JP3049901U - スキー板、サーフボード、スケートボード型複合製品の装飾用複体およびこの種の複体を含む複合製品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 複合製品の熱流動性樹脂をベースとする補強
用構造体に結合される装飾用複体であって、この複体は
透明なプラスチック材料の層１を含み、その第一の面１
００は昇華性インキを用いる印刷方法によって得られる
装飾を担持するものを提供する。 【解決手段】 上記透明プラスチック層１の第一の面１
００を覆うコントラスト層５が接着用フィルム３によっ
て該透明プラスチック層１の第一の面１００に結合さ
れ、このコントラスト層５が金属あるいは合金から成
り、また、上記コントラスト層５を上記第一の面１００
に結合するのに先立つ段階で、該コントラスト層５と該
第一の面１００との間に、格子層４を配設する。本考案
は、とりわけスキー板、スノーボードあるいはスケート
ボード型の複合製品に適用される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】 本考案は、複合製品を装飾するための新規な複体に関する。より詳しく述べる と、本考案は、スキー板全般、サーフボード、スケートボードおよび類似の性質 を持つその他の物品のような異なるプラスチック材料や複合材料をひとまとめに 結合した積層形状を呈する製品に関する。

【０００２】 昇華は、スキー板の装飾に良く適合する技術である。この昇華により、多数の 異なるプラスチック支持体を利用することや、この支持体を特殊な準備のための 予備作業に掛ける必要なしに任意の模様をプリントすることが可能になる。転写 の原理は、乾燥状抽出物の形で台紙に含有されているインキを装飾を施す支持体 に押圧し、かつ加熱することによって蒸発させることから成る。この方法は清潔 かつ迅速で、しかも蒸気または有毒な溶剤を発生させない。

【０００３】 装飾を施して得られる支持体は、熱間プレスのサイクル時に接着用フィルムに よりコントラストシートに一体連結でき、これにより加熱流動性を有する樹脂を ベースとする製品の補強構造体に連結されるための複体を構成する。

【０００４】 この技術を利用する方法は、未公開のフランス国出願第９５１３７５８号に開 示されている。この方法は、透明または半透明のプラスチック材料から成る層の 第一の面に昇華性インキ（一種または多種）をプリントして装飾パターンの転写 を行い、次いで、このようにして装飾を施された第一の面にコントラストシート を加圧下で加熱して接着させることから成る。

【０００５】 この方法は効果的で、装飾が定常かつ明確な複体を得ることを可能にする。

【０００６】 完成状態の製品を得るには、複体を、この複体の製作に必要な温度と圧力より も高い温度と圧力で補強構造体に対して熱間プレスする。コントラストシートが 天然または合成の乾燥繊維層である場合、該乾燥繊維がその多孔性により溶融状 態の熱可塑性材料の一部分を吸収するので、接着用フィルムの流動は避けられる 。複体の装飾は明確さを保ったままである。

【０００７】 それに反して、コントラストシートが金属あるいは合金のような非吸収性材料 でできている場合、熱可塑性材料の吸収は起こらない。この結果、接着用フィル ムは流動する。この流動は、複体のコントラストシートにほぼ平行なあらゆる方 向において、接着用フィルムの構成材料の粒子の移動となって表れる。したがっ て、接着用フィルムは予想できないほどに変形し、かつ接着に必要な温度と圧力 が上昇するため、フィルム内で移動したインキはフィルムの流動と共に移動する 。その結果、装飾の明確さが損なわれるので、装飾の質は低下する。

【０００８】 本考案は、以上に明記した諸欠点を排除することを目的とする。

【０００９】 そのために、本考案は、複合製品の加熱により流動可能な樹脂をベースとする 補強構造体と結合されるための装飾用複体を提案しており、この複体は、第一の 面が昇華性インキのプリント法によって得られる装飾を担持する透明プラスチッ ク材料の層を含み、その特徴とするところは、透明プラスチック層の第一の面を 覆うコントラストシートが接着用フィルムで該プラスチック層の表面上に結合さ れること；該コントラストシートが金属または合金から成る群より選ばれること ；および格子（メッシュ）が、内面上にコントラストシートを結合させるための 予備工程において、該コントラストシートと該第一の面との間に配設されること にある。

