JP3082053B2 - 大規模、大深度の鋼製連続地下壁及びその構築方法 - Google Patents
大規模、大深度の鋼製連続地下壁及びその構築方法Info
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深度の地下構造部分をもつ建物を建築施工するにあた
り、特に本設の地下外壁として利用する目的で実施され
る、鋼製連続地下壁及びその構築方法に関する。
るに際しては、土留壁又は地下外壁として利用する連続
地下壁が一般的に採用されている。従来の連続地下壁
は、鉄筋コンクリート造(以下、RC造と略す)として
構築されたものが最も一般的で周知である。また、最近
では仮設用としてではあるが鋼材を補強芯材に使用した
鋼製連続地下壁及びその構築工法も開発されている(例
えば新日本製鐵株式会社の「NS−BOX矢板」=雑誌
「基礎工」昭和62年11月号のP99〜P103、川
崎製鉄株式会社の「Kドメール」=1990年8月印刷
の同社カタログ「Kドメール川鉄の高剛性壁体」など参
照)。
建物が計画されているが、例えば地下10階の建物を考
えると、深さにして地下50mにも達する大深度連続地
下壁の構築が必要となる。仮設山留め壁として利用され
るもの、又は本設の地下外壁、耐震壁あるいは支持壁と
して利用可能な連続地下壁、それも地下50mの大深度
に達する連続地下壁を、従来のRC造として構築する場
合、その壁厚は面外力(常時土、水圧)で決定され、お
よそ3.5mもの巨大なものになる。従って、その構築
には長大な工期を要し、莫大なコストを要して建築費を
圧迫するという問題がある。また、最近ではウォーター
フロント等の特殊地盤(埋立軟弱地盤)での施工が増加
している。あるいは都市部では狭隘な土地の有効利用の
ため隣接構造物と近接した施工も増加しており、壁厚が
制限されるほか、地盤安定液による掘削では溝壁の安定
化が難しいという問題もあって、施工管理の複雑さが増
加し、難工事が増加している。
その構築方法によれば、鋼矢板を使用した鋼製化によ
り、工期の短縮、壁厚の縮小化、施工管理の容易化に優
れた利点をもつことが理解されている。しかし、鋼矢板
相互間の連結部は面内せん断力(地震時水平力)によっ
て自由にすべる構造であり、せん断力を伝達する構造に
なっておらず、面内力に抵抗できない。このため既存の
鋼製連続地下壁の用途は、護岸、擁壁、土留壁のような
仮設物に限られ、既往のRC造連続地下壁と同様に本設
の地下外壁、耐震壁や支持壁としての利用はできない欠
点がある。
製化を図り、しかも仮設又は本設の兼用が可能であり、
特に本設の地下外壁、耐震壁や支持壁としての利用が可
能な鋼製連続地下壁及びその構築方法を提供することに
ある。
決するための手段として、請求項1に記載した発明に係
る大規模、大深度鋼製連続地下壁の構築方法は、多軸オ
ーガーによって、数個のソイルパイルが相互に一部ラッ
プする配置で連続するソイルセメント柱列壁を造成し、
その壁中に、先端縁にスライド継手を設けた先行ユニッ
ト鋼材を挿入し設置する段階と、前記先行ユニット鋼材
の突き合わせ端部には、地上において予めスタッドを突
設し、底面の横仕切板を取付け、オーガーの外径に近似
の曲率で凹曲面状をなす縦仕切板を前記スライド継手を
利用して引抜き可能に取付け、さらに前記底面の横仕切
板と前記縦仕切板とに囲まれた閉鎖室内に、前記スタッ
ドの配列に沿って各スタッドを包み込むようにチューブ
を設置し同室内一杯に膨張させること、 多軸オーガーに
よって次なるソイルセメント柱列壁を隣接位置へ一連に
造成し、前記縦仕切板を引き抜いた後に、後行ユニット
鋼材を、前記先行ユニット鋼材とスライド継手で接合し
つつ当該ソイルセメント柱列壁中へ挿入し設置する段階
と、前記後行ユニット鋼材の突き合わせ端部には、地上
において予めスタッドを突設し、底面に仕切板を取付
け、前記底面の仕切板と前記突き合わせ端部とに囲まれ
た閉鎖室内に、前記スタッドの配列に沿って各スタッド
を包み込むようにチューブを設置し同室内一杯に膨張さ
せること、 前記の各チューブを収縮させて抜き取った後
に、前記先行ユニット鋼材及び後行ユニット鋼材の突き
