JP3090725B2 - 粉末油脂の製造方法 - Google Patents
粉末油脂の製造方法Info
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Description
する。
脂のO/W型エマルジョンを噴霧乾燥して粉末油脂を得
る方法は公知である。一方、食用乳化剤として広く用い
られているジアセチル酒石酸エステルモノグリセリド
(以下、DATEMと略称する場合がある。)が、デン
プンの老化を防止し、グルテンを強化する作用を有する
ことを利用し、製菓、製パン用、製麺用等として用いら
れる粉末油脂中にDATEMを添加することは知られて
いる(特開昭63−309141号公報)。しかしなが
ら、DATEMを用いたO/W型エマルジョンは熱安定
性に問題があるため、エマルジョン中に、アルカリ金属
やアルカリ土類金属の水酸化物、アミノ酸等の如き水溶
液がアルカリ性を示すアルカリ性物質を添加して熱安定
性を向上する方法が提案されており(特開昭59−16
0523号公報)、上記特開昭63−309141号公
報に記載された粉末油脂の場合も、食用油脂のO/W型
エマルジョン中にアルカリ金属やアルカリ土類金属の水
酸化物、アンモニア等の塩基や、弱酸と強塩基との塩等
を添加してエマルジョンの安定化を図った後に粉末化を
行っている。
や弱酸と強塩基との塩等の如きアルカリ性物質が、食用
油脂とDATEMとを含むO/W型エマルジョンの安定
性を向上できる作用を有することは公知であるが、この
ようなアルカリ性物質を添加する方法では未だその効果
が充分ではなく、加熱や時間を経るに従いエマルジョン
中の油滴が粗大化すると共に、アルカリ性物質を添加す
ることによりDATEMのエステル結合が加水分解さ
れ、デンプンの老化防止、グルテンの強化を計ることが
できなくなる虞がある。またDATEMを含む食用油脂
のO/W型エマルジョンは粉末化が容易ではなく、O/
W型エマルジョンに前記アルカリ性物質を添加してエマ
ルジョンの安定性を向上することにより、アルカリ性物
質を含まない場合に比べて粉末化が良好とはなるもの
の、未だ粉末化する際の加熱や加圧される条件下で乳化
状態が破壊され易く、良好な粉末油脂が得られない、特
にアルカリ性物質を添加した状態で加熱されると色やけ
による変色や、分解による異臭を生じる、等の問題を有
していた。
DATEMを含む食用油脂のO/W型エマルジョンを粉
末化して粉末油脂を得る方法において、pHが7以下の
カゼイン酸ナトリウム水溶液に、食用油脂、DATEM
とを添加して攪拌乳化した後、粉末化することにより、
エマルジョンにアルカリ性物質を添加することなく優れ
た粉末油脂を得ることのできる粉末油脂の製造方法を提
供することを目的とする。
が7以下のカゼイン酸ナトリウム水溶液に、食用油脂と
ジアセチル酒石酸エステルモノグリセリドとを添加し、
攪拌乳化して食用油脂のO/W型エマルジョンを得、次
いでこのO/W型エマルジョンを粉末化することを特徴
とする。
体、固体の動植物性油脂、硬化した動植物性油脂、エス
テル交換油脂、分別した液体油又は固体脂等が挙げられ
る。具体的にはナタネ油、コーン油、大豆油、綿実油、
サフラワー油、パーム油、ヤシ油、米糠油等の植物性油
脂、牛脂、ラード、乳脂、魚油等の動物性油脂及び、こ
れらの油脂の硬化油又はエステル交換油、或いはこれら
の油脂を分別して得られる液体油、固体脂等が挙げら
れ、これらより選ばれた1種又は2種以上を用いること
ができる。
リセライド1分子と、ジアセチル酒石酸1分子とがエス
テル結合した構造の化合物であり、下記式中、Rは炭素
数8〜20のアルキル基である。
ョンに、アルカリ性物質を添加すると、前記したDAT
EMのエステル結合部分を加水分解する等の問題を生じ
るが、本発明方法ではアルカリ性物質を用いないため、
このような問題を生じる虞がない。
イン酸ナトリウム水溶液と、食用油脂、ジアセチル酒石
酸エステルモノグリセリドとを攪拌乳化して食用油脂の
O/W型エマルジョンを得る。上記カゼイン酸ナトリウ
ム水溶液はpHが7以下である必要があるが、特にpH
が6〜7であるものが好ましい。カゼイン酸ナトリウム
は、例えば温水中で酸カゼインを膨潤させ、これに水酸
化ナトリウム水溶液を添加して攪拌する等の方法により
得られる。酸カゼインは水に不溶性であるが、カゼイン
酸ナトリウムとなると可溶性になる。本発明方法におい
て用いるカゼイン酸ナトリウム水溶液は、上記の如く酸
カゼインに水酸化ナトリウム水溶液を添加して得たもの
を用いても、市販のカゼイン酸ナトリウムを水に溶かし
て用いても良いが、カゼイン酸ナトリウム水溶液が過剰
な水酸化ナトリウムの存在によってアルカリ性を示す場
合、酸を添加してpHを7以下に調整する必要がある。
この酸としては、酢酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、酒
石酸、アジピン酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、
リン酸等を用いることができる。
カゼイン酸ナトリウム水溶液に食用油脂を徐々に添加し
