JP3039093B2 - 糸条の浴中処理方法 - Google Patents
糸条の浴中処理方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は糸条の浴中処理方法に関
するものである。特に、太物糸条の熱水延伸性や水洗
性、油剤付与の均一性を向上せしめた単繊維間接着の少
ないアクリル系糸条の浴中処理方法に関するものであ
る。
するものである。特に、太物糸条の熱水延伸性や水洗
性、油剤付与の均一性を向上せしめた単繊維間接着の少
ないアクリル系糸条の浴中処理方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ポリアクリロニトリル系繊維は炭素繊維
の原糸(プリカーサ)として利用されており,性能の優
れた炭素繊維を得るために多くの改善技術が開示されて
いる。炭素繊維はその前駆体であるポリアクリロニトリ
ル系繊維を紡糸する製糸工程、200〜400℃の空気
雰囲気中で該繊維を加熱焼成して酸化繊維に転換する耐
炎化工程、窒素・ヘリウム・アルゴン等の不活性雰囲気
中でさらに300〜2500℃に加熱して炭化する炭化
工程を経ることで得られ(耐炎化工程、炭化工程をあわ
せて焼成工程と呼ぶ)、複合材料用強化繊維として航空
・宇宙用途やスポーツ用途、一般産業用途などに幅広く
利用されている。
の原糸(プリカーサ)として利用されており,性能の優
れた炭素繊維を得るために多くの改善技術が開示されて
いる。炭素繊維はその前駆体であるポリアクリロニトリ
ル系繊維を紡糸する製糸工程、200〜400℃の空気
雰囲気中で該繊維を加熱焼成して酸化繊維に転換する耐
炎化工程、窒素・ヘリウム・アルゴン等の不活性雰囲気
中でさらに300〜2500℃に加熱して炭化する炭化
工程を経ることで得られ(耐炎化工程、炭化工程をあわ
せて焼成工程と呼ぶ)、複合材料用強化繊維として航空
・宇宙用途やスポーツ用途、一般産業用途などに幅広く
利用されている。
【0003】これらのうち一般産業分野への用途拡大の
要求に応えるためには,第一に製造原価を軽減して,廉
価な炭素繊維を提示することが重要である。従来,炭素
繊維に係わる改善は性能の改善に関するものが多く,製
造原価の低減を目的としたものは少なかった。
要求に応えるためには,第一に製造原価を軽減して,廉
価な炭素繊維を提示することが重要である。従来,炭素
繊維に係わる改善は性能の改善に関するものが多く,製
造原価の低減を目的としたものは少なかった。
【0004】本発明者らは炭素繊維の原糸の製造方法に
関して、処理する糸条を太く(太糸条化)するととも
に,糸条幅を狭く(高密度化)することによって,限ら
れた設備のなかで生産量を増大させること,すなわち設
備生産性を向上させることを検討した。製糸工程での糸
条単位を太糸条化したりあるいは高密度化すると,とく
に浴中延伸工程で単繊維間接着が発生して、延伸での毛
羽や断糸,水洗不足が惹起されて原糸の製造工程におけ
る工程通過性が阻害されるのみならず,次の焼成工程に
おいても断糸や毛羽が発生して工程通過性を阻害すると
ともに得られる炭素繊維の物性をも低下させる原因にな
るのである。
関して、処理する糸条を太く(太糸条化)するととも
に,糸条幅を狭く(高密度化)することによって,限ら
れた設備のなかで生産量を増大させること,すなわち設
備生産性を向上させることを検討した。製糸工程での糸
条単位を太糸条化したりあるいは高密度化すると,とく
に浴中延伸工程で単繊維間接着が発生して、延伸での毛
羽や断糸,水洗不足が惹起されて原糸の製造工程におけ
る工程通過性が阻害されるのみならず,次の焼成工程に
おいても断糸や毛羽が発生して工程通過性を阻害すると
ともに得られる炭素繊維の物性をも低下させる原因にな
るのである。
【0005】これらの製糸工程での阻害要因は、糸条へ
の加熱や浴液の浸透が均一にならず処理斑が発生するこ
とにある。
の加熱や浴液の浸透が均一にならず処理斑が発生するこ
とにある。
【0006】本発明者はこの処理斑の発生原因が太糸条
化したり高密度化するときの糸幅規制により発生する糸
条の厚み斑に起因していることを突き止めた。従来、糸
条の浴中糸幅規制方法としては棒状あるいは円錐状のガ
