JP3083189B2 - イソレボグルコセノンの製造方法 - Google Patents
イソレボグルコセノンの製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はイソレボグルコセノン
(1,6-アンヒドロ-2,3- ジデオキシ- β- D-グリセロ-
ヘキシ-2- エノピラノ-4- ウロース)の製造方法に関
する。
(1,6-アンヒドロ-2,3- ジデオキシ- β- D-グリセロ-
ヘキシ-2- エノピラノ-4- ウロース)の製造方法に関
する。
【0002】イソレボグルコセノンは次式(I)で表さ
れる化合物であり、その構造から分かるように、次式
(II)で表されるレボグルコセノンの異性体である。
れる化合物であり、その構造から分かるように、次式
(II)で表されるレボグルコセノンの異性体である。
【0003】
【化3】 レボグルコセノン(II)は、香料およびフェロモンのよ
うな多くの有用な高付加価値化合物の合成原料として、
既に広く用いられている。イソレボグルコセノン(I)
も高度に官能基化された反応性に富む物質であるため、
レボグルコセノン(II) と同様、高付加価値化合物を合
成するための前駆体として、その有用性が期待されてい
る。また、除草剤として有用なビシクロオクタン類縁体
(EP-0302599A2)の合成にも、直接利用できる有用な化
合物であることが知られている。
うな多くの有用な高付加価値化合物の合成原料として、
既に広く用いられている。イソレボグルコセノン(I)
も高度に官能基化された反応性に富む物質であるため、
レボグルコセノン(II) と同様、高付加価値化合物を合
成するための前駆体として、その有用性が期待されてい
る。また、除草剤として有用なビシクロオクタン類縁体
(EP-0302599A2)の合成にも、直接利用できる有用な化
合物であることが知られている。
【0004】
【従来の技術】イソレボグルコセノン(I)を香料やフ
ェロモンの原料として用いるためには、ラセミ体でない
光学活性な化合物でなければならない。このような光学
活性なイソレボグルコセノンを製造する方法として、レ
ボグルコセノンから出発して4段階で合成する方法が知
られている(Furneaux et al.,Carbohydr.Res.,146,113
-128(1986))。また、レボグルコセノンの前駆体である
1,6-アンヒドロ- β- D- グルコース、または1,6-アン
ヒドロ-2,3-O- イソプロピリデン- β- D- マンノピ
ラノースから、夫々6段階で合成する方法が知られてい
る(Koell et al.,Chem.Ber.109,337-344(1987) )。
ェロモンの原料として用いるためには、ラセミ体でない
光学活性な化合物でなければならない。このような光学
活性なイソレボグルコセノンを製造する方法として、レ
ボグルコセノンから出発して4段階で合成する方法が知
られている(Furneaux et al.,Carbohydr.Res.,146,113
-128(1986))。また、レボグルコセノンの前駆体である
1,6-アンヒドロ- β- D- グルコース、または1,6-アン
ヒドロ-2,3-O- イソプロピリデン- β- D- マンノピ
ラノースから、夫々6段階で合成する方法が知られてい
る(Koell et al.,Chem.Ber.109,337-344(1987) )。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の方
法によるイソレボグルコセノン(I)の収率は、それほ
ど高くない。また、高価なレボグルコセノンや1,6-アン
ヒドロ糖を原料に用いており、しかも高価な反応試薬を
必要とする。このため、各種の有用な化合物の合成原料
として、イソレボグルコセノン(I)を工業的規模で合
成する方法としては不適当であった。
法によるイソレボグルコセノン(I)の収率は、それほ
ど高くない。また、高価なレボグルコセノンや1,6-アン
ヒドロ糖を原料に用いており、しかも高価な反応試薬を
必要とする。このため、各種の有用な化合物の合成原料
として、イソレボグルコセノン(I)を工業的規模で合
成する方法としては不適当であった。
【0006】かかる事情に鑑み、本発明の課題は、安価
な原料および試薬を用い、高収率でイソレボグルコセノ
ン(I)を製造できる方法を提供することである。
な原料および試薬を用い、高収率でイソレボグルコセノ
ン(I)を製造できる方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を達成するた
