JP3053668B2 - 熱線遮断膜 - Google Patents
熱線遮断膜Info
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Description
酸性の優れた熱線遮断膜に関する。
を順に積層した3層からなる膜、または酸化物膜、Ag
膜、酸化物膜、Ag膜、酸化物膜を順次積層した5層か
らなる膜等の(2n+1)層(n≧1)からなる膜は、
Low−E(Low−Emissivity)膜と呼ば
れる熱線遮断膜であり、かかるLow−E膜を形成した
ガラスは、Low−Eガラスと呼ばれている。
より室内の温度低下を防止できる機能ガラスであり、暖
房負荷を軽減する目的でおもに寒冷地で用いられてい
る。また、太陽熱の熱線遮断効果も有するため、自動車
の窓ガラスにも採用されている。透明でありかつ導電性
を示すため、電磁遮蔽ガラスとしての用途もある。導電
性プリント等からなるバスバー等の通電加熱手段を設け
れば、通電加熱ガラスとして用いることができる。
/Ag/ZnO/ガラスという膜構成を有するものが挙
げられる。しかし、このような膜では、耐擦傷性、化学
的安定性などの耐久性に欠けるため、単板で使うことが
できず、合わせガラスまたは複層ガラスにする必要があ
った。
や合わせガラスとする場合の中間膜に含まれる水分によ
り、白色斑点や白濁を生じる。また、ZnOは耐酸性も
不十分であるため、空気中の酸性物質によって劣化する
不安があった。このようなことから、単板での保管やハ
ンドリングに注意を要していた。
技術が有していた上記の欠点を解決し、耐久性、特に耐
湿性や耐酸性の優れた熱線遮断膜を提供しようとするも
のである。
解決すべくなされたものであり、基体上に酸化物膜、金
属膜、酸化物膜、と交互に積層された(2n+1)層
(n≧1)からなる熱線遮断膜において、基体から見
て、基体から最も離れた金属膜(A)の反対側に形成さ
れた酸化物膜(B)は、酸化亜鉛を主成分とする膜を少
なくとも1層有する膜であり、酸化亜鉛の結晶系が六方
晶であり、該熱線遮断膜のCuKα線を用いたX線回折
法による六方晶酸化亜鉛の(002)回折線の回折角2
θ(重心位置)の値が33.88°以上35.00°以
下であることを特徴とする熱線遮断膜を提供する。
(膜構成:ZnO/Ag/ZnO/ガラス)の場合、単
板で室内放置すると、空気中の湿気により白色斑点や白
濁を生じる。
顕微鏡(SEM)で観察することにより、膜の表面にひ
びわれやしわの存在、及び膜の剥離の存在が確認され
た。
の各元素について元素分析を行ったところ、Agは剥離
の有無にかかわらずほぼ一定量存在するのに対して、Z
nは剥離部で検出量がほぼ半分になっていた。つまり、
剥離は最上層のZnO層とAg層の界面で起きているこ
とがわかった。
雰囲気中、6日間放置)前後の試料をCuKα線を用い
たX線回折法で調べた。六方晶酸化亜鉛の(002)回
折線、立方晶Agの(111)回折線について、回折角
2θ(ピークの重心位置)、結晶面間隔d、積分幅I.
W.をそれぞれ表1に示す。
より内部応力による格子歪の程度を検出することができ
る。ZnO(b)/Ag/ZnO(a)/ガラスという
試料の場合、最上層のZnO(b)によるピークが、Z
nO(a)によるピークの5〜15倍の強さで検出され
るため、試料全体におけるX線回折法のZnOのピーク
は、若干ZnO(a)による影響があるかもしれない
が、ほとんど最上層の六方晶ZnO(b)によるピーク
と考えてよい。
nOの(002)回折線は、ZnO粉末の2θ=34.
