JP3037820B2 - 加工性と耐食性に優れた高純度Ｆｅ−Ｃｒ合金 - Google Patents
加工性と耐食性に優れた高純度Ｆｅ−Ｃｒ合金Info
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は著しく耐食性に優れ、か
つ加工性にも優れる高純度のＦｅ−Ｃｒ合金に関する。
つ加工性にも優れる高純度のＦｅ−Ｃｒ合金に関する。
【０００２】
【従来の技術】一般にＦｅ−Ｃｒ合金は耐食性に優れた
材料として知られているが、耐食性および加工性の改善
も含めてＦｅ−Ｃｒ合金の物性の改良が以下に例示のご
とくに各種提案されている。
材料として知られているが、耐食性および加工性の改善
も含めてＦｅ−Ｃｒ合金の物性の改良が以下に例示のご
とくに各種提案されている。
【０００３】特公昭６３−５８９０４号公報ではＣｒ含
量１１．０〜１６．０重量％のＦｅ−Ｃｒ合金で、特に
Ｔｉ含量を特定量とした張り出し性および二次加工性に
優れたフェライト系ステンレス鋼を提案している。
量１１．０〜１６．０重量％のＦｅ−Ｃｒ合金で、特に
Ｔｉ含量を特定量とした張り出し性および二次加工性に
優れたフェライト系ステンレス鋼を提案している。
【０００４】特公昭６４−６２６４号公報ではＣｒ含量
８．０〜３５．０重量％のＦｅ−Ｃｒ合金で、特にＳ
ｉ，ＭｎおよびＮｂを各々特定量含有とした耐銹性に優
れたステンレス鋼光輝焼鈍材を提案している。
８．０〜３５．０重量％のＦｅ−Ｃｒ合金で、特にＳ
ｉ，ＭｎおよびＮｂを各々特定量含有とした耐銹性に優
れたステンレス鋼光輝焼鈍材を提案している。
【０００５】特公平２−１９０２号公報ではＣｒ含量が
２０．０重量％を越え２５重量％以下のＦｅ−Ｃｒ合金
で、特にＭｏ，ＭｎおよびＮｂを各々特定量含有せしめ
た溶接時の耐高温割れ性および溶接部靱性に優れた耐食
性フェライトステンレス鋼を提案している。
２０．０重量％を越え２５重量％以下のＦｅ−Ｃｒ合金
で、特にＭｏ，ＭｎおよびＮｂを各々特定量含有せしめ
た溶接時の耐高温割れ性および溶接部靱性に優れた耐食
性フェライトステンレス鋼を提案している。
【０００６】特開昭６１−１８６４５１号公報ではＣｒ
含量が２５〜５０重量％のＦｅ−Ｃｒ合金で、特にＳ
ｉ，ＭｎおよびＭｏを特定量含有せしめた耐サワー性に
優れた合金を提案している。
含量が２５〜５０重量％のＦｅ−Ｃｒ合金で、特にＳ
ｉ，ＭｎおよびＭｏを特定量含有せしめた耐サワー性に
優れた合金を提案している。
【０００７】特開昭６２−２６７４５０号公報ではＣｒ
含量１６〜１９重量％のＦｅ−Ｃｒ系合金であって、特
にＭｏを特定量含有せしめた耐粒界腐食性に優れる高純
度フェライト系ステンレス鋼を提案している。
含量１６〜１９重量％のＦｅ−Ｃｒ系合金であって、特
にＭｏを特定量含有せしめた耐粒界腐食性に優れる高純
度フェライト系ステンレス鋼を提案している。
【０００８】特開平１−２８７２５３号公報ではＣｒ含
量１５〜２６重量％、Ａｌ含量４〜６重量％のＦｅ−Ｃ
ｒ−Ａｌ合金であって、希土類元素を少量特定量含有せ
しめた耐酸化性および製造性に優れたＡｌ含有フェライ
ト系ステンレス鋼を提案している。
量１５〜２６重量％、Ａｌ含量４〜６重量％のＦｅ−Ｃ
ｒ−Ａｌ合金であって、希土類元素を少量特定量含有せ
しめた耐酸化性および製造性に優れたＡｌ含有フェライ
ト系ステンレス鋼を提案している。
【０００９】特開平２−２３２３４４号公報ではＣｒ含
量２５．０〜３０．０重量％のＦｅ−Ｃｒ系合金であっ
て、特にＭｏを特定量含有せしめた耐生物付着性および
耐海水性に優れたフェライト系ステンレス鋼を提案して
いる。
量２５．０〜３０．０重量％のＦｅ−Ｃｒ系合金であっ
て、特にＭｏを特定量含有せしめた耐生物付着性および
