JP3086322B2 - 磁気記録媒体、それに使用するポリウレタン系樹脂及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体、それに使用するポリウレタン系樹脂及びその製造方法

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JP3086322B2
JP3086322B2 JP04078447A JP7844792A JP3086322B2 JP 3086322 B2 JP3086322 B2 JP 3086322B2 JP 04078447 A JP04078447 A JP 04078447A JP 7844792 A JP7844792 A JP 7844792A JP 3086322 B2 JP3086322 B2 JP 3086322B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気テープ、磁気シー
ト、磁気ディスクなどとして用いられる磁気記録媒体に
関し、さらに詳しくいえば、磁性層における結合剤とし
て、機械的特性に優れ、かつ磁性粉末の分散性が良好
な、アクリル系重合体を側鎖に有する特定のポリウレタ
ン系樹脂を用いて成る、磁性層の表面平滑性、耐久性及
び磁気特性などに優れた高性能の磁気記録媒体、その磁
気記録媒体に使用するポリウレタン系樹脂及びその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録媒体は、例えばオーディ
オ機器、ビデオ機器、コンピューターなどに用いられ、
その需要は著しく伸びてきている。この磁気記録媒体
は、一般に、ポリエステルフィルムなどの非磁性支持体
上に、磁性粉末と結合剤とから成る磁性層が設けられた
構造を有しており、そして、この磁性層は、通常磁性粉
末を、結合剤を含有する媒体中に分散させた分散液を該
非磁性支持体に塗布したり、あるいは転写したりするこ
とによって形成されている。従来、該結合剤としては、
例えばポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリウ
レタン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化
ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化
ビニル−塩化ビニリデン共重合体、アクリロニトリル−
ブタジエン共重合体、フェノール系樹脂、エポキシ系樹
脂、ポリアミド系樹脂、ニトロセルロース、セルロース
アセテートブチレート、アクリル系樹脂、電子線硬化型
樹脂などが用いられている。これらの結合剤はそれぞれ
長所及び短所を有しており、単独使用では望ましい性質
を有する磁気層が得られにくいため、通常2種以上を組
み合わせて用いたり、分散剤などが併用されている。例
えばポリウレタン系樹脂は、高耐久性を有し、機械的特
性に優れた磁気記録媒体を与え(特公昭58−8053
号公報)、好ましい結合剤であるが、磁性粉末との親和
性に欠けるため、そのままでは十分な表面平滑性、均一
分散性、磁気特性を有する磁性層を与えにくいという欠
点を有している。したがって、このような欠点を改良す
るため、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル
−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体などの樹脂や
分散剤を併用したり、あるいはポリウレタン系樹脂に種
々の極性基を導入したりすることが試みられている。し
かしながら、この場合、ポリウレタン系樹脂本来の良好
な機械的特性が低下するのを免れないという問題が生じ
る。一方、アクリル系樹脂は極めて硬度が高くて、粘着
性も少なく、摩擦抵抗を下げうるなどという長所を有す
ることから、該ポリウレタン系樹脂における前記の問題
を解決するために、このアクリル系樹脂をポリウレタン
系樹脂に組み合わせることが考えられるが、この場合ア
クリル系樹脂とポリウレタン系樹脂とは相溶性が極めて
悪く、アクリル系樹脂の長所が十分に発揮されないとい
う問題がある。このような従来技術の欠点を改良するた
めに、本発明者らは先に末端ジオール型アクリル系マク
ロモノマーを共重合させたポリウレタン系樹脂を磁性層
の結合剤として用いることを提案している(特願平1−
168191号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
磁性層の結合剤としてポリウレタン系樹脂を用いた従来
の磁気記録媒体が有する欠点をより一層克服し、さらに
耐久性及び機械的特性に優れるとともに、磁性層の表面
平滑性、均一分散性、磁気特性、耐久性などに優れた高
性能磁気記録媒体を提供することを目的としてなされた
ものである。また、本発明は、高性能磁気記録媒体に使
用されるポリウレタン系樹脂、及びそのポリウレタン系
樹脂の効率的な製造方法を提供することを目的としてな
されたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の高
性能磁気記録媒体を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、
磁性層における結合剤として、ポリウレタン系重合体か
ら成る主鎖と、繰り返し単位がメタクリル酸エステル単
位又はアクリル酸アミノアルキルエステル単位から成
り、重量平均分子量が1000〜10000のアクリル
系重合体から成る側鎖と及び主鎖と側鎖を連結するスル
フィド結合を有する連結基とを有するポリウレタン系樹
脂を用いることにより、アクリル系樹脂とポリウレタン
系樹脂との相溶性の問題がなくなり、アクリル系樹脂の
長所が十分に発揮され、その目的を達成しうることを見
い出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至っ
た。また、本発明者らは、前記の高性能磁気記録媒体に
使用するポリウレタン系樹脂の製造方法を開発すべく鋭
意研究を重ねた結果、ポリオールとポリイソシアネート
と一般式[1] X−B−A (式中、Xはジヒドロキシ炭化水素基であり、Aは繰り
返し単位がメタクリル酸エステル単位又はアクリル酸ア
ミノアルキルエステル単位から成り、重量平均分子量が