44°と比較するとかなり位置がずれている。これは、
結晶歪の存在を示唆している。この結晶歪は、膜の内部
応力によるものと考えられる。耐湿試験前サンプルで
は、結晶面間隔d002 =2.650Åとなっており、Z
nO粉末のd002 =2.602Åと比較すると1.8%
大きい。このことから、結晶がかなり大きな圧縮応力を
受けていることがわかる。耐湿試験後のサンプルでは、
d002 =2.641Åとなっており、やや結晶歪が小さ
くなっている。これは、最上層の六方晶ZnOの内部応
力が、ひび、しわ、剥離により一部緩和されたことと対
応している。
試験後の積分幅が小さくなっていることから、耐湿試験
を施すことにより、Agが粒成長すると考えられる。
のZnO膜が内部応力に耐えきれず、Ag膜との界面か
ら剥離、破損し、次に銀の劣化、即ち粒径が増大し、か
かる破損した表面および大きな銀粒子により光が散乱さ
れて白濁して見えるものと考えられる。表1の例では、
内部応力は圧縮応力であるが、内部応力には圧縮応力と
引張応力の2種類があり、いずれも膜破損の原因となる
と考えられる。以上のことから、湿気による白濁を抑え
るためには、最上層ZnO膜の内部応力低減が有効であ
ることを見出した。
図を示す。図1(a)は、3層からなる熱線遮断膜の断
面図、図1(b)は、(2n+1)層からなる熱線遮断
膜の断面図である。1は基体、2は酸化物膜、3は金属
膜、4は内部応力の低い酸化物膜(B)である。本発明
における基体1としては、ガラス板の他、プラスチック
等のフィルムや板も使用できる。
より大きく異なり、低内部応力の膜を成膜するときは、
成膜条件を精密に制御する必要がある。膜の内部応力を
低減化できる傾向を示す方法としては、成膜時(特にス
パッタリング法による場合)の成膜雰囲気の圧力(スパ
ッタ圧力)を高くする、成膜中に基板加熱を施す等、成
膜条件を変える方法や、成膜後に加熱処理を施す方法等
が挙げられる。それぞれの具体的な条件は、成膜装置に
応じて選べばよく特に限定されない。
定されない。1層でもよいし、多層でもよい。例えば、
本発明の熱線遮断膜を内側にしてプラスチック中間膜を
介してもう1枚の基体と積層して合わせガラスとする場
合に、かかるプラスチック中間膜との接着力の調整、も
しくは、耐久性向上の目的で中間膜と接する層として、
100Å以下の酸化物膜(例えば、酸化クロム膜)を形
成する場合があるが、このような膜を含めて2層以上の
構成とすることもできる。
ては、特に限定されない。例えば、ZnOを主成分とす
る膜、SnO2 を主成分とする膜、TiO2 を主成分と
する膜、これらの2種以上を含む積層膜などが挙げられ
る。これらの膜に、酸化状態でZn2+よりイオン半径の
小さい他の元素を添加すると、成膜条件によりかなりの
バラツキがあるが、その膜の内部応力を低減できる傾向
がある。
に関しては、上述のように、六方晶酸化亜鉛の内部応力
と、CuKα線を用いたX線回折による回折角2θ(重
心位置)とがほぼ対応している。酸化亜鉛を主成分とす
る膜の結晶系は六方晶である。本発明の熱線遮断膜の耐
久性向上のためには、熱線遮断膜のCuKα線を用いた
X線回折において、六方晶酸化亜鉛の(002)回折線
の回折角2θ(重心位置)が33.88°から35.0
0°までの間の値、特に、34.00°から34.88
°までの値であることが好ましい。回折角2θが34.
44°以下の値は圧縮応力、34.44°以上の値は引
張応力、を示す。
半径の小さい他の元素を添加(ドープ)する場合にも、
成膜条件により異なるが、内部応力を低減できる傾向が
あり、かかる元素としては、Al、Si、B、Ti、S
n、Mg、Cr等が挙げられる。したがってこれらのう
ちから少なくとも1種をドープしたZnOを主成分とす
る膜も、ZnO膜と同様に使用できる。ドープ量は、A
l、Si、B、Ti、Sn、Mg、Crのうち少なくと
も1種を、Znとの合計量に対して、原子比で10%以
上としても、内部応力低減効果は変わらないことが多い
ので、10%以下程度で十分である。このような、他の
元素をドープしたZnO膜についても、六方晶酸化亜鉛
の(002)回折線の回折角2θ(重心位置)に関し
て、ZnO膜と同様のことがいえる。
いが、熱線遮断膜全体の色調、可視光透過率を考慮する
と、200〜700Åが望ましい。
性スパッタリングにより成膜する場合は、金属膜(A)
の酸化を防ぐために、まず金属膜(A)上に酸素の少な
い雰囲気中で薄い金属膜もしくは酸化不充分な金属酸化
物膜を形成するのが望ましい。この薄い金属膜は、酸化
物膜(B)の成膜中に酸化されて酸化物膜となる。した
がって上述の酸化物膜(B)の好ましい膜厚は、かかる
薄い金属膜が酸化されてできた酸化物膜の膜厚も含んだ
膜厚である。本明細書において、金属膜3上に形成する
