JP3074221B2 - 電子写真装置等における送紙装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、トナー像を画像形成プ
ロセス手段から用紙に転写する転写手段の手前に反転送
紙通路を有する電子写真装置等における送紙装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来の電子写真装置における送紙装置
を、図６，図７および図８を参照して説明する。図６は
送紙装置の縦断側面図、図７は該送紙装置のローラ回転
タイムチャート、図８は該送紙装置を用いた電子写真装
置による印字画像例である。

【０００３】図６において、１は画像形成プロセス手段
の一部を構成してその外周面にトナー像が形成される感
光ドラム、２は前記トナー像を転写する用紙、３は前記
用紙２の搬送姿勢とタイミングを整えるレジストローラ
対、４は外側反転ガイド部材、５は内側反転ガイド部
材、６は該内外反転ガイド部材４，５の間に形成された
反転送紙通路、７は反転ローラ対、８は感光ドラム外周
面のトナー像を用紙２に転写する転写器、９はその転写
点、１０はトナー像である。

【０００４】用紙２は、通常、給紙カセットから抽出さ
れてレジストローラ対３により姿勢とタイミングが整え
られて反転送紙通路６内に送り出され、該反転送紙通路
６内を通過して反転ローラ対７に達する。該反転ローラ
対７は、到来した該用紙２を挾持して搬送して感光ドラ
ム１と転写器８の間に構成される該転写点９に送り込
み、トナー像１０を転写した後に図示されていない定着
手段へ送り出す。この用紙搬送中に、レジストローラ対
３および反転ローラ対７は、図７に示すように、連続的
に回転する。

【０００５】このような用紙搬送によると、反転送紙通
路６内における用紙２の進行軌跡は該用紙２の種類，環
境変化，レジストローラ対３や反転ローラ対７の搬送速
度変化や左右の速度差および左右の負荷変動等により様
々に変化する。そして、用紙２の進行軌跡が左右で変化
すると、左右の速度変化を生じ、図８の印字画像例に示
すように、印字画像の直角度や平行度が悪化する要因と
なる。

【０００６】この種の送紙装置に関しては、特開昭58-1
93850号公報や実公昭43-18547号公報に記載されたもの
がある。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしこのような送紙
装置は、前記したように、反転送紙通路を通過する用紙
の安定性が悪いために、高精度の印字画像が得られない
という問題がある。

【０００８】従って本発明の目的は、用紙の進行軌跡を
安定させ、高い印字精度を得ることにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、レジストロー
ラ対，内外反転ガイド対および反転ローラ対を備え、レ
ジストローラ対の回転により内外反転ガイド対の間に送
り出された用紙を回転する反転ローラ対で挾持して画像
形成プロセス手段に送り出す電子写真装置等における送
紙装置において、前記用紙の先端が反転ローラ対を通過
した後で画像形成プロセス手段に到達する前の位置にお
いて前記レジストローラ対の回転を瞬断して該用紙が内
側反転ガイドに当接して緊張するようにしたことを特徴
とする。

【００１０】

【作用】用紙の先端が反転ローラ対に挾持された状態で
レジストローラ対の回転を止めて両ローラ対間で用紙を
引っ張ることにより該用紙は内側反転ガイド部材に当接
して緊張し、進行軌跡が該内側反転ガイド部材を基準と
するように矯正されて安定する。

【００１１】

【実施例】本発明の一実施例を図１〜図５を参照して説
明する。図１は本発明になる送紙装置の縦断側面図、図
２はその内側反転ガイド部材の斜視図、図３はその制御
装置が実行する送紙制御処理フローチャート、図４はロ
ーラ回転タイムチャート、図５は本発明になる送紙装置
を用いた電子写真装置による印字画像例である。なお、
従来装置と共通の構成部品には同一参照符号を付してそ
の詳細な説明を省略する。

