JP3038665B2 - 緊張材用定着具およびプレストレス導入方法 - Google Patents

緊張材用定着具およびプレストレス導入方法

Info

Publication number
JP3038665B2
JP3038665B2 JP3266503A JP26650391A JP3038665B2 JP 3038665 B2 JP3038665 B2 JP 3038665B2 JP 3266503 A JP3266503 A JP 3266503A JP 26650391 A JP26650391 A JP 26650391A JP 3038665 B2 JP3038665 B2 JP 3038665B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sleeve
tendon
head
tension member
tension
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP3266503A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06158781A (ja
Inventor
芳広 武川
重剛 三藤
謙蔵 関島
邦夫 日原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimizu Corp
Original Assignee
Shimizu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimizu Corp filed Critical Shimizu Corp
Priority to JP3266503A priority Critical patent/JP3038665B2/ja
Publication of JPH06158781A publication Critical patent/JPH06158781A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3038665B2 publication Critical patent/JP3038665B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ポストテンション方
式等によって構造物にプレストレスを導入する際に使用
される緊張材用定着具およびこの定着具を使用したプレ
ストレス導入方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維やアラミド繊維等の連続繊維を
用いてエポキシ樹脂などのプラスチックを補強してなる
FRP製緊張材を使用して構造物にプレストレスを導入
する場合、該緊張材の端部を構造物に固定するために緊
張材用定着具が使用される。従来、上記緊張材用定着具
として以下のものが知られている。
【0003】(A)スリーブ(円筒管)方式 (1)摩擦型 この緊張材用定着具は、図12に示すように、金属製ま
たはFRP製の円筒状をなすスリーブ1のなかに、FR
P製緊張材2の端部を挿入し、セメント系グラウトやエ
ポキシ樹脂等のグラウト材3を充填注入した構成となっ
ている。構造物Kへの固定は、図13(a)(b)に示
すように、緊張材2の両端部をスリーブ1に挿通して該
スリーブ1にグラウト材を充填して養生した後、上記構
造物K中に設けられたシース6に緊張材2を挿通しスリ
ーブ1の外周に形成されたネジ4にナット5を螺合する
とともに該ナット5により支圧板7を介して構造物Kの
端面を押圧することによって行う。そして、定着具部に
おける緊張力は、緊張材2とグラウト材3の付着力及び
グラウト材3とスリーブ1内面の摩擦により伝達され
る。
【0004】(2)圧締型 この緊張材用定着具は、図14に示すように、金属製の
円筒状をなすスリーブ1のなかに、FRP製緊張材2の
端部を挿入し、セメント系グラウトやエポキシ樹脂等の
グラウト材3を充填注入した後、スリーブ1を縮径する
ようにプレス加工した構成となっている。構造物への固
定は、上記摩擦型の場合と同様に、スリーブ1の外周に
形成したネジ4を用い、ナット5で行う。
【0005】ところが、上記スリーブ方式における摩擦
型および圧締型の緊張材用定着具においては以下のよう
な問題がある。すなわち、摩擦型においては、スリーブ
1は、緊張時にグラウト材3に発生するフープテンショ
ン力を拘束し、緊張材2とグラウト材3の付着力の向上
に寄与している。しかし、グラウト材3とスリーブ1内
面の摩擦力向上には、ほとんど寄与しないため、緊張材
2が規格引張り荷重に達し破断する前に、スリーブ1内
面でのグラウト材3の抜け出しにより、定着具が破壊し
てしまうことがある。これは、スリーブ内の表面積を大
きくすることで防止できる。しかし、前述したように、
グラウト材3を周面拘束することで付着力の向上が図れ
ることを考慮すると、スリーブ径は必要以上に大きくせ
ずに、スリーブ1の長さを長くすることで対処せざるを
えない。このため、スリーブ1の重量が大きくなって、
ハンドリング性が悪くなるとともに、不経済である。
【0006】また、スリーブ1は、予め、緊張材1の両
端部に取付け加工しているため、構造物Kの所定箇所に
定着するには、FRP製緊張材2の長さ、弾性係数や応
力度に基づき、緊張時の伸びを計算して、緊張前のスリ
ーブ1の収まりを設定しておかなけらばならない。さら
に、図15(a)〜(c)に示すように、ポストテンシ
ョン方式でPC橋の桁にプレストレスを導入する場合、
緊張材2は弓状に配置されることや、その両端に定着具
8が必要なこと、さらに、緊張材2を箱抜きしているシ
ース9との摩擦により緊張力が減少されること等複雑な
条件を考慮し、前述の伸びの計算とスリーブの収まりの
設定を行わなければならず、高度な技術力が要求され
る。なお、図15(b)中符号Jは緊張材2を引っ張る
油圧ジャッキを示す。
【0007】上記のように、スリーブ1の装着により、
緊張材2の長さが限定されるので、設計・施工管理が困
難になる。設計・施工管理が十分でないと、緊張・定着
時にスリーブ外周面に形成されたネジ4が構造物の所定
箇所から外れてしまい、ナット5で定着できなくなるこ
ともある。これを防止するには、スリーブ1の長さを上
述した以上に長くしておかなければならず、さらに重量
が増加し、ますますハンドリング性が悪くなる。
【0008】また、図16に示すようなグラウンドアン
カーの場合、定着地盤10の深さは、実際に、その場所
を削孔してみると、当初の設計図に示されたもの(図中
符号11で示す)と異なっていることが多い。アンカー
12は、その先端をセメントミルク等のグラウト材1
2′によって地盤中に確実に定着することが要求される
ため、地盤条件に応じて、その都度、アンカー長さを柔
軟に変える必要がある。このため、設計図に基づき、緊
張材2の長さを決めて切断し、その端部にスリーブ1を
予め取付け加工しておいても、定着地盤10が設計段階
の場合より深くなってしまう場合には、使うことができ
なくなってしまう。また、削孔時に、定着地盤10の深
さを確認した後、スリーブ1の取付け加工を始めるので
は、グラウト材の養生時間等から、削孔後に、ボーリン
グ孔内へ緊張材2を挿入する作業が連続してできない。
以上から後述する(B)クサビ方式のように、緊張材の
端部がフリーな条件で定着するものと比べて、緊張材の
長さ、伸び、スリーブの設置位置等について、設計・施
工上、難しく、扱いにくい。
【0009】さらに、FRP製緊張材の弾性係数(×1
6kg/cm2)は、大きいものでも1.5程度であ
り、従来から緊張材として用いられているPC鋼材の
1.9〜2.1に比べて小さい。このため、緊張力導入時
の伸びが大きく、定着完了時に、スリーブ1の出っ張り
も大きくなる。しかし、スリーブ1は現場で切断してし
まうと機能しなくなるため、スリーブ1の出っ張りを含
めて、防食処理を施さなければならない(図17参
照)。またPC斜長橋の斜材のように、定着具部が構造
物の外面に出た状態で防食処理を行うときには、出っ張
りが大きいため、景観を損なってしまう。なお、図17
において符号13はポリプロピレン製、アルミ製等のヘ
ッドキャップを示し、このヘッドキャップ13内に防錆
油等を充填することによって上記防食処理を行うように
なっている。
【0010】一方、圧締型においては、スリーブ1を縮
径するようなプレス加工を施すことで、緊張材2とグラ
ウト材3の付着力およびグラウト材3とスリーブ1内面
の摩擦力を増大させている。その結果、スリーブ1の長
さは、上記摩擦型の場合と比べて短くできるものの、プ
レス加工には特殊なプレス機が必要であり、加工工程が
増えるとともに不経済である。また、上記摩擦型の場合
と同様に、緊張材2の長さ、伸び、スリーブ1の設置位
置等について、設計・施工上、難しく、扱いにくい。
【0011】そこで、上記のようなスリーブ方式の定着
具の問題を解決できるものとして、クサビ方式の定着具
が知られている。 (B)クサビ方式 (1)直接型 この緊張材用定着具は、図18に示すように、金属製の
クサビ状のチャック15のなかにFRP製緊張材2の端
部を挿入し、該チャック15をヘッド16の円錐状の貫
通孔17に嵌合し、緊張材2の緊張力によってチャック
15をヘッド16に引き込み、該チャック15全体で緊
張材2を挟み付ける構成となっている。そして、上記構
成の定着具では、チャック15の内面に形成されたノコ
ギリ状の波形が、緊張時に緊張材2にくい込み、そのせ
ん断作用によって緊張力を伝達するようになっている。
【0012】(2)ダイカスト型 この緊張材用定着具は、図19に示すように、FRP製
緊張材2の端部に特殊合金を溶融金型成形し、それを円
筒管に挿入してプレス加工し、その端部加工部(ダイカ
スト部)18をチャック15のなかに挿入し、該チャッ
ク15をヘッド16の円錐状の貫通孔17に嵌合し、緊
張材2の緊張力によってチャック15をヘッド16に引
き込み、該チャック15の先端部でダイカスト部18を
挟み、さらに緊張材2を挟み付ける構成となっている。
そして、上記構成の定着具では、チャック15の内面に
形成されたノコギリ状の波形が、緊張時にダイカスト部
18にくい込み、そのせん断作用によって緊張力を伝達
するようになっている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記クサビ
方式における直接型およびダイカスト型の緊張材用定着
具においては以下のような問題がある。すなわち、直接
型においては、FRP製緊張材2が長さ方向の引張り力
に対してのみ強化されているので、上記金属製のチャッ
ク15を用いて、緊張材2を直接定着し引っ張ると、緊
張材2がその母材強度を大幅に下回ってチャック15の
端部で破断してしまう。
【0014】このような局部的な圧縮力やせん断力を緩
和するため、例えば次のような方法が考えられている。 ア.ヘッド16からチャック15の先端を突出させた構
造とする(図18)。 イ.チャック15の内面をなめらかな研磨仕上げとし、
内面全体で緊張材2を包み、摩擦力のみで定着する。し
かし、これらの改良にも拘らず、FRP緊張材の引張り
試験では、母材強度のおよそ80%程度で、チャック端
部で破断してしまうことが多い。したがって、緊張材の
設計をその母材強度で行うことができず、チャック端部
での破断強度まで割り引いた値を基準として行っている
のが実情であり、このため緊張材の強度を有効に発揮で
きず、設計上不利であるとともに不経済である。
【0015】一方、ダイカスト型においては、緊張材2
をダイカスト部によって補強しているので上記直接型の
ように緊張材2がチャック15の端部で破断してしまこ
とはあまりないが、緊張材2にダイカスト部18を形成
するために、上記スリーブ方式の場合と同様な理由によ
り、緊張材2の長さが限定されることとなり、設計・施
工管理が困難になる。また、定着時にダイカスト部18
の出っ張りが大きくなり、定着具部の防食処理がコンパ
クトにできず、また景観を損なうこともある。さらに、
溶融金型成形とプレス加工を行うために、特殊な金型、
成形機やプレス機が必要で、加工工程が増加する。
【0016】この発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、FRP製緊張材が母材強度以下で切断することがな
く、しかも容易かつ確実に緊張材に緊張力を付与するこ
とができる、言い換えると構造物にプレストレスを容易
かつ確実に導入することができる緊張材用定着具および
プレストレス導入方法を提供することを目的としてい
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明の請求項1の緊張材用定着具は、円錐状の
貫通孔を有するヘッドと、このヘッドの貫通孔に密接状
態に嵌入され、内部に緊張材が挿通されかつ該緊張材を
保持するためのグラウト材が充填される円錐筒状のスリ
ーブとからなるものである。
【0018】また、請求項2の緊張材用定着具は、円錐
状の貫通孔を有するヘッドと、このヘッドの貫通孔に密
接状態に嵌入され、内部に緊張材が挿通されかつ該緊張
材を保持するためのグラウト材が充填されるスリーブと
からなり、該スリーブが上記ヘッドの貫通孔に嵌入され
る円錐筒状のスリーブ本体と、このスリーブ本体に形成
され、該スリーブ本体から離間するにしたがって漸次縮
径する円錐筒状の頭部とから構成されているものであ
る。
【0019】請求項3のプレストレス導入方法は、構造
物にプレストレスを導入するプレストレス導入方法であ
って、上記構造物の一端部に長尺な緊張材の一端部を固
定し、次いで、上記構造物の他端部に、請求項1または
請求項2の緊張材用定着具をそのヘッドを当接させかつ
緊張材の他端部をスリーブに挿通した状態で設置し、次
いで、上記緊張材の他端部を引っ張った状態で、上記ス
リーブ内にグラウト材を充填するものである。
【0020】
【作用】この発明の請求項1の緊張材用定着具にあって
は、スリーブが、緊張材の緊張力によって、ヘッドの内
面に押圧され、これによってグラウト材がスリーブの内
面に押圧されてスリーブ内面とグラウト材との間に支圧
力が発生することで摩擦力が大きくなるうえ、グラウト
材とスリーブとの接触面が緊張材の引っ張り方向に対し
て傾斜しているので、グラウト材の緊張材の引っ張り方
向への移動がスリーブの内周面によって拘束されて、ス
リーブ内面でのグラウト材の抜け出しを防止することが
できる。その結果、従来の円筒状のスリーブに比べ、ス
リーブの長さを大幅に短くすることができ、よってスリ
ーブの重量を小さくでき、ハンドリング性の向上を図る
ことができるとともに経済的である。
【0021】請求項2の緊張材用定着具にあっては、上
記請求項1の作用に加えて、スリーブの頭部が円錐筒状
をなしているので、頭部の大きさがコンパクトになると
ともに、少ないグラウト材量で緊張材に必要な付着長を
確保することができる。
【0022】請求項3のプレストレス導入方法にあって
は、、緊張材に緊張力を導入した後、スリーブ内にグラ
ウト材を充填することによって緊張材を定着することが
できるので、緊張材の長さが限定されず、設計・施工管
理が簡便であるとともに、スリーブの構造物からの出っ
張りを最小限に抑さえることができ、スリーブから突出
している緊張材は現場で容易に切断することができるの
で、、定着具部の防食処理をコンパクトにできるととも
に、景観を損なうことがない。
【0023】
【実施例】以下、この発明の実施例を図1ないし図11
を参照して説明する。図1はこの発明の緊張材用定着具
の第1実施例を示すものであり、図中符号20はヘッド
を示す。このヘッド20は鋼、FRP、セラミックス等
の素材で形成された略円筒状のものであり、その中央部
には下方に向かうにしたがって漸次縮径する円錐状の貫
通孔21が形成されている。この貫通孔21にはスリー
ブ22が密嵌合するようになっている。このスリーブ2
2は頂部が底面に対して平行な面で切られた円錐筒状の
ものであり、その上下の開口部は閉塞されている。この
スリーブ22の上下面のそれぞれの中央部には、該スリ
ーブ22にFRP製緊張材2を挿通するための挿通孔2
3,24が形成されており、また、スリーブ22の上面
周縁部には、該スリーブ22内にグラウト材3を充填す
るための充填孔25とエア抜き用の孔26とが形成され
ている。
【0024】このグラウト材3は、スリーブ22に挿通
された緊張材2を保持するためのものであり、例えば、
セメント系のミルク、エポキシ等の高分子系樹脂あるい
は融点の低い溶融特殊合金等が挙げられる。上記セメン
ト系のミルクとしては、早強セメント、超早強セメン
ト、超速硬セメント等や、これらに膨張剤やシリカヒュ
ーム等の混和剤を添加したものが挙げられる。
【0025】上記構成の緊張材用定着具では、以下のよ
うな効果を得ることができる。すなわち、従来の円筒形
スリーブ1では、スリーブ内面でのグラウト材3の抜け
出しは、スリーブ内面とグラウト材3の摩擦力だけで抵
抗しているため、異形形状を有する緊張材2とグラウト
材3の付着力の方が大きく、スリーブの長さは、上記摩
擦力によって決定されていた。
【0026】これに対して、上記緊張材用定着具におい
ては、スリーブ22をヘッド20に装着するとともに、
スリーブ22に緊張材2を保持するグラウト材3を充填
することにより、スリーブ22が、緊張材2の緊張力す
なわち図1において緊張材2がスリーブ22を下方に引
っ張る力によって、ヘッド20から内側に押圧され、こ
れによってグラウト材3がスリーブ22によって押圧さ
れてスリーブ内面とグラウト材3との間に支圧力が発生
することで摩擦力が大きくなるうえ、グラウト材3とス
リーブ22との接触面が緊張材2の引っ張り方向に対し
て傾斜しているので、グラウト材3の緊張材2の引っ張
り方向への移動がスリーブ22の内周面によって拘束さ
れて、スリーブ内面でのグラウト材3の抜け出しを防止
することができる。その結果、従来の円筒状のスリーブ
1に比べ、スリーブ22の長さを大幅に短くすることが
できる。したがって、スリーブ22の重量を小さくで
き、ハンドリング性の向上を図ることができるとともに
経済的である。
【0027】また、スリーブ22に充填されたグラウト
材3のクッション効果により、従来のクサビ方式直接型
のように、スリーブ端部で緊張材がその母材強度を下回
って破断することがないので、緊張材の強度を有効に発
揮することができる。
【0028】図2ないし図4は、緊張材用定着具の第2
実施例を示すものである。これらの図に示す定着具は、
上記第1実施例と同形のヘッド20と、このヘッド20
の貫通孔21に密接状態に嵌入され、内部に緊張材2が
挿通されかつ該緊張材を保持するためのグラウト材3が
充填されるスリーブ30とから構成されている。このス
リーブ30は上記ヘッド20の貫通孔21に嵌入される
円錐筒状のスリーブ本体31と、このスリーブ本体31
の上縁部に形成され、該上方に向かうにしたがって漸次
縮径する円錐筒状の頭部32とから構成されている。
【0029】上記スリーブ30の上下面のそれぞれの中
央部には、該スリーブ30にFRP製緊張材2を挿通す
るための挿通孔33,34が形成されており、また、ス
リーブ30の頭部32の外周面には、スリーブ30内に
グラウト材3を充填するための充填孔35とエア抜き用
の孔36とが形成されている。
【0030】上記構成の定着具では、上記第1実施例の
定着具と同様の効果の他以下のような効果を得ることが
できる。すなわち、スリーブ30の長さは、クサビ状部
におけるグラウト材3の支圧力から求まる円錐高さh1
と、緊張材2とグラウト材3の付着力から求まる付着長
2とのうち、大きい方で決定される。緊張材2に導入
する緊張力の大きさによっては付着長h2の方が大きく
なることがある。このとき、上記のようにスリーブ30
の頭部32をクサビ状に加工することで、頭部32の大
きさを小さくコンパクトにできるとともに、少ないグラ
ウト材量で必要な付着長h2を確保することができる
(図3)。
【0031】また、緊張材2とグラウト材3の付着力向
上のため、グラウト材3に膨張材料を使用するとき、該
グラウト材3が変形すると膨張圧が大きく損失し、その
効果が期待できなくなったり、グラウト材自体が飛び出
す、所謂「鉄砲現象」を起こすこともあるので、3次元
でグラウト材周面を拘束し、変形を防止する必要があ
る。ヘッド20により拘束されているグラウト材周面は
拘束効果が期待できるためスリーブの両端面で拘束を施
す必要がある。この場合、上記スリーブ30のように頭
部32をクサビ状に加工することで、形状効果により剛
性が大きくなるので、上記第1実施例のスリーブ22に
比べて、上端面の肉厚tを薄くすることができるという
利点がある(図4参照)。
【0032】なお、上記2つの実施例では、スリーブ2
2,30にそれぞれ1本の緊張材2を挿通するようにし
たが、これに限ることなく、例えば、図5に示すよう
に、スリーブ30に複数本の緊張材2…を挿通して定着
するようにしてもよい。
【0033】次に、上記第2実施例の緊張材用定着具を
用いて、ポストテンション方式で構造物Kにプレストレ
スを導入する方法について図6ないし図11を参照して
説明する。まず、図6に示すように、シース37,37
を配置し、各シース37にFRP製緊張材2を挿通した
後、コンクリートを打設して構造物Kを構築する。この
構築物Kは橋台38,38に架設された橋桁であり、該
橋桁Kの一方の側部は支持部39aにより支持されてお
り、他方の側部は支持部39bにより構造物Kの巾方向
にわたって支持されている。また、上記緊張材2の両端
はいずれもフリーの状態にあり、引張り端側(図6にお
いて右端側)の緊張材2の出っ張り長さは、後述するラ
ムチェア、ジャッキ等の緊張機具の大きさを考慮して決
定する。
【0034】次に、図7に示すように、構造物Kの固定
端側(図6において左端側)に形成された箱抜き40の
底部に支圧板41を緊張材2を貫通させて設置し、この
支圧板41に上記ヘッド20、スリーブ30を緊張材2
を貫通させて設置する。その後、図8に示すように、ス
リーブ30内にその充填孔35から注入ホース42によ
ってグラウト材3を充填する。
【0035】そして、構造物Kのコンクリートとグラウ
ト材3が所定の強度に達した後、図9に示すように、構
造物Kの引張り端側(図6において右端側)に形成され
た箱抜き40の底部に支圧板41を緊張材2を貫通させ
て設置し、この支圧板41にヘッド20、スリーブ30
を緊張材2を貫通させて設置する。その後、上記箱抜き
40にラムチェア45を設置し、このラムチェア45に
センターホール型油圧式ジャッキ46と仮受け治具47
を設置する。この仮受け治具47は円錐状の貫通孔を有
する鋼製ヘッド47aに円錐筒状のクサビ47bを挿通
したものであり、該クサビ47bの締め付け力によって
緊張材2を保持するようになっている。なお、緊張時に
緊張材2に導入する緊張力は、規格引張り荷重の0.6
0倍であり、しかも一時的なものであるので該荷重レベ
ルで緊張材2がクサビ47bの先端部で破断することは
ない。また、上記ジャッキ46には、該ジャッキ46に
作動油を供給する電動油圧ポンプ46aが接続されると
ともに、緊張材2を保持して油圧力によって該緊張材2
を引っ張る上記仮受け治具47と同様の構造の端部固定
治具48が取付けられている。
【0036】次に、上記ジャッキ46で緊張材2を引っ
張って緊張力を導入し、この状態で緊張材2を仮受け治
具47で支持し、次いで、ジャッキ46の油圧力を解放
した後、該ジャッキ46を取り外す。次に、上記スリー
ブ30に充填孔35からグラウト材3を充填する。そし
て、このグラウト材3が所定の強度に達した後、緊張材
2をスリーブ30の頭部付近(図10中Sで示す部分)
で切断し、仮受け治具47とラムチェア45を撤去す
る。
【0037】最後に、図11に示すように、必要により
シース37内へグラウト材を注入し、さらに、箱抜き4
0内にモルタル、防鋳油等Lを充填して、該箱抜き40
を鋼板、ポリエチレン製板等の板体49によって閉塞
し、ボルト、ナット締めする。上記のようにしてヘッド
20とスリーブ30とからなる定着具を使用することに
より、構造物Kにプレストレスを容易かつ確実に導入す
ることができる。
【0038】また、緊張材2に緊張力を導入した後、ス
リーブ30内にグラウト材3を充填することによって緊
張材2を定着することができるので、緊張材2の長さが
限定されず、設計・施工管理が簡便である。また、スリ
ーブ30が、従来の円筒状のスリーブ1のように緊張材
2を定着する際に構造物から出っ張りすぎることがな
く、スリーブ30の出っ張りを最小限に抑さえることが
できるとともに、スリーブ30から突出している緊張材
2は現場で容易に切断することができる。したがって、
定着具部の防食処理をコンパクトにできるとともに、景
観を損なうことがない。
【0039】さらに、従来の圧締型やダイカスト型のよ
うに、特殊な金型、成形機やプレス機等を用いた緊張材
の端部加工が一切不要であるため、汎用機具で簡単に定
着でき作業性に優れている。なお、上記第3実施例の方
法において第1実施例の定着具を使用しても同様の作用
効果が得られるのは勿論のことである。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、以下のような効果を得ることができる。 従来の円筒状のスリーブに比べ、スリーブの長さを大
幅に短くすることができるので、スリーブの重量を小さ
くでき、よってハンドリング性の向上を図ることができ
るとともに経済的である。 緊張材に緊張力を導入した後、スリーブ内にグラウト
材を充填することによって緊張材を定着することができ
るので、緊張材の長さが限定されず、設計・施工管理が
簡便である。 また、スリーブが、従来の円筒状のスリーブのように
緊張材を定着する際に構造物から出っ張りすぎることが
なく、スリーブの出っ張りを最小限に抑さえることがで
きるとともに、スリーブから突出している緊張材は現場
で容易に切断することができので、定着具部の防食処理
をコンパクトにできるとともに、景観を損なうことがな
い。
【0041】特殊な金型、成形機やプレス機等を用い
た緊張材の端部加工が一切不要であるため、汎用機具で
簡単に定着でき作業性に優れている。 スリーブに充填されたグラウト材のクッション効果に
より、従来のクサビ方式直接型のように、スリーブ端部
で緊張材がその母材強度を下回って破断することがない
ので、緊張材の強度を有効に発揮することができる。
【0042】スリーブの頭部が円錐筒状をなしている
ので、頭部の大きさがコンパクトになるとともに、少な
いグラウト材量で必要な付着長を確保することができ
る。 スリーブの頭部が円錐筒状をなしているので、形状効
果により剛性が大きくなり、よって、膨張材料を使用し
たグラウト材をスリーブ内へ充填した場合に、平坦な上
端面のスリーブに比べて、上端面の肉厚を薄くすること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の緊張材用定着具の第1実施例を示す
斜視図である。
【図2】この発明の緊張材用定着具の第2実施例を示す
斜視図である。
【図3】この発明の緊張材用定着具の第2実施例を示す
断面図である。
【図4】定着具の上端面の板厚を説明するための図であ
る。
【図5】第2実施例の定着具のスリーブに複数本の緊張
材を挿入した状態を示す斜視図である。
【図6】プレストレスを導入する構造物を示す斜視図で
ある。
【図7】構造物の固定端側に定着具を装着した状態を示
す断面図である。
【図8】スリーブにグラウト材を充填している状態を示
す斜視図である。
【図9】構造物に挿通された緊張材を引っ張っている状
態を示す断面図である。
【図10】構造物の引張り端側に定着具を装着した直後
の状態を示す断面図である。
【図11】構造物の引張り端側に装着された定着具に防
食処理を施した状態を示す断面図である。
【図12】従来のスリーブ方式における摩擦型の定着具
を示す断面図である。
【図13】従来のスリーブ方式の定着具を構造物に装着
する方法を説明する断面図である。
【図14】従来のスリーブ方式における圧締型の定着具
を示す断面図である。
【図15】従来の定着具を用いてポストテンション方式
で橋桁にプレストレスを導入する方法を示す断面図であ
る。
【図16】従来の定着具を用いて地盤を補強した状態を
示す断面図である。
【図17】従来の定着具に防食処理を施した状態を示す
断面図である。
【図18】従来のクサビ方式における直接型の定着具を
示す断面図である。
【図19】従来のクサビ方式におけるダイカスト型の定
着具を示す斜視図である。
【符号の説明】
2 緊張材 3 グラウト材 20 ヘッド 21 貫通孔 22,30 スリーブ 31 スリーブ本体 32 頭部 K 構造物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 日原 邦夫 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建 設株式会社内 (56)参考文献 特開 昭51−22226(JP,A) 特開 昭61−216962(JP,A) 実開 昭51−18022(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04C 5/12 E04C 5/07 E04G 21/12 104

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円錐状の貫通孔を有するヘッドと、この
    ヘッドの貫通孔に密接状態に嵌入され、内部に緊張材が
    挿通されかつ該緊張材を保持するためのグラウト材が充
    填される円錐筒状のスリーブとからなることを特徴とす
    る緊張材用定着具。
  2. 【請求項2】 円錐状の貫通孔を有するヘッドと、この
    ヘッドの貫通孔に密接状態に嵌入され、内部に緊張材が
    挿通されかつ該緊張材を保持するためのグラウト材が充
    填されるスリーブとからなり、該スリーブが上記ヘッド
    の貫通孔に嵌入される円錐筒状のスリーブ本体と、この
    スリーブ本体に形成され、該スリーブ本体から離間する
    にしたがって漸次縮径する円錐筒状の頭部とから構成さ
    れていることを特徴とする緊張材用定着具。
  3. 【請求項3】 構造物にプレストレスを導入するプレス
    トレス導入方法であって、上記構造物の一端部に長尺な
    緊張材の一端部を固定し、次いで、上記構造物の他端部
    に、請求項1または請求項2の緊張材用定着具をそのヘ
    ッドを当接させかつ緊張材の他端部をスリーブに挿通し
    た状態で設置し、次いで、上記緊張材の他端部を引っ張
    った状態で、上記スリーブ内にグラウト材を充填するこ
    とを特徴とするプレストレス導入方法。
JP3266503A 1991-10-15 1991-10-15 緊張材用定着具およびプレストレス導入方法 Expired - Fee Related JP3038665B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3266503A JP3038665B2 (ja) 1991-10-15 1991-10-15 緊張材用定着具およびプレストレス導入方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3266503A JP3038665B2 (ja) 1991-10-15 1991-10-15 緊張材用定着具およびプレストレス導入方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06158781A JPH06158781A (ja) 1994-06-07
JP3038665B2 true JP3038665B2 (ja) 2000-05-08

Family

ID=17431822

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3266503A Expired - Fee Related JP3038665B2 (ja) 1991-10-15 1991-10-15 緊張材用定着具およびプレストレス導入方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3038665B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101957474B1 (ko) * 2016-11-23 2019-03-12 주식회사 위츠 골프 퍼터

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1507050A1 (de) * 2003-08-13 2005-02-16 Sika Technology AG Krafteinleitungselement
JP5493032B1 (ja) * 2013-05-01 2014-05-14 黒沢建設株式会社 グラウト寒中養生施工法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101957474B1 (ko) * 2016-11-23 2019-03-12 주식회사 위츠 골프 퍼터

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06158781A (ja) 1994-06-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US3844697A (en) Tendon anchorage assembly with threaded support member for concrete formwork
US8333047B2 (en) Method for strengthening a structure and associated anchorage unit
JP2003328561A (ja) コンクリート部材の補強方法及びそれに使用される緊張材の緊張装置
JP4675365B2 (ja) アンボンド工法に於けるpc鋼より線の定着方法、及び該方法の実施に用いる器具
JP3038665B2 (ja) 緊張材用定着具およびプレストレス導入方法
JP4303569B2 (ja) Frp緊張材の定着方法
JPH1018226A (ja) コンクリート橋脚、コンクリート橋脚の補強方法及び緊張材の定着方法
JP2020100976A (ja) Pc箱桁橋のせん断補強工法
JP4311748B2 (ja) 緊張材定着具及び緊張材定着方法
JP3445555B2 (ja) Pcケーブルの定着装置
JP3272320B2 (ja) 緊張定着構造及び緊張定着方法
JP2003239381A (ja) 基礎コンクリートと鉄骨柱脚との接合装置
JP3989474B2 (ja) プレストレス力導入装置の定着構造およびプレストレス式の接合構造
JPH1121816A (ja) 橋梁構造
JP2006112189A (ja) 緊張材定着具
JP3832312B2 (ja) プレストレストコンクリート多径間連続桁構造物の分割施工により構成された桁部の構造及びその構築方法
JP5711035B2 (ja) アンカー及びアンカーの固定方法
KR100516769B1 (ko) 강연선 케미칼앵카링 및 텐셔닝에 의한 슬래브 또는 보보강 공법
JP2007262808A (ja) プレストレス力導入装置、その定着構造およびプレストレス式の接合構造並びにプレストレス力導入装置の定着方法
JP3048721B2 (ja) 構造体の圧縮応力付与構造
US11927012B2 (en) One piece molded post-tension tendon pocket former with push in retention tabs and method of use thereof
JP2741271B2 (ja) Pc鋼棒の定着工法
JP2762899B2 (ja) 鋼管コンクリ−ト柱と梁の仕口構造
JP2008308935A (ja) トラス構造の施工方法
JPS61216962A (ja) プレストレストコンクリ−ト用緊張材の緊張・定着機構

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20000111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080303

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090303

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees