JP3062592B2 - 2−アセチルアミノ−4−O−(2−アミノ−2−デオキシ−β−D −グルコピラノシル)−2−デオキシ−D −グルコースおよびその塩の製造法 - Google Patents
2−アセチルアミノ−4−O−(2−アミノ−2−デオキシ−β−D −グルコピラノシル)−2−デオキシ−D −グルコースおよびその塩の製造法Info
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- C07H15/20—Carbocyclic rings
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- C07H15/12—Acyclic radicals, not substituted by cyclic structures attached to a nitrogen atom of the saccharide radical
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- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12P—FERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
- C12P19/00—Preparation of compounds containing saccharide radicals
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- C12P19/26—Preparation of nitrogen-containing carbohydrates
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2−アセチルアミ
ノ−4−O−(2−アミノ−2−デオキシ−β−D −グ
ルコピラノシル)−2−デオキシ−D −グルコースおよ
びその塩の製造法に関する。本物質は天然物であるキチ
ンの部分加水分解物として得られることから、キチン関
連化合物分解酵素の活性測定用基質として用いられる
他、食品素材,糖鎖工学分野における合成原料として活
用することができる。
ノ−4−O−(2−アミノ−2−デオキシ−β−D −グ
ルコピラノシル)−2−デオキシ−D −グルコースおよ
びその塩の製造法に関する。本物質は天然物であるキチ
ンの部分加水分解物として得られることから、キチン関
連化合物分解酵素の活性測定用基質として用いられる
他、食品素材,糖鎖工学分野における合成原料として活
用することができる。
【0002】
【従来の技術】キトサンを加水分解したキトサンオリゴ
糖が、健康食品市場を中心に食品素材として活用されて
いるが、一般に原料となるキトサンは1部の糖残基にN
−アセチル基が残っており、オリゴ糖にも D−グルコサ
ミン残基の他に、N−アセチル−D −グルコサミン残基
が混入している。このような部分脱アセチル化キチンオ
リゴ糖は、植物に対するエリシター活性や抗う蝕活性等
を備えていることが報告されており、同じ重合度のキチ
ンオリゴ糖やキトサンオリゴ糖と比較して優れた活性を
示す例が見られている。しかしながら、部分脱アセチル
化キチンオリゴ糖と呼ばれるものは、一般に複数の化合
物の混合体として構成されているため、未だその構造が
定義されてはいない。そのため、キチンオリゴ糖,部分
脱アセチル化キチンオリゴ糖,あるいはキトサンオリゴ
糖のもつ様々な生理活性の発現機構を解明する上で、構
造の定義された部分脱アセチル化キチンオリゴ糖を提供
することは極めて意義深い。
糖が、健康食品市場を中心に食品素材として活用されて
いるが、一般に原料となるキトサンは1部の糖残基にN
−アセチル基が残っており、オリゴ糖にも D−グルコサ
ミン残基の他に、N−アセチル−D −グルコサミン残基
が混入している。このような部分脱アセチル化キチンオ
リゴ糖は、植物に対するエリシター活性や抗う蝕活性等
を備えていることが報告されており、同じ重合度のキチ
ンオリゴ糖やキトサンオリゴ糖と比較して優れた活性を
示す例が見られている。しかしながら、部分脱アセチル