1000〜10000のアクリル系重合体から成る側鎖
であり、Bはスルフィド基、又はスルフィド結合を有す
る炭素数1〜5の炭化水素基である。)で表される片末
端ジオール型アクリル系マクロモノマーを縮合すること
により効率的に製造することができることを見い出し、
その知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明は、次の各項の発明より
なるものである。 (1)非磁性支持体上に、強磁性粉末を結合剤中に分散
させて成る磁性層を有する磁気記録媒体において、前記
結合剤が、−COOM、−SO3M、−OSO3M、−P
3M、−OPO3M及び第三級アミノ基(Mは水素原子
又はカチオンを示す。)の中から選ばれた少なくとも1
種の極性基をポリエステル又はポリエーテルを介して導
入したポリウレタン系重合体から成る主鎖と、繰り返し
単位がメタクリル酸エステル単位又はアクリル酸アミノ
アルキルエステル単位から成り、重量平均分子量が10
00〜10000のアクリル系重合体から成る側鎖及び
主鎖と側鎖を連結するスルフィド結合を有する連結基か
ら構成されるポリウレタン系樹脂を含有することを特徴
とする磁気記録媒体。 (2)連結基が−CH2−S−又は−S−である第1項
記載の磁気記録媒体。 (3)ポリウレタン系樹脂が、ポリオールと−COO
M、−SO3M、−OSO3M、−PO3M、−OPO3
及び第三級アミノ基(Mは水素原子又はカチオンを示
す。)の中から選ばれた少なくとも1種の極性基を有し
且つアルコール基又はアミノ基を有するポリエステル又
はポリエーテルとポリイソシアネートと一般式[1] X−B−A (式中、Xはジヒドロキシ炭化水素基であり、Aは繰り
返し単位がメタクリル酸エステル単位又はアクリル酸ア
ミノアルキルエステル単位から成り、重量平均分子量が
1000〜10000のアクリル系重合体から成る側鎖
であり、Bはスルフィド結合を有する連結基である。)
で表される片末端ジオール型アクリル系マクロモノマー
を縮合することにより得られる重合体である第1項記載
の磁気記録媒体。 (4)一般式[1]の連結基のBが−CH2−S−又は
−S−である第3項記載の磁気記録媒体。 (5)−COOM、−SO3M、−OSO3M、−PO3
M、−OPO3M及び第三級アミノ基(Mは水素原子又
はカチオンを示す。)の中から選ばれた少なくとも1種
の極性基をポリエステル又はポリエーテルを介して導入
したポリウレタン系重合体から成る主鎖と、繰り返し単
位がメタクリル酸エステル単位又はアクリル酸アミノア
ルキルエステル単位から成り、重量平均分子量が100
0〜10000のアクリル系重合体から成る側鎖及び主
鎖と側鎖を連結するスルフィド基又はスルフィド結合を
有する炭素数1〜5の炭化水素基から構成されるポリウ
レタン系樹脂。 (6)ポリオールとポリイソシアネートと一般式[1] X−B−A (式中、Xはジヒドロキシ炭化水素基であり、Aは繰り
返し単位がメタクリル酸エステル単位又はアクリル酸ア
ミノアルキルエステル単位から成り、重量平均分子量が
1000〜10000のアクリル系重合体から成る側鎖
であり、Bはスルフィド基、又はスルフィド結合を有す
る炭素数1〜5の炭化水素基である。)で表される片末
端ジオール型アクリル系マクロモノマーを縮合すること
を特徴とする第5項記載のポリウレタン系樹脂の製造方
法。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】本発明の磁気記録媒体における磁性層は、
強磁性粉末を、ポリウレタン系重合体から成る主鎖と、
繰り返し単位がメタクリル酸エステル単位又はアクリル
酸アミノアルキルエステル単位から成り、重量平均分子
量が1000〜10000のアクリル系重合体から成る
側鎖及び主鎖と側鎖を連結するスルフィド結合を有する
連結基を有するポリウレタン系樹脂を含有する結合剤中
に分散させたものから構成されている。本発明におい
て、主鎖を構成するポリウレタン系重合体についてはウ
レタン結合を有する重合体であれば特に制限はなく、例
えばポリオールとポリイソシアネートと所望に応じて用
いられる鎖延長剤とを、公知の方法によって反応させる
ことにより得られるポリウレタン系重合体などが挙げら
れる。
【0008】このポリウレタン系重合体から成る主鎖の
原料の1つとして用いられるポリオールとしては、従来
ポリウレタン系重合体の製造に慣用されているものの中
から任意のものを選択して用いることができる。このよ
うなものとしては、例えばポリエステルポリオールをは
じめ、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリラ
クトンジオール、ポリカーボネートポリオール、アクリ
ルポリオール、ポリプロピレングリコールなどが挙げら
れるが、ポリエステルポリオール、ポリラクトンポリオ
ール、ポリカーボネートポリオールが好ましく、特にポ
リカーボネートポリオールが好ましい。また、これらの
ポリオールの分子量は、特に限定されるものではない
が、重量平均分子量が300〜4000のものが好まし
く、特に700〜2000が好ましい。
【0009】前記ポリエステルポリオールとしては、例
えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオ
ペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、ジエチ
レングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールな
どのグリコール類と、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、
グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、ア
ゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、ブ
ラシル酸、フマル酸、マレイン酸、メチルマレイン酸、
メチルフマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、リンゴ
酸、メチルリンゴ酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフ
タル酸、ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸類
