JP3040184B2 - (1→3)−β−D−グルカン用測定剤 - Google Patents

(1→3)−β−D−グルカン用測定剤

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JP3040184B2
JP3040184B2 JP3073652A JP7365291A JP3040184B2 JP 3040184 B2 JP3040184 B2 JP 3040184B2 JP 3073652 A JP3073652 A JP 3073652A JP 7365291 A JP7365291 A JP 7365291A JP 3040184 B2 JP3040184 B2 JP 3040184B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カブトガニ・アメボサ
イト・ライセートを用いる(1→3)−β−D−グルカ
ン用測定剤に関する。
【0002】
【従来の技術】カブトガニ・アメボサイト・ライセート
(以下単にライセートという)を使用して、エンドトキ
シンを測定する方法が知られている。この方法は、微量
のエンドトキシンによりライセートが凝固することに基
づいているが、その後の生化学的解明により、該反応は
いくつかの凝固因子の段階的活性化より成ることが明ら
かにされている(中村隆範他、日本細菌学雑誌、38
781−803(1983))。
【0003】この反応を、例えば日本産カブトガニ(Ta
chypleus tridentatus)から得られるライセートによ
り、図1を用いて説明すると、ライセートにエンドトキ
シンが加わると、ライセート中に存在するC因子(エン
ドトキシン感受性因子、分子量123,000)が活性
化され、生成した活性型C因子がB因子(分子量64,
000)の特定箇所を限定水解して活性型B因子を生成
し、活性型B因子はプロクロッティングエンザイム(分
子量54,000)を活性化してクロッティングエンザ
イムに変換し、クロッティングエンザイムはコアギュロ
ーゲン(凝固タンパク、分子量19,723)のジスル
フィド結合で架橋されたループ内の特定箇所を、すなわ
ち…Arg18−Thr19…の間および…Arg46−Gl
47…の間を限定水解してH−Thr19…Arg46−O
Hで表されるペプチドC(アミノ酸28残基)を遊離し
つつ残余の部分がコアギュリンゲルに変換される、とい
う一連の反応(カスケード反応とも言う)である。
【0004】一方、このカスケード反応は、エンドトキ
シンのみではなく、ライセートに(1→3)−β−D−
グルカンが加わると図1におけるG因子が活性化され、
生成する活性型G因子がプロクロッティングエンザイム
をクロッティングエンザイムに活性化し、以下エンドト
キシンの場合と同様に反応してコアギュリンゲルを生成
する。
【0005】また、上記カスケード反応により生成する
クロッティングエンザイムは、反応系に別に添加され
る、例えばt−ブトキシカルボニル−ロイシル−グリシ
ル−アルギニン−パラ−ニトロアニリド(BOC−Le
u−Gly−Arg−pNA)のパラーニトロアニリン
を遊離させるので、生成する発色物質パラーニトロアニ
リンの吸光度を測定することによりエンドトキシンまた
は(1→3)−β−D−グルカンの定量を行うことがで
きる。その作用を利用して、後記する実施例における
(1→3)−β−D−グルカンの特異的測定に使用して
いる。
【0006】一方、従来から、ライセート中のG因子を
用いることにより(1→3)−β−D−グルカンを測定
する方法が報告されている(ObayashiT. et al., Clin.
Chim. Acta, 149, 55-65 (1985))。
【0007】しかし、この方法は、ライセートをゲルろ
過法によりあるいはヘパリンまたはデキストラン硫酸を
固定化したアフィニティー担体を用いるクロマトグラフ
ィーにより分画し、エンドトキシン感受性因子のC因子
を除去して、G因子とクロッティングエンザイムとで
(1→3)−β−D−グルカンを測定する方法であっ
て、極めて煩雑な操作を必要とする方法である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、改良された
方法により得られた、エンドトキシン感受性因子を実質
的に含まないライセートからなる(1→3)−β−D−
グルカン用測定剤を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、カブトガニ・
アメボサイト・ライセートを、または該ライセートとデ
キストランとの混合物を、ポリアミド系不溶性担体に接
触させて得られるエンドトキシン感受性因子を実質的に
含まないライセートからなる(1→3)−β−D−グル
カン用測定剤である。
【0010】ライセートとしては、リムルス・ポリフェ
ムス(L. polyphemus 、アメリカ産)、タキプレウス・
トリデンタツス(T. tridentatus、日本、中国産)、タ
キプレウス・ギガス(T. gigas、タイ国、マレーシア半
島産)、カルシノスコルピウス・ロツンディカウダ(C.