【００１０】 本考案による複体はまた、不織繊維をベースとする繊維布が、コントラストシ ートと接触する格子（メッシュ）の存在する側とは反対側の該コントラストシー トの側でこのコントラストシートと接触して配設されること、および接着用フィ ルムがコントラストシートと不織繊維をベースとする繊維布との間に配設される ことを特徴とする。

【００１１】 最後に、本考案は、先に述べた装飾用複体を備えたスキー板またはスノーボー ド型の複合製品に関する。

【００１２】 本考案のその他の特徴と利点は、いかにして本考案が実現され得るかを非限定 的な例として示す添付の図面を参照して、以下の説明を読むことによりさらに良 く理解されよう。

【００１３】 本考案による複体の製作は、まず透明または半透明材料から成る単層のプラス チックシート１の利用を必要とし、このシートを以後「透明層」と呼ぶことにす る。

【００１４】 図１に示すように、第一の工程では、層１の面１００に昇華性着色剤を転写し て装飾を行う。

【００１５】 この面１００は、複体内で透明層の内側を構成するためのものであり、外側に なる反対側の面１０１と相対する。プリントされる装飾の模様は、それ自体公知 の要領で、透明層の面１００に対し、時間ｔの間、温度Ｔ、圧力Ｐで押圧される 台紙２のシート中に含まれる。この透明層は、ＰＡ１１、ＰＡ１２、ＰＡ６．３ 、ＰＡ６．６のようなポリアミドの昇華性プラスチック材料、ポリカルボナート 、ＡＢＳ（アクリロニトリル／ブタジエン／スチレン）、ＴＰＵ（熱可塑性ウレ タンエラストマー）と混合した透明ＡＳ（アクリロニトリル／スチレン）、ポリ エチレンテレフタラート（ＰＥＴ）等から選択できる。

【００１６】 透明層の厚さは０．２ないし１．１ｍｍである。昇華は、１ないし３バールの 圧力と１６０℃ないし１８０℃の温度で、約１分３０秒ないし４分間行われる。 内側の透明層を通ってインキが移動する前線の深さは、約０．２０ｍｍまたはそ れよりも幾らか深い。

【００１７】 図２に示す第二工程中、透明層１を中実な接着用フィルム３と、格子（メッシ ュ）層４とコントラスト層５とに接近させる。接着用フィルム３は、予め装飾を 施してある面１００と接触させる。格子層４は、接着用フィルム３が透明層１と 接触する側とは反対の側で、該接着用フィルム３と接触させる。最後にコントラ スト層５は、格子層４がフィルム３と接触する側とは反対の側で該格子層４と接 触させる。

【００１８】 次いで、格子層４を通して透明層１とコントラスト層５との接着が得られるよ う、フィルムの少なくとも軟化点まで温度と圧力を増加させるいわゆる「貼り合 わせ」工程を実施する。

【００１９】 図示の例において、接着用フィルム３は、このフィルムが透明層１とコントラ スト層５とを接着する力に応じて、選択される。このフィルムは数ミクロンない し１０分の数ｍｍの薄い熱溶融性フィルムであって、その好ましい厚さは５０ミ クロン前後である。

【００２０】 カルボン酸または無水カルボン酸（例えば、アクリル酸、メタクリル酸、また は無水マレイン酸）の作用でグラフトした重合体または共重合体をベースとする フィルム３を利用できると有利である。

【００２１】 このようなフィルム３は、とりわけグラフトしたポリエチレン（例えば、無水 マレイン酸でグラフとしたポリエチレン）で製作できる。

【００２２】 フィルムのこの性質は、前述の透明層１を構成する大部分の昇華性材料をコン トラスト層５と接着可能にする。

【００２３】 しかしながら、フィルム３はまた、カルボン酸または無水カルボン酸の作用で グラフトしたエチレンと酢酸ビニルの共重合体（ＥＶＡ）で構成することもでき る。