とから得られたもの、具体的にはポリエチレンアジペー
ト、ポリエチレンプロピレンアジペート、ポリエチレン
ブチレンアジペート、ポリジエチレンアジペート、ポリ
ブチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリ
ブチレンサクシネート、ポリエチレンセバケート、ポリ
ブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンアジペート、
ポリ−シクロヘキシルジメチレンアジペートなどが挙げ
られる。
【0010】前記ポリカーボネートポリオールとして
は、ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3
−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−
ペンタンジオールなどの多価アルコール類とホスゲンク
ロル酢酸エステル、ジアルキルカーボネート、又はジア
リルカーボネートとの縮合によって得られるポリカーボ
ネートジオールなどのポリカーボネートポリオールが挙
げられるが(特開昭56−60420号公報参照)、ヘ
キサンジオールとジエチルカーボネートから得られるポ
リカーボネートジオール、ヘキサンジオールとジフェニ
ルカーボネートから得られるポリカーボネートジオール
が好ましく、特にヘキサンジオールとジエチルカーボネ
ートから得られるポリカーボネートジオールが好まし
い。また前記ポリラクトンポリオールとしては、例えば
ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリ−アルキル置
換ε−カプロラクトンジオール、ポリ−δ−バレロラク
トンジオール、ポリ−アルキル置換δ−バレロラクトン
ジオールなどが挙げられるが、ポリ−ε−カプロラクト
ンジオールが好ましい。
【0011】これらの前記ポリオールは1種用いてもよ
いし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記ポリ
ウレタン系重合体のもう1つの原料であるポリイソシア
ネートについては特に制限はなく、従来ポリウレタン系
重合体の製造に慣用されているものの中から任意のもの
を選択して用いることができる。該ポリイソシアネート
の好ましいものとしては、例えばトリレンジイソシアネ
ート、4−メトキシ−1,3−フェニレンジイソシアネ
ート、4−イソプロピル−1,3−フェニレンジイソシ
アネート、4−クロル−1,3−フェニレンジイソシア
ネート、4−ブトキシ−1,3−フェニレンジイソシア
ネート、2,4−ジイソシアネート−ジフェニルエーテ
ル、メシチレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニル
メタンジイソシアネート、ジュリレンジイソシアネー
ト、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ベンジジン
ジイソシアネート、o−ニトロベンジジンジイソシアネ
ート、4,4'−ジイソシアネートジベンジル、1,4−
テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチ
レンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソ
シアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、4,4'−メチレンビ
ス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,5−テトラ
ヒドロナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソ
シアネートなどのジイソシアネートなどが挙げられる
が、特に4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート
(MDI)が好ましい。これらのポリイソシアネートは
1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても
よい。
【0012】また、該ポリウレタン系重合体に、所望に
応じて用いられる鎖延長剤としては、例えばエチレング
リコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコ
ール、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、
トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキ
サメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、イソホロ
ンジアミン、m−キシリレンジアミン、ヒドラジン、水
などが挙げられる。これらの鎖延長剤は1種用いてもよ
いし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0013】本発明において、ポリウレタン系重合体
は、前記のポリオールとポリイソシアネートと所望に応
じて用いられる鎖延長剤とを、公知の方法によって反応
させることにより得られるが、該ポリウレタン系重合体
として、磁性粉との親和性を向上させて磁性粉の分散性
を高めるために、−COOM、−SO3M、−OSO
3M、−PO3M、−OPO3M及び第三級アミノ基の中
から選ばれた少なくとも1種の極性基を導入したものが
好ましく、特に−SO3Mが好ましい。前記極性基にお
けるMは水素原子又はカチオンであり、該カチオンとし
ては、例えばナトリウムやカリウムなどのアルカリ金
属、アンモニウム、モノ、ジ又はトリアルキル置換アン
モニウムなどのカチオンが挙げられるが、ナトリウムが
好ましい。
【0014】前記極性基をポリウレタン系重合体に導入
する方法については特に制限はなく、極性基の種類に応
じて、従来公知の方法の中から適宜選択して用いること
ができる。例えば極性基を含有するポリオール又は鎖延
長剤又はポリイソシアネートを用いる方法、あるいはこ
れらの組み合わせを用いる方法、さらには得られたポリ
ウレタン系重合体の極性基を他の極性基に変換する方法
などを用いることができる。ポリウレタン系重合体の極
