JP3139302B2 - 耐食性に優れた自動車用熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

耐食性に優れた自動車用熱延鋼板の製造方法

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JP3139302B2
JP3139302B2 JP06217402A JP21740294A JP3139302B2 JP 3139302 B2 JP3139302 B2 JP 3139302B2 JP 06217402 A JP06217402 A JP 06217402A JP 21740294 A JP21740294 A JP 21740294A JP 3139302 B2 JP3139302 B2 JP 3139302B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車用あるいは産業
機械用の高強度部材用鋼板であって、塩化物を含む環境
での耐食性に優れると共に、加工性の良好なことを特徴
とする熱延鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】自動車における高性能化と経
済性追及から、自動車用薄鋼板に対しても性能とコスト
の両立が常に要求されるが、本発明も耐食性に優れた鋼
板を低コストで製造する方法に関するものである。寒冷
地における食塩や塩化カルシウム等の道路凍結防止材の
使用の拡大、あるいは海浜地区など環境の厳しい場所に
おける自動車各部の急速な腐食進行の阻止に対する要望
増加に伴い、防錆処理を施した鋼板の使用量が拡大して
いる。外観が重視される自動車では、外から見える場所
は長期にわたる使用期間において、わずかな発銹すら防
止すべくステンレス鋼や亜鉛系メッキ鋼板が多用され
る。また、外板に使用される鋼板は板厚が薄いため、食
塩などを含む環境による内側からの腐食進行にともなう
穴あき対策に亜鉛メッキ等が使用されている。
【0003】亜鉛系のメッキ鋼板は、一般に自動車の耐
用期間中充分な防錆力を持っているが、足廻り部品など
強度部材に使用される比較的板厚の厚い鋼板は、通常外
部から見えない位置にあり、使用上全く問題ないなら表
面に錆が発生しても支障無いと考えられる。さらにこれ
らの部品は、プレス成形後にアーク溶接により組み立て
られることが多い。メッキの施されていない一般の鋼板
においては溶接性は特に問題にならないが、亜鉛系メッ
キ鋼板をアーク溶接した場合に、重ねすみ肉溶接部にメ
ッキ皮膜中のZnの蒸発に起因したブローホール等の溶
接欠陥が多発して疲労強度の低下を招くなど、継手の信
頼性が損なわれ十分な部品強度が得られないという問題
があった。
【0004】また板厚の薄い場合は、切断端面にメッキ
の無い裸の部分が現われても板表面の亜鉛メッキによる
防食効果が期待できるが、熱延鋼板のように厚くなると
その効果がなくなる傾向にあり、その上厚い板のメッキ
はコスト高になる。したがって、鋼板そのものに耐食性
があり、その上コストの安いものが望まれる。
【0005】合金成分を添加した耐食性の良い鋼板とし
てはステンレス鋼がある。しかし、足回り等に使用する
には自動車の耐用年数をはるかに上回る耐久性があり、
しかも高価なので実用は到底考えられない。これに対
し、亜鉛系のメッキ鋼板に比較すれば、耐食性は劣り表
面に錆は発生するが、通常の熱延高張力鋼板に比較すれ
ばはるかに耐食性がよく、自動車の耐用期間中は充分な
耐食性を持ち、メッキ鋼板より安価な鋼板が要望され、
それに対応する鋼板が検討されている。
【0006】これは、耐候性鋼と同様な考え方で鋼板中
に少量のP、Cu、Crなどの元素を添加して、腐食に
より発生する錆のような生成物を緻密な被膜に変え、腐
食の進行を抑止しようとするものである。添加元素の種
類や量は腐食の環境等により検討の必要があり、例えば
特開昭54−9113号公報では、メッキのない鋼板に
対する道路凍結防止剤による自動車車体の腐食の中で、
特に孔食の防止を目的にしてCr添加をやめ、Cu、
P、Niの3元素を添加した、耐食性鋼板を提示してい
る。
【0007】自動車の足回り部品等に使用される熱延鋼