めに鋭意研究したした結果、市販の安価な糖誘導体であ
る 3,4,5- トリ- O- アセチル- β- D- グルカールを
出発原料として、これを3段階でイソレボグルコセノン
(I)に誘導できる方法を見出し、本発明を完成するに
至った。
めに鋭意研究したした結果、市販の安価な糖誘導体であ
る 3,4,5- トリ- O- アセチル- β- D- グルカールを
出発原料として、これを3段階でイソレボグルコセノン
(I)に誘導できる方法を見出し、本発明を完成するに
至った。
【0008】即ち、本発明によるイソレボグルコセノン
(I)の製造方法は、下記の反応経路によって示され
る。
(I)の製造方法は、下記の反応経路によって示され
る。
【0009】
【化4】 上記方法は、使用する原料および試薬が安価であり且つ
各段階での反応の収率もよいため、工業的規模でイソグ
ルコセノン(I)を合成する方法として極めて優れてい
る。
各段階での反応の収率もよいため、工業的規模でイソグ
ルコセノン(I)を合成する方法として極めて優れてい
る。
【0010】以下に本発明の詳細を説明する。
【0011】本発明で出発原料に用いる 3,4,5- トリ-
O- アセチル- β- D- グルカール(III) は、最も安価
な糖の一つであるグルコースから容易に合成することが
できる(新実験化学講座14-V巻,p.2427、丸善;Csuk e
t al.,J.Chem.Soc.Chem.Commun.,p.1149(1986))。出発
原料(III) が安価に入手可能なのはそのためである(ア
ルドリッチ社、No.T4,440-7 )。
O- アセチル- β- D- グルカール(III) は、最も安価
な糖の一つであるグルコースから容易に合成することが
できる(新実験化学講座14-V巻,p.2427、丸善;Csuk e
t al.,J.Chem.Soc.Chem.Commun.,p.1149(1986))。出発
原料(III) が安価に入手可能なのはそのためである(ア
ルドリッチ社、No.T4,440-7 )。
【0012】反応1において、出発原料(III) は、フェ
ニル 4,6- ジ- O- アセチル-2,3-ジデオキシ- α- D-
エリトロ- ヘキシ-2- エノピラノシド(IV)に転化さ
れる。これは、例えば次の公知の反応を用いて行うこと
ができる。
ニル 4,6- ジ- O- アセチル-2,3-ジデオキシ- α- D-
エリトロ- ヘキシ-2- エノピラノシド(IV)に転化さ
れる。これは、例えば次の公知の反応を用いて行うこと
ができる。
【0013】(a) フッ化ホウ素エーテル錯体のようなル
イス酸の共存下に、出発原料(III) をフェノールと反応
させる方法(Ferrier et al.,J.Chem.Soc.(C),570,196
8) 。
イス酸の共存下に、出発原料(III) をフェノールと反応
させる方法(Ferrier et al.,J.Chem.Soc.(C),570,196
8) 。
【0014】(b) クロロベンゼンのような高沸点溶媒中
で、出発原料(III) を過剰量のフェノールと反応させる
方法(Brakta etal.,J.Org.Chem.54,1980(1989))上記
の反応によって、80〜90%の収率でエノピラノシド誘導
体(IV)を得ることができる。なお、フェノールの代わ
りに、ニトロフェノールのようなフェノール誘導体を用
いてもよい。即ち、上記反応式におけるPhOHはフェ
ノールまたはその誘導体を意味し、Phはフェニルまた
は置換フェニルを意味する。
で、出発原料(III) を過剰量のフェノールと反応させる
方法(Brakta etal.,J.Org.Chem.54,1980(1989))上記
の反応によって、80〜90%の収率でエノピラノシド誘導
体(IV)を得ることができる。なお、フェノールの代わ
りに、ニトロフェノールのようなフェノール誘導体を用
いてもよい。即ち、上記反応式におけるPhOHはフェ
ノールまたはその誘導体を意味し、Phはフェニルまた
は置換フェニルを意味する。
【0015】反応2においては、上記で得られたエノピ
ラノシド誘導体(IV)を3モル等量以上の塩基と高温で
反応させる。この反応により、エノピラノシド誘導体
(IV)は二つのO- アセチル基が加水分解されると共に
環化され、 1,6- アンヒドロ体、即ち 1,6- アンヒドロ
-2,3- ジデオキシ- β- D- エリトロ- ヘキシ-2- エノ
ピラノース(V)に転化される。この反応に用いる塩基
は特に限定されず、種々の無機塩基および有機塩基を用
いることができる。しかし、特に水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのような
安価な無機塩基を用いたときに好ましい結果が得られ
る。また、使用する溶媒についても、加水分解に必要な
水を含む限り特に限定されない。反応2によれば、50〜
150 ℃で 1〜10時間反応させることにより、高収率でエ
ノピラノース誘導体(V)を得ることができる。
ラノシド誘導体(IV)を3モル等量以上の塩基と高温で
反応させる。この反応により、エノピラノシド誘導体
(IV)は二つのO- アセチル基が加水分解されると共に
環化され、 1,6- アンヒドロ体、即ち 1,6- アンヒドロ
-2,3- ジデオキシ- β- D- エリトロ- ヘキシ-2- エノ
ピラノース(V)に転化される。この反応に用いる塩基
は特に限定されず、種々の無機塩基および有機塩基を用
いることができる。しかし、特に水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのような
安価な無機塩基を用いたときに好ましい結果が得られ
る。また、使用する溶媒についても、加水分解に必要な
水を含む限り特に限定されない。反応2によれば、50〜
150 ℃で 1〜10時間反応させることにより、高収率でエ
ノピラノース誘導体(V)を得ることができる。
【0016】反応3においては、エノピラノース誘導体
(V)が最終目的物であるイソレボグルコセノン(I)
に転化される。これを行うための酸化反応は特に限定さ
れず、公知の種々の酸化反応を用いることができる。例
えば、二酸化マンガンまたはピリジニウムクロロクロメ
ートのような通常の酸化剤を用い、エノピラノース誘導
体(V)を酸化することにより行うことができる(Koel
l et al.,Chem.Ber.,109,337-344(1976))。
(V)が最終目的物であるイソレボグルコセノン(I)
に転化される。これを行うための酸化反応は特に限定さ
れず、公知の種々の酸化反応を用いることができる。例
えば、二酸化マンガンまたはピリジニウムクロロクロメ
ートのような通常の酸化剤を用い、エノピラノース誘導
体(V)を酸化することにより行うことができる(Koel
l et al.,Chem.Ber.,109,337-344(1976))。
【0017】上記本発明の方法において最も特徴的なス
テップは、反応2における環化反応である。即ち、この
反応では、まずエノピラノシド誘導体(IV)のO- アセ
チル基が加水分解されてOH基を生じる。続いて、6-位
のOH基が1-位の炭素を求核攻撃することにより、分子
内置換反応が生じて環化される。この環化反応は、エノ
ピラノシド誘導体(IV)の1-位に導入された -OPh基
によって可能になったものである。
テップは、反応2における環化反応である。即ち、この
反応では、まずエノピラノシド誘導体(IV)のO- アセ
チル基が加水分解されてOH基を生じる。続いて、6-位
のOH基が1-位の炭素を求核攻撃することにより、分子
内置換反応が生じて環化される。この環化反応は、エノ
ピラノシド誘導体(IV)の1-位に導入された -OPh基
によって可能になったものである。
【0018】従って、本発明には、イソレボグルコセノ
ン(I)の合成中間体であるエノピラノース誘導体
(V)を得るための新規な製造方法であって、上記反応
1および反応2からなる方法も包含される。なお、エノ
ピラノース誘導体(V)は、イソレボグルコセノン
(I)の中間体としてのみならず、イソレボグルコセノ
ンから出発して合成されるべき除草剤や香料のような有
用化合物の構造によっては、イソレボグルコセノン
(I)を経由することなく、直接これら有用化合物に導
くことも可能である。
ン(I)の合成中間体であるエノピラノース誘導体
(V)を得るための新規な製造方法であって、上記反応
1および反応2からなる方法も包含される。なお、エノ
ピラノース誘導体(V)は、イソレボグルコセノン
(I)の中間体としてのみならず、イソレボグルコセノ
ンから出発して合成されるべき除草剤や香料のような有
用化合物の構造によっては、イソレボグルコセノン
(I)を経由することなく、直接これら有用化合物に導
くことも可能である。
【0019】
実施例1 <工程1>フェニル 4,6- ジ- O- アセチル-2,3- ジデ
オキシ- α- D-エリトロ- ヘキシ-2-エノピラノシド
(IV)の合成 (Brakta et al.,J.Org.Chem.54,1980(1989)の方法によ
る) マグネティックスターラを備えた容量 500mlのフラスコ
中に、 3,4,5- トリ- O- アセチル- β- D- グルカー
ル(III) 10gと、フェノール27gを入れた。溶媒として
クロロベンゼン 200mlを添加し、3時間加熱還流した
後、減圧下にクロロベンゼンおよび未反応のフェノール
を留去した。得られた残渣を 200mlのジクロロメタン中
に溶解し、これと同容積の1規定水酸化ナトリウム溶液
および飽和食塩水で順次洗浄した。続いて、ジクロロメ
タン層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に濃縮
した。これにより、10.5gのフェニル 4,6- ジ- O- ア
セチル-2,3- ジデオキシ- α- D- エリトロ- ヘキシ-2
- エノピラノシド(IV)が得られた。その物性値は文献
値(Brakta et al.,J.Org.Chem.54,1980(1989))に一致
した。
オキシ- α- D-エリトロ- ヘキシ-2-エノピラノシド
(IV)の合成 (Brakta et al.,J.Org.Chem.54,1980(1989)の方法によ
る) マグネティックスターラを備えた容量 500mlのフラスコ
中に、 3,4,5- トリ- O- アセチル- β- D- グルカー
ル(III) 10gと、フェノール27gを入れた。溶媒として
クロロベンゼン 200mlを添加し、3時間加熱還流した
後、減圧下にクロロベンゼンおよび未反応のフェノール
を留去した。得られた残渣を 200mlのジクロロメタン中
に溶解し、これと同容積の1規定水酸化ナトリウム溶液
および飽和食塩水で順次洗浄した。続いて、ジクロロメ
タン層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に濃縮
した。これにより、10.5gのフェニル 4,6- ジ- O- ア
セチル-2,3- ジデオキシ- α- D- エリトロ- ヘキシ-2
- エノピラノシド(IV)が得られた。その物性値は文献
値(Brakta et al.,J.Org.Chem.54,1980(1989))に一致
した。
【0020】なお、濃縮精製物中にはα体以外にβ体も
含まれており、α:β=3:2であった。
含まれており、α:β=3:2であった。
【0021】<工程2>1,6-アンヒドロ-2,3- ジデオキ
シ- β- D- エリトロ- ヘキシ-2-エノピラノース
(V)の合成 マグネティックスターラを備えた容量 200mlのフラスコ
中に、工程1で得たフェニル 4,6- ジ- O- アセチル-
2,3- ジデオキシ- α- D- エリトロ- ヘキシ-2- エノ
ピラノシド(IV)7gと、水酸化ナトリウム5gとを入
れた。溶媒として水 100mlを添加して3時間加熱還流し
た後、反応溶液を室温まで冷却した。続いて、反応溶液
を1リットルの酢酸エチルで抽出した。その際、1リッ
トルの酢酸エチルを12回に分けて用いた。その酢酸エチ
ル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮し
た。この濃縮物を、ヘキサン:酢酸エチル=2:1の混
合溶媒を用いたシリカゲルカラムで精製したところ、結
晶として、3gの1,6-アンヒドロ-2,3- ジデオキシ- β
- D- エリトロ- ヘキシ-2- エノピラノース(V)が得
られた。これを酢酸エチル/ヘキサンから再結晶して物
性値を測定したところ、測定値は文献値(Ranganayakul
u et al.,Can.J.Chem.,52,998(1974) )と一致した。
シ- β- D- エリトロ- ヘキシ-2-エノピラノース
(V)の合成 マグネティックスターラを備えた容量 200mlのフラスコ
中に、工程1で得たフェニル 4,6- ジ- O- アセチル-
2,3- ジデオキシ- α- D- エリトロ- ヘキシ-2- エノ
ピラノシド(IV)7gと、水酸化ナトリウム5gとを入
れた。溶媒として水 100mlを添加して3時間加熱還流し
た後、反応溶液を室温まで冷却した。続いて、反応溶液
を1リットルの酢酸エチルで抽出した。その際、1リッ
トルの酢酸エチルを12回に分けて用いた。その酢酸エチ
ル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮し
た。この濃縮物を、ヘキサン:酢酸エチル=2:1の混
合溶媒を用いたシリカゲルカラムで精製したところ、結
晶として、3gの1,6-アンヒドロ-2,3- ジデオキシ- β
- D- エリトロ- ヘキシ-2- エノピラノース(V)が得
られた。これを酢酸エチル/ヘキサンから再結晶して物
性値を測定したところ、測定値は文献値(Ranganayakul
u et al.,Can.J.Chem.,52,998(1974) )と一致した。
【0022】<工程3>イソレボグルコセノン(I)の
合成 文献(Koell et al.,Chem.Ber.109,337-344(1976) )と
同様の方法により、工程2で得られたエノピラノース誘
導体(V)からイソレボグルコセノン(I)を製造し
た。
合成 文献(Koell et al.,Chem.Ber.109,337-344(1976) )と
同様の方法により、工程2で得られたエノピラノース誘
導体(V)からイソレボグルコセノン(I)を製造し
た。
【0023】まず、マグネティックスターラを備えた容
量 300mlのフラスコ中に、工程2で得た 1,6- アンヒド
ロ-2,3- ジデオキシ- β- D- エリトロ- ヘキシ-2- エ
ノピラノース 1.25gと、活性二酸化マンガン 8.6gと
を入れた。溶媒としてベンゼン 200mlを添加し、加熱還
流した。その際、還流装置にモレキュラーシーブス4A
を入れ、共沸してくる水を除去した。3時間還流させた
後に濾過し、ジエチルエーテル 100mlで残渣を十分に洗
浄した後、濾液の溶媒を常圧下に留去した。更に減圧蒸
留を行うことにより、その残渣から目的物であるイソレ
ボグルコセノンを得た。その物性値は文献値(Achmatow
icz et al.,Tetrahedron,27,1973(1971))に一致した。
量 300mlのフラスコ中に、工程2で得た 1,6- アンヒド
ロ-2,3- ジデオキシ- β- D- エリトロ- ヘキシ-2- エ
ノピラノース 1.25gと、活性二酸化マンガン 8.6gと
を入れた。溶媒としてベンゼン 200mlを添加し、加熱還
流した。その際、還流装置にモレキュラーシーブス4A
を入れ、共沸してくる水を除去した。3時間還流させた
後に濾過し、ジエチルエーテル 100mlで残渣を十分に洗
浄した後、濾液の溶媒を常圧下に留去した。更に減圧蒸
留を行うことにより、その残渣から目的物であるイソレ
ボグルコセノンを得た。その物性値は文献値(Achmatow
icz et al.,Tetrahedron,27,1973(1971))に一致した。
【0024】実施例2 <工程1>4-ニトロフェニル 4,6- ジ- O- アセチル-
2,3- ジデオキシ-α- D- エリトロ- ヘキシ-2- エノピ
ラノシド(IV)の合成 (Ferrier et al.,J.Chem.Soc.(C),570,1969の方法によ
る) マグネティックスターラを備えた容量 500mlのフラスコ
中において、ジクロロメタン 200mlを溶媒として、 3,
4,5- トリ-O- アセチル- β- D- グルカール(III) 2
7.2gと、4-ニトロフェノール20gとを混合した。これ
をドライアイスで冷却したアセトンで -70℃に冷却し、
ここに3mlの 3- フッ化ホウ素エーテル錯体を添加し
た。冷媒として用いたアセトンに徐々に水を加えること
により、冷却温度を-40 ℃前後とし、そのまま4時間攪
拌を続けた。次に、飽和重曹水 100mlを加えて反応を停
止させ、反応液を室温まで戻した後に、1リットルのジ
クロロメタンを加えた。これを 700mlの1N炭酸カリウ
ム水溶液および 500mlの飽和食塩水で順次洗浄した。ジ
クロロメタン層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧
下で濃縮することにより、4-ニトロフェニル 4,6- ジ-
O- アセチル-2,3- ジデオキシ- α- D- エリトロ- ヘ
キシ-2- エノピラノシド(IV)が結晶として得られた。
これを無水エタノールから再結晶することにより、25g
の純粋な4-ニトロフェニル 4,6- ジ- O- アセチル-2,3
- ジデオキシ- α- D- エリトロ- ヘキシ-2- エノピラ
ノシド(IV)が得られた。その物性値は文献値(Ferrie
r et al.,J.Chem.Soc.(C),570,1969)に一致した。
2,3- ジデオキシ-α- D- エリトロ- ヘキシ-2- エノピ
ラノシド(IV)の合成 (Ferrier et al.,J.Chem.Soc.(C),570,1969の方法によ
る) マグネティックスターラを備えた容量 500mlのフラスコ
中において、ジクロロメタン 200mlを溶媒として、 3,
4,5- トリ-O- アセチル- β- D- グルカール(III) 2
7.2gと、4-ニトロフェノール20gとを混合した。これ
をドライアイスで冷却したアセトンで -70℃に冷却し、
ここに3mlの 3- フッ化ホウ素エーテル錯体を添加し
た。冷媒として用いたアセトンに徐々に水を加えること