rotundicauda 、タイ国、マレーシア半島産)等のカブ
トガニ血リンパから、通常の方法により調製した血球抽
出液を挙げることができる。
【0011】ポリアミド系不溶性担体に、カブトガニ・
アメボサイト・ライセートを接触させる方法としては、
膜状の該担体にライセートを通過させ、その通過液を採
取する方法、粒状の担体を充填したカラムにライセート
を通過させてその素通り液を採取する方法、適当な大き
さの担体(例えば、チップ状の担体)にライセートを接
触させた後に、遠心分離、ろ過等の手法により該担体を
除去する方法等を挙げることができる。
【0012】また、該担体にライセートを接触させる
際、ライセートにデキストランを混合しておくことによ
り、さらにエンドトキシン感受性因子の該担体への吸着
作用を増大させることができ、かつ(1→3)−β−D
−グルカンに対する測定感度も高めることができる。
【0013】用いるデキストランとしては平均分子量
5,000〜5,000,000、好ましくは10,0
00〜100,000の範囲を挙げることができる。
【0014】平均分子量が5,000より下のデキスト
ランはエンドトキシン感受性因子の吸着効果が弱く使用
することができない。また5,000,000より上の
ものは粘性が高すぎて使用することができない。
【0015】本発明に使用するポリアミド系不溶性担体
としては、膜状、粒状、チップ状等の形態を有する酸ア
ミド結合の繰り返しによって主鎖を構成する結晶性の線
状高分子物質であり、ジアミンとジカルボン酸との重縮
合物ないしは、ω−アミノカルボン酸または相当するラ
クタムから重縮合によって合成された化合物(例えばナ
イロン6、ナイロン66等)等を挙げることができる。
【0016】本発明により、(1→3)−β−D−グル
カンを測定する生体試料としては、血液、血漿、血清、
脳脊髄液、腹水、関節液、胸水、乳汁、尿等の、体液、
浸出液、排泄液等を挙げることができる。
【0017】本発明の測定剤を用いて(1→3)−β−
D−グルカンを測定するには、前述の発色合成基質ある
いは発蛍光合成基質を反応液中に共存させ、クロッティ
ングエンザイムのアミダーゼ活性を測定する方法、凝固
反応によるゲル形成を検査する方法等を採用することが
できる。
【0018】
【作用】本発明は、ポリアミド系不溶性担体に(1→
3)−β−D−グルカン感受性因子の活性が損なわれる
ことなく、ライセート中のエンドトキシン感受性因子が
吸着除去されることによって、(1→3)−β−D−グ
ルカンにのみ反応するライセートが得られる。また、該
担体にライセートを接触させる際に、ライセートにデキ
ストランを混合してライセートの粘性を上げることによ
って、該吸着除去の効果を高める。
【0019】
【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。
【0020】実施例1 カブトガニ(T. tridentatus)血リンパ液500mlを4
℃、1,500rpm で10分間遠心し、その沈殿部分
(アメボサイト)約20g に100mlの0.02M トリ
ス−塩酸緩衝液(pH8.0)を加え、ホモゲナイザー
(ポリトロンR PT10(商品名)、Kinematica社製
造)にて均一に破砕および抽出し、10,000×Gで
30分間冷却遠心し、上澄液と沈殿物とを採取した。得
られた沈殿物をさらに60mlの緩衝液にて2回抽出し、
最終的に200mlのライセートを得た。
【0021】以下の方法で5種類の試薬を調製し、エン
ドトキシンおよび(1→3)−β−D−グルカンに対す
る反応性を比較検討した。
【0022】A剤は、0.8M 塩化マグネシウム200
μl と6mMBoc−Leu−Gly−Arg−pNA2
00μl の混液(以下MS混液)にライセート880μ
l を添加し、凍結乾燥することにより調製した無処理の
