JP3070286B2 - 水中油型エマルジョン - Google Patents

水中油型エマルジョン

Info

Publication number
JP3070286B2
JP3070286B2 JP4234684A JP23468492A JP3070286B2 JP 3070286 B2 JP3070286 B2 JP 3070286B2 JP 4234684 A JP4234684 A JP 4234684A JP 23468492 A JP23468492 A JP 23468492A JP 3070286 B2 JP3070286 B2 JP 3070286B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
egg yolk
emulsifier
emulsion
transglutaminase
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP4234684A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0678693A (ja
Inventor
義和 中西
孝彦 添田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ajinomoto Co Inc filed Critical Ajinomoto Co Inc
Priority to JP4234684A priority Critical patent/JP3070286B2/ja
Publication of JPH0678693A publication Critical patent/JPH0678693A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3070286B2 publication Critical patent/JP3070286B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トランスグルタミナー
ゼを作用させた卵黄からなる水中油型乳化剤及びこのよ
うな乳化剤を使用した水中油型エマルジョン食品に関す
る。
【0002】
【従来の技術】卵黄は水中油型乳化剤として周知であ
り、これを乳化剤とする水中油型エマルジョン食品とし
てはマヨネーズ、各種ドレッシング及びサンドイッチス
プレッドをはじめ種々知られている。
【0003】これら食品の熱やpHに対する安定性は、
とりもなおさずエマルジョン自体の安定性に依存する。
これらの食品は、低pH食品の場合が多く、該エマルジ
ョンはそのままでは不安定である。そこで、エマルジョ
ンを何らかの技術によって安定化することが出来れば、
これらのエマルジョン食品の安定化は解決できる。これ
らの安定化に対する課題について、これまでの一般的な
取り組みの1つは、乳化剤や乳化機等の乳化条件を工夫
することによって油滴の微小化、、即ち、高乳化とする
ことであった。もう1つは、多糖類、ガムなどの糖質、
卵白、カゼインなどのタンパク質等の改質剤を用いて、
エマルジョンを安定化することであった。
【0004】このような技術的背景にあって、卵黄は優
れた天然のタンパク系乳化剤のひとつである。しかしな
がら、この卵黄は特有の臭を有する。特定の水中油型エ
マルジョン食品においては風味上のバランスのため、卵
黄臭が好まれていないことが多い。この場合、卵黄臭を
抑えるために卵黄の添加量を少なくすると、乳化安定性
が低下するなどの特性上の欠点が生じてくる。
【0005】このため、比較的少量で乳化性の強い卵黄
が食品業界で望まれているのが現状である。なお、この
ような改質卵黄は経済的にも良好なものと言える。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、卵黄のもつ
上記の問題点を解決すべくなされたものであって、その
課題は、比較的少量の卵黄量にて乳化安定性が確保で
き、かつ、卵黄臭の弱い水中油型エマルジョンを得るこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決すべく鋭意検討した結果、トランスグルタミナーゼ
を作用させて改質した改質卵黄は、高い乳化性及び乳化
安定性を示すこと、及びこの改質卵黄を乳化剤に用いて
乳化処理することによって得られる水中油型エマルジョ
ンよりなる食品組成物は乳化安定性が優れ、かつ、卵黄
臭の低減された、従来の技術では得られなかった品質を
有することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は、トランスグルタミナーゼ
を作用させた卵黄からなる水中乳化剤、及びこのような