耐海水性に優れたフェライト系ステンレス鋼を提案して
いる。
【００１０】特開平３−２３５５号公報ではＣｒ含量１
６．０〜２５．０重量％のＦｅ−Ｃｒ合金であって、特
にＮｂをＣとＮの合計量との比において特定量含有せし
めた冷間加工性、靱性、耐食性に優れたフェライト系ス
テンレス鋼を提案している。
６．０〜２５．０重量％のＦｅ−Ｃｒ合金であって、特
にＮｂをＣとＮの合計量との比において特定量含有せし
めた冷間加工性、靱性、耐食性に優れたフェライト系ス
テンレス鋼を提案している。
【００１１】
【発明が解決しようとする課題】しかしこれらの先行技
術に於いて提案されたＦｅ−Ｃｒ合金は耐食性に於いて
必ずしも充分でなく海岸地域での耐塩害用材などの用途
に用いる場合には耐食性の改善が必要であった。
術に於いて提案されたＦｅ−Ｃｒ合金は耐食性に於いて
必ずしも充分でなく海岸地域での耐塩害用材などの用途
に用いる場合には耐食性の改善が必要であった。
【００１２】又、これらＦｅ−Ｃｒ合金は耐食性を重視
し、Ｃｒ量を比較的多く使用しているが、この場合加工
性を犠牲にせざるを得なかった。
し、Ｃｒ量を比較的多く使用しているが、この場合加工
性を犠牲にせざるを得なかった。
【００１３】かくして、本発明は著しく耐食性に優れし
かも加工性に於いても優れるＦｅ−Ｃｒ合金を提供する
ことを目的とする。
かも加工性に於いても優れるＦｅ−Ｃｒ合金を提供する
ことを目的とする。
【００１４】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記目的を達
成すべく鋭意研究を行った結果、従来Ｆｅ−Ｃｒ合金に
存在していたＣ，Ｎ，Ｏ，Ｐ，Ｓなどの不純物を低下さ
せ、不可避的に存在したか、あるいは積極的に添加する
場合もあるＳｉ，Ｍｎ，Ａｌ，Ｔｉ，Ｎｂ，Ｔａ，Ｚ
ｒ，Ｖ，Ｗ，Ｍｏ，Ｂ，Ｃｕ，Ｎｉ，Ｃｏなどの元素の
存在量を低下させた結果、意外にも極めて高純度で高Ｃ
ｒ含量のＦｅ−Ｃｒ合金が上記目的を達成することを見
い出し、本発明を完成するに至った。
成すべく鋭意研究を行った結果、従来Ｆｅ−Ｃｒ合金に
存在していたＣ，Ｎ，Ｏ，Ｐ，Ｓなどの不純物を低下さ
せ、不可避的に存在したか、あるいは積極的に添加する
場合もあるＳｉ，Ｍｎ，Ａｌ，Ｔｉ，Ｎｂ，Ｔａ，Ｚ
ｒ，Ｖ，Ｗ，Ｍｏ，Ｂ，Ｃｕ，Ｎｉ，Ｃｏなどの元素の
存在量を低下させた結果、意外にも極めて高純度で高Ｃ
ｒ含量のＦｅ−Ｃｒ合金が上記目的を達成することを見
い出し、本発明を完成するに至った。
【００１５】すなわち、本発明によればＦｅ及びＣｒを
合計量で９９．９８重量％以上含みかつＣｒを１６〜９
９．５重量％含有する高純度Ｆｅ−Ｃｒ合金が提供され
る。
合計量で９９．９８重量％以上含みかつＣｒを１６〜９
９．５重量％含有する高純度Ｆｅ−Ｃｒ合金が提供され
る。
【００１６】
【作用】本発明の理解のために、図面を用いて説明す
る。図１は、供試材（Ｆｅ−１８．７％Ｃｒ）の引張試
験時の伸びを測定した結果を示すものである。この図か
ら明らかなように、Ｆｅ，Ｃｒ以外の成分の総和が０．
０２重量％以下、即ちＦｅとＣｒの合計量が９９．９８
％以上の場合に於いて伸びが極めて高いことが明らかで
ある。
る。図１は、供試材（Ｆｅ−１８．７％Ｃｒ）の引張試
験時の伸びを測定した結果を示すものである。この図か
ら明らかなように、Ｆｅ，Ｃｒ以外の成分の総和が０．
０２重量％以下、即ちＦｅとＣｒの合計量が９９．９８
％以上の場合に於いて伸びが極めて高いことが明らかで
ある。
【００１７】なお、試験片の調製および測定法は以下の
ごとくである。 試験片：１０ｋｇ真空炉で溶解、鋳造し、熱間で４ｍｍ
厚まで圧延後、再結晶焼鈍し、脱スケール後冷間で０．