ライセートである。
【0023】B剤は、ライセート1.2mlを0.20μ
m のナイロン膜(ナルゲンシリンジフィルター(商品
名)、直径25mm、ナルジェ社製)に通過させた後、そ
のろ液880μl をMS混液に添加し、凍結乾燥するこ
とにより調製した本発明のナイロン膜処理ライセートで
ある。
【0024】C剤は、ライセート1.2mlを0.22μ
m のポリビニリデンフロライド膜(マイレクスGV(商
品名)、直径25mm、ミリポア社製)に通過させた後、
そのろ液880μl をMS混液に添加し、凍結乾燥する
ことにより調製した比較のライセートである。
【0025】D剤は、ライセート1.2mlを0.20μ
m のポリテトラフルオロエチレン膜(マイレクスFG
(商品名)、直径25mm、ミリポア社製)に通過させた
後、そのろ液880μl をMS混液に添加し、凍結乾燥
することにより調製した比較のライセートである。
【0026】E剤は、ライセート1.2mlを0.20μ
m のポリスルフォン膜(アクロディスク(商品名)、直
径25mm、ゲルマン社製)に通過させた後、そのろ液8
80μl をMS混液に添加し、凍結乾燥することにより
調製した比較のライセートである。
【0027】上記5種類の試薬それぞれに2.2mlの
0.2M トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)を加えて溶解
し、その溶液0.1mlにエンドトキシン(25 Pg/ml)
および(1→3)−β−D−グルカン(30 Pg/ml)各
々0.1mlを添加して、37℃で30分間加温した。5
種類の試薬に対する試料の反応性は、30分後に生じた
pNA(パラニトロアニリン)を、0.5mlの0.04
%亜硝酸ナトリウム(0.48M 塩酸溶液)、0.3%
スルファミン酸アンモニウム、0.7%N−(1−ナフ
チル)エチレンジアミン二塩酸塩を順次添加して発色さ
せ、545nmの吸光度値で示した。
【0028】その結果を表1に示した。この結果から、
ポリアミド系膜であるナイロン膜を一度通過させたライ
セートを使用すれば、エンドトキシンの影響を受けず
に、(1→3)−β−D−グルカンを特異的に定量する
ことができる。
【0029】
【表1】
【0030】*…((1→3)−β−D−グルカンの調
製法)国際特許公開第90/02951(1990)に
準じ、カードラン(和光純薬工業販売)の1g を約10
0mlの5mM NaOH水溶液に懸濁し、氷冷下で音波発
生機、ソニケーターTM(大岳製作所、型式5202PZ
T、東京)により20KHz 、80W で12分間音波処理
による低分子化を行った。処理液を5M NaOH水溶液
を用い、最終0.3M 水溶液とし、ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー;GPCカラム:TSK gel
G3000PW×L 2本、G2500PW×L 1
本、移動相:0.3M NaOH水溶液、流速0.5ml/
min)により分画採取し、再クロマトグラフィーにより分
子量216,000のGPC分画精製標品((1→3)
−β−D−グルカン標品)を得た。
【0031】実施例2 実施例1で調製した原料ライセート40mlに同量の蒸留
水を加えた(以下ライセート+DW)。また該ライセー
ト40mlに同量の15%(W/V)デキストラン(分子
量40,000)水溶液を加え、3,500rpm で10
分間遠心してその上清を得た(以下ライセート+D
x)。
【0032】以下の方法で4種類の試薬を調製し、エン
ドトキシンおよび(1→3)−β−D−グルカンに対す
る反応性を比較検討した。
【0033】F剤はMS混液にライセート+DW1.7
6mlを添加し、凍結乾燥することにより調製した無処理
のライセート+DWである。
【0034】G剤は、MS混液にライセート+Dx1.