イドで両側からはさむ方法が一般的であるが、この方法
では糸条端部に厚み斑ができ、例えば高張力で引っ張ら
れる延伸工程でこの厚み部分に単繊維間接着が発生す
る。このように本発明者らが目的としている太糸条や高
い糸条密度での浴中処理方法として従来の糸幅規制方法
では十分に目的を達成することが困難であった。
化したり高密度化するときの糸幅規制により発生する糸
条の厚み斑に起因していることを突き止めた。従来、糸
条の浴中糸幅規制方法としては棒状あるいは円錐状のガ
イドで両側からはさむ方法が一般的であるが、この方法
では糸条端部に厚み斑ができ、例えば高張力で引っ張ら
れる延伸工程でこの厚み部分に単繊維間接着が発生す
る。このように本発明者らが目的としている太糸条や高
い糸条密度での浴中処理方法として従来の糸幅規制方法
では十分に目的を達成することが困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、太糸
条・高密度の糸条フィラメントの浴中処理工程において
その熱水延伸性能や水洗性、油剤付与の均一性を高め、
単繊維間接着が少なくて工程通過性の優れた太物アクリ
ル系糸条の浴中処理技術を提供することにある。
条・高密度の糸条フィラメントの浴中処理工程において
その熱水延伸性能や水洗性、油剤付与の均一性を高め、
単繊維間接着が少なくて工程通過性の優れた太物アクリ
ル系糸条の浴中処理技術を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために次の構成を有する。すなわち、湿式または乾
湿式法によって紡糸後、浴中処理に供される1糸条当り
の実質総繊度D(デニール)と浴中における1糸条当り
の糸条の幅W(mm)の比D/Wで求められる糸条密度
指数Mが400デニール/mm以上で、かつ糸条を構成
する単繊維の数が4000本以上である複数の湿潤走行
糸条を水中で処理する際において、糸条が接触している
部分の円弧に対する中心角θが180゜以下である湾曲
ガイドで各々の糸条を押さえることにより糸幅を規制す
ることを特徴とする糸条の浴中処理方法である。ここ
で、1糸条当りの実質総繊度Dとは、浴液で膨潤した状
態の糸条の繊度ではなく、アクリル系重合体のみからな
る糸条としての繊度であって、糸条を構成する単繊維繊
度に糸条を構成する単繊維数を乗じた数をいう。また、
浴中における糸条の幅Wとは、図1または図2に示すよ
うに、糸幅規制ガイドで規制された浴中における1糸条
の拡がり幅を該ガイド接触部分で測定した値をいう。
するために次の構成を有する。すなわち、湿式または乾
湿式法によって紡糸後、浴中処理に供される1糸条当り
の実質総繊度D(デニール)と浴中における1糸条当り
の糸条の幅W(mm)の比D/Wで求められる糸条密度
指数Mが400デニール/mm以上で、かつ糸条を構成
する単繊維の数が4000本以上である複数の湿潤走行
糸条を水中で処理する際において、糸条が接触している
部分の円弧に対する中心角θが180゜以下である湾曲
ガイドで各々の糸条を押さえることにより糸幅を規制す
ることを特徴とする糸条の浴中処理方法である。ここ
で、1糸条当りの実質総繊度Dとは、浴液で膨潤した状
態の糸条の繊度ではなく、アクリル系重合体のみからな
る糸条としての繊度であって、糸条を構成する単繊維繊
度に糸条を構成する単繊維数を乗じた数をいう。また、
浴中における糸条の幅Wとは、図1または図2に示すよ
うに、糸幅規制ガイドで規制された浴中における1糸条
の拡がり幅を該ガイド接触部分で測定した値をいう。
【0009】本発明の糸条は浴中で処理するものであれ
ば特に限定はないが炭素繊維の原糸であるポリアクリロ
ニトリル系の糸条を高密度において延伸する時に効果が
大きい。
ば特に限定はないが炭素繊維の原糸であるポリアクリロ
ニトリル系の糸条を高密度において延伸する時に効果が
大きい。
【0010】本発明の浴中処理方法においては、糸条を
構成する単繊維の数を4000本以上、好ましくは60
00本以上とするものである。糸条を構成する単繊維の
数が4000本未満の場合には単繊維間接着は浴中での
処理斑よりもむしろ他の要因、例えばローラ上での圧着
等に起因することが多く、したがって本発明の処理方法
