JPH04245911A - アクリル系繊維の製造方法 - Google Patents

アクリル系繊維の製造方法

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JPH04245911A
JPH04245911A JP1195291A JP1195291A JPH04245911A JP H04245911 A JPH04245911 A JP H04245911A JP 1195291 A JP1195291 A JP 1195291A JP 1195291 A JP1195291 A JP 1195291A JP H04245911 A JPH04245911 A JP H04245911A
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JP
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spinning
stretching
less
fiber
bath
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JP1195291A
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Katsuaki Matsui
松井 克明
Toshihiro Makishima
槙嶋 俊裕
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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  • Artificial Filaments (AREA)
  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、湿式紡糸法に於ける高
強度発現性に優れた緻密性の高い炭素繊維製造用アクリ
ル系繊維の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル系繊維は、炭素繊維製造用の前
駆体繊維(プレカーサー)として広く利用されている。 また炭素繊維はその優れた物性によって特に複合材料に
好適な強化繊維として広く利用されているが、近年複合
材料としての性能をより一層向上させるために高強度化
、高弾性率化並びにその低コスト化が課題となっている
【0003】一方従来から例えば航空宇宙用途へ適用す
る試みとして、炭素繊維の高強度化が要求されているが
、この様な高強度化に当たっては、プレカーサー自体の
緻密性を高くできる乾・湿式紡糸法による製造がその主
流である。しかしながら、湿式紡糸法においても、乾・
湿式紡糸法にないいくつかの優れた特性を有している。
【0004】例えば乾・湿式紡糸法の場合、紡出時に一
旦数mmの空間を走行するため、紡糸原液中の溶剤が揮
発しそのための溶剤ロスや揮発溶剤を回収する為の溶剤
回収設備を必要とするが、湿式紡糸法ではこの様な問題
は発生しない。また乾・湿式紡糸法に比べ、湿式紡糸法
により製造された繊維の表面層はさほど緻密ではないが
、逆にこのことが耐炎化処理時の酸素拡散性に有利とな
り、比較的断面二重構造をつくりにくい耐炎化処理の採
用を可能とすることである。
【0005】従って湿式紡糸法に於いても、例えばスト
ランド強度で500kg/mm2 以上の高強度炭素繊
維用プレカーサーを安定的に供給することが可能となれ
ば、乾・湿式紡糸法と同様、その有用性は大きいものと
なる。 しかしながら近年、これら湿式紡糸法による炭素繊維の
ストランド強度アップに関する検討は少なく、紡糸工程
に関して僅かに提案されている程度である(特公平2−
8045号及び特公平2−6847号)。
【0006】ここに開示されている緻密性の評価として
は、膨潤度並びにヨーソ吸着によるスキン層厚さとヨー
ソ吸着量を用いているが、そこに開示されている範囲の
緻密性では、本発明者らが求めている高いストランド強
度を有する炭素繊維を製造することは非常に難しいもの
