JP3045582U - 間隔材付防水シート固着具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 シート固着具の固定のためのマーキング作業
量を著しく減少させることができ、且つシート固着具の
位置決め作業を迅速且つ正確に行うことができるように
すること。 【解決手段】 トンネル内壁ＴＡの吹付コンクリート面
ＷＡに防水シートを張り付けるため吹付コンクリート面
ＷＡに固定される複数のシート固着具２を有し、各シー
ト固着具２がそれぞれ板状の本体２１の一方の表面２１
Ａに面ファスナー２２を設けて成り、相隣るシート固着
具２の本体２１同志を所要の配置間隔に対応した長さの
柔軟性を有する紐状体から成る間隔材３で連結した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、トンネル工事において二次覆工前に防水シートを吹付コンクリート 面に張着するのに用いられるシート固着具を吹付コンクリート面に規則正しく配 置し、固定するための間隔材付防水シート固着具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

トンネル工事の二次覆工前にトンネル内壁からの漏水がトンネル内に滴下する のを防止する目的で、吹付コンクリート面に防水シートを張り付ける作業が行わ れる。この防水シート張り付け作業は、吹付コンクリート面に予めシート固着具 を釘止めしておき、吹付コンクリート面に釘止めされたシート固着具の表面に設 けられている面ファスナーに、防水シートの裏面側に設けられている不織布材を 押しあて、これにより防水シートを吹付コンクリート面の所要の位置に固定する ようにして行っている。したがって、吹付コンクリート面に固定すべきシート固 着具は、吹付コンクリート面上において所定の一定間隔で規則正しく位置決めさ れて釘止め等される必要がある。このため、従来では、作業員が巻尺又は定規を 用いてシート固着具の設置位置を正確にマーキングしておき、各マーキング位置 にシート固着具を位置決めして釘止めしている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

このように、従来の方法によると、シート固着具を取り付けるべき全てのシー ト固着具固定位置を巻尺等を用いた手作業により吹付コンクリート面上において マーキングしなければならないので、トンネル内でのマーキング作業に多くの労 力と時間を費やしており、作業能率が悪く、防水シートの張着コストが高くなら ざるを得ないという問題点を有している。

【０００４】 本考案の目的は、防水シートを吹付コンクリート面に固定するためのシート固 着具の固定のためのマーキング作業量を著しく減少させることができ、且つシー ト固着具の位置決め作業を迅速且つ正確に行うことができるようにした、間隔材 付防水シート固着具を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するための本考案の特徴は、トンネル内壁の吹付コンクリート 面に防水シートを張り付けるため前記吹付コンクリート面に固定される複数のシ ート固着具を有し、各シート固着具がそれぞれ板状の本体の一方の表面に面ファ スナーを設けて成り、相隣るシート固着具の本体同志を所要の配置間隔に対応し た長さの柔軟性を有する紐状体から成る間隔材で連結した点にある。

【０００６】 この間隔材付防水シート固着具によれば、トンネル内の吹付コンクリート面に 例えばトンネル天端の始点及び通りをマーキングした後、間隔材付防水シート固 着具の複数のシート固着具のうち始点に固定されるべきシート固着具を始点マー キング部に釘等を用いて固定する。したがって、各シート固着具の本体には固定 用釘を通す孔を予め設けておくのが好ましい。このようにして間隔材付防水シー ト固着具における始点シート固着具の固定が完了したならば、天端通りマーキン グに沿って間隔材がたわまないようにして所要のシート固着具を順次位置決めし て釘止めする。全てのシート固着具は間隔材により連結されているので、左右上 部より間隔材がたわまないようにして、釘止めしたシート固着具に隣り合うシー ト固着具を順次間隔材をたよりにして吹付コンクリート面上で位置決めしてそこ に釘止めすれば、全てのシート固着具を所要の位置に迅速且つ正確に位置決めし て固定することができる。間隔材としては、柔軟性のある紐状体、例えば釣り糸 又は適宜のテープ等を用いることができ、これらの各端部を各本体の連結用の孔 を用いてそこに繋着するようにしてもよい。

【０００７】

【考案の実施の形態】

以下、図面を参照して本考案の実施の形態の一例につき詳細に説明する。 図１は、本考案による間隔材付防水シート固着具の実施の形態の一例を示す斜 視図である。間隔材付防水シート固着具１は、トンネル内の吹付コンクリート面 に防水シートを張着するために、吹付コンクリート面に予め固定される複数のシ ート固着具２を有している。

【０００８】 図２に詳細に示されるように、シート固着具２は、合成樹脂製の比較的薄い板 状の部材として形成されている円盤状の本体２１の一方の表面２１Ａに面ファス ナー２２を貼着して成っている。面ファスナー２２は、基材に多数の鈎状突起（ 図示せず）を密に植設して成る公知のファスナーであり、鈎状突起は防水シート の裏面に設けられる不織布内に入り込んでそこに係止される構成となっている。 したがって、後述するように、各シート固着具２が吹付コンクリート面に固定さ れた後、防水シートをシート固着具２に押しあてるだけで防水シートをシート固 着具２に固定することができる。

