JP3032651U - 植木鉢及びその植木鉢を利用するプランター - Google Patents

植木鉢及びその植木鉢を利用するプランター

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恵庸 豊村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 草花や野菜の散水に手間が掛からず、効率良
く水を供給できる植木鉢を提供する。 【解決手段】 発泡合成樹脂を予備発泡した発泡合成樹
脂粒2を熱融着して形成した植木鉢1であって、少なく
とも植木鉢1の底壁5の全域または一部を部分的に熱融
着することにより、透水性の有する多数の微小空隙6を
形成してあることを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、一般家庭のベランダ、会社内或いは公園を含む公共施設などの限ら れた場所で植物を栽培するために使用する植木鉢及びその植木鉢を利用するプラ ンターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の植木鉢は、合成樹脂製又は白色セメント製の洋風植木鉢或いは素焼製の 和風植木鉢等で、それらの形状は用途に応じて多種多様なものがあるが、いずれ も過剰な水分による根腐れを防止するために底壁を上底状に形成し、その底壁に 排水孔を具備していた。これらの植木鉢はいつでも望みの場所に移動して草花の 観賞や野菜の栽培が手軽にできる簡便さから家庭では勿論のこと会社や公共施設 等に広く用いられている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、植木鉢に植える植物によっては毎日欠かさずに散水しなければ ならない種類のものも少なくなく、毎日のその作業はなかなか煩雑であった。一 方上記植木鉢は、植木鉢内に溜まった必要以上の水を底壁の排水口から排水する ことを目的とし、排水面においては優れているが、底壁が上底状に形成されてい るため、底壁から培養土に給水する方法を用いても(例えば、溜水可能な皿状の 器の上に植木鉢を置き、水と接触している植木鉢の底壁から給水する方法等)、 比較的大きな排水孔から植木鉢内に水を吸い上げて給水することは困難であり、 殊に家庭においては何日間も留守にする場合、会社や公共施設においては休日の 場合などには、当該植木鉢に水をやることができず、培養土が乾燥し(特に夏季 において)、延いてはせっかくの植物が枯れてしまうという問題点があった。
【0004】 そこで本考案は前記事情に基いて成されたものであり、草花や野菜の育成のた めの植木鉢への給水を人手を要することなく効率的にでき、植物を順調に生成さ せることができる植木鉢と、その植木鉢を利用したプランターを提供することを 目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本考案による上記課題の解決手段は、発泡合成樹脂を予備発泡した発泡合成樹 脂粒を熱融着して形成した植木鉢であって、植木鉢の底壁の一部または全部を部 分的に熱融着することにより、透水性の有する多数の微小空隙を形成してあるこ とを特徴とする。
【0006】 また、プランター本体は上面を開放した箱形状であって、該プランター本体内 を仕切板で上下に区画し、該仕切板の上に吸水性の優れた給水マットを敷設し、 仕切板及び給水マットを上下に貫く吸水性の優れた吸水材を、仕切板の下方に一 端側を垂れ下げると共に他端側を給水マットの上面に載置して設け、更にその上 から該吸水材の上に、前記に記載の植木鉢を載置してあることを特徴とする。
【0007】 さらに、前記の吸水材の上に載るようにプランター本体内に、植木鉢を着脱可 能に保持する貫通孔を形成した保持部材を嵌装し、植木鉢内に培養土を備えてい ることを特徴とする。
【0008】 本考案の植木鉢は、底壁に発泡合成樹脂粒を部分的に熱融着することによって 形成した透水性のある微小空隙を有しているので、例えば溜水した皿状の器の上 に本植木鉢を置き、底壁の外面に水が接触する状態にしておけば、当該微小空隙 による毛細管現象によって、そこに接する水分を吸い上げ、植木鉢内の培養土に 適度の水分を供給することができる。
【0009】 また、本考案による植木鉢を利用したプランターは、プランター本体内の下部 に貯留する水が、水に一部浸漬している吸水材の一端から毛細管現象によって吸 い上げられ、さらに前記微小空隙による毛細管現象によって吸水材に密着してい る植木鉢の底壁より取り入れられるので、長期間に渡って植木鉢内の培養土に適 度の水を供給することができる。