７ｍｍ厚まで圧延後、再結晶焼鈍し、供試材とした。 測定法：試験片を圧延方向に対してＬ方向、Ｃ方向、Ｘ
方向より採取し、ＪＩＳ Ｚ−２２４１に準拠した引張
試験により伸びとして、各方向の平均、即ち、（Ｌ＋Ｃ
＋２×Ｘ）／４で求めた。
ごとくである。 試験片：１０ｋｇ真空炉で溶解、鋳造し、熱間で４ｍｍ
厚まで圧延後、再結晶焼鈍し、脱スケール後冷間で０．
７ｍｍ厚まで圧延後、再結晶焼鈍し、供試材とした。 測定法：試験片を圧延方向に対してＬ方向、Ｃ方向、Ｘ
方向より採取し、ＪＩＳ Ｚ−２２４１に準拠した引張
試験により伸びとして、各方向の平均、即ち、（Ｌ＋Ｃ
＋２×Ｘ）／４で求めた。
【００１８】図２は、ＦｅとＣｒの合計量が９９．９８
重量％以上および９９．９８重量％未満の各々の場合に
つき、Ｃｒ含量と耐食性の試験を行った結果を示してい
る。
重量％以上および９９．９８重量％未満の各々の場合に
つき、Ｃｒ含量と耐食性の試験を行った結果を示してい
る。
【００１９】耐食性は、大気暴露試験を６ケ月間行い、
以下のように評価した。 Ａ：全くシミなし Ｂ：わずかにシミ発生 Ｃ：シミ中程度に発生 Ｄ：シミ発生程度大、赤サビ発生あり 試験片の調製：１０ｋｇ真空炉で溶解、鋳造し、熱間で
４ｍｍ厚まで圧延後、再結晶焼鈍し、脱スケール後冷間
で０．７ｍｍ厚まで圧延後、再結晶焼鈍した鋼板表面を
エメリー＃５００研磨して試験に供した。 試験法：千葉の海岸地区（海岸線より１０ｍのところ）
で６ケ月間暴露した。
以下のように評価した。 Ａ：全くシミなし Ｂ：わずかにシミ発生 Ｃ：シミ中程度に発生 Ｄ：シミ発生程度大、赤サビ発生あり 試験片の調製：１０ｋｇ真空炉で溶解、鋳造し、熱間で
４ｍｍ厚まで圧延後、再結晶焼鈍し、脱スケール後冷間
で０．７ｍｍ厚まで圧延後、再結晶焼鈍した鋼板表面を
エメリー＃５００研磨して試験に供した。 試験法：千葉の海岸地区（海岸線より１０ｍのところ）
で６ケ月間暴露した。
【００２０】図２から明らかなように、ＦｅとＣｒの合
計量が９９．９８重量％以上の場合Ｃｒ含量が１６重量
％以上であれば耐食性（耐候性）に於いて著しく優れる
ことが明らかである。
計量が９９．９８重量％以上の場合Ｃｒ含量が１６重量
％以上であれば耐食性（耐候性）に於いて著しく優れる
ことが明らかである。
【００２１】一方、ＦｅとＣｒの合計量が９９．９８重
量％未満の場合、Ｃｒ含量が１６％以上であっても耐食
性に劣ることが明らかである。
量％未満の場合、Ｃｒ含量が１６％以上であっても耐食
性に劣ることが明らかである。
【００２２】
【構成】以下、本発明の構成を詳述する。本発明のＦｅ
−Ｃｒ合金のＦｅとＣｒの合計量は９９．９８重量％以
上である。９９．９８重量％未満であると、〔作用〕の
項で述べたように延性が低下すると共に、耐食性が低
い。ＦｅとＣｒの合計量が上記範囲であることによっ
て、著しく優れた耐食性と優れた加工性を有するように
なる。
−Ｃｒ合金のＦｅとＣｒの合計量は９９．９８重量％以
上である。９９．９８重量％未満であると、〔作用〕の
項で述べたように延性が低下すると共に、耐食性が低
い。ＦｅとＣｒの合計量が上記範囲であることによっ
て、著しく優れた耐食性と優れた加工性を有するように
なる。
【００２３】また、Ｃｒ含量は１６〜９９．５重量％、
好ましくは加工性の点から１６〜３０重量％である。Ｃ
ｒ含量が１６重量％未満では耐食性に劣り、Ｃｒ含量が
９９．５重量％を超えた場合、特別耐食性に優れること
もなくその効果も飽和するからである。
好ましくは加工性の点から１６〜３０重量％である。Ｃ
ｒ含量が１６重量％未満では耐食性に劣り、Ｃｒ含量が
９９．５重量％を超えた場合、特別耐食性に優れること
もなくその効果も飽和するからである。
【００２４】このようにＦｅとＣｒの合計量を９９．９
