JP3179260B2 - シュー用乳化油脂組成物、シューケース及びシューケースの製造方法 - Google Patents

シュー用乳化油脂組成物、シューケース及びシューケースの製造方法

Info

Publication number
JP3179260B2
JP3179260B2 JP26452093A JP26452093A JP3179260B2 JP 3179260 B2 JP3179260 B2 JP 3179260B2 JP 26452093 A JP26452093 A JP 26452093A JP 26452093 A JP26452093 A JP 26452093A JP 3179260 B2 JP3179260 B2 JP 3179260B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
shoe
weight
oil
shoe case
emulsified
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP26452093A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07115890A (ja
Inventor
和洋 小野塚
今朝利 鈴木
健秀 小松
秀和 高橋
久勝 船窪
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP26452093A priority Critical patent/JP3179260B2/ja
Publication of JPH07115890A publication Critical patent/JPH07115890A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3179260B2 publication Critical patent/JP3179260B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、少量の卵量でも、従来
法により得られるシューケース(「シュー皮」ともい
う。以下、同じ)よりもボリュームが大きく、且つ食感
や風味の良好なシューケースが得られるシュー用乳化油
脂組成物、並びに該シュー用乳化油脂組成物を含有する
シューケース及び該シューケースの製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】シュー
ケースは、水と油脂類を沸騰させた後、小麦粉を加え糊
状になるまで練り上げ、次に卵を加えて適度な硬さに調
整して得られる生地を、天板に絞ってオーブンに入れて
焼成することにより製造される。この際、適量の水と熱
とによって小麦粉中の澱粉の糊化を十分に行って、急速
にグルテンの粘性を引き出し、また、卵を添加するに際
しては、熱による凝固を防ぎながら分散・混合する必要
と同時に、小麦のグルテンを引き出しながら種を軟化さ
せてペースト状にする手加減が必須となる。このような
工程を十分に実施して初めて釜入れ後に正常な膨張と凝
固が得られ、空洞をもったシューケースが得られるので
あるが、適度なボリュームを得るには多量の卵が必要で
ある。しかし、多量の卵を添加すると、卵臭くなり、風
味が損なわれる。このように、従来法においては卵量に
よってシューケースのボリュームが決定されるため、風
味とボリュームや食感との両立ができないのが現状であ
る。
【0003】従って、本発明の目的は、少量の卵量で
も、従来法により得られるシューケースよりもボリュー
ムが大きく、且つ食感や風味の良好なシューケースが得
られるシュー用乳化油脂組成物、並びに該シュー用乳化
油脂組成物を含有するシューケース及び該シューケース
の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究した結果、有機酸モノグリセリド
がシューケースのボリュームと食感(口溶け・ソフト
さ)を向上させること、そしてこの有機酸モノグリセリ
ドのシューケースに対する効果は有機酸モノグリセリド
と水との液晶(ニート相)の効果であることを見出し
た。即ち、シューケース製造工程中の小麦粉の糊化にお
いて、小麦粉中の澱粉が有機酸モノグリセリドの液晶
(ニート相)の作用により糊化抑制をうけて生地粘度の
低下が起こり、これにより吸卵量の低減・焼成中のベー