【００１２】図１において、外側ガイド部材４に対設し
て反転送紙通路６を形成する内側反転ガイド部材１１
は、図２に詳述するように、その一端に回動支点１１ａ
が形成され、他端には揺動調整点１１ｂが形成される。
そして、回動支点１１ａはねじ１２によって一方の本体
側板に回動可能に取付けられ、揺動調整点１１ｂは他方
の本体側板１４の調整長穴１４ａを貫通するねじ１３に
よって該本体側板１４に取付けられる。内側反転ガイド
部材１１は金属材料をプレス加工等で高精度に形成し、
外側反転ガイド部材４はプラスチック成形等で安価に形
成する。

【００１３】レジストローラ対３は電磁クラッチ１５を
介してローラ駆動モータ１６に連結され、反転ローラ対
７も電磁クラッチ１７を介してローラ駆動モータ１６に
連結される。反転ローラ対７の送紙速度はレジストロー
ラ対３の送紙速度に対して同一か僅かに速くなるように
する。これは各ローラの外径によって設定できる。

【００１４】制御装置１８はマイクロコンピュータ等を
利用して構成され、前記レジストローラ対３および反転
ローラ対７を回転・停止させるために電磁クラッチ１
５，１７の断続（ＯＮ，ＯＦＦ）を制御し、或いは感光
ドラム１の外周面にトナー像１０を形成する画像形成プ
ロセス手段および転写器８等を制御する。

【００１５】以上の構成において、制御装置１８は、感
光ドラム１の回転および画像形成プロセス手段によるト
ナー像形成を制御し、用紙搬送タイミングになると給紙
カセットから用紙２を抽出する制御を実行して用紙２を
レジストローラ対３まで搬送する。そして、感光ドラム
１の外周面へのトナー像１０の形成および回動に同期さ
せて、図３および図４に示す送紙制御処理を実行する。

【００１６】先ず、処理３０１で電磁クラッチ１７を付
勢（ＯＮ）して反転ローラ対７の回転を開始する。そし
て処理３０２においてｔ₀時間の経過を監視し、該時間
経過後に処理３０３に移って電磁クラッチ１５を付勢し
てレジストローラ対３の回転を開始する。このタイミン
グは、該レジストローラ対３の回転によって搬送を開始
された用紙２が感光ドラム１と転写器８の間の転写点９
に到達するときに感光ドラム１の外周面に形成されたト
ナー像１０も該転写点に到達するタイミングである。

【００１７】レジストローラ対３の回転によって反転送
紙通路６内に送り出された用紙２の先端は、外側反転ガ
イド部材４の内面を摺動して進行し、反転ローラ対７に
到達して該反転ローラ対７に挾持される。この間の所要
時間はｔ₁であり、このタイミングは処理３０４によっ
て監視される。用紙２の先端が反転ローラ対７に挾持さ
れた後で転写点９に到達する前のタイミングに処理３０
５において電磁クラッチ１５を消勢（ＯＦＦ）してレジ
ストローラ対３の回転を停止する。この停止は、処理３
０６において時間ｔ₂の経過を検知するまで行い、ｔ₂時
間経過後は電磁クラッチ１５を付勢してレジストローラ
対３の回転を再開する。

【００１８】レジストローラ対３の停止時間ｔ₂は、反
転送紙通路６内において破線で示すように弛んだ状態に
ある用紙２が内側ガイド部材１１に当接して緊張し、該
用紙２の進行軌跡が内側ガイド部材１１の表面を基準に
して実線で示すような安定した軌道になるまでの短い時
間に設定され、用紙先端は位置２ａから位置２ｂに移動
する。

【００１９】制御装置１８は、さらに、処理３０８にお
いて時間ｔ₃の経過を監視し、該時間の経過を検出する
と処理３０９に移って電磁クラッチ１５を消勢してレジ
ストローラ対３の回転を停止し、次いで処理３１０で時
間ｔ₄の経過を監視し、該時間の経過を検出すると処理
３１１に移って電磁クラッチ１７を消勢して反転ローラ
対７の回転も停止して該送紙制御処理を終了する。因
に、時間ｔ₃経過時点は用紙２の後端がレジストローラ
対３を通過したタイミングであり、時間ｔ₄経過時点は
用紙２の後端が反転ローラ対７を通過したタイミングで
ある。