酸化物膜に関しても、同様である。
と低内部応力の膜を組み合わせて2層以上の構成とした
多層膜を用いることもできる。低内部応力の膜として
は、成膜条件によるが、比較的、7.0×109 dyn
/cm2 以下の内部応力の低い膜が形成しやすい、Sn
O2 膜が挙げられる。具体的な例としては、ZnO/S
nO2 /ZnOや、SnO2 /ZnO/SnO2 のよう
な3層系や、ZnO/SnO2 /ZnO/SnO2 /Z
nOや、SnO2 /ZnO/SnO2 /ZnO/SnO
2 のような5層系、あるいは同様に交互に積層した7層
系、9層系など、ZnO膜と、SnO2 膜を交互に積層
したものが挙げられる。酸化亜鉛1層の膜厚は200Å
以下、好ましくは180Å以下とするのがよい。特に好
ましくは100Å以下として上記5層系で構成するのが
望ましい。成膜時の生産性を考慮すると、各層の成膜速
度に比例した膜厚に調整して全体で450Å程度の上記
5層系の積層膜が好ましい。
膜(B)全体の内部応力は、1.1×1010dyn/c
m2 以下であることが好ましい。
応力の膜と低内部応力の膜を組み合わせて2層以上の構
成とした多層膜を用いる場合、合計200〜700Åで
あることが好ましい。積層数及び1層の膜厚は、装置に
応じて選べばよく特に限定されない。また、各層の膜厚
がそれぞれ異なってもよい。
力、および、ガラス/ZnO(450Å)/Ag(10
0Å)の上に同様の酸化物膜(B)(450Å)をスパ
ッタリング法により形成した熱線遮断膜の六方晶酸化亜
鉛の(002)回折線の回折角2θ(重心位置)と、か
かる熱線遮断膜の耐湿性の関係を表2に示す。
気中に6日間放置するという試験を行い、評価した。
直径1mm以上の白色斑点が現れなければ○、膜の端部
付近に白濁がなく、直径1〜2mmの白色斑点が現れた
ものを△、膜の端部付近に白濁が現れたものまたは直径
2mm以上の白色斑点が現れたものを×とした。
のドープ量は、すべて、Znとの総量に対して原子比で
4%である。
雰囲気の圧力を高くしたもの、サンプル3は、サンプル
1より、成膜時の基板温度を高くしたもの、サンプル4
は、成膜した後に加熱したものである。
や、単層、多層によらず、内部応力や、ZnOの(00
2)回折線の回折角2θ(重心位置)によることがわか
る。
は、特に限定されない。ZnO、SnO2 、TiO2 、
これらの2種以上を含む積層膜、これらに他の元素を添
加した膜等が使用できるが、さらに、生産性を考慮する
と、ZnO膜、SnO2 膜、ZnOとSnO2 とを交互
に2層以上積層させた膜、Al、Si、B、Ti、S
n、Mg、Crのうち少なくとも一つをZnとの総量に
対し合計10原子%以下添加したZnO膜が好ましい。
膜2は200Å〜700Åであることが望ましい。積層
膜の場合、合計200Å〜700Åであればよく、それ
ぞれの層の膜厚は限定されない。
膜、酸化物膜、という5層構成、あるいは5層以上の膜
構成の熱線遮断膜の場合、最外層の酸化物膜(B)以外
の酸化物膜2の内部応力は1.1×1010dyn/cm
2 以下であることが望ましい。
膜、またはAu、Cu、Pdのうちの少なくとも一つを
含むAgを主成分とする膜などの、熱線遮断性能を有す
る膜が使用できる。金属膜3は、かかる熱線遮断性能を
有する金属膜の他に、各種の機能を有する金属層を有し
ていてもよい。例えば、熱線遮断性能を有する金属膜と
酸化物膜(B)や酸化物膜2との間の接着力を調整する
金属層や、熱線遮断性能を有する金属膜からの金属の拡
散防止機能を有する金属層等が挙げられる。
属の例としては、Zn、Al、Cr、W、Ni、Ti
や、これらのうち2種以上の金属の合金等が挙げられ
る。
としては、熱線遮断性能及び可視光透過率等とのかねあ
いを考慮して、50Å〜150Å、特に100Å程度が
適当である。
O2 =2:8の6.5×10-3Torrの雰囲気中で、
AlをZnとの総量に対してAlを3.0原子%含む金
属をターゲットとして、AlドープZnO膜を450Å
形成し、次いで、Arのみの6.5×10-3Torrの
雰囲気中で、Agをターゲットとして、Ag膜を100
Å形成し、次いで雰囲気を変えずに、AlをZnとの総
量に対して3.0原子%添加した金属をターゲットとし
て、20Å程度のごく薄いAlドープZn膜を形成し、
最後に、Ar:O2 =2:8の6.5×10-3Torr
の雰囲気中で、AlをZnとの総量に対して3.0原子
%添加した金属をターゲットとして、上記Ag膜上にA
lドープZnO膜を形成した。
プZn膜が酸化雰囲気中で酸化されてAlドープZnO
膜となったので、Ag膜上に形成されたAlドープZn
O膜の総膜厚は、450Åであった。成膜中の基板温度
は室温、スパッタ電力密度は、AlドープZnO膜の成
膜時には2.7W/cm2 、Ag膜の成膜時には、0.
