JP2853484B2 - 高性能アクリル系繊維の製造方法および湿式延伸装置 - Google Patents

高性能アクリル系繊維の製造方法および湿式延伸装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高性能アクリル系繊維の
製造方法および湿式延伸装置に関するものであり、さら
に詳しくは、単繊維間接着がなく、ボイドの少ない高性
能アクリル系繊維を生産性良く製造する方法およびこれ
に用いる湿式延伸装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アクリル系繊維は、衣料用、建装用とし
ての用途の他に、ポリマーの高分子化、高延伸化の手段
などにより高強度化をはかり、炭素繊維用前駆体として
多量に使用され、また、石綿代替材料として、スレート
補強材などへの展開がはかられている。
【0003】このような高性能アクリル系繊維は、高延
伸、高配向化する必要があるが、単繊維間の接着がある
場合には、その性能を十分に発揮させることができな
い。また、単繊維間接着が発生すると、延伸工程におい
て毛羽が多発し十分な延伸が不可能となる。製糸工程中
の単繊維間接着は、主に紡糸後の水膨潤状態にある糸条
を高温浴で延伸する浴延伸工程、および水膨潤糸条の水
を蒸発しつつボイドを消減させる乾燥、緻密化工程で発
生する。従来、浴延伸工程においては、延伸温度や、延
伸倍率の適正化によって、また、乾燥、緻密化工程にお
いては油剤を繊維表面に付与することによって単繊維間
接着の発生が防止されている。
【0004】しかしながら、口金を凝固浴上に設置し、
紡糸原液を一端空気中に押し出してから凝固浴中に導く
乾湿式紡糸法においては、繊維表面が極めて平滑とな
り、単繊維同士が密着しやすく、単繊維間の接着が非常
に発生しやすいために、上記の単繊維間接着防止手段を
もってしても、延伸浴の温度を高くすることができない
ので、プロセス上の制約が大きく、延伸性が低下すると
いう問題があった。
【0005】一方、アクリル系繊維を炭素繊維用前駆体
として用いる場合、炭素繊維に転換した時に単繊維間の
接着や繊維内部にボイドが存在すると、欠陥の原因とな
り、高性能化が十分に達成されない。炭素繊維内のボイ
ドは前駆体繊維を製造する工程で、水膨潤糸条に付与さ
れた油剤が繊維内部に浸入し、その後乾燥緻密化され見
掛け上、均質化されるが、炭素繊維に転換する焼成工程
において繊維内部に閉じ込められた油剤が分解し、ガス
が発生してボイドになると考えられる。
【0006】水膨潤糸条への油剤の浸入は、繊維の膨潤
度が小さいほど少なくなると考えられる。延伸浴液温度
を上げると、繊維を形成するフィブリルが熱と張力によ
り、融着するために空洞が減少し膨潤度は低下するが、
反対に単繊維間接着が増加するという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、浴延
伸工程において高温延伸時の単繊維間接着を防止し、繊
維内部のボイドが少なく、かつ高配向のアクリル系繊維
糸を製造する方法およびそのための製造装置を提供する
ことである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の高性能アクリル系繊維の製造方法は次の構成
を有する。すなわち、乾湿式紡糸法において、延伸浴の
入り側ローラ温度を延伸浴温度より少なくとも5℃低温
かつ延伸前の熱処理温度より高くとも5℃以下に保ちつ
つ浴延伸することを特徴とする高性能アクリル系繊維の
製造方法である。
【0009】また、本発明の湿式延伸装置は、次の構成
を有する。すなわち、乾湿式紡糸装置において、延伸浴
入り側ローラを延伸浴液外に設けることを特徴とする湿
式延伸装置である。
【0010】以下、本発明をさらに詳細に説明する。水
膨潤糸条を湿式延伸する従来の方法としては、図3に示
すごとく、延伸浴入り側の速度規制ローラAから導かれ
た糸条は、延伸浴中に設置された2個のローラC,Dに
よって、延伸浴中に導かれ出側の速度規制ローラBによ
って引き出される。
【0011】本発明の高性能アクリル系繊維の製造方法
は、乾湿式紡糸法に適用されるものである。前記したよ