ながらホモジナイザー等によって攪拌することにより得
られるが、必要により加熱または加温しながら攪拌す
る。本発明において用いるDATEMは乳化作用を有す
るが、食用油脂を乳化するに際して更に他の乳化剤を併
用することができる。DATEMや他の乳化剤は、水中
に添加しても、食用油脂に添加しても良い。
ド、脂肪酸ポリグリセリンエステル、脂肪酸蔗糖エステ
ル、脂肪酸ソルビトールエステル、脂肪酸プロピレング
リコールエステル、レシチン等が挙げられる。これらの
乳化剤を構成する脂肪酸としては炭素数12〜20の脂
肪酸、即ちラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、
ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エルシン酸お
よびこれらの混合脂肪酸が好ましい。上記乳化剤はこれ
らの脂肪酸と、グリセリン、ポリグリセリン(グリセリ
ンの重合度2〜10程度のものが好ましい)、蔗糖、ソ
ルビトール、プロピレングリコール等の多価アルコール
との間でエステル化反応を行って得られるものである
が、エステル化度の低い、即ちHLBの高いものが好ま
しい。またこれらのエステル型乳化剤の他に親水性に変
性したレシチンも用いることができる。
脂、DATEM及びカゼイン酸ナトリウムの割合は、粉
末油脂の状態において食用油脂30〜90重量%、DA
TEM0.1〜20重量%、カゼイン酸ナトリウム1〜5
0重量%、特に各々40〜80重量%、1〜10重量
%、3〜30重量%となるように添加することが好まし
い。またDATEM以外の食用乳化剤を添加する場合、
添加量は粉末油脂の状態において10重量%程度以下と
なるように添加することが好ましい。
pH7以下の水溶液と、DATEMとを併用することに
よって、DATEMの乳化安定効果をより一層高め、エ
マルジョン中の油滴の粗大化を防止し、微細な油滴状態
を長時間保持し、粉末油脂を製造する際の過酷な条件下
においても油滴の均一化を保つ作用があり、更にカゼイ
ン酸ナトリウムは粉末化する際、油脂をコーティング
し、カプセル化する皮膜形成剤としての作用を有し、流
動性、水分散性に優れた粉末油脂を作り易くする作用が
ある。
じ、カゼイン酸ナトリウム以外に、更に皮膜形成剤とし
ての作用を有する物質を添加することができる。この皮
膜形成剤として作用する物質としては、乳蛋白、大豆蛋
白、小麦蛋白、全脂粉乳、脱脂粉乳、小麦粉、デンプ
ン、糖類、ゼラチン、ホエー、ガム質、デキストリン等
が挙げられる。乳蛋白としては前記カゼイン酸ナトリウ
ム以外の酸カゼイン、レンネットカゼイン等が挙げられ
る。またデンプンとしては馬鈴薯デンプン、コーンスタ
ーチ、小麦粉デンプン等が、糖類としては蔗糖、ブドウ
糖、麦芽糖、乳糖、果糖、デンプン糖が、ガム質にはキ
サンタンガム、グァーガム、アラビアガム、トラガント
ガム等が挙げられる。皮膜形成剤としての作用を有する
物質をカゼイン酸ナトリウム以外に更に添加する場合、
これらのエマルジョン中における添加量は20重量%程
度以下が好ましい。
方法としては、噴霧乾燥、凍結乾燥等の公知の粉末化法
を採用することができる。
明する。
し、同温度に保持して10分間攪拌して酸カゼインを膨
潤させた後、10%水酸化ナトリウム水溶液2.4重量部
を添加して10分間攪拌し、カゼイン酸ナトリウム水溶
液を得た。この水溶液のpHは6.8であった。次に45.
6重量部のナタネ硬化油(MP40.5℃)を65℃に加
熱溶融し、それにステアリン酸モノグリセリドとジアセ
チル酒石酸とのエステル(DATEM)2重量部を加え
溶解したものを、上記カゼイン酸ナトリウム水溶液に徐
々に添加して乳化した。得られたエマルジョンを噴霧乾
燥して粉末化した。得られた粉末油脂は微細な油滴を安
定にカゼイン酸ナトリウムが包み込み、その上流動性の
良い粉末状を呈していた。
を用いた他は、実施例1と同様にして粉末油脂を得た。
得られた粉末油脂は色焼け着色し、且つ異臭を呈してい
るとともに、粉末油脂中の油滴が凝集して粗大化してい
た。
は、pHが7以下のカゼイン酸ナトリウム水溶液を用
い、これにDATEMを溶解した食用油脂を添加して乳
化して得たO/W型エマルジョンを粉末化する方法を採
用することにより、エマルジョンの状態が加熱や経時的
に安定で、油滴が粗大化せず、粉末化の時の過酷な条件
下においても油的の合一がなく、流動性及び水分散性に
優れた粉末油脂を製造できると共に、着色や臭気の少な
い粉末油脂を得ることがでる。また得られた粉末油脂は
菓子類、パン、麺等の製造の際の使用に適し、これらの
デンプンの老化を防止し、グルテンの強化を計ることが
できる等の効果を発揮する。
Claims (1)
- 【請求項1】 pHが7以下のカゼイン酸ナトリウム水
溶液に、食用油脂とジアセチル酒石酸エステルモノグリ
セリドとを添加し、攪拌乳化して食用油脂のO/W型エ
マルジョンを得、次いでこのO/W型エマルジョンを粉
末化することを特徴とする粉末油脂の製造方法。
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