JP3044349B1 - 印刷版受渡し装置 - Google Patents

Abstract

【要約】 【課題】台車と天井走行車との間の印刷版の受渡しを自
動的に且つ騒音を起こすことなく行うようにする。 【解決手段】天井走行車１３の昇降台５が上下に通過可
能なくし歯状の荷台部１７を有し、地上側で起立状態に
ある荷台部１７を水平状態にして天井走行車１３の昇降
台５に侵入可能とされた印刷版受渡し台車６と、地上側
において印刷版受渡し台車６の荷台部１７から印刷版２
を受け取るバッファリング台８と、荷台部１７の背後か
ら印刷版２をバッファリング台８へ押し出す傾動アーム
９とで印刷版受渡し装置１を構成し、バッファリング台
８の下端面を印刷版２の下端を案内する下り勾配の支持
面１９としている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、製造された印刷版
を天井走行車で印刷機の近くまで搬送し、天井走行車か
ら印刷版を受け取り、バッファリング台へ移載するため
の印刷版受渡し装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】印刷機等に使用される印刷版は、製造し
た場所から印刷機へ供給するまでの間を台車及び天井走
行車等を利用することで行っている。従来は、これらの
天井走行車と台車間の印刷版の受渡しを人手に頼ってい
た。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このように、従来で
は、天井走行車と台車間の印刷版の受渡し（セット及び
回収）を人手で行っているため、極めて非能率的であ
り、作業員に過度の負担を強いることになっていた。ま
た、これらの印刷版は、アルミニウム材又はプラスチッ
ク製であり、特にアルミニウム材である場合は、積層し
た複数枚の印刷版を受渡す時に、印刷版どうしが接触
し、傷を付けたり、騒音（金属騒音）を発するという欠
点があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は従来の前記課題
に鑑みてこれを改良除去したものであって、台車と天井
走行車との間の印刷版の受渡しを自動的に且つ傷を付け
ずに騒音を起こすことなく行うことのできる装置を提供
せんとするものである。

【０００５】而して、前記課題を解決するために本発明
が採用した手段は、天井走行車の昇降台が上下に通過可
能なくし歯状の荷台部を有し、地上側で起立状態にある
荷台部を水平状態にして天井走行車の昇降台に侵入可能
とされた印刷版受渡し台車と、地上側において印刷版受
渡し台車の荷台部から印刷版を受け取るバッファリング
台と、荷台部の背後から印刷版をバッファリング台へ押
し出す傾動アームとを有し、バッファリング台の下端面
を印刷版の下端を案内する下り勾配の支持面としたこと
を特徴とする印刷版受渡し装置である。この発明の装置
では、天井走行車の昇降台が印刷版受渡し台車のくし歯
状の荷台部を上下に通過すると、昇降台に積載された印
刷版は、受渡し台車のくし歯状の荷台部に移載される。
次に、受渡し台車は地上側へ降りて待機する。そして、
受渡し台車に対してバッファリング台が対向して位置
し、傾動アームがくし歯状の荷台部の背面側から印刷版
を前記バッファリング台へ向けて回動しながら押し出
す。このとき、印刷版の下端面は、バッファリング台の
下り勾配面を滑って移動し、バッファリング台の収納部
の隅角部へ当接する。そして、印刷版の上端側は傾動ア
ームの回動に連れて起立し、反対側へ静かに倒れてバッ
ファリング台へ移載される。そのため、印刷版どうしの
接触等による騒音を低減することが可能である。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下に、本発明の構成を図面に示
す発明の実施の形態に基づいて説明すると次の通りであ
る。図１〜図６は、本発明の一実施の形態に係る印刷版
受渡し装置１を示すものであり、図１は印刷版２の供給
台車３及びその走行レール４ａ，４ｂ並びに天井走行車
の昇降台５を示す側面図、図２は同正面図、図３は昇降
台５の正面図、図４は昇降台５の側面図、図５は印刷版
２を印刷機へ供給する受渡し台車６及びその走行レール
７ａ，７ｂ、バッファリング台８、傾動アーム９、天井
走行車の昇降台５を示す側面図、図６は図５の部分拡大
図である。

【０００７】図１及び図２に示す如く、供給台車３の走
行レール４ａ，４ｂの設置方向と、天井走行車１３の走
行方向とは直交する関係にあり、供給台車３は駆動チエ
ーン１０によって走行レール４ａ，４ｂ上を図１の実線
で示す地上側の位置と、同図の鎖線で示す昇降台５の真
下の位置（天井側）との間を往復移動できるようになっ
ている。供給台車３の前部側両サイドは走行レール４ａ
に装着され、後部側両サイドは走行レール４ｂに装着さ
れている。そのため、地上側へ降りた状態では、斜めに
起立した姿勢となり、天井側へ登った状態では水平の姿
勢をとるようになる。また供給台車３は、Ｌ字形状でく
し歯状の荷台部１１を有し、印刷版２を複数枚積層でき
るようになっている。

