JP3070286B2 - 水中油型エマルジョン - Google Patents
水中油型エマルジョンInfo
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Description
ゼを作用させた卵黄からなる水中油型乳化剤及びこのよ
うな乳化剤を使用した水中油型エマルジョン食品に関す
る。
り、これを乳化剤とする水中油型エマルジョン食品とし
てはマヨネーズ、各種ドレッシング及びサンドイッチス
プレッドをはじめ種々知られている。
とりもなおさずエマルジョン自体の安定性に依存する。
これらの食品は、低pH食品の場合が多く、該エマルジ
ョンはそのままでは不安定である。そこで、エマルジョ
ンを何らかの技術によって安定化することが出来れば、
これらのエマルジョン食品の安定化は解決できる。これ
らの安定化に対する課題について、これまでの一般的な
取り組みの1つは、乳化剤や乳化機等の乳化条件を工夫
することによって油滴の微小化、、即ち、高乳化とする
ことであった。もう1つは、多糖類、ガムなどの糖質、
卵白、カゼインなどのタンパク質等の改質剤を用いて、
エマルジョンを安定化することであった。
れた天然のタンパク系乳化剤のひとつである。しかしな
がら、この卵黄は特有の臭を有する。特定の水中油型エ
マルジョン食品においては風味上のバランスのため、卵
黄臭が好まれていないことが多い。この場合、卵黄臭を
抑えるために卵黄の添加量を少なくすると、乳化安定性
が低下するなどの特性上の欠点が生じてくる。
が食品業界で望まれているのが現状である。なお、この
ような改質卵黄は経済的にも良好なものと言える。
上記の問題点を解決すべくなされたものであって、その
課題は、比較的少量の卵黄量にて乳化安定性が確保で
き、かつ、卵黄臭の弱い水中油型エマルジョンを得るこ
とにある。
解決すべく鋭意検討した結果、トランスグルタミナーゼ
を作用させて改質した改質卵黄は、高い乳化性及び乳化
安定性を示すこと、及びこの改質卵黄を乳化剤に用いて
乳化処理することによって得られる水中油型エマルジョ
ンよりなる食品組成物は乳化安定性が優れ、かつ、卵黄
臭の低減された、従来の技術では得られなかった品質を
有することを見い出し、本発明を完成するに至った。
を作用させた卵黄からなる水中乳化剤、及びこのような
乳化剤を使用した水中油型エマルジョン食品に関する。
して得られる生卵黄のみならず、全卵や乾燥卵黄を水戻
しした卵黄液であってもよく、要するに水中油型乳化剤
として用いられ得るものであればその形態を問わない。
によって卵黄の乳化剤としての機能が向上するのは、ト
ランスグルタミナーゼのタンパク質分子間又は分子内で
のグルタミンとリジンとの間のε−(γ−Glu)Ly
s架橋高分子化作用によって卵黄中のタンパク質が改質
することによるものと考えられる。
ゼは、哺乳動物由来のもの(特公平1-50382 参照)、魚
類由来のもの(平成3年度日本水産学会秋季大会講演要
旨集第180 頁参照)、植物由来のもの、微生物由来のも
の(特開平1-27471 参照)、遺伝子組替えによるもの
(特開平1-300889参照)等が知られているが、その由来
に問わず使用できる。
スグルタミナーゼの量は、卵黄タンパク質1g当り 0.1
ユニット程度、好ましくは 0.3ユニット以上が必要であ
る。0.1ユニット程度以下の添加量では、この酵素を添
加しないものとほとんど乳化安定性において差がみられ
ない場合が多い。一方、添加量の上限は、卵黄の乳化剤
としての品質上は特に限定されるものではないが、その
添加による効果は50ユニット程度以上で平衡となること
から考えて、50ユニット程度であるといえる。結局、ト
ランスグルタミナーゼは、卵黄タンパク質1g当り、通
常、約 0.1〜約50ユニット、好ましくは約 0.3〜約50ユ
ニットの範囲で使用される。因みに、添加効果は乳化剤
として卵黄の使用量を低減できるか否かによって判断さ
れる。即ち、トランスグルタミナーゼを作用させてない
卵黄を乳化剤として使用した場合に奏される乳化安定性
がより少量の、トランスグルタミナーゼを作用させた卵
黄を乳化剤として使用した場合に奏されるならば、添加
効果あり、とする。
の活性単位は、次のようにして測定され、かつ定義され
る。即ち、ベンジルオキシカルボニル−L−グルタミニ
ルグリシンとヒドロキシルアミンを基質として反応を行
い、生成したヒドロキサム酸をトリクロル酢酸存在下で
鉄錯体を形成させた後、 525nmの吸光度を測定し、ヒ
ドロキサム酸の量を検量線より求め、活性を算出する
(特開平1-27471 号公開特許公報参照)。
る具体的方法は、例えば次の通りである。即ち、pH5
〜9程度(トランスグルタミナーゼの酵素作用の発現す
るpH範囲)の条件下で、生卵黄にトランスグルタミナ
ーゼを少量の水に溶解して添加し、この混合物を約30℃
以上で約25分間以上保持する熱処理を施す。熱処理温度
及び熱処理時間は、卵黄の熱変性及びトランスグルタミ
ナーゼの失活との関係で定められる。例えば、過度に熱
変性を受けた卵黄の乳化性能は逆に低下し、これを乳化
剤として使用する水中油型エマルジョン食品の製造にお
いて、乳化時に転相を生じたり、得られた水中油型エマ
ルジョンの乳化状態が悪くなるなどの問題が生じる。こ
のため、例えば、卵黄の熱処理温度は、通常、30℃以上
で70℃付近以下が好ましく、また、熱処理時間は、通
常、25分以上が好ましい。
れた卵黄を使用する水中油型エマルジョン食品の製造法
を説明する。
しては、卵黄を唯一の乳化剤とする又は乳化剤の1つと
するもので、例えばマヨネーズ、ドレッシング、及びサ
ンドイッチスプレッド等を挙げることができ、また、こ
のような最終製品の他に各種中間製品(食品素材)とし
