JP3051089U

JP3051089U - 和風洋生菓子

Info

Publication number: JP3051089U
Application number: JP1997012040U
Authority: JP
Inventors: 清治西村; 展敏坂下
Original assignee: Yamazaki Baking Co ltd
Current assignee: Yamazaki Baking Co ltd
Priority date: 1997-12-26
Filing date: 1997-12-26
Publication date: 1998-08-11
Anticipated expiration: 2003-12-26

Abstract

(57)【要約】【課題】今までにない新規な洋生菓子を提供する。【解決手段】イチゴ等の詰め具材（２）を気泡入りクリ
ーム（１）に内包した後、ケーキスポンジ（３）の上部
に載置し、さらに、該気泡入りクリームと該ケーキスポ
ンジとを全体的に求肥生地からなる薄厚餅生地シート
（４）で包み込むことにより和風洋生菓子（Ａ）とす
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本願考案は、今までにない新規な洋生菓子に係り、詳しくは、通常和菓子で使用する餅生地を用いた和風感覚の洋生菓子に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

洋生菓子の代表的なものであるケーキ類は、一般にケーキスポンジの上部にクリームを載置したり、周囲にクリームを塗布したりすることにより組み合わせた柔らかで軽い食感を有するものであり、特に女性や若年層に非常に好まれている嗜好品である。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながらこの様なケーキ類は、ケーキスポンジやクリームが外気にさらされてなるものであることから露出したケーキスポンジやクリームから水分が奪われしまうこととなり、時間の経過と共に表面が硬くなってしまったり、パサついてしまったりしてしまう等、風味や食感等の品質の低下が非常に早いものである。

【０００４】また、上記ケーキ類は、柔らかいものであることから変形し崩れ易く、ケーキスポンジの上部に載置されたクリームが容易に落ちてしまう恐れがあるとともに、ケーキスポンジの上部に載置可能なクリームの量にも限界があり、製造工程上の作業時や製品の運搬時に、細心の注意を払って取り扱わなければならないものである。

【０００５】さらに、上記ケーキ類は、一般にケーキスポンジとクリームとを組み合わせたものであることから、ケーキスポンジやクリームに工夫を凝らしたとしても風味・食感等は似通ったものとなってしまい、食が多様化している現在、今までにない新規な菓子（嗜好品）が求められているにも関わらず、この要望を満たすものは見たことがない。

【０００６】本願考案は、このような課題に対処しようとするものであり、ケーキスポンジとクリームのみを組み合わせるというケーキ類の特徴にとらわれることのないようにする一方、この特徴を十分に生かした新規な菓子を提供することを目的とするものであり、以下に記載の考案の完成によりその目的を達成することが出来たものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本願考案は、上記課題を解決するため、ケーキスポンジと気泡入りクリームとを組み合わせてなる洋生菓子として代表的なケーキ類を、洋生菓子には無い食感及び風味を有した和菓子材料である餅生地の薄厚シートで全体的に包むようにしたものであり、これによりケーキスポンジと気泡入りクリームはその周囲に設けられた薄厚餅生地シートからなる膜壁により形成された半密閉空間内に保護されることとなり、該ケーキスポンジと該気泡入りクリームは直接外気にさらされることが防止されるとともに、水分が奪われてしまうことが防止され、風味や食感等の品質低下を遅らせるとともに、製造工程上の作業時や製品の運搬時における取り扱いが容易となる。また、外観は和菓子様であるが中身は洋生菓子のケーキ類であり、さらに、薄厚餅生地シートのモチモチ感と気泡入りクリームのフワフワ感とのバランスの良い食感を有する、今までにない新規な和風感覚の洋生菓子とすることが出来る。

【０００８】

【考案の実施の形態】

本願考案は、気泡入りクリームと、該気泡入りクリームに内包される詰め具材と、該詰め具材を内包した気泡入りクリームを上部に載置してなるケーキスポンジと、該気泡入りクリームと該ケーキスポンジとを全体的に包んでなる薄厚餅生地シートとからなるものである。この際、薄厚餅生地シートとしては、該クリームの品質維持のために製品を冷却する場合にも固くならず柔軟性と伸展性を有する求肥生地が好ましく、その厚みは２．０〜６．０ｍｍに調整したもの、好ましくは３．０〜４．０ｍｍの厚みに調整したものとすると良い。すなわち、生地シートの厚みが２．０ｍｍより薄いと製造時等に破れてしまいやすく、また、生地シートの厚みが６．０ｍｍより厚いと上述のようなモチモチ感とフワフワ感とのバランスの良い食感を得られないのである。

【０００９】ここで、気泡入りクリームとしては、生クリームや、生クリームに乳化剤、安定剤等を添加したもの、植物性油脂だけを使用した植物性（合成）クリーム、乳脂肪と植物性油脂を組み合わせたコンパウンドクリーム、バタークリーム、サワークリームをホイップしたものや、ムースにしたもののことを言う。なお、この気泡入りクリームは、気泡を逃がさないように１５℃以下に冷却することが望ましい。

