JP3085783B2 - 光学活性な2−フェニルプロピオン酸および2−フェニルプロピオンアミドの製造法 - Google Patents

光学活性な2−フェニルプロピオン酸および2−フェニルプロピオンアミドの製造法

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    • Y10S435/843Corynebacterium

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学活性な2-フェニル
プロピオン酸および2-フェニルプロピオンアミドを製造
する方法に関する。これらの化合物は種々の医農薬原
料、特にS-(+)-2-フェニルプロピオン酸は非ステロイド
系抗炎症剤原料として工業的に重要である。
【0002】
【従来の技術】光学活性2-フェニルプロピオン酸を微生
物の作用により製造する方法は、ラセミ体のα−置換ニ
トリルまたはα−置換アミドにアルカリゲネス属、シュ
ードモナス属、ロドシュードモナス属、コリネバクテリ
ウム属、アシネトバクター属、バチルス属、マイコバク
テリウム属、ロドコッカス属またはキャンディダ属に属
する微生物を作用させて光学活性なα−置換有機酸を製
造する方法〔特開平2-84198号公報参照〕およびラセミ
体の2-置換ニトリルに、シュードモナス属、フザリウム
属、ロドコッカス属、ブレビバクテリウム属、ミクロコ
ッカス属、バクテリディウム属またはバチルス属に属す
る微生物を接触させて光学活性な2-置換カルボン酸を製
造する方法〔特開平2-257893号公報参照〕の一部として
知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述の特開平2-84198
号の方法では、いずれの微生物も光学活性フェニルプロ
ピオン酸の生成活性が低く、また特開平2-257893号公報
には、光学活性フェニルプロピオン酸の製造についての
具体例が無く、得られる光学活性フェニルプロピオン酸
の性状および使用する微生物の活性については全く不明
である。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような状況下、本発
明者らは、光学活性フェニルプロピオン酸を効率よく製
造する方法について鋭意検討を行った結果、ロドコッカ
ス属エクイ種 (Rhodo-coccus equi)に属する微生物の菌
体または菌体処理物を使用することにより、高収率且つ
高濃度で、しかも高い光学純度で、R,S-2-フェニルプロ
ピオニトリルまたはR,S-2-フェニルプロピオンアミドか
らS-(+)-フェニルプロピオン酸が得られることを見出
し、本発明を完成した。
【0005】すなわち、本発明は、(1);ロドコッカス属
エクイ種(Rhodococcus equi) に属する微生物の菌体ま
たは菌体処理物で、R,S-2-フェニルプロピオニトリルま
たはR,S-2-フェニルプロピオンアミドを処理し、生成す
るS-(+)-2-フェニルプロピオン酸を取得することを特徴
とする光学活性2-フェニルプロピオン酸の製造法であ
り、さらに(2); (1)において、残存するR-(-)-2-フェニ
ルプロピオンアミドを取得することを特徴とする光学活
性2-フェニルプロピオンアミドの製造法、(3); (2)にお
いて、取得したR-(-)-2-フェニルプロピオンアミドをR-
(-)-2-フェニルプロピオン酸に加水分解することを特徴
とする光学活性2-フェニルプロピオン酸の製造法も包含
する。
【0006】本発明で使用する微生物は、ロドコッカス
属エクイ種 (Rhodococcus equi) に属する微生物であ
り、例えばロドコッカス・エクイ TG328の菌株を
挙げることができる。この微生物は本発明者らにより新
たに土壌中より分離されたものであり、工業技術院 微
生物工業技術研究所 (微工研) にRhodococcus equi TG3
28として寄託されており、その寄託番号は微工研条寄第
3791号(FERM BP-3791)である。この微生物の菌学的性
質は以下に示す通りである。 菌学的性質 (a) 形 態 (1)細胞の形および大きさ 0.9〜1.0μ×3〜10μ (2)細胞の多形性の有無 培養初期に長桿状を呈し、棍棒状でスナ ッピングを伴った発育を示し、のちに短 桿菌状に断裂する。
【0007】 (3)運 動 性 な し (4)胞子の有無 な し (5)グラム染色性 陽 性 (6)抗 酸 性 陰 性 (7)異染小体 認められる。 (b) 各培地における生育状態 (30℃) (1)肉汁寒天平板培養 直径1mm (48時間) 円形、平滑、扁平、 不透明、淡オレンジ色 (2)肉汁寒天斜面培養 糸状、表面平滑、断面はやや隆起状で乾 き気味、ピンク色 (3)肉汁液体培養 菌膜を形成し、旺盛に発育する。生育す るにしたがって、中程度の濁り、沈澱を 生ずる。
【0008】 (4)肉汁ゼラチン穿刺培養 表面に良く生育、穿刺部にそってロート 状に発育するが、下層部にはほとんど発 育しない。ゼラチンは、液化は認められ ない。 (5)リトマスミルク 変化しない (c) 生理学的性質 (1)硝酸塩の還元 陽 性 (2)脱窒反応 陰 性 (3)MRテスト 陰 性 (4)VPテスト 陰 性 (5)インドールの生成 陽 性 (6)硫化水素の生成 陽 性 (7)デンプンの加水分解 陰 性 (8)クエン酸の利用 コーサーの培地 陰 性 クリステンセンの培地 陰 性 (9)無機窒素源の利用 硝酸塩 陽 性 アンモニウム塩 陽 性 (10)色素の生成 陰 性 (11)ウレアーゼ 陽 性 (12)オキシダーゼ 陰 性 (13)カタラーゼ 陽 性 (14)セルロースの加水分解 陰 性 (15)生育の範囲 pH:5〜10 温度:10〜41℃ (16)酸素に対する態度 好気性 (17)チロシンの分解 陰 性 (18)アデニンの分解 陽 性 (19)ホスファターゼ 陽 性 (20)Tween80 加水分解 陽 性 (21)O−Fテスト O (強い) (22)耐熱性 10%スキムミルク中72℃、15分 な し (23)糖から酸およびガスの生成 酸の生成 ガスの生成 L−アラビノース − − D−キシロース − − D−グルコース + − D−マンノース − − D−フラクトース + − 麦芽糖 + − ショ糖 + − 乳 糖 − − トレハロース + − D−ソルビット + − D−マンニット + − グリセリン − − (24)単一炭素源としての生育 イノシトール − 麦芽糖 − D−マンニット − ラムノース − D−ソルビット − m−ヒドロキシ安息香酸 (+) アジピン酸ナトリウム − 安息香酸ナトリウム − クエン酸ナトリウム − 乳酸ナトリウム + テストステロン (+) L−チロシン − グリセロール (1%)(W/V) (+) トレハロース (+) p−ヒドロキシ 安息香酸 (1%)(W/V) (+) (+) 弱いが陽性である。 (25)脂肪酸と細胞分析 不飽和、飽和直鎖脂肪酸、およびツベル クロステアリン酸を含む。ミコール酸の TLCは単一スポットを与える。
【0009】以上の菌学的性質を、バージーの細菌分類
書〔Bergey's Manual of Systemat-ic Bacteriology(19
86) 〕に基づいて分類すると、TG328菌株は好気性、グ
ラム陽性、弱抗酸性、カタラーゼ陽性の内生胞子を生じ
ない桿菌であり、鞭毛を着生しない。また、発育の初期
過程で長桿菌状で菌糸状を呈し、枝分れ(Branching)を
伴った発育を示し、後に短桿菌状に断裂することよりノ
カルディア型の細菌に属するものと認められる。
【0010】脂肪酸組成の分析は、ツベルクロステアリ
ン酸を含む不飽和、飽和の直鎖脂肪酸を含む。ミコール
酸のTLCは標準菌 Rhodococcus equi ATCC 6939 と同
じRfを示す単一スポットを与えることから、マイコバ
クテリウム (Mycobacterium)属とは区別される。またミ
コール酸の組成 (炭素数) からノカルディア(Nocar-di
a)属とは区別される。その他、生化学的諸性質の検討か
ら、本菌はロドコッカス属エクイ種 (Rhodococcus equ
i) に属する微生物と認められる (尚、日本農芸化学会1