【０００９】 図１に戻ると、複数のシート固着具２を吹付コンクリート面上の所定の位置に 迅速且つ正確に位置決めしてそこに固定することができるようにするため、相隣 るシート固着具２の本体同志が柔軟性を有する紐状体である釣り糸から成る間隔 材３によって連結されている。２つの相隣るシート固着具２、２を連結する間隔 材３の長さは、これらのシート固着具２、２の吹付コンクリート面での配置間隔 に対応した長さとなっており、したがって、シート固着具２、２間の間隔材３を たわまないようにしてシート固着具２、２を離しただけで、シート固着具２、２ 間の距離は、シート固着具２、２の吹付コンクリート面における配置間隔に等し くすることができる。

【００１０】 上記では、相隣る１組のシート固着具２、２間の連結について説明したが、間 隔材付防水シート固着具１に含まれる任意の相隣るシート固着具２、２間も間隔 材３により同様にして連結されている。なお、シート固着具２の本体２１へ間隔 材３の端部を繋着するため、図２から判るように本体２１には繋着用の４つの孔 ２１Ｂが９０度間隔であけられており、これらの孔２１Ｂに間隔材３の端部が繋 着されている。

【００１１】 次に、図３及び図４を参照して、図１に示した間隔材付防水シート固着具１を 用いて、複数のシート固着具２をトンネル内の吹付コンクリート面の各所要位置 へ位置決めして釘止めするための施工方法について説明する。図３はトンネルを 横断面してその要部を示す図、図４はそのトンネルの縦断面図である。トンネル Ｔの内壁ＴＡには数ｃｍ厚程度にコンクリートを吹き付けて成る吹付コンクリー トＷが形成されており、吹付コンクリートＷの吹付コンクリート面ＷＡには複数 本のマグネットプレートＭ及び支保工Ｓが設けられている。この吹付コンクリー トＷからの漏水を抑えておくための防水シートを二次覆工前に吹付コンクリート 面ＷＡに張着するため、図１に示した間隔材付防水シート固着具１を用いて吹付 コンクリート面ＷＡに複数のシート固着具２が次のようにして整列位置決めして 固定される。

【００１２】 すなわち、先ず、トンネルＴの天端の始点をマーキングして吹付コンクリート 面ＷＡに天端始点マーキングＭＫ１を付し、次いで、トンネルＴの天端の通りを マーキングする。この天端通りマーキングが符号ＭＫ２で示されている。しかる 後、図１に示した間隔材付防水シート固着具１をトンネルＴ内に搬入する。図１ では間隔材付防水シート固着具１の一部のみしか見えていない。しかし、図４か ら判るように、本実施の形態では、間隔材付防水シート固着具１は、各間隔材３ のたるみがないように拡げた状態で、その巾方向の長さＤが張着すべき防水シー ト（図示せず）の巾方向の長さに略一致しており、間隔材付防水シート固着具１ の巾方向の端部にシート固着具２がとびとびに存在するように構成されている。 間隔材付防水シート固着具１の縦方向長さはトンネルＴの吹付コンクリート面Ｗ Ａの天端から一方の下端までの長さＬよりやや短く、間隔材付防水シート固着具 １の縦方向の端部にもシート固着具２がとびとびに存在するように構成されてい る。上述の如く構成された間隔材付防水シート固着具１において、間隔材３によ り連結されたシート固着具２の数、及びシート固着具２の配置間隔を決める間隔 材３の長さは、防水シートの巾等に応じて６０ｃｍ〜１００ｃｍ程度に適宜に定 めることができる。ここで、シート固着具２の配置間隔は天端近くと吹付コンク リート面ＷＡの中程とにおいて異なるようにしてもよく、図３及び図４に示した 例では、天端近くと下端付近では約１００ｃｍ間隔であり、吹付コンクリート面 ＷＡの中程では約６０ｃｍ間隔とされている。

【００１３】 間隔材付防水シート固着具１の縦方向の一端縁１Ａに配置された複数（図示の 例では６個）のシート固着具２のうちの一番右端にあるシート固着具２を天端始 点マーキングＭＫ１の位置に位置決めしてそこに釘止めして固定する。この際、 そのシート固着具２の本体２１に間隔材３の繋着のためにあけられている孔２１ Ｂを利用することができる。このようにして右端のシート固着具２が固定された ならば、間隔材付防水シート固着具１の縦方向の一端縁１Ａに配置された他のシ ート固着具２を順次天端通りマーキングＭＫ２に沿って所定の間隔で位置決めし て固定する。この位置決めは、位置決めすべきシート固着具２を間隔材３がたわ まないようにしてすでに固定されたシート固着具２から離して天端通りマーキン グＭＫ２上に配置するだけで迅速且つ正確に位置決めすることができ、このよう にして位置決めしたシート固着具２をそこに釘止めする。この手順を繰り返すこ とにより間隔材付防水シート固着具１の縦方向の一端縁１Ａに配置された６個の シート固着具２を天端通りマーキングＭＫ２上に所要の間隔をあけて迅速且つ正 確に位置決めして釘止めすることができる。なお、シート固着具２を釘止めする 方法自体は公知であるから、シート固着具２の釘止め作業についての詳しい説明 は省略する。

