JP3076443B2 - 湿度感知膜及び湿度センサ素子 - Google Patents

湿度感知膜及び湿度センサ素子

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JP3076443B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、湿度センサに用いるこ
とができる湿度感知膜、及び湿度センサ素子に関し、更
に詳しくは、幅広い温度範囲に対処できる湿度センサ素
子用湿度感知膜、及び湿度センサ素子に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、大気中の湿度や各種ガス中の水分を検知するのに多
種多様の方法が行われているが、最近では、各種家電機
器等に湿度検知手段を付与し、機器の制御をすることが
行われるようになってきており、個体素子型の湿度セン
サが広く使用されるようになってきた。この個体素子型
の湿度センサは、その検知原理から、抵抗変化(イン
ピーダンス変化)を利用するもの、容量変化を利用す
るもの、周波数変化を利用するもの、熱伝導変化を
利用するものや、超音波や赤外線等を利用するものに
分類されるが、それらの中では、抵抗変化型や容量変化
型のものが主として用いられている。
【0003】この抵抗変化型や容量変化型の湿度センサ
をその構成材料から分類すると、高分子系センサ(高分
子膜を用いたセンサ)と金属酸化物系センサとに大別さ
れる。高分子系センサは、抵抗変化型及び容量変化型の
いずれの場合においても雰囲気中の相対湿度を検知する
ものであり、その材料特性(用いる高分子膜の性質)か
ら0℃以下の低温雰囲気、及び50℃程度以上の高温雰囲
気の測定には適しない。0℃以下の低温雰囲気では結氷
する可能性があり、また50℃程度以上の高温雰囲気では
高分子膜が変質する可能性があるからである。通常、こ
の種のセンサは非加熱方式であるが、高分子系センサに
おいては、使用雰囲気中の粉塵、油煙等による素子表面
(高分子膜表面)のよごれにより出力の変動がみられや
すく、長期安定性が悪い。したがって、高分子系センサ
の使用環境条件は自ずと制限される。
【0004】一方、金属酸化物系センサにおいては、抵
抗変化型及び容量変化型とも常温作動のものが広く用い
られているが、この種のセンサも、上述した高分子系セ
ンサと同様に使用環境温度に制約があり、また、使用雰
囲気中の粉塵、油煙等による素子表面のよごれにより出
力の変動がみられやすい欠点がある。そこで、その構成
材料(金属酸化物)の耐熱性を利用して、一時的に素子
を400 〜500 ℃に加熱して素子(金属酸化物)表面の汚
れを焼き飛ばしてしまういわゆるリフレッシュ機構を備
えたセンサも開発されている。
【0005】しかしながら、このリフレッシュ機構を作
動させて一時的に素子を加熱する(リフレッシングを行
う)と、リフレッシング及びリフレッシング後のしばら
くの間(再び初期安定レベルに復帰するまでの間)は湿
度センサとして機能できず、その間の湿度の検知は行え
ない。なお、金属酸化物系センサにおいては、金属酸化
物の低温における大きな吸湿能を利用し、水分の吸脱着
に伴う抵抗変化を測定して湿度を検知するように構成さ
れたものが広く利用されている。
【0006】以上述べた常温作動型のセンサ(リフレッ
シュ機構を備えたセンサも含む)における欠点(使用環
境温度の狭さや長期安定性の問題)を解決しようとした
ものとして、高温作動型の金属酸化物系センサが開発さ
れている。一般に、高温域での金属酸化物の湿度に対す
るインピーダンスの変化量は常温におけるそれよりは小
さくなるが、十分に湿度の変化を検知できる程度の変化
を示し、また、100 ℃以上の高温雰囲気中でも十分に湿
度の検知を行うことが可能である。このような高温作動
型の金属酸化物系センサにおいては、素子は常時数百℃
に加熱されているので特別なリフレッシングは必要な
く、素子表面は常に清浄な状態に保たれることになる。
したがって、検知レベルは長期間にわたって安定する。
【0007】高温作動型の抵抗変化型湿度センサには、
従来、ZrO2 、TiO2 、CaZrO3 等のセラミック粉体を
バインダー等とともに一旦ペーストにし、それをシート
状に成形、焼成して得られたセラミックシートをチップ
状に切断して得られた感湿体が用いられていた。そのよ
うな高温作動型の湿度センサの一例として、特開昭58−
138001号には図8に示す構成のセンサが開示されてい