であった。
【0007】本発明者らはこの様な現状に鑑み、製糸工
程全般と得られるアクリル系繊維の微細構造との関連を
検討し、さらに焼成して得られる炭素繊維のストランド
強度との関連を検討して、プレカーサーとしてのアクリ
ル系繊維の最も重要な特性を見出し、該特性を有するア
クリル系繊維の製造方法を鋭意検討した結果、本発明に
到達したのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、炭素
繊維の破断の原因となる欠陥の少ない、緻密性の高い炭
素繊維製造用アクリル系繊維の製造方法を提供すること
にある。さらに詳しくは、湿式紡糸法において、油剤の
内部浸透を起こしにくい、表層部の緻密性の高い、炭素
繊維製造用アクリル系繊維の製造方法を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、少なく
とも90重量%のアクリロニトリルを含有するアクリロ
ニトリル系重合体の紡糸原液を湿式紡糸する製造方法に
於いて、得られる凝固糸を湿熱下で延伸し、全延伸倍率
が10倍以上となるように延伸して、膨潤度が100%
以下、水銀圧入法による細孔体積が0.7cm3 /g
以下及び平均細孔半径が300Å以下の構造を有する炭
素繊維製造用アクリル系繊維の製造方法により達成する
ことができる。
【0010】本発明のアクリロニトリル系重合体(以下
AN系重合体と称する)は、90重量%以上好ましくは
95重量%以上のアクリロニトリル(以下ANと称する
)と好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量
%以下の該ANと共重合性があって、しかも耐炎化反応
を促進するビニル基含有化合物(以下ビニル系モノマー
と称する)とANとの共重合体が用いられる。耐炎化を
促進する作用を有するビニル系モノマーとしては、例え
ばメタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸及びそれらの
アルカリ金属塩、アンモニウム塩等を挙げることができ
る。
【0011】またこれらの耐炎化促進能を有するビニル
系モノマー以外に、ポリマー溶解性、紡糸性または製糸
性を向上させるために、前記アクリル酸やメタクリル酸
の低級アルキルエステル類、アリルスルホン酸、メタリ
ルスルホン酸、スチレンスルホン酸及びそれらのアルカ
リ金属塩、酢酸ビニルや塩化ビニル等の第3成分を共重
合成分の総量が10重量%以下好ましくは5重量%以下
となる範囲で共重合させても良い。
【0012】本発明のAN系重合体は、公知の乳化懸濁
重合法、塊状重合法、溶液重合法を用いて重合すること
ができる。本発明のAN系重合体の極限粘度は、1以上
5以下が好ましく、1.25以上4以下がさらに好まし
い。極限粘度が1未満であると、紡糸工程や焼成工程に
於いて、単糸同志が融着しやすく、また5を越える極限
粘度では紡糸原液の溶液粘度が高くなるとともに、延伸
性が低下するので、通常の紡糸延伸方法では製糸が非常
に困難になる。
【0013】AN系重合体からアクリル系繊維を製造す
るに際しては、ジメチルアセトアミドやジメチルホルム
アミド、ジメチルスルホキシド、硝酸、ロダンソーダ水
溶液及び塩化亜鉛水溶液等の該重合体の溶媒から成るポ
リマー溶液を紡糸原液とし、そのポリマー濃度は18重
量%以上さらに好ましくは20重量%以上とする。
【0014】紡糸方式は、湿式紡糸法によって紡糸する
。紡糸原液温度は、50〜80℃にコントロールし、紡
糸ドラフト比を0.5以上、1.2以下好ましくは0.
6以上、1.0以下の範囲内に設定する。なおここでい
う紡糸ドラフト比とは、 紡糸ドラフト比=(凝固糸の引き取り速度/原液吐出線
速度) で定義される。
【0015】本発明の未延伸系の凝固糸の構造は、膨潤
度で190%以下、水銀圧入法により求まる細孔体積が
1cm3 /g以下、平均細孔半径が400Å以下のも
のであり、これは例えば以下に示す様な、特定の紡浴条
件を選定することにより達成することができる。図1に
