JP3077331B2 - 能動騒音低減装置 - Google Patents

能動騒音低減装置

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JP3077331B2 JP03310489A JP31048991A JP3077331B2 JP 3077331 B2 JP3077331 B2 JP 3077331B2 JP 03310489 A JP03310489 A JP 03310489A JP 31048991 A JP31048991 A JP 31048991A JP 3077331 B2 JP3077331 B2 JP 3077331B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車室内騒音を抑圧する
ための能動騒音低減装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図4は、従来の能動騒音低減装置の構成
を示している。図4において、1はエンジン騒音と相関
の深い信号を検出するエンジン振動検出用の振動セン
サ、2はその検出信号を増幅するアンプ、3はセンサ検
出信号からカットオフ周波数以上の周波数を減衰させる
ローパスフィルタ(LPF)、4はローパスフィルタ3
を通過した信号をディジタル信号に変換するA−D変換
器、5は消音しようとする位置において騒音と逆位相
で、かつ同一音圧となる音を作る適応有限インパルス応
答(FIR)フィルタ、6は適応FIRフィルタからの
信号をアナログ信号からカットオフ周波数以上の周波数
を減衰させるローパスフィルタ(LPF)、8はローパ
スフィルタ7を通過した信号を増幅するアンプ、9はそ
の増幅出力により駆動されるスピーカ、10は消音しよ
うとする位置に設置された騒音センサであり、例えばマ
イクロフォンから構成される。11はA−D変換器4に
接続され、スピーカ9から騒音センサ10までの伝達関
数を係数とする有限インパルス応答(FIR)フィル
タ、12はFIRフィルタ11からの信号および騒音セ
ンサ10から得られる信号に基づいて適応FIRフィル
タ5の係数を変更する係数変更器であり、この係数変更
器12と音圧センサ10間には、センサ信号を増幅する
アンプ13、ローパスフィルタ14およびローパスフィ
ルタ14を通過した信号をディジタル信号に変換するA
−D変換器15が直接に接続されている。
【0003】次に上記従来例の動作について説明する。
図4において、エンジン騒音と相関の深い信号をエンジ
ンブロックに装着された振動センサ1で検出し、アンプ
2でその信号を増幅し、ローパスフィルタ3でカットオ
フ周波数以上の周波数を減衰し、A−D変換器4でディ
ジタル信号に変換する。変換された信号は、適応FIR
フィルタ5によって、消音しようとする位置において騒
音と逆位相でかつ同一音圧となる音に変えられる。その
後、A−D変換器6によってアナログ信号に変換され、
ローパスフィルタ7でカットオフ周波数以上の周波数を
減衰し、アンプ8によって増幅される。増幅された信号
は、スピーカ9によって出力された信号との差は、消音
しようとする位置の近傍に設置された音圧センサ10に
入力され、アンプ13によって増幅され、さらにローパ
スフィルタ14によってカットオフ周波数以上の周波数
を減衰し、A−D変換器15によってディジタル信号に
変換され、係数変更器12の一方の入力となる。
【0004】一方、A−D変換器4で変換されたディジ
タル信号は、スピーカ9から騒音センサ10までの伝達
関数を係数とするFIRフィルタ11を通って、係数変
更器12のもう一方の入力となる。係数変更器12で
は、消音しようとする位置で音圧が最小となるように適
応FIRフィルタ5の係数を毎サンプル算出して更新す
る。
【0005】図5は、従来におけるFIRフィルタの構
成図である。図5において、X(n)は入力、Y(n)
は出力、h(n)は係数であり、要その入出力の関係は
下記の数1により表わされる。
【0006】
【数1】
【0007】図6は、従来における適応FIRフィルタ
の構成を示す。図6において、X7(n)は入力、Y
(n)は出力、d(n)は要求信号、e(n)は評価関
数であり、e(n)は下記の数2により算出される。
【0008】
【数2】
【0009】係数変更器12は評価関数e(n)を最小
にするよう計算して適応FIRフィルタ5の係数h
(n)を更新するものであり、LMS適応アルゴリズム
がよく知られている。
【0010】このように、上記従来の能動騒音低減装置
では、適応フィルタの係数を更新することにより、室内
騒音を抑圧することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の能動騒音低減装置では、適応FIRフィルタの係数
が定状状態になって消音が安定するまで数秒から十数秒
かかるため、エンジンの回転数の変化に追従できず室内
騒音を十分低減できないという問題があった。
【0012】なお、消音の集束が遅い一つの原因は、エ
ンジン振動が回転数によりその振動加速度が大きく違う
ため、振動センサ出力もエンジン回転数に大きく依存
し、回転数が高いほど振動センサ出力は大きくなるが、
