JP3061363B2 - ガラクト硫酸オリゴ糖、その製造方法およびその用途 - Google Patents

ガラクト硫酸オリゴ糖、その製造方法およびその用途

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新日本化学工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は硫酸基を有する酸性
オリゴ糖である新規なガラクト硫酸オリゴ糖およびその
製造方法に関し、さらに上記ガラクト硫酸オリゴ糖を含
有する血清コレステロール低下剤、食品添加物および該
食品添加物を添加した食品に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、オリゴ糖類は消化性の低い低カロ
リー甘味料として知られているが、さらに近年、保湿
性,水分活性調節性,タンパク質の保護・安定化性,デ
ンプンの老化抑制性などの優れた特性を持つものである
ことがわかった。また、オリゴ糖類には、難う蝕性,抗
う蝕性,静菌作用,整腸作用,血糖上昇抑制作用など有
用な生理作用もあり、食品産業上有用な素材としても注
目されるようになった。従来、オリゴ糖にはショ糖,乳
糖などに関連した種々のオリゴ糖が開発されているがい
ずれも中性単糖のみから構成されるオリゴ糖である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、従来
開発されたオリゴ糖は中性単糖のみから構成されるオリ
ゴ糖であり、硫酸基をもつ酸性オリゴ糖ではない。本発
明は新たなオリゴ糖の開発を目的としたものであって、
硫酸基をもつ新たな酸性オリゴ糖を製造し、さらにその
用途を開発することを目的としたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、下
記の構造式を有する新規なガラクト硫酸オリゴ糖および
その製造方法に関する。さらに本発明は、上記上記ガラ
クト硫酸オリゴ糖を含有する血清コレステロール低下
剤、食品添加物および該食品添加物を添加した食品に関
する。
【0005】
【化2】
【0006】上記構造式のガラクト硫酸オリゴ糖(分子
式:C122114S、分子量:421、6−硫酸エステ
ルガラクトピラノシル−α1,3−(α,β)ガラクト
ピラノースの構造)は新規なオリゴ糖である。
【0007】上記構造式のガラクト硫酸オリゴ糖を製造
するには、あまのり属海藻の多糖類であるポルフィラン
に対して分解能を有する微生物、アーロバクター(A
rthrobacter)属に属するS−22(生技研
寄託P−15496号)を用いて、あまのり属海藻の藻
体とくにポルフィランを加水分解し、タンパク質などの
共雑物を除去することによって得られる。
【0008】上記構造式のガラクト硫酸オリゴ糖は、血
清コレステロール低下作用があり、血清コレステロール
低下剤として用いられる。また、血清コレステロール低
下作用を利用してそれを食品に混合し、血清コレステロ
ール低下作用のある食品を得ることができるので、食品
添加剤としての用途もある。
【0009】本発明においてガラクト硫酸オリゴ糖の製
造に用いられるアーロバクター属に属するS−22の
顕微鏡写真を図1に示す。図1の(A)は培養24時間
後の状態、(B)は培養48時間後の状態をそれぞれ示
し、桿菌から短桿菌へと形態の変化が見られる。
【0010】次に上記菌株の性状を示す。 (a)形態 (1)細胞の形および大きさ 桿菌,幅0.8μm,長さ0.6〜4μm (2)細胞の多形性の有無:培養時間の経過とともに長
さが短くなる。 (3)運動性の有無,鞭毛の着性状態:運動性なし,鞭
毛なし (4)胞子の有無:なし (5)グラム染色性:陽性 (6)抗酸性:なし
【0011】(b)各培地における生育状態 (1)肉汁寒天平板培養 大きさ:直径1−2.5mm 生育程度:中程度 隆起:丘状 形:円形 周辺の形状:正緑 表面の形状:なめらか 色:乳白色 光沢:あり 性質:粘性なし
【0012】(2)肉汁斜面培養 形状:糸状 生育の程度:中程度 隆起:丘状 臭気:なし 表面の形状:なめらか
【0013】(3)肉汁液体培養 表面発育の有無:なし 菌環の形成:なし 濁度:培養2日目でわずかに濁りあり ガス産生:なし 指示薬の色調変化:中(BTBで緑青色) 臭気:なし
【0014】(4)肉汁ゼラチン穿刺培養 生育の状態:上部7mmに生育 ゼラチンの液化:なし