【００２０】このようにして反転ローラ対７から送り出
される用紙２は、転写点９において感光ドラム１の外周
面に接触しながら移動する間に転写器８によってその背
面に転写電荷が与えられ、感光ドラム１の外周面に形成
されたトナー像１０が転写される。そしてトナー像１０
が転写された用紙２は、その後、定着装置で定着され
る。

【００２１】ところで装置構成部材には、加工精度のば
らつきや組立精度のばらつきがあるので、左右の進行軌
跡を同一にすることは極めて困難である。高精度の画像
印字に影響する精度のばらつきには、感光ドラム１の外
周面に形成されるトナー像１０の精度（レーザプリンタ
においては、レーザスキャン精度），感光ドラム１の回
転軸心に対する送紙面の精度，搬送力のバランス精度等
のばらつきがある。

【００２２】この実施例における送紙装置は、該装置組
立時に、内側反転ガイド部材１１の設置状態を調整長穴
１４ａを利用して調整することにより、これらのばらつ
きによる影響を吸収して左右の進行軌跡をバランスさ
せ、図５に示すように、直角度や平行度の良好な高精度
な画像印字を実現することを容易にする。

【００２３】また、トナー像転写工程前に該用紙２の進
行軌跡の安定化処置（レジストローラ対の回転瞬断）を
行うので、転写ずれ等の不具合は発生しない。

【００２４】

【発明の効果】本発明は、用紙の先端が反転ローラ対を
通過した後で画像形成プロセス手段に到達する前の位置
においてレジストローラ対の回転を瞬断して該用紙が内
側反転ガイドに当接して緊張するようにしたので、用紙
の進行軌跡が該内側反転ガイドを基準とするように矯正
されて安定し、高い印字精度を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明になる送紙装置の縦断側面図である。

【図２】その内側反転ガイド部材の斜視図である。

【図３】その制御装置が実行する送紙制御処理フローチ
ャートである。

【図４】そのローラ回転タイムチャートである。

【図５】本発明になる送紙装置を用いた電子写真装置に
よる印字画像例を示す説明図である。

【図６】従来の送紙装置の縦断側面図である。

【図７】そのローラ回転タイムチャートである。

【図８】従来の送紙装置を用いた電子写真装置による印
字画像例を示す説明図である。

【符号の説明】

１ 感光ドラム ２ 用紙 ３ レジストローラ対 ７ 反転ローラ対 １１ 内側反転ガイド部材 １５，１７ 電磁クラッチ １６ ローラ駆動モータ １８ 制御装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小原 道雄 茨城県日立市東多賀町１丁目１番１号 株式会社 日立製作所 多賀工場内 (56)参考文献 特開 平３−26630（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B65H 5/06 B65H 5/38 B65H 9/14

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 レジストローラ対，内外反転ガイド対お
   よび反転ローラ対を備え、レジストローラ対の回転によ
   り内外反転ガイド対の間に送り出された用紙を回転する
   反転ローラ対で挾持して画像形成プロセス手段に送り出
   す電子写真装置等における送紙装置において、 前記用紙の先端が反転ローラ対を通過した後で画像形成
   プロセス手段に到達する前の位置において前記レジスト
   ローラ対の回転を瞬断して該用紙が内側反転ガイドに当
   接して緊張するようにしたことを特徴とする電子写真装
   置等における送紙装置。
2. 【請求項２】 請求項１において、レジストローラ対の
   瞬断期間中にも前記反転ローラ対を連続回転させること
   を特徴とする電子写真装置等における送紙装置。
3. 【請求項３】 請求項１において、レジストローラ対の
   瞬断期間中に前記用紙が当接する内側反転ガイドは、一
   端が回動可能に支持され、他端が揺動調整可能に支持さ
   れたことを特徴とする電子写真装置等における送紙装
   置。