合わせ端部であって前記スライド継手で接合された閉鎖
断面内を洗浄する段階と、前記先行ユニット鋼材及び後
行ユニット鋼材の突き合わせ端部の閉鎖断面内に補強筋
を挿入して配置し、コンクリート打設を行って面内力を
伝達する連結を行う段階とよりなることを特徴とする、
大規模、大深度鋼製連続地下壁の構築方法。
の連結部は、スライド継手3による接合のほか、スタッ
ド4及び補強筋5がコンクリート6中に埋め込まれ、そ
の所謂ダボ作用とまさつ抵抗とによってせん断力の伝達
が可能なシヤーコネクタ構造になっており、面内力(地
震時水平力)に強力に抵抗する。勿論、面外力(常時
土、水圧)にも抵抗する構造でもある。したがって、本
設の地下外壁や耐震壁あるいは支持壁として利用可能な
機能、性能をもつ。また、ユニット鋼材1又は1’の優
れた断面性能に基づく補強効果により、壁厚は地下30
mで1.1m位、地下50mでも1.5m位まで縮小化
できる。
ルセメント柱列壁2の中へユニット鋼材1又は1’を挿
入して鋼製連続地下壁を構築する方法であるから、地盤
安定液を使用して溝を掘削し構築する方法に比して排土
量を少なくでき、施工管理が容易であり、構造体として
の信頼性を高められる。
図1は5軸オーガー7によって地盤を掘削し、その掘削
土中にセメントミルク等の硬化材を注入して攪拌し、も
って5個のソイルパイル2aが相互に一部ラップする配
置で連続するソイルセメント柱列壁2を造成する段階を
示している。
セメント柱列壁2の中へ先行ユニット鋼材1を挿入して
設置した段階を示している。先行ユニット鋼材1の下部
は根固め液20で固定される。先行ユニット鋼材1の主
要部構造及びソイルセメント柱列壁2との関係の詳細
は、図3と図4に示したとおりである。この先行ユニッ
ト鋼材1は、ソイルパイル2aの外径に対して適度な被
り厚を確保した間隔で平行に並べられた平行鋼矢板1
a、1aと、その間を幅方向に連結した中仕切鋼板1b
とにより、角形鋼管が複数個連結されたマルチボックス
型に構成されている。そして、平行鋼矢板1aの両端が
中仕切鋼板1bの位置から延長され開放型に突き出され
た形の突き合わせ端部の先端縁は、一端をC形断面のグ
ローブ3aに形成され、他端は球形断面のリブ3bに形
成され、これらがスライド継手3として設けられてい
る。また、先行ユニット鋼材1において、次なる後行ユ
ニット鋼材1’と接合される側の端部には、中仕切鋼板
1bから外向きにスタッド4が多数本縦2列に突設さ
れ、二つの突き合わせ端部の底面は仕切板8を取付けて
閉鎖されている。また、スライド継手3,3の位置に
は、オーガー外径より少し大きい曲率の凹曲面状に形成
された縦仕切板9を蓋の如く挿入し、後で引抜き可能に
取付けられている、さらに前記二つの突き合わせ端部と
底面の仕切板8及び縦仕切板9とに囲まれた閉鎖室内に
は、スタッド4の縦の配列に沿って同スタッド4を包み
込むように大きく膨張された水入りゴムチューブ10が
上下方向に設置されている(図4)。要するに、先行ユ
ニット鋼材1は、以上に述べた全装備を地上において予
め用意し、しかる後に前記ソイルセメント柱列壁2の中
にクレーン等を使用して挿入される。従って、先行ユニ
ット鋼材1は、ソイルセメントの中にドブ漬け状態に沈
没される訳であるが、後行ユニット鋼材との接合側端部
に限っては、まず底面の仕切板8がソイルセメントを押
しのけ、側面からの侵入は縦仕切板9が防ぎ、それでも
なお侵入するソイルセメントや余剰水などは、水入りゴ
ムチューブ10の膨張した体積で可及的に抑制される。
て次なるユニットのセメント柱列壁2’を隣接位置に造
成する段階を示し、図6A,Bはソイルセメント柱列壁
2’の造成後、後行ユニット鋼材1’の挿入後に、先行
ユニット鋼材1の縦仕切板9をクレーン等で引き抜く段
階を示している。そして、図7A,Bは先行ユニット鋼
材1とスライド継手3で接合しつつ後行ユニット鋼材
1’を挿入し設置した段階を示している。この後行ユニ
ット鋼材1’の下部も根固め液20で固定される。図8
は先行ユニット鋼材1と後行ユニット鋼材1’との接合
部分の構造詳細を示している。後行ユニット鋼材1’の
うち、先行ユニット鋼材1と接合される端部には、既述