【0015】(5)リトマスミルク倍地 反応:なし 凝固:あり
【0016】(c)生理学的性質 (1)硝酸塩の還元:なし (2)脱窒反応:なし (3)MRテスト:陰性 (4)VPテスト:陰性 (5)インドールの生成:なし (6)硫化水素の生成:なし (7)デンプンの加水分解:なし (8)クエン酸の利用:あり (10)色素の生成:なし (11)ウレアーゼ:陽性 (12)オキシダーゼ:陰性 (13)カタラーゼ:陽性 (14)生育の範囲(pH):初発pH4.5−7.5で生育,pH4では生育 しない。 (温度):35℃以上で生育しない。 (15)酸素に対する態度:好気性 (16)0−Fテスト:分解しない。 (17)糖類からの酸およびガス生成の有無 (L−アラビノース):なし (D−キシロース):なし (D−グルコース):なし (D−マンノース):なし (D−フルクトース):なし (D−ガラクトース):なし (麦芽糖):なし (ショ糖):なし (乳糖):なし (トレハロース):なし (D−ソルビット):なし (イノシット):なし (グリセリン):なし (デンプン):なし
【0017】(d)新種の特徴を示す特徴 (1)糖類の分解生成物:ポルフィランからガラクト硫
酸オリゴ糖(6−硫酸エステルガラクトピラノシル−α
1,3−(α,β)ガラクトピラノース)を生成する。 (2)集落の周辺細胞の伸長:あり (3)気菌糸の存在:なし (4)細胞壁のジアミノ酸:A3α、L−Lys−L−
Ala−L−Thr−L−Ala (5)グリコル試験:陰性(アセチル型) (6)細胞壁のアラビノガラクタンポリマー:なし (7)キノン系:MK−9(H2 ) (8)菌体中のDNAのG+C含量:67mol%
【0018】上記した諸特性から、該菌株はアーロバ
クター属の一種であると考えられる。なお、該菌株はア
ロバクター・ヒスチジノボランス(Arthrob
acter histidinolovorans)に
非常に近い性質をもつものの、すでに報告されているア
ロバクター・ヒスチジノボランスの菌体中のDNA
のG+C含量の61.3molとかなり異なっているこ
とから、別種とするのが妥当である。また、アーロバ
クター属でポルフィランの分解能を有する菌種の報告は
なく、本発明の菌株の性質は新知見である。
【0019】また、上記菌株の分類学的地位の決定は
「バージーズ・マニュアル・オブ・システマティク・バ
イオロジー」第1巻(ウイリアムズ・アンド・ウイルキ
ンス、USA,1984)に基づく。
【0020】次に上記の菌株を用いてガラクト硫酸オリ
ゴ糖を製造する方法について記す。あまのり属海藻の粉
末もしくは熱水抽出物を含み、乳糖やガラクトースなど
の炭素源、ペプトンや硝酸ナトリウムなどの窒素源の
他、マグネシウム塩やカルシウム塩などの無機塩類など
を加えた液体培地に菌体を植菌し、培養温度20〜30
℃,培養pH4〜8,好気条件下で2〜5日培養後,培
養液を加熱殺菌した後、ろ過もしくは遠心分離して菌体
や懸濁物を除き、さらに有機溶剤沈殿,塩析,減圧濃
縮,イオン交換体や活性炭などのカラムによる吸着,脱
着などの処理を経てガラクト硫酸オリゴ糖の純化,精製
を行う。
【0021】本発明で得られるガラクト硫酸オリゴ糖
は、6位の炭素に硫酸基がエステル結合したガラクトピ
ラノシル基にα1,3グリコシド結合したガラクトピラ
ノースからなる2糖である。
【0022】まず、ガラクト硫酸オリゴ糖の組成を調べ
るために、ミクロケルダール法で共雑物のタンパク質,
ペプチドやアミノ酸などが存在しないことを確認した。
(後記の表1参照)
【0023】ついで、0.02Nシュウ酸で100℃,
15時間の条件で加水分解を行い、高速液体クロマトグ
ラフを用いて構成糖を調べると、ガラクトース,6−硫
酸エステルガラクトースを含んでいることがわかる(図
2参照)。なお、図2中の(A)はガラクト硫酸オリゴ
糖の加水分解物のクロマトグラム、(B)は標準品とし
て用いた6−硫酸エステルガラクトースナトリウム塩と
D−ガラクトースの混合物のクロマトグラムであり、
(1)は6−硫酸エステルガラクトース,(2)はD−
ガラクトースをそれぞれ示す。
【0024】また、オリゴ糖中のフェノール硫酸法でガ
ラクトースを標品として全糖質量,レゾルシン塩酸法で
フルクトースを標品として3,6−アンヒドロガラクト
ース量およびフラスコ燃焼法で硫酸基量を調べた。結果
を表1に示す。その結果、ガラクト硫酸オリゴ糖は3.