化キチンオリゴ糖と呼ばれるものは、一般に複数の化合
物の混合体として構成されているため、未だその構造が
定義されてはいない。そのため、キチンオリゴ糖,部分
脱アセチル化キチンオリゴ糖,あるいはキトサンオリゴ
糖のもつ様々な生理活性の発現機構を解明する上で、構
造の定義された部分脱アセチル化キチンオリゴ糖を提供
することは極めて意義深い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】また、構造の定義され
た部分脱アセチル化キチンオリゴ糖の最小単位である2
−アセチルアミノ−4−O−(2−アミノ−2−デオキ
シ−β−D −グルコピラノシル)−2−デオキシ−D −
グルコースは、部分脱アセチル化高分子キチンをキチナ
ーゼによって分解することにより製造することができる
という報告(Mitsutomi, M. et al, Agric. Biol. Che
m., 54(4), 871-877,(1990)) がなされているが、同時
に極めて構造の類似したヘテロオリゴ糖が副生するため
に、その分離・精製が極めて困難である。そのために、
本化合物を単離して糖質素材として様々な分野において
活用しようという試みは、現在までなされることがなか
った。本発明の目的は、キチンの分解物あるいは試薬と
して入手容易なジ−N−アセチル−D −キトビオースを
基質とし、これに微生物由来の脱アセチル化酵素を作用
させることによって、ほぼ定量的に2−アセチルアミノ
−4−O−(2−アミノ−2−デオキシ−β−D −グル
コピラノシル)−2−デオキシ−D −グルコースを製造
する方法を提供することである。
た部分脱アセチル化キチンオリゴ糖の最小単位である2
−アセチルアミノ−4−O−(2−アミノ−2−デオキ
シ−β−D −グルコピラノシル)−2−デオキシ−D −
グルコースは、部分脱アセチル化高分子キチンをキチナ
ーゼによって分解することにより製造することができる
という報告(Mitsutomi, M. et al, Agric. Biol. Che
m., 54(4), 871-877,(1990)) がなされているが、同時
に極めて構造の類似したヘテロオリゴ糖が副生するため
に、その分離・精製が極めて困難である。そのために、
本化合物を単離して糖質素材として様々な分野において
活用しようという試みは、現在までなされることがなか
った。本発明の目的は、キチンの分解物あるいは試薬と
して入手容易なジ−N−アセチル−D −キトビオースを
基質とし、これに微生物由来の脱アセチル化酵素を作用
させることによって、ほぼ定量的に2−アセチルアミノ
−4−O−(2−アミノ−2−デオキシ−β−D −グル
コピラノシル)−2−デオキシ−D −グルコースを製造
する方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、ジ−
N−アセチルキトビオースにコレトトリカム・リンデム
チアナムATCC56676株由来の脱アセチル化酵素
由来の脱アセチル化酵素(以下、微生物由来の脱アセチ
ル化酵素と略記することがある。)を作用させることを
特徴とする下記の式(1)で表される2−アセチルアミ
ノ−4−O−(2−アミノ−2−デオキシ−β−D −グ
ルコピラノシル)−2−デオキシ−D −グルコースまた
はその酸付加塩の製造法である。
N−アセチルキトビオースにコレトトリカム・リンデム
チアナムATCC56676株由来の脱アセチル化酵素
由来の脱アセチル化酵素(以下、微生物由来の脱アセチ
ル化酵素と略記することがある。)を作用させることを
特徴とする下記の式(1)で表される2−アセチルアミ
ノ−4−O−(2−アミノ−2−デオキシ−β−D −グ
ルコピラノシル)−2−デオキシ−D −グルコースまた
はその酸付加塩の製造法である。
【0005】
【化2】
【0006】また、2−アセチルアミノ−4−O−(2
−アミノ−2−デオキシ−β−D −グルコピラノシル)
−2−デオキシ−D −グルコースの塩としては酸付加塩
があり、例えば塩酸塩,酢酸塩などがある。このものは
下記の式(2)で表される。
−アミノ−2−デオキシ−β−D −グルコピラノシル)
−2−デオキシ−D −グルコースの塩としては酸付加塩
があり、例えば塩酸塩,酢酸塩などがある。このものは