した先行ユニット鋼材1の場合と同様に、端部の中仕切
鋼板1bからスタッド4が多数本突設され、突き合わせ
端部の底面は仕切板8’(図13参照)を取付けて塞が
れ、この底面の仕切板8’と突き合わせ端部とに囲まれ
た空所には前記スタッド4の縦の配列に沿って上下方向
の向きにスタッド4を包み込むように大きく膨張された
水入りゴムチューブ10が設置されている。この後行ユ
ニット鋼材1’の場合も、以上に述べた全装備を地上に
おいて予め用意し、しかる後にスライド継手3で先行ユ
ニット鋼材1と接合しつつ前記ソイルセメント柱列壁
2’の中に挿入し設置される。かくして後行ユニット鋼
材1’は、ソイルセメントの中にドブ漬け状態に沈没さ
れる訳であるが、先行ユニット鋼材1との接合端部に限
っては、まず底面の仕切板8’がソイルセメントを押し
のけ、側面からの侵入は水入りゴムチューブ10の膨張
した体積で可及的に抑制される(図8参照)。
ユニット鋼材1と後行ユニット鋼材1’の突き合わせ端
部が形成した閉鎖断面11内から前記の水入りゴムチュ
ーブ10を収縮させて全部抜取り、地上から長い洗浄ブ
ラシ12を挿入して閉鎖断面11内を後で打設するコン
クリートとの接着が良好となるように洗浄する工程を示
している。前記水入りゴムチューブ10の収縮は、同チ
ューブの下端に予め水抜き栓を取付けておき、しかも水
抜き栓は底面の仕切板8又は8’に固定しておくことに
よりゴムチューブを少し上方へ持ち上げると開栓する構
成などが実施される。水入りゴムチューブ10の水を抜
いて収縮させることにより、前記閉鎖断面11内はチュ
ーブから流出した水で満たされ、洗浄ブラシ12による
洗浄作業に好都合な状況となる。
平版状に組立てられた補強筋5を閉鎖断面11内へ挿入
する段階を示し、図11は閉鎖断面11内へトレミー管
13を挿入し、閉鎖断面11内の下底部から順次上方へ
コンクリート6を打設する段階を示している。そして、
図12と図13は先行ユニット鋼材1と後行ユニット鋼
材1’との接合を完成した鋼製連続地下壁の主要部を示
している。この鋼製連続地下壁は、先行ユニット鋼材1
と後行ユニット鋼材1’との間でスタッド4と補強筋5
及びコンクリート6とが合成された関係における所謂ダ
ボ作用とまさつ抵抗とに基づいてせん断力の伝達が行な
われ、面内力に強く抵抗する構造であり、勿論面外力に
も十分強力に抵抗する。
は、上述のマルチボックス型の限りではない。図14に
示したシングルボックス型、又は図15に示したH型、
さらには図16に示した如く、背骨に相当する鋼矢板1
cの両面に一定のピッチでT型鋼材1dが付設された開
方型断面の鋼材などを、設計条件に応じて選択し使用す
ることができる。
は、面外力は勿論のこと、面内せん断力に強く抵抗する
ので、従来のRC造連続地下壁と全く同様に本設の地下
外壁や耐震壁あるいは支持壁としての利用が可能であ
り、大規模、大深度の地下構造部分をもつ建物の建築施
工に寄与する。しかも鋼製連続地下壁としての利点、特
長である、壁厚の大幅な縮小化により、工期の短縮、工
費の節減に大きな期待ができるほか、壁厚を制限される
隣接構造物と近接した施工をも容易ならしめる。
ット鋼材を挿入し設置するので、従来の地盤安定液を使
用して掘削する方法に比して排土量を大幅に少なくで
き、産業廃棄物の発生を抑制する効果があり、施工管理
も容易になる。
成を示した断面図である。
列壁の中へ挿入し設置した段階の平面図と断面図であ
る。
図である。
のソイルセメント柱列壁を造成する段階の平面図と断面
図である。
図である。
階の平面図と断面図である。
図である。
と断面図である。
る。
した平面図である。
した断面図である。
ある。
ある。
ある。
Claims (1)
- 【請求項1】多軸オーガーによって、数個のソイルパイ
ルが相互に一部ラップする配置で連続するソイルセメン
ト柱列壁を造成し、その壁中に、先端縁にスライド継手
を設けた先行ユニット鋼材を挿入し設置する段階と、前記先行ユニット鋼材の突き合わせ端部には、地上にお
いて予めスタッドを突設し、底面の横仕切板を取付け、
オーガーの外径に近似の曲率で凹曲面状をなす縦仕切板
を前記スライド継手を利用して引抜き可能に取付け、さ