6−アンヒドロガラクトースを全く含まず、硫酸基量が
30%弱と高い率で含まれていることがわかる。
【0025】
【表1】
【0026】次に、ガラクト硫酸オリゴ糖の赤外吸収ス
ペクトル(FT−IR)を測定した。図3にこれを示
す。図3に示すIRスペクトルにおいて、1246.2
カイザー(cm-1)にS=O伸縮振動に基づく吸収があ
ることから、エステル硫酸基の存在が認められ、850
カイザー付近にアキシャル(axial)硫酸のC−O
−S振動に基づく吸収がないことから、6位の炭素に硫
酸基が結合していることになる。また、1074.2お
よび1159.3カイザーの吸収はC−O振動,294
4.4カイザーはC−H振動,3422.1カイザーは
O−H振動に基づくものである。
【0027】次にグリセロールをマトリクスとして質量
分析計(SIMS−MS)で分子量を調べた。図4はガ
ラクト硫酸オリゴ糖のマススペクトルを示す。このマス
スペクトルでm/z420のイオンシグナルが[M−
H]- である。なお、[M−H]- は分子量より1水素
分少ないマススペクトルを示す。したがって、本発明の
ガラクト硫酸オリゴ糖の分子量は421である。
【0028】次に核磁気共鳴分析(NMR)を 1H−N
MRおよび13−NMRについて行った。図5にガラクト
硫酸オリゴ糖の構造式を示した。図中の符号はNMRス
ペクトルの帰属を示し、以下の表2にこのNMRスペク
トルの帰属の内容を説明する。
【0029】
【表2】
【0030】さらにHMBCでH−1とC−3”との間
でクロスピークが認められることからα1,3グリコシ
ド結合の存在が支持される。また、本発明の 1H−NM
Rで3本のアノメリック水素(anomeric hy
drogen)のシグナルが見られ、還元末端の糖のα
(δ 5.13,J=3.96Hz)が強度0.5,β
(δ 4.50,J=7.63Hz)が強度0.7,非
還元末端の糖のグリコシド結合のH−1(δ 5.0
9,J=4.0Hz)が強度1.2であることから、還
元末端側のガラクトースはαとβが約42対58で平衡
しており、本発明のオリゴ糖は2糖であることが支持さ
れる。
【0031】以上のことから本発明のガラクト硫酸オリ
ゴ糖は2糖から構成され、構成単糖はガラクトースおよ
びその誘導体である。非還元末端側の6位の炭素に硫酸
基がエステル結合した6−硫酸エステルガラクトピラノ
シル基がα1,3グリコシド結合により、還元末端を有
するガラクトピラノース基と結合した酸性オリゴ糖で、
分子量は421である。
【0032】本発明のガラクト硫酸オリゴ糖はあまのり
属海藻の有する血清コレステロール低下作用活性がさら
に強化されており、血清コレステロール低下剤としての
効能の他、本オリゴ糖を混合してなる種々の食品におい
ても血清コレステロール低下作用は顕著であり、従来か
ら食べられてきた食品を原料としていることから副作用
に対する懸念が少ない利点もある。なお、血清コレステ
ロール低下剤および食品添加物として使用するガラクト
硫酸オリゴ糖は精製物および組成物のいずれでもよく、
添加する食品は飲料,惣菜,健康食品,デザート,缶
詰,レトルト食品,ソース類,麺類,パン,菓子類,ふ
りかけ,茶漬け,海藻,きのこ類など多岐にわたる。
【0033】
【発明の実施の形態】
実施例1 ポルフィラン 0.5% ペプトン 0.42% 酵母エキス 0.01% 塩化ナトリウム 0.1% 硫酸マグネシウム・7水和物 0.25% 塩化カルシウム・2水和物 0.01% からなる培養液を初発pH7に調整し、100ml容三
角フラスコに20ml入れ、121℃、殺菌する。これ
に菌株S−22を1白金耳植菌し、25℃にて4日間旋
回振とう培養(200rpm)した。
【0034】次に、 のり粉末(乾のりを粉砕し、0.25mmの スクリーンを通過したもの) 4% ペプトン 0.1% 酵母エキス 0.05% 塩化ナトリウム 0.01% 硫酸マグネシウム・7水和物 0.25% 塩化カルシウム・2水和物 0.01% からなる培養液を初発pH6に調整し、これを30リッ
トル容ジャーファメンターに15リットル分注し、スチ
ーム殺菌する。これに先の培養液150mlを植菌し、
28℃,400rpm,通気量15L/分の条件下で1
0%塩酸で培養液のpHを7.5に調整しながら60時
間培養した。培養液を100℃で30分間加熱殺菌した
のち、ろ過助剤(セライト)を用いてろ過し、さらに分
子分画10,000の限外ろ過膜(UF)で高分子成分
を除去した。
【0035】ろ液を3リットルに減圧濃縮し、HPA7
5カラム(300L(φ600X1060mm))に通
塔した。1カラム容量の精製水で非吸着成分を除去、洗
浄し、4カラム容量の0.05M塩化ナトリウム溶液で
ガラクト硫酸オリゴ糖の溶出をおこなった。図6にこの
分画パターンを示す。本発明のガラクト硫酸オリゴ糖は
約1200Lで溶出し、回収後、NTR−7250(S
2)逆浸透脱塩濃縮装置で塩化ナトリウムを脱塩、凍結
乾燥して55gの粗製乾燥物を得た。
【0036】粗製ガラクト硫酸オリゴ糖0.5gを精製
水に溶解後、Super−Toyopearl 65
0Mカラム(φ26X400mm)に通塔し、0.5M
塩化ナトリウムで溶出したオリゴ糖をSephadex
G−10カラム(φ16X1000mm)でゲルろ過
し、精製ガラクト硫酸オリゴ糖を0.1g得た。
【0037】得られた精製ガラクト硫酸オリゴ糖はTS
KGEL−Amide80カラムを用い、アセトニトリ
ル70:水30を溶離液として分析したところ、保持時
間23.33分にほぼ単一ピークとして得られた(図7
参照)。この精製オリゴ糖を先の構造解析に供した結
果、本発明のガラクト硫酸オリゴ糖は2糖から構成さ
れ、構成単糖はガラクトースおよびその誘導体であり、
非還元末端側の6位の炭素に硫酸基がエステル結合した
6−硫酸エステルガラクトピラノシル基がα1,3グリ
コシド結合により、還元末端を有するガラクトピラノー
ス基と結合した酸性オリゴ糖で、分子量は421である
ことが判明した。
【0038】実施例2 実施例1の粗製ガラクト硫酸オリゴ糖を投与したことに
よる血清中の各種コレステロール水準の改善効果につい
て調べた。4週令の1CR系雄性マウスを使用し、高脂
肪飼料投与のみの対照群(個体数=9)と高脂肪飼料に
5%になるようにガラクト硫酸オリゴ糖を加えた試験群
(個体数=9)に分け、7日間飼育後、絶食させてから
採血し、血清コレステロールを酵素法により測定した。
その結果を表3に示す。
【0039】
【表3】
【0040】表3に示すように、本発明の粗製ガラクト
硫酸オリゴ糖を投与した場合は、総コレステロール(T
C),高比重リポタンパクコレステロール(HDL−
C),低比重リポタンパクコレステロール(LDL−
C),動脈硬化指数(A1)はいずれも対照群に対して
低下しており、血清コレステロール低下作用が見いださ
れた。なお、動脈硬化指数は(TC−HDL)/HDL
で求めることができ、値が低いほど動脈硬化症に対する
リスクが少ないとされている。
【0041】実施例3 実施例1の粗製ガラクト硫酸オリゴ糖20gに抹茶25
g,乳糖30gを混合し、さらにエチルアルコールを加
えて、造粒,乾燥して抹茶顆粒を得た。この抹茶顆粒1
5gを湯100mlに溶かして血清コレステロール低下
作用を有する抹茶飲料を得た。
【0042】この抹茶飲料をやや高コレステロール気味
の45〜66才の成人7人に一日5回,投与前と21日
間飲用してもらったのち採血し、酵素法で各種のコレス
テロール値を測定した。なお、被検者に対して食事制限
は行わず、抗コレステロール剤等の投薬のみ制限した。
結果を表4に示す。
【0043】
【表4】
【0044】表4に示すように、飲用後の測定値は、総
コレステロール(TC),高比重リポタンパクコレステ
ロール(HDL−C),低比重リポタンパクコレステロ
ール(LDL−C),動脈硬化指数(A1)はいずれも
対照群(投与前)に対して低下しており、とくに血清総
コレステロールの9.3%の減少は薬物投与に匹敵する
もので、強い血清コレステロール低下作用が見いだされ
た。また、この飲料は抹茶の風味が豊かで美味であっ
た。
【0045】実施例4 実施例1の粗製ガラクト硫酸オリゴ糖40gに乳糖40
g,クエン酸0.1g,アコルビン酸0.3g,色
素,香料を適量加えてよく混合し、3gずつタブレット
状に打錠して健康食品を製造した。実施例3と同様の方
法で、10錠/日・人の量で食してもらい血清コレステ
ロール値を測定した。その結果、実施例3と同様に総コ
レステロール(TC),高比重リポタンパクコレステロ
ール(HDL−C),低比重リポタンパクコレステロー
ル(LDL−C),動脈硬化指数(A1)はいずれも対
照群に対して低下し、血清総コレステロールは5.1%