うに、湿式紡糸法や乾式紡糸法においては、単繊維同士
が密着しやすいという問題は比較的少ない。
【0012】本発明の高性能アクリル系繊維の製造方法
においては、延伸浴の入り側ローラ温度を延伸浴温度よ
り少なくとも5℃低温かつ延伸前の熱処理温度より高く
とも5℃以下に保ちつつ浴延伸するものである。延伸浴
の入り側ローラ温度が延伸浴温度より5℃低い温度を越
える温度であるならば、配向の低い水膨潤糸条が延伸浴
に入る前までに受けた熱履歴よりはるかに高温の入り側
ローラに接触し、さらに延伸張力によってローラに押し
付けられるため、単繊維同士が熱接着するのを有効に防
ぐことができない。また、延伸浴の入り側ローラ温度が
延伸前の熱処理温度より5℃高い温度を越える温度であ
るならば、上記同様に単繊維同士が熱接着するのを有効
に防ぐことができない。
【0013】本発明の製造方法に使用されるポリマーと
してはアクリロニトリルを90%以上含むものであれば
特に制限されるものではなく、アクリロニトリルと共重
合可能な他のモノマーを共重合することも可能である。
【0014】なお、本発明の製造方法により延伸した
後、乾燥緻密化前の水膨潤糸条には常法により油剤を付
与することが好ましく行なわれる。その場合の油剤とし
ては、耐熱性の高いものが好ましく、シリコーン系油剤
が好適に使用される。油剤付与後の糸条は乾燥緻密化
後、必要に応じて、延伸、熱処理がほどこされる場合も
ある。
【0015】本発明の製造方法を容易に実施するための
好ましい湿式延伸装置の一例としては、上記同様の理由
から、図1,図2に示すように延伸浴入り側ローラを浴
延伸液外に設置して、延伸浴液による延伸浴入り側ロー
ラの温度上昇を防止するものである。
【0016】この延伸浴液外に設置された入り側ローラ
から離れた糸条は、延伸浴中で温度が上昇し延伸される
ため、配向が高まり耐熱性が向上し、また内部フィブリ
ル構造の熱融着により、膨潤度が低下して断面の変形が
しにくくなるために、延伸浴中に浸漬され、延伸浴と同
じ温度に保たれた高温の延伸浴出側ローラに接触し、押
し付けられても、単繊維間の接着は発生しないのであ
る。
【0017】このように延伸浴入り側ローラを延伸浴液
外に設置し、延伸浴入り側ローラの温度上昇を防止する
ことによって、単繊維間の接着を防止しつつ高温延伸が
可能となり、延伸倍率の向上、膨潤度の低下が達成でき
るものである。
【0018】なお、本発明の製造装置に用いる延伸浴入
り側ローラとしては、延伸浴出側の速度規制ローラと同
速の駆動ローラまたはフリーローラのいずれでもよい。
また、ローラの材質としては、硬質クロームメッキした
SUS、セラミックスなどを用いることができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。 (実施例1)アクリロニトリル99.3重量%、イタコ
ン酸0.7重量%からなるアクリロニトリル系共重合体
の20重量%ジメチルスルホキシド(以下、DMSO)
溶液を紡糸原液とした。粘度は45℃において650ポ
イズであった。この紡糸原液を直径が0.10mmの小
孔を3000個有する紡糸口金から吐出させ、3mmの
空間を通過後にDMSO/水の重量比が30/70に設
定された凝固浴に導き、15m/分の引き取り速度で乾
湿式紡糸した。その後35℃の温水で十分に水洗した
後、図1に示す本発明の湿式延伸装置を2槽使用して2
段の湿式延伸を行った。1段目は75℃、2段目は沸水
(98℃)として最大延伸倍率を測定したところ、単繊
維切れが発生する倍率は7.0倍であった。いずれの倍
率でも単繊維間接着は認められなかったが、安定した工
程通過性を考慮して5.0倍延伸を行った。この時1段
目および2段目の延伸浴入り側ローラ温度はそれぞれ3
2℃、60℃であった。
【0020】その後3.0%のシリコーン系油剤浴を通
した後、ゴム製ニップローラで余分の油剤を絞り、16
0℃の表面温度の乾燥緻密化ローラを通した。その後、
加圧スチームによる延伸性を測定した結果、4.5倍延
伸で毛羽が発生し、安定した工程通過性を考慮すると、
トータル延伸倍率20.0倍で毛羽、単繊維間接着のな
い高配向の高性能アクリル系繊維が安定して得られた。