76mlを添加し、凍結乾燥することにより調製した無処
理のライセート+Dxである。
【0035】H剤は、ライセート+DW5.0mlを0.
20μm のナイロン膜(ナルゲンシリンジフィルター)
に通過させた後、そのろ液1.76mlをMS混液に添加
し、凍結乾燥することにより調製した本発明のナイロン
膜処理ライセート+DWである。
【0036】I剤は、ライセート+Dx5.0mlを0.
20μm のナイロン膜(ナルゲンシリンジフィルター)
に通過させた後、そのろ液1.76mlをMS混液に添加
し、凍結乾燥することにより調製した本発明のナイロン
膜処理ライセート+Dxである。
【0037】上記4種類の試薬それぞれに2.2mlの
0.2M トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)を加えて溶解
し、その溶液0.1mlにエンドトキシン(25 Pg/ml)
および(1→3)−β−D−グルカン(30 Pg/ml)各
々0.1mlを添加して、37℃で30分間加温し、実施
例1と同様にして各種の試薬に対する試料の反応性を調
べた。その結果を表2に示した。この結果から、あらか
じめライセートにデキストランを共存させておくと、エ
ンドトキシン感受性因子の吸着効果を高めるとともに、
(1→3)−β−D−グルカンに対する感度を著しく高
めることができることがわかる。
【0038】
【表2】
【0039】実施例3 カブトガニ(L. polyphemus)血リンパ液600mlを4
℃、1,500rpm で10分間遠心し、その沈殿部分
(アメボサイト)約23g に110mlの0.02Mトリ
ス−塩酸緩衝液(pH8.0)を加え、ホモゲナイザー
(ポリトロンR PT10)にて均一に破砕および抽出
し、10,000×Gで30分間冷却遠心し、上澄液と
沈殿物とを採取した。得られた沈殿物をさらに65mlの
緩衝液にて2回抽出し、最終的に220mlのライセート
を得た。同ライセート20mlに同量の15%(W/V)
デキストラン(分子量70,000)を加え、3,50
0rpmで10分間遠心後、その上清をD−ライセートと
した。これを用いて、以下の方法で2種類の試薬を調製
し、エンドトキシンおよび(1→3)−β−D−グルカ
ンに対する反応性を比較検討した。
【0040】J剤はMS混液にD−ライセート1.76
mlを添加し、凍結乾燥することにより調製した無処理の
ライセート+Dxである。
【0041】K剤は、D−ライセート10mlを0.20
μm のナイロン膜(ナルゲンメディアプラスフィルター
ユニット(商品名)、直径90mm、ナルジェ社製)に通
過させた後、そのろ液1.76mlをMS混液に添加し、
凍結乾燥して調製した本発明のナイロン膜処理ライセー
ト+Dxである。
【0042】上記2種類の試薬それぞれに2.2mlの
0.2M トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)を加えて溶解
し、その溶液0.1mlにエンドトキシン(25pg/m
l)及び(1→3)−β−D−グルカン溶液(30pg
/ml)各々0.1mlを添加して、37℃で30分間加温
し、実施例1と同様にして、反応性を比較検討した。そ
の結果を表3に示した。ポリアミド系膜であるナイロン
膜を通過させたライセートはエンドトキシンとは反応せ
ず、(1→3)−β−D−グルカンとのみ反応すること
が明らかである。また、ライセートにデキストランを共
存させてから処理すると、(1→3)−β−D−グルカ
ンに対する感度を著しく高めることがわかる。
【0043】
【表3】
【0044】実施例4 市販ゲル化法リムルステスト試薬を使用する(1→3)
−β−D−グルカン用測定剤の調製 市販のライセート製品すなわちゲル化法リムルステスト
試薬を使用して、目的とする(1→3)−β−D−グル
カン用測定剤を以下のように調製した。
【0045】L剤はプレゲル−M(生化学工業販売ライ
セート、Lot. AB-01)を2.6mlの注射用蒸留水に溶解
した後、0.20μm のナイロン膜(組織培養フィルタ
ーユニットTC(商品名)、直径47mm、ナルジェ社)
に通過させ、そのろ液を使用した本発明のナイロン膜処
理ライセート+DWである。
【0046】M剤は無処理のプレゲル−Mである。
【0047】N剤はリムルスHSII−テストワコー(和
光純薬工業販売ライセート、Lot. EMM090)を5.0mlの
注射用蒸留水に溶解した後、同様に組織培養フィルター
ユニットTCに通過させ、そのろ液2.6mlを凍結乾燥
することにより調製したナイロン膜処理のライセート+
DWである。
【0048】O剤は無処理のリムルスHSII−テストワ
コーである。
【0049】注射用蒸留水を用い、M剤およびN剤は
2.6ml、O剤は5.0mlで溶解した。L〜O剤の0.