【０００８】天井走行車の昇降台５は、図３及び図４に
示すように、Ｌ字形状でくし歯状の荷台部１２を有し、
天井走行車１３に昇降自在に取り付けられている。この
くし歯状の荷台部１２と、前記供給台車３のくし歯状の
荷台部１１とは、相互に交叉することなく、昇降台５の
荷台部１２が供給台車３の荷台部１１に対して上下方向
に通過できるようになされている。また天井走行車１３
は、天井側から吊下げ支柱１４及びビーム１５によって
空中に架設された走行レール１６に往復移動できるよう
に装着されている。

【０００９】受渡し台車６の構成は、基本的には前述し
た供給台車３と同じであり、図５に示す如く、駆動チエ
ーン１０によって走行レール７ａ，７ｂ上を同図の実線
で示す地上側の位置と、同図の鎖線で示す昇降台５の真
下の位置（天井側）との間を往復移動できるようになっ
ている。しかも、受渡し台車６の前部側両サイドは走行
レール７ａに装着され、後部側両サイドは走行レール７
ｂに装着されている。そのため、地上側へ降りた状態で
は、斜めに起立した姿勢となり、天井側へ登った状態で
は水平の姿勢をとるようになる。またこの受渡し台車６
も、Ｌ字形状でくし歯状の荷台部１７を有し、印刷版２
を複数枚積層できるようになっている。更に、受渡し台
車６の走行レール７ａ，７ｂの設置方向と、天井走行車
１３の走行方向とは直交する関係にある。

【００１０】バッファリング台８は、地上側での受渡し
台車６の正面側に位置し、受渡し台車６とＶ字状を形成
するように配置されている。またバッファリング台８
は、複数枚の印刷版２を受け取ることができるように、
その収納部１８を有しており、印刷版２の下端面を支持
する支持面１９は、図５の右側から左側へ向けて下り勾
配とされている。この支持面１９の奥部（図５及び図６
の左側）には、印刷版２を静かに且つ傷つけることなく
受け取ることができるように、緩衝材２２が配設されて
いる。一方、傾動アーム９は、地上側での受渡し台車６
の背面側に位置し、下端側が枢軸２０を中心にして揺動
できるようにモーター２１に連結されている。また傾動
アーム９は、前記揺動動作に際し、受渡し台車６のくし
歯状の荷台部１７の間を通過し、印刷版２をバッファリ
ング台８へ押し出して移載できるようになっている。

【００１１】次に、このように構成された印刷版受渡し
装置１の動作態様を説明する。動作開始に際し、天井走
行車１３は、供給台車３の走行レール４ａ，４ｂと交叉
する位置で待機している。そして、昇降台５は、天井走
行車１３に対して下降した位置にあり、そのくし歯状の
荷台部１２は、上昇位置へ移動してきた供給台車３のく
し歯状の荷台部１１よりも下方にある。このような状態
から印刷版製造所で製版された印刷版２が、製造所の搬
出側に配置された供給台３に複数枚供給されて移載され
る。そして、駆動チエーン１０によって、供給台３は走
行レール４ａ及び４ｂ上を登るようになり、地上側で斜
めに起立した姿勢から次第に水平姿勢へと移行し、その
終端側で空中で待機する天井走行車１３の昇降台５の荷
台部１２内へ侵入する（図２参照）。

【００１２】このようにして昇降台５の荷台部１２内へ
侵入して上昇動作が終了すると、次は昇降台５が上昇を
始める。昇降台５の上昇に伴い、供給台３のくし歯状の
荷台部１１に積層載置された状態の印刷版２は、昇降台
５のくし歯状の荷台部１２によって下方から掬い取られ
てこれに移載される。そして、昇降台５の荷台部１２が
天井走行車１３の位置へ戻り、荷台部１２の下端面の高
さが供給台３のくし歯状の荷台部１１の上端面の高さよ
りも高くなると、天井走行車１３は天井レール１６上を
走行して印刷機への印刷版２の受渡しステーションへと
移動する。

【００１３】印刷版２の受渡しステーションでは、受渡
し台車６が走行レール７ａ及び７ｂを登り切った天井側
の終端部で待機している。天井走行車１３の昇降台５
は、天井走行車１３が受渡しステーションへ到着する
と、下降動作を開始する。下降動作の途中において、荷
台部１２に載置された印刷版２は受渡し台車６のくし歯
状の荷台部１７に移載され、昇降台５のくし歯状の荷台
部１２は前記受渡し台車６の荷台部１７よりも下方に位
置するようになる。