性基を他の極性基に変換する方法としては、例えばポリ
ウレタン系重合体を製造する際に、各原料の仕込み割合
を適当に調節してポリウレタン系重合体中に極性基の水
酸基を導入し、次いでこの水酸基を−OSO3Mや−O
PO3M(ただし、Mは前記と同じ意味をもつ)などに
変換する方法などを挙げることができる。
【0015】前記極性基の中で−COOM(Mは前記と
同じ意味をもつ)をポリウレタン系重合体中に導入する
方法の具体例としては、前記ポリオールの一部として、
ポリオールの主鎖にエステル結合を介してカルボキシル
基を有するポリオールを用いてポリウレタン系樹脂を製
造する方法を挙げることができる。このカルボキシル基
を有するポリオールは、3官能以上の水酸基を有するポ
リオールにポリカルボン酸、好ましくは分子内に酸無水
物基を有するポリカルボン酸を該ポリオールの水酸基が
少なくとも2個残るように反応させることによって得ら
れる。
【0016】該カルボキシル基を有するポリオールの原
料となるポリオールの好ましいものとしては、例えばグ
リセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エリトリッ
ト、ペンタエリトリット、アラビット、ソルビット、ソ
ルビタン、マンニット、マンニタン、トリメチロールプ
ロパンなどの三価以上のアルコール、あるいはこれらの
多価アルコールを開始剤としてエチレンオキサイド、プ
ロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどのアルキ
レンオキサイドを重合させたポリエーテルポリオール、
これらの多価アルコール又はポリエーテルポリオールと
ジカルボン酸とから成る三価以上の水酸基を有するポリ
エステルポリオール、有機ポリアミンを開始剤とした上
記のアルキレンオキサイドの重合体、該重合体とジカル
ボン酸とから得られる三価以上の水酸基を有するポリエ
ステルポリオールなどが挙げられるが、これらの中で、
分子量が約90〜4,000のポリエーテルトリオール
が特に好適である。
【0017】一方、前記原料となるポリオールと反応さ
せるポリカルボン酸としては、例えばシュウ酸、マロン
酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、
スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マ
レイン酸、メチルマレイン酸、メチルフマル酸、イタコ
ン酸、シトラコン酸、メサコン酸、アセチレン酸、リン
ゴ酸、メチルリンゴ酸、クエン酸、イソクエン酸、酒石
酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリ
ット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、及
びこれらのアルキルエステル、酸ハロゲン化物、酸無水
物のような反応性誘導体などが挙げられるが、これらの
中で、酸無水物を形成しうるポリカルボン酸の酸無水物
が特に好適である。
【0018】前記原料となるポリオールとこれらのポリ
カルボン酸との反応は、得られるカルボン酸変性ポリオ
ールがジオールになる割合、例えばトリオール1モルに
対してジカルボン酸の酸無水物を1モルの割合で反応さ
せるのが好ましい。ポリオールとポリカルボン酸、特に
ポリカルボン酸の酸無水物との反応は極めて容易であ
り、常法に従って行えばよく、またこのようなポリオー
ルとポリカルボン酸との反応は、ポリウレタン系樹脂の
製造中又は製造後に行ってもよい。最も好ましいのは、
ポリウレタン系樹脂の製造前に、あらかじめポリオール
をカルボン酸変性しておくことである。
【0019】また、前記極性基の中で第三級アミノ基を
ポリウレタン系樹脂中に導入する方法の具体例として
は、前記ポリヒドロキシ化合物の一部として、第三級ア
ミノ基を有するポリオールを用いてポリウレタン系樹脂
を製造する方法を挙げることができる。この第三級アミ
ノ基を有するポリオールとしては、例えば一般式 HO−R1−NR3−R2−OH …[2] 又は HO−R1−N(−R4NR56)−R2−OH …[3] 又は HO−R1−CH(−R4NR56)−R2−OH …[4] [式中のR1、R2及びR4は(CH2)又は(CH2CH
7O)n(nは1〜30の整数、R7は水素原子又はメチ
ル基)、R3、R5及びR6は炭素数1〜20のアルキル
基である]で表される化合物などが用いられる。
【0020】前記一般式[2]で表される化合物の具体
例としては、例えばN−メチルジエタノールアミン、N
−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジプロパノ
ールアミン、N−ブチルジプロパノールアミン、N−ペ
ンチルジブタノールアミン、N−シクロヘキシルジエタ
ノールアミンなど、あるいはこれらにエチレンオキサイ
ド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイド
やε−カプロラクトンなどのカプロラクトンを付加させ
たもの、さらにはメチルアミン、エチルアミン、プロピ
ルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルア
ミンなどに、前記アルキレンオキサイドやカプロラクト
ンを付加させたものなどが挙げられる。また、前記一般
式[3]で表される化合物としては、例えば3−ジメチ
ルアミノプロピルアミン、3−ジメチルアミノブチルア
ミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、4−ジプロ
ピルアミノテトラメチレンアミン、6−ジブチルアミノ
ヘキサメチレンアミンなどの一級及び三級アミノ基を有
する化合物に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサ
イドなどのアルキレンオキサイドやε−カプロラクトン
などのカプロラクトンを付加して成るものなどが挙げら
れる。
【0021】本発明においては、ポリウレタン系樹脂中
に導入される前記極性基の量は、樹脂1g当たり、10
-6〜10-2モルの範囲にあることが好ましく、特に10
-5〜10-3モルの範囲にあることが好ましい。この極性
基の量が樹脂1g当たり、10-10モル未満では極性基