また、浴延伸出の水膨潤糸の膨潤度を測定したところ8
5%であった。
【0021】膨潤度とは繊維内部の細孔に満たされた水
の量を表わし、次の方法で測定する。水膨潤糸をポリマ
として約3g採取し、3000rpmの遠心脱水機によ
り5分間脱水した後に、すばやく重量を測定しWを求
めた後、絶乾してWを求め、下記式によって計算した
値を膨潤度とする。
【0022】 膨潤度={(W−W)/W}×100 (%) (比較例1)実施例1と同様に、乾湿式紡糸した後35
℃の温水で十分に水洗して、図3に示す従来の湿式延伸
装置を2槽使用して、2段の湿式延伸を行った。実施例
と同様に1段は75℃、2段は沸水(98℃)として、
延伸処理したところ、3000フィラメント全体が接着
しテープ状となった。この時、1段目および2段目の延
伸浴入り側ローラ温度はそれぞれ32℃、60℃であっ
た。油剤付与乾燥緻密化後も硬いテープ状のままであ
り、加圧スチームでの延伸が全く出来なかった。そこ
で、単繊維間接着しない温度まで延伸温度を下げたとこ
ろ、1段目は40℃2段目は45℃となった。この温度
条件での、単繊維切れが発生する延伸倍率は4.0倍と
低かった。安定した工程通過性を考慮して、3.0倍延
伸処理を行なった。この時1段目および2段目の延伸浴
入り側ローラ温度はそれぞれ32℃、40℃であった。
【0023】実施例1と同様にして膨潤度を測定したと
ころ200%であった。この糸条に油剤を付与、乾燥、
緻密化した後、加圧スチームによる延伸性を測定した結
果、5.8倍延伸で毛羽が発生し、安定した工程通過性
を考慮するとトータル延伸倍率15倍と低いものであっ
た。
【0024】実施例1と比較例1の結果を表1に示す。
【0025】
【表1】 (実施例2〜4、比較例2〜4)実施例1と同様に乾湿
式紡糸した後、35℃の温水で十分に水洗して図2に示
す本発明の湿式延伸装置を2槽使用して1段目は75
℃、2段目は沸水(98℃)として湿式延伸を行なっ
た。この時入り側ローラに温水を注ぎ、ローラ温度を変
更して各延伸浴出の繊維の単繊維間接着状態を観察し
た。その結果を表2に示す。表2からわかるように、入
り側ローラ温度が本発明で規定する範囲内であれば75
℃(1段目)、98℃(2段目)の高温の2段延伸でも
単繊維間接着は発生しなかった。
【0026】
【表2】
【0027】
【発明の効果】本発明の湿式延伸方法によって、延伸浴
液の温度を高くすることが可能となり浴延伸倍率を高く
することができるとともに、膨潤度を低くすることがで
きる。高温浴液により湿式延伸しても単繊維間接着が防
止できる上に、延伸性の向上、膨潤度の低下によって、
得られるアクリル系繊維は高強度アクリル系繊維とし
て、また高強度炭素繊維用前駆体として有効に活用する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の湿式延伸装置の一例を示す側面図であ
る。
【図2】本発明の湿式延伸装置の別の例を示す側面図で
ある。
【図3】従来の湿式延伸装置の例を示を示す側面図であ
る。
【符号の説明】
A:入り側速度規制ローラ B:出側速度規制ローラ C:入り側ローラ D:出側ローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−34011(JP,A) 特開 昭62−299509(JP,A) 特開 昭62−33817(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01D 5/06 102

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】乾湿式紡糸法において、延伸浴の入り側ロ
    ーラ温度を延伸浴温度より少なくとも5℃低温かつ延伸
    前の熱処理温度より高くとも5℃以下に保ちつつ浴延伸
    することを特徴とする高性能アクリル系繊維の製造方
    法。
  2. 【請求項2】乾湿式紡糸装置において、延伸浴入り側ロ
    ーラを延伸浴液外に設けることを特徴とする湿式延伸装
    置。
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