乳化剤を使用した水中油型エマルジョン食品に関する。
【0009】以下本発明を詳細に説明する。
【0010】本発明にいう卵黄は、卵液から卵白を分離
して得られる生卵黄のみならず、全卵や乾燥卵黄を水戻
しした卵黄液であってもよく、要するに水中油型乳化剤
として用いられ得るものであればその形態を問わない。
【0011】トランスグルタミナーゼを作用させること
によって卵黄の乳化剤としての機能が向上するのは、ト
ランスグルタミナーゼのタンパク質分子間又は分子内で
のグルタミンとリジンとの間のε−(γ−Glu)Ly
s架橋高分子化作用によって卵黄中のタンパク質が改質
することによるものと考えられる。
【0012】本発明で用いられるトランスクルタミナー
ゼは、哺乳動物由来のもの(特公平1-50382 参照)、魚
類由来のもの(平成3年度日本水産学会秋季大会講演要
旨集第180 頁参照)、植物由来のもの、微生物由来のも
の(特開平1-27471 参照)、遺伝子組替えによるもの
(特開平1-300889参照)等が知られているが、その由来
に問わず使用できる。
【0013】卵黄に作用させるために添加すべきトラン
スグルタミナーゼの量は、卵黄タンパク質1g当り 0.1
ユニット程度、好ましくは 0.3ユニット以上が必要であ
る。0.1ユニット程度以下の添加量では、この酵素を添
加しないものとほとんど乳化安定性において差がみられ
ない場合が多い。一方、添加量の上限は、卵黄の乳化剤
としての品質上は特に限定されるものではないが、その
添加による効果は50ユニット程度以上で平衡となること
から考えて、50ユニット程度であるといえる。結局、ト
ランスグルタミナーゼは、卵黄タンパク質1g当り、通
常、約 0.1〜約50ユニット、好ましくは約 0.3〜約50ユ
ニットの範囲で使用される。因みに、添加効果は乳化剤
として卵黄の使用量を低減できるか否かによって判断さ
れる。即ち、トランスグルタミナーゼを作用させてない
卵黄を乳化剤として使用した場合に奏される乳化安定性
がより少量の、トランスグルタミナーゼを作用させた卵
黄を乳化剤として使用した場合に奏されるならば、添加
効果あり、とする。
【0014】尚、本発明でいうトランスグルタミナーゼ
の活性単位は、次のようにして測定され、かつ定義され
る。即ち、ベンジルオキシカルボニル−L−グルタミニ
ルグリシンとヒドロキシルアミンを基質として反応を行
い、生成したヒドロキサム酸をトリクロル酢酸存在下で
鉄錯体を形成させた後、 525nmの吸光度を測定し、ヒ
ドロキサム酸の量を検量線より求め、活性を算出する
(特開平1-27471 号公開特許公報参照)。
【0015】トランスグルタミナーゼを卵黄に作用させ
る具体的方法は、例えば次の通りである。即ち、pH5
〜9程度(トランスグルタミナーゼの酵素作用の発現す
るpH範囲)の条件下で、生卵黄にトランスグルタミナ
ーゼを少量の水に溶解して添加し、この混合物を約30℃
以上で約25分間以上保持する熱処理を施す。熱処理温度
及び熱処理時間は、卵黄の熱変性及びトランスグルタミ
ナーゼの失活との関係で定められる。例えば、過度に熱
変性を受けた卵黄の乳化性能は逆に低下し、これを乳化
剤として使用する水中油型エマルジョン食品の製造にお
いて、乳化時に転相を生じたり、得られた水中油型エマ
ルジョンの乳化状態が悪くなるなどの問題が生じる。こ
のため、例えば、卵黄の熱処理温度は、通常、30℃以上
で70℃付近以下が好ましく、また、熱処理時間は、通
常、25分以上が好ましい。
【0016】次に、このようにして乳化剤として改質さ
れた卵黄を使用する水中油型エマルジョン食品の製造法
を説明する。
【0017】本発明にいう水中油型エマルジョン食品と
しては、卵黄を唯一の乳化剤とする又は乳化剤の1つと
するもので、例えばマヨネーズ、ドレッシング、及びサ
ンドイッチスプレッド等を挙げることができ、また、こ
のような最終製品の他に各種中間製品(食品素材)とし
ての水中油型エマルジョン食品をも挙げることができ
る。
【0018】このような水中エマルジョン食品を製造す
る方法には特別の制限はなく、乳化剤としての卵黄とし
てトランスグルタミナーゼを作用させて改質した卵黄を
使用する以外は全て従来の方法によることができる。
【0019】例えば、卵黄にトランスグルタミナーゼを
加えて上記のような熱処理を施し、その後、水相原料を
加えて混合溶解し、さらに油相原料を加えて乳化する。
また、卵黄はpH5〜9の範囲で水相原料を混合した
後、トランスグルタミナーゼを添加して前記の条件で熱
処理を施して卵黄を改質し、その後、酸性原料や油相原
料を混合溶解し、コロイドミルなどで仕上げ乳化する。
因みに、トランスグルタミナーゼを作用させた卵黄から
なる水中油型乳化剤には、水中油型エマルジョン食品の
製造過程において系内でその場で(in situ)生成させた