板は、多くの場合プレス加工により所要形状に成形さ
れ、その加工は曲げが主であるが、形状によっては伸び
や穴拡げ性が要求され、これらの加工性の良好なことが
好ましい。このような、耐食性が従来より優れ、加工性
も良好で低コストの熱延鋼板への要望に対し、現状は充
分満足な鋼板が提供されているとは言い難い。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく研究を重ねた結果、次に示す知見を得るこ
とができた。
【0009】まず、従来の耐候性鋼における経験から、
C、Mn、Siにより所要強度レベルに調整した上で、
Cu、PおよびNiを少量添加した熱延鋼板にてその耐
食性を調査の後、さらに量の変更や他の元素の添加の効
果を調査した。この場合、塩化物を含む腐食環境とし
て、自動車車体内の状態を想定し、「塩水噴霧( 0.5%
食塩水、35℃×7h保持)→乾燥(70℃×5h保持)→湿潤
(湿度:85%、50℃×12h 保持)」を1サイクルとす
る、乾湿繰り返し試験を行なった。それらの結果から、
Cu、PおよびNiに加えて、Si量を増しAlを複合
添加することによって耐食性が顕著に向上することを見
出した。
【0010】これら添加元素の効果を比較した例を図1
に示す。この場合、C:0.14%、Si:0.05%およびM
n:1.30%を含む鋼を基に、不純物元素をほぼ等量と
し、何も添加しない鋼、Cu:0.35%、Ni:0.15%お
よびP: 0.045%を添加した鋼、およびこれらの成分に
加えて更にSi:0.56%およびAl:0.37%とした鋼の
鋼塊をそれぞれ実験室的に真空溶製し、1200℃に加熱
後、 880℃仕上、 500℃巻取り相当の条件で熱間圧延し
て、 2.5mm厚の熱延鋼板とした。これらの熱延鋼板から
2.0 mm厚× 70 mm幅× 150mm長さの試験片を切出して、
上記の腐食環境に暴した後、試験片の最大腐食深さを測
定する方法で鋼板の耐食性を評価した。この図から、C
u、PおよびNiの添加は軟鋼に比較して耐食性が良好
であり、更に、SiとAlを複合添加することによっ
て、耐食性がより一層向上することがわかる。
【0011】さらに、この鋼板の耐食性は熱間圧延条件
によっても影響を受け、圧延前の素材の加熱温度および
仕上温度は充分高く、巻取温度は低い方が良好な結果を
示した。この理由は明らかでないが、鋼中のAlとNが
熱延鋼板にてAlNとして析出せずに、ほぼ固溶した状
態になる熱延条件と、耐食性の向上する条件とが一致し
ており、AlNが析出すればこれが局部電池反応を促進
して耐食性を劣化させるのではないかと考えられた。
【0012】本発明は上記知見等に基づいて完成された
ものであり、下記に示す(1) 、(2)、(3) または(4) の
鋼を用い、素材鋼片を連続鋳造後直接、または1150℃以
上に再加熱したのち、 800℃以上で熱間圧延を完了し、
500℃以下の温度で巻取ることを特徴とする耐食性に優
れた熱延高張力鋼板の製造方法である。
【0013】(1) 重量割合にて、C:0.0001〜0.18%、
Si:0.30〜1.50%、Mn:0.10〜2.00%、P:0.02〜
0.12%、 S:0.02 %以下、Cu:0.10〜0.80%、N
i:0.01〜0.50%、sol.Al:0.10〜0.60%、N:0.00
40%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物か
らなる鋼。
【0014】(2) 重量割合にて、C:0.0001〜0.18%、
Si:0.30〜1.50%、Mn:0.10〜2.00%、P:0.02〜
0.12%、S: 0.02 %以下、Cu:0.10〜0.80%、N
i:0.01〜0.50%、sol.Al:0.10〜0.60%、N:0.00
40%以下を含有し、更に、Ca:0.0002〜0.01%、Z
r:0.01〜0.10%および希土類元素: 0.002〜0.10%の
中の1種以上を含み、残部がFeおよび不可避的不純物
からなる鋼。
【0015】(3) 重量割合にて、C:0.0001〜0.18%、
Si:0.30〜1.50%、Mn:0.10〜2.00%、P:0.02〜