1mlに注射用蒸留水(ブランク)、エンドトキシン(E.
coli0111:B4 由来)および(1→3)−β−D−グル
カンを別々に0.1ml加え、37℃で60分間静置加温
し、ゲル形成の有無を調べた。その結果を表4に示し
た。表中、+はゲルを形成したことを、−はゲルを形成
しなかったことを表す。表4から明らかなように、Lお
よびN剤は(1→3)−β−D−グルカンとのみ反応す
る目的に適したライセートであることがわかる。
【0050】
【表4】
【0051】(1→3)−β−D−グルカンは、真菌細
胞壁の構成多糖体としても知られ、(1→3)−β−D
−グルカンを測定することにより、体内における真菌の
存在を検知することができる。以下、実施例5〜7にお
いて、本発明の方法による真菌の検出例をあげる。
【0052】実施例5(血漿検体の測定) 真菌による敗血症を疑った入院中の重症血液疾患(急性
リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫等)
を有する患者11例を対象に、それぞれ無菌的に採血し
たヘパリン加血漿を試料として、4℃で150×G、1
0分間遠心して多血小板血漿を得た。その0.1mlに
0.32M 過塩素酸0.2mlを加え、37℃で20分間
加温し、析出物を遠心(3,000rpm 、10分間)除
去し、その上清0.05mlに0.18M NaOHを0.
05ml加えて中和し被検液とした。
【0053】ひきつづき実施例2に記載の方法で調製し
た本発明の(1→3)−β−D−グルカン測定剤(I
剤)0.1mlを加え、37℃で30分間加温した。その
反応液に0.04%亜硝酸ナトリウム(0.48M 塩酸
溶液)、0.3%スルファミン酸アンモニウム、0.0
7%N−1−ナフチルエチレンジアミン二塩酸塩を各
0.5ml順次加えてジアゾカップリングし、545nmで
その吸光度を測定して、別に作成した検量線(図2)に
より(1→3)−β−D−グルカン換算量として表し
た。表5に示すように全例(No. 1〜No. 11)におい
て高濃度の(1→3)−β−D−グルカンが検出され
(健常人:0.2±0.3pg/ml)、そのうちの5例
(No. 1〜No. 5)は、血培にて、カンジダ・アルビカ
ンス(Candida albicans)、カンジダ・グリエルモンデ
ィ(Candida guilliermondii) 、カンジダ・トロピカリ
ス(Candida tropicalis)、カンジダ・クルセイ(Cand
ida krusei)およびクリプトコッカス・ネオフォルマン
ス(Cryptococcus neoformans)をそれぞれ検出し、2例
(No. 6及びNo. 7)は血培では陰性であったが、死亡
後の解剖による組織病理学的検査によりアスペルギルス
・フミガツス(Aspergillus fumigatus)を検出した。さ
らに残り4例(No. 8〜No. 11)については、臨床症
状、経過、薬剤感受性等から真菌感染を強く疑ったにも
かかわらず血培では陰性であったが、抗真菌剤(アンホ
テリシン、ミコナゾール、フルコナゾール)投与によ
り、臨床的に顕著な改善を見た。従って、本発明の測定
剤は真菌感染症とりわけ通常の検査法では診断がきわめ
て困難な深在性真菌感染症の迅速診断法として、適切に
用いられることが理解できる。
【0054】
【表5】
【0055】実施例6(尿検体の測定) 入院中に尿路感染症を併発した症例で、尿培養でカンジ
ダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グ
ラブレイタ(Candida glabrata)を検出した3症例につ
き、本発明の測定剤により尿中の(1→3)−β−D−
グルカンを定量した。尿は中間尿を無菌的に滅菌採尿コ
ップに採取し、その0.005mlに注射用蒸留水0.1
mlを加えた後、実施例1に記載の本発明の(1→3)−
β−D−グルカン用測定剤(B剤)0.1mlを加え、3
7℃で30分間加温した。前記と同様にジアゾカップリ
ング後、545nmでその溶液の吸光度を測定し、別に作
成した検量線より(1→3)−β−D−グルカン換算値