ものも含まれる。
【0020】本発明の水中油型エマルジョン食品におい
て、水相を構成する原材料は水、卵黄の他に食酢、水溶
性の調味料、香辛料、甘味料、着色料などから適宜選ば
れ、エマルジョン食品の用途に応じて種類および添加量
が定められる。
【0021】一方、油相原料は常温で液体の動植物油脂
であり、特にサラダ油などが適している。この他、油溶
性の着香料、香辛料、着色料などが適宜加えられる。
【0022】エマルジョンにおける油相の比率は、50〜
85%程度が適当である。50%程度以下では粘度が不十分
になってクリーミング現状を起こして下相に分離水を生
じたりして好ましくない。逆に、85%程度を越えると、
乳化時に転相をおこしたり、また、得られた水中油型エ
マルジョン食品の乳化状態が悪くなったりして好ましく
ない。
【0023】先に述べたように低pHの水中油型エマル
ジョン食品のエマルジョンは不安定であるが、本発明の
改質卵黄を乳化剤として使用した場合は、低pH、例え
ばpHが6以下の水中油型エマルジョン食品のエマルジ
ョンの不安定化が防止される。
【0024】
【実施例】以下、実施例によって更に詳しく本発明を説
明する。もちろん、これによって本発明の技術的範囲が
限定されるものではない。
【0025】実施例1 下記第1表に示した配合量を従って、最終的に得られる
水中油型エマルジョン組成物が3kgとなるように、各配
合素材(原材料)を準備した。本線菌ストレプトベルチ
シリウムに属する微生物(Streptroverticillium mobara
ense IFO 13819)起源のトランスグルタミナーゼ(比活
性1.04ユニット/mg)の所定量に少量の水を加えて溶解
し、この酵素液を卵黄に加え混合した。ここでいう当該
酵素の所定量は、第1表に示すように、卵黄タンパク質
1g当り0ユニット(試料1A)、 0.3ユニット(試料
1B)、 0.6ユニット(試料1C)及び3ユニット(試
料1D)とした。これらを50℃に30分間保持する熱処理
を行って卵黄を改質した。水相原料を混合した後、大豆
油を加え、プロペラミキサーにて約2分間予備乳化し
た。さらに、コロイドミルで仕上げ乳化を行い、エマル
ジョン組成物を得た。
【0026】得られたエマルジョン組成物の特性を評価
した結果を後掲第3表に示した。
【0027】
【表1】
【0028】実施例2 実施例1に示した試料1Dの配合に従って、卵黄に対し
てトランスグルタミナーゼを卵黄タンパク質1g当り3
ユニット添加して、下記第2表に示した条件で卵黄に改
質熱処理を施した。次に、水相原料を混合した後、実施
例1と同様にして各エマルジョン組成物試料2A、2
B、及び2Cを得た。
【0029】得られたエマルジョン組成物の物性を評価
した結果を第3表に併せて示した。
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】第3表において、平均粒子径の測定は、日
科機社製コールターカウンターにより、乳化安定性の評
価はエマルジョン表面の乳化状態を目視により、そして
エマルジョンの卵黄臭の評価は洗練されたパネルによる
官能検査によりそれぞれ行なった。
【0033】
【発明の効果】卵黄にトランスグルタミナーゼを作用さ
せて改質することにより乳化性及び乳化安定性に優れた
卵黄乳化剤が提供されるところになった。また、このよ
うな卵黄乳化剤に水相原料および油相原料などを加えた
後乳化して、乳化安定性および卵黄臭の改善されたマヨ
ネーズ等の水中油型エマルジョン食品が容易に提供され
るところとなった。延いては、エマルジョン食品への卵
黄の利用範囲の拡大に寄与するところとなる。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/035 A23L 1/24 B01F 17/30 BIOSIS(DIALOG) JICSTファイル(JOIS) WPI(DIALOG)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トランスグルタミナーゼを作用させた卵
    黄からなる水中油型乳化剤。
  2. 【請求項2】 乳化剤として請求項1記載の水中油型乳
    化剤を有効量で使用した水中油型エマルジョン食品。
  3. 【請求項3】 pHが6以下である請求項2記載の水中
    油型エマルジョン食品。
JP4234684A 1992-09-02 1992-09-02 水中油型エマルジョン Expired - Lifetime JP3070286B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4234684A JP3070286B2 (ja) 1992-09-02 1992-09-02 水中油型エマルジョン

