソルビトール 0.13重量部
▲4▼1−メチル−2−ピロリドン 0.5重量部
▲5▼塩化パラフィンA 25重量部
上記成分を用いた点を除いて、実施例9と同様にして、組成物を調製した。この組成物の25℃での比重は1.02、粘度は約5万センチポイズであった。
【0165】
比較例13
▲1▼シクロペンタジエンのオリゴマーC 100重量部
▲2▼粘度低下剤A 80重量部
▲3▼ジベンジリデンソルビトール 0.24重量部
▲4▼有機ゲル化剤の分散剤A 0.24重量部
▲4▼1−メチル−2−ピロリドン 0.72重量部
▲5▼塩化パラフィンB 0.5重量部
上記成分を用いた点を除いて、実施例9と同様にして、組成物を調製した。この組成物の25℃での比重は1.02、粘度は約11万センチポイズであった。
【0166】
比較例14
▲1▼シクロペンタジエンのオリゴマーC 100重量部
▲2▼フタル酸ジ−2−エチルヘキシル 10重量部
▲3▼ジベンジリデンソルビトール 0.27重量部
▲4▼有機ゲル化剤の分散剤A 0.27重量部
▲4▼1−メチル−2−ピロリドン 0.80重量部
▲5▼塩化パラフィンA 120重量部
上記成分を用いた点を除いて、実施例9と同様にして、組成物を調製した。この組成物の25℃での比重は1.11、粘度は約19万センチポイズであった。
【0167】
性能評価
実施例9〜13及び比較例10〜14で得られた血清又は血漿分離用組成物を対象に、下記の項目について、性能を評価した。
【0168】
実施例1の組成物の試験と同様にして組成物から血液検査容器を作製し、以下の試験に供した。
【0169】
1)相分離試験(n=10)
実施例4の組成物の試験と同様にして試験を行った。
【0170】
2)反転性試験及び隔壁安定性試験(n=10)
実施例4の組成物の試験と同様にして試験を行った。
【0171】
3)放射線照射試験(n=50)
実施例2の組成物の試験と同様にして試験を行った。
【0172】
4)溶血性試験(n=3)
上記2)の試験に供した後の血液検査容器から血清層を分取し、この血清中のヘモグロビン(Hb)を測定した(分析依頼先:福山臨床検査センター)。
【0173】
以上の試験結果を表4にまとめて示す。
【0174】
【表4】
【0175】
表4中、溶血性試験で血清中Hb濃度が5mg/dl以上であれば溶血と見なした。相分離、反転性、油滴及び隔壁安定性の基準は、表3についての基準と同じであり、悪臭の基準は、表1についての基準と同じである。
【0176】
実施例14
▲1▼シクロペンタジエンのオリゴマーC 100重量部
▲2▼粘度低下剤A 73重量部
▲3▼ジベンジリデンソルビトール 0.1重量部
▲4▼1−メチル−2−ピロリドン 0.4重量部
▲5▼微粉末シリカA 6.6重量部
▲6▼低分子量スチレン系熱可塑性樹脂 9.5重量部
上記成分を用いた点を除いて、実施例9と同様にして、組成物を調製した。この組成物の25℃での比重は1.05、粘度は約25万センチポイズであった。
【0177】
実施例15
▲1▼シクロペンタジエンのオリゴマーC 100重量部
▲2▼粘度低下剤A 67重量部
▲3▼ジベンジリデンソルビトール 0.09重量部
▲4▼1−メチル−2−ピロリドン 0.35重量部
▲5▼微粉末シリカA 6.1重量部
▲6▼低分子量スチレン系熱可塑性樹脂 0.9重量部
上記成分を用いた点を除いて、実施例9と同様にして、組成物を調製した。この組成物の25℃での比重は1.05、粘度は約15万センチポイズであった。
【0178】
比較例15
▲1▼シクロペンタジエンのオリゴマーC 100重量部
▲2▼粘度低下剤A 67重量部
▲3▼ジベンジリデンソルビトール 0.09重量部
▲4▼1−メチル−2−ピロリドン 0.35重量部
▲5▼微粉末シリカA 6.1重量部
上記成分を用いた点を除いて、実施例9と同様にして、組成物を調製した。この組成物の25℃での比重は1.05、粘度は約12万センチポイズであった。