る。図8に示す湿度センサ8は、金属酸化物のチップ基
板81(これが湿度の変化に伴って電気抵抗値を変化させ
るものであり、感湿体と呼ばれる)と、この基板81の両
面に形成された一対の多孔質の電極82、82と、これらの
電極に接続した白金等のリード線部84、84とを有する素
子の周りに、コイルヒータ83を配置してなる。なお、こ
の構造の湿度センサ8では、コイルヒータ83は感湿体に
接触しないように素子を取り巻くか、またはコイルヒー
タ83の表面に絶縁層を形成しておく必要がある。
【0008】図8に示す湿度センサ8では、間接的に素
子(感湿体)を加熱する構造となっているので、ヒータ
熱効率が悪い。また、素子(感湿体)を所望の作動温度
に加熱するためには比較的大きな電流を必要とし、消費
電力が大きくなる。したがって、この種の素子を機器に
組み込む場合には、容量の大きな高価な回路部品が必要
となる。
【0009】また、特開平1−158340号には、図9に示
すような湿度センサが開示されている。図9は湿度セン
サ9を一部破断して示しているが、この湿度センサ9
は、ヒータ92、電極94及び測温体93を1つの感湿体91内
に埋設した構造を有する。なお、湿度センサ9において
は、ヒータ92は、電極94に対向するもう一方の電極を兼
ねている。このような構造のセンサでは、ヒータ92は直
接的に感湿体91を加熱することになるので、熱効率は大
きくなる。なお、このような構造の湿度センサは、ヒー
タ92、測温体93、電極94をそれぞれ表面に形成した複数
のセラミックグリーンシートを重ね合わせ、これを焼成
することにより製造することができ、感湿体91に埋設さ
れたヒータ等への結線はスルーホール95を用いて行うこ
とができる。
【0010】図8及び図9に示すような従来の高温作動
型の湿度センサでは、ともに金属酸化物粉体から製造し
た成形体を焼成して感湿体としている。金属酸化物は、
組成及び不純物濃度にもよるが一般に高抵抗値を示す。
このため、この種の湿度センサにおいては、感湿体の厚
みが大きいほど抵抗値が上昇し、回路設計が難しくな
る。高温作動型の湿度センサの湿度感知は、基本的に感
湿体の抵抗値の変化によるものであるので、実際上は、
感湿体の抵抗値(インピーダンス)を1MΩ以下に設定
する必要があり、薄型の感湿体とするのが望ましい。
【0011】また、感湿体の厚みが大きい場合、以下の
ような不都合が生じやすい。すなわち、感湿体の表面層
部分は容易に雰囲気中の水分を吸収して抵抗変化を起こ
すが、一方、感湿体の内部(深部)には水分が到達しに
くく、もってほとんど抵抗変化を起こさない。このよう
な状態が生じると、素子抵抗(感湿体の抵抗)は徐々に
変化することになり、なかなか出力が一定しない。な
お、このような状態を回避するため、感湿体を多孔質に
形成して湿気を含む雰囲気ガスが感湿体の内部にまで容
易に到達するような工夫がなされている。
【0012】以上の観点から、感湿体自体を薄膜化する
ことが望ましいが、さらに近年では、電子回路の小型
化、電子デバイスの小型化が目指されており、高温作動
型の湿度センサにおいても小型化及び低消費電力型(低
電流型)のものが要求されるようになってきた。この観
点からも感湿体の薄膜化が望まれている。
【0013】ところで、一般に金属酸化物のシート状焼
結体を作製する場合、ドクターブレード法が用いられる
が、この方法によると、シートの厚みはいくら薄くして
も数10μm程度が限度であり、100 〜200 μm程度の焼
結体とするのが一般的である。この程度の厚みでは素子
の小型化(薄型化)は十分でない。なお、ドクターブレ
ード法で数10μm程度の焼結体を得たとしても、そのよ
うな薄型の焼結体ではその強度、寸法、ハンドリング等
に問題が生じることがあり、良好な素子を形成すること
は難しい。
【0014】さらに、以下のような問題も生じてくる。
すなわち、単に感湿体を薄膜化しただけでは素子の小型
化(薄型化)は達成できず、感湿体の両面に形成される
電極部も薄膜状に形成しなければならない。しかしなが
ら、Pt系の金属(合金)等で薄膜状の電極を形成した場
合、その電極の多孔度は、同種の材料で焼結等により肉
厚に形成した電極の多孔度よりもかなり小さくなる。し
たがって、従来の感湿体材料からなる薄膜状感湿体の両
面に薄膜状の電極を形成してなる素子では、薄膜電極を
通して感湿体に到達する水分の量がずっと少なくなり、
素子の感度はかなり小さくなる。
【0015】したがって本発明の目的は、薄型で、幅広