として表した。表6に示すように3例中全例において高
濃度の(1→3)−β−D−グルカンが検出され(健常
人:10pg/ml以下)、本発明の測定剤は真菌性尿路感
染症の迅速診断法として、適切に用いられることが理解
できる。
【0056】
【表6】
【0057】実施例7(脳脊髄液検体の測定) 入院中に髄膜炎を疑われ、髄液中にクリプトコッカス・
ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)を検出し
た真菌性髄膜炎の3症例につき、腰椎穿刺にて無菌的に
採取した髄液0.05mlに注射用蒸留水0.05mlを加
え、さらに実施例3に記載の本発明の(1→3)−β−
D−グルカン用測定剤(K剤)0.1mlを加え、37℃
で30分間加温した。前記と同様にジアゾカップリング
後、545nmでその溶液の吸光度を測定し、別に作成し
た検量線より(1→3)−β−D−グルカン換算値とし
て表した。表7に示すように、3例中全例において高濃
度の(1→3)−β−D−グルカンが検出され(健常
人:1pg/ml以下)、本発明の測定剤は真菌性髄膜炎の
迅速診断法として適切に用いられることが理解できる。
【0058】
【表7】
【0059】
【発明の効果】本発明はライセートを用いて(1→3)
−β−D−グルカンを特異的に測定するための、エンド
トキシン感受性因子を含まない測定剤を提供するもので
あり、血液や尿をはじめとした生体試料中に存在する真
菌由来の(1→3)−β−D−グルカンを迅速簡便かつ
高い精度で測定することが可能である。菌培養法等に代
表される通常の検査法では診断困難な深在性真菌感染症
の迅速診断ならびに適切な治療法および治療効果の判定
に利用することができる。
【0060】さらに本発明の測定剤は、注射用蒸留水、
注射薬および医療用具に混入する(1→3)−β−D−
グルカンを迅速かつ正確に測定することを可能とし、ま
た(1→3)−β−D−グルカンに代表される抗腫瘍性
多糖のスクリーニングにも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カブトガニ・アメボサイト・ライセートのエン
ドトキシンならびに(1→3)−β−D−グルカンによ
る反応機構を示す。
【図2】I剤の(1→3)−β−D−グルカンに対する
検量線を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−138193(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12Q 1/25 - 1/66 G01N 33/579 BIOSIS(DIALOG) EPAT(QUESTEL) WPI(DIALOG)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カブトガニ・アメボサイト・ライセート
    をポリアミド系不溶性担体に接触させて得られる、エン
    ドトキシン感受性因子を実質的に含まないライセートか
    らなる、(1→3)−β−D−グルカン用測定剤。
  2. 【請求項2】 カブトガニ・アメボサイト・ライセート
    が、デキストランを含有するライセートである、請求項
    1記載の測定剤。
  3. 【請求項3】 カブトガニ・アメボサイト・ライセート
    をポリアミド系不溶性担体に接触させて、エンドトキシ
    ン感受性因子を実質的に含まないライセートを得る工程
    を含む、(1→3)−β−D−グルカン用測定剤の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2に記載の(1→3)−β
    −D−グルカン用測定剤に、検体を接触させる工程を含
    む、(1→3)−β−D−グルカンの測定方法。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2に記載の(1→3)−β
    −D−グルカン用測定剤を含む、真菌感染症診断薬。
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