【0179】
比較例16
▲1▼シクロペンタジエンのオリゴマーC 100重量部
▲2▼粘度低下剤A 79重量部
▲3▼ジベンジリデンソルビトール 0.1重量部
▲4▼1−メチル−2−ピロリドン 0.4重量部
▲5▼微粉末シリカA 7.2重量部
▲6▼低分子量スチレン系熱可塑性樹脂 21重量部
上記成分を用いた点を除いて、実施例9と同様にして、組成物を調製した。この組成物の25℃での比重は1.05、粘度は約50万センチポイズであった。
【0180】
性能評価
実施例14と15及び比較例15と16で得られた血清又は血漿分離用組成物を対象に、下記の項目について、性能を評価した。
【0181】
実施例1の組成物の試験と同様にして組成物から血液検査容器を作製し、以下の試験に供した。
【0182】
1)相分離試験(n=10)
実施例4の組成物の試験と同様にして試験を行った。
【0183】
2)反転性試験及び隔壁安定性試験(n=10)
実施例4の組成物の試験と同様にして試験を行った。
【0184】
3)放射線照射試験(n=50)
実施例2の組成物の試験と同様にして試験を行った。
【0185】
4)溶血性試験(n=3)
上記2)の試験に供した後の血液検査容器から血清層を分取し、この血清中のヘモグロビン(Hb)を測定した(分析依頼先:福山臨床検査センター)。
【0186】
以上の試験結果を表5にまとめて示す。
【0187】
【表5】
【0188】
表5中、評価基準は表4についての基準と同じである。
【0189】
実施例16
▲1▼シクロペンタジエンのオリゴマーC 100重量部
▲2▼粘度低下剤A 67重量部
▲3▼ジベンジリデンソルビトール 0.09重量部
▲4▼DMA 0.35重量部
▲5▼微粉末シリカA 6.1重量部
上記成分を用いた点を除いて、実施例9と同様にして、組成物を調製した。この組成物の25℃での比重は1.05、粘度は約12万センチポイズであった。
【0190】
実施例17
▲1▼シクロペンタジエンのオリゴマーC 100重量部
▲2▼粘度低下剤A 66重量部
▲3▼ジベンジリデンソルビトール 0.09重量部
▲4▼DMA 0.09重量部
▲5▼微粉末シリカA 6.0重量部
上記成分を用いた点を除いて、実施例9と同様にして、組成物を調製した。この組成物の25℃での比重は1.05、粘度は約12万センチポイズであった。
【0191】
実施例18
▲1▼シクロペンタジエンのオリゴマーC 100重量部
▲2▼粘度低下剤A 67重量部
▲3▼ジベンジリデンソルビトール 0.09重量部
▲4▼DMF 0.35重量部
▲5▼微粉末シリカA 6.1重量部
上記成分を用いた点を除いて、実施例9と同様にして、組成物を調製した。この組成物の25℃での比重は1.05、粘度は約12万センチポイズであった。
【0192】
比較例17
▲1▼シクロペンタジエンのオリゴマーC 100重量部
▲2▼粘度低下剤A 66重量部
▲3▼ジベンジリデンソルビトール 0.09重量部
▲5▼微粉末シリカA 6.0重量部
上記成分を用いた点を除いて、実施例9と同様にして、組成物を調製した。この組成物の25℃での比重は1.05、粘度は約11万センチポイズであった。
【0193】
比較例18
▲1▼シクロペンタジエンのオリゴマーC 100重量部
▲2▼粘度低下剤A 68重量部
▲3▼ジベンジリデンソルビトール 0.09重量部
▲4▼DMA 0.53重量部
▲5▼微粉末シリカA 6.2重量部
上記成分を用いた点を除いて、実施例9と同様にして、組成物を調製した。この組成物の25℃での比重は1.05、粘度は約12万センチポイズであった。
【0194】
性能評価
実施例16〜18及び比較例17と18で得られた血清又は血漿分離用組成物を対象に、下記の項目について、性能を評価した。
【0195】
実施例1の組成物の試験と同様にして組成物から血液検査容器を作製し、以下の試験に供した。
【0196】
1)相分離試験(n=10)
実施例4の組成物の試験と同様にして試験を行った。