【００２４】 格子４は、諸図に示されるように、正方形に編み上げた柔軟な網の形をした蜂 窩状構造である。この網の横糸は、図２の横断面で、格子４の厚み内にある複数 の円で表される積み重ねた細紐から成る。

【００２５】 この細紐は、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維で製作されるのが好ましい。格子 層の厚さは、１０分の数ミクロンないし１０分の数ｍｍであり、好ましい厚さは ０．１ｍｍ前後である。編み目の幅は１０分の数ｍｍないし数ｍｍであり、好ま しい幅は約２〜３ｍｍである。

【００２６】 コントラスト層５は、両面がイオノマー型オレフィン共重合体の薄膜で覆われ る陽極処理を施していないアルミニウム箔５１（商品名：ＳＵＲＬＹＮ）である 。

【００２７】 アルミニウム箔の厚さは１５ないし２００μｍであり、各々の薄膜の厚さは１ ０ないし５０μｍである。

【００２８】 図示の例では、無水マレイン酸でグラフとしたポリエチレン製フィルム３を用 いることにより、網の目を介してイオノマー処理したアルミニウムのコントラス ト層５にポリアミド製透明層１の接着が可能となる。したがって、格子層４は透 明層１とコントラスト層５との間に閉じ込められる。

【００２９】 １６０℃またはそれ以上の温度にまで高めることにより、またカレンダリング あるいは加圧による熱間貼り合わせでフィルム３を透明層１に接着させ、互いに 一体連結を確保する。

【００３０】 図示の例において、各種の層１、３、４、５の結合を加熱と加圧の単一サイク ルの範囲内で実施する。力学的な面において、この加熱サイクルは、接着用フィ ルム３の軟化を引き起こす。編み目を構成する細紐により、格子層４は、接着用 フィルム３の構成材料がシート１の内側１００にほぼ平行な方向に流動しないよ うにする。フィルム３にとって可能な唯一の流動方向は、このフィルム３が層１ と層５とに同時に接触するよう、格子層４を貫通する方向である。

【００３１】 その結果、第二工程で温度と圧力を上昇させるときにフィルム３内で移動でき た色素は、シート１の内側１００にほぼ平行な方向に移動させられることがない 。

【００３２】 それゆえ、当初の装飾の明確さは接着用フィルム３の流動によって損なわれる ことがない。

【００３３】 図２、図３、図４および図５が示すように、本考案はまた、第二工程中または それ以後の工程中に不織繊維層７をコントラスト層５に一体連結するため、接着 用フィルム６を使用するようにもなっている。

【００３４】 接着用フィルム６と不織繊維層７は、第二工程の加熱と加圧の単一サイクルの 範囲内で層１、３、４および５と結合されるのが好ましい。フィルム６はフィル ム３と類似であり、層７は、厚さが０．０１５ないし１ｍｍで、ガラス繊維、炭 素繊維等の繊維でできている。層７は、格子４の存在により、第二工程中にコン トラスト層５に現れる変形を減少させる役目をする。

【００３５】 実際、層５の厚さが薄すぎる場合（すなわち、１５ないし１００μｍである場 合）、格子４の細紐はコントラスト層５の変形を局部的に引き起こすことがある 。層７を付加することにより、層５の変形は低減して、力学的強度の面における 層５の構造あるいは層１を通して感じ取られる視覚的効果を損なうことがない。

【００３６】 図示の例では、各種の層１、３、４、５、６および７の結合を単一作業で実施 した。

【００３７】 もちろん、この作業を一連の中間作業に分けて行うことを考えてもよい。特に 、接着用フィルムを１の層に貼り合わせ、次いで他の１の層を接着用フィルムの 反対側に貼り合わせて実施してもよい。

【００３８】 図３に示すようにして形成した複体は、装飾を行う複合製品の被覆に使用でき る状態にある。

【００３９】 複合製品とは、基本的に補強用構造体８を有する積層状の物品を指す。特に、 スキー板、スノーボード、スケートボード等が考えられる。

【００４０】 図４は、本考案の技法によって得られる複体を含むスキー板の概略断面図を示 す。

【００４１】 複体とスキー板の構造の残余部分との一体連結は、種々異なる方法の枠内で行 うことができる。どの場合にも、通常、該複体と熱流動性を有する樹脂をベース にしたスキー板の補強用構造体８との結合を熱間プレスサイクルで行う。この補 強用構造体８は、とりわけ、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を予め含浸させた 補強用繊維布で構成することができる。