【００１４】然る後は、受渡し台車６が走行レール７ａ
及び７ｂに案内されて下降動作を開始し、地上側に降り
た状態では斜めに起立した姿勢となり、対向する位置で
待機しているバッファリング台８と向き合うようにな
る。続いて、傾動アーム９が図５及び図６の反時計方向
に回動を始める。傾動アーム９の回動は、受渡し台車６
の荷台部１７を構成するくし歯どうしの間からこれに積
層された印刷版２の背面側を押し出す。この押し出しに
より、印刷版２は、その下端面がバッファリング台８の
下り勾配の支持面１９を滑り、収納部１８の隅角部の緩
衝材２２に当接する。そして、この状態で当該隅角部を
中心に印刷版２が回動し、直立状態になった後、反対側
のバファリング台８の収納部１８に緩やかに倒れてこれ
に移載支持される。そのため、移載時の印刷版２に起因
する接触騒音を低減することが可能である。また印刷版
２どうしが強く接触することがなくなく、相互に傷付く
等のこともない。その後、傾動アーム９は、元の状態へ
回動復帰する。印刷版２がバッファリング台８へ移載さ
れると、バッファリング台８は印刷機の方へ移動する。
そして、印刷版２が印刷機へ装着される。なお、印刷版
２を回収する場合は、上述した動作を逆の順序で行えば
よい。

【００１５】

【発明の効果】以上説明したように本発明にあっては、
天井走行車の昇降台が上下に通過可能なくし歯状の荷台
部を有し、地上側で起立状態にある荷台部を水平状態に
して天井走行車の昇降台に侵入可能とされた印刷版受渡
し台車と、地上側において印刷版受渡し台車の荷台部か
ら印刷版を受け取るバッファリング台と、荷台部の背後
から印刷版をバッファリング台へ押し出す傾動アームと
で印刷版受渡し装置を構成し、バッファリング台の下端
面を印刷版の下端を案内する下り勾配の支持面としたか
ら、受渡し台の荷台部に対して天井走行車の昇降台の荷
台部を上下に通過させるだけで、天井走行車の昇降台の
荷台部から受渡し台車の荷台部へ印刷版を移載すること
ができる。また受渡し台車に対してバッファリング台が
対向して位置し、傾動アームがくし歯状の荷台部の背面
側から印刷版を前記バッファリング台へ向けて回動しな
がら押し出すが、このとき、印刷版の下端面は、バッフ
ァリング台の下り勾配面を滑って移動し、バッファリン
グ台の収納部の隅角部の緩衝材へ当接する。然る後は、
印刷版の上端側が傾動アームの回動に連れて起立し、反
対側へ静かに倒れてバッファリング台へ移載される。そ
のため、印刷版どうしの接触等による騒音が低減され、
印刷版どうしが傷付く等のこともない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態に係るものであり、印刷
版の供給台車及びその走行レール並びに天井走行車の昇
降台を示す側面図である。

【図２】本発明の一実施の形態に係るものであり、印刷
版の供給台車及びその走行レール並びに天井走行車の昇
降台を示す正面図である。

【図３】本発明の一実施の形態に係るものであり、昇降
台の正面図である。

【図４】本発明の一実施の形態に係るものであり、昇降
台の側面図である。

【図５】本発明の一実施の形態に係るものであり、印刷
版を印刷機へ供給する受渡し台車及びその走行レール、
バッファリング台、傾動アーム、天井走行車の昇降台を
示す側面図である。

【図６】本発明の一実施の形態に係るものであり、図５
の部分拡大図である。

【符号の説明】

１…印刷版受渡し装置 ２…印刷版 ５…昇降台 ６…印刷版受渡し
台車 ８…バッファリング台 ９…傾動アーム １２…昇降台の荷台部 １３…天井走行車 １７…受渡し台車の荷台部 １９…下り勾配支
持面

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高田 泰範 東京都台東区台東１丁目５番１号 凸版 印刷株式会社内 (56)参考文献 特開 平11−58675（ＪＰ，Ａ) 特開 平６−297686（ＪＰ，Ａ) 実公 昭58−34094（ＪＰ，Ｙ２) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B41F 13/00

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】天井走行車の昇降台が上下に通過可能なく
   し歯状の荷台部を有し、地上側で起立状態にある荷台部
   を水平状態にして天井走行車の昇降台に侵入可能とされ
   た印刷版受渡し台車と、地上側において印刷版受渡し台
   車の荷台部から印刷版を受け取るバッファリング台と、
   荷台部の背後から印刷版をバッファリング台へ押し出す
   傾動アームとを有し、バッファリング台の下端面を印刷
   版の下端を案内する下り勾配の支持面としたことを特徴
   とする印刷版受渡し装置。