【0197】
2)反転性試験及び隔壁安定性試験(n=10)
実施例4の組成物の試験と同様にして試験を行った。
【0198】
3)放射線照射試験(n=50)
実施例2の組成物の試験と同様にして試験を行った。
【0199】
4)溶血性試験(n=3)
上記2)の試験に供した後の血液検査容器から血清層を分取し、この血清中のヘモグロビン(Hb)を測定した(分析依頼先:福山臨床検査センター)。
【0200】
以上の試験結果を表6にまとめて示す。
【0201】
【表6】
【0202】
表6中、評価基準は表4についての基準と同じである。
【0203】
実施例19
▲4▼有機ゲル化剤の分散剤A 100重量部
▲3▼ジベンジリデンソルビトール 25重量部
▲5▼酸化チタン 1.5重量部
成分▲4▼に成分▲3▼▲5▼を添加して減圧下で1時間混練し、均質に分散させ、組成物を調製した。
【0204】
この組成物の25℃での比重は1.05、粘度は約25万センチポイズであった。
【0205】
比較例19
成分▲4▼として、有機ゲル化剤の分散剤Aの代わりに有機ゲル化剤の分散剤Bを用いた点を除いて、実施例19と同様にして、組成物を調製した。
【0206】
比較例20
▲1▼ジシクロペンタジエンのオリゴマーA 100重量部
▲2▼粘度低下剤A 7.7重量部
▲3▼ジベンジリデンソルビトール 0.1重量部
▲4▼DMSO 0.4重量部
▲5▼微粉末シリカB 2.3重量部
上記成分を減圧下で1時間混練し、組成物を調製した。
【0207】
性能評価
実施例19及び比較例19と20で得られた血清又は血漿分離用組成物を対象に、下記の項目について、性能を評価した。
【0208】
実施例1の組成物の試験と同様にして組成物から血液検査容器を作製し、以下の試験に供した。
【0209】
1)相分離試験(n=10)
実施例4の組成物の試験と同様にして試験を行った。
【0210】
2)反転性試験及び隔壁安定性試験(n=10)
実施例4の組成物の試験と同様にして試験を行った。
【0211】
3)生化学検査値の測定(n=2)
実施例1の組成物の試験と同様にして試験を行った。
【0212】
以上の試験結果を表7にまとめて示す。
【0213】
【表7】
【0214】
表7中、相分離、反転性、油滴及び隔壁安定性の基準は、表3についての基準と同じであり、生化学検査値の基準は、表1についての基準と同じである。
【0215】
実施例19の組成物を用いて得られた血清中の成分の生化学測定値は、いずれの項目でも、対照試験の測定値と同等であり、該組成物が生化学検査に悪影響を及ぼさないことが分かった。比較例19と20の組成物を用いて得られた血清中の成分の測定値は、いずれの項目でも、対照試験の測定値より高い値を示し、正しい測定値を与えなかった。
【0216】
【発明の効果】
本発明組成物は以上の通り構成されているので、つぎのような効果が発揮される。
【0217】
・第1〜5組成物の効果
本発明による第1〜5組成物では、有機ゲル化剤の分散剤として特定のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体を用いるので、DMSO又はDMAのような有機溶媒は必要なく、したがって放射線の照射によって悪臭物質を生じない。加えて、該分散剤は、疎水性高分子化合物であるから、血液、血清、及び血漿に一部が溶解して溶血などを生じさせないという利点もある。
【0218】
・第2組成物の効果
第2組成物では、分散剤としてポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体と第3級アミンが共同して作用することにより、有機ゲル化剤を短時間でシクロペンタジエンのオリゴマー中に均一に分散させるため、チクソトロピー性の経時亢進による反転性不良の発生が防止されると共に、流れも防止される。
【0219】
・第3〜6組成物の効果