を適用する必要性に乏しい。
構成する単繊維の数を4000本以上、好ましくは60
00本以上とするものである。糸条を構成する単繊維の
数が4000本未満の場合には単繊維間接着は浴中での
処理斑よりもむしろ他の要因、例えばローラ上での圧着
等に起因することが多く、したがって本発明の処理方法
を適用する必要性に乏しい。
【0011】また、本発明の浴中処理方法においては、
前記のように求められる糸条密度指数Mを400デニー
ル/mm以上、好ましくは500デニール/mm以上と
するものである。浴中における糸条内部への溶液浸透性
および伝熱性から糸条の太さには限界があり、糸条の均
一処理の観点から、糸条密度指数Mの上限は10000
デニール/mm以下とするのが好ましい。糸条密度指数
Mが400デニール/mm未満の場合には、前述した浴
中延伸工程での単繊維間接着はさほど顕著でなく、問題
とならない。
前記のように求められる糸条密度指数Mを400デニー
ル/mm以上、好ましくは500デニール/mm以上と
するものである。浴中における糸条内部への溶液浸透性
および伝熱性から糸条の太さには限界があり、糸条の均
一処理の観点から、糸条密度指数Mの上限は10000
デニール/mm以下とするのが好ましい。糸条密度指数
Mが400デニール/mm未満の場合には、前述した浴
中延伸工程での単繊維間接着はさほど顕著でなく、問題
とならない。
【0012】また、浴中処理に供される糸条の太さDが
10000デニール以上400000デニール以下であ
る場合には特に効果が著しく発現するので好ましい。
10000デニール以上400000デニール以下であ
る場合には特に効果が著しく発現するので好ましい。
【0013】本発明で最も特徴的なことは太糸条を高密
度に幅規制するに際し、湾曲ガイドを用いることであ
る。従来糸条の浴中糸幅規制の方法としては棒状或は円
錐状のガイドで糸条の両側からはさむ方法が一般的であ
るが、この方法では糸条端部に厚み斑ができ、すでに記
載したように、例えば高張力で引っ張られる延伸工程で
は単繊維が重なって厚み部分で単繊維間接着が発生する
という問題がある。
度に幅規制するに際し、湾曲ガイドを用いることであ
る。従来糸条の浴中糸幅規制の方法としては棒状或は円
錐状のガイドで糸条の両側からはさむ方法が一般的であ
るが、この方法では糸条端部に厚み斑ができ、すでに記
載したように、例えば高張力で引っ張られる延伸工程で
は単繊維が重なって厚み部分で単繊維間接着が発生する
という問題がある。
【0014】この厚み部分を解消する最も有効な幅規制
方法として、前述の湾曲ガイドで浴中走行糸条を押さえ
ることにより、糸条の厚み部分が曲率の半径方向に分散
され厚み斑の発生を極力抑えた糸条とすることができる
のである。
方法として、前述の湾曲ガイドで浴中走行糸条を押さえ
ることにより、糸条の厚み部分が曲率の半径方向に分散
され厚み斑の発生を極力抑えた糸条とすることができる
のである。
【0015】湾曲ガイドの曲率半径Rは、目的とする糸
幅に対して適正な値とする必要がある。すなわち湾曲ガ
イドのうち、糸条が接触している部分の円弧に対する中
心角θを180゜以下、好ましくは45〜180゜とな
り得る曲率半径Rを選ぶことが重要である。
幅に対して適正な値とする必要がある。すなわち湾曲ガ
イドのうち、糸条が接触している部分の円弧に対する中
心角θを180゜以下、好ましくは45〜180゜とな
り得る曲率半径Rを選ぶことが重要である。
【0016】曲率半径Rを小さくしすぎて、結果とし
て、湾曲ガイドの糸条が接触している部分の円弧に対す
る中心角θが大きくなり、180゜を越える場合には、
糸条密度が高くなりすぎることがある問題がある。湾曲
ガイドの曲率半径Rは糸条の大きさ、糸幅により決まる
が、一義的に決めることが困難であり、目的に応じた湾
曲ガイドを試行して選ぶ必要がある。この場合、本発明
に用いる湾曲ガイドの形状として、曲率半径Rを持った
湾曲部分にさらに両端に直線部分をもたせてガイドから
糸条のはみだし防止を狙ったものも好ましく用いられ
る。
て、湾曲ガイドの糸条が接触している部分の円弧に対す
る中心角θが大きくなり、180゜を越える場合には、
糸条密度が高くなりすぎることがある問題がある。湾曲