【００４２】 とりわけ、ポリエステル、エポキシド、ポリウレタンから成る群より選んだ、 湿潤または部分的に架橋した熱硬化性樹脂を含浸させたガラス繊維、炭素繊維ま たはポリアラミド繊維（織製または不織製のもの）をベースとする補強用繊維布 を用いることができる。

【００４３】 また別に、ポリアミド、ポリカルボナート、ＰＥＩ（ポリエーテルアミド）か ら成る群より選んだ熱可塑性樹脂を含浸させたガラス繊維または炭素繊維（織製 または不織製のもの）をベースとする補強用繊維布を使用してもよい。

【００４４】 本考案は、以上に記載した実施態様に限定されるものではなく、冒頭の実用新 案登録請求の範囲に入り得る同等の技術を総て含む。

【００４５】 とりわけ、コントラスト層５を製造するためには、金属または合金の使用を考 えることができる。

【００４６】 格子層４を製作するためにはどのような構造を案出してもよく、この格子は、 規則的または不規則的な三角形、六角形、あるいは多角形の編み目をも含む。

【００４７】 格子層４は、円形または非円形の孔を穿設した均一の層であってもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による方法の昇華による転写サイクル
（第一工程）を示す図である。

【図２】本考案による方法の加熱・加圧サイクル（第二
工程）を示す図である。

【図３】本考案により得られる複体の断面図である。

【図４】本考案による複体で覆われるスキー板の概略断
面図である。

【図５】本考案による複体の分解斜視図である。

【符号の説明】

１ 単層のプラスチックシート（層） ３、６ 接着用フィルム ４ 格子（メッシュ）層 ５ コントラスト層 ７ 不織繊維層 １００ プラスチック層の内面

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 ＦＩ Ｂ３２Ｂ 17/02 Ｂ３２Ｂ 17/02 27/12 27/12 27/32 27/32 Ｚ 33/00 33/00 Ｂ６３Ｂ 35/79 Ｂ６３Ｂ 35/79 Ｚ

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 複合製品の熱流動性樹脂をベースとする
   補強用構造体に結合される装飾用複体であって、前記複
   体は透明なプラスチック材料の層（１）を含み、その第
   一の面（１００）は昇華性インキを用いる印刷方法によ
   って得られる装飾を担持するものにおいて、 前記透明プラスチック層（１）の第一の面（１００）を
   覆うコントラスト層（５）が接着用フィルム（３）によ
   って前記透明プラスチック層（１）の第一の面に結合さ
   れること、前記コントラスト層（５）が金属あるいは合
   金から成ること、および、前記コントラスト層（５）を
   前記第一の面（１００）に結合するのに先立つ段階で、
   前記コントラスト層（５）と前記第一の面（１００）と
   の間に、格子層（４）を配設することを特徴とする装飾
   用複合体。
2. 【請求項２】 前記コントラスト層（５）が、イオノマ
   ー型オレフィン共重合体のフィルムの両面上を覆う、陽
   極処理されていないアルミニウムシートであることを特
   徴とする請求項１による装飾用複合体。
3. 【請求項３】 不織繊維をベースとする繊維布（７）
   が、前記格子層（４）の接触している側と反対の側の前
   記コントラスト層（５）の側で該コントラスト層と接触
   して配設されること、および接着用フィルム（６）が
   前記コントラスト層（５）と不織繊維をベースとする繊
   維布（７）との間に配設されることを特徴とする請求項
   １または２による装飾用複合体。
4. 【請求項４】 前記格子層（４）が、正方形の開放格子
   を形成するガラス繊維製の細紐を配列したものであるこ
   とを特徴とする請求項１、２または３による装飾用複合
   体。
5. 【請求項５】 請求項１または２による装飾用複体を備
   えたスキー板、スノーボード、あるいはスケートボード
   型の複合製品。