下記の式(2)で表される。
【0007】
【化3】
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の2−アセチルア
ミノ−4−O−(2−アミノ−2−デオキシ−β−D −
グルコピラノシル)−2−デオキシ−D −グルコースお
よびその塩の製造法について説明する。本発明の出発原
料としては、ジ−N−アセチルキトビオースを用いる。
このものは、キチンの分解物として容易に得られる他、
試薬として販売されている。また、微生物由来の脱アセ
チル化酵素としては、ジ−N−アセチルキトビオースの
非還元末端に位置するN−アセチル−D −グルコサミン
残基に存在するN−アセチル基を優先的に脱離する活性
をもつことが必要で、例えば不完全菌由来のキチン脱ア
セチル化酵素、具体的にはコレトトリカム・リンデムチ
アナム(Colletotrichum lindemuthianum)ATCC5
6676株由来のキチン脱アセチル化酵素(Biosci. Bio
tech. Biochem., 60(10), 1598-1603,1996) がある。こ
の酵素は、例えば次の方法によって得ることができる。
上記の不完全菌の胞子を液体培地で培養した後、培養物
から活性画分を回収する。これを粗酵素液として用いる
他、常法により精製して精製酵素とすることができる
(特開平8−289785号公報)。
ミノ−4−O−(2−アミノ−2−デオキシ−β−D −
グルコピラノシル)−2−デオキシ−D −グルコースお
よびその塩の製造法について説明する。本発明の出発原
料としては、ジ−N−アセチルキトビオースを用いる。
このものは、キチンの分解物として容易に得られる他、
試薬として販売されている。また、微生物由来の脱アセ
チル化酵素としては、ジ−N−アセチルキトビオースの
非還元末端に位置するN−アセチル−D −グルコサミン
残基に存在するN−アセチル基を優先的に脱離する活性
をもつことが必要で、例えば不完全菌由来のキチン脱ア
セチル化酵素、具体的にはコレトトリカム・リンデムチ
アナム(Colletotrichum lindemuthianum)ATCC5
6676株由来のキチン脱アセチル化酵素(Biosci. Bio
tech. Biochem., 60(10), 1598-1603,1996) がある。こ
の酵素は、例えば次の方法によって得ることができる。
上記の不完全菌の胞子を液体培地で培養した後、培養物
から活性画分を回収する。これを粗酵素液として用いる
他、常法により精製して精製酵素とすることができる
(特開平8−289785号公報)。
【0009】本酵素を原料化合物であるジ−N−アセチ
ルキトビオースに作用させるこにより、ジ−N−アセチ
ルキトビオースの非還元末端のN−アセチルグルコサミ
ン残基のアセチル基のみを脱離し、グルコサミン残基に
変換して、本発明の目的物である2−アセチルアミノ−
4−O−(2−アミノ−2−デオキシ−β−D −グルコ
ピラノシル)−2−デオキシ−D −グルコースを製造す
ることができる。
ルキトビオースに作用させるこにより、ジ−N−アセチ
ルキトビオースの非還元末端のN−アセチルグルコサミ
ン残基のアセチル基のみを脱離し、グルコサミン残基に
変換して、本発明の目的物である2−アセチルアミノ−
4−O−(2−アミノ−2−デオキシ−β−D −グルコ
ピラノシル)−2−デオキシ−D −グルコースを製造す
ることができる。
【0010】具体的には、ジ−N−アセチルキトビオー
スを四ほう酸ナトリウム・塩酸緩衝液(pH8.5)に
溶解し、基質濃度を0.1〜0.5%、好ましくは0.
2%程度の溶液とする。この溶液に微生物由来のキチン
脱アセチル化酵素を0.01〜0.3ユニット、好まし
くは0.05ユニット程度加えた後、30〜60℃、好
ましくは45℃で、1〜6時間、好ましくは2〜4時間
反応させる。その後、反応生成物を陽イオン交換樹脂に
吸着させることによって未反応の原料物質を除去し、
0.1N 塩酸を通すことによって目的物を溶出させ
る。このとき用いる陽イオン交換樹脂としては、アンバ
ーライトCG−120等が好ましい。
スを四ほう酸ナトリウム・塩酸緩衝液(pH8.5)に
溶解し、基質濃度を0.1〜0.5%、好ましくは0.