ガイドの曲率半径Rは糸条の大きさ、糸幅により決まる
が、一義的に決めることが困難であり、目的に応じた湾
曲ガイドを試行して選ぶ必要がある。この場合、本発明
に用いる湾曲ガイドの形状として、曲率半径Rを持った
湾曲部分にさらに両端に直線部分をもたせてガイドから
糸条のはみだし防止を狙ったものも好ましく用いられ
る。
【0017】本発明に用いる湾曲ガイドは各処理浴の入
り、出および中央部等浴中の糸条を押さえることにより
効果を発揮し、ガイドの設置場所には特に限定はない。
また他の糸条幅規制ガイド、例えば、棒状ガイド等と組
み合わせて使用することも好ましい方法である。糸幅規
制の調整方法としては、糸条に対する湾曲ガイドの接触
角度を変更することにより目的の糸幅に規制することが
出来る。
り、出および中央部等浴中の糸条を押さえることにより
効果を発揮し、ガイドの設置場所には特に限定はない。
また他の糸条幅規制ガイド、例えば、棒状ガイド等と組
み合わせて使用することも好ましい方法である。糸幅規
制の調整方法としては、糸条に対する湾曲ガイドの接触
角度を変更することにより目的の糸幅に規制することが
出来る。
【0018】本発明の処理方法に用いる湾曲ガイドは、
延伸工程、水洗工程、油剤付与工程等あらゆる浴中処理
の幅規制ガイドとして用いることができ、いずれも厚み
斑の防止方法として好ましいものである。ここで用いる
湾曲ガイドの材質としては、浴液中で使用するため、腐
食しにくくかつ処理糸条との摩耗に耐えるステンレス材
などが好ましい。また、処理糸条との接触面は処理糸条
表面のキズ防止の観点から表面最大粗度6.3μm以下
さらには0.8μm以下の鏡面または梨地仕上げとする
のが好ましい。
延伸工程、水洗工程、油剤付与工程等あらゆる浴中処理
の幅規制ガイドとして用いることができ、いずれも厚み
斑の防止方法として好ましいものである。ここで用いる
湾曲ガイドの材質としては、浴液中で使用するため、腐
食しにくくかつ処理糸条との摩耗に耐えるステンレス材
などが好ましい。また、処理糸条との接触面は処理糸条
表面のキズ防止の観点から表面最大粗度6.3μm以下
さらには0.8μm以下の鏡面または梨地仕上げとする
のが好ましい。
【0019】本発明は高糸条密度すなわち多フイラメン
トを狭い糸幅で浴中処理する時に効果的であるが、一定
幅に規制した糸条に振動数5〜100Hz、振幅0.5
〜50mmで振動する振動ガイドを接触させるとさらに
好ましい。糸条が太く、また糸条密度が高い状態では、
特に浴延伸工程において、浴液が糸条の内部に浸透しに
くく昇温が円滑に行われない。このため昇温が十分でな
い部分における張力が高くなり、単繊維間接着をおこし
やすくなるものと推定される。振動ガイドを糸条に接触
させて糸条内部への浴液の浸透を容易にし、昇温を円滑
にすることにより浴中処理が均一になり、例えば、浴延
伸工程での単繊維間接着をより効果的に防止することが
出来る。
トを狭い糸幅で浴中処理する時に効果的であるが、一定
幅に規制した糸条に振動数5〜100Hz、振幅0.5
〜50mmで振動する振動ガイドを接触させるとさらに
好ましい。糸条が太く、また糸条密度が高い状態では、
特に浴延伸工程において、浴液が糸条の内部に浸透しに
くく昇温が円滑に行われない。このため昇温が十分でな
い部分における張力が高くなり、単繊維間接着をおこし
やすくなるものと推定される。振動ガイドを糸条に接触
させて糸条内部への浴液の浸透を容易にし、昇温を円滑
にすることにより浴中処理が均一になり、例えば、浴延
伸工程での単繊維間接着をより効果的に防止することが
出来る。
【0020】本発明に用いることが出来る炭素繊維製造
用のポリアクリロニトリルとしては耐炎化反応を促進す
るモノマーを含むものが好ましい。紡糸方法は湿式紡糸
法や乾湿式法を適用することものである。
用のポリアクリロニトリルとしては耐炎化反応を促進す
るモノマーを含むものが好ましい。紡糸方法は湿式紡糸
法や乾湿式法を適用することものである。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。本例中、浴延伸糸の単繊維間接着判定は、油
剤付与前の膨潤糸を約5mmに切断し非イオン系界面活
