JP3054294B2 - 耐候性に優れた塗料用重合体及びグラフトポリマの製造方法 - Google Patents
耐候性に優れた塗料用重合体及びグラフトポリマの製造方法Info
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- JP3054294B2 JP3054294B2 JP5179028A JP17902893A JP3054294B2 JP 3054294 B2 JP3054294 B2 JP 3054294B2 JP 5179028 A JP5179028 A JP 5179028A JP 17902893 A JP17902893 A JP 17902893A JP 3054294 B2 JP3054294 B2 JP 3054294B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば自動車および家
電製品用の塗料として有用な、耐候性に優れた塗料用重
合体及びグラフトポリマの製造方法に関する。
電製品用の塗料として有用な、耐候性に優れた塗料用重
合体及びグラフトポリマの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】固形分濃度が高く低粘度なハイソリッド
型塗料用重合体としては、数平均分子量が500 〜20,000
の重合体が望ましい。そして、このような比較的低分子
量のラジカル重合体を得る方法としては、重合開始剤を
著しく多量に使用してモノマを重合させる方法もある
が、実用的でないため一般的には連鎖移動剤を使用する
重合方法が採用されている。そして、特に塗料用に好適
なアクリル系重合体およびスチレン系重合体の合成にお
いては、連鎖移動定数の点でメルカプタン系連鎖移動剤
が好ましく使用されている。
型塗料用重合体としては、数平均分子量が500 〜20,000
の重合体が望ましい。そして、このような比較的低分子
量のラジカル重合体を得る方法としては、重合開始剤を
著しく多量に使用してモノマを重合させる方法もある
が、実用的でないため一般的には連鎖移動剤を使用する
重合方法が採用されている。そして、特に塗料用に好適
なアクリル系重合体およびスチレン系重合体の合成にお
いては、連鎖移動定数の点でメルカプタン系連鎖移動剤
が好ましく使用されている。
【0003】例えば、Journal of Coating Technology
Vol.59,No749, June 1987 には、3−メルカプトプロピ
オン酸存在下にスチレン、アクリル酸などを共重合し、
数平均分子量が650 〜3100のチオエーテル結合を有する
重合体を塗料用に用いることが提案されている。しかし
ながら、メルカプタン系連鎖移動剤を用いて得られた塗
料用重合体は、塗膜とした場合に耐候性に劣るという問
題があった。このため実用性を重視する産業界では、メ
ルカプタン系連鎖移動剤を用いることを断念し、やむな
くポリマーの分子量を低下させる別の方法、たとえば、
重合開始剤を多くしたり、溶媒の沸点温度で重合するな
どの方法がとられてきた。しかし、これらの方法では低
分子量のポリマーを安定して得ることが難しく、必然的
に性能および用途が限られていた。
Vol.59,No749, June 1987 には、3−メルカプトプロピ
オン酸存在下にスチレン、アクリル酸などを共重合し、
数平均分子量が650 〜3100のチオエーテル結合を有する
重合体を塗料用に用いることが提案されている。しかし
ながら、メルカプタン系連鎖移動剤を用いて得られた塗
料用重合体は、塗膜とした場合に耐候性に劣るという問
題があった。このため実用性を重視する産業界では、メ
ルカプタン系連鎖移動剤を用いることを断念し、やむな
くポリマーの分子量を低下させる別の方法、たとえば、
重合開始剤を多くしたり、溶媒の沸点温度で重合するな
どの方法がとられてきた。しかし、これらの方法では低
分子量のポリマーを安定して得ることが難しく、必然的
に性能および用途が限られていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは鋭意研究
の結果、メルカプタン系連鎖移動剤を用いて得られた塗
料用重合体の耐候性が悪い理由は、チオエーテル結合に
あることを見出した。そして重合体の特性を変化させる
ことなくチオエーテル結合を別の結合に変化させる方法
について検討した結果、チオエーテル結合を有する重合
体を過酸化物で処理することにより、チオエーテル結合
が完全に酸化されてスルホン結合に変換されることを発
見した(特願平4−303825号)。
の結果、メルカプタン系連鎖移動剤を用いて得られた塗
料用重合体の耐候性が悪い理由は、チオエーテル結合に
あることを見出した。そして重合体の特性を変化させる
ことなくチオエーテル結合を別の結合に変化させる方法
について検討した結果、チオエーテル結合を有する重合
体を過酸化物で処理することにより、チオエーテル結合
が完全に酸化されてスルホン結合に変換されることを発
見した(特願平4−303825号)。
【0005】ところが実用化に向けてさらなる研究を重
ねるうちに、過酸化物の種類によって種々の利点や欠点
があることが明らかとなった。例えば上記先願の実施例
で用いたm−クロロ過安息香酸は、酸化活性が強いため
反応時間が短くその意味からは好ましい酸化剤である