ジメチルアセトアミドを溶媒として用いた場合の各凝固
条件下における凝固糸の構造パラメータ値を示す。この
場合、上記凝固糸は紡浴濃度として、ジメチルアセトア
ミド60%以上の水溶液並びに紡浴温度を35℃以下に
設定することにより達成できるのである。
【0016】ここで本発明で用いるべき凝固糸構造の条
件を逸脱した場合、例えば紡浴ジメチルアセトアミド水
溶液濃度60%未満、あるいは紡浴温度が35℃を越え
る凝固領域で紡糸を行なった場合、凝固糸段階での粗な
構造は、浴延伸糸の構造に影響を与え、後に述べる油剤
の繊維内部浸透を容易ならしめる為得られる炭素繊維の
ストランド強度は低いものとなる。
【0017】また、この凝固糸構造の緻密性は、後のト
ータルでの延伸性にも影響を与え、例えば紡浴温度を1
5℃未満と低く設定した場合、凝固糸構造はかなり緻密
なものとなるが、逆にこの高緻密性がトータルでの延伸
性向上を阻害するものとなり、本発明で要求されるトー
タルで10倍以上の高倍率延伸は困難なものとなる。一
方、紡浴ジメチルアセトアミド水溶液濃度75%以上の
臨界凝固領域においては、紡糸性は著しく劣るものとな
る。
【0018】この様に本発明で必要とされる浴延伸糸の
構造とトータルでの高倍率延伸を行うには、凝固糸迄遡
った紡浴条件の設定と構造規制が必要である。以上ジメ
チルアセトアミドを溶媒とした場合について記載したが
、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、硝酸
、ロダンソーダ水溶液、塩化亜鉛水溶液等の各溶媒に関
しても、本発明で要求される浴延伸構造と、トータルで
の高倍率延伸を行うための最良の凝固構造を選択するこ
とにより、目的とする高強度炭素繊維用アクリル系繊維
を得ることが可能である。
【0019】次にこの凝固糸を非湿熱下、空中で1倍以
上2倍以下の延伸を施した後、湿熱下でさらに2段階以
上の多段延伸を行なう。この延伸工程は、緻密性の高い
延伸糸を得る為に不可欠の工程であり、ここではできる
だけ炭素繊維の高強度化を阻害するボイドの発生を抑制
しつつ延伸することが重要である。
【0020】即ち工程油剤を付与して乾燥緻密化する前
の延伸糸としては、膨潤度で100%以下、水銀圧入法
で求まる細孔体積が0.7cm3 /g以下、平均細孔
半径が300Å以下の、高度に緻密化された水膨潤延伸
糸を選択すべきなのである。
【0021】この様な延伸糸を得るにはまず、先に述べ
た緻密性の高い凝固糸を選択し、空中延伸を含め、3段
以上の多段階延伸により3倍以上9倍以下の延伸を施し
、かつ第一段目の湿熱延伸温度を60℃以上80℃以下
、第二段目以降の湿熱延伸温度を90℃以上とすること
により達成できる。
【0022】ここで最も重要となってくるのは、空中延
伸及び、第一段目の湿熱延伸条件である。ここではボイ
ドの発生を抑制して膨潤度の増大を防止するために急激
な変形を生じさせないことが必須の条件であり、この為
には、第一段目の延伸浴温度を60℃以上80℃以下空
中延伸を含めた延伸倍率を3倍以上7倍以下に設定した
よりマイルドな延伸条件を採用する。
【0023】延伸浴温度を80℃を越えるものに設定し
た場合には、ボイドの発生に伴なう失透繊維特有の白化
状態が認められ、これに工程油剤を付与した場合には、
容易に工程油剤が繊維内部へと浸透する為、得られる炭
素繊維物性も低いものしか得られない。
【0024】また60℃未満の延伸浴温度では、十分な
延伸が施せない。一方、延伸倍率としては、3倍以上7
倍以下が好ましく、3倍未満の延伸では、後工程での延
伸が十分に行えず、本発明で必要とされる10倍以上の
高倍率延伸は行えない。また7倍を超える延伸では構造
破壊を伴ないながらの延伸のため浴延伸糸の構造の緻密
性は低く、得られる炭素繊維の物性値も低いものとなる
【0025】その後、第二段目の湿熱延伸を、90℃以
上の湿熱下に、1倍以上2倍以下の延伸条件下に行ない
、油剤処理前の浴延伸糸のトータル延伸比を3倍以上9
倍以下とする。なお、ここで用いる工程油剤としては、
特に焼成途中の単繊維同志の融着を防止するのに効果的