性剤ノイゲンSS(第一工業製薬(株))の0.1重量
%水溶液に分散させ、60rpmで撹拌後、黒色ろ紙で
ろ過し、単繊維間接着状態を5段階で視感判定した。単
繊維間接着の全く認められない状態を1級、ほとんどの
単繊維が接着している状態を5級とした。3級以下でな
いと工程通過性に問題があり、得られるCFの物性が悪
化するレベルである。
説明する。本例中、浴延伸糸の単繊維間接着判定は、油
剤付与前の膨潤糸を約5mmに切断し非イオン系界面活
性剤ノイゲンSS(第一工業製薬(株))の0.1重量
%水溶液に分散させ、60rpmで撹拌後、黒色ろ紙で
ろ過し、単繊維間接着状態を5段階で視感判定した。単
繊維間接着の全く認められない状態を1級、ほとんどの
単繊維が接着している状態を5級とした。3級以下でな
いと工程通過性に問題があり、得られるCFの物性が悪
化するレベルである。
【0022】(実施例1)アクリロニトリル(以下、A
N)99.5モル%、イタコン酸0.5モル%からなる
固有粘度[η]が1.80のAN共重合体を20重量%
含むDMSO溶液を紡糸原液として孔数12000の口
金からDMSOと水から成る凝固浴中に紡出して、12
000本からなる凝固糸(総繊度:144000d)を
得た。この凝固糸を熱水中で水洗し、ついで、90℃の
熱水中にて5倍延伸を行なった。この延伸糸を採取し単
繊維間接着を評価した。その結果を糸幅規制方法として
のガイドと単繊維間接着および振動ガイドの関係につい
て表1に示した。なお、振動ガイドは振動数20Hz、
振幅5mmで運転した。
N)99.5モル%、イタコン酸0.5モル%からなる
固有粘度[η]が1.80のAN共重合体を20重量%
含むDMSO溶液を紡糸原液として孔数12000の口
金からDMSOと水から成る凝固浴中に紡出して、12
000本からなる凝固糸(総繊度:144000d)を
得た。この凝固糸を熱水中で水洗し、ついで、90℃の
熱水中にて5倍延伸を行なった。この延伸糸を採取し単
繊維間接着を評価した。その結果を糸幅規制方法として
のガイドと単繊維間接着および振動ガイドの関係につい
て表1に示した。なお、振動ガイドは振動数20Hz、
振幅5mmで運転した。
【0023】
【表1】 表1より従来の棒ガイドによる糸幅規制ではほとんどの
単繊維が接着しているが(No.1)、湾曲ガイドによると
単繊維間接着が改善されていることがわかる(No.2,
4)。また、振動ガイドを併用すると、さらに効果的に
改善されていることがわかる(No.3,5)。
単繊維が接着しているが(No.1)、湾曲ガイドによると
単繊維間接着が改善されていることがわかる(No.2,
4)。また、振動ガイドを併用すると、さらに効果的に
改善されていることがわかる(No.3,5)。
【0024】(実施例2)実施例1と同様にして凝固浴
中に紡出した12000本からなる凝固糸(総繊度:1
44000d)を糸幅40mmに規制し、1.1倍に延
伸しながら水洗を行なった。糸幅規制が従来の棒ガイド
では、糸条に厚み斑が生じ走行状態としては好ましくな
かったが、本発明に用いる湾曲ガイドでは厚み斑の無い
均一な糸条であった。
中に紡出した12000本からなる凝固糸(総繊度:1
44000d)を糸幅40mmに規制し、1.1倍に延
伸しながら水洗を行なった。糸幅規制が従来の棒ガイド
では、糸条に厚み斑が生じ走行状態としては好ましくな
かったが、本発明に用いる湾曲ガイドでは厚み斑の無い
均一な糸条であった。
【0025】水洗後に採取した糸条中に残存しているD
MSO量は各々0.22%、0.13%であり、均一な
厚みの糸条にすることによる洗浄効果があらわれてい
る。
MSO量は各々0.22%、0.13%であり、均一な
厚みの糸条にすることによる洗浄効果があらわれてい
る。
【0026】(実施例3)実施例1において浴中で延伸
した糸条を、アミノ変性シリコーン(アミノ基の含有量
はNH2 として1.0%のもの)をノニルフェノールのエ
チレンオキサイド付加物を用いて乳化した油剤の浴液中
に含浸走行させた。その際、糸幅と糸幅規制方法を変更
した。油分として0.7%付与し、次いで190℃の熱
ローラ上で乾燥緻密化した。この時の乾燥出糸条を採取
し単繊維間接着を評価した。また、乾燥性に付いても評