0.12%、S: 0.02 %以下、Cu:0.10〜0.80%、N
i:0.01〜0.50%、sol.Al:0.10〜0.60%、N:0.00
40%以下を含有し、更に、Cr:0.01〜1.20%、Ti:
0.003 〜0.10%、Nb:0.003 〜0.10%およびV:0.00
3 〜0.10%の中の1種以上を含み、残部がFeおよび不
可避的不純物からなる鋼。
【0016】(4) 重量割合にて、C:0.0001〜0.18%、
Si:0.30〜1.50%、Mn:0.10〜2.00%、P:0.02〜
0.12%、S: 0.02 %以下、Cu:0.10〜0.80%、N
i:0.01〜0.50%、sol.Al:0.10〜0.60%、N:0.00
40%以下を含有し、更に、Ca:0.0002〜0.01%、Z
r:0.01〜0.10%および希土類元素: 0.002〜0.10%の
中の1種以上を含み、かつ、Cr:0.01〜1.20%、T
i:0.003 〜0.10%、Nb:0.003 〜0.10%およびV:
0.003 〜0.10%の中の1種以上を含む、残部がFeおよ
び不可避的不純物からなる鋼。さらに、上記(1)〜(4)の
鋼に、B:0.0003〜0.0050%を含有させた鋼でもよい。
【0017】以下、本発明において、素材鋼片の成分組
成並びに熱延鋼板の製造条件を前記のように限定した理
由をその作用と共に説明する。
【0018】
【作用】
A)素材鋼片の成分割合 (1) C:0.0001〜0.18% Cは安価に鋼板の強度を高め得る元素であるが、含有量
が増すとセメンタイト粒子やパーライト相など硬質な第
二相が増大し、得られた熱延鋼板の加工性を悪くすると
共に溶接性を劣化させるので、0.18%以下とする。な
お、強度に関しては固溶強化の作用の大きいP、Siを
添加するので、必要最小限度にとどめるべきである。さ
らにセメンタイト粒子やパーライト相の増加は、電気化
学的不均一性が増して局部腐食反応が増進し耐食性が低
下してくるので、C含有量は少ない方が好ましい。強度
や、C低減のコスト上許されるなら、0.02%以下にまで
低減すると一層の耐食性向上効果が得られ、加工性も向
上するが、0.0001%未満にまで低減するのはコストの点
で実際的ではない。
【0019】(2) Si:0.30〜1.50% Siは特にAlと複合添加することによって、鋼板の耐
食性を大幅に向上させる効果がある。Siが耐食性を高
める機構は不明であるが、CuおよびPの添加鋼におい
ては地鉄と錆層の界面に緻密なα−FeOOH相が生成
して錆の生成を抑制する作用があり、SiとAlがα−
FeOOH相の塩素イオンに対する安定性を高める作用
を有するものと思われる。Siは固溶強化作用が大き
く、強度上昇に対する伸びの劣化が比較的少ないので、
加工性のよい高強度鋼板を得るには好都合である。ただ
し、酸化物生成により表面性状を劣化させるので注意を
要する。Siの含有量が0.30%未満ではその耐食性向上
効果が小さく、1.50%を超えて含有させると、硬化しす
ぎて加工性を低下させたり、表面性状を劣化させるの
で、Si含有量は0.30〜1.50%と定めた。
【0020】(3) Mn: 0.1〜 2.0% Mnは耐食性には直接関係しないが、固溶強化と変態強
化を通じて熱延鋼板の強度を高める作用を有する。しか
し、 2.0%を超えて含有させると、硬質なマルテンサイ
トなどが生じやすくなり、加工性や溶接性を大きく劣化
させる。特に強度を必要としないなら 1.2%以下が好ま
しい。また、不可避的不純物として混入してくるSによ
る熱間脆性防止のために最小限 0.1%は必要である。こ
のような理由から、成分量範囲を 0.1〜 2.0%とする。
【0021】(4) Cu:0.10〜0.80% Cuは、耐食性を向上させるための主要な成分であり、
緻密な腐食皮膜の生成を通じて耐食性を向上させる。ま
た、固溶強化を通じて鋼板の強度を増大させる効果も有
している。その含有量が0.10%未満では前記作用による
所望の効果を得ることができず、一方、0.80%を超えて
含有させても、前記作用が飽和するばかりでなく、Cu
添加による熱間加工割れを防止するためのNi添加量増
加を必要とし経済性を損なう。これからCu含有量は0.