【００１４】 間隔材付防水シート固着具１の縦方向の一端縁１Ａに配置された６個のシート 固着具２には、それぞれ、別の６個のシート固着具２が間隔材３によって連結さ れているので、これらのシート固着具２を吹付コンクリート面ＷＡの周方向（間 隔材付防水シート固着具１の縦方向）に沿って間隔材３がたわまないようにして 引っ張り、これにより次の６個のシート固着具２を所要の位置に位置決めして釘 止めする。この作業を吹付コンクリート面ＷＡの下端部に向けて順次行うことに より、図３及び図４に示されるように、間隔材付防水シート固着具１の全てのシ ート固着具２を間隔材３の長さによって決まる所定の整列配置状態にして吹付コ ンクリート面ＷＡに位置決めし固定することができる。

【００１５】 上述の如く、間隔材付防水シート固着具１によれば、多数のシート固着具２が 配置間隔をきめるための間隔材３により連結されているので、多数のシート固着 具２のうち基準となるシート固着具２のみをマーキングに従って位置決めし固定 してしまえば、残りのシート固着具２の位置決めはマーキングなしに間隔材３を 用いて迅速且つ正確に行うことができる。したがって、全てのシート固着具２に ついてマーキングによる位置決めを行っていた従来の場合に比べて、シート固着 具２の位置決め固定のための作業が著しく簡単となり、その作業効率が格段に向 上するので、施工コストの大幅な低減を図ることができる。

【００１６】 上記実施の形態では、間隔材３として釣り糸を使用したが、これに限らず、柔 軟性のあるテープ等の適宜の紐状体を用いることができる。また、間隔材付防水 シート固着具１は、トンネルＴの天端から一方の壁面のみにシート固着具２を位 置決め固定するようにした構成に限らず、その縦方向の長さを例えば２倍、すな わち約２Ｌとすることにより、間隔材付防水シート固着具１の中央部の６個のシ ート固着具２を天端通りマーキングに合わせて位置決め固定し、ここから振り分 けて吹付コンクリート面ＷＡの一方の壁面と他方の壁面とにシート固着具２を順 次位置決めして固定するように構成してもよい。

【００１７】 なお、間隔材付防水シート固着具１を用いてシート固着具２を吹付コンクリー ト面ＷＡに固定した後、これらのシート固着具２を用いて吹付コンクリート面Ｗ Ａに防水シートを張着するための作業は従来と同様であるから、ここではそれに ついての詳しい説明は省略する。

【００１８】

【考案の効果】

本考案によれば、上述の如く、複数のシート固着具をそれらの配置間隔を決め るための間隔材によって連結した構成としたので、シート固着具全てについて位 置決めのためのマーキングが不要となり、シート固着具の位置決めを迅速且つ正 確に行うことができ、シート固着具を速く正確に吹付コンクリート面に固定する ことができる。この結果、シート固着具の固定のための作業の効率を著しく改善 することができ、その作業コストを大幅に低減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による間隔材付防水シート固着具の実施
の形態の一例を示す斜視図。

【図２】図１に示した各シート固着具を拡大して示す図
であり、（ａ）はその平面図、（ｂ）はその正面図。

【図３】図１に示した間隔材付防水シート固着具を用い
てトンネル内の吹付コンクリート面へ複数のシート固着
具を固定するための作業手順を説明するためのトンネル
の断面図。

【図４】図３に示したトンネルの縦断面図。

【符号の説明】

１ 間隔材付防水シート固着具 ２ シート固着具 ３ 間隔材 ２１ 本体 ２１Ａ 一方の表面 ２１Ｂ 孔 ２２ 面ファスナー Ｔ トンネル Ｗ 吹付コンクリート ＷＡ 吹付コンクリート面

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 トンネル内壁の吹付コンクリート面に防
   水シートを張り付けるため前記吹付コンクリート面に固
   定される複数のシート固着具を有し、各シート固着具が
   それぞれ板状の本体の一方の表面に面ファスナーを設け
   て成り、相隣るシート固着具の本体同志を所要の配置間
   隔に対応した長さの柔軟性を有する紐状体から成る間隔
   材で連結したことを特徴とする間隔材付防水シート固着
   具。