2%程度の溶液とする。この溶液に微生物由来のキチン
脱アセチル化酵素を0.01〜0.3ユニット、好まし
くは0.05ユニット程度加えた後、30〜60℃、好
ましくは45℃で、1〜6時間、好ましくは2〜4時間
反応させる。その後、反応生成物を陽イオン交換樹脂に
吸着させることによって未反応の原料物質を除去し、
0.1N 塩酸を通すことによって目的物を溶出させ
る。このとき用いる陽イオン交換樹脂としては、アンバ
ーライトCG−120等が好ましい。
【0011】所望により、これに塩酸,酢酸等の適当な
酸を加えることにより、塩形成された化合物を調製する
ことができる。上記の方法により得られた本物質の主要
な利用法としては、酵素活性測定用基質,食品素材,糖
鎖工学分野における合成原料等が考えられる。このよう
にして得られた物質の構造解析を質量分析,核磁気共鳴
分析によって行った。図1はこの化合物の質量スペクト
ル、図2は1H-NMRスペクトルの結果である。
酸を加えることにより、塩形成された化合物を調製する
ことができる。上記の方法により得られた本物質の主要
な利用法としては、酵素活性測定用基質,食品素材,糖
鎖工学分野における合成原料等が考えられる。このよう
にして得られた物質の構造解析を質量分析,核磁気共鳴
分析によって行った。図1はこの化合物の質量スペクト
ル、図2は1H-NMRスペクトルの結果である。
【0012】
【実施例】次に、本発明を実施例によって詳しく説明す
るが、本発明はこれらによって制限されるものではな
い。 実施例1 (1)脱アセチル化酵素の精製 コレトトリカム・リンデムチアナム ATCC5667
6株を、0.28%グルコース,0.123%硫酸マグ
ネシウム(7水和物),0.2%プロテオース・ペプト
ン,0.272%りん酸二水素カリウムおよび2.0%
寒天を含む培地に接種し、25℃で暗所に7日間静置培
養して黒色の菌体を誘導した。次に、菌体を1%麦芽抽
出物,0.4%酵母抽出物,0.4%ブドウ糖を含む2
00mlの培地(pH5.8)が入った500ml容三
角フラスコに接種し、22℃にて暗所下で1分間に10
0回転の条件で振とう培養を行った。8日目頃から酵素
活性を示すものが培養液中に分泌され、18日目まで該
活性が増加した。18日経過した時点で培養を終了し、
菌体培養液をナイロンフィルターでろ過したのち、ガラ
スファイバーを通過させて微粒子を除き、培養ろ液を回
収した。該培養ろ液に4℃下で80%飽和になるように
硫安を加え、一晩静置したのち遠心分離により沈澱を回
収した。この沈澱を少量の50mM 四ほう酸ナトリウ
ム・塩酸緩衝液(pH8.5)に溶解し、同緩衝液中で
透析を行った。透析後の粗酵素液を疎水クロマトグラフ
ィーおよび陰イオンクロマトグラフィーを用いて分画、
精製し、SDSゲル電気泳動的に単一バンドを示すキチ
ン脱アセチル化酵素を得た(特開平8−289785号
公報)。
るが、本発明はこれらによって制限されるものではな
い。 実施例1 (1)脱アセチル化酵素の精製 コレトトリカム・リンデムチアナム ATCC5667
6株を、0.28%グルコース,0.123%硫酸マグ
ネシウム(7水和物),0.2%プロテオース・ペプト
ン,0.272%りん酸二水素カリウムおよび2.0%
寒天を含む培地に接種し、25℃で暗所に7日間静置培
養して黒色の菌体を誘導した。次に、菌体を1%麦芽抽
出物,0.4%酵母抽出物,0.4%ブドウ糖を含む2
00mlの培地(pH5.8)が入った500ml容三
角フラスコに接種し、22℃にて暗所下で1分間に10
0回転の条件で振とう培養を行った。8日目頃から酵素
活性を示すものが培養液中に分泌され、18日目まで該
活性が増加した。18日経過した時点で培養を終了し、
菌体培養液をナイロンフィルターでろ過したのち、ガラ
スファイバーを通過させて微粒子を除き、培養ろ液を回
収した。該培養ろ液に4℃下で80%飽和になるように