10〜0.80%と定めた。
【0022】(5) Ni:0.01〜0.50% Niは、Cu添加に伴う熱間加工性の低下を防止する作
用のほか、耐食性を向上させる作用を有しているが、そ
の含有量が0.01%未満では前記作用による所望の効果を
得ることができず、一方、0.50%を超えて含有させると
経済性を損なうので、Ni含有量は0.01〜0.50%と定め
た。
【0023】(6) P:0.02〜0.12% Pは、緻密な腐食皮膜の生成を通じて耐食性を高める
が、固溶強化の作用が大きい。その含有量が0.02%未満
では、耐食性向上の効果を得ることができず、一方、0.
12%を超えて含有させると母材の靭性や穴拡げ性を劣化
させることから、含有量は0.02〜0.12%とした。
【0024】(7) S:0.02%以下 Sは鋼中ではほとんどの場合Mnと反応してMnSを形
成するが、耐食性、加工性、靭性等の特性を劣化させる
ので少なければ少ない程よい。ただしSの低減はコスト
上昇を招き、本発明の効果を阻害しない限界として0.02
%以下とするが、望ましいのは 0.008%以下である。
【0025】(8) sol.Al:0.10〜0.60% Alは通常脱酸材としてスラブの健全性確保のため添加
されるが、本発明においては特にSiと複合添加するこ
とによって鋼板の耐食性を大幅に向上させる効果を有す
る。
【0026】その作用はSiと同様と考えられ、sol.A
lとしての含有量が0.10%未満では前記作用による所望
の効果を得ることができず、一方、0.60%を超えて含有
させても上記作用が飽和してしまうので、sol.Al含有
量を0.10〜0.60%と定めた。
【0027】(9) N:0.0040%以下 Nは不可避的不純物の一つで通常は鋼中のAlと反応し
AlNを形成する。AlN粒子が多く生成すると局部電
池反応を促進して耐食性を劣化させると考えられる。後
述のように熱間圧延のスラブ加熱温度を高くし、巻取り
温度を低くするなど熱延条件の選定により析出を防止で
きる。しかし本発明のように多量のAlを含有させる
と、Nが多い場合は析出防止が困難になるので、含有量
を0.0040%以下に制限する。AlN粒子の生成防止の観
点からは、さらにN含有量を0.0020%以下にすることが
望ましい。
【0028】(10) B:無添加、または0.0003〜0.0050
Bは、粒界に偏析し鋼の結晶粒界を強化する作用を有す
る。本発明の耐食性鋼板では、粒界脆化を促進するPを
添加するため、特にC含有量の低い場合には亀裂の起点
が粒界にある二次加工脆性を示す場合がある。したがっ
て、必要に応じてBを添加する。ただし、B含有量が0.