の減少を見た。なお、この健康食品はレモン風味がさわ
やかで美味であった。
【0046】
【発明の効果】本発明のガラクト硫酸オリゴ糖は血清コ
レステロール低下作用があり、血清コレステロール低下
剤として効果がある。また、これを食品添加剤として用
いれば、種々の食品に血清コレステロール低下効果を付
与することができ、作用が顕著であるので、従来の薬物
投与に匹敵する効果が期待できる。
【0047】本発明のガラクト硫酸オリゴ糖の原料は従
来から食用としてきたあまのり属海藻であるので、副作
用に対する懸念が少ない利点があり、血清コレステロー
ル低下を有する食品添加物として使用する食品を長期に
わたって無理なく摂取でき、循環器疾患の予防等に極め
て有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】肉汁液体倍地に培養して得た菌株S−22の顕
微鏡写真を示す図で、(A)は培養24時間後、(B)
は培養48時間後に撮影したものである。
【図2】(A)は本発明のガラクト硫酸オリゴ糖の加水
分解物のクロマトグラムを示す図、(B)は標準品とし
て用いた6−硫酸エステルガラクトースナトリウム塩と
D−ガラクトースの混合物のクロマトグラムを示す図。
【図3】本発明のガラクト硫酸オリゴ糖の赤外吸収スペ
クトル(FT−1R)を示す図。
【図4】本発明のガラクト硫酸オリゴ糖の質量分析スペ
クトル(S1MS−MS)を示す図。
【図5】(A)および(B)はいずれも本発明のガラク
ト硫酸オリゴ糖の構造式を示す図。
【図6】HPA75カラム(300L(φ600X10
60mm))によるガラクト硫酸オリゴ糖の分画パター
ンを結果を示す図。
【図7】本発明の実施例で得られた精製ガラクト硫酸オ
リゴ糖の分析測定値を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // A23L 2/52 A23L 2/00 F (C12P 19/12 C12R 1:06) (72)発明者 野村 和代 愛知県安城市昭和町19番10号 新日本化 学工業株式会社内 (72)発明者 森屋 和仁 北海道北見市北上101番地1号 北海道 糖業株式会社 技術研究室内 (72)発明者 野田 宏行 三重県津市川添町6番17号 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07H 1/00 - 23/00 C12P 19/00 - 19/64 A23F 3/00 - 5/50 A23L 1/00 - 1/48 A61P 1/00 - 43/00 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) REGISTRY(STN) WPI(DIALOG)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記構造式 【化1】 を有することを特徴とするガラクト硫酸オリゴ糖。
  2. 【請求項2】 あまのり属海藻類またはあまのり属海藻
    類の熱水抽出物を含有する培地に、アーロバクター
    (Arthrobacter)属に属するポルフィラン
    分解能を有する微生物を植菌し、pH4〜8、好気条件
    下で培養することを特徴とする請求項1記載のガラクト
    硫酸オリゴ糖の製造方法。
  3. 【請求項3】 アーロバクター(Arthrobac
    ter)属に属するポルフィラン分解能を有する微生物
    がアーロバクター(Arthrobacter)S−
    22(生技研寄託P−15496号)およびその変異株
    である請求項2記載のガラクト硫酸オリゴ糖の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のガラクト硫酸オリゴ糖を
    含有することを特徴とする血清コレステロール低下剤。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のガラクト硫酸オリゴ糖を
    含有することを特徴とする食品添加物。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の食品添加物を添加した食
    品。
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