により、冷却温度を-40 ℃前後とし、そのまま4時間攪
拌を続けた。次に、飽和重曹水 100mlを加えて反応を停
止させ、反応液を室温まで戻した後に、1リットルのジ
クロロメタンを加えた。これを 700mlの1N炭酸カリウ
ム水溶液および 500mlの飽和食塩水で順次洗浄した。ジ
クロロメタン層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧
下で濃縮することにより、4-ニトロフェニル 4,6- ジ-
O- アセチル-2,3- ジデオキシ- α- D- エリトロ- ヘ
キシ-2- エノピラノシド(IV)が結晶として得られた。
これを無水エタノールから再結晶することにより、25g
の純粋な4-ニトロフェニル 4,6- ジ- O- アセチル-2,3
- ジデオキシ- α- D- エリトロ- ヘキシ-2- エノピラ
ノシド(IV)が得られた。その物性値は文献値(Ferrie
r et al.,J.Chem.Soc.(C),570,1969)に一致した。
【0025】<工程2>1,6-アンヒドロ-2,3- ジデオキ
シ- β- D- エリトロ- ヘキシ-2-エノピラノース
(V)の合成 マグネティックスターラを備えた容量 200mlのフラスコ
中に、工程1で得た4-ニトロフェニル 4,6- ジ- O- ア
セチル-2,3- ジデオキシ- α- D- エリトロ- ヘキシ-2
- エノピラノシド(IV)7gと、水酸化ナトリウム3g
とを入れた。溶媒として水 100mlを添加し、3時間加熱
還流した後、反応溶液を室温まで冷却した。続いて、反
応溶液を酢酸で中和し、更に濃縮した。この濃縮物を、
酢酸エチルを用いてソックスレー抽出器で抽出した。抽
出物をヘキサン:酢酸エチル=1:1の混合溶媒を用い
たシリカゲルカラムで精製した後、蒸留することによっ
て、純粋な結晶として、1gの1,6-アンヒドロ-2,3- ジ
デオキシ- β- D- エリトロ- ヘキシ-2- エノピラノー
ス(V)が得られた。この生成物の物性値は文献値(Ra
nganayakulu et al.,Can.J.Chem.,52,998(1974) )と一
致した。
シ- β- D- エリトロ- ヘキシ-2-エノピラノース
(V)の合成 マグネティックスターラを備えた容量 200mlのフラスコ
中に、工程1で得た4-ニトロフェニル 4,6- ジ- O- ア
セチル-2,3- ジデオキシ- α- D- エリトロ- ヘキシ-2
- エノピラノシド(IV)7gと、水酸化ナトリウム3g
とを入れた。溶媒として水 100mlを添加し、3時間加熱
還流した後、反応溶液を室温まで冷却した。続いて、反
応溶液を酢酸で中和し、更に濃縮した。この濃縮物を、
酢酸エチルを用いてソックスレー抽出器で抽出した。抽
出物をヘキサン:酢酸エチル=1:1の混合溶媒を用い
たシリカゲルカラムで精製した後、蒸留することによっ
て、純粋な結晶として、1gの1,6-アンヒドロ-2,3- ジ
デオキシ- β- D- エリトロ- ヘキシ-2- エノピラノー
ス(V)が得られた。この生成物の物性値は文献値(Ra
nganayakulu et al.,Can.J.Chem.,52,998(1974) )と一
致した。
【0026】<工程3>イソレボグルコセノン(I)の
合成 実施例1の工程3と同じく、文献記載の方法(Koell et
al.,Chem.Ber.109,337-344(1976) )に従って、工程2
で得られたエノピラノース誘導体(V)からイソレボグ
ルコセノン(I)を製造した。生成物の物性値は文献値
(Achmatowicz et al.,Tetrahedron,27,1973(1971))に
一致した。
合成 実施例1の工程3と同じく、文献記載の方法(Koell et
al.,Chem.Ber.109,337-344(1976) )に従って、工程2
で得られたエノピラノース誘導体(V)からイソレボグ
ルコセノン(I)を製造した。生成物の物性値は文献値
(Achmatowicz et al.,Tetrahedron,27,1973(1971))に
一致した。
【0027】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
天然界に多量に存在する安価なβ- D- グルコースか
ら、高収率でイソレボグルコセノン(I)及びその類縁
体である1,6-アンヒドロ-2,3- ジデオキシ- β- D- エ
リトロ- ヘキシ-2- エノピラノース(V)を得ることが
できる。
天然界に多量に存在する安価なβ- D- グルコースか
ら、高収率でイソレボグルコセノン(I)及びその類縁