【００１０】また、詰め具材としては、イチゴやマロン等のフルーツ及びその加工品等の固形物の他、餡、ゼリー、等の半固形物のことをいうものである。そして、この詰め具材を気泡入りクリームに内包させることにより、いわば「核」の役割を果たして、薄厚餅生地シートに包まれた気泡入りクリームの立体的形状での保持を強化することとなる。

【００１１】本願考案におけるケーキスポンジは、卵、砂糖、小麦粉、水、油脂、必要に応じて膨張剤、乳化剤等の材料を使用し、卵の気泡性を利用してスポンジのように軽く膨らませて焼き上げたもので、各種ケーキの台として使用されているものである。

【００１２】そして、気泡入りクリームの下部にこのケーキスポンジを配置することとすると、該ケーキスポンジが柔らかいクリームを保持するための台座となり、立体的形状の保持を強化することが出来るとともに、クリーム中に詰め具材を内包した場合に該詰め具材が下方に落ち込み中心位置からズレてしまうことをも防止することが出来ることとなる。さらに、クリームとケーキスポンジの周囲全体が薄厚餅生地シートで覆われてなるので、該ケーキスポンジと該気泡入りクリームが直接外気にさらされることが防止されるとともに、水分が奪われてしまうことが防止され、風味や食感等の品質低下を遅らせるとともに、製造工程上の作業時や製品の運搬時における取り扱いが容易となる。

【００１３】また、本願考案は、気泡入りクリームとケーキスポンジはシート状をした薄厚餅生地シートの端部を重ね合わせることにより全体的に包まれてなるものとしたものでもある。

【００１４】また、本願考案は、ケーキスポンジの下部と薄厚餅生地シートとの間にクリームを介在させてなるものでもある。このようにケーキスポンジの下部と薄厚餅生地シートとの間にクリームを介在させることにより、該クリームが接着剤としての役割を果たし薄厚餅生地シートの端部が無闇に開口してしまわないように確実に該端部の封止が出来ることとなる。また、ケーキスポンジと薄厚餅生地シートとが接していると食したときに食感がボソボソとし、味気もないものであるので、ここにクリームを介在させることは、食感・風味等の面でも改善されることとなる。なお、ここでの「クリーム」は、既述の「気泡入りクリーム」に限らないが、該「気泡入りクリーム」をそのまま使用しても良い。

【００１５】さらに、本願考案は、気泡入りクリームとケーキスポンジとを全体的に薄厚餅生地シートを用いて包んでなる製品を、その製品自体の温度が１５℃以下に冷却してなるものである。すなわち、製品温度が１５℃より高くなると、気泡入りクリームの成分が分離して離水するとともに、その包含している気泡が放出されて保形性が維持できなくなり、同時に、該気泡入りクリームから離水した水分を外側の薄厚餅生地シートが吸収して、ふやけてベチャベチャした状態でダレたり剥がれたりし、さらには、中味の保形性を無くしたクリームが露出する等の現象が起こり、製品としての価値が著しく損なわれてしまう恐れがあるからである。

【００１６】

【実施例】

以下、本願考案の一実施例を図面に基づいて説明する。本願考案における和風洋生菓子（Ａ）は、図１に示すように、生クリームをホイップした気泡入りクリーム（１）と、該気泡入りクリーム（１）の内部に内包されるイチゴ等の詰め具材（２）と、該詰め具材（２）を内包した気泡入りクリーム（１）を上部に載置するケーキスポンジ（３）と、該ケーキスポンジ（３）の下部に介在するように塗布されるクリーム（５）と、これら全体を一体的に包み込む求肥生地からなる薄厚餅生地シート（４）とからなるものであり、その製造方法の一例としては、図２に示すように、まず、型枠部材として半球状の底面を有するボール容器（１０）の内底面に沿って求肥生地からなる薄厚餅生地シート（４）を敷き詰め（（イ）参照）、次いで、その内部に気泡入りクリーム（１）を充填するとともに（（ロ）参照）、イチゴ等の詰め具材（２）を入れて（（ハ）参照）、更に、内部に該クリーム（１）と該詰め具材（２）とが内包された該薄厚餅生地シート（４）の上面に蓋をするようにケーキスポンジ（３）を載置するとともに（（ニ）参照）、該ケーキスポンジ（３）の上面にクリーム（５）を塗布し（（ホ）参照）、その後、該薄厚餅生地シート（４）の各端部（４ａ・・４ａ）をクリーム（５）に向かって織り込むことにより該端部（４ａ・・４ａ）同士を互いに重ね合わせ（（ヘ）参照）、該ボール容器（１０）を逆さにして中身を取り出すことにより和風洋生菓子（Ａ）を製造したものである（（ト）参照）。そして、該和風洋生菓子（Ａ）は１５℃以下の冷蔵庫内で冷却しながら保存しておく。なお、該和風洋生菓子（Ａ）を冷凍庫内にて冷凍して保存しても良い。