が、残存するm−クロロ過安息香酸や反応生成物である
m−クロロ安息香酸を得られた重合体から除去すること
が困難であった。そのためこれらの残留不純物に起因す
る黄変が生じるという問題があることが明らかとなっ
た。
ねるうちに、過酸化物の種類によって種々の利点や欠点
があることが明らかとなった。例えば上記先願の実施例
で用いたm−クロロ過安息香酸は、酸化活性が強いため
反応時間が短くその意味からは好ましい酸化剤である
が、残存するm−クロロ過安息香酸や反応生成物である
m−クロロ安息香酸を得られた重合体から除去すること
が困難であった。そのためこれらの残留不純物に起因す
る黄変が生じるという問題があることが明らかとなっ
た。
【0006】また、過酸化水素は比較的除去が容易な酸
化剤であるが、反応性が低く酸化反応に長時間要すると
いう不具合がある。本発明はこのような事情に鑑みてな
されたものであり、過酸化水素を用いることを可能とし
て黄変を防止するとともに、酸化反応に要する時間を短
く維持することを目的とする。
化剤であるが、反応性が低く酸化反応に長時間要すると
いう不具合がある。本発明はこのような事情に鑑みてな
されたものであり、過酸化水素を用いることを可能とし
て黄変を防止するとともに、酸化反応に要する時間を短
く維持することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の耐候性に優れた
塗料用重合体の製造方法は、メルカプタン化合物の存在
下に少なくとも一種のエチレン性不飽和モノマを重合さ
せ、チオエーテル結合を有する数平均分子量が500 〜2
0,000の重合体を得る重合工程と、前記重合体中に存在
するチオエーテル結合に対して少なくとも2倍当量の過
酸化水素と、酸化触媒としてのヘテロポリ酸とを用いて
前記重合体を酸化する酸化工程と、を行うことを特徴と
する。
塗料用重合体の製造方法は、メルカプタン化合物の存在
下に少なくとも一種のエチレン性不飽和モノマを重合さ
せ、チオエーテル結合を有する数平均分子量が500 〜2
0,000の重合体を得る重合工程と、前記重合体中に存在
するチオエーテル結合に対して少なくとも2倍当量の過
酸化水素と、酸化触媒としてのヘテロポリ酸とを用いて
前記重合体を酸化する酸化工程と、を行うことを特徴と
する。
【0008】また第二発明の耐候性に優れたグラフトポ
リマの製造方法は、分子内にチオール基と反応性基を有
するメルカプタン化合物の存在下に少なくとも一種のエ
チレン性不飽和モノマを重合させて重合体とする重合工
程と、前記重合体の片末端に結合した前記反応性基を、
これと反応し得る結合性の基とエチレン性不飽和結合を
もつモノマと反応させてマクロモノマとする反応工程
と、前記マクロモノマと共重合可能な少なくとも一種の
モノマを前記マクロモノマとグラフト共重合させてグラ
フトポリマとするグラフト工程と、前記グラフトポリマ
中に存在するチオエーテル結合に対して少なくとも2倍
当量の過酸化水素と、酸化触媒としてのヘテロポリ酸と
を用いて該グラフトポリマを酸化する酸化工程と、を行
うことを特徴とする。
リマの製造方法は、分子内にチオール基と反応性基を有
するメルカプタン化合物の存在下に少なくとも一種のエ
チレン性不飽和モノマを重合させて重合体とする重合工
程と、前記重合体の片末端に結合した前記反応性基を、
これと反応し得る結合性の基とエチレン性不飽和結合を
もつモノマと反応させてマクロモノマとする反応工程
と、前記マクロモノマと共重合可能な少なくとも一種の
モノマを前記マクロモノマとグラフト共重合させてグラ
フトポリマとするグラフト工程と、前記グラフトポリマ
中に存在するチオエーテル結合に対して少なくとも2倍
当量の過酸化水素と、酸化触媒としてのヘテロポリ酸と
を用いて該グラフトポリマを酸化する酸化工程と、を行
うことを特徴とする。
【0009】以下、本発明について更に詳しく説明す
る。本発明で使用されるメルカプタン化合物としては、
ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、オクチル
メルカプタンおよびラウリルメルカプタンなどのメルカ
プタン類、ならびにメルカプト酢酸、β−メルカプトプ
ロピオン酸、β−メルカプトエタノール、チオグリセロ
ールおよびチオリンゴ酸等の、分子内に反応性基を有す
るメルカプタン化合物が挙げられる。
る。本発明で使用されるメルカプタン化合物としては、
ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、オクチル
メルカプタンおよびラウリルメルカプタンなどのメルカ
プタン類、ならびにメルカプト酢酸、β−メルカプトプ
ロピオン酸、β−メルカプトエタノール、チオグリセロ
ールおよびチオリンゴ酸等の、分子内に反応性基を有す
るメルカプタン化合物が挙げられる。
【0010】重合工程で合成される重合体の分子量は、
前記のとおり数平均分子量で500 〜20,000であり、上記
メルカプタン化合物の使用量は、重合体の分子量によっ
て決定される。すなわち、数平均分子量500 の重合体を
得るには、メルカプタン化合物は全モノマ100モルに
対して50モル用いられる。また数平均分子量20,000の
重合体を得るには、メルカプタン化合物は全モノマ10
0モルに対して0.3モル用いられる。メルカプタン化