991年大会において、本菌は Rhodococcus sp. TG328と
して発表している) 。
【0011】微生物使用によるニトリルの酸への変換
は、直接酸を生成させるニトリラーゼ酵素が関与する場
合、およびアミドを経て酸を生成させるニトリルヒドラ
ターゼとアミダーゼ酵素が関与する場合の2通りの反応
工程がある。上記、TG328菌株は培養により同時にニト
リルヒドラターゼおよびアミダーゼを産生することがで
き、したがって、後者の反応工程によるものであるが、
本発明においては、このアミダーゼが立体選択的にラセ
ミ体のR,S-2-フェニルプロピオンアミドをS-(+)-2-フェ
ニルプロピオン酸に変換せしめる能力を有し、これによ
りラセミ体のR,S-2-フェニルプロピオンアミドから、あ
るいはラセミ体のR,S-2-フェニルプロピオニトリルから
ラセミ体のR,S-2-フェニルプロピオンアミドの生成を経
て、光学活性な2-フェニルプロピオン酸および2-フェニ
ルプロピオンアミドを得ることができる。
【0012】次に、本発明の実施態様について説明す
る。本発明に使用される微生物の培養は、資化し得る炭
素源、窒素源および有機栄養源 (グリセロール、グルコ
ース、サッカロース、フマル酸、カザミノ酸、グルタミ
ン酸ソーダ、ポリペプトン、酵母エキス、肉エキス等)
、微生物の生育に必須の無機塩 (硫酸マグネシウム、
塩化鉄、塩化カルシウム、硫酸マンガン、硫酸亜鉛等)
、およびニトリルヒドラターゼおよびアミダーゼ両酵
素の誘導剤としてクロトンアミドを含有した培地を用い
て行われる。特に、フマル酸およびポリペプトンの使用
はより高いアミダーゼ活性が得られるので好ましい。
【0013】培養は、培養液のpH6〜8、培養温度15〜
40℃の範囲で、1〜5日程度好気的に行う。加水分解反
応は、上記の方法において培養した微生物の菌体または
菌体処理物(菌体の破砕物、粗・精製酵素、固定化菌体
・酵素等) を水または緩衝液等の水性媒体中に懸濁し、
これにR,S-2-フェニルプロピオニトリルまたはR,S-2-フ
ェニルプロピオンアミドを共存させることによって行わ
れる。
【0014】通常、反応液中のR,S-2-フェニルプロピオ
ニトリルまたはR,S-2-フェニルプロピオンアミドは5〜
500mM、好ましくは10〜100mM、これら基質に対する微
生物の使用量は、乾燥菌体として0.01〜10重量%であ
り、pHは5〜9、好ましくは6〜8に調整する。本発明
に用いる微生物由来のニトリルヒドラターゼ活性は0〜
40℃、より好適には25〜35℃、およびアミダーゼ活性は
15〜50℃、より好適には30〜45℃の温度付近に活性の発
現域があり、それぞれ40℃および50℃を越えると酵素活
性は急激に低下する。
【0015】また、本発明者らの知見によれば、ニトリ
ルヒドラターゼ活性はアミダーゼの作用により生成する
S-(+)-2-フェニルプロピオン酸およびアンモニアの両者
の存在により阻害を受け易く、このため、反応初期にで
きるだけアミダーゼ活性に比べてニトリルヒドラターゼ
活性を高め、R,S-2-フェニルプロピオンアミドが蓄積す
るように温度条件を選ぶことが好ましい。このような温
度は約5〜15℃の範囲である。
【0016】尚、基質としてR,S-2-フェニルプロピオン
アミドを使用する場合には、当然のことながらアミダー
ゼ活性がより良く得られる温度を選べばよく、このよう
な温度としては15℃〜30℃が適当である。得られたS-
(+)-2-フェニルプロピオン酸は公知の方法、例えば遠心
分離により微生物を除き、さらに必要に応じ限外ろ過な
どにより顆粒成分と蛋白、多糖成分の除去を行い、また
必要に応じ活性炭処理を施した後、酸性下での有機溶媒
による抽出、減圧濃縮などの操作を行い、高純度製品を
得ることができる。
【0017】また、残存するR-(-)-2-フェニルプロピオ
ンアミドも公知の方法で処理し、これを単独に得ること
ができ、さらにこれを酸または酵素を使用して加水分解
することによりR-(-)-2-フェニルプロピオン酸を得るこ
とができる。
【0018】
【実施例】次に、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。尚、反応工程におけるニトリル、アミドおよび酸の
分析はHPLCにより行った。
【0019】
【実施例1】 (1) 培養および菌体懸濁液の調製 ロドコッカス属エクイ種 (Rhodococcus equi) TG328菌
株を下記培地にて、25℃で72時間培養し、得られた培養
液から菌体を分離して50mMリン酸緩衝液 (pH8.0) で洗
浄し、培養液の1/2量の同緩衝液に懸濁し、菌体懸濁液
(35mg/ml)を調製した。
【0020】培地組成: グルタミン酸ソーダ 2.0g カザミノ酸 5.0g ポリペプトン 2.0g 酵母エキス 2.0g フマル酸 10.0g 水酸化カリウム 10.0g クロトンアミド 10.0g リン酸水素二カリウム 5.0g 硫酸マグネシウム・7水塩 0.5g 塩化第一鉄・n水塩 10 mg 水道水 1000 ml pH 7.0 (2) R,S-2-フェニルプロピオニトリルの不斉加水分解 上記懸濁液100mlにR,S-2-フェニルプロピオニトリルを
マイクロテストチューブポンプにより、反応液中の濃度
が50mMを越えないように制御しつつ連続添加し25℃にて
反応を行った。反応開始後2時間で急速にR,S-2-フェニ
ルプロピオンアミドが生成し、ニトリルが徐々に蓄積し
始めたため、反応開始後3時間を過ぎた時点でニトリル
の供給を止め、さらに4時間反応を継続したところ、蓄
積したニトリルが緩やかに消費されるとともに、生成し
たアミドの約1/2 がS-(+)-2-フェニルプロピオン酸に変
換され、 340mMのS-(+)-2-フェニルプロピオン酸および
360mMのR-(-)-2-フェニルプロピオンアミドが得られ
た。
【0021】
【実施例2】実施例1で得られた菌体懸濁液100mlにR,
S-2-フェニルプロピオニトリルを反応液中の濃度が50mM
を越えないように制御しつつ連続添加し、10℃にて30時
間反応を行った。供給したニトリルは直ちにアミドに変
換され反応中未反応ニトリルの蓄積はほとんど認められ
ず、 660mMのS-(+)-2-フェニルプロピオン酸および750m
MのR-(-)-2-フェニルプロピオンアミドを含む反応混合
液が得られた。
【0022】この反応液を遠心除菌後、クロロホルム
(pH9) を用い水相に酸を、有機溶媒相にニトリルとア
ミドを抽出した。水相をpH2.8に調製し再度クロロホル
ムを用い酸を抽出し、溶媒を蒸発除去して精製S-(+)-2-
フェニルプロピオン酸を得た。これを市販の標準S-(+)-
2-フェニルプロピオン酸と、IR分析、NMR分析、質
量分析、光学純度および旋光度測定により比較したとこ
ろ、この物質がS-(+)-2-フェニルプロピオン酸であるこ
とを確認した。また、R-(-)-2-フェニルプロピオンアミ
ドについては、遠心除菌後の反応液を濃縮し、この析出
した結晶を蒸留水に溶解、濃縮を行ない得られた結晶に
ついて上記同様に分析を行ないこれがR-(-) であること
を確認した。このうち、光学純度および旋光度の結果に
ついて表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【実施例3】実施例2で得られたR-(-)-2-フェニルプロ
ピオンアミド0.37gを2mlの conc.HCl に溶かし、50℃で
20時間反応を行ったところ、2-フェニルプロピオン酸へ
の転換率は70.0%であり、生成物はR-(-)-体として97.9
%e.e.であった。また、同アミド0.37g を2ml のconc.H
Clに溶かし、封管中にて100 ℃で2時間反応を行ったと
ころ、2-フェニルプロピオン酸への転換率は98.0%であ
り、生成物はR-(-)-体として92.4%e.e.であった。
【0025】
【比較例】特開平2-84198 号公報記載のロドコッカス
エスピーAK 32(FERM BP-1046) 株を下記培地で28℃、24
時間前培養し、これを同培地500m(2L容コルベン)4本
に2%接種して、28℃、60時間振とう培養した。 この培養液2Lから遠心分離によリ集菌し、同量の0.
85% NaCl 溶液および100mM リン酸緩衝液(pH7.4)で1
回づつ洗浄した。洗浄した菌をOD610 が100 となるよ
うに100mM リン酸緩衝液(pH7.4)に懸濁した(約100m
l)。この懸濁液50mlに10℃にてR,S-2-フェニルプロピ
オニトリル0.4ml(60mM) を添加し、攪拌しながら反応を
行った。44時間反応後生成した2-フェニルプロピオン酸
は3.18mMおよび2-フェニルプロピオンアミドは54.3mMで
あった。
【0026】反応液に3N HClを添加してpH2.0 とし、遠
心分離により除菌した後、50mlのジクロロメタンで生成
物を抽出し、2-フェニルプロピオン酸の光学純度をS-
(-)-1-(ナフチル)エチルアミドとしてHPLCで分析した
ところ、S-(+)-体として96.0%e.e.であった。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、ロドコッカス属エクイ
種 (Rhodococcus equi) に属する微生物を使用すること
により、従来法に比べて、高収率且つ高濃度で、しかも
高い光学純度で、R,S-2-フェニルプロピオニトリルまた
はR,S-2-フェニルプロピオンアミドからS-(+)-2-フェニ
ルプロピオン酸、さらにはR-(-)-2-フェニルプロピオン
アミドおよびR-(-)-2-フェニルプロピオン酸等の光学活
性な2-フェニルプロピオン酸および2-フェニルプロピオ
ンアミドを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長沢 透 京都府京都市左京区高野東開町1−7 (56)参考文献 欧州特許出願公開433117(EP,A 1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 41/00 BIOSIS(DIALOG) CA(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロドコッカス属エクイ種 (Rhodococcus
    equi) に属する微生物の菌体または菌体処理物で、R,S-
    2-フェニルプロピオニトリルまたはR,S-2-フェニルプロ
    ピオンアミドを処理し、生成するS-(+)-2-フェニルプロ
    ピオン酸を取得することを特徴とする光学活性2-フェニ
    ルプロピオン酸の製造法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、残存するR-(-)-2-フ
    ェニルプロピオンアミドを取得することを特徴とする光
    学活性2-フェニルプロピオンアミドの製造法。
  3. 【請求項3】 請求項2において、取得したR-(-)-2-フ
    ェニルプロピオンアミドをR-(-)-2-フェニルプロピオン
    酸に加水分解することを特徴とする光学活性2-フェニル
    プロピオン酸の製造法。
  4. 【請求項4】 ロドコッカス属エクイ種に属する微生物
    がロドコッカス・エクイ TG328である請求項1〜3のい
    ずれか1項に記載の光学活性2-フェニルプロピオン酸ま
    たは光学活性2-フェニルプロピオンアミドの製造法。
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