硫安を加え、一晩静置したのち遠心分離により沈澱を回
収した。この沈澱を少量の50mM 四ほう酸ナトリウ
ム・塩酸緩衝液(pH8.5)に溶解し、同緩衝液中で
透析を行った。透析後の粗酵素液を疎水クロマトグラフ
ィーおよび陰イオンクロマトグラフィーを用いて分画、
精製し、SDSゲル電気泳動的に単一バンドを示すキチ
ン脱アセチル化酵素を得た(特開平8−289785号
公報)。
【0013】(2)2−アセチルアミノ−4−O−(2
−アミノ−2−デオキシ−β−D −グルコピラノシル)
−2−デオキシ−D −グルコースの製造法 ジ−N−アセチルキトビオース(生化学工業株式会社
製)0.4mgを0.2mlの20mM 四ほう酸ナト
リウム・塩酸緩衝液(pH8.5)に溶解し、これに上
記(1)で得た不完全菌コレトトリカム・リンデムチア
ナム由来の精製キチン脱アセチル化酵素を0.05ユニ
ット加えて、45℃で3時間反応させた。
−アミノ−2−デオキシ−β−D −グルコピラノシル)
−2−デオキシ−D −グルコースの製造法 ジ−N−アセチルキトビオース(生化学工業株式会社
製)0.4mgを0.2mlの20mM 四ほう酸ナト
リウム・塩酸緩衝液(pH8.5)に溶解し、これに上
記(1)で得た不完全菌コレトトリカム・リンデムチア
ナム由来の精製キチン脱アセチル化酵素を0.05ユニ
ット加えて、45℃で3時間反応させた。
【0014】これをCarbopak PA1カラム(DIONEX社製)
を用いたイオンクロマトグラフィーによって分析した結
果、図3,4に示すように、反応生成物は1種類であ
り、このピークは基質であるジ−N−アセチルキトビオ
ースの減少に伴い反応初期から増加し、他の化合物由来
のピークはほとんど存在しなかった。そして3時間後に
は、原料物質であるジ−N−アセチルキトビオース由来
のピークはディテクタにより定量されなくなった。この
ように、基質が迅速に減少し、単一のピークを与える化
合物に変換されているのがわかる。続いて、これを陽イ
オン交換樹脂アンバーライトCG−120(オルガノ株
式会社製)を用いて精製し、電気透析法によって脱塩を
行った。これを質量分析計(JEOL社製)により分析
した結果、[ M+H+ ]=383のシグナルが検出され、
本物質の分子量は382であると推定された。さらに、
これを1H-NMRによって分析した結果、本物質の構造は2
−アセチルアミノ−4−O−(2−アミノ−2−デオキ
シ−β−D −グルコピラノシル)−2−デオキシ−D −
グルコースであると決定された。
を用いたイオンクロマトグラフィーによって分析した結
果、図3,4に示すように、反応生成物は1種類であ
り、このピークは基質であるジ−N−アセチルキトビオ
ースの減少に伴い反応初期から増加し、他の化合物由来
のピークはほとんど存在しなかった。そして3時間後に
は、原料物質であるジ−N−アセチルキトビオース由来
のピークはディテクタにより定量されなくなった。この
ように、基質が迅速に減少し、単一のピークを与える化
合物に変換されているのがわかる。続いて、これを陽イ
オン交換樹脂アンバーライトCG−120(オルガノ株
式会社製)を用いて精製し、電気透析法によって脱塩を
行った。これを質量分析計(JEOL社製)により分析
した結果、[ M+H+ ]=383のシグナルが検出され、
本物質の分子量は382であると推定された。さらに、
これを1H-NMRによって分析した結果、本物質の構造は2
−アセチルアミノ−4−O−(2−アミノ−2−デオキ
シ−β−D −グルコピラノシル)−2−デオキシ−D −
グルコースであると決定された。
【0015】実施例2 ジ−N−アセチルキトビオース20mgを10mlの2
0mM 四ほう酸ナトリウム・塩酸緩衝液(pH8.
5)に溶解し、これに1.5mlの膨張Q−セファロー
スFF樹脂(ファルマシア社製)を懸濁させた後、実施
例1の(1)で精製したキチン脱アセチル化酵素を1.