【0010】
【考案の実施の形態】
以下、本考案による植木鉢について図面を参照しつつ具体的に説明する。 図1に示すのは実施の形態の一例を示したものである。植木鉢1は発泡ポリス チレンなどの発泡合成樹脂からなるものであって、それらの発泡合成樹脂を予備 発泡させた発泡合成樹脂粒2を生成し、植木鉢1の周壁3の発泡合成樹脂粒2は 高温の蒸気で密着した状態で熱融着して成形してあり、植木鉢1の底壁5の発泡 合成樹脂粒2は低温の蒸気によって微小空隙6を有する状態で熱融着して形成し たものである。微小空隙6は植木鉢1の内外に通じ、透水性があるもので毛管現 象によって植木鉢1内に装入した培養土7に水分を供給するようになっている。
【0011】 尚、本実施の形態では、透水性を有する微小空隙6は植木鉢1の底壁5の全域 に設けてあるが、この例に限定されず底壁5の微小空隙6は底壁5の一部に設け てもよく、例えば図2のように微小空隙6を底壁5の中央部分や或いは図3のよ うに環状に設けてもよい。また。植木鉢1の形状は、例えば長方台形体、楕円形 、三角形、多角の形状、さらには舟型などの特殊形状など多彩な形状であっても 良い。
【0012】 次に植木鉢1を成形する金型を図4に基づいて説明する。 植木鉢成形金型は雌金型8と雄金型9からなるものである。雌金型8は成形し ようとする植木鉢1の外周壁及び外底壁の形状に対応して陥没した型孔10を具 備しており、この型孔10に配置する雄金型9は成形しようとする植木鉢1の内 周壁及び内底壁の形状に対応して成形してある。従って雌金型8の型孔10に雄 金型9を挿入した際に植木鉢1の形状に対応する空洞部11ができるようになっ ている。雌金型8には外部から型孔10内に蒸気を噴出する蒸気孔12を多数穿 設してあるが、雌金型8の内周壁上部から下部にわたって該蒸気孔12の間隔を 密にして設け、雌金型8の底壁は蒸気孔12の間隔を粗く分散して設けてある。 また、雄金型9にも雄金型9の上面から型孔10内に蒸気を噴出する蒸気孔12 を多数穿設してあるが、雌金型8の内周壁上部から下部に対応する雄金型9の外 周壁上部から下部にかけては該蒸気孔12の間隔を密にして設け、雌金型8の底 壁に対応する雄金型9の底壁には蒸気孔12を分散して設けてある。
【0013】 植木鉢の成形方法は以下の手順によって行う。 発泡合成樹脂を予備発泡して発泡合成樹脂粒2を生成し、雌金型8と雄金型9 との空洞部11内に発泡合成樹脂粒2を圧力をかけて装入する。
【0014】 その後、雌金型8及び雄金型9の蒸気孔12から蒸気を噴出して熱を加えると 発泡合成樹脂粒2が膨脹して粒子と粒子が互いに密着する。この時成形する植木 鉢1の周壁上部3に相当する位置には蒸気孔12の間隔を密にして設けてあるの で、蒸気による加熱量が多く、従って発泡合成樹脂粒2の膨脹が大きく隣接する 粒子と全体的に密着して一体化する。他方、底壁5に相当する位置には蒸気孔1 2の間隔を粗く分散して設けてあるので、蒸気による加熱量が少ない。従って発 泡合成樹脂粒2の膨脹が小さく隣接する粒子が部分的に密着し、多数の微小空隙 6を形成するものである。
【0015】 尚、雌金型8と雄金型9の空洞部11内は、蒸気温度、蒸気の噴出圧、噴出時 間等を考慮して、空洞部11の上部から下部にかけては摂氏110度〜120度 、空洞部11の底壁が摂氏80度〜100度になるように蒸気孔密度(蒸気孔の 数/周壁面積,蒸気孔の数/底壁面積)を夫々設定してある。
【0016】 また周壁全体を微小空隙6が生じないように発泡合成樹脂粒2を全面的に密着 して一体化すると共に、底壁には一部分に微小空隙6を生じるように部分的に発 泡合成樹脂粒を密着した状態で熱融着してもよい。
【0017】 次に、本考案によるプランターの実施の形態を図5、図6及び図7に従って説 明する。箱型に形成したプランター本体13内に上下二段に分ける仕切板14を 載置し、該仕切板14で支持される吸水材15及び給水マット16によりプラン ター本体13内の下部に溜められた水を吸い上げ、更にその上から保持部材17 を嵌め込み、植木鉢1内の培養土7に給水され得るように構成したものである。
【0018】 プランター本体13は、軽くて丈夫な発泡プラスチックを使用し、内周壁に段 部18を全周にわたって形成し、平坦な内底面全体に段部18より僅かに低いリ ブ19を分散して設けたものである。この実施形態のリブ19は相対向する周壁 から互い違いに櫛歯状に延び、また途中で直交方向にも分岐している。しかし、 プランター本体13内に注水した場合に、リブ19の間を流れてプランター本体 13内に万遍なく水が行き渡るものであれば、リブ19の形状や配置は適宜変更 可能である。尚、プランター本体13の形状は四角形の形状に限らず、台形形状 は基より楕円形、三角形、多角の形状、L型、コ字型、さらには舟型などの特種 形状など多彩な形状であっても良い。
【0019】 プランター本体13には、隅角の厚肉の段部18上からプランター本体13内 の底部に通じる給水孔20を設け、その給水孔20に給水管21を上方に突出す る状態で嵌合し、周壁の給水管21に近接する箇所にリブ19とほぼ同じ高さの オーバーフロー穴22とプランター本体13内の底部に通じる栓付きの排水口2 3とをそれぞれ設け、給水管21からプランター本体13内の下部に水をオーバ ーフロー穴22から溢れ出るまで入れるものである。
【0020】 仕切板14は、軽くて丈夫で適度の弾力性を有する発泡プラスチック(発泡ス チロール)の板材からなり、段部18よりやや下方でプランター本体13内に丁 度納まる概ね長方形状と成し、隅角の厚肉部分に対応する箇所に切欠部24を設 け、中央部分に吸水材15を挿通する二本の切目25を広い間隔で平行に形成し たもので、当該仕切板14をプランター本体13内のリブ19全体にわたって載 せれば、段部18と略面一で内接し、プランター本体13内を上下に仕切ること ができる。
【0021】 給水マット16は、不織布等の吸水性及び耐久性に優れた素材を用い、仕切板 14とほぼ同じ大きさ及び形状に形成し、仕切板14と同様に中央部分に吸水材 15を挿通する二本の切目25を広い間隔で平行に形成したもので、仕切板14 の上に載置してある。
【0022】 吸水材15はシート状で可撓性があり、且つ吸水性及び耐久性に優れた織布等 を用いたもので、前記仕切板14及び給水マット16の各切目25の途中まで挿 通し、一端側を仕切板14の下に垂れ下げ、他端側を広げて給水マット16の上 に載置してあり、プランター本体13内下部に貯留する水を各吸水材15の毛細 管現象により仕切板14の上方へ少しずつ吸い上げるものである。
【0023】 尚、仕切板14及び給水マット16は、図8の(イ)と(ロ)に示すように仕 切板14の一対の対向する辺の近傍にスリット26を設け、仕切板14の上面略 全域を覆い且つスリット26を通じて仕切板14の下方に一部垂れ下がる吸水材 15を載置して設けたものであっても良い。
【0024】 保持部材17は、給水マット16上に載るようにプランター本体13内に嵌装 するもので、プランター本体13の高さと略同じ程度で納まる肉厚の直方体形状 を成している。そして、この保持部材17には数個の貫通孔27が設けてあり、 各貫通孔27は植木鉢1が丁度嵌まる大きさに形成してある。保持部材17の材 質については、特に限定されないが、発泡ウレタン製であると、その摩擦が大き いことから、植木鉢1を貫通孔27に嵌めると強力に一体化する。
【0025】 上記プランターの実施の形態では、プランター本体13の下部内に多量の水を 溜めることができるので、長期間に渡って散水しなくても植木鉢に植えた花や野 菜は培養土7から水や栄養分を吸収して良好に成育する。
【0026】 尚、普段はプランター本体13内の下部に雨水等を貯水しているが、夏や雨の 少ない時には給水管21から水を入れ、オーバーフロー穴22から溢れ出たら補 水を止める。またプランターを移動する時には、排水口23の栓を外してプラン ター本体13内下部の水を全部排出し、貫通孔27から全ての植木鉢1を引き抜 けば、水の重量及び植木鉢1の重量が軽減されるので、プランターの移動が著し く容易になる。また、給水管21、オーバーフロー穴22及び排水口23を近接 して設けたのは、一カ所で給排水等を手際良く管理するためである。
【0027】
【考案の効果】
本考案による植木鉢は、底壁の発泡合成樹脂粒を部分的に熱融着して透水性を 有する微小空隙を形成してあるので、植木鉢の底壁に水が接するよううにしてお けば、微小空隙の毛細管現象によって迅速且つ確実に植木鉢内の培養土への水分 の供給が可能となり、人手を要することなく培養土に過不足のない給水を行なう ことができる。従って、本植木鉢を溜水可能な皿状の器の上に置き、その器内に 充分な水を溜めておけば、毎日人手による給水をしなくとも、少なくとも数日間 は植木鉢内の培養土への水の補給が順調に行われ、家庭において何日間も留守に する場合や、会社や公共施設の休日の場合などには、特に使用上顕著な効果を発 揮するものである、
【0028】 本考案によるプランターは以上のように構成されており、プランター内部に貯 留する水が、毛細管現象によって吸水材から植木鉢を介して培養土に水分を供給 するものであるので、長期間に渡って給水しなくても培養土を常に適度に湿った 状態に保つことができる。従って、本考案プランターは水やり等の手間暇をあま り掛けなくても草花を良好に育成することができ、毎日の世話が困難な会社や公 共施設、公園に設置するプランター或いは家庭菜園用プランターとして最適であ る。
【0029】 また、前記のプランターの吸水材上に保持部材を載置しておけば、一つのプラ ンターに複数の植木鉢を確実に保持でき、植木鉢の取り扱い上の便利さとも相俟 って別の植木鉢に簡便に取替えることができ、四季折々好みに応じた多様のバリ エーションを楽しむことができる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】の(イ)(ロ)本考案による植木鉢の一実施形
態を示す斜視図とA部の拡大図である。
【図2】他の実施形態を示す斜視図である。
【図3】さらに他の実施形態を示す斜視図である。
【図4】植木鉢成形金型の断面図である。
【図5】本考案によるプランターの一実施例を示す分解
斜視図である。
【図6】本考案によるプランターの要部断面図である。
【図7】プランター本体の要部平面図である。
【図8】の(イ)(ロ)本考案によるプランターの他の
例の仕切板を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 植木鉢 2 発泡合成樹脂粒 3 周壁 5 底壁 6 微小空隙 7 培養土 13 プランター本体 14 仕切板 15 吸水材 16 給水マット 17 保持部材 27 貫通孔

Claims (4)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発泡合成樹脂を予備発泡した発泡合成樹
    脂粒(2)を熱融着して形成した植木鉢(1)であっ
    て、植木鉢(1)の底壁(5)の全域を部分的に熱融着
    することにより、透水性の有する多数の微小空隙(6)
    を形成してあることを特徴とする植木鉢。
  2. 【請求項2】 発泡合成樹脂を予備発泡した発泡合成樹
    脂粒(2)を熱融着して形成した植木鉢(1)であっ
    て、植木鉢(1)の底壁(5)の一部を部分的に熱融着
    することにより、透水性の有する多数の微小空隙(6)
    を形成してあることを特徴とする植木鉢。
  3. 【請求項3】 プランター本体(13)は上面を開放し
    た箱形状であって、該プランター本体(13)内を仕切
    板(14)で上下に区画し、仕切板(14)の上に吸水
    性の優れた給水マット(16)を敷設し、仕切板(1
    4)及び給水マット(16)を上下に貫く吸水性の優れ
    た吸水材(15)を、仕切板(14)の下方に一端側を
    垂れ下げると共に他端側を給水マット(16)の上面に
    載置して設け、更にその上から該吸水材(15)の上
    に、請求項1又は2記載の植木鉢を載置してあることを
    特徴とするプランター。
  4. 【請求項4】 前記の吸水材(15)の上に載るように
    プランター本体(13)内に、請求項1又は2記載の植
    木鉢を着脱可能に保持する貫通孔(27)を形成した保
    持部材(17)を嵌装し、植木鉢(1)内に培養土
    (7)を備えていることを特徴とする請求項3に記載の
    プランター。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2007063815A1 (ja) * 2005-11-30 2009-05-07 サントリー株式会社 植物栽培ユニット及び植物栽培容器

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2007063815A1 (ja) * 2005-11-30 2009-05-07 サントリー株式会社 植物栽培ユニット及び植物栽培容器
US8555547B2 (en) 2005-11-30 2013-10-15 Suntory Holdings Limited Plant cultivating unit and plant cultivating container

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