0003%未満では効果が充分でないので、添加する場合は
0.0003%以上が望ましい。一方、0.0050%を超える含有
は、上記の効果が飽和するばかりでなく鋼板の延性・穴
拡げ性を低下させる。
【0029】(11) Ca:0.0002〜0.01%、Zr:0.01
〜0.10%および稀土類元素:0.002〜0.10% Ca、Zrおよび稀土類元素(REM)は、いずれも熱
延鋼板の加工性および靭性を改善する作用を有している
ので、必要により1種または2種以上の添加がなされ
る。
【0030】すなわち、Ca、Zrおよび稀土類元素
は、いずれも鋼中の介在物の性質や形態を変化させて熱
延時に展伸しにくい状態にし、加工性や靭性の低下を防
止する。それらの含有量が少なければ目的とする効果は
得られず、多すぎると逆に加工性や靭性を悪くする。そ
のため、それぞれの元素の含有量範囲を、Caは0.0002
〜0.01%、Zrは0.01〜0.10%、そして稀土類元素は
0.002〜0.10%とする。
【0031】(12) Cr:0.01〜1.20%、Ti:0.003
〜0.10%、Nb:0.003 〜0.10%およびV:0.003 〜0.
10% Cr、Ti、NbおよびVはいずれも鋼板の強化に有効
な元素であるため、必要により1種または2種以上の添
加がなされる。
【0032】特にCrは変態強化により鋼板の強度を高
めると共に、CuやPと同じく表面の腐食生成物を緻密
な被膜に変え耐食性を向上させる効果がある。しかし、
塩化物を含む腐食環境下では孔食を促進する傾向を示
し、平均的な腐食減量は低下するものの、最大腐食深さ
は増加しやすい。このため、従来はCuおよびPの添加
にCrの追加添加を避けていた。ところがSiおよびA
l量が増すとこの孔食促進が抑制されCrの添加が可能
になる。Crの添加はMnと違って中心偏析を起さない
ので、ベーナイトのような第二相のバンド状組織発生を
防止し、穴拡げ性を向上させる効果がある。したがっ
て、必要により添加するが、0.01%以下では添加の効果
がなく、 1.2%を超える含有量では孔食の危険性が出て
くるので、Crの含有量は0.01〜 1.2%とする。
【0033】Ti、NbおよびVは、いずれも熱間圧延
後の冷却過程でTiC、NbC、VCなどの微細析出を
生成し、強度を容易に上昇させることができる。そこ
で、必要に応じ添加して強度の向上をはかる。その含有
量はどの元素の場合も 0.003%以下では効果が現れず、
0.10%を超えると加工性が劣化してくるので、それぞれ
の含有量をTiは 0.003〜0.10%、Nbは 0.003〜0.10
%、そしてVも 0.003〜0.10%と定めた。
【0034】B)製造条件 熱間圧延に供する鋼片としては、連続鋳造スラブまたは
分塊圧延スラブのいずれを用いてもよい。また連続鋳造
でえたスラブを直送圧延してもよいし、一旦冷却された
スラブを再加熱して用いてもよい。ただし、スラブを再
加熱する場合には、AlN等の窒化物を充分に再固溶さ
せるために、再加熱温度は1150℃以上とする。
【0035】また、熱延仕上温度は、AlNの析出挙動
を考えればA3 点を充分超える温度で仕上げることが望
ましい。これはA3 点の直上あるいはA3 点を下回る温
度で熱間加工を終えると、フェライト変態によりAlN
が急速に析出してしまうからである。A3 点はC量、S
i量およびMn量によって大きく変化し、熱間加工の加
工度や加工温度によっても強く影響を受ける。 したが
って、ここでは熱間圧延を 800℃以上で終了することと
定めたが、画一的に一定の限界温度で規制するよりも、
実際に適用する鋼でAlNの析出が早くならない温度に
設定することが好ましい。
【0036】熱間圧延工程の巻取温度は、高くなると耐
食性が悪くなるので 500℃以下とする。これは 500℃を
越える場合、巻取後の徐冷中にAlNが生成するためと
考えられる。また、本発明鋼のようにSiの含有量が高
い場合、酸洗時の脱スケール性が良くないが、巻取温度
を下げると鋼板表面に生ずる酸化被膜が薄くなり、脱ス
ケール性が改善される。巻取温度の下限は特には設定し
ないが、製品鋼板に要求される機械的性質や形状から自
ずから定まってくる。
【0037】本発明の効果を実施例によってさらに具体
的に説明する。
【0038】
【実施例】
〔実施例1〕化学成分組成が第1表のA〜Vで示される
スラブを、第2表に示す条件で熱間圧延して巻取り、板
厚:2.6mm の熱延高張力鋼板を得た。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】次に、得られた各熱延鋼板からJIS5号
引張試験片を採取し、引張特性を調査した。さらに、 2
50mm幅× 250mm長さの鋼片を採取し、30mmφの穴を打ち
抜いた後、頂角60゜の円錐ポンチで穴拡げ試験を行っ
た。
【0042】また、上記各熱延鋼板から表面を研削後、
2.0mm厚×70mm幅× 150mm長さの試験片を切り出し、前
記第1図の結果を得た腐食試験と同じ条件の乾湿繰り返
し試験を行い、最大腐食深さの変化を調べた。
【0043】表2に示される結果からも明らかなよう
に、本発明に規定する条件で製造された熱延高張力鋼板
は優れた耐食性を示し、伸びや穴拡げなど加工性も良好
であることがわかる。
【0044】すなわち、表2の試験番号22は通常の5
0キロ級鋼にPおよびCuを添加したものであるが、こ
れに比較し、本発明鋼はいずれも耐食性に優れているこ
とがわかる。
【0045】試験番号1、2、3と19、あるいは試験
番号4と20との比較から、成分としては本発明の範囲
に入っていても、熱延の巻取り温度が高ければ充分な耐
食性が得られないことがわかる。仕上温度の低すぎる場
合、試験番号21に見られるように耐食性がよくないば
かりでなく、加工性も劣化する。Al、PおよびCu量
が本発明の下限を外れた試験番号23および24では、
充分な耐食性が得られていない。また、試験番号25の
ようにSiおよびAl量が充分であっても、NやCrが
多すぎると耐食性が向上しない。試験番号26はSiと
Alが本発明の範囲に入り耐食性に優れているが、Ti
が高すぎるため加工性がよくない。試験番号27もSi
とAlによる耐食性向上効果はある程度認められるが、
C、NbおよびVが高すぎて加工性が不十分である。
【0046】〔実施例2〕高張力よりも加工性を要求さ
れる用途を対象にした極低炭素鋼の場合を示す。
【0047】化学成分組成が表3のa〜oおよびq〜u
で示されるスラブを、表4に示す条件で熱間圧延して巻
取り、板厚: 2.6mmの熱延鋼板を得た。
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】次に、得られた熱延鋼板から実施例1の場
合と同様に試験片を採取し、引張り特性、穴拡げ性およ
び耐食性を調べた。これらの試験結果を表4に合せて示
す。
【0051】表4に示される結果からも明らかなよう
に、本発明で規定する条件通りに製造された熱延鋼板
は、耐食性が優れていると同時に、良好な伸びと穴拡げ
性を有することがわかる。
【0052】一方、巻取り温度が本発明規定値の上限を
外れた、試験番号44および45では、良好な耐食性が
得られていない。また仕上温度が本発明の規定値に入っ
てはいるが、成分上仕上温度がA3 変態点を下回ってし
まったと考えられる試験番号46では、耐食性が良くな
いばかりでなく穴拡げ性も劣っている。また、Si、A
l、P、Cuの量が本発明規定値の下限を外れた試験番
号47〜49では耐食性が改善されず、SiまたはMn
量が本発明規定値の上限値をこえる試験番号50および
51では、耐食性は良いが加工性は劣化している。
【0053】
【発明の効果】以上に説明したように、この発明によれ
ば、塩化物を含む環境で使用される部材に必要な耐食性
を安価に向上させることが可能であり、自動車用あるい
は産業機械用構造部材として好適な熱延鋼板を安定して
量産することが可能になるなど、産業上極めて有用な効
果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、Cu、Ni、PおよびさらにSi、A
lを含有させた耐食鋼の耐食性(最大腐食深さ)を普通
鋼と比較したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C21D 8/02 C21D 8/02 A (72)発明者 迫田 章人 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 若野 茂 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−311234(JP,A) 特開 平4−141525(JP,A) 特開 平7−188779(JP,A) 特開 平6−336641(JP,A) 特開 平7−118737(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 9/46,8/02 C22C 38/00,38/60

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量割合にて、C:0.0001〜0.18%、S
    i:0.30〜1.50%、Mn:0.10〜2.00%、P:0.02〜0.
    12%、 S:0.02 %以下、Cu:0.10〜0.80%、Ni:
    0.01〜0.50%、sol.Al:0.10〜0.60%、N:0.0040%
    下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からな
    る鋼を、連続鋳造後直接あるいは1150℃以上に再加熱し
    たのち、熱間圧延し、 800℃以上で熱間圧延を完了し、
    500℃以下の温度で巻取ることを特徴とする、耐食性に
    優れた熱延鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】重量割合にて、C:0.0001〜0.18%、S
    i:0.30〜1.50%、Mn:0.10〜2.00%、P:0.02〜0.
    12%、S: 0.02 %以下、Cu:0.10〜0.80%、Ni:
    0.01〜0.50%、sol.Al:0.10〜0.60%、N:0.0040%
    下を含有し、更に、Ca:0.0002〜0.01%、Zr:0.
    01〜0.10%および希土類元素: 0.002〜0.10%の中の1
    種以上を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からな
    る鋼を、連続鋳造後直接あるいは1150℃以上に再加熱し
    たのち、熱間圧延し、 800℃以上で熱間圧延を完了し、
    500℃以下の温度で巻取ることを特徴とする耐食性に優
    れた熱延鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】重量割合にて、C:0.0001〜0.18%、S
    i:0.30〜1.50%、Mn:0.10〜2.00%、P:0.02〜0.
    12%、S: 0.02 %以下、Cu:0.10〜0.80%、Ni:
    0.01〜0.50%、sol.Al:0.10〜0.60%、N:0.0040%
    下を含有し、更に、Cr:0.01〜1.20%、Ti:0.00
    3 〜0.10%、Nb:0.003 〜0.10%およびV:0.003 〜
    0.10%の中の1種以上を含み、残部がFeおよび不可避
    的不純物からなる鋼を、連続鋳造後直接あるいは1150℃
    以上に再加熱したのち、熱間圧延し、 800℃以上で熱間
    圧延を完了し、 500℃以下の温度で巻取ることを特徴と
    する耐食性に優れた熱延鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】重量割合にて、C:0.0001〜0.18%、S
    i:0.30〜1.50%、Mn:0.10〜2.00%、P:0.02〜0.
    12%、S: 0.02 %以下、Cu:0.10〜0.80%、Ni:
    0.01〜0.50%、sol.Al:0.10〜0.60%、N:0.0040%
    下を含有し、更に、Ca:0.0002〜0.01%、Zr:0.
    01〜0.10%および希土類元素: 0.002〜0.10%の中の1
    種以上を含み、かつ、Cr:0.01〜1.20%、Ti:0.00
    3 〜0.10%、Nb:0.003 〜0.10%およびV:0.003 〜
    0.10%の中の1種以上を含み、残部がFeおよび不可避
    的不純物からなる鋼を、連続鋳造後直接あるいは1150℃
    以上に再加熱したのち、熱間圧延し、 800℃以上で熱間
    圧延を完了し、 500℃以下の温度で巻取ることを特徴と
    する耐食性に優れた熱延鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】鋼が、B:0.0003〜0.0050%を含有するこ
    とを特徴とする請求項1、2、3および4のいずれかに
    記載の耐食性に優れた熱延鋼板の製造方法。
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