体である1,6-アンヒドロ-2,3- ジデオキシ- β- D- エ
リトロ- ヘキシ-2- エノピラノース(V)を得ることが
できる。
【0028】従って、本発明はイソレボグルコセノンや
その類縁体である1,6-アンヒドロ-2,3- ジデオキシ- β
- D- エリトロ- ヘキシ-2- エノピラノースを原料とし
て、除草剤や香料、フェロモン等の有用化合物を製造す
る工業分野に大きく貢献するものである。
その類縁体である1,6-アンヒドロ-2,3- ジデオキシ- β
- D- エリトロ- ヘキシ-2- エノピラノースを原料とし
て、除草剤や香料、フェロモン等の有用化合物を製造す
る工業分野に大きく貢献するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 京子 神奈川県横浜市緑区梅が丘6番地2 日 本たばこ産業株式会社生命科学研究所内 (72)発明者 松下 肇 神奈川県横浜市緑区梅が丘6番地2 日 本たばこ産業株式会社生命科学研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 493/08 CA(STN) REGISTRY(STN)
Claims (3)
- 【請求項1】 下記化1の反応式に示されるように、
3,4,5- トリ- O- アセチル- β- D- グルカール(III)
の1-位の炭素に -OPh基を導入し、エノピラノシド
誘導体(IV)を得る反応1と、該エノピラノシド誘導体
(IV)のO-アセチル基を加水分解すると共に、 -OP
h基の脱離を伴って環化させることにより、 1,6- アン
ヒドロエノピラノース誘導体(V)を得る反応2と、該
1,6- アンヒドロエノピラノース誘導体(V)を酸化す
ることにより、イソレボグルコセノン(I)を得る反応
3とを具備したことを特徴とするイソレボグルコセノン
の製造方法。但し、Acはアセチル基を意味し、Phは
置換もしくは非置換のフェニル基を意味する。 【化1】 - 【請求項2】 下記化2の反応式に示されるように、
3,4,5- トリ- O- アセチル- β- D- グルカール(III)
の1-位の炭素に -OPh基を導入し、エノピラノシド
誘導体(IV)を得る反応1と、該エノピラノシド誘導体
(IV)のO-アセチル基を加水分解すると共に、 -OP
h基の脱離を伴って環化させることにより、 1,6- アン
ヒドロエノピラノース誘導体(V)を得る反応2とを具
備したことを特徴とする、 1,6- アンヒドロ-2,3- ジデ
オキシ- β- D- エリトロ- ヘキシ-2- エノピラノース
(V)の製造方法。但し、Acはアセチル基を意味し、
Phは置換もしくは非置換のフェニル基を意味する。 【化2】 - 【請求項3】 前記反応2の閉環反応は、水酸化ナトリ
ウムのようなアルカリの存在下に行われる請求項2に記
載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03319709A JP3083189B2 (ja) | 1991-11-08 | 1991-11-08 | イソレボグルコセノンの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03319709A JP3083189B2 (ja) | 1991-11-08 | 1991-11-08 | イソレボグルコセノンの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05125080A JPH05125080A (ja) | 1993-05-21 |
JP3083189B2 true JP3083189B2 (ja) | 2000-09-04 |
Family
ID=18113307
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP03319709A Expired - Fee Related JP3083189B2 (ja) | 1991-11-08 | 1991-11-08 | イソレボグルコセノンの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3083189B2 (ja) |
-
1991
- 1991-11-08 JP JP03319709A patent/JP3083189B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05125080A (ja) | 1993-05-21 |
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