しかし、エンジンより生じる騒音は、例えば、アイドル
時の騒音のようにエンジン回転数が低いからといって小
さいとは限らないからである。
【0013】本発明は、このような従来の問題を解決す
るものであり、消音の集束度を向上させることができる
能動騒音低減装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の能動騒音低減装置は、エンジン振動を検出
する振動センサと、前記エンジンの回転数を検出する回
転数センサと、この回転数センサの出力に応じて利得を
変えて、前記振動センサ出力を増幅する利得可変増幅
器と、前記エンジンからの騒音を消音しようとする位置
音圧を検出する音圧センサと、前記位置における前記
騒音を低減するための音を出力するスピーカと、この
ピーカから前記音圧センサまでの伝達関数を係数とする
第1のフィルタと、前記音圧センサの出力及び前記第1
のフィルタを介した前記利得可変増幅器の出力に応じ
て、所定のサンプル時間間隔で所定の係数を逐次決定し
更新する係数更新手段と、この係数更新手段の決定に従
って係数が更新される第2のフィルタとを備え、前記ス
ピーカは、前記第2のフィルタを介した前記利得可変増
幅器の出力に応じて、前記騒音と逆位相でかつ同一音圧
となる音を出力することにより前記騒音を低減するもの
である。
【0015】
【作用】したがって本発明によれば、適応FIRフィル
タのリファレンス信号である振動センサの信号の増幅度
をエンジン回転数に応じて可変し、エンジン回転数に応
じた適切なレベルのリファレンス信号を適応FIRフィ
ルタに入力できるため、消音しようとする位置での消音
が早く収束し、かつエンジン回転数の変動による車室内
騒音の変化に対応できるという効果を有する。
【0016】
【実施例】
(第一の実施例)図1は、本発明の第一の実施例の構成
を示すものである。
【0017】図1において、21はノックセンサなどか
らなるエンジン振動検索用の振動センサ、22は振動セ
ンサ21からの検出信号を増幅する利得可変増幅器(以
下、AGCアンプという)、23は増幅されたセンサ信
号からカットオフ周波数以上の周波数を減衰させるロー
パスフィルタ(LPF)、24はローパスフィルタ23
を通過した信号をディジタル信号に変換するA−D変換
器増幅するアンプ、2は消音しようとする位置におい
て騒音と逆位相でかつ同一音圧となる信号を作る適応F
IRフィルタ25からの信号をD−A変換器26でアナ
ログ信号に変換した後、カットオフ周波数以上の周波数
を減衰させるローパスフィルタ(LPF)、28はロー
パスフィルタ27を通過した信号を増幅するアンプ、2
9はその増幅出力により駆動されるスピーカ、30は消
音しようとする位置に配置されたマイクロフォン等から
なる騒音センサ、31はA−D変換器24の出力を受
け、スピーカ29から騒音センサ30までの伝達関数を
係数とするFIRフィルタ、32はFIRフィルタ31
からの出力信号と騒音センサ30から得られる信号に基
づいて適応FIRフィルタ25の係数を更新する係数変
更器であり、この係数変更器32と騒音センサ30間に
は、センサ信号を増幅するアンプ33、ローパスフィル
タ34およびローパスフィルタ34を通過した信号をデ
ィジタル信号に変換するA−D変換器35が直接に接続
されている。
【0018】36はエンジンの回転数に比転した信号を
出力する回転数センサ、37は回転数センサ36からの
出力信号を波形整形する波形整形器、38は波形整形器
37からの信号(パルス)に基づいてエンジンの回転数
を算出する回転数算出器であり、この回転数算出器38
の算出値は、利得制御信号としてAGCアンプ22に入
力される。
【0019】次に上記実施例の動作について説明する。
図1において、車室内騒音と相関が深いエンジン振動を
振動センサ21で検出し、AGCアンプ22でその信号
を増幅し、ローパスフィルタ23でカットオフ周波数以
上の周波数を減衰し、A−D変換器24でディジタル信
号に変換する。変換された信号は適応FIRフィルタ2
5によって、消音しようとする位置で逆位相でかつ同一
音圧となる音に変えられる。その後、A−D変換器26
によってアナログ信号に変換され、ローパスフィルタ2
7によってカットオフ周波数以上の周波数を減衰し、ア
ンプ28によって増幅される。増幅された信号は、スピ
ーカ29によって車室内に出力される。
【0020】騒音とスピーカ29によって出力された信
号との差は、消音しようとする位置の近傍に設置された
センサ30によりピックアップされ、アンプ35によっ
て増幅され、ローパスフィルタ34によってカットオフ
周波数以上の周波数を減衰し、A−D変換器33によっ
てディジタル信号に変換された後、係数更新器32の一
方の入力となる。
【0021】一方、A−D変換器24で変換されたディ
ジタル信号は、スピーカ29からセンサ30までの伝達
関数を係数とするFIRフィルタ31を通って、係数更
新器32のもう一方の入力となる。係数更新器32で
は、係数を更新する場合は、消音しようとする位置で音
圧が最小となるように適応FIRフィルタ25の係数を
更新する。
【0022】また、エンジンの回転数は、回転数センサ