第3〜6組成物においては、シクロペンタジエンのオリゴマーとして、特定の軟化点及び特定の溶融粘度を有するものを用いる。このシクロペンタジエンのオリゴマーは、常温で固体であるが、これに粘度低下剤が添加されることにより、常温で流動性を有するようになる。この粘度低下剤を含むシクロペンタジエンのオリゴマーに、上記特定の有機ゲル化剤、上記特定の分散剤、及び必要に応じて比重調整剤が添加されることにより得られる第3〜6組成物は、チクソトロピー性及び比重が血清又は血漿分離用組成物として好適な範囲にあり、かつ実質上、相分離を起こさない。
【0220】
・第5組成物の効果
第5組成物では、相溶化剤を添加することによってオリゴマーと粘度低下剤の相溶性を高め、相分離をほぼ完全に解消できる。
【0221】
・第6組成物の効果
第6組成物では、特定の軟化点及び特定の溶融粘度を有するシクロペンタジエンのオリゴマーと粘度低下剤を用い、かつ有機ゲル化剤と有機ゲル化剤の分散剤としてDMA及び/又はDMFを添加することによって、従来の組成物よりも少量のDMA及び/又はDMFで同等の分散効果を得ることができる。その結果、分散剤濃度の低下によって溶血を引き起こすことがない。
【0222】
・第7組成物の効果
第7組成物では、チクソトロピー性の発現は、有機ゲル化剤単一の水素結合による網目構造によってなされているので、従来の組成物のように網目構造が経時的に変化することがなく、相分離が一層起こり難い。
【0223】
第7組成物では、チクソトロピー性の付与には主として有機ゲル化剤が関与しているので、比重調整剤として若干のシリカを使用した場合、シリカの再凝集が起こっても、相分離が助長されることがない。
【0224】
また、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体は、非イオン性界面活性剤であり、有機ゲル化剤を均質に分散し、良好なチクソトロピー性を発現させる。加えて、そのHLB値は4.02〜9.0であって一般的な非イオン性界面活性剤に比して疎水性が極めて高いので、これは血液と殆ど相溶せず、従って血液の生化学検査値に悪影響を与えない。
【0225】
さらに、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体は、従来技術のシクロペンタジエンのオリゴマーに比して、粘度の温度依存性が低い。従って第7組成物の温度依存性も従来技術に比して十分小さく、従来問題であった、低温遠心分離時の血清または血漿の分離不良も起こり難い。
Claims (8)
- シクロペンタジエンのオリゴマー、有機ゲル化剤、及び有機ゲル化剤の分散剤からなり、
有機ゲル化剤がソルビトールと芳香族アルデヒドの縮合物であり、
有機ゲル化剤の分散剤が下記式で定義されるHLB値として4.02〜9.0のHLB値を有するポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体である、
血清又は血漿分離用組成物。
HLB値=0.098×(下記の測定方法で測定されるブロック共重合体の曇点)+4.02
上記曇点の測定方法は、上記ブロック共重合体0.5gを98%エチルアルコール水溶液5mlに溶解し、25℃に保ちつつ攪拌しながら2%フェノール水溶液で滴定し、溶液の混濁をもって終点とする。そして、滴定に要した2%フェノール水溶液のml数を曇点とする。 - シクロペンタジエンのオリゴマー、有機ゲル化剤、及び有機ゲル化剤の分散剤からなり、
有機ゲル化剤がソルビトールと芳香族アルデヒドの縮合物であり、
有機ゲル化剤の分散剤が請求項1記載の式で定義されるHLB値として4.02〜9.0のHLB値を有するポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体と、2個のメチル基と炭素数10以上のアルキル基を有する第3級アミン化合物とからなり、
第3級アミン化合物の量がシクロペンタジエンオリゴマー100重量部に対して0.03〜0.5重量部の範囲にある、