ての水中油型エマルジョン食品をも挙げることができ
る。
る方法には特別の制限はなく、乳化剤としての卵黄とし
てトランスグルタミナーゼを作用させて改質した卵黄を
使用する以外は全て従来の方法によることができる。
加えて上記のような熱処理を施し、その後、水相原料を
加えて混合溶解し、さらに油相原料を加えて乳化する。
また、卵黄はpH5〜9の範囲で水相原料を混合した
後、トランスグルタミナーゼを添加して前記の条件で熱
処理を施して卵黄を改質し、その後、酸性原料や油相原
料を混合溶解し、コロイドミルなどで仕上げ乳化する。
因みに、トランスグルタミナーゼを作用させた卵黄から
なる水中油型乳化剤には、水中油型エマルジョン食品の
製造過程において系内でその場で(in situ)生成させた
ものも含まれる。
て、水相を構成する原材料は水、卵黄の他に食酢、水溶
性の調味料、香辛料、甘味料、着色料などから適宜選ば
れ、エマルジョン食品の用途に応じて種類および添加量
が定められる。
であり、特にサラダ油などが適している。この他、油溶
性の着香料、香辛料、着色料などが適宜加えられる。
85%程度が適当である。50%程度以下では粘度が不十分
になってクリーミング現状を起こして下相に分離水を生
じたりして好ましくない。逆に、85%程度を越えると、
乳化時に転相をおこしたり、また、得られた水中油型エ
マルジョン食品の乳化状態が悪くなったりして好ましく
ない。
ジョン食品のエマルジョンは不安定であるが、本発明の
改質卵黄を乳化剤として使用した場合は、低pH、例え
ばpHが6以下の水中油型エマルジョン食品のエマルジ
ョンの不安定化が防止される。
明する。もちろん、これによって本発明の技術的範囲が
限定されるものではない。
水中油型エマルジョン組成物が3kgとなるように、各配
合素材(原材料)を準備した。本線菌ストレプトベルチ
シリウムに属する微生物(Streptroverticillium mobara
ense IFO 13819)起源のトランスグルタミナーゼ(比活
性1.04ユニット/mg)の所定量に少量の水を加えて溶解
し、この酵素液を卵黄に加え混合した。ここでいう当該
酵素の所定量は、第1表に示すように、卵黄タンパク質
1g当り0ユニット(試料1A)、 0.3ユニット(試料
1B)、 0.6ユニット(試料1C)及び3ユニット(試
料1D)とした。これらを50℃に30分間保持する熱処理
を行って卵黄を改質した。水相原料を混合した後、大豆
油を加え、プロペラミキサーにて約2分間予備乳化し
た。さらに、コロイドミルで仕上げ乳化を行い、エマル
ジョン組成物を得た。
した結果を後掲第3表に示した。
てトランスグルタミナーゼを卵黄タンパク質1g当り3
ユニット添加して、下記第2表に示した条件で卵黄に改
質熱処理を施した。次に、水相原料を混合した後、実施
例1と同様にして各エマルジョン組成物試料2A、2
B、及び2Cを得た。
した結果を第3表に併せて示した。
科機社製コールターカウンターにより、乳化安定性の評
価はエマルジョン表面の乳化状態を目視により、そして
エマルジョンの卵黄臭の評価は洗練されたパネルによる
官能検査によりそれぞれ行なった。
せて改質することにより乳化性及び乳化安定性に優れた
卵黄乳化剤が提供されるところになった。また、このよ
うな卵黄乳化剤に水相原料および油相原料などを加えた
後乳化して、乳化安定性および卵黄臭の改善されたマヨ
ネーズ等の水中油型エマルジョン食品が容易に提供され
るところとなった。延いては、エマルジョン食品への卵
黄の利用範囲の拡大に寄与するところとなる。
Claims (3)
- 【請求項1】 トランスグルタミナーゼを作用させた卵
黄からなる水中油型乳化剤。 - 【請求項2】 乳化剤として請求項1記載の水中油型乳
化剤を有効量で使用した水中油型エマルジョン食品。 - 【請求項3】 pHが6以下である請求項2記載の水中
油型エマルジョン食品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4234684A JP3070286B2 (ja) | 1992-09-02 | 1992-09-02 | 水中油型エマルジョン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4234684A JP3070286B2 (ja) | 1992-09-02 | 1992-09-02 | 水中油型エマルジョン |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0678693A JPH0678693A (ja) | 1994-03-22 |
JP3070286B2 true JP3070286B2 (ja) | 2000-07-31 |
Family
ID=16974824
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4234684A Expired - Lifetime JP3070286B2 (ja) | 1992-09-02 | 1992-09-02 | 水中油型エマルジョン |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3070286B2 (ja) |
-
1992
- 1992-09-02 JP JP4234684A patent/JP3070286B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0678693A (ja) | 1994-03-22 |
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