なシリコン系油剤、例えばアミノ変性ポリシロキサン及
び、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルコール変性
ポリシロキサン等が望ましい。
【0026】また、本シリコン系油剤の付着量は通常0
.1〜5重量%の範囲内が好ましい。工程油剤を付与し
た後に、乾燥緻密化処理を行ない、その後さらに8kG
以上の乾熱ロール間あるいは加圧スチーム中で二次延伸
を行なう。この際、延伸倍率は、トータル延伸倍率とし
て少なくとも10倍以上、好ましくは、10倍以上16
倍未満の範囲で行なう。
【0027】延伸倍率が10倍未満ではプレカーサーの
繊維配向度が低下し、該プレカーサーから得られる炭素
繊維の物性は低下する。即ちこのプレカーサーの繊維配
向度は、得られる炭素繊維の結晶配向や結晶子の成長と
密接な関連を有しており、プレカーサー製造工程でのト
ータル延伸倍率が低い場合は、繊維の緻密性が低く、こ
れを焼成して得られる炭素繊維の強度を向上することは
できない。一方延伸倍率が16倍以上になると、延伸時
の単糸切れが多発し、操業条件として不適当である。
【0028】この様に本発明の方法で得られるプレカー
サー用浴延伸糸は、湿式紡糸法で製造したにもかかわら
ず緻密性が高いために浴延伸の後に付与される工程油剤
が、該浴延伸糸の粗な領域、特に表面スキン層の粗な領
域に侵入することが少なくなることが大きな特徴である
【0029】即ち、膨潤度が100%を越え、水銀圧入
法により求まる細孔体積が0.7cm3 /gを越え、
かつ平均細孔半径が300Åを越える浴延伸糸に油剤を
付与した場合には、本油剤が該浴延伸糸の粗な領域に容
易に侵入し、本領域は乾燥緻密化工程に於いても緻密化
されずに残り、さらに焼成工程ではこの侵入油剤に起因
するボイド、または欠陥部分が生じ、炭素繊維自体の強
度低下をもたらすのである。
【0030】これ迄、湿式紡糸法によるプレカーサーを
用いた炭素繊維の高強度化に関する技術がいくつか開示
されているが、いずれも油剤処理に付与する浴延伸糸の
構造としては十分なものではなく、結果として最終的に
得られる炭素繊維の強度は500kg/mm2 未満と
低いものであった。
【0031】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに具体的に説
明する。物性値は以下の方法により測定したものである
。 イ.炭素繊維の性能(強度・弾性率) JISR−7601に準じて測定したエポキシ樹脂を含
浸したストランドの物性値から求めた。測定回数n=1
0回の平均値で、試長200mmである。
【0032】ロ.膨潤度 膨潤糸を遠心脱水機を用いて付着水を除去した(300
0rpm ×15分間)後の重量(W)とこれを110
℃×2時間熱風乾燥機で乾燥した後の重量(Wo)から
、以下の計算式を用いて求めた値である。 {(W−Wo)/Wo}×100(%)
【0033】ハ
.水銀圧入法による細孔体積及び平均細孔半径 凝固糸あるいは延伸糸を室温下水洗して溶剤と水との置
換を充分に行った後、液体窒素中に侵漬して凍結させ、
その後本凍結糸を減圧下(約10−2Torr)周囲を
−5℃〜−10℃のドライアイス・メタノールバスにて
冷却しながら72時間乾燥処理を施した約0.5gを各
試料とした。
【0034】細孔体積微分曲線から求めた細孔半径の極
大値は、CARLO  ERBA社製ポロシメーター2
00を使用して水銀圧入法により測定したものであり、
円筒換算細孔の細孔半径分布曲線の極大値を示すもので
ある。水銀圧入法は、比較的ぬれ性の悪い水銀に所定の
圧力(0kg/cm2 〜2000kg/cm2 )を
加えていき、各圧力ごとに繊維内部へ浸透した水銀量を
測定するものであり、各圧力とその際に測定される細孔
半径との関係は以下の式により定義される。
【0035】水銀圧入法 πr2p=−2 πrσ cosθ σ:水銀の表面張力(480dyne/cm)r:細孔
半径    θ:接触角(140°)r=7.5×10
4 /p(Å) 上式から外圧pより細孔半径(r)を求め、各圧力下で
の水銀圧入量より細孔体積を求め、かつその累積値とし
て全細孔体積を求めた。
【0036】
【実施例】1 アクリロニトリル95重量%とアクリル酸メチル3.5
重量%、メタクリル酸1.5重量%からなる極限粘度1
.80の共重合体をジメチルアセトアミド(DMAC)
に溶解して、ポリマー濃度が21重量%、温度が60℃
の紡糸原液を作成し、紡浴温度35℃に保たれたDMA
Cの60重量%水溶液の凝固浴中にドラフト比0.8で
吐出した。この際の紡糸口金としては、直径0.075
mmφ、ホール数12000のものを用いた。
【0037】凝固糸条を一旦空中で1.5倍延伸した後
、第一段目の温熱延伸を80℃水浴中3.3倍の延伸条
件で行ない、洗浄を施し、さらに沸水中で第二段目の湿
熱延伸を沸水中1.2倍の延伸条件で行なった。該浴延
伸糸にアミノ変性ポリジメチルシロキサン系油剤を乾燥
繊維重量に対し、0.6〜20重量%付与した後、13
0℃の乾燥ロールにて乾燥後、さらに8kG(100℃
)の加熱ロール間で1.7倍の乾熱延伸を施して、単繊
維繊度1デニール、トータルデニール12000の繊維
束を得た。
【0038】この繊維束は強度6.0g/d、伸度8.
0%であった。この前駆体繊維を、250〜280℃の
温度勾配を有する耐炎化炉で耐炎化処理し(処理時間4
5min )次に窒素雰囲気下で、300〜1300℃
の温度勾配を有する炭化炉で焼成して、炭素繊維に転換
した。なお、得られた炭素繊維のヤング率が24t/m
m2 となる様に、耐炎化工程、及び炭化工程の張力を
調製した。
【0039】得られた結果を表1に示す。従って油剤処
理に付す水膨潤糸の状態は、かなり緻密なものであり、
これを焼成して得られる炭素繊維のストランド強度は、
湿式紡糸にもかかわらず520kg/mm2 とかなり
高いものであった。
【0040】
【実施例】2 紡浴温度を15℃とする以外は、実施例1と同様の条件
を採用して炭素繊維を製造した。得られた結果を表1に
示す。この場合凝固糸の構造はかなり緻密なものとなり
、かつ浴延伸糸の構造も、表1に示す様に良好な緻密性
を有していた。
【0041】比較例1、2 紡浴のジメチルアセトアミド水溶液濃度を50%とし、
紡浴温度を15℃及び35℃に設定する以外は、実施例
1と同様の条件を採用して炭素繊維を製造した。結果を
表1に示す。該凝固糸の構造は、両者とも、実施例1の
場合に比べ粗な構造であり、これをさらに延伸して得ら
れる浴延伸糸の構造は、いずれも本発明に要求される範
囲外のものであった。
【0042】また、この様に紡浴濃度を低下させた場合
、トータル延伸性も低下し、乾熱延伸も含め、トータル
延伸倍率10倍では、プレカーサー製糸工程での単糸切
れが目立つものであった。従って、得られた炭素繊維物
性値は両者ともストランド強度470kg/mm2 及
び460kg/mm2 と低いものであった。
【0043】比較例3 湿熱第一段目の延伸条件を、沸水中3.3倍延伸とする
以外は、実施例1と同様の条件を採用して炭素繊維を製
造した。結果を表1に示す。浴延伸糸は粗な構造を有し
ており、これを焼成して得られる炭素繊維物性もストラ
ンド強度で450kg/mm2 と低いものであった。
【0044】比較例4 湿熱第二段目の延伸を省略し、トータルでの延伸倍率を
8.5倍とする以外は、実施例1と同様の条件を採用し
て炭素繊維を製造した。なお、この際のプレカーサーの
デニールは1.27dpf 、強度5.0g /d、伸
度8.9%であった。プレカーサー自体の繊維配向度が
低下している為、ストランド強度で430kg/mm2
 、ストランド弾性率で23.7t /mm2 と低い
ものであった。
【0045】比較例5 湿熱第一段目の延伸条件を、80℃水浴中1.8倍とし
、トータル延伸倍率が可能な限り、高延伸となる様種々
検討し、湿熱第二段目の延伸比と、乾熱延伸比を夫々、
沸水中2.0倍、8kG乾熱ロール間で1.7倍に設定
し、トータル延伸倍率を9.2倍とした。なおこれ以上
の高倍率延伸は単糸切れ等による製糸性の劣るものとな
り、実質不可能であった。上記延伸条件を変更する以外
は、実施例1と同様の条件を採用して炭素繊維を得た。 得られた炭素繊維物性は、プレカーサー自体の繊維配向
度の低さによるためストランド強度で450kg/mm
2 、ストランド弾性率で23.9t /mm2 と低
いものであった。
【0046】比較例6 湿熱第一段目の延伸条件を、80℃水浴中5倍とし、ト
ータル延伸倍率が可能な限り高延伸となる様、種々検討
し、湿熱第二段目の延伸比と乾熱延伸比を夫々沸水中1
.0倍、8kG乾熱ロール間で1.36倍に設定し、ト
ータル延伸倍率を10倍とした。しかしながら、この際
の浴延伸糸の構造パラメータ値は、本発明に規定する数
値外のものであり、過剰延伸による繊維構造破壊を示唆
するものであった。上記延伸条件を変更する以外は、実
施例1と同様の条件を採用して炭素繊維を製造したが、
得られた炭素繊維の物性値はストランド強度で430k
g/mm2 と低いものであった。
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】本発明により得られる浴延伸糸は、湿式
紡糸法にもかかわらず緻密性が高いために、浴延伸の後
に付与される工程油剤が該浴延伸糸の粗な領域、特に表
面スキン層の粗な領域に侵入することが少なくなり、ひ
いてはプレカーサー全体としての緻密性を高めることが
可能となり、これを焼成して得られる炭素繊維は破断の
要因となる欠陥が少なく500kg/mm2 以上の高
強度炭素繊維を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】紡浴濃度(%)と紡浴温度(℃)を変更して得
られる凝固糸の膨潤度(%)を示すグラフ。
【図2】紡浴濃度(%)と紡浴温度(℃)を変更して得
られる凝固糸の細孔体積(cm3 /g)を示すグラフ
【図3】紡浴濃度(%)と紡浴温度(℃)を変更して得
られる凝固糸の平均細孔半径(Å)を示すグラフ。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  少なくとも90重量%のアクリロニト
    リルを含有するアクリロニトリル系重合体の紡糸原液を
    湿式紡糸して得られる凝固糸を、湿熱下で延伸して膨潤
    度が100%以下、細孔体積が0.7cm3 /g以下
    、平均細孔半径が300Å以下の構造を有する糸とし更
    に全延伸倍率が10倍以上となるように延伸することを
    特徴とする炭素繊維製造用アクリル系繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】  凝固糸を空中延伸、湿熱延伸、乾熱延
    伸の順に延伸することを特徴とする請求項1記載の製造
    方法。
  3. 【請求項3】  湿熱延伸の後油剤を付与することを特
    徴とする請求項2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】  凝固糸の膨潤度が190%以下、水銀
    圧入法による細孔体積が1cm3 /g以下、平均細孔
    半径が400Å以下であることを特徴とする請求項1記
    載の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997045576A1 (fr) * 1996-05-24 1997-12-04 Toray Industries, Inc. Fibre de carbone, fibre acrylique, et leur procede de production

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WO1997045576A1 (fr) * 1996-05-24 1997-12-04 Toray Industries, Inc. Fibre de carbone, fibre acrylique, et leur procede de production

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