血清又は血漿分離用組成物。 - シクロペンタジエンのオリゴマー、粘度低下剤、有機ゲル化剤、及び有機ゲル化剤の分散剤からなり、
シクロペンタジエンのオリゴマーが軟化点70〜140℃、及び180℃での溶融粘度30〜500センチポイズを有し、
粘度低下剤がフタル酸エステルであり、
有機ゲル化剤がソルビトールと芳香族アルデヒドの縮合物であり、
有機ゲル化剤の分散剤が請求項1記載の式で定義されるHLB値として4.02〜9.0のHLB値を有するポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、1−メチル−2−ピロリドン及びこれらの混合物よりなる群から選ばれたものである、
血清又は血漿分離用組成物。 - 粘度低下剤の量がシクロペンタジエンオリゴマー100重量部に対して30〜130重量部の範囲にある、請求項3記載の組成物。
- シクロペンタジエンのオリゴマー、粘度低下剤、有機ゲル化剤、有機ゲル化剤の分散剤、及び比重調整剤からなり、
シクロペンタジエンのオリゴマーが軟化点70〜140℃、及び180℃での溶融粘度30〜500センチポイズを有し、
粘度低下剤がフタル酸エステルであり、
有機ゲル化剤がソルビトールと芳香族アルデヒドの縮合物であり、
有機ゲル化剤の分散剤が請求項1記載の式で定義されるHLB値として4.02〜9.0のHLB値を有するポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、1−メチル−2−ピロリドン及びこれらの混合物よりなる群から選ばれたものであり、
比重調整剤が塩化パラフィンであり、
シクロペンタジエンオリゴマー100重量部に対して粘度低下剤の割合が30〜130重量部、比重調整剤の割合が1〜100重量部の範囲にある、
血清又は血漿分離用組成物。 - シクロペンタジエンのオリゴマー、相溶化剤、粘度低下剤、有機ゲル化剤、及び有機ゲル化剤の分散剤からなり、
シクロペンタジエンのオリゴマーが軟化点70〜140℃、及び180℃での溶融粘度30〜500センチポイズを有し、
相溶化剤が低分子量スチレン系熱可塑性樹脂であり、
粘度低下剤がフタル酸エステルであり、
有機ゲル化剤がソルビトールと芳香族アルデヒドの縮合物であり、
有機ゲル化剤の分散剤が請求項1記載の式で定義されるHLB値として4.02〜9.0のHLB値を有するポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、1−メチル−2−ピロリドン及びこれらの混合物よりなる群から選ばれたものであり、
相溶化剤の量がシクロペンタジエンオリゴマー100重量部に対して0.1〜15重量部の範囲にある、
血清又は血漿分離用組成物。 - シクロペンタジエンのオリゴマー、粘度低下剤、有機ゲル化剤、及び有機ゲル化剤の分散剤からなり、
シクロペンタジエンのオリゴマーが軟化点70〜140℃、及び180℃での溶融粘度30〜500センチポイズを有し、
粘度低下剤がフタル酸エステルであり、
有機ゲル化剤がソルビトールと芳香族アルデヒドの縮合物であり、
有機ゲル化剤の分散剤がN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド及びこれらの混合物よりなる群から選ばれたものであり、
有機ゲル化剤の分散剤の量がシクロペンタジエンオリゴマー100重量部に対して0.01〜0.4重量部の範囲にある、
血清又は血漿分離用組成物。 - 主剤及び有機ゲル化剤からなり、
主剤が請求項1記載の式で定義されるHLB値として4.02〜9.0のHLB値を有するポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体であり、
有機ゲル化剤がソルビトールと芳香族アルデヒドの縮合物である、
血清又は血漿分離用組成物。
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