価した。その結果を表2にしめす。
した糸条を、アミノ変性シリコーン(アミノ基の含有量
はNH2 として1.0%のもの)をノニルフェノールのエ
チレンオキサイド付加物を用いて乳化した油剤の浴液中
に含浸走行させた。その際、糸幅と糸幅規制方法を変更
した。油分として0.7%付与し、次いで190℃の熱
ローラ上で乾燥緻密化した。この時の乾燥出糸条を採取
し単繊維間接着を評価した。また、乾燥性に付いても評
価した。その結果を表2にしめす。
【0027】
【表2】 表2より棒状ガイドを用いた場合の厚み斑による単繊維
間接着が、湾曲ガイドを用いた場合には改善されてい
る。また、厚み斑の改善により乾燥緻密化が速くなって
いることは特筆すべきことである。
間接着が、湾曲ガイドを用いた場合には改善されてい
る。また、厚み斑の改善により乾燥緻密化が速くなって
いることは特筆すべきことである。
【0028】
【発明の効果】本発明の糸条の浴中処理方法によれば、
単繊維間接着のない糸条を得ることができ、安定して高
品質の炭素繊維用原糸を製造することが可能である。
単繊維間接着のない糸条を得ることができ、安定して高
品質の炭素繊維用原糸を製造することが可能である。
【図1】本発明の幅規制方法を示す概略図である。
【図2】従来の幅規制方法を示す概略図である。
1:棒状ガイド 2:処理糸条断面 3:湾曲ガイド 4:湾曲ガイド取り付け用把手
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 猿山 秀夫 愛媛県伊予郡松前町大字筒井1515東レ株 式会社愛媛工場内 審査官 高木 茂樹 (56)参考文献 特公 昭39−14009(JP,B1) 実公 昭40−33283(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01D 5/06
Claims (1)
- 【請求項1】 湿式または乾湿式法によって紡糸後、浴
中処理に供される1糸条当りの実質総繊度D(デニー
ル)と浴中における糸条の幅W(mm)の比D/Wで求
められる糸条密度指数Mが400デニール/mm以上
で、かつ糸条を構成する単繊維の数が4000本以上で
ある複数の湿潤走行糸条を水中で処理する際において、
糸条が接触している部分の円弧に対する中心角θが18
0゜以下である湾曲ガイドで各々の糸条を押さえること
により糸幅を規制することを特徴とする糸条の浴中処理
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4006528A JP3039093B2 (ja) | 1992-01-17 | 1992-01-17 | 糸条の浴中処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4006528A JP3039093B2 (ja) | 1992-01-17 | 1992-01-17 | 糸条の浴中処理方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05195306A JPH05195306A (ja) | 1993-08-03 |
JP3039093B2 true JP3039093B2 (ja) | 2000-05-08 |
Family
ID=11640862
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4006528A Expired - Fee Related JP3039093B2 (ja) | 1992-01-17 | 1992-01-17 | 糸条の浴中処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3039093B2 (ja) |
-
1992
- 1992-01-17 JP JP4006528A patent/JP3039093B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH05195306A (ja) | 1993-08-03 |
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