36により検出され波形整形された後の信号と回転数算
出器38により算出される。このエンジン回転数算出器
の算出値は振動センサの最適信号レベルを出すための利
得制御信号としてAGCアンプ22に出力される。
【0023】図2は、上記第1の実施例における。AG
Cアンプ22の構成の一例を示すものである。AGCア
ンプ22の利得は抵抗R0とRi(i=1〜n)の比によ
り設定され、フィードバック抵抗R1〜Rnは回転数算出
器38よりスイッチ素子SW 1〜SWnをオンオフするこ
とで選択される。
【0024】このように第一の実施例においては、回転
数算出器38の算出値により、振動センサ21の検出信
号を増幅するAGCアンプ22の利得を可変し、これに
よってエンジン回転数に応じた最適レベルのリファレン
ス信号を適応FIRフィルタ25に入力するようにした
ので、騒音をキャンセルするまでの時間が短くなり、エ
ンジン回転変動に強い適応FIRフィルタを構成でき
る。
【0025】(第2の実施例)図3は、本発明の第2の
実施例の構成を示している。図3において、図1と同様
の構成要素には図1と同一符号を付してその説明を省略
し、図1と異なる部分を重点に述べる。
【0026】第2の実施例において、図1と異なる点
は、振動センサ21のアンプ22を通常のアンプとし、
そして、A−D変換器24のディジタル値を回転数算出
器38の算出値に応じ調整する。すなわちA−D変換器
24のディジタル値にエンジン回転数に応じたある係数
をかけることにより利得を調整するようにしたところに
ある。
【0027】このような第2の実施例によれば、回転変
動に対応したリファレンス信号の増幅器の利得が得られ
る。
【0028】
【発明の効果】本発明は、上記実施例から明らかなよう
に、あるエンジン回転数ごとに振動センサの信号レベル
を最適に設定する構成にしたので、消音しようとする位
置での騒音をキャンセルするまでの時間が短くなり、か
つエンジン回転変動に強い適応FIRフィルタを構成で
きるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における能動騒音低減装
置のブロック図
【図2】本発明におけるAGCアンプの構成の一例
【図3】本発明の第2の実施例における能動騒音低減装
置のブロック図
【図4】従来の実施例における能動騒音低減装置のブロ
ック図
【図5】FIRフィルタの構成図
【図6】適応FIRフィルタの構成図
【符号の説明】
21 振動センサ 22 AGCアンプ 23 ローパスフィルタ(LPF) 24 A−D変換器 25 適応FIRフィルタ 26 A−D変換器 27 ローパスフィルタ(LPF) 28 アンプ 29 スピーカ 30 騒音センサ 31 FIRフィルタ 32 係数更新器 33 アンプ 34 ローパスフィルタ(LPF) 35 A−D変換器 36 回転数センサ 37 波形整形器 38 回転数算出器
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10K 11/178 B60R 11/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの振動を検出する振動センサ
    と、前記エンジンの回転数を検出する回転数センサと、
    この回転数センサの出力に応じて利得を変えて、前記振
    動センサの出力を増幅する利得可変増幅器と、前記エン
    ジンからの騒音を消音しようとする位置の音圧を検出す
    る音圧センサと、前記位置における前記騒音を低減する
    ための音を出力するスピーカと、このスピーカから前記
    音圧センサまでの伝達関数を係数とする第1のフィルタ
    と、前記音圧センサの出力及び前記第1のフィルタを介
    した前記利得可変増幅器の出力に応じて、所定のサンプ
    ル時間間隔で所定の係数を逐次決定し更新する係数更新
    手段と、この係数更新手段の決定に従って係数が更新さ
    れる第2のフィルタとを備え、前記スピーカは、前記第
    2のフィルタを介した前記利得可変増幅器の出力に応じ
    て、前記騒音と逆位相でかつ同一音圧となる音を出力す
    ることにより前記騒音を低減することを特徴とする能動
    騒音低減装置。
  2. 【請求項2】 エンジンの振動及び回転数を検出し、こ
    の回転数に応じて利得を変えつつ前記振動に比例する出
    力を増幅してリファレンス信号とするとともに、前記エ
    ンジンからの騒音を消音しようとする位置の音圧を検出
    し、前記位置における音圧及びスピーカから前記位置ま
    での伝達関数を係数とする第1のフィルタを介した前記
    リファレンス信号に応じて、所定のサンプル時間間隔で
    第2のフィルタの係数を逐次更新することにより、前記
    第2のフィルタを介した前記リファレンス信号に応じ
    て、前記スピーカが、前記騒音と逆位相でかつ同一音圧
    となる音を出力して前記騒音を低減することを特徴とす
    る騒音低減方法。
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