い温度領域において良好な湿度検知を行うことができる
湿度センサ素子、及びそれに用いる湿度感知膜を提供す
ることである。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者は、湿度の変化に伴って電気抵抗値に
変化を生じる金属酸化物からなる層と、アルカリ土類元
素の酸化物からなる層とを積層して湿度感知膜を形成す
れば、アルカリ土類元素の酸化物からなる層が大きな吸
湿能(水分吸着能)を有すると思われるために、たとえ
積層湿度感知膜の表面上に多孔度の小さな薄膜状の電極
膜が形成されても良好な湿度検知を行うことができるこ
とを発見し、本発明を完成した。
【0017】すなわち、本発明の湿度感知膜は、アルカ
リ土類金属元素の酸化物の少なくとも一種を主成分とす
る第一の薄膜層と、主成分として、アルカリ土類金属元
素、アルカリ金属元素系、及び貴金属元素以外の金属の
酸化物からなる第二の薄膜層とが積層してなり、常時20
0 ℃以上の高温状態において、湿度に応じて積層膜の抵
抗値が変化することを特徴とする。
【0018】また、本発明の湿度センサ素子は、上述し
た湿度感知膜の両面に、それぞれ薄膜状電極を形成して
なることを特徴とする。
【0019】
【実施例及び作用】以下、添付図面を参照して本発明を
詳細に説明する。図1は本発明の一実施例による湿度セ
ンサ素子を示す概略断面図である。この湿度センサ素子
1は、湿度の変化に伴って電気抵抗値を変化させる金属
酸化物からなる層(以下、感湿抵抗体層と呼ぶ)11と、
アルカリ土類元素の酸化物からなる層12とが積層してな
る湿度感知膜13と、この湿度感知膜13の両面に形成され
た薄膜状の電極14、14と、電極14、14に接続するリード
線15、15とを有する。
【0020】まず、感湿抵抗体層11は、従来の高温作動
型の金属酸化物系センサに用いる感湿体(感湿抵抗体)
と同様の材料から形成されてなるが、本発明では、アル
カリ土類金属元素、アルカリ金属元素系、及び貴金属元
素以外の金属の酸化物を用いる。具体的には、ZrO2
TiO2 、CeO2 、La2 3 、Nb2 5 、Y2 3 、Ta2
5 、Cr2 3 、Ni2 3 、Fe2 3 、ZnO、V2 5
等や、これらの酸化物の混合物を用いることができる。
ただし、湿度感度の点から見ると、ZrO2 、TiO2 、Ta
2 5 、Nb2 5 、ZnOが好ましい。上述した材料から
なる感湿抵抗体層とすれば、200 ℃を超す雰囲気温度で
も良好に湿度の検知を行うことができるようになる。
【0021】感湿抵抗体層11の厚さは、0.2 〜5μm程
度とするのがよく、さらに好ましくは1〜2μm程度と
する。感湿抵抗体層11が0.2 μm未満では電極の短絡が
発生しやすくなる。また5μmを超すと素子を薄膜化
し、小型化するという目的が達成できず、またインピー
ダンスが大きくなる等の不都合も生じる。
【0022】感湿抵抗体層11は上述したように薄く形成
するので、その形成においては気相成長法を利用するの
がよい。しかしながら、本発明はこれに限定されず、感
湿抵抗体層を上述した厚さに形成することができればそ
の他の方法を用いてもよい。具体的には、スパッタリン
グ法、CVD法等の蒸着法、ゾルゲル溶液法等の方法に
より形成することができる。特にスパッタリング法(高
周波スパッタリング法)が好ましい。この方法によると
1μm程度の厚さの感湿抵抗体層を容易に形成すること
ができる。高周波スパッタリング法で金属酸化物を成膜
(金属酸化物層を形成)する場合、通常成膜速度は40〜
100 オングストローム/分程度であるので、2〜4時間
のスパッタリングを行えば1μm程度の厚さの感湿抵抗
体層を得ることができる。なお、高周波スパッタリング
法により形成された感湿抵抗体層は、その層中の金属酸
化物の酸素欠損の補完、及び層に生じた歪みの除去等の
目的で、大気中で加熱処理するのが好ましい。
【0023】アルカリ土類元素の酸化物からなる層12は
50〜5000μm程度の厚さに形成するのがよい。アルカリ
土類元素の酸化物層12の厚さが50μm未満であると、ア
ルカリ土類元素の酸化物層12を湿度感知膜13内に設けた
効果が十分に現れず、素子の感度が良好にならない。ま
た、本発明者等の研究によれば、この層12を5000μmを
超す厚さとしても良好な感度が得られない。アルカリ土
類元素の酸化物層12が厚すぎると、この層に吸着した水
が感湿抵抗体層11まで到達するのに長い距離を移行しな
ければならず、結果として感湿抵抗体層11に十分な量の