を導入した効果が十分に発揮されないし、10-2モルを
超えるとその量の割には効果の向上は認められず、むし
ろポリウレタン系樹脂本来の機械的特性が低下する傾向
が生じ好ましくない。本発明に用いるポリウレタン系樹
脂の側鎖は、繰り返し単位がメタクリル酸エステル単位
又はアクリル酸アミノアルキルエステル単位から成り、
重量平均分子量が1000〜10000のアクリル系重
合体から成ることが必要である。
【0022】なお、このアクリル系重合体は、上記2種
の繰り返し単位の他に、本発明の目的に反しない範囲
で、他の繰り返し単位、例えば他のアクリル系繰り返し
単位を含んでも良い。メタクリル酸エステル単位として
は、各種メタクリル酸のアルキルエステルが使用できる
が、炭素数1〜3の低級アルキルエステルが好ましい。
メタクリル酸エステルの具体例としては、例えばメタク
リル酸メチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、
メタクリル酸n−プロピルエステル、メタクリル酸イソ
プロピルエステルなどが挙げられるが、メタクリル酸メ
チルエステルが好ましい。
【0023】アクリル酸アミノアルキルエステル単位と
しては、アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル
が好ましく、特にこのアクリル酸ジアルキルアミノアル
キルエステルの各アルキル基が炭素数1〜3の低級アル
キル基であるものが好ましい。アクリル酸アミノアルキ
ルエステル単位の具体例としては、例えばアクリル酸ジ
メチルアミノエチルエステル、アクリル酸メチルエチル
アミノエチルエステル、アクリル酸ジエチルアミノメチ
ルエステル、アクリル酸ジプロピルアミノエチルエステ
ル、アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、アクリ
ル酸ジメチルアミノプロピルエステルなどの単位が挙げ
られるが、アクリル酸ジメチルアミノエチルエステルが
好ましい。
【0024】上記側鎖のアクリル系重合体のうち、メチ
ルメタクリレート単位単独から成るもの、メチルメタク
リレート単位とこの100重量部当たり50重量部以下
のジメチルアミノエチルメタクリレート単位及び/又は
メタクリル酸単位とから成るものが好ましい。また、こ
のアクリル系重合体の重量平均分子量は1,000〜5
0,000の範囲にあることが必要であり、2,000〜
20,000の範囲が好ましく、特に3,000〜10,
000の範囲が好ましい。重量平均分子量がこの範囲を
逸脱すると本発明の目的が十分に発揮されない。さらに
側鎖の含有割合については、ポリウレタン系樹脂の5〜
60重量%が好ましく、特に10〜50重量%が好まし
い。
【0025】また、本発明のポリウレタン系樹脂の主鎖
と側鎖を連結する連結基は、スルフィド結合を有するこ
とが必要である。この連結基としては、スルフィド基又
はスルフィド結合を有する種々の有機基が挙げられる
が、スルフィド結合を有する炭化水素基が好ましく、特
に炭素数1〜5のスルフィド結合を有する炭化水素基、
スルフィド基が好ましい。この連結基の具体例として
は、例えば−S−、−CH2−S−、−CH2−CH2
S−、−CH(CH3)−CH2−S−、−CH2−S−C
2−、−CH2−CH2−S−CH2−、−CH2−CH2
−CH2−CH2−S−CH2−などが挙げられるが、−
CH2−S−が好ましい。
【0026】本発明においては、結合剤成分として用い
るポリウレタン系樹脂は、種々の方法により製造するこ
とができるが、上記ポリオールとジイソシアネートと一
般式[1] X−B−A (式中、Xはジヒドロキシ炭化水素基であり、Aは繰り
返し単位がメタクリル酸エステル単位又はアクリル酸ア
ミノアルキルエステル単位から成り、分子量が1000
〜10000のアクリル系重合体から成る側鎖であり、
Bはスルフィド基又はスルフィド結合を有する炭素数1
〜4の炭化水素基である。)で表される片末端ジオール
型アクリル系マクロモノマーを縮合することにより製造
することが好ましい。片末端ジオール型アクリル系マク
ロモノマーの含有割合は、ポリウレタン系樹脂全体量の
通常1〜95重量%であり、好ましくは5〜60重量%
であり、特に好ましくは10〜50重量%である。
【0027】上記一般式中のXはジヒドロキシ炭化水素
基であるが、この炭化水素基は炭素数1〜10のものが
好ましく、特に炭素数1〜4の飽和炭化水素基が好まし
い。このXの具体例としては、例えばジヒドロキシエチ
ル基、ジヒドロキシプロピル基、ジヒドロキシブチル
基、ジヒドロキシペンチル基などが挙げられるが、ジヒ
ドロキシエチル基が好ましい。なお、上記ポリウレタン
系樹脂の製造方法に使用する溶媒としては、通常ポリウ
レタン樹脂の製造に使用する各種溶媒を使用することが
できるが、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、シクロヘキサノンなどのケトン類が好ましい。
【0028】本発明の磁気記録媒体においては、磁性層
の結合樹脂として、前記のポリウレタン系樹脂を単独で
用いることもできるが、本発明の目的を損なわない範囲
で所望に応じ、他の樹脂、例えば塩化ビニル系樹脂、塩
化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合系
樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール共重
合系樹脂、アルキッド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリ
ロニトリル−ブタジエン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、
ニトロセルロース系樹脂、ポリブチロール系樹脂、ポリ
エステル系樹脂、シリコーン系樹脂、メラミン系樹脂、
尿素系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂などを
用いることができる。これらの他の樹脂は1種用いても
よいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】該磁性層に用いられる強磁性粉末として
は、例えば鉄、クロム、ニッケル、コバルト、あるいは
これらの合金、酸化物、変性物、具体的にはγ−Fe2