5ユニット加えて、45℃で16時間反応させた。反応
後、Q−セファロース樹脂を自然沈降させた後、透明な
上澄を回収し、その1部をCarbopak PA1カラム(DIONEX
社製)を用いたイオンクロマトグラフィーによって分析
した。その結果、2−アセチルアミノ−4−O−(2−
アミノ−2−デオキシ−β−D −グルコピラノシル)−
2−デオキシ−D −グルコースのピークのみが検出さ
れ、原料物質であるジ−N−アセチルキトビオース由来
のピークは存在しなかった。
0mM 四ほう酸ナトリウム・塩酸緩衝液(pH8.
5)に溶解し、これに1.5mlの膨張Q−セファロー
スFF樹脂(ファルマシア社製)を懸濁させた後、実施
例1の(1)で精製したキチン脱アセチル化酵素を1.
5ユニット加えて、45℃で16時間反応させた。反応
後、Q−セファロース樹脂を自然沈降させた後、透明な
上澄を回収し、その1部をCarbopak PA1カラム(DIONEX
社製)を用いたイオンクロマトグラフィーによって分析
した。その結果、2−アセチルアミノ−4−O−(2−
アミノ−2−デオキシ−β−D −グルコピラノシル)−
2−デオキシ−D −グルコースのピークのみが検出さ
れ、原料物質であるジ−N−アセチルキトビオース由来
のピークは存在しなかった。
【0016】実施例3 実施例1において調製された2−アセチルアミノ−4−
O−(2−アミノ−2−デオキシ−β−D −グルコピラ
ノシル)−2−デオキシ−D −グルコースを酵素活性測
定用基質として用い、エキソ型のキチン分解酵素活性を
備えたβ−N−アセチルヘキソサミニダーゼ (Penicill
ium oxalicum由来,生化学工業株式会社製)0.007
ユニットを50mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH
4.5)中で37℃で1時間作用させたが、基質の分解
は起こらなかった。一方、ジ−N−アセチルキトビオー
スを基質として用いたときは、N−アセチルグルコサミ
ンが生成したことから、本酵素は基質の非還元末端のグ
ルコサミン残基のN−アセチル基を認識することが明ら
かとなった。
O−(2−アミノ−2−デオキシ−β−D −グルコピラ
ノシル)−2−デオキシ−D −グルコースを酵素活性測
定用基質として用い、エキソ型のキチン分解酵素活性を
備えたβ−N−アセチルヘキソサミニダーゼ (Penicill
ium oxalicum由来,生化学工業株式会社製)0.007
ユニットを50mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH
4.5)中で37℃で1時間作用させたが、基質の分解
は起こらなかった。一方、ジ−N−アセチルキトビオー
スを基質として用いたときは、N−アセチルグルコサミ
ンが生成したことから、本酵素は基質の非還元末端のグ
ルコサミン残基のN−アセチル基を認識することが明ら
かとなった。
【0017】
【発明の効果】本発明によれば、大量に、かつ容易に入
手可能なジ−N−アセチルキトビオースを出発原料とし
て、2−アセチルアミノ−4−O−(2−アミノ−2−
デオキシ−β−D −グルコピラノシル)−2−デオキシ
−D −グルコースおよびその塩を効率よく合成すること
ができる。また、本物質は安定的に供給することが可能
で、酵素活性測定用基質をはじめとして、食品素材ある
いは糖鎖工学分野における合成原料など様々な分野に活
用することができる。
手可能なジ−N−アセチルキトビオースを出発原料とし
て、2−アセチルアミノ−4−O−(2−アミノ−2−
デオキシ−β−D −グルコピラノシル)−2−デオキシ
−D −グルコースおよびその塩を効率よく合成すること
ができる。また、本物質は安定的に供給することが可能
で、酵素活性測定用基質をはじめとして、食品素材ある
いは糖鎖工学分野における合成原料など様々な分野に活
用することができる。
【図1】 本発明の化合物の質量スペクトルを示す。
【図2】 本発明の化合物の1H-NMRスペクトルを示す。
【図3】 ジ−N−アセチルキトビオースを基質とし
て、本発明の化合物を調製する工程を高速液体クロマト
グラフィーで分析したクロマトグラムを示し、(1)は
反応開始0分の、(2)は反応開始15分後の、(3)
は反応開始30分後の、(4)は反応開始60分後の試
料を分析したものである。
て、本発明の化合物を調製する工程を高速液体クロマト
グラフィーで分析したクロマトグラムを示し、(1)は
反応開始0分の、(2)は反応開始15分後の、(3)
は反応開始30分後の、(4)は反応開始60分後の試
料を分析したものである。
【図4】 ジ−N−アセチルキトビオースを基質とし
て、本発明の化合物を調製する工程を高速液体クロマト