水分が到達できないためと思われる。なお、複数のアル
カリ土類元素の酸化物層12と複数の感湿抵抗体層11とを
積層して湿度感知膜とする場合には、複数のアルカリ土
類元素の酸化物層12の合計の厚さを50〜5000μm程度と
するのがよい。
【0024】アルカリ土類元素の酸化物としては、Mg
O、BaO、CaO、SrOを用いるのが好ましく、さらにこ
れらを混合して用いてもよい。このアルカリ土類元素の
酸化物からなる層12の形成も、上述した感湿抵抗体層11
と同様の方法で形成することができる。
【0025】感湿抵抗体層11とアルカリ土類元素の酸化
物層12とからなる湿度感知膜13の両面に形成された薄膜
状の電極14、14は、Pt、Pt系金属、またはそれらの合金
から形成することができる。この電極14の厚さは500 〜
2000オングストローム程度とするのがよい。薄膜状の電
極14はスパッタリング法等により形成することができ
る。
【0026】なお、薄膜状の電極14に接続するリード線
15としてはPt線等を用いることができる。
【0027】図1に示した構成とすると、スパッタリン
グ等により形成された薄膜状の電極14の多孔度がたとえ
小さくても(スパッタリングにより形成されたPt等の電
極薄膜では、孔径は一般に数10オングストローム程度と
なる)、湿度感知膜13内に設けたアルカリ土類元素酸化
物層12が有する大きな水分吸着能により水分が湿度感知
膜13内に取り込まれる。これによって、湿度感知膜13内
の感湿抵抗体層11にも水分が到達し、感湿抵抗体層11に
水分の量に見合った抵抗変化が生じる。
【0028】図1に示す実施例では、湿度感知膜13は、
1つの感湿抵抗体層11と1つのアルカリ土類元素の酸化
物からなる層12とを積層した構成となっているが、本発
明はこれに限定されない。たとえば、湿度感知膜13と薄
膜状の電極14との密着性を向上する等の目的で、アルカ
リ土類元素の酸化物層12の上にさらに感湿抵抗体層11を
設けた積層構造としてもよいし、感湿抵抗体層11とアル
カリ土類元素の酸化物層12とをそれぞれ交互に複数回積
層してもよい。
【0029】しかしながら、アルカリ土類元素の酸化物
層12の役割を考えると、できるだけ雰囲気側(湿度感知
膜の表層部)にアルカリ土類元素の酸化物層12を配置す
るのがよい。すなわち、少なくとも湿度感知膜の一方の
表層部にはアルカリ土類元素の酸化物層を配置するのが
よい。
【0030】
【実施例】以下、具体的実施例に基づき、本発明をさら
に詳細に説明する。
【0031】実施例1 以下の要領で、図2に模式的に示す湿度センサ素子2を
製造した。4mm×4mm×0.2 mmの大きさのアルミナ基板
(純度97%)21の片面に、高周波マグネトロンスパッタ
リング法によりPt薄膜電極22aを形成した。このときの
Pt電極22aの厚さは約2000オングストロームであった。
【0032】次に、Pt薄膜電極22a上に、同じく高周波
マグネトロンスパッタリング法によりZrO2 層(感湿
体)23を約2μmになるように成膜(層形成)した。さ
らに、このZrO2 層23の上に、高周波マグネトロンスパ
ッタリング法によりMgO層24を500 オングストロームの
厚さに形成した。
【0033】次に、ZrO2 層23及びMgO層24中の酸素欠
損の補完及び膜歪みの除去の目的で、得られた積層体を
大気中、600 ℃で2時間加熱した。
【0034】さらに、上記の積層体のMgO層24上に、ス
パッタリングによりPt電極膜22b を形成し、両Pt電極膜
22a 、22b にそれぞれリード線25、25を接続した。
【0035】このようにして得られた素子を、0.1 mm径
のPt線を用いたヒータコイル26内に設置し、感湿センサ
素子とした。
【0036】得られた感湿センサ素子を用いて図3に示
す回路を形成した。ここで、素子中のヒータコイル26の
電源としては直流電圧電源Eを用いた。また、信号電圧
電源31は交流70Hz、7V0-P とし、信号検出負荷抵抗R
を500 kΩとした。なお、信号電圧電源31として交流電
源を用いたのは、吸着水の分極を防ぐためである。
【0037】図3の回路を用い、素子の周囲の雰囲気中
の湿度を変化させて、素子(作動)温度を400 〜500 ℃
とした場合の雰囲気中の絶対湿度とインピーダンスとの
関係を調べた。結果を図4に示す。
【0038】また、10℃における40%相対湿度(以下、
10℃/40%RHと記す。ここで、RHは相対湿度を示
す。なお、10℃/40%RHの場合の空気中の水の量は2.