８重量％以上と超高純度とし、しかもＣｒ含量を１６〜
９９．５重量％とすることにより、著しく高耐食性で高
加工性を有するＦｅ−Ｃｒ合金が得られる。
８重量％以上と超高純度とし、しかもＣｒ含量を１６〜
９９．５重量％とすることにより、著しく高耐食性で高
加工性を有するＦｅ−Ｃｒ合金が得られる。
【００２５】従来のＦｅ−Ｃｒ合金に通常含有されてい
る不純物元素としては、Ｃ，Ｎ，Ｏ，Ｐ，Ｓ，Ａｌ，Ｓ
ｉ，Ｍｎ，Ｍｏ，Ｔｉ，Ｎｂ，Ｚｒ，Ｖ，Ｗ，Ｔａ，
Ｂ，Ｃｕ，Ｎｉ，Ｃｏ，Ｃａ，Ｍｇなどがあるが、Ｆｅ
＋Ｃｒ≧９９．９８ｗｔ％であればよいので、これら不
純物元素の個々の値は規定しない。
る不純物元素としては、Ｃ，Ｎ，Ｏ，Ｐ，Ｓ，Ａｌ，Ｓ
ｉ，Ｍｎ，Ｍｏ，Ｔｉ，Ｎｂ，Ｚｒ，Ｖ，Ｗ，Ｔａ，
Ｂ，Ｃｕ，Ｎｉ，Ｃｏ，Ｃａ，Ｍｇなどがあるが、Ｆｅ
＋Ｃｒ≧９９．９８ｗｔ％であればよいので、これら不
純物元素の個々の値は規定しない。
【００２６】この様な超高純度のＦｅ−Ｃｒ合金を製造
するには原料として、高純度電解鉄と電解Ｃｒを所定量
用いることで達成される。いずれの原料も主たる不純物
は酸素であり、この酸素を除去するために１０-7ｔｏｒ
ｒよりも高い超高真空下で溶解、鋳造することにより本
発明の超高純度のＦｅ−Ｃｒ合金を製造することができ
る。
するには原料として、高純度電解鉄と電解Ｃｒを所定量
用いることで達成される。いずれの原料も主たる不純物
は酸素であり、この酸素を除去するために１０-7ｔｏｒ
ｒよりも高い超高真空下で溶解、鋳造することにより本
発明の超高純度のＦｅ−Ｃｒ合金を製造することができ
る。
【００２７】また、本発明は、熱延焼鈍板、冷延焼鈍板
で用いられても十分に効果が生じるとともに、冷延焼鈍
板においては表面仕上げが２Ｄ，２Ｂ，ＢＡ，ＨＬ，研
磨、鏡面などのいずれでもかまわない。
で用いられても十分に効果が生じるとともに、冷延焼鈍
板においては表面仕上げが２Ｄ，２Ｂ，ＢＡ，ＨＬ，研
磨、鏡面などのいずれでもかまわない。
【００２８】
【実施例】以下、実施例をもって本発明を具体的に説明
する。 （実施例）表１に示す化学組成を有する合金を１０ｋｇ
真空溶解炉で溶製、鋳造し、熱間圧延により板厚４ｍｍ
の熱延板とし、再結晶を目的とした熱延板焼鈍を施し、
脱スケール後冷間圧延により板厚０．８ｍｍの冷延板と
して最終的に再結晶焼鈍し、冷延焼鈍板とした。
する。 （実施例）表１に示す化学組成を有する合金を１０ｋｇ
真空溶解炉で溶製、鋳造し、熱間圧延により板厚４ｍｍ
の熱延板とし、再結晶を目的とした熱延板焼鈍を施し、
脱スケール後冷間圧延により板厚０．８ｍｍの冷延板と
して最終的に再結晶焼鈍し、冷延焼鈍板とした。
【００２９】
【００３０】このようにして得られた鋼板について以下
の試験を行った。 〔加工性の評価（発明合金１〜５、比較合金１〜３）〕
ＪＩＳ Ｚ−２２４１に準拠した引張試験による伸びの
測定と、３０％冷間圧延後、Ｃ方向に１８０°密着曲げ
試験を行った時の割れの状況を観察した。その結果を表
２に示す。
の試験を行った。 〔加工性の評価（発明合金１〜５、比較合金１〜３）〕
ＪＩＳ Ｚ−２２４１に準拠した引張試験による伸びの
測定と、３０％冷間圧延後、Ｃ方向に１８０°密着曲げ
試験を行った時の割れの状況を観察した。その結果を表
２に示す。
【００３１】
【００３２】Ｆｅ＋Ｃｒ≧９９．９８％と高純度化する
ことにより伸びが著しく改善され、加工性も良好となる
ことがわかる。
ことにより伸びが著しく改善され、加工性も良好となる
ことがわかる。
【００３３】〔耐食性評価（発明合金１〜５、比較合金
１〜４）〕上記鋼板をエメリー＃５００研磨し、千葉海
岸地区（海岸線より１０ｍ）で６ケ月間の大気暴露試験
を行った結果を表３に示す。
１〜４）〕上記鋼板をエメリー＃５００研磨し、千葉海
岸地区（海岸線より１０ｍ）で６ケ月間の大気暴露試験
を行った結果を表３に示す。
【００３４】
【００３５】Ｆｅ＋Ｃｒ≧９９．９８％のとし、さらに
Ｃｒを１６％以上含有させることにより著しく耐食性が
改善されることがわかる。
Ｃｒを１６％以上含有させることにより著しく耐食性が
改善されることがわかる。
【００３６】
【発明の効果】本発明の新規超高純度Ｆｅ−Ｃｒ合金は
著しく高耐食性であり、加工性にも優れるので海岸近く
の建築外装材を始めたとした耐塩害用材に使用できる。
著しく高耐食性であり、加工性にも優れるので海岸近く
の建築外装材を始めたとした耐塩害用材に使用できる。
【図１】 Ｆｅ，Ｃｒ以外の不純物の量と延性の関係を
示すグラフである。
示すグラフである。
【図２】 Ｃｒ量と耐食性の関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大和田 哲 千葉県千葉市中央区川崎町１番地 川崎 製鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 藤 澤 光 幸 千葉県千葉市中央区川崎町１番地 川崎 製鉄株式会社技術研究本部内 (56)参考文献 特開 平２−258947（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−295488（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) C22C 38/00 - 38/18
Claims (1)
- 【請求項１】Ｆｅ及びＣｒを合計量で９９．９８重量％
以上含みかつＣｒを１６〜９９．５重量％含有する加工
性と耐食性に優れた高純度Ｆｅ−Ｃｒ合金。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4109690A JP3037820B2 (ja) | 1992-04-28 | 1992-04-28 | 加工性と耐食性に優れた高純度Ｆｅ−Ｃｒ合金 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4109690A JP3037820B2 (ja) | 1992-04-28 | 1992-04-28 | 加工性と耐食性に優れた高純度Ｆｅ−Ｃｒ合金 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05302153A JPH05302153A (ja) | 1993-11-16 |
| JP3037820B2 true JP3037820B2 (ja) | 2000-05-08 |
Family
ID=14516729
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP4109690A Expired - Fee Related JP3037820B2 (ja) | 1992-04-28 | 1992-04-28 | 加工性と耐食性に優れた高純度Ｆｅ−Ｃｒ合金 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3037820B2 (ja) |
-
1992
- 1992-04-28 JP JP4109690A patent/JP3037820B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH05302153A (ja) | 1993-11-16 |
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