パーアクションに有利に働き、シューケースのボリュー
ム増大・シューケースの薄さ・内相に巣がない・口溶け
がよい等や澱粉と有機酸モノグリセリドの液晶とのコン
プレックス能による低温保存での食感の変化が少ない等
の優れた性質をもつシューケースが得られる。しかし、
有機酸モノグリセリドの液晶は40℃以下で極めて不安
定であり、短時間で結晶化し、シューケースのボリュー
ム増大等の効果が低下する。
【0005】そこで、更に、本発明者らは、有機酸モノ
グリセリドの液晶の安定化について鋭意研究した結果、
特定量のジグリセリドを含有する油脂組成物が有機酸モ
ノグリセリドの液晶の安定化に極めて有効であることを
見出し、本発明を完成した。
【0006】即ち、本発明は、有機酸モノグリセリド
0.05〜20重量%及びジグリセリド0.20〜35
重量%を含有し、有機酸モノグリセリドとジグリセリド
の重量比が有機酸モノグリセリド:ジグリセリド=1:
3〜1:25であることを特徴とするシュー用乳化油脂
組成物を提供するものである。また、本発明は、上記シ
ュー用乳化油脂組成物を小麦粉に対して、50〜250
含有することを特徴とするシューケースを提供するも
のであり、更に、上記シュー用乳化油脂組成物と水の混
合物に、小麦粉を分散し、続いて、全卵を加え、その
後、焼成することを特徴とするシューケースの製造方法
を提供するものである。
【0007】以下、まず本発明のシュー用乳化油脂組成
物について詳述する。本発明のシュー用乳化油脂組成物
に含まれる有機酸モノグリセリド(グリセリン有機酸脂
肪酸モノエステル)は、グリセリン脂肪酸モノエステル
の3位の−OH基を有機酸でエステル化した化合物であ
る。有機酸モノグリセリドを構成する脂肪酸としては、
炭素数14〜22の飽和脂肪酸が好ましい。この炭素数
14〜22の飽和脂肪酸としては、例えば、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘ
ン酸が挙げられる。これらの飽和脂肪酸は一種で構成さ
れていても良いし、二種以上が混合されて構成されてい
ても良い。
【0008】また、上記有機酸モノグリセリドを構成す
る有機酸の例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸等の
低級脂肪酸で構成されるモノカルボン酸;シュウ酸、コ
ハク酸等の脂肪族飽和ジカルボン酸;マレイン酸、フマ
ル酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸;乳酸、リンゴ酸、
酒石酸、ジアセチル酒石酸、クエン酸等のオキシカルボ
ン酸;及びグリシン、アスパラギン酸等のアミノ酸を挙
げることができる。この有機酸としては、炭素数10以
下(更に好ましくは炭素数4〜8)のものが好ましい。
具体的には、クエン酸、コハク酸、酒石酸、及びジアセ
チル酒石酸が好ましく、特に、クエン酸、コハク酸が好
ましい。尚、市販の有機酸モノグリセリドは未反応の有
機酸やグリセリン脂肪酸モノエステル等を一部に含む
が、本発明に使用しても差し支えない。
【0009】本発明のシュー用乳化油脂組成物中の上記
有機酸モノグリセリドの含有量は、0.05〜20重量
%、好ましくは0.1〜5重量%である。上記含有量が
0.05重量%未満であると、澱粉の糊化抑制効果が不
十分になり、十分なボリュームがでず、また20重量%
超であると、澱粉の糊化抑制効果が大きすぎて吸卵量が
減少し、十分安定なシューケース生地が得られない。
【0010】また、本発明のシュー用乳化油脂組成物に
含まれるジグリセリドは、グリセリンと脂肪酸とのジエ
ステルである。グリセリンに結合する脂肪酸の結合部位
はα、β−位のいずれでも良く、α−及びα’−位に脂
肪酸が、又はα−及びβ−位に脂肪酸が結合していても
良い。また、ジグリセリドを構成する脂肪酸には、不飽
和脂肪酸と飽和脂肪酸が混在していても良いが、好まし
くはジグリセリド全脂肪酸残基に対して不飽和脂肪酸残
基が60重量%以上(更に好ましくは70重量%以上)
である。但し、飽和ジグリセリドは全ジグリセリドに対
して好ましくは20重量%未満、より好ましくは10重
量%以下である。また、ジグリセリド全脂肪酸残基に対
して炭素数16〜22の鎖長を有する不飽和脂肪酸残基
が60重量%以上であることが好ましい。このようなジ
グリセリドを構成する不飽和脂肪酸としては、炭素数1
4〜22の不飽和脂肪酸が挙げられる。具体的には、オ