3、フェライト、マグネタイト、CrO2などや、コバ
ルトドープしたγ−Fe23、コバルトドープしたFe
23とFe34とのベルトライド化合物などの微粉末が
挙げられる。これらは1種用いてもよいし、2種以上を
組み合わせて用いてもよい。
【0030】前記結合樹脂及び強磁性粉末は、通常有機
溶剤中に溶解及び分散させて用いられる。該有機溶剤の
好ましいものとしては、例えばメチルエチルケトン、メ
チル−n−プロピルケトン、メチルイソブチルケトン、
ジエチルケトン、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピ
ル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、
シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、
メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブ
タノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロ
ソルブアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルス
ルホキシド、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘ
プタン、オクタン、ミネラルスピリット、石油エーテ
ル、ガソリン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロ
ホルム、四塩化炭素、クロルベンゼン、パークロルエチ
レン、トリクロルエチレンなどが挙げられる。これらの
溶剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混
合して用いてもよい。
【0031】この分散液は、その全重量に基づき、通常
有機溶剤が50〜90重量%、結合剤が5〜20重量%
及び強磁性粉末が10〜50重量%の割合になるように
調製される。また、この分散液には、所望に応じ本発明
の目的を損なわない範囲で、公知の添加成分、例えば分
散剤、顔料、体質顔料、可塑剤、帯電防止剤、界面活性
剤、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、安定剤、消泡剤などを
添加することができる。このような分散液の調製方法に
ついては特に制限はなく、従来分散液の製造において慣
用されている方法、例えば使用する各成分を同時に又は
順次加えながら、ボールミル、ミキサー、ロールミル、
ビーズミル、グラベルミル、サンドミル、高速インペラ
ーなどを用いて、均質に混合分散処理する方法などを用
いることができる。また、分散条件については、使用す
る磁性粉末の種類やサイズ、あるいは用途によって異な
るが、一般的には常温ないし100℃の範囲の温度にお
いて、5分ないし20時間程度処理すればよい。
【0032】本発明の磁気記録媒体における磁性層は、
例えば前記のようにして調製された分散液を非磁性支持
体上の少なくとも一方の面に、その乾燥時の厚さが通常
0.5〜20μmの範囲になるように任意の方法によっ
て塗布し、次いで乾燥させることによって形成すること
ができるし、また、該分散液を離型紙などの基体シート
上に塗布及び乾燥させて磁性層を形成し、次いで支持体
上に転写させる方法によって形成することもできる。こ
の際の塗布方法、乾燥方法、転写方法などは、いずれも
公知の方法の中から任意の方法を選択して用いればよ
い。前記非磁性支持体については特に制限はなく、従来
磁気記録媒体に慣用されているもの、例えば厚さ5〜5
0μm程度のポリエステルフイルム、ポリプロピレンフ
イルム、セルローストリアセテートフイルム、セルロー
スジアセテートフイルム、ポリカーボネートフイルムな
どの中から選ばれた任意のものを用いることができる。
【0033】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。 製造例1 カルボキシル基変性型ポリウレタン樹脂 ヘキサンジオールとジエチルカーボネートを重縮合した
ポリカーボネートジオール(OH価=112)251.
4g、片末端ジヒドロキシアクリル系マクロモノマー
(一般式[1]のAがメタクリル酸メチル単位/メタク
リル酸単位のモル比9/1から成る分子量5000のも
のであり、Bが−CH2−S−であり、Xが1,2−ジヒ
ドロキシエチル基である)27.3g、カルボキシル基
変性ポリプロピレンジオール5.0g、4,4'−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート(MDI)64.9g、メ
チルエチルケトン(MEK)323.7g、シクロヘキ
サノン323.7gを混合して100℃で8時間反応さ
せてカルボキシル基変性型ポリウレタン樹脂を得た。な
お、カルボキシル基変性ポリプロピレンジオールはプロ
ピレンオキサイド付加物(分子量約1500)1000
重量部、無水コハク酸78.7重量部を反応させたもの
で、その水酸基価は69.3であった。
【0034】製造例2 カルボキシル基変性型ポリウレ
タン樹脂 ヘキサンジオールとジフェニルカーボネートを重縮合し
たポリカーボネートジオール(OH価=112)21
0.6g、片末端ジヒドロキシアクリル系マクロモノマ
ー(一般式[1]のAがメタクリル酸メチル単位から成
る分子量5000のものであり、Bが−CH2−S−で
あり、Xが1,2−ジヒドロキシエチル基である)27.
8g、製造例1で使用したカルボキシル基変性ポリプロ
ピレンジオール16.9g、4,4'−ジフェニルメタン
ジイソシアネート(MDI)63.9g、メチルエチル
ケトン(MEK)323.7g、シクロヘキサノン32
3.7gを混合して100℃で8時間反応させてカルボ
キシル基変性型ポリウレタン樹脂を得た。
【0035】製造例3 アミノ基変性型ポリウレタン樹
ヘキサンジオールとジエチルカーボネートを重縮合した
ポリカーボネートジオール(OH価112)237.3
g、片末端ジヒドロキシアクリル系マクロモノマー(一
般式[1]のAがメチルメタクリレート単位/ジメチル
アミノエチルメタクリレート単位のモル比9/1から成
る分子量6000のものであり、Bが−CH2−S−で
あり、Xが1,2−ジヒドロキシエチル基である)31.