らに前記底面の横仕切板と前記縦仕切板とに囲まれた閉
鎖室内に、前記スタッドの配列に沿って各スタッドを包
み込むようにチューブを設置し同室内一杯に膨張させる
こと、 多 軸オーガーによって次なるソイルセメント柱列壁を隣
接位置へ一連に造成し、前記縦仕切板を引き抜いた後
に、後行ユニット鋼材を、前記先行ユニット鋼材とスラ
イド継手で接合しつつ当該ソイルセメント柱列壁中へ挿
入し設置する段階と、前記後行ユニット鋼材の突き合わせ端部には、地上にお
いて予めスタッドを突設し、底面に仕切板を取付け、前
記底面の仕切板と前記突き合わせ端部とに囲まれた閉鎖
室内に、前記スタッドの配列に沿って各スタッドを包み
込むようにチューブを設置し同室内一杯に膨張させるこ
と、 前記の各チューブを収縮させて抜き取った後に、前記 先
行ユニット鋼材及び後行ユニット鋼材の突き合わせ端部
であって前記スライド継手で接合された閉鎖断面内を洗
浄する段階と、前記 先行ユニット鋼材及び後行ユニット鋼材の突き合わ
せ端部の閉鎖断面内に補強筋を挿入して配置し、コンク
リート打設を行って面内力を伝達する連結を行う段階と
よりなることを特徴とする、大規模、大深度鋼製連続地
下壁の構築方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03252016A JP3082053B2 (ja) | 1991-09-30 | 1991-09-30 | 大規模、大深度の鋼製連続地下壁及びその構築方法 |
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---|---|---|---|
JP03252016A JP3082053B2 (ja) | 1991-09-30 | 1991-09-30 | 大規模、大深度の鋼製連続地下壁及びその構築方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0586615A JPH0586615A (ja) | 1993-04-06 |
JP3082053B2 true JP3082053B2 (ja) | 2000-08-28 |
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JP03252016A Expired - Fee Related JP3082053B2 (ja) | 1991-09-30 | 1991-09-30 | 大規模、大深度の鋼製連続地下壁及びその構築方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3082053B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101103280B1 (ko) * | 2009-12-03 | 2012-01-10 | 김정수 | 회전형 청소기 |
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---|---|---|---|---|
KR102151496B1 (ko) * | 2020-03-30 | 2020-09-03 | 에스오씨기술지주 주식회사 | 콘크리트 강재 합성 지하 연속벽 구조 및 이를 이용한 지하구조물 시공방법 |
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1991
- 1991-09-30 JP JP03252016A patent/JP3082053B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101103280B1 (ko) * | 2009-12-03 | 2012-01-10 | 김정수 | 회전형 청소기 |
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JPH0586615A (ja) | 1993-04-06 |
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