合物の好ましい使用量は、全モノマ100モルに対して
0.5〜20モルである。
前記のとおり数平均分子量で500 〜20,000であり、上記
メルカプタン化合物の使用量は、重合体の分子量によっ
て決定される。すなわち、数平均分子量500 の重合体を
得るには、メルカプタン化合物は全モノマ100モルに
対して50モル用いられる。また数平均分子量20,000の
重合体を得るには、メルカプタン化合物は全モノマ10
0モルに対して0.3モル用いられる。メルカプタン化
合物の好ましい使用量は、全モノマ100モルに対して
0.5〜20モルである。
【0011】本発明において使用されるエチレン性不飽
和モノマとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチ
ル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレー
ト、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキ
シル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリ
レート、ベヘニル(メタ)アクリレート、イソボロニル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレート、ヒドロキシプロビル(メタ)アクリレー
トなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマの他、
(メタ)アクリル酸、無水マリン酸、イタコン酸等の不
飽和カルボン酸、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸
ビニル、アクリロニトリルなどが挙げられるが、耐候性
の点からメタクリル酸エステル系モノマを主成分とする
ものが好ましい。
和モノマとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチ
ル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレー
ト、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキ
シル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリ
レート、ベヘニル(メタ)アクリレート、イソボロニル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレート、ヒドロキシプロビル(メタ)アクリレー
トなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマの他、
(メタ)アクリル酸、無水マリン酸、イタコン酸等の不
飽和カルボン酸、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸
ビニル、アクリロニトリルなどが挙げられるが、耐候性
の点からメタクリル酸エステル系モノマを主成分とする
ものが好ましい。
【0012】また第二発明において用いられるメルカプ
タン化合物の反応性基としては、カルボキシル基や水酸
基があり、反応工程における結合性基含有モノマとして
はメタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、メ
タクリル酸クロリド、p−ビニルベンジルクロリドおよ
びp−ビニルアニリンなどを用いることができる。中で
もメタクリル酸グリシジル及びアクリル酸グリシジルが
好ましい。これらのモノマと重合体が反応することによ
り、末端にアクリロイル基、メタクリロイル基又はビニ
ルベンジル基などのエチレン性不飽和結合を有するマク
ロモノマが形成される。
タン化合物の反応性基としては、カルボキシル基や水酸
基があり、反応工程における結合性基含有モノマとして
はメタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、メ
タクリル酸クロリド、p−ビニルベンジルクロリドおよ
びp−ビニルアニリンなどを用いることができる。中で
もメタクリル酸グリシジル及びアクリル酸グリシジルが
好ましい。これらのモノマと重合体が反応することによ
り、末端にアクリロイル基、メタクリロイル基又はビニ
ルベンジル基などのエチレン性不飽和結合を有するマク
ロモノマが形成される。
【0013】酸化工程では、重合体又はグラフトポリマ
中に含まれるチオエーテル結合が過酸化水素とヘテロポ
リ酸によって酸化される。この酸化反応によりチオエー
テル結合はスルホン結合に転換され、得られる塗膜の耐
候性が向上する。この過酸化水素の使用量は、用いる重
合体又はグラフトポリマに含まれるチオエーテル結合に
対して少なくとも2倍当量である。過酸化水素の量が2
倍当量未満では、チオエーテル結合の十分な酸化処理を
行なうことができず一部がスルホキシド構造となるた
め、耐候性が低下するので好ましくない。過酸化水素の
使用量が多い程反応時間を短縮することができるが、使
用量が多すぎると残留した過酸化水素を除去する工程が
必要となる。反応時間内に用いた過酸化水素が全量反応
する程度の量とするのが望ましい。
中に含まれるチオエーテル結合が過酸化水素とヘテロポ