92g/kgである。)での素子のインピーダンスR1 と、
35℃/80%RH(24.64 g/kg)での素子のインピーダ
ンスR2 とから下記式(1)に従って湿度検出感度Sを計
算した。 S=log (R1 /R2 )・・・(1) 各温度における湿度検出感度Sを図4中に記す。
【0039】図4からわかるように、本実施例の湿度セ
ンサ素子は、作動温度が400 〜500℃の高温領域でも湿
度に応じて素子インピーダンスが十分に大きく変動して
おり、良好な感度を有することがわかる。特に、作動温
度が450 ℃のときに感度が最もよいことがわかる。
【0040】また、図3に示す回路を用い、作動温度が
400 〜500 ℃の時の素子の応答時間を測定した。この応
答時間の測定では、雰囲気の絶対湿度を2.92g/kgから
6.69g/kgへ急激に(ステップ的に)変化させた時、7.
16g/kgから14.31 g/kgへ急激に(ステップ的に)変
化させた時、及び14.31 g/kgから24.64 g/kgへ急激
に(ステップ的に)変化させた時の各々の90%応答時間
(T90)を求めた。結果を図5に示す。
【0041】図5からわかるように、作動温度が450 ℃
または500 ℃の場合には良好な応答特性が得られる。以
上、感度と応答特性の観点からみると、本実施例の素子
においては、作動温度は約450 ℃程度が最適であると思
われる。
【0042】実施例2〜4、比較例1 以下に示す湿度センサ素子を実施例1に準じて製造し
た。 (1)実施例1で用いたものと同様の湿度センサ素子(実
施例2) (2)湿度感知膜としてMgO層/ZrO2 層/MgO層/ZrO
2 層の4層構造(各MgO層の厚さは約250 オングストロ
ームであり、また各ZrO2 層の厚さは1μmである。)
を有する以外は実施例1で用いたものと同様の構造の湿
度センサ素子(実施例3) (3)湿度感知膜としてMgO層/ZrO2 層/MgO層/ZrO
2 層/MgO層/ZrO2 層の6層構造(各MgO層の厚さは
約200 オングストロームであり、また各ZrO2 層の厚さ
は約0.7 μmである。)を有する以外は実施例1で用い
たものと同様の構造の湿度センサ素子(実施例4)。 (4)ZrO2 層のみからなる湿度感知膜を有し、他は実施
例1で用いたと同様の構造の湿度センサ素子(比較例
1)。
【0043】各湿度センサ素子の作動温度をそれぞれ45
0 ℃とし、絶対湿度が6.69g/kgから24.64 g/kgまで
の雰囲気で湿度の検知を行った。そして、10℃/40%R
H(2.92g/kg)を基準とし、各測定点での感度を上述
した式(1)を用いて算出した。結果を図6に示す。
【0044】図6からわかるように、MgO層を有する湿
度感知膜を用いた各実施例の湿度センサ素子は大きな感
度を有する。一方、ZrO2 層のみからなる湿度感知膜を
用いた比較例のセンサの感度は非常に小さい。
【0045】実施例5 実施例1で用いたものと同様の構造を有する湿度センサ
素子(図2を参照)で、MgO層の厚さを30〜9000オング
ストロームの間で変化させた複数の素子を作製した。
【0046】これらの素子のそれぞれについて、作動温
度450 ℃の条件で、10℃/40%RH(2.92g/kg)の雰
囲気と、35℃/80%RH(24.64 g/kg)の雰囲気との
2点における湿度の測定を行い、その結果を上述した式
(1)に代入してそれぞれの素子の感度Sを求めた。結果
を図7に示す。
【0047】図7からわかるように、MgO層が50〜5000
オングストロームの場合に良好な感度を得ることができ
る。
【0048】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の湿度感知
膜を用いた湿度センサ素子は良好な感度を有し、400 〜
500 ℃程度の高温においても良好な湿度測定を行うこと
ができる。また、その応答性も良好である。
【0049】本発明の湿度感知膜は非常に薄く形成する
ことができるので、湿度センサ素子自体も薄型化でき
る。なお、電極ヒータ、感湿膜のパターニングのために
フォトリソグラフィー技術を併用すれば、容易に素子自