レイン酸、リノール酸、リノレイン酸、アラキドン酸、
及びエルカ酸等の不飽和脂肪酸が挙げられる。
【0011】本発明のシュー用乳化油脂組成物中の上記
ジグリセリドの含有量は、0.20〜35重量%、好ま
しくは1〜10重量%である。上記含有量が0.20重
量%未満であると、有機酸モノグリセリドの液晶(ニー
ト相)の安定効果が小さく、有機酸モノグリセリドの機
能が十分に発揮されず、また35重量%超であると、シ
ューケース生地の粘度が低下し、生地安定性が不十分に
なり、オーブン中での膨化が抑制され、小さなシューケ
ースになってしまうので、好ましくない。
【0012】本発明のシュー用乳化油脂組成物は、上記
有機酸モノグリセリド及び上記ジグリセリドを、上記の
含有量の範囲内で、両者の重量比が有機酸モノグリセリ
ド:ジグリセリド=1:3〜1:25の割合、特に1:
3〜1:6の割合で含有していることが好ましい。
【0013】本発明のシュー用乳化油脂組成物の残部
は、主として水及び油脂である。該油脂としては、特に
制限されるものではなく、例えば、大豆油、菜種油、ヒ
マワリ油、オリーブ油、サフラワー油、カボック油、パ
ーム油、コーン油、綿実油、ヤシ油、パーム核油等の植
物油脂類;牛脂、ラード、魚油、鯨油、乳脂等の動物油
脂類を挙げることができる。また、これらの油脂を水添
処理したもの、及びエステル交換したものも使用でき
る。これらの油脂は単独で、また混合して使用すること
ができる。上記油脂の含有量は、本発明のシュー用乳化
油脂組成物中に好ましくは20〜95重量%、より好ま
しくは50〜85重量%である。また、水の含有量は、
本発明のシュー用乳化油脂組成物中に好ましくは10〜
99.75重量%、より好ましくは10〜60重量%、
更に好ましくは10〜40重量%である。
【0014】また、本発明のシュー用乳化油脂組成物に
は、カゼインナトリウム、カラギーナン、食塩、クエン
酸ナトリウム、加工澱粉、メチルセルロース、カルボキ
シメチルセルロース、アラビアガム等のシューケース生
地原料の一部を適宜添加することもできる。
【0015】本発明のシュー用乳化油脂組成物の形態と
しては、特に制限されず、油中水型、水中油型、更に二
重乳化型にしても良く、いずれの形態にしても何らシュ
ーケースのボリューム増大及び食感向上の機能性は損な
われない。
【0016】本発明のシュー用乳化油脂組成物は、シュ
ーの種類によっても異なるが、通常、シューケース生地
原料の小麦粉に対して、好ましくは50〜250重量%
(対粉)用いると良い。
【0017】次に、本発明の前記シュー用乳化油脂組成
物を含有する本発明のシューケース及びその製造方法に
ついて説明する。本発明のシューケースは、シューケー
ス生地の調製時、シューケース生地原料に本発明の前記
シュー用乳化油脂組成物を添加混合し、得られる生地を
焼成することにより製造される。本発明の前記シュー用
乳化油脂組成物の添加量は前記の通りであり、また、本
発明の前記シュー用乳化油脂組成物が添加混合されるシ
ューケース生地原料としては、通常用いられているもの
が使用でき、例えば、小麦粉、卵、油脂類、水等の他
に、カゼインナトリウム、カラギーナン、食塩、クエン
酸ナトリウム、脱脂粉乳、膨張剤、乳化剤、澱粉、α化
澱粉、各種フレーバー、小麦蛋白、大豆蛋白等の植物性
蛋白質、全乳、乳製品(含バター)、カルボキシメチル
セルロース、キサンタンガム等の増粘剤、マーガリン、
ショートニング等が適宜使用される。また、生地の調製
及び焼成は常法により行えば良い。また、本発明の前記
シュー用乳化油脂組成物の添加時期は、シューケース生
地の調製工程における水と油脂類との混合時が好まし
い。
【0018】このようにして得られる本発明のシューケ
ースは、次のような優れた特徴を有しているものであ
る。 (1)容積(ボリューム)が大きく且つ厚さが薄い。その
ため、口溶けが良好である。また、オーブン内での焼成
直後の容積に対するオーブンから出した時点での容積の
減少率が少ない。 (2)内相に巣がない。そのため、シューケース中に注入
するクリームの量を増大でき、また外観が良好である。 (3)吸卵量を少なくできる。そのため、シューケースの
風味上の欠点である卵臭さが無くなり、風味があっさり
として良好である。 (4)冷蔵庫で保存しても食感の変化が少ない。そのた
め、チルド運送やショーケース中での食感の変化が少な
く、製造直後の食感を長期間維持できる。