リ酸によって酸化される。この酸化反応によりチオエー
テル結合はスルホン結合に転換され、得られる塗膜の耐
候性が向上する。この過酸化水素の使用量は、用いる重
合体又はグラフトポリマに含まれるチオエーテル結合に
対して少なくとも2倍当量である。過酸化水素の量が2
倍当量未満では、チオエーテル結合の十分な酸化処理を
行なうことができず一部がスルホキシド構造となるた
め、耐候性が低下するので好ましくない。過酸化水素の
使用量が多い程反応時間を短縮することができるが、使
用量が多すぎると残留した過酸化水素を除去する工程が
必要となる。反応時間内に用いた過酸化水素が全量反応
する程度の量とするのが望ましい。
【0014】ヘテロポリ酸は過酸化水素によるチオエー
テル結合の酸化反応の触媒として作用し、その添加量は
反応溶液における触媒濃度が0.1〜5重量%となる量
が好ましい。触媒量が0.1重量%未満であると触媒効
果が得られず酸化反応時間に長時間要し、5重量%を越
えて用いても触媒効果が飽和するとともに残留するヘテ
ロポリ酸による悪影響が顕著になる。
テル結合の酸化反応の触媒として作用し、その添加量は
反応溶液における触媒濃度が0.1〜5重量%となる量
が好ましい。触媒量が0.1重量%未満であると触媒効
果が得られず酸化反応時間に長時間要し、5重量%を越
えて用いても触媒効果が飽和するとともに残留するヘテ
ロポリ酸による悪影響が顕著になる。
【0015】このヘテロポリ酸としては、リンタングス
テン酸、リンモリブデン酸、ケイタングステン酸、ケイ
モリブデン酸及びそれらの塩などが例示される。酸化処
理条件は、反応温度が0〜150℃、好ましくは0℃〜
溶媒の沸点であり、反応時間は数分〜10時間、好まし
くは数分〜5時間であるが、いずれも過酸化水素量、溶
媒種類、メルカプタン量、原材料濃度などにより最適条
件が決定される。
テン酸、リンモリブデン酸、ケイタングステン酸、ケイ
モリブデン酸及びそれらの塩などが例示される。酸化処
理条件は、反応温度が0〜150℃、好ましくは0℃〜
溶媒の沸点であり、反応時間は数分〜10時間、好まし
くは数分〜5時間であるが、いずれも過酸化水素量、溶
媒種類、メルカプタン量、原材料濃度などにより最適条
件が決定される。
【0016】酸化工程で使用される溶媒としては、生成
する重合体又はグラフトポリマを溶解するものが用いら
れる。たとえば、トルエン、キシレン、酢酸ブチル、酢
酸エチル、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソ
ブチルケトン(MIBK)、塩化メチレン、イソプロパ
ノール(IPA)などが用いられる。ポリマーの組成に
より水、メタノールなどの混合溶媒を用いることもでき
る。
する重合体又はグラフトポリマを溶解するものが用いら
れる。たとえば、トルエン、キシレン、酢酸ブチル、酢
酸エチル、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソ
ブチルケトン(MIBK)、塩化メチレン、イソプロパ
ノール(IPA)などが用いられる。ポリマーの組成に
より水、メタノールなどの混合溶媒を用いることもでき
る。
【0017】もし酸化工程後に過酸化水素が残留してい
る場合には、過酸化水素の除去工程を行う。これは例え
ばメタノール水溶液中に投入して重合体を再沈精製する
か又は水洗によって容易に行うことができる。上記方法
によって得られる塗料用重合体又はグラフトポリマは、
一液常温乾燥塗料および硬化剤を併用する硬化型塗料の
いずれにも用いられる。常温乾燥型塗料用には数平均分
子量が5,000 〜20,000の重合体が好ましく、硬化型塗料
用には数平均分子量が500 〜15,000であって、分子中に
水酸基、カルボキシル基またはアミノ基等の官能基を有
する重合体又はグラフトポリマが好ましい。併用する硬
化剤として、多価イソシアネート化合物およびアミノ樹
脂等が挙げられる。
る場合には、過酸化水素の除去工程を行う。これは例え
ばメタノール水溶液中に投入して重合体を再沈精製する
か又は水洗によって容易に行うことができる。上記方法
によって得られる塗料用重合体又はグラフトポリマは、
一液常温乾燥塗料および硬化剤を併用する硬化型塗料の
いずれにも用いられる。常温乾燥型塗料用には数平均分
子量が5,000 〜20,000の重合体が好ましく、硬化型塗料
用には数平均分子量が500 〜15,000であって、分子中に
水酸基、カルボキシル基またはアミノ基等の官能基を有
する重合体又はグラフトポリマが好ましい。併用する硬
化剤として、多価イソシアネート化合物およびアミノ樹
脂等が挙げられる。
【0018】
【作用】本発明の製造方法では、酸化工程で重合体又は
グラフトポリマ中に含まれるチオエーテル結合が、ヘテ
ロポリ酸による触媒作用を受けた過酸化水素で酸化処理
されスルホン結合に転換されている。すなわち、ヘテロ
ポリ酸の触媒作用により、チオエーテル結合中のSと過
酸化水素中のOとの反応が促進され、スルホン結合に転
換される。
グラフトポリマ中に含まれるチオエーテル結合が、ヘテ
ロポリ酸による触媒作用を受けた過酸化水素で酸化処理
されスルホン結合に転換されている。すなわち、ヘテロ
ポリ酸の触媒作用により、チオエーテル結合中のSと過
酸化水素中のOとの反応が促進され、スルホン結合に転
換される。
【0019】形成されたスルホン結合は、チオエーテル
結合に比べて太陽光中の紫外線安定性に著しく優れるも
のと推定され、その結果、本発明による塗料用重合体又
はグラフトポリマから形成された塗膜は優れた耐候性を
有する。また酸化工程では、過酸化水素とヘテロポリ酸
を併用することで、過酸化水素単独の場合に比べて格段
に大きな反応速度となり、反応を短時間で終えることが
できる。また過酸化水素は反応しても有害な反応生成物
が生じず、残留しても容易に除去できるため、塗膜の黄
変も防止される。
結合に比べて太陽光中の紫外線安定性に著しく優れるも
のと推定され、その結果、本発明による塗料用重合体又
はグラフトポリマから形成された塗膜は優れた耐候性を
有する。また酸化工程では、過酸化水素とヘテロポリ酸
を併用することで、過酸化水素単独の場合に比べて格段
に大きな反応速度となり、反応を短時間で終えることが
できる。また過酸化水素は反応しても有害な反応生成物
が生じず、残留しても容易に除去できるため、塗膜の黄
変も防止される。
【0020】
【実施例】以下、実施例により具体的に説明する。 (実施例1) 〔重合工程〕攪拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計
および窒素ガス導入管を備えたフラスコにトルエン15
6重量部とメチルエチルケトン39重量部を仕込み、窒
素ガスを導入しながら攪拌して系内を窒素ガスで置換す
るとともに、液温を90℃に保った。
および窒素ガス導入管を備えたフラスコにトルエン15
6重量部とメチルエチルケトン39重量部を仕込み、窒
素ガスを導入しながら攪拌して系内を窒素ガスで置換す
るとともに、液温を90℃に保った。
【0021】次にスチレン100重量部、メタクリル酸
ブチル80重量部、アクリル酸エチル80重量部、アク
リル酸ブチル40重量部、2−ヒドロキシエチルメタク
リレート40重量部、アクリル酸20重量部、アゾビス
イソブチロニトリル5重量部及びラウリルメルカプタン
50重量部の混合液を滴下ロートから3時間かけて連続
的に滴下した。滴下終了後さらに2時間この温度を保持
して攪拌を続けて重合反応を完結させた。メルカプタン
の使用量は、全モノマ100モルに対して7.7モルで
あった。
ブチル80重量部、アクリル酸エチル80重量部、アク
リル酸ブチル40重量部、2−ヒドロキシエチルメタク
リレート40重量部、アクリル酸20重量部、アゾビス
イソブチロニトリル5重量部及びラウリルメルカプタン
50重量部の混合液を滴下ロートから3時間かけて連続
的に滴下した。滴下終了後さらに2時間この温度を保持
して攪拌を続けて重合反応を完結させた。メルカプタン
の使用量は、全モノマ100モルに対して7.7モルで
あった。
【0022】重合後、ゲルパーミュエーションクロマト
グラフィー(GPC)で測定した重合体の数平均分子量
は2,800 、重量平均分子量は5,200 であった。その後、
重合体溶液をメタノール水溶液に添加して重合体を沈澱
させ、分離後40℃で真空乾燥して、ややべとつく重合
体を得た。 〔酸化工程〕上記の重合体100重量部を、トルエン6
0重量部とイソブチルアルコール5重量部の混合溶剤に
溶解し、この溶液を55℃に保持しながら、その中に3
5%過酸化水素水12重量部とリンタングステン酸0.
5重量部を加え、16時間攪拌して酸化反応を進行させ
た。
グラフィー(GPC)で測定した重合体の数平均分子量
は2,800 、重量平均分子量は5,200 であった。その後、
重合体溶液をメタノール水溶液に添加して重合体を沈澱
させ、分離後40℃で真空乾燥して、ややべとつく重合
体を得た。 〔酸化工程〕上記の重合体100重量部を、トルエン6
0重量部とイソブチルアルコール5重量部の混合溶剤に
溶解し、この溶液を55℃に保持しながら、その中に3
5%過酸化水素水12重量部とリンタングステン酸0.
5重量部を加え、16時間攪拌して酸化反応を進行させ
た。
【0023】ちなみに重合体中のチオエーテル結合量は
0.059モル(計算値)であり、使用した過酸化水素
量は0.124モル(仕込み量)であって、チオエーテ
ル結合に対する過酸化水素当量比は2.1である。 〔試験〕上記酸化反応中に、4時間毎に重合体溶液をサ
ンプリングし、メタノール水溶液にて沈澱させた後真空
乾燥し、シンナーに溶解して50重量%溶液とした。そ
れぞれの溶液をガラス板上に200μmのドクターブレ
ードを用いて塗布し、150℃で1時間乾燥して塗膜を
形成した。そしてQUV装置にて200時間促進耐候性
試験を行い、促進耐候性試験前の塗膜と測色比較してY
I(黄色度)値を算出した結果を表1に示す。
0.059モル(計算値)であり、使用した過酸化水素
量は0.124モル(仕込み量)であって、チオエーテ
ル結合に対する過酸化水素当量比は2.1である。 〔試験〕上記酸化反応中に、4時間毎に重合体溶液をサ
ンプリングし、メタノール水溶液にて沈澱させた後真空
乾燥し、シンナーに溶解して50重量%溶液とした。そ
れぞれの溶液をガラス板上に200μmのドクターブレ
ードを用いて塗布し、150℃で1時間乾燥して塗膜を
形成した。そしてQUV装置にて200時間促進耐候性
試験を行い、促進耐候性試験前の塗膜と測色比較してY
I(黄色度)値を算出した結果を表1に示す。
【0024】また各サンプルにおける過酸化水素の消費
率(酸化すべきチオエーテル結合の2倍モルの過酸化水
素量に対する、酸化によって消費された過酸化水素量の
百分率で示した)を測定し、結果を併せて表1に示す。 (実施例2)実施例1で製造された重合体を用い、リン
タングステン酸の代わりにリンモリブデン酸0.7重量
部を用いたこと以外は、実施例1と同様に酸化工程を行
い、同様にサンプリングしてYI値と過酸化水素の消費
率を求めた。結果を表1に示す。 (比較例1)実施例1で製造された重合体100重量部
を、トルエン50重量部とイソブチルアルコール15重
量部の混合溶剤に溶解し、この溶液を55℃に保持しな
がら、その中に35%過酸化水素水12重量部と酢酸8
重量部を加えたこと以外は1と同様に酸化工程を行い、
同様にサンプリングしてYI値と過酸化水素の消費率
(ΔH2O2)を求めた。結果を表1に示す。
率(酸化すべきチオエーテル結合の2倍モルの過酸化水
素量に対する、酸化によって消費された過酸化水素量の
百分率で示した)を測定し、結果を併せて表1に示す。 (実施例2)実施例1で製造された重合体を用い、リン
タングステン酸の代わりにリンモリブデン酸0.7重量
部を用いたこと以外は、実施例1と同様に酸化工程を行
い、同様にサンプリングしてYI値と過酸化水素の消費
率を求めた。結果を表1に示す。 (比較例1)実施例1で製造された重合体100重量部
を、トルエン50重量部とイソブチルアルコール15重
量部の混合溶剤に溶解し、この溶液を55℃に保持しな
がら、その中に35%過酸化水素水12重量部と酢酸8
重量部を加えたこと以外は1と同様に酸化工程を行い、
同様にサンプリングしてYI値と過酸化水素の消費率
(ΔH2O2)を求めた。結果を表1に示す。
【0025】
【表1】 (実施例3) 〔重合工程〕攪拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計
および窒素ガス導入管を備えたフラスコにトルエン10
0重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら攪拌して系
内を窒素ガスで置換するとともに、液温を85℃に保っ
た。
および窒素ガス導入管を備えたフラスコにトルエン10
0重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら攪拌して系
内を窒素ガスで置換するとともに、液温を85℃に保っ
た。
【0026】次にスチレン30重量部、メタクリル酸メ
チル50重量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル4
0重量部、アクリル酸20重量部、アゾビスイソブチロ
ニトリル2重量部及びメルカプト酢酸10重量部の混合
液を滴下ロートから3時間かけて連続的に滴下した。滴
下終了後さらに2時間この温度を保持して攪拌を続け、
重合反応を完結させた。メルカプタンの使用量は、全モ
ノマ100モルに対して7.9モルであった。
チル50重量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル4
0重量部、アクリル酸20重量部、アゾビスイソブチロ
ニトリル2重量部及びメルカプト酢酸10重量部の混合
液を滴下ロートから3時間かけて連続的に滴下した。滴
下終了後さらに2時間この温度を保持して攪拌を続け、
重合反応を完結させた。メルカプタンの使用量は、全モ
ノマ100モルに対して7.9モルであった。
【0027】次にこの重合体のトルエン溶液に、重合防
止剤のハイドロキノンモノメチルエーテルを200pp
m添加し、4級アンモニウム塩を触媒として重合体の酸
価の測定値の1.1倍当量のメタクリル酸グリシジルを
加えて90℃で6時間反応させた。反応後に酸価を測定
し、酸価の減少度合いからカルボキシル基とエポキシ基
との反応率を求めた。その結果反応率は98%であっ
た。これによりメタクリル酸グリシジルのエポキシ基と
重合体のカルボキシル基が結合反応して、末端にメタク
リロイル基を有するマクロモノマが得られた。
止剤のハイドロキノンモノメチルエーテルを200pp
m添加し、4級アンモニウム塩を触媒として重合体の酸
価の測定値の1.1倍当量のメタクリル酸グリシジルを
加えて90℃で6時間反応させた。反応後に酸価を測定
し、酸価の減少度合いからカルボキシル基とエポキシ基
との反応率を求めた。その結果反応率は98%であっ
た。これによりメタクリル酸グリシジルのエポキシ基と
重合体のカルボキシル基が結合反応して、末端にメタク
リロイル基を有するマクロモノマが得られた。
【0028】得られたマクロモノマのGPCによるポリ
スチレン換算の数平均分子量は1,500 で、重量平均分子
量が3,000 であった。このマクロモノマとスチレンとメ
タクリル酸メチルを重量比で45:25:30の割合で
用い、それらの重合性成分の総モル数を基準にしてアゾ
ビスイソブチロニトリルを8.4モル%添加し、前記重
合成分を20重量%のトルエン溶液中にて60℃で8時
間重合させた。得られた重合体は、GPCによるポリス
チレン換算の数平均分子量は7,000 、重量平均分子量は
14,000の高分子量のグラフトポリマであった。
スチレン換算の数平均分子量は1,500 で、重量平均分子
量が3,000 であった。このマクロモノマとスチレンとメ
タクリル酸メチルを重量比で45:25:30の割合で
用い、それらの重合性成分の総モル数を基準にしてアゾ
ビスイソブチロニトリルを8.4モル%添加し、前記重
合成分を20重量%のトルエン溶液中にて60℃で8時
間重合させた。得られた重合体は、GPCによるポリス
チレン換算の数平均分子量は7,000 、重量平均分子量は
14,000の高分子量のグラフトポリマであった。
【0029】この重合体溶液をメタノール水溶液中に投
入して重合体を沈澱させ、分離後真空乾燥してグラフト
ポリマを得た。 〔酸化工程〕このグラフトポリマ100重量部を、トル
エン65重量部とイソブチルアルコール2重量部の混合
溶剤に溶解し、この溶液を55℃に保持しながら、その
中に35%過酸化水素水17重量部とリンタングステン
酸0.6重量部を加え、16時間攪拌して酸化反応を進
行させた。
入して重合体を沈澱させ、分離後真空乾燥してグラフト
ポリマを得た。 〔酸化工程〕このグラフトポリマ100重量部を、トル
エン65重量部とイソブチルアルコール2重量部の混合
溶剤に溶解し、この溶液を55℃に保持しながら、その
中に35%過酸化水素水17重量部とリンタングステン
酸0.6重量部を加え、16時間攪拌して酸化反応を進
行させた。
【0030】ちなみにグラフトポリマ中のチオエーテル
結合量は0.032モル(計算値)であり、使用した過
酸化水素量は0.175モル(仕込み量)であって、チ
オエーテル結合に対する過酸化水素当量比は5.5であ
る。 〔試験〕上記酸化反応中に、4時間毎に重合体をサンプ
リングし、メタノール水溶液にて沈澱させた後真空乾燥
し、シンナーに溶解して50重量%溶液とした。それぞ
れの溶液をガラス板上に200μmのドクターブレード
を用いて塗布し、150℃で1時間乾燥して塗膜を形成
した。そしてQUV装置にて200時間促進耐候性試験
を行い、促進耐候性試験前の塗膜と測色してYI(黄色
度)値を算出して結果を表2に示す。
結合量は0.032モル(計算値)であり、使用した過
酸化水素量は0.175モル(仕込み量)であって、チ
オエーテル結合に対する過酸化水素当量比は5.5であ
る。 〔試験〕上記酸化反応中に、4時間毎に重合体をサンプ
リングし、メタノール水溶液にて沈澱させた後真空乾燥
し、シンナーに溶解して50重量%溶液とした。それぞ
れの溶液をガラス板上に200μmのドクターブレード
を用いて塗布し、150℃で1時間乾燥して塗膜を形成
した。そしてQUV装置にて200時間促進耐候性試験
を行い、促進耐候性試験前の塗膜と測色してYI(黄色
度)値を算出して結果を表2に示す。
【0031】また各サンプルにおける過酸化水素の消費
率を測定し、結果を併せて表2に示す。 (実施例4)リンタングステン酸の代わりにリンモリブ
デン酸0.84重量部を用いたこと以外は、実施例3と
同様に酸化工程を行い、同様にサンプリングしてYI値
と過酸化水素の消費率を求めた。結果を表2に示す。 (比較例2)上記グラフトポリマ100重量部を、トル
エン54重量部とイソブチルアルコール13重量部の混
合溶剤に溶解し、この溶液を55℃に保持しながら、そ
の中に35%過酸化水素水12重量部と酢酸10.8重
量部を加えたこと以外は実施例3と同様に酸化工程を行
い、同様にサンプリングしてYI値と過酸化水素の消費
率を求めた。結果を表2に示す。
率を測定し、結果を併せて表2に示す。 (実施例4)リンタングステン酸の代わりにリンモリブ
デン酸0.84重量部を用いたこと以外は、実施例3と
同様に酸化工程を行い、同様にサンプリングしてYI値
と過酸化水素の消費率を求めた。結果を表2に示す。 (比較例2)上記グラフトポリマ100重量部を、トル
エン54重量部とイソブチルアルコール13重量部の混
合溶剤に溶解し、この溶液を55℃に保持しながら、そ
の中に35%過酸化水素水12重量部と酢酸10.8重
量部を加えたこと以外は実施例3と同様に酸化工程を行
い、同様にサンプリングしてYI値と過酸化水素の消費
率を求めた。結果を表2に示す。
【0032】
【表2】 〔評価〕表1及び表2より、実施例で製造された重合体
及びグラフトポリマでは、形成され促進耐候性試験され
た塗膜のYI値が低く、黄変がほとんど無いことがわか
る。また過酸化水素の消費率が高くなるにつれて黄変し
にくくなっていることもわかる。
及びグラフトポリマでは、形成され促進耐候性試験され
た塗膜のYI値が低く、黄変がほとんど無いことがわか
る。また過酸化水素の消費率が高くなるにつれて黄変し
にくくなっていることもわかる。
【0033】一方、比較例では16時間反応後も過酸化
水素の消費率が少なく、酸化反応の進行が遅いためにY
I値も高くなっている。すなわち過酸化水素とヘテロポ
リ酸とを併用した実施例では、過酸化水素と酢酸を併用
した比較例に比べて酸化反応の活性が高くなっているこ
とが明らかである。
水素の消費率が少なく、酸化反応の進行が遅いためにY
I値も高くなっている。すなわち過酸化水素とヘテロポ
リ酸とを併用した実施例では、過酸化水素と酢酸を併用
した比較例に比べて酸化反応の活性が高くなっているこ
とが明らかである。
【0034】
【発明の効果】すなわち本発明の塗料用重合体及びグラ
フトポリマの製造方法によれば、酸化剤として過酸化水
素を用いても大きな酸化反応速度を得ることができる。
したがって製造工数の増大が防止されるとともに、黄変
しやすいm−クロロ過安息香酸などが不要となり、得ら
れる重合体及びグラフトポリマから形成される塗膜の耐
候性が一層向上する。
フトポリマの製造方法によれば、酸化剤として過酸化水
素を用いても大きな酸化反応速度を得ることができる。
したがって製造工数の増大が防止されるとともに、黄変
しやすいm−クロロ過安息香酸などが不要となり、得ら
れる重合体及びグラフトポリマから形成される塗膜の耐
候性が一層向上する。
【0035】また、もし重合体中に過酸化水素又は触媒
が残留しても、他の過酸化物に比べて容易に除去するこ
とができるので、工数の増大も防止でき塗料用重合体及
びグラフトポリマを安価に製造することができる。
が残留しても、他の過酸化物に比べて容易に除去するこ
とができるので、工数の増大も防止でき塗料用重合体及
びグラフトポリマを安価に製造することができる。
フロントページの続き (72)発明者 児島 史郎 名古屋市港区船見町1番地の1 東亞合 成化学工業株式会社名古屋総合研究所内 (72)発明者 永澤 満 名古屋市昭和区向山3丁目1番地 野村 向山ヒルズ204 (56)参考文献 特開 平5−287013(JP,A) 特開 昭59−187008(JP,A) 特開 平6−184225(JP,A) 特開 昭48−55283(JP,A) 特開 昭59−217714(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 8/06 C08F 290/04
Claims (2)
- 【請求項1】 メルカプタン化合物の存在下に少なくと
も一種のエチレン性不飽和モノマを重合させ、チオエー
テル結合を有する数平均分子量が500 〜20,000の重合体
を得る重合工程と、 前記重合体中に存在するチオエーテル結合に対して少な
くとも2倍当量の過酸化水素と、酸化触媒としてのヘテ
ロポリ酸とを用いて前記重合体を酸化する酸化工程と、
を行うことを特徴とする耐候性に優れた塗料用重合体の
製造方法。 - 【請求項2】 分子内にチオール基と反応性基を有する
メルカプタン化合物の存在下に少なくとも一種のエチレ
ン性不飽和モノマを重合させて重合体とする重合工程
と、 前記重合体の片末端に結合した前記反応性基を、これと
反応し得る結合性の基とエチレン性不飽和結合をもつモ
ノマと反応させてマクロモノマとする反応工程と、 前記マクロモノマと共重合可能な少なくとも一種のモノ
マを前記マクロモノマとグラフト共重合させてグラフト
ポリマとするグラフト工程と、 前記グラフトポリマ中に存在するチオエーテル結合に対
して少なくとも2倍当量の過酸化水素と、酸化触媒とし
てのヘテロポリ酸とを用いて該グラフトポリマを酸化す
る酸化工程と、を行うことを特徴とする耐候性に優れた
グラフトポリマの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5179028A JP3054294B2 (ja) | 1993-07-20 | 1993-07-20 | 耐候性に優れた塗料用重合体及びグラフトポリマの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5179028A JP3054294B2 (ja) | 1993-07-20 | 1993-07-20 | 耐候性に優れた塗料用重合体及びグラフトポリマの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0733819A JPH0733819A (ja) | 1995-02-03 |
JP3054294B2 true JP3054294B2 (ja) | 2000-06-19 |
Family
ID=16058853
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5179028A Expired - Lifetime JP3054294B2 (ja) | 1993-07-20 | 1993-07-20 | 耐候性に優れた塗料用重合体及びグラフトポリマの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3054294B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4448919B2 (ja) * | 1998-10-23 | 2010-04-14 | 綜研化学株式会社 | 塊状重合用触媒および該触媒を用いた塊状重合法 |
KR100827902B1 (ko) * | 2000-11-10 | 2008-05-07 | 바스프 에스이 | t-부틸 아크릴레이트 및(또는) t-부틸 메타크릴레이트기재 아크릴레이트 중합체 |
EP1217011B1 (en) * | 2000-12-21 | 2005-10-12 | Kuraray Co., Ltd. | Process for producing an expoxidized polymer |
-
1993
- 1993-07-20 JP JP5179028A patent/JP3054294B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0733819A (ja) | 1995-02-03 |
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