7W/cm2 であった。
ところ、ZnOの(002)回折線の回折角2θ(重心
位置)は34.12°であった。同様の条件で作製した
AlドープZnO膜1層(450Å)の内部応力は6.
2×109 dyn/cm2 であった。
度95%の雰囲気中に6日間放置するという耐湿試験を
行った。耐湿試験後の外観は、ごく微小の斑点は見られ
たものの、目立った白色斑点及び白濁は観察されず良好
であった。耐湿試験後の膜表面のSEM写真において、
膜表面に、ひびわれ、しわ、剥離はほとんど観察されな
かった。
内側にして、プラスチック中間膜を介してもう1枚のガ
ラス板と積層して合わせガラスとした。かかる合わせガ
ラスについても同様の耐湿試験を行った。耐湿試験14
日目でも白濁や斑点は全く生じていなかった。
にZnO膜、Ag膜、AlドープZnO膜をそれぞれ4
50Å、100Å、450Åの膜厚で、順次積層させ
て、熱線遮断膜を作成した。ターゲットは、それぞれ、
ZnO、Ag、Al2 O3 を含むZnO(ZnO 98
重量%、Al2 O3 2重量%)を用い、Arガスにより
スパッタリングを行った。スパッタ圧力は1.8×10
-3Torr、基板温度は室温、RFスパッタ電力密度は
3W/cm2 であった。
ところ、ZnOの(002)回折線の回折角2θ(重心
位置)は34.00°であった。上記と同様の条件で作
製したAlドープZnO膜の内部応力は6.2×109
dyn/cm2 であった。以上の膜について、上記実施
例1と同様の耐湿試験を行った。試験後の膜は、ごく微
小の班点は存在するが、目立った白色斑点及び白濁は見
られず、耐湿性は良好であった。
ZnO/SnO2 /ZnO/Ag/ZnO/ガラスとい
う膜構成のLow−E膜を作製した。Agは100Å、
Agとガラスの間のZnOは450Å、Agの上のZn
OおよびSnO2 膜はいずれも90Åであった。ZnO
及びAgはZnO及びAgターゲットをArガスでスパ
ッタリングし、SnO2 はSnO2 ターゲットをArと
O2 との混合ガスでスパッタリングして得た。スパッタ
圧力、基板温度、ZnO及びAg成膜の際のスパッタ電
力は上記実施例と同様である。SnO2 成膜の際はスパ
ッタ電力密度は1W/cm2 、Ar:O2 ガス流量比は
8:2であった。
nO2 /ZnO/SnO2 /ZnO膜の内部応力は9.