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4234684A JP3070286B2 (ja) 1992-09-02 1992-09-02 水中油型エマルジョン

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0678693A JPH0678693A (ja) 1994-03-22
JP3070286B2 true JP3070286B2 (ja) 2000-07-31

Family

ID=16974824

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4234684A Expired - Lifetime JP3070286B2 (ja) 1992-09-02 1992-09-02 水中油型エマルジョン

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3070286B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0678693A (ja) 1994-03-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5958498A (en) Mayonnaise-like product and a process for its manufacture
EP0702902B1 (en) A heat-stable oil-in-water emulsion and a process for its manufacture
RU2295246C2 (ru) Пищевой продукт намазываемой консистенции и способ его получения
JPS6148902B2 (ja)
Gaonkar et al. Emulsifying functionality of enzyme-modified milk proteins in O/W and mayonnaise-like emulsions
JP3070286B2 (ja) 水中油型エマルジョン
US4091121A (en) Method for making imitation margarine
JPS63294758A (ja) 水中油滴型乳化調味料
JP3464152B2 (ja) 耐熱性酸性水中油型乳化食品
Raymundo et al. Effect of the lupin protein/surfactant ratio on linear viscoelastic properties of oil‐in‐water emulsions
JPH0523133A (ja) 水中油中水型エマルジヨンおよびそれを用いたマヨネーズ様食品
JPS5962340A (ja) W101w型複合エマルジョンの製造法
JPH0533974B2 (ja)
JP2002291421A (ja) 水中油型乳化食品
JPH08131119A (ja) 水中油型エマルジョン組成物
JPS61289859A (ja) わさび含有酸味性水中油型乳化食品の製造法
JPH07289193A (ja) 油中水型乳化油脂組成物及びそれを含有する食品
JPS60102137A (ja) 合成乳及び合成濃縮乳
JP3508038B2 (ja) 卵黄を用いた乳化剤
JPS59169531A (ja) W/o/w型複合エマルジヨンの製造法
JP3504785B2 (ja) 酸性水中油型乳化食品
JPH01210029A (ja) 耐塩性水中油型形成用乳化剤及びその利用
JPS5823764A (ja) 水中油型乳化食品の製造方法
JP2005102641A (ja) 水中油型エマルジョン食品及びその製造方法
JP3095936B2 (ja) 混合乳化スプレッドとその製造法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090526

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090526

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100526

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100526

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110526

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110526

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120526

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120526

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130526

Year of fee payment: 13

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130526

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130526

Year of fee payment: 13