グラフィーで分析したクロマトグラムを示し、(1)は
反応開始90分後の、(2)は反応開始120分後の、
(3)は反応開始150分後の、(4)は反応開始18
0分後の試料を分析したものである。
て、本発明の化合物を調製する工程を高速液体クロマト
グラフィーで分析したクロマトグラムを示し、(1)は
反応開始90分後の、(2)は反応開始120分後の、
(3)は反応開始150分後の、(4)は反応開始18
0分後の試料を分析したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 隆 茨城県つくば市松代5丁目9番地5 626−2 (72)発明者 濱松 潮香 茨城県つくば市竹園1丁目13番2 803 棟202号 (72)発明者 林 清 茨城県土浦市乙戸南1丁目5−3 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 19/26 C07H 13/06
Claims (1)
- 【請求項1】 ジ−N−アセチルキトビオースにコレト
トリカム・リンデムチアナムATCC56676株由来
の脱アセチル化酵素を作用させることを特徴とする下記
の式(1)で表される2−アセチルアミノ−4−O−
(2−アミノ−2−デオキシ−β−D −グルコピラノシ
ル)−2−デオキシ−D −グルコースまたはその酸付加
塩の製造法。 【化1】
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---|---|---|---|
JP9156092A JP3062592B2 (ja) | 1997-05-30 | 1997-05-30 | 2−アセチルアミノ−4−O−(2−アミノ−2−デオキシ−β−D −グルコピラノシル)−2−デオキシ−D −グルコースおよびその塩の製造法 |
US08/900,820 US5955320A (en) | 1997-05-30 | 1997-07-25 | Method for producing 2-acetylamino-4-O-(2-amino-2-deoxy-β-D-glucopyranosyl)-2-deoxy-D-glucose and its salts |
KR1019970038081A KR100269709B1 (ko) | 1997-05-30 | 1997-08-09 | 2-아세틸아미노-4-O-(2-아미노-2-데옥시-β-D-글루코피라노실)-2-데옥시-D- 글루코스 및 그 염의 제조방법 |
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JP9156092A JP3062592B2 (ja) | 1997-05-30 | 1997-05-30 | 2−アセチルアミノ−4−O−(2−アミノ−2−デオキシ−β−D −グルコピラノシル)−2−デオキシ−D −グルコースおよびその塩の製造法 |
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Family
ID=15620144
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9156092A Expired - Lifetime JP3062592B2 (ja) | 1997-05-30 | 1997-05-30 | 2−アセチルアミノ−4−O−(2−アミノ−2−デオキシ−β−D −グルコピラノシル)−2−デオキシ−D −グルコースおよびその塩の製造法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3062592B2 (ja) |
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IS6085A (is) * | 2001-09-26 | 2003-03-27 | Genis Ehf. | Lyfjablanda með kítósan óligómerum |
CN107897184B (zh) * | 2017-11-17 | 2020-04-21 | 浙江海洋大学 | 一种诱发番茄植株对ToMV产生抗性的制剂及其制备 |
-
1997
- 1997-05-30 JP JP9156092A patent/JP3062592B2/ja not_active Expired - Lifetime
- 1997-07-25 US US08/900,820 patent/US5955320A/en not_active Expired - Fee Related
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