体を小型化することができる。
【0050】また、本発明の湿度感知膜はスパッタリン
グ法等の方法で容易に形成できるので、生産性もよい。
【0051】本発明による湿度センサ素子は、高温雰囲
気中の湿度検知用、又は室温付近での湿度検知用(たと
えば室内空調用)に用いることができ、さらには室温か
ら数百℃程度の高温まで幅広く温度を変化させる雰囲気
にも用いることができる。
【0052】本発明による湿度センサ素子は小型化で
き、また、大きな電力を必要としないので、各種民生用
機器、たとえば電子レンジの調理用センサとしても利用
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による湿度感知膜を示す概略
断面図である。
【図2】実施例1で用いた湿度センサ素子の構造を模式
的に示す断面図である。
【図3】実施例で用いた湿度検知回路を示す回路図であ
る。
【図4】素子作動温度が400 〜500 ℃の場合の雰囲気中
の絶対湿度と実施例1で用いた素子のインピーダンスと
の関係を示すグラフである。
【図5】素子作動温度が400 〜500 ℃の場合の雰囲気中
の絶対湿度と実施例1で用いた素子の応答時間との関係
を示すグラフである。
【図6】実施例2〜4及び比較例1の湿度センサ素子の
感度を示すグラフである。
【図7】湿度感知膜中のMgO層の厚さと感度との関係を
示すグラフである。
【図8】従来の高温作動型の湿度センサ素子の一例を示
す斜視図である。
【図9】従来の高温作動型の湿度センサ素子の別な例を
示す一部破断斜視図である。
【符号の説明】
1、2、8、9 湿度センサ素子 11、23 感湿抵抗体層 12、24 アルカリ土類元素の酸化物層 13 湿度感知膜 14、22a 、22b 薄膜状電極 15、25 リード線 81、91 感湿体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−292545(JP,A) 特開 昭58−138001(JP,A) 特開 昭63−139241(JP,A) 特開 平1−105153(JP,A) 特開 昭59−142446(JP,A) 特開 平3−9257(JP,A) 特開 平1−158340(JP,A) 特開 昭58−129241(JP,A) 特開 昭57−138102(JP,A) 特開 昭59−155102(JP,A) 特開 昭56−23702(JP,A) 特開 昭58−37901(JP,A) 特開 昭57−173904(JP,A) 特開 昭57−152104(JP,A) 特開 昭57−152103(JP,A) 特開 平3−170045(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/12

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ土類金属元素の酸化物の少なく
    とも一種を主成分とする第一の薄膜層と、主成分とし
    て、アルカリ土類金属元素、アルカリ金属元素系、及び
    貴金属元素以外の金属の酸化物からなる第二の薄膜層と
    が積層してなり、常時200 ℃以上の高温状態において、
    湿度に応じて積層膜の抵抗値が変化することを特徴とす
    る湿度感知膜。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の湿度感知膜において、
    少なくとも一方の表面層に前記第一の薄膜層が配置され
    てなることを特徴とする湿度感知膜。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の湿度感知膜にお
    いて、前記第一の薄膜層の合計の厚みが50〜5000オング
    ストロームであることを特徴とする湿度感知膜。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の湿度
    感知膜の両面に、それぞれ薄膜状電極を形成してなるこ
    とを特徴とする湿度センサ素子。
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