JP3089436B2 - 車両用制動装置 - Google Patents

車両用制動装置

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JP3089436B2
JP3089436B2 JP03162793A JP16279391A JP3089436B2 JP 3089436 B2 JP3089436 B2 JP 3089436B2 JP 03162793 A JP03162793 A JP 03162793A JP 16279391 A JP16279391 A JP 16279391A JP 3089436 B2 JP3089436 B2 JP 3089436B2
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庄平 松田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、左、右前輪用ブレーキ
および左、右後輪用ブレーキのうち、少なくとも前後い
ずれか一方の組の左、右ブレーキには、該左、右ブレー
キに相互に独立した制動流体圧を導くための、互いに独
立した左、右個別流体圧通路個別にそれぞれ接続さ
れ、前後いずれか他方の組の左、右ブレーキには、該他
方の組の左、右ブレーキにそれぞれ制動流体圧を導くた
めの、前記左、右個別流体圧通路とは独立した左、右流
体圧通路がそれぞれ接続される車両用制動装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、制動装置は、たとえば特開平1−
178062号公報および特開平2−299966号公
報等により知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
ものでは、相互に独立した左、右個別流体圧通路の一方
の系統が失陥等の故障を生じて対応する車輪ブレーキが
動力を発揮し得なくなっても、それと独立している他
方の系統の車輪ブレーキは正常に制動力を発揮するた
め、全体として車両の左右のブレーキ力にアンバランス
が生じる。
【0004】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであり、前後いずれか一方の組の左、右いずれか一方
のブレーキで故障等により制動力が低下したときに前後
いずれか他方の組の左、右いずれか他方のブレーキの昇
圧を規制して、車両の左、右での制動力の差を減少する
ようにした車両用制動装置を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の第1の特徴によれば、左流体圧通路には、
該左流体圧通路の流体圧を一端に受けるとともに右個別
流体圧通路の流体圧を他端に受ける左側規制ピストンの
前記他端側への移動に応じて閉弁する第1の弁機構を有
する左側昇圧規制弁が介設され、右流体圧通路には、該
右流体圧通路の流体圧を一端に受けるとともに左個別流
体圧通路の流体圧を他端に受ける右規制ピストンの前記
他端側への移動に応じて閉弁する第2の弁機構を有す
、前記左側昇圧規制弁とは別個独立の右側昇圧規制弁
が介設される。
【0006】また本発明の第2の特徴によれば、上記第
1の特徴の構成に加えて、左、右個別流体圧通路は左、
右前輪用ブレーキに個別に接続され、左および右規制ピ
ストンにおいて右および左個別流体圧通路の流体圧を受
ける受圧面積は、左および右流体圧通路の流体圧を受け
る受圧面積よりも小さく設定される。
【0007】さらに本発明の第3の特徴によれば、上記
第1または第2の特徴の構成に加えて、左、右流体圧通
路の左側および右側昇圧規制弁よりも上流側には、
左、右流体圧通路の流体圧を車輪のロック傾向に応じて
制御可能なアンチロック制御手段が接続され、左、右流
体通路には、上流側への流通のみを許容する一方向弁が
前記弁機構をそれぞれ迂回して接続される。
【0008】
【実施例】以下、図面により本発明を前輪駆動車両用制
動装置に適用したときの実施例について説明する。
【0009】図1ないし図3は本発明の第1実施例を示
すものであり、図1は車両用制動装置の全体系統図、図
2は流体圧力制御ユニットの縦断面図、図3は昇圧規制
弁の縦断面図である。
【0010】先ず図1において、車両の駆動輪としての
左前輪および右前輪には左前輪用ブレーキBFLおよび右
前輪用ブレーキBFRがそれぞれ装着され、従動輪として
の左後輪および右後輪には左後輪用ブレーキBRLおよび
右後輪用ブレーキBRRがそれぞれ装着される。一方、ブ
レーキペダル1には、該ブレーキペダル1の踏込み量に
応じて流体圧力源3の出力圧を制御可能な流体圧力制御
ユニット2が連結されており、通常制動時には、流体圧
力制御ユニット2から出力される増幅流体圧が流体圧力
伝達手段4FL,4FRならびに左、右個別流体圧通路81
L ,81R を介して各前輪用ブレーキBFL,BFRに与え
られるとともに、流体圧力制御ユニット2からの増幅流
体圧が流体圧力伝達手段4R 、左および右側昇圧規制弁
83L ,83R を個別に備える左、右流体圧通路8
L ,82R 、ならびに比例減圧弁5 L ,5R を介して
各後輪用ブレーキBRL,BRRに与えられる。また流体圧
力源3が不調になったときにはブレーキペダル1の操作
量に対応して流体圧力制御ユニット2から出力される非
増幅流体圧が各ブレーキBFL,BFR,BRL,BRRに与え
られる。さらに各前輪用ブレーキBFL,BFRに個別に対
応してアンチロック制御手段AFL,AFRが設けられると
ともに両後輪用ブレーキBRL,BRRに共通にアンチロッ
ク制御手段AR が設けられており、それらのアンチロッ
ク制御手段AFL,AFR,AR により各ブレーキBFL,B
FR,BRL,BRRの制動流体圧を保持あるいは減圧してア
ンチロック制御を行なうことができ、トラクション制御
用切換制御弁8により駆動輪である両前輪用ブレーキB
FL,BFRの制動流体圧を増大してトラクション制御を行
なうことができる。
【0011】流体圧力源3は、流体タンクとしてのリザ
ーバ9から作動油を汲上げる流体圧ポンプ10と、その
流体圧ポンプ10に接続されるアキュムレータ11と、
流体圧ポンプ10の作動を制御するための圧力スイッチ
12とを備える。
【0012】各ブレーキBFL,BFR,BRL,BRRは、シ
リンダ14と該シリンダ14内に摺動可能に嵌合される
制動ピストン15とをそれぞれ備え、シリンダ14およ
び制動ピストン15間に画成された制動流体圧室16に
作用する流体圧に応じた制動ピストン15の移動により
制動力を発揮すべく構成される。
【0013】流体圧力伝達手段4FL,4FR,4R は、流
体圧力源3から流体圧力制御ユニット2を経てブレーキ
FL,BFR,BRL,BRRに至る流体圧通路の途中に設け
られるものであり、各流体圧力伝達手段4FL,4FR,4
R は、流体圧力源3からの流体圧が正常であるときには
流体圧力制御ユニット2からの増幅流体圧を各ブレーキ
FL,BFR,BRL,BRRに伝達するが、流体圧力源3の
流体圧が異常に低下したときには各ブレーキBFL
FR,BRL,BRRから流体圧力制御ユニット2側に作動
流体が逆流するのを阻止し得る機能を有するものであ
り、基本的に同一の構成を有するものであるので、代表
して流体圧力伝達手段4FLの構成について次に述べる。
【0014】流体圧力伝達手段4FLは、入力流体圧室1
9および出力流体圧室20に両端を臨ませながらフリー
ピストン21がシリンダ体22に摺動可能に嵌合され、
フリーピストン21を入力流体圧室19側に付勢するば
ね23が出力流体圧室20に収納配置されて成る。
【0015】このような流体圧力伝達手段4FLの構成に
よれば、入力流体圧室19に作用する流体圧に応じた流
体圧を出力流体圧室20から出力することが可能である
とともに出力流体圧室20の作動流体が入力流体圧室1
9側に流れることはない。
【0016】而して流体圧力伝達手段4FLの出力流体圧
室20は左個別流体圧通路81L を介して左前輪用ブレ
ーキBFLの制動流体圧室16に連通され、流体圧力伝達
手段4FRの出力流体圧室20は右個別流体圧通路81R
を介して右前輪用ブレーキB FRの制動流体圧室16に連
通され、流体圧力伝達手段4R の出力流体圧室20は
左、右流体圧通路82L ,82R に共通に連通される。
【0017】前輪用ブレーキBFL,BFRに対応する流体
圧力伝達手段4FL,4FRの入力流体圧室19には、アン
チロック制御手段AFLを構成する並列な流入弁6FLおよ
び流出弁7FL、ならびにアンチロック制御手段AFRを構
成する並列な流入弁6FRおよび流出弁7FRがそれぞれ接
続され、後輪用ブレーキBRL,BRRに対応する流体圧力
伝達手段4R の入力流体圧室19にはアンチロック制御
手段AR を構成する並列な流入弁6R および流出弁7R
が接続される。
【0018】流入弁6FL,6FR,6R は励磁時に閉弁す
る常開型電磁弁であり、また流出弁7FL,7FR,7R
励磁時に開弁する常閉型電磁弁である。而して流出弁7
FL,7FR,7R は流体圧力伝達手段4FL,4FR,4R
入力流体圧室19およびリザーバ9間にそれぞれ介設さ
れる。また流入弁6FL,6FRは流体圧力伝達手段4FL
FRの入力流体圧室19および流体通路17間にそれぞ
れ介設され、流入弁6 R は流体圧力伝達手段4Rの入力
流体圧室19と流体圧力制御ユニット2の第2出力ポー
ト402に連なる流体通路18との間に介設される。
【0019】トラクション制御用切換制御弁8は、流体
圧力制御ユニット2の第1出力ポート401 に連なる流
体通路25ならびに流体圧力源3に連なる流体通路26
と、前記流体通路17との間に介設される電磁切換弁で
あり、消磁状態で流体通路25を流体通路17に連通さ
せる態様と、励磁状態で流体通路26を流体通路17に
連通させる態様とを択一的に切換可能である。
【0020】流体圧力制御ユニット2は、増幅流体圧力
を出力可能な第1および第2出力ポート401 ,402
と、ブレーキペダル1の操作力に対応する非増幅流体圧
力を出力可能な第3出力ポート403 とを備えるもので
あり、第1出力ポート401 は前記流体通路25に連通
され、第2出力ポート402 は流体通路18に連通さ
れ、第3出力ポート403 は中間部にストロークアキュ
ムレータ30が接続された流体通路28に連通される。
而して流体通路28は、バイパス弁30FLを介して左前
輪用ブレーキBFLおよび流体圧力伝達手段4FL間に接続
され、バイパス弁30FRを介して右前輪用ブレーキBFR
および流体圧力伝達手段4FR間に接続され、バイパス弁
30R を介して左、右流体圧通路82L ,82R に接続
される。各バイパス弁30FL,30FR,30Rは同一の
構成を有するものであり、バイパス弁30FLの構成につ
いてのみ以下に説明する。
【0021】バイパス弁30FLは、両端が閉塞された円
筒状のバイパス弁本体31と、流体圧力伝達手段4FL
出力流体圧室20に連通しながらバイパス弁本体31の
一端壁に穿設される弁孔32と、その弁孔32を閉塞可
能な弁体33を一端に有するとともにバイパス弁本体3
1の他端壁との間に画成したパイロット室34側にばね
付勢されてバイパス弁本体31に摺動可能に嵌合される
ピストン35とを備え、バイパス弁本体31の一端壁お
よびピストン35間には流体通路28に連通する弁室3
6が画成される。
【0022】かかるバイパス弁30FLによれば、パイロ
ット室34の流体圧が一定値よりも低いときには弁体3
3が弁孔32を開放する位置までピストン35がパイロ
ット室34側に移動して開弁しており、パイロット室3
4の流体圧が前記一定値以上となると、ピストン35が
弁体33で弁孔32を閉塞するように移動して閉弁状態
となる。
【0023】各バイパス弁30FL,30FR,30R のパ
イロット室34には流体通路17から分岐した通路17
aがそれぞれ連通される。したがってバイパス弁3
FL,30FRは、流体圧力源3の出力圧が正常で流体圧
力制御ユニット2の第1出力ポート401から正常な増
幅流体圧が出力される場合には閉弁して第3出力ポート
403 および左、右前輪用ブレーキBFL,BFR間を遮断
し、流体圧力源3の出力圧が異常に低下して第1出力ポ
ート401 からの出力圧が低い場合には開弁して第3出
力ポート403 および左、右前輪用ブレーキBFL,BFR
間を連通する。またバイパス弁30R は、流体圧力源3
の出力圧が正常で流体圧力制御ユニット2の第1出力ポ
ート401 から正常な増幅流体圧が出力される場合には
閉弁して第3出力ポート403 および左、右後輪用ブレ
ーキBRL,BRR間を遮断し、流体圧力源3の出力圧が異
常に低下して第1出力ポート401 からの出力圧が低い
場合には開弁して第3出力ポート403 および左、右後
輪用ブレーキBRL,BRR間を連通する。
【0024】図2において、流体圧力制御ユニット2の
ハウジング41は、流体通路26を介して流体圧力源3
に接続される入力ポート38と、リザーバ9に通じる流
体通路37に共通に連通される第1および第2解放ポー
ト391 ,392 と、流体通路25に連通される第1出
力ポート401、流体通路18に連通される第2出力ポ
ート402 、ならびに流体通路28に連通される第3出
力ポート403 とを備える。
【0025】このハウジング41には、ブレーキペダル
1による操作力に対応する非増幅流体圧を発生可能な操
作圧発生手段42と、流体圧力源3の出力圧をブレーキ
ペダル1の操作量に応じて制御して増幅流体圧を出力可
能な倍力制御弁手段43とが配設される。
【0026】ハウジング41は、第1シリンダ孔44
と、第1シリンダ孔44に段部46を介して同軸に連な
る第2シリンダ孔45とを有して基本的に円筒状に形成
される。
【0027】倍力制御弁手段43は、第1シリンダ孔4
4にスプール弁50を摺動自在に嵌合して構成される。
第1シリンダ孔44の前端は第2出力ポート402 を備
える端壁で閉じられており、基本的に円柱状に形成され
るスプール弁50は、第1シリンダ孔44の前端壁との
間に圧力室51を画成して第1シリンダ孔44に摺動自
在に嵌合される。圧力室51内には戻しばね52が収納
されており、この戻しばね52はスプール弁50を後方
側に向けて付勢するばね力を発揮する。一方、入力ポー
ト38、第1出力ポート401 および第1解放ポート3
1 は、第1シリンダ孔44の内面に軸方向に間隔をあ
けた位置で開口されており、スプール弁50の外面に
は、該スプール弁50が前進位置にあるときに入力ポー
ト38および第1出力ポート401 間を連通し、後退位
置にあるときには第1出力ポート401 および第1解放
ポート391 間を連通する環状溝53が設けられる。
【0028】ところで、第1および第2出力ポート40
1 ,402 間は、第1出力ポート401 の流体圧が第2
出力ポート402 の流体圧よりも所定値以上大きくなる
のに応じて開弁して第1出力ポート401 から第2出力
ポート402 への作動流体の流通のみを許容する第1差
圧弁54を介して接続され、この第1差圧弁54には、
第2出力ポート402 から第1出力ポート401 側に向
けての作動流体の流通のみを許容する第1一方向弁55
が並列に接続されており、第1一方向弁55の開弁差圧
は極めて小さく設定される。
【0029】また図1で示すように、流体通路17に
は、トラクション制御用切換制御弁8側の流体圧が両流
入弁6FL,6FR側の流体圧よりも所定値以上大きくなる
のに応じて開弁してトラクション制御用切換制御弁8側
から両流入弁6FL,6FR側への作動流体の流通のみを許
容する第2差圧弁56が介設されており、極めて小さく
設定された開弁差圧で開弁して両流入弁6FL,6FR側か
らトラクション制御用切換制御弁8側への作動流体の流
通のみを許容する第2一方向弁57が第2差圧弁56に
並列に接続される。しかも各バイパス弁30FL,3
FR,30R のパイロット室34に通じる通路17a
は、前記第2差圧弁56および第2一方向弁57から成
る並列回路よりも上流側で流体通路17から分岐され
る。
【0030】而して第1差圧弁54は、制動操作初期に
第1出力ポート401 の出力圧が或る値に達するまでは
圧力室51に圧力を発生させないことにより、制動操作
初期において操作反力が生じないうちに第1出力ホート
401 の出力圧を或る値まで増大させる働きをするとと
もに、第1出力ポート401 の出力圧によりバイパス弁
30R が閉じるまでは流体圧力伝達手段4R に通じる第
2出力ポート402 の流体圧出力を抑えるものであり、
また第2差圧弁56は、制動操作初期に第1出力ポート
401 の出力圧によりバイパス弁30FL,30FRが閉じ
るまでは第1出力ポート401 の出力圧を流体圧力伝達
手段4FL,4FRに作用させないようにするものである。
したがって制動操作初期には、先ずバイパス弁30FL
30FR,30R が閉弁し、その後で第1出力ポート40
1 の出力圧が流体圧力伝達手段4 FL,4FRに、また第1
差圧弁54により第1出力ポート401 よりも低く抑え
られた第2出力ポート402 の出力圧が流体圧力伝達手
段4R にそれぞれ作用する。さらにまた第1および第2
一方向弁55,57は非制動操作時に流体通路17,1
8の作動流体をリザーバ9に逃がす働きをする。
【0031】操作圧発生手段42は、スプール弁50に
連動、連結されて第2シリンダ孔45に摺動自在に嵌合
される連動ピストン60と、ブレーキペダル1に連動、
連結されるとともに連動ピストン60の背面との間に画
成される反力室62に前面を臨ませて第2シリンダ孔4
5に摺動自在に嵌合される反力ピストン61と、前記反
力室62に収納配置されるばね63とを備える。
【0032】反力ピストン61の外面には第2シリンダ
孔45の内面に摺接する一対のシール部材64が嵌着さ
れ、連動ピストン60の外面には第2シリンダ孔45の
内面に摺接するシール部材65が嵌着される。
【0033】第2シリンダ孔45の後端には、反力ピス
トン61の後端に当接して該反力ピストン61の後退限
を規制する規制鍔66が半径方向内方に張出して設けら
れる。一方、ブレーキペダル1には、プッシュロッド6
7が連結されており、前記規制鍔66を移動自在に貫通
するプッシュロッド67の前端が揺動自在にして反力ピ
ストン61に連結される。したがってブレーキペダル1
の踏込み操作に応じて反力ピストン61が反力室62の
容積を縮小する方向に前進作動することになる。
【0034】反力ピストン61の前端部にはカップ状の
リテーナ69が嵌挿され、連動ピストン60の背面には
円盤状のリテーナ70が当接され、両リテーナ69,7
0間にばね63が縮設される。
【0035】スプール弁50および連動ピストン60間
でハウジング41内には第2解放ポート392 および流
体通路37を介してリザーバ9に通じる解放室48が形
成されており、該解放室48と、前記反力室62との間
には、ばね63を収縮させて反力ピストン61が連動ピ
ストン60に所定量以上近接するのに応じて閉弁する開
閉弁71が介設される。この開閉弁71は、前記解放室
48に連通して連動ピストン60に設けられる弁孔72
を開閉可能な弁体73が弁ばね74で閉弁方向に付勢さ
れて成り、弁体73は後端をリテーナ69に係合可能な
弁棒75の前端に設けられる。連動ピストン60の後部
とリテーナ70との間には弁室76が形成される。また
弁棒75は連動ピストン60に対する後退限位置をリテ
ーナ70で規制されるようにして該リテーナ70を移動
自在に貫通し、弁室76内で弁棒75およびリテーナ7
0間に弁ばね74が縮設される。さらに弁棒75の後端
は、連動ピストン60および反力ピストン61間の距離
が所定値以上となったときにリテーナ69に係合するも
のである。したがって開閉弁71は、連動ピストン60
および反力ピストン61間の間隔が所定値以上である図
2の状態では開弁しており、ばね63を収縮させて反力
ピストン61が連動ピストン60に対して所定量以上前
進するのに応じて閉弁することになり、この開閉弁71
の閉弁後には、連動ピストン60に対する反力ピストン
61の前進に応じて反力室62に流体圧が発生すること
になる。
【0036】解放室48には、前端をスプール弁50の
後端に当接させるとともに後端部を連動ピストン60の
前端部に緩やかに挿入するロッド77がスプール弁50
および連動ピストン60と同軸に配置されており、この
ロッド77の軸方向中間部外面には制限された範囲での
軸方向相対移動を可能として相互に対向する一対のリテ
ーナ78,79が係合され、両リテーナ78,79間に
はばね80が縮設される。而してロッド77の軸方向に
沿う後方側のリテーナ79は連動ピストン60の前端に
当接可能であり、連動ピストン60の前進作動は、リテ
ーナ79、ばね80、リテーナ78およびロッド77を
介してスプール弁50に伝達されることになる。
【0037】しかも戻しばね52のセット荷重をF1
ばね63のセット荷重をF2 、ばね80のセット荷重を
3 としたときに、F3 >>F2 >F1 となるように設
定されている。したがってブレーキペダル1による制動
操作初期には、反力ピストン61、ばね63、連動ピス
トン60、ロッド77およびばね80の相対位置関係を
そのままとしてスプール弁50が戻しばね52を収縮さ
せながら前進作動することになり、ばね63のセット荷
重F2 は、スプール弁50が入力ポート38を第1出力
ポート401 に連通させる位置まで前進したときの戻し
ばね52のばね荷重と等しいか大であるように設定され
る。すなわち倍力制御弁手段43が圧力制御を開始する
までは反力ピストン61の連動ピストン60に対する相
対位置関係は開閉弁71を開弁した状態に保持され、倍
力制御弁手段43の圧力制御開始後にばね63を収縮さ
せる操作力が入力されるのに応じて反力ピストン61の
連動ピストン60に対する前進動作が開始され、それに
よって開閉弁71が閉弁することになる。
【0038】第3出力ポート403 は、反力室62に常
時連通する位置でハウジング41に穿設されており、こ
の第3出力ポート403 に通じる流体通路28の途中に
ストロークアキュムレータ30が接続される。
【0039】図3において、左流体圧通路82L に介設
される左側昇圧規制弁83L は、左流体圧通路82L
流体圧を一端に受けるとともに右個別流体圧通路81R
の流体圧を他端に受ける左規制ピストン84L の前記他
端側への移動に応じて閉弁すべく構成されるものであ
り、減圧弁5L に通じる出力室85L に一端面を臨ませ
るとともに右個別流体通路81R に通じるパイロット室
86L に他端面を臨ませてハウジング87L 内に摺動自
在に嵌合される規制ピストン84L と、左流体圧通路8
L の上流側部分および前記出力室85L 間を左規制ピ
ストン84L の他端側すなわちパイロット室86L 側へ
の移動に応じて遮断する弁機構88L と、左規制ピスト
ン84L を出力室85L 側に付勢するばね力を発揮すべ
くパイロット室86L に収納されるばね89L とを備え
る。
【0040】左規制ピストン84L の外面には、その軸
方向に間隔をあけた位置に出力室85L 側から順に一方
向弁としてのカップシール90L およびOリング91L
が嵌着されており、左流体圧通路82L の上流側部分は
カップシール90L およびOリング91L 間でハウジン
グ87L 内に開口される。而してカップシール90
L は、左流体圧通路82L の上流側部分における流体圧
が出力室85L の流体圧よりも低下したときに、弁機構
88L を迂回して出力室85L から左流体圧通路82L
の上流側部分への作動流体の流通を許容するものであ
る。
【0041】弁機構88L は、出力室85L に通じて左
規制ピストン84L に同軸に穿設される弁孔92L と、
テーパ状の弁座93L を介して弁孔92L に連なるとと
もに左流体圧通路82l の上流側部分に常時連通して左
規制ピストン84L に設けられる弁室94L と、弁座9
L への着座を可能にして弁室94L 内に開閉作動可能
に収納される弁体95L と、該弁体95L を弁座93L
に着座せしめる方向のばね力を発揮して弁室94L 内に
収納される弁ばね96Lと、弁体95L に一体に連設さ
れるとともに弁孔92L に緩やかに挿通される駆動ロッ
ド97L とを備え、駆動ロッド97L の長さは、左規制
ピストン84L が一端側すなわち出力室85L の容積を
縮小させる側にあるときにはハウジング87Lに当接し
て弁体95L を弁座93L から離反せしめるように設定
される。
【0042】このような左側昇圧規制弁83L によれ
ば、パイロット室86L に作用する右個別流体圧通路8
R の流体圧およびばね89L による開弁方向の力が出
力室85L の流体圧による閉弁方向の力以下となったと
きに、左規制ピストン84L が他端側すなわちパイロッ
ト室86L 側に移動して閉弁する。
【0043】また右流体圧通路82R に介設される右側
昇圧規制弁83R は、右流体圧通路82R の流体圧を一
端に受けるとともに左個別流体圧通路81L の流体圧を
他端に受ける右規制ピストン84R の前記他端側への移
動に応じて閉弁すべく構成されるものであり、左側昇圧
規制弁83L とは基本的に同一の構成を有するものであ
るので、左側昇圧規制弁83L の対応する部分に添字R
付きの同一参照符号を付して図示するのみとする。
【0044】而して右側昇圧規制弁83R では、パイロ
ット室86R に作用する左個別流体圧通路81L の流体
圧およびばね89R による開弁方向の力が出力室85R
の流体圧による閉弁方向の力以下となったときに、右規
制ピストン84R が他端側すなわちパイロット室86R
側に移動して閉弁することになる。
【0045】ところで、比例減圧弁5L ,5R は、従来
周知の構造を有するものであり、両昇圧規制弁83L
83R の出力室85L ,85R から出力される流体圧を
比例的に減圧して左、右後輪用ブレーキBRL,BRRの制
動流体圧室16に作用せしめる働きをする。
【0046】次にこの第1実施例の作用について説明す
ると、先ず流体圧力源3が正常に作動している状態での
通常の制動操作時を想定すると、流入弁6FL,6FR,6
R および流出弁7FL,7FR,7R は消磁状態(図1の状
態)にあり、またトラクション制御用切換制御弁8も消
磁状態(図1の状態)にある。したがって流体圧力制御
ユニット2の第1出力ポート401 は、各バイパス弁3
FL,30FR,30R のパイロット室34に連通すると
ともに第2差圧弁56を介して流体圧力伝達手段4FL
FRの入力流体圧室19に接続された状態にあり、第2
出力ポート40 2 は流体圧力伝達手段4R の入力流体圧
室19に連通した状態にある。
【0047】この状態でブレーキペダル1を踏込むと、
反力ピストン61が前進作動するが、戻しばね52のセ
ット荷重F1 <ばね63のセット荷重F2 <<ばね80
のセット荷重F3 であるので、反力ピストン61、連動
ピストン60、ばね80、ロッド77およびスプール弁
50は、それらの相対位置関係を一定として戻しばね5
2を収縮しながら前進作動する。
【0048】スプール弁50が、その環状溝53を介し
て入力ポート38を第1出力ポート401 に連通させる
位置まで前進して第1出力ポート401 の出力圧が或る
値に達するまでは第1差圧弁54の働きにより操作反力
は発生せず、制動操作初期に第1出力ポート401 から
は急激に増大する流体圧が出力される。しかも第1およ
び第2差圧弁54,56により先ずバイパス弁30FL
30FR,30R が閉弁し、次いで第1差圧弁54の開弁
により第1出力ポート401 よりも低く抑えられた第2
出力ポート402 の出力流体圧が流体圧力伝達手段4R
に作用するとともに、第2差圧弁56の開弁により流体
圧力伝達手段4FL,4FRに第1出力ポート401 の出力
流体圧が作用することになる。
【0049】上記入力ポート38の第1出力ポート40
1 への連通時に戻しばね52のばね力≦ばね63のセッ
ト荷重となるように設定されており、開閉弁71は開弁
したままであり、反力室62に流体圧は発生していな
い。而して戻しばね52のばね力と、圧力室51の流体
圧をスプール弁50の断面積に乗じて得られる力との和
である後退方向の力が、ばね63のセット荷重F2 より
も大きくなると、ばね63を収縮させながら反力ピスト
ン61が連動ピストン60に対して前進作動し、開閉弁
71の閉弁作動が開始される。
【0050】開閉弁71が閉弁すると反力ピストン61
の前進作動に応じて反力室62に流体圧が発生し、スプ
ール弁50には反力室62の流体圧が前方に向けて作用
することになる。すなわち制動操作初期には、反力ピス
トン61の前進作動がばね63、連動ピストン60、ば
ね80およびロッド77を介してスプール弁50に機械
的に伝達されることになり、その間、シール部材64,
65には流体圧が作用していないので、シール部材6
4,65のフリクションロスを比較的小さくして、操作
初期入力を低減し、操作フィーリングの向上を図ること
ができる。しかも操作ストロークを確保するためのスト
ロークアキュムレータ30の蓄圧室85が反力室62に
連通されているにもかかわらず、初期の操作ストローク
がストロークアキュムレータ30で吸収されて無効スト
ロークとなることもない。
【0051】開閉弁71が閉弁した後では、バイパス弁
30R も閉弁しているので、反力室62の流体圧がスト
ロークアキュムレータ30に蓄圧されることになり、ス
トロークアキュムレータ30により操作ストロークを確
保することができる。
【0052】反力室62での流体圧発生後、スプール弁
50は圧力室51の流体圧による後退方向の力と、反力
室62の流体圧による前進方向の力とが均衡するように
前後に移動し、それにより流体圧力源3の出力圧が制御
され、第1および第2出力ポート401 ,402 からブ
レーキペダル1の操作量に応じた増幅流体圧が出力さ
れ、各ブレーキBFL,BFR,BRL,BRRで増幅流体圧に
よる制動力が得られることになる。
【0053】このようにして制動操作量に応じて流体圧
力源3からの流体圧を制御して各ブレーキBFL,BFR
RL,BRRに与えることができるが、流体圧力伝達手段
FL,4FR,4R ではフリーピストン21により、各ブ
レーキBFL,BFR,BRL,B RRと、入力流体圧室19か
ら流体圧力源3までの流体圧回路とが隔絶されるので、
流体圧力源3で作動流体に混入する可能性のあるガスが
各ブレーキBFL,BFR,BRL,BRRに悪影響を及ぼすこ
とはない。
【0054】かかる制動時に、ブレーキペダル1による
踏力が過大となり、車輪がロックしそうになったときに
は、ロックしそうになっている車輪に対応する流入弁6
FL,6FR,6R を励磁して、第1出力ポート401 およ
び流体圧力伝達手段4FL,4 FR間、ならびに第2出力ポ
ート402 および流体圧力伝達手段4R 間を遮断する。
これにより車輪がロック状態になることを回避すべく制
動力の増大が抑えられる。これでも車輪がロック状態に
入りそうであるときには、対応する流出弁7FL,7FR
R を励磁して流体圧力伝達手段4FL〜4R の入力流体
圧室19をリザーバ9に連通し、制動圧を低下させるこ
とにより車輪のロック傾向を解消することができる。
【0055】上記制動時に流体圧ポンプ10等の故障に
より流体圧力源3の出力圧が異常に低下した場合を想定
する。この場合、流体圧力制御ユニット2の第1出力ポ
ート401 からの出力流体圧低下に応じてバイパス弁3
FL,30FR,30R が開弁する。したがってブレーキ
ペダル1の踏込み操作による反力ピストン61の前進作
動に応じて、戻しばね52のばね力とばね63のセット
荷重とが等しくなった時点でばね63の収縮による開閉
弁71の閉弁作動が開始され、反力室62に流体圧が発
生し、この流体圧は第3出力ポート403 からバイパス
弁30FL,30 FRを介して両前輪用ブレーキBFL,BFR
にそれぞれ与えられるとともにバイパス弁30R および
比例減圧弁5L ,5R を介して後輪用ブレーキBRL,B
RRに与えられることになる。したがって流体圧力源3の
出力圧が異常に低下した状態でも、操作圧発生手段42
で発生させた流体圧を各ブレーキBFL,BFR,BRL,B
RRに作用させることができる。
【0056】また上記制動時に、左前輪用ブレーキBFL
に連なる左個別流体圧通路81L で流体圧失陥が生じて
左前輪用ブレーキBFLで制動力が得られなくなった場合
を想定する。この場合には、右側昇圧規制弁83R にお
いてパイロット室86R に作用する左個別流体圧通路8
L の流体圧低下により右規制ピストン84R がパイロ
ット室86R の容積を縮小する側に移動することにより
弁機構88R が閉弁して右流体通路82R が遮断され、
右後輪用ブレーキBRRのブレーキ圧増大が回避される。
したがって車両の左、右での制動力の差を小さくするこ
とができる。また右前輪用ブレーキBFRに連なる右個別
流体圧通路81R で流体圧失陥が生じたときには、左側
昇圧規制弁83L の働きにより左後輪用ブレーキBRL
制動圧増大が回避され、車両の左、右での制動力の差を
小さくすることができる。
【0057】しかも左、右後輪のロック傾向を解消する
ために、流入弁6Rおよび流出弁7 R から成るアンチロ
ック制御手段AR により、左、右流体圧通路82L ,8
R の流体圧を低下せしめるときには、左側および右側
昇圧規制弁83L ,83R のカップシール90L ,90
R が弁機構88L ,88R を迂回して出力室85L ,8
R から左、右流体圧通路82L ,82R の上流側部分
への作動流体の流通を許容するので、弁機構88L ,8
R による流通抵抗にもかかわらず、左、右後輪用ブレ
ーキBRL,BRRの制動圧低下を速やかに行なうことがで
き、アンチロック制御時の応答性を向上することができ
る。
【0058】さらに非制動時に、エンジンの駆動力が過
大となり、駆動輪が過剰スリップを生じそうになると、
トラクション制御用切換制御弁8が励磁される。これに
より流体圧力源3の出力流体圧が流体圧伝達手段4FL
FRの入力流体圧室19に作用し、駆動輪である左右前
輪のブレーキBFL,BFRで制動力が発生し、過剰スリッ
プの発生が回避される。この後は、前述のアンチロック
制御時と同様に、流入弁6FL,6FRおよび流出弁7FL
FRの励磁および消磁制御により、制動力を制御可能で
ある。
【0059】図4は本発明の第2実施例を示すものであ
り、上記第1実施例に対応する部分には同一の参照符号
を付す。
【0060】左側および右側昇圧規制弁83L ′,83
R ′において、左および右規制ピストン84L ′,84
R ′は、出力室85L ,85R に臨む受圧面積A1 に対
してパイロット室86L ,86R に臨む受圧面積A2
小さく(A2 <A1 )なるように形成される。すなわ
ち、左および右規制ピストン84L ′,84R ′のパイ
ロット室86L ,86R 側には、小径の軸部100L
100R が同軸にかつ一体に連設され、これらの軸部1
00L ,100R は、パイロット室86L ,86 R に同
軸に連なってハウジング87L ′,87R ′に設けられ
た小径の摺動孔101L ,101R に挿入され、各摺動
孔101L ,101R の内面に嵌着されているシール部
材102L ,102R が各軸部100L ,100R の外
面に摺接される。しかも軸部100L ,100R の先端
と摺動孔101L ,101R の端壁との間に画成される
開放室103L ,103R は大気に開放される。
【0061】このような左側および右側昇圧規制弁83
L ′,83R ′によれば、出力室85L ,85R の流体
圧すなわち後輪用ブレーキBRL,BRRの制動圧が、パイ
ロット室86L ,86R すなわち左、右個別流体圧通路
81L ,81R の流体圧に対して比例的に減圧されるこ
とになり、第1実施例で示した比例減圧弁5L ,5R
不要となる。
【0062】以上の実施例では、左、右前輪用ブレーキ
FL,BFRおよび左、右後輪用ブレーキBRL,BRRのう
ち、左、右前輪用ブレーキBFL,BFRに相互に独立した
左、右個別流体圧通路81L ,81R を個別にそれぞれ
接続し、左、右後輪用ブレーキBRL,BRRには、前記
左、右個別流体圧通路81L ,81R とは独立している
ものの流体圧を共通とした左、右流体圧通路82L ,8
R をそれぞれ接続したが、各ブレーキBFL,BFR,B
RL,BRRに相互に独立した個別流体圧通路をそれぞれ個
別に接続するようにした車両用制動装置に本発明を適用
することも可能である。
【0063】
【発明の効果】以上のように本発明の第1の特徴によれ
ば、前後左右のブレーキのうち、少なくとも前後いずれ
か一方の組の左、右ブレーキには、該左、右ブレーキに
相互に独立した制動流体圧を導くための、互いに独立し
た左、右個別流体圧通路が個別にそれぞれ接続され、前
後いずれか他方の組の左、右ブレーキには、該他方の組
の左、右ブレーキにそれぞれ制動流体圧を導くための、
前記左、右個別流体圧通路とは独立した左、右流体圧通
路がそれぞれ接続される車両用制動装置において、左流
体圧通路には、該左流体圧通路の流体圧を一端に受ける
とともに右個別流体圧通路の流体圧を他端に受ける左側
規制ピストンの前記他端側への移動に応じて閉弁する
1の弁機構を有する左側昇圧規制弁が介設され、右流体
圧通路には、該右流体圧通路の流体圧を一端に受けると
ともに左個別流体圧通路の流体圧を他端に受ける右規制
ピストンの前記他端側への移動に応じて閉弁する第2の
弁機構を有する、前記左側昇圧規制弁とは別個独立の
側昇圧規制弁が介設されるので、左、右個別流体圧通路
に連なる左、右ブレーキの一方(例えば左前輪ブレー
キ)で故障等により制動力が得られないときには、それ
と対角位置にある車輪ブレーキ(例えば右後輪ブレー
キ)に対応した昇圧制御弁によって、該対角位置にある
車輪ブレーキの制動圧増圧規制することができ、従っ
て、全体として制動力の低下を極力抑えながら、上記故
障等に伴う左右制動力のアンバランス発生を極力抑える
ことができる。
【0064】また本発明の第2の特徴によれば、上記第
1の特徴の構成に加えて、左、右個別流体圧通路は左、
右前輪用ブレーキに個別に接続され、左および右規制ピ
ストンにおいて右および左個別流体圧通路の流体圧を受
ける受圧面積は、左および右流体圧通路の流体圧を受け
る受圧面積よりも小さく設定されるので、上記第1の特
徴の効果を奏した上に、左側および右側昇圧規制弁に比
例減圧弁の機能を持たせることができ、比例減圧弁を不
要として部品点数低減に寄与することができる。
【0065】さらに本発明の第3の特徴によれば、上記
第1または第2の特徴の構成に加えて、左、右流体圧通
路の左側および右側昇圧規制弁よりも上流側には、
左、右流体圧通路の流体圧を車輪のロック傾向に応じて
制御可能なアンチロック制御手段が接続され、左、右流
体通路には、上流側への流通のみを許容する一方向弁が
前記弁機構をそれぞれ迂回して接続されるので、第1ま
たは第2の特徴の効果を奏した上に、その一方向弁の特
設によって、車輪ブレーキからアンチロック制御手段側
へ流通する流路の拡大を図ることができて、上記弁機構
による流通抵抗の影響を極力回避しながら、車輪ブレー
キからアンチロック制御手段側へ流体をスムーズに流通
させることが可能となり、従ってアンチロック制御手段
がブレーキ圧を減少制御する際の減少応答性を、上記昇
圧制御弁の介設にもかかわらず、確保または高めること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の車両用制動装置の流体圧回路図で
ある。
【図2】流体圧力制御ユニットの縦断面図である。
【図3】昇圧規制弁の断面図である。
【図4】第2実施例の昇圧規制弁の断面図である。
【符号の説明】
81L ・・・・・・・・左個別流体圧通路 81R ・・・・・・・・右個別流体圧通路 82L ・・・・・・・・左流体圧通路 82R ・・・・・・・・右流体圧通路 83L ,83L ′・・・左側昇圧規制弁 83R ,83R ′・・・右側昇圧規制弁 84L ,84L ′・・・左規制ピストン 84R ,84R ′・・・右規制ピストン 88L ,88R ・・・・弁機構 90L ,90R ・・・・一方向弁としてのカップシール BFL・・・・・・・・・左前輪用ブレーキ BFR・・・・・・・・・右前輪用ブレーキ BRL・・・・・・・・・左後輪用ブレーキ BRR・・・・・・・・・右後輪用ブレーキ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−116965(JP,A) 実開 平1−81362(JP,U) 実開 昭62−185674(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 8/40 B60T 8/44 B60T 8/94 B60T 17/18

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 左、右前輪用ブレーキ(BFL,BFR)お
    よび左、右後輪用ブレーキ(BRL,BRR)のうち、少な
    くとも前後いずれか一方の組の左、右ブレーキ(BFL
    FR)には、該左、右ブレーキ(B FL ,B FR )に相互に
    独立した制動流体圧を導くための、互いに独立した左、
    右個別流体圧通路(81L ,81R 個別にそれぞれ
    接続され、 前後いずれか他方の組の左、右ブレーキ(BRL,BRR
    には、該他方の組の左、右ブレーキ(B RL ,B RR )にそ
    れぞれ制動流体圧を導くための、前記左、右個別流体圧
    通路(81L ,81R )とは独立した左、右流体圧通路
    (82L ,82R )がそれぞれ接続される車両用制動装
    置において、 左流体圧通路(82L )には、該左流体圧通路(8
    L )の流体圧を一端に受けるとともに右個別流体圧通
    路(81R )の流体圧を他端に受ける左規制ピストン
    (84L ,84L ′)の前記他端側への移動に応じて閉
    弁する第1の弁機構(88L )を有する左側昇圧規制弁
    (83L ,83L ′)が介設され、 右流体圧通路(82R )には、該右流体圧通路(8
    R )の流体圧を一端に受けるとともに左個別流体圧通
    路(81L )の流体圧を他端に受ける右規制ピストン
    (84R ,84R ′)の前記他端側への移動に応じて閉
    弁する第2の弁機構(88R )を有する、前記左側昇圧
    規制弁(83 L ,83 L ′)とは別個独立の右側昇圧規
    制弁(83R ,83R ′)が介設されることを特徴とす
    る車両用制動装置。
  2. 【請求項2】 左、右個別流体圧通路(81L ,8
    R )は左、右前輪用ブレーキ(BFL,BFR)に個別に
    接続され、左および右規制ピストン(84L ′,8
    R ′)において右および左個別流体圧通路(81R
    81L )の流体圧を受ける受圧面積は、左および右流体
    圧通路(82L ,82R )の流体圧を受ける受圧面積よ
    りも小さく設定されることを特徴とする請求項1記載
    の車両用制動装置。
  3. 【請求項3】 左、右流体圧通路(82 L ,82 R
    左側および右側昇圧規制弁(83L ,83L ′;8
    R ,83R ′)よりも上流側には、該左、右流体圧
    路(82 L ,82 R )の流体圧を車輪のロック傾向に応
    じて制御可能なアンチロック制御手段(AR )が接続さ
    れ、左、右流体通路(82 L ,82 R )には、上流側へ
    の流通のみを許容する一方向弁(90L ,90R )が前
    記弁機構(88L ,88R )をそれぞれ迂回して接続さ
    れることを特徴とする請求項1または2記載の車両用
    制動装置。
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