【0019】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を
更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの例に
限定されるものではない。
【0020】〔実施例1〕 (乳化油脂組成物1の調製)魚油30重量%、ラード3
0重量%及びグリセリンオレイン酸ジエステル10重量
%を加熱融解し、これにグリセリンコハク酸脂肪酸モノ
エステル(商品名;ステップSS、花王(株)製)3重
量%を添加し、加熱融解して油性液を得た。次に、カゼ
インナトリウム4重量%、カラギーナン0.3重量%、
食塩1重量%及びクエン酸ナトリウム1重量%を水2
0.7重量%に添加分散し、これを加熱し、水性液を得
た。攪拌しながら上記油性液に上記水性液を加えて乳化
混合し、グリセリンコハク酸脂肪酸モノエステルが液晶
状態にある油中水型乳化油脂組成物(乳化油脂組成物
1)を得た。
【0021】〔実施例2〕 (乳化油脂組成物2の調製)魚油30重量%、ラード3
0重量%及びグリセリンオレイン酸ジエステル10重量
%を加熱融解し、これにグリセリンクエン酸脂肪酸モノ
エステル(商品名;アシダンLC、グリンステッド
(株)製)3重量%を添加し、加熱融解して油性液を得
た。次に、カゼインナトリウム4重量%、カラギーナン
0.3重量%、食塩1重量%及びクエン酸ナトリウム1
重量%を水20.7重量%に添加分散し、これを加熱
し、水性液を得た。攪拌しながら上記油性液に上記水性
液を加えて乳化混合し、グリセリンクエン酸脂肪酸モノ
エステルが液晶状態にある油中水型乳化油脂組成物(乳
化油脂組成物2)を得た。
【0022】〔比較例1〕 (乳化油脂組成物C1の調製)魚油35重量%及びラー
ド35重量%を加熱融解し、これにグリセリンコハク酸
脂肪酸モノエステル(商品名;ステップSS、花王
(株)製)3重量%を添加し、加熱融解して油性液を得
た。次に、カゼインナトリウム4重量%、カラギーナン
0.3重量%、食塩1重量%及びクエン酸ナトリウム1
重量%を水20.7重量%に添加分散し、これを加熱
し、水性液を得た。攪拌しながら上記油性液に上記水性
液を加えて乳化混合し、比較用の油中水型乳化油脂組成
物(乳化油脂組成物C1)を得た。
【0023】〔比較例2〕 (乳化油脂組成物C2の調製)魚油30重量%、ラード
33重量%及びグリセリンオレイン酸ジエステル10重
量%を加熱融解して油性液を得た。次に、カゼインナト
リウム4重量%、カラギーナン0.3重量%、食塩1重
量%及びクエン酸ナトリウム1重量%を水20.7重量
%に添加分散し、これを加熱し、水性液を得た。攪拌し
ながら上記油性液に上記水性液を加えて乳化混合し、比
較用の油中水型乳化油脂組成物(乳化油脂組成物C2)
を得た。
【0024】〔比較例3〕 (乳化油脂組成物C3の調製)魚油35重量%及びラー
ド38重量%を加熱融解して油性液を得た。次に、カゼ
インナトリウム4重量%、カラギーナン0.3重量%、
食塩1重量%及びクエン酸ナトリウム1重量%を水2
0.7重量%に添加分散し、これを加熱し、水性液を得
た。攪拌しながら上記油性液に上記水性液を加えて乳化
混合し、比較用の油中水型乳化油脂組成物(乳化油脂組
成物C3)を得た。
【0025】〔比較例4〕 (乳化油脂組成物C4の調製)魚油15重量%、ラード
15重量%及びグリセリンオレイン酸ジエステル40重
量%を加熱融解し、これにグリセリンコハク酸脂肪酸モ
ノエステル(商品名;ステップSS、花王(株)製)3
重量%を添加し、加熱融解して油性液を得た。次に、カ
ゼインナトリウム4重量%、カラギーナン0.3重量
%、食塩1重量%及びクエン酸ナトリウム1重量%を水
20.7重量%に添加分散し、これを加熱し、水性液を
得た。攪拌しながら上記油性液に上記水性液を加えて乳
化混合し、比較用の油中水型乳化油脂組成物(乳化油脂
組成物C4)を得た。
【0026】上記の実施例1〜2及び比較例1〜4で調
製した各乳化油脂組成物の組成を下記〔表1〕にまとめ
て示した。尚、下記〔表1〕において、「コハク酸M
G」はグリセリンコハク酸脂肪酸モノエステルを表し、
「クエン酸MG」はグリセリンクエン酸脂肪酸モノエス
テルを表す。
【0027】
【表1】
【0028】〔実施例3〜4及び比較例5〜8〕 (シューケースの製造)上記の実施例1〜2及び比較例
1〜4の各乳化油脂組成物(乳化油脂組成物1〜2及び
C1〜C4)を使用して、下記〔表2〕に示す配合に従
い下記(シューケースの作り方)によりシューケースを
それぞれ製造した。
【0029】
【表2】
【0030】(シューケースの作り方)60コートのた
て型ミキサーのミキサーボールに水及び乳化油脂組成物
を入れ、ボールの底をガスバーナーで加熱し、水と乳化
油脂組成物の混合物を沸騰状態まで加熱した。加熱を止
め、ミキサーボールの中に強力小麦粉及び薄力小麦粉を
入れ、ミキサーの回転を中速に設定して2分間混合し
た。次いで、全卵170重量部を4回に分け、低速回転
で5分間混ぜながら混合した。その後、更に2分間中速
で混合した。次いで、重炭酸アンモニウム及び重炭酸ナ
トリウムを添加した後、中速回転を続けながら、更に全
卵を加え、シューケース生地の硬さを最適状態に調節し
た。更に高速回転を10分間続けてシューケース生地を
調製した。この時のシューケース生地の温度は45℃で
あった。このシューケース生地をデポジッターで25g
づつ、天板上に自動的に絞り出した。ガス加熱方式のバ
ンドオーブン(全長20m)を用い、温度が入口の上火
200℃、下火260℃、中間部の上火210℃、下火
220℃、出口の上火230℃、下火280℃で且つ焼
成時間が18分間の条件下で、連続的に上記シューケー
ス生地を焼成した。得られたシューケースを天板よりは
がし、1昼夜室温で保存した。
【0031】上記のようにして得られた各シューケース
(1昼夜室温保存後のシューケース)について、ボリュ
ーム、食感(口溶け、サクミ感、ソフトさ)、風味、外
観及び内相(巣)を下記の方法によりそれぞれ評価し
た。また、これらの評価を基にシューケースを総合評価
した。それらの結果をまとめて下記〔表3〕に示す。 〔評価方法〕 ボリュームの評価 ボリュームは菜種置換法で測定した。ボールに菜種を縁
までいっぱいに入れる。次に、菜種をボールから空け、
これにシューケースを入れ、更に上記の菜種を入れる。
あふれた菜種の体積をパンの体積とする。 食感(口溶け、サクミ感、ソフトさ)の評価 食感(口溶け、サクミ感、ソフトさ)の評価は10名の
パネラーによる官能評価で行った。評価結果は、食感
(口溶け、サクミ感、ソフトさ)が良好であると認めた
パネラーの人数により、下記評価基準で表示した。 A:10名のパネラー中、8名以上が認めた。 B:10名のパネラー中、5〜7名が認めた。 C:10名のパネラー中、3〜4名が認めた。 D:10名のパネラー中、0〜2名が認めた。 風味、外観及び内相(巣)の評価 上記の食感の評価と同様に、10名のパネラーによる官
能評価で行った。評価基準は、上記の食感における場合
と同じである。
【0032】
【表3】
【0033】
【発明の効果】本発明のシュー用乳化油脂組成物を使用
することにより、少量の卵量でも、従来法により得られ
るシューケースよりもボリュームが大きく、且つ食感や
風味の良好なシューケースが得られる。即ち、本発明の
シュー用乳化油脂組成物を使用することにより、次のよ
うな効果が奏される。 (1)シューケースの容積(ボリューム)が大きく且つ厚
さが薄くなる。そのため、シューケースの口溶けも向上
する。また、オーブン内での焼成直後の容積に対するオ
ーブンから出した時点での容積の減少率が少なくなる。 (2)シューケースの内相に巣ができない。そのため、シ
ューケース中に注入するクリームの量を増大でき、また
シューケースの外観が良好となる。 (3)吸卵量を少なくできる。そのため、シューケースの
風味上の欠点である卵臭さが無くなり、あっさりとした
風味となる。また、吸卵量の減少から、製造コストの低
減に寄与できる。 (4)シューケースを冷蔵庫で保存しても食感の変化が少
ない。そのため、チルド運送やショーケース中での食感
の変化が少なく、製造直後の食感を長期間維持できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 秀和 茨城県鹿島郡波崎町土合本町1丁目8762 −23 (72)発明者 船窪 久勝 茨城県鹿島郡波崎町土合本町1丁目8762 −23 (56)参考文献 特開 平2−124052(JP,A) 特開 平4−356151(JP,A) 特開 平4−197130(JP,A) 特開 平5−236919(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A21D 2/16 A21D 13/00 A23D 7/00 506