2×109 dyn/cm2 であった。ここで得た熱線遮
断膜の耐湿性は、上記実施例と同様良好であった。
ZnO/SnO2 /ZnO/Ag/ZnO/SnO2 /
ZnO/SnO2 /ZnO/ガラスという膜構成の熱線
遮断膜を作製した。Agは100Å、ZnOおよびSn
O2 膜はいずれも1層90Åであった。ターゲット及び
スパッタリングガス、スパッタ圧力、基板温度、パワー
密度は実施例3と同様であった。
ZnO/SnO2 /ZnO膜の内部応力は9.2×10
9 dyn/cm2 であった。得られた熱線遮断膜の耐湿
性は、上記実施例と同様良好であった。
O膜、Ag膜、ZnO膜をそれぞれ450Å、100
Å、450Åの膜厚で、順次積層させた。ターゲット
は、ZnO、Agを用い、Arガスによりスパッタリン
グを行った。スパッタ圧力、基板温度、スパッタ電力密
度は実施例2と同様である。成膜後の膜をN2 雰囲気中
400℃で1時間加熱処理を行った。
べたところ、ZnO(002)回折線の回折角2θ(重
心位置)は34.42°であった。この熱線遮断膜の耐
湿性は、上記実施例と同様良好であった。
膜、Ag膜、ZnO膜をそれぞれ450Å、100Å、
450Åの膜厚で、順次積層させた。ターゲットは、Z
nO、Agを用い、Arガスによりスパッタリングを行
った。スパッタ圧力、基板温度、スパッタ電力密度は実
施例2と同様である。
ところ、ZnO(002)回折線の回折角2θ(重心位
置)は33.78°であった。この条件で作製したZn
O膜の内部応力は1.5×1010dyn/cm2 であっ
た。
白濁しており、直径1mm以上のはっきりした白色斑点
もかなり見られた。耐湿試験後のSEM写真によれば、
膜表面全体にわたって、ひびわれがひろがっており、膜
の破損が著しいことがわかった。
内側にして、プラスチック中間膜を介してもう1枚のガ
ラス板と積層して合わせガラスとした。かかる合わせガ
ラスについても同様の耐湿試験を行った。耐湿試験14
日目には白濁や斑点がはっきり認められた。
Ag膜はアルゴン雰囲気中で直流スパッタリング法によ
り、SnO2 膜、ZnO膜は酸素含有雰囲気中で反応性
直流スパッタリング法により、ZnO/SnO2 /Zn
O/SnO2 /ZnO/Ag/ZnO/SnO2 /Zn
O/SnO2 /ZnO/ガラスという膜構成の熱線遮断
膜を作製した。Agは100Å、ZnO、SnO2 はい
ずれも1層90Åであった。かかる熱線遮断膜付きガラ
スの可視光線透過率は86%、エミッシビティは0.0
6であった。
に浸漬するという耐酸性試験を行った。浸漬後2分まで
は変化がなかったが、3分後には、膜の端から一部茶色
っぽく変色しはじめ、5分後には、膜の一部に剥離して
いる部分が見られた。
はアルゴン雰囲気中で直流スパッタリング法により、Z
nO膜は酸素含有雰囲気中で反応性直流スパッタリング
法により、ZnO/Ag/ZnO/ガラスという膜構成
の熱線遮断膜を作製した。Agは100Å、ZnOは4
50Åであった。かかる熱線遮断膜付きガラスの可視光
線透過率は86%、エミッシビティは0.06であっ
た。
に浸漬するという耐酸性試験を行った。浸漬直後から膜
が剥離し始め、5分後には、熱線遮断膜が全部ガラスか
ら剥離し、消失した。
び耐酸性が著しく改善されている。このため、単板での
取扱が容易になると考えられる。また単板での室内長期
保存が可能になる。さらに、自動車用、建築用熱線遮断
ガラスの信頼性向上につながる。また、合わせガラスと
した際にも中間膜が含有している水分によって劣化する
ことがないので、自動車用、建築用等の合わせガラスの
耐久性が向上する。
るため、熱線遮断性能とともに導電性もある。したがっ
て、本発明の熱線遮断膜は、この導電性を利用して、種
々の技術分野に使用できる。例えば、エレクトロニクス
分野においては、電極として(太陽電池の電極などにも
使用できる)、また、通電加熱窓においては、発熱体と
して、窓や電子部品においては、電磁波遮蔽膜として、
使用できる。場合によっては、本発明の熱線遮断膜は、
基体の上に、各種の機能を有する膜を介して形成するこ
ともできる。このような場合には、本発明の熱線遮断膜
の各膜の最適膜厚を選択するなどにより、その用途に応
じて、光学性能を調節できる。
熱線遮断ガラスの一例の断面図
Claims (3)
- 【請求項1】基体上に酸化物膜、金属膜、酸化物膜、と
交互に積層された(2n+1)層(n≧1)からなる熱
線遮断膜において、基体から見て、基体から最も離れた
金属膜(A)の反対側に形成された酸化物膜(B)は、
酸化亜鉛を主成分とする膜を少なくとも1層有する膜で
あり、酸化亜鉛の結晶系が六方晶であり、該熱線遮断膜
のCuKα線を用いたX線回折法による六方晶酸化亜鉛
の(002)回折線の回折角2θ(重心位置)の値が3
3.88°以上35.00°以下であることを特徴とす
る熱線遮断膜。 - 【請求項2】CuKα線を用いたX線回折法による六方
晶酸化亜鉛の(002)回折線の回折角2θ(重心位
置)の値が34.00°以上34.88°以下である請
求項1記載の熱線遮断膜。 - 【請求項3】前記金属膜(A)はAgを主成分とする金
属膜である請求項1または2記載の熱線遮断膜。
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