【００１７】気泡入りクリーム（１）は、植物性油脂を使用したクリームをホイップすることにより製造し、また、ケーキスポンジ（３）は、卵、砂糖、小麦粉、水、油脂、膨張剤、等の材料をよく混ぜた後、焼き上げることにより製造し、さらに、薄厚餅生地シート（４）は、餅粉と水、砂糖等からなる原料を蒸練してなる生地を薄厚に延ばすことにより製造する。

【００１８】この際、薄厚餅生地シート（４）としての求肥生地を３．０ｍｍとしたところ、適度に伸展し取扱中に無闇に破れたりせず、また、食した時にモチモチとした食感となるとともに、噛み込んだ際に中からフワフワとしたクリームが容易に出て来て、モチモチとフワフワのバランスの良い食感を楽しむことが出来た。

【００１９】また、ケーキスポンジの下部と薄厚餅生地シートとの間に介在させてなるクリームには、気泡入りクリーム（１）を用いるようにした。

【００２０】なお、本願考案における詰め具材としては、前述したようにイチゴやマロン等のフルーツ及びその加工品の他、餡、ゼリー、等を用いるようにしても良いが、イチゴを詰め具材とすると、お餅のモチモチ感とクリームのフワフワ感とのバランスの良い食感に加えて、イチゴのジューシー感もミックスされ、今までにないおいしさを有するものとなるので、イチゴを用いることが望ましい。

【００２１】

【考案の効果】

以上のように本願考案によれば、ケーキスポンジと気泡入りクリームが薄厚餅生地シートによって保護されることにより、直接外気にさらされることが防止されるとともに、水分が奪われてしまうことが防止されることとなるので、風味や食感等の品質低下を遅らせることが出来た。

【００２２】また、柔らかいクリームが薄厚餅生地シートによって包まれることにより、変形し崩れたりすることが防止されることとなるので、製造工程上の作業時や製品の運搬時等における取り扱いを容易なものとすることが出来るとともに、従来のケーキ類に比して多量のクリームを包み込むことが出来ることとなった。

【００２３】さらに、洋生菓子として代表的なケーキ類と和菓子材料である餅生地シートとを組み合わせたことにより、外観は和菓子様であるが中身は洋生菓子のケーキ類である、薄厚餅生地シートのモチモチ感と気泡入りクリームのフワフワ感とのバランスの良い食感を有する、現在の食（嗜好）の多様化に適応した今までにない、すなわち、ショートケーキに和菓子の食感を加えた、新規風味の和風感覚の洋生菓子とすることが出来た。しかも、詰め具材としてイチゴを使用した場合は、薄厚餅生地シートのモチモチ感と気泡入りクリームのフワフワ感に、さらに、イチゴのジューシー感が加わり、今までにない風味・食感を有する和風感覚の洋生菓子とすることが出来た。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願考案の和風洋生菓子を説明する概略側方断
面図。

【図２】本願考案の和風洋生菓子の他の実施例を説明す
る概略側方断面図。

【符号の説明】

Ａ・・・和風洋生菓子１・・・気泡入りクリーム２・・・詰め具材３・・・ケーキスポンジ４・・・薄層餅生地シート４ａ・・・端部５・・・クリーム１０・・・ボール容器

【手続補正書】

【提出日】平成１０年１月２７日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】図面の簡単な説明

【補正方法】変更

【補正内容】

【図面の簡単な説明】

【図２】（イ）乃至（ト）本願考案の和風洋生菓子の製
造方法を説明する概略側面図。

【符号の説明】Ａ・・・和風洋生菓子１・・・気泡入りクリーム２・・・詰め具材３・・・ケーキスポンジ４・・・薄層餅生地シート４ａ・・・端部５・・・クリーム１０・・・ボール容器

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】気泡入りクリームと、該気泡入りクリー
ムに内包される詰め具材と、該詰め具材を内包した気泡
入りクリームを上部に載置してなるケーキスポンジと、
該気泡入りクリームと該ケーキスポンジとを全体的に包
んでなる薄厚餅生地シートとからなることを特徴とする
和風洋生菓子。
【請求項２】ケーキスポンジの下部と薄厚餅生地シー
トとの間にクリームを介在させてなることを特徴とする
請求項１に記載の和風洋生菓子。
【請求項３】詰め具材はイチゴであることを特徴とす
る請求項１または２に記載の和風洋生菓子。
【請求項４】薄厚餅生地シートの生地は求肥生地であ
ることを特徴とする請求項１乃至３の何れかに記載の和
風洋生菓子。
【請求項５】薄厚餅生地シートは２．０〜６．０ｍｍ
の厚みに調整したものであることを特徴とする請求項１
乃至４の何れかに記載の和風洋生菓子。
【請求項６】製品温度が１５℃以下で冷却されてなる
ことを特徴とする請求項１乃至５の何れかに記載の和風
洋生菓子。