7g、ポリオキシプロピレンジメチルアミノエーテル1
5.8g、MDI63.7g、MEK323.7g、シク
ロヘキサノン323.7gを混合し、100℃で8時間
反応させ、アミノ基変性型ポリウレタン樹脂を得た。な
お、ポリオキシプロピレンジメチルアミノプロピルアミ
ノエーテルは、3−ジメチルアミノプロピルアミン(分
子量96)1000重量部、プロピレンオキサイド(分
子量52)11787.2重量部を反応させたもので、
その水酸基価は91.4であった。
【0036】製造例4 アミノ基変性型ポリウレタン樹
ヘキサンジオールとジフェニルカーボネートを重縮合し
たポリカーボネートジオール(OH価112)201.
1g、片末端ジヒドロキシアクリル系マクロモノマー
(一般式[1]のAがメタクリル酸メチル単位から成る
分子量6000のものであり、Bが−CH2−S−であ
り、Xが1,2−ジヒドロキシエチル基である)32.1
g、製造例3で使用したポリオキシプロピレンジメチル
アミノプロピルアミノエーテル53.0g、MDI62.
3g、MEK323.7g、シクロヘキサノン323.7
gを混合し、100℃で8時間反応させ、アミノ基変性
型ポリウレタン樹脂を得た。
【0037】製造例5 スルホン酸ナトリウム変性型ポ
リウレタン樹脂 1,4−ブタンジオールとアジピン酸を重縮合したポリ
ブチレンアジペート(OH価112)240.4g、片
末端ジヒドロキシアクリル系マクロモノマー(一般式
[1]のAがメタクリル酸メチル単位から成る分子量5
000のものであり、Bが−CH2−S−であり、Xが
1,2−ジヒドロキシエチル基である)27.8g、−S
3Na基含有ポリエステルジオール(OH価56)1
6.9g、MDI63.5g、MEK323.7g、シク
ロヘキサノン323.7gを混合し、100℃で8時間
反応させ、スルホン酸ナトリウム変性型ポリウレタン樹
脂を得た。なお、スルホン酸ナトリウム基の含有量は、
約10-4モルであった。
【0038】製造例6 側鎖を有してないポリウレタン
樹脂 ヘキサンジオールとジフェニルカーボネートを重縮合し
たポリカーボネートジオール(OH価=112)26
0.7g、カルボキシ変性ポリプロピレンジオール(O
H価=69.3)19.8g、MDI68.1g、シクロ
ヘキサノン323.7g、MEK323.7gを混合して
100℃で8時間反応させポリウレタン樹脂を得た。
【0039】製造例7 側鎖を有してないポリウレタン
樹脂 ヘキサンジオールとジフェニルカーボネートを重縮合し
たポリカーボネートジオール(OH価=112)22
0.1g、ポリオキシプロピレンジメチルアミノエチル
(OH価=91.4)61.1g、MDI67.4g、シ
クロヘキサノン323.7g、MEK323.7gを混合
して100℃で8時間反応させポリウレタン樹脂を得
た。
【0040】実施例1 Co含有磁性酸化鉄粉末 100重量部 製造例1で得られたポリウレタン系樹脂 40重量部 ビーライト VAGH(UCC社製) 6重量部 アルミナ粉末 5重量部 ミリスチン酸 1重量部 ステアリン酸 1重量部 シクロヘキサノン 50重量部 MEK 120重量部 トルエン 100重量部
【0041】上記の磁性塗料組成物をサンドグラインダ
ーを用いて6時間混練し十分に均質に分散させたのち、
硬化剤としてコロネートL4重量部を加え、撹拌後ろ過
し、次いでポリエチレンテレフタレートフイルム上に膜
厚が4μmになるように塗布して乾燥させ、その後鏡面
処理し、さらに所定の幅に裁断してビデオテープを作成
した。次に、このビデオテープの動摩擦係数、耐久性、
角型比、摩耗量を評価した。その結果を第1表に示す。
【0042】実施例2〜5 実施例1における製造例1で得たポリウレタン樹脂の代
わりに、製造例2〜5で得た各ポリウレタン樹脂をそれ
ぞれ用いたこと以外は、実施例1と同様にしてビデオテ
ープを作成し、評価を行った。その結果を第1表に示
す。
【0043】比較例1、2 実施例1において、製造例1で得たポリウレタン樹脂の
代わりに、製造例6、7で得たポリウレタン樹脂をそれ
ぞれ用い、かつVACHの代わりにMR−110[日本
ゼオン社製、−SO3Na基導入塩化ビニル樹脂]を用
いたこと以外は、実施例1と同様にしてビデオテープを
作成し評価を行った。その結果を第1表に示す。
【0044】 第1表 動摩擦係数 耐久性 角型比 摩耗量(保持率) 実施例1 0.25 キズが認められず 0.82 100 実施例2 0.26 キズが認められず 0.82 100 実施例3 0.20 キズが認められず 0.79 100 実施例4 0.23 キズが認められず 0.78 100 実施例5 0.26 キズが認められず 0.84 100 比較例1 0.60 無数の縦スジあり 0.82 85 比較例2 0.67 無数の縦スジあり 0.78 80 注 物性評価は次のようにして行った。
【0045】(1)動摩擦係数 ビデオテープを直径3cmのスチール棒に掛け、巻付角1
80°で接触させ片側にT1(50g)の荷重をかけて
クロームメッキスチール棒を1m/秒の速度で回転さ
せ、もう一方の側にかかる張力T2を測定し、次式によ
り算出した。
【0046】
【数1】
【0047】(2)耐久性 10分間の摩擦試験を行った試料の表面を顕微鏡で観察
し、キズの有無を確認した。 (3)角型比 B−Hトレーサーで測定した。 (4)摩耗量 動摩擦係数試験の前後に於ける試料の減量を保持率で表
示する。例えば、試験前の試料が10gであり、試験後
の試料が9.5gである場合の保持率は95%である。
この保持率の数値が小さい程摩耗量が大きい。
【0048】
【発明の効果】本発明によると、磁性層における結合剤
として、ポリウレタン系樹脂に末端ジオール型アクリル
系マクロモノマーをグラフト重合させたものを用いるこ
とにより、アクリル系樹脂とポリウレタン系樹脂とを混
合した場合における相溶性の問題が解決され、アクリル
系樹脂とポリウレタン系樹脂の両方の長所が発揮され、
かつグラフト重合するポリウレタン系樹脂に特定の極性
基を導入することにより、磁性粉末との親和性を向上さ
せ、該磁性粉末をより一層均質に分散させることがで
き、その結果磁性層の表面平滑性、耐久性、磁気特性な
どに優れた高性能の磁気記録媒体を容易に得ることがで
きる。 本発明の磁気記録媒体は前記のような優れた特徴を有す
ることから、例えば磁気テープ、磁気シート、磁気ディ
スクなどとして好適に用いられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 栗山 勝美 埼玉県越谷市下間久里1135−1 (56)参考文献 特開 平3−187014(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/702 C08F 299/06 C08G 18/62 C09D 175/00 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN) WPIDS(STN)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性支持体上に、強磁性粉末を結合剤中
    に分散させて成る磁性層を有する磁気記録媒体におい
    て、前記結合剤が、−COOM、−SO 3 M、−OSO 3
    M、−PO 3 M、−OPO 3 M及び第三級アミノ基(Mは
    水素原子又はカチオンを示す。)の中から選ばれた少な
    くとも1種の極性基をポリエステル又はポリエーテルを
    介して導入したポリウレタン系重合体から成る主鎖と、
    繰り返し単位がメタクリル酸エステル単位又はアクリル
    酸アミノアルキルエステル単位から成り、重量平均分子
    量が1000〜10000のアクリル系重合体から成る
    側鎖及び主鎖と側鎖を連結するスルフィド結合を有する
    連結基から構成されるポリウレタン系樹脂を含有するこ
    とを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】連結基が−CH2−S−又は−S−である
    請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】ポリウレタン系樹脂が、ポリオールと−C
    OOM、−SO 3 M、−OSO 3 M、−PO 3 M、−OP
    3 M及び第三級アミノ基(Mは水素原子又はカチオン
    を示す。)の中から選ばれた少なくとも1種の極性基を
    有し且つアルコール基又はアミノ基を有するポリエステ
    ル又はポリエーテルとポリイソシアネートと一般式
    [1] X−B−A (式中、Xはジヒドロキシ炭化水素基であり、Aは繰り
    返し単位がメタクリル酸エステル単位又はアクリル酸ア
    ミノアルキルエステル単位から成り、重量平均分子量が
    1000〜10000のアクリル系重合体から成る側鎖
    であり、Bはスルフィド結合を有する連結基である。)
    で表される片末端ジオール型アクリル系マクロモノマー
    縮合することにより得られる重合体である請求項1記
    載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】一般式[1]の連結基のBが−CH2−S
    −又は−S−である請求項3記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】−COOM、−SO 3 M、−OSO 3 M、−
    PO 3 M、−OPO 3 M及び第三級アミノ基(Mは水素原
    子又はカチオンを示す。)の中から選ばれた少なくとも
    1種の極性基をポリエステル又はポリエーテルを介して
    導入したポリウレタン系重合体から成る主鎖と、繰り返
    し単位がメタクリル酸エステル単位又はアクリル酸アミ
    ノアルキルエステル単位から成り、重量平均分子量が1
    000〜10000のアクリル系重合体から成る側鎖及
    び主鎖と側鎖を連結するスルフィド基又はスルフィド結
    合を有する炭素数1〜5の炭化水素基から構成されるポ
    リウレタン系樹脂。
  6. 【請求項6】ポリオールとポリイソシアネートと一般式
    [1] X−B−A (式中、Xはジヒドロキシ炭化水素基であり、Aは繰り
    返し単位がメタクリル酸エステル単位又はアクリル酸ア
    ミノアルキルエステル単位から成り、重量平均分子量が
    1000〜10000のアクリル系重合体から成る側鎖
    であり、Bはスルフィド基、又はスルフィド結合を有す
    る炭素数1〜5の炭化水素基である。)で表される片末
    端ジオール型アクリル系マクロモノマーを縮合すること
    を特徴とする請求項5記載のポリウレタン系樹脂の製造
    方法。
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