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機酸モノグリセリド0.05〜20重
    量%及びジグリセリド0.20〜35重量%を含有し、
    有機酸モノグリセリドとジグリセリドの重量比が有機酸
    モノグリセリド:ジグリセリド=1:3〜1:25であ
    ることを特徴とするシュー用乳化油脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のシュー用乳化油脂組成物
    を小麦粉に対して、50〜250%含有することを特徴
    とするシューケース
  3. 【請求項3】 請求項1記載のシュー用乳化油脂組成物
    と水の混合物に、小麦粉を分散し、続いて、全卵を加
    え、その後、焼成することを特徴とするシューケースの
    製造方法
JP26452093A 1993-10-22 1993-10-22 シュー用乳化油脂組成物、シューケース及びシューケースの製造方法 Expired - Fee Related JP3179260B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26452093A JP3179260B2 (ja) 1993-10-22 1993-10-22 シュー用乳化油脂組成物、シューケース及びシューケースの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26452093A JP3179260B2 (ja) 1993-10-22 1993-10-22 シュー用乳化油脂組成物、シューケース及びシューケースの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07115890A JPH07115890A (ja) 1995-05-09
JP3179260B2 true JP3179260B2 (ja) 2001-06-25

Family

ID=17404399

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26452093A Expired - Fee Related JP3179260B2 (ja) 1993-10-22 1993-10-22 シュー用乳化油脂組成物、シューケース及びシューケースの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3179260B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006191873A (ja) * 2005-01-14 2006-07-27 Kaneka Corp シュー皮用乳化油脂組成物
JP4552198B2 (ja) * 2005-09-09 2010-09-29 学校法人神奈川大学 可食性エマルション及びその製造方法
JP5763853B1 (ja) * 2015-01-20 2015-08-12 太陽油脂株式会社 シューケース用乳化油脂組成物
JP7211060B2 (ja) * 2018-12-17 2023-01-24 不二製油株式会社 シュー生地用水中油型乳化物及びそれを用いたシュー生地

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07115890A (ja) 1995-05-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2902763B2 (ja) 練り込み用油中水型乳化油脂組成物
CN102711495A (zh) 高甘油二酯结构化组合物和产品及其使用方法
JP6588706B2 (ja) 油中水型乳化油脂組成物とそれを用いたマーガリン類及びベーカリー製品
JP2007289116A (ja) 粉末油脂
EP0265003A2 (en) Water-in-oil emulsions with a reduced fat content, which are suitable for frying
JP4585063B2 (ja) 澱粉質食品生地練り込み用水中油型乳化油脂組成物
JP3032073B2 (ja) 冷凍食品用品質改良剤及び冷凍食品
JP5298706B2 (ja) 水中油型乳化油脂組成物
JP6227088B1 (ja) 可塑性油脂組成物及び食品
JPWO2016117630A1 (ja) 高油分フィリング材
TWI395551B (zh) Compositions for oils and fats containing baking products
JP3179260B2 (ja) シュー用乳化油脂組成物、シューケース及びシューケースの製造方法
JP3998364B2 (ja) ロールイン用油脂組成物及びこれを用いたペストリー
JP5114925B2 (ja) パン練り込み用油脂組成物
JPS6363341A (ja) 油中水型エマルジョン
JP3460508B2 (ja) カスタードクリーム練込用油脂組成物
JPH02124052A (ja) デンプン食品の品質改良剤
JPH06225684A (ja) でん粉食品の品質改良用組成物
JP2835126B2 (ja) 練り込み用油中水型乳化油脂組成物
JP3477786B2 (ja) 水中油型乳化油脂組成物
JPH08242766A (ja) 乳化油脂組成物及びシューケース並びにその製造方法
JP4812511B2 (ja) フラワーペースト類
JP2018166414A (ja) ロールイン油中水型乳化組成物
JP2013223451A (ja) 製パン練り込み用油中水型乳化物、パン生地及びパン
JP2940061B2 (ja) 製パン用油脂組成物及びパンの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090413

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090413

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100413

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110413

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees