JP3038001B2 - 電解コンデンサの駆動用電解液 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は電解コンデンサの主として高圧用電解コンデ
ンサの駆動用電解液（以下電解液という）に関するもの
である。

従来の技術 従来より高圧用電解コンデンサの電解液にはエチレン
グリコールを主体とした溶液にほう酸を溶解した電解液
が多用されている。

発明が解決しようとする課題 アルミニウム電解コンデンサは、高温度での使用にお
いては、従来のエチレングリコールを主体とした溶液に
ほう酸を溶解した電解液を用いたものは、エステル化水
の発生により、信頼性を確保できなかった。

また、電解液として炭素数の多い高級二塩基酸の使用
も検討されたが溶解度が低く実用には至っていない。

さらに、側鎖にアルキル基を有する高級二塩基酸の使
用が検討されているが、実質的な耐電圧は400WVまでが
限界であるため、それ以上の定格電圧への適応には根本
的な対策を必要としていた。

課題を解決するための手段 本発明は上述の課題を解決するもので、従来の高級二
塩基酸を使用した電解液から得られる優れた特性を損な
うことなく、500WVまで適用可能な高圧用電解コンデン
サの電解液を提供するものである。

すなわち、エチレングリコールを主体とした溶液に７
−ビニル−９−ヘキサデセン−1,16ジカルボン酸あるい
はその塩を溶解したことを特徴とする電解コンデンサの
電解液である。

作用 本発明の電解液へ配合した７−ビニル−９−ヘキサデ
セン−1,16ジカルボン酸は、従来の高級二塩基酸に比べ
アルミニウム電極箔との錯体形成能力が非常に強いため
高い耐電圧性を有し、また分子内に不飽和結合を有する
ため、炭素数が多いにもかかわらず適度な錯体形成が行
われ、高温度雰囲気中での信頼性も十分に確保すること
ができる。

実施例 以下、本発明の実施例について説明する。

第１表は本発明と従来の電解液の特性についての比較
例を示す。

第１表中電解液試料記号Ａ、Ｂ、Ｃは従来例、Ｄ、Ｅ
は本発明例である。

第２表は、第１表の電解液を用いて定格500WV、150μ
Ｆのアルミニウム電解コンデンサを試作し、150℃、200
0時間の高温負荷試験を行った結果を示す。第２表中静
電容量の数値の単位はμＦを示す。

本発明に係る電解液試料記号D,Eの電解液を用いたも
のは、高温負荷試験においても全ての特性に問題なく改
良効果が得られている。

また、上述の実施において７−ビニル−９−ヘキサデ
セン−1,16ジカルボン酸の塩を用いたものについても同
様な効果が得られた。本発明の電解液に配合した７−ビ
ニル−９−ヘキサデセン−１、16−ジカルボン酸あるい
はその塩の配合量は、３重量％未満では比抵抗が著しく
増加し、また15重量％を超えると火花電圧が低下するた
め、３〜15重量％の範囲が望ましい。

発明の効果 以上のように、本発明のエチレングリコールを主溶媒
とし、７−ビニル−９−ヘキサデセン−1,16ジカルボン
酸あるいはその塩を溶解したことを特徴とする電解液を
用いた高圧用アルミニウム電解コンデンサは、広温度範
囲で優れた特性を示し、かつ、定格電圧500WVへの適応
も可能であり、工業的ならびに実用的価値の大なるもの
である。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】エチレングリコールを主溶媒とし、７−ビ
   ニル−９−ヘキサデセン−１、16−ジカルボン酸あるい
   はその塩を溶解したことを特徴とする電解コンデンサの
   駆動用電解液。
2. 【請求項２】上記７−ビニル−９−ヘキサデセン−１、
   16−ジカルボン酸あるいはその塩を３〜15重量％配合し
   たことを特徴とする請求項１記載の電解コンデンサの駆
   動用電解液。