JP2772222B2 - 植木鉢及びその植木鉢を利用するプランター - Google Patents

植木鉢及びその植木鉢を利用するプランター

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般家庭のベランダ、
会社内或いは公園を含む公共施設などの限られた場所で
植物を栽培するために使用する植木鉢及びその植木鉢を
利用するプランターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の植木鉢は、合成樹脂製又は白色セ
メント製の洋風植木鉢或いは素焼製の和風植木鉢等で、
それらの形状は用途に応じて多種多様なものがあるが、
いずれも過剰な水分による根腐れを防止するために底壁
を上底状に形成し、その底壁に排水孔を具備していた。
これらの植木鉢はいつでも望みの場所に移動して草花の
観賞や野菜の栽培が手軽にできる簡便さから家庭では勿
論のこと会社や公共施設等に広く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、植木鉢
に植える植物によっては毎日欠かさずに散水しなければ
ならない種類のものも少なくなく、毎日のその作業はな
かなか煩雑であった。一方上記植木鉢は、植木鉢内に溜
まった必要以上の水を底壁の排水口から排水することを
目的とし、排水面においては優れているが、底壁が上底
状に形成されているため、底壁から培養土に給水する方
法を用いても(例えば、溜水可能な皿状の器の上に植木
鉢を置き、水と接触している植木鉢の底壁から給水する
方法等)、比較的大きな排水孔から植木鉢内に水を吸い
上げて給水することは困難であり、殊に家庭においては
何日間も留守にする場合、会社や公共施設においては休
日の場合などには、当該植木鉢に水をやることができ
ず、培養土が乾燥し(特に夏季において)、延いてはせ
っかくの植物が枯れてしまうという問題点があった。
【0004】そこで本発明は前記事情に基いて成された
ものであり、草花や野菜の育成のための植木鉢への給水
を人手を要することなく効率的にできると共に根腐れも
防止し、植物を順調に生成させることができる植木鉢
と、その植木鉢を利用したプランターを提供することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明による上記課題の
解決手段は、発泡合成樹脂を予備発泡した発泡合成樹脂
粒を熱融着して形成した植木鉢であって、植木鉢の底壁
及び周壁の一部を部分的に熱融着することにより、毛細
管現象によって水を吸い上げる程度の透水性を有する多
数の微小空隙を形成してあることを特徴とする。また、
前記微小空隙は植木鉢の全体に形成してあってもよい。
【0006】また、プランター本体は上面を開放した箱
形状であって、該プランター本体内を仕切板で上下に区
画し、該仕切板の上に吸水性の優れた給水マットを敷設
し、仕切板及び給水マットを上下に貫く吸水性の優れた
吸水材を、仕切板の下方に一端側を垂れ下げると共に他
端側を給水マットの上面に載置して設け、プランター本
体内に、前記植木鉢を着脱可能に保持する複数の貫通孔
を形成した保持部材を、吸水マットの上面に当接するよ
うに嵌装し、貫通孔内に植木鉢を嵌めることによって、
吸水材の上に植木鉢を載置すると共に、貫通孔で植木鉢
の周壁の下端まで覆い、更に植木鉢内に培養土を備えて
いることを特徴とする。
【0007】
【作用】本発明の植木鉢は、底壁及び周壁に発泡合成樹
脂粒を部分的に熱融着することによって形成した透水性
のある微小空隙を有しているので、底壁の外面に接する
水分がある場合は、当該微小空隙による毛細管現象によ
って、そこに接する水分を吸い上げ、植木鉢内の培養土
に適度の水分を供給することができ、さらに周壁の微小
空隙は植木鉢内の培養土と外気との空気の流通を促進す
る。
【0008】また、本発明による植木鉢を利用したプラ
ンターは、プランター本体内の下部に貯留する水が、水
に一部浸漬している吸水材の一端から毛細管現象によっ
て吸い上げられ、さらに前記微小空隙による毛細管現象
によって吸水材に密着している植木鉢の底壁より培養土
へ取り入れられると共に、植木鉢の周壁と保持部材の貫
通孔との隙間による毛細管現象によって、吸水材から伝
わる給水マットの水分が吸い上げられ、周壁の微小空隙
を介して培養土に取り入れられるので、この相乗効果に
よって長期間に渡って植木鉢内の培養土に適度の水を供
給することができる。
【0009】
【実施例】以下、本発明による植木鉢について図面を参
照しつつ具体的に説明する。図1に示すのは実施例の一
例を示したものである。植木鉢1は発泡ポリスチレンな
どの発泡合成樹脂からなるものであって、それらの発泡
合成樹脂を予備発泡させた発泡合成樹脂粒2を生成し、
植木鉢1の周壁上部3の発泡合成樹脂粒2は高温の蒸気
で密着した状態で熱融着して成形してあり、植木鉢1の
周壁下部4及び底壁5の発泡合成樹脂粒2は低温の蒸気
によって微小空隙6を有する状態で熱融着して形成した
ものである。該微小空隙6は植木鉢1の内外に通じ、透
水性があるもので毛管現象によって植木鉢1内に装入し
た培養土7に水分を供給するようになっている。
【0010】尚、本実施例では、透水性を有する微小空
隙6は植木鉢1の周壁下部4及び底壁5に設けてある
が、この例に限定されず周壁下部4以外の周壁の一部及
び底壁5でもよく、また植木鉢全部に設けてもよい。さ
らに底壁5の微小空隙6は部分的に設けてあってもよ
い。植木鉢1の形状は、例えば長方台形体、楕円形、三
角形、多角の形状、さらには舟型などの特殊形状など多
彩な形状であっても良い。
【0011】次に植木鉢1を成形する金型を図2に基づ
いて説明する。植木鉢成形金型は雌金型8と雄金型9か
らなるものである。雌金型8は成形しようとする植木鉢
1の外周壁及び外底壁の形状に対応して陥没した型孔1
0を具備しており、この型孔10に配置する雄金型9は
成形しようとする植木鉢1の内周壁及び内底壁の形状に
対応して成形してある。従って雌金型8の型孔10に雄
金型9を挿入した際に植木鉢1の形状に対応する空洞部
11ができるようになっている。雌金型8には外部から
型孔10内に蒸気を噴出する蒸気孔12を多数穿設して
あるが、雌金型8の内周壁上部は該蒸気孔12の間隔を
密にして設け、外金型8の内周壁下部及び底壁は蒸気孔
12の間隔を粗く分散して設けてある。また、雄金型9
にも雄金型9の上面から型孔10内に蒸気を噴出する蒸
気孔12を多数穿設してあるが、雌金型8の内周壁上部
に対応する雄金型9の外周壁上部には該蒸気孔12の間
隔を密にして設け、雌金型8の内周壁下部及び底壁に対
応する雄金型9の外周壁下部及び底壁には蒸気孔12を
分散して設けてある。
【0012】植木鉢の成形方法は以下の手順によって行
う。発泡合成樹脂を予備発泡して発泡合成樹脂粒2を生
成し、雌金型8と雄金型9との空洞部11内に発泡合成
樹脂粒2を圧力をかけて装入する。
【0013】その後、雌金型8及び雄金型9の蒸気孔1
2から蒸気を噴出して熱を加えると発泡合成樹脂粒2が
膨脹して粒子と粒子が互いに密着する。この時成形する
植木鉢1の周壁上部3に相当する位置には蒸気孔12の
間隔を密にして設けてあるので、蒸気による加熱量が多
く、従って発泡合成樹脂粒2の膨脹が大きく隣接する粒
子と全体的に密着して一体化する。他方、周壁下部4及
び底壁5に相当する位置には蒸気孔12の間隔を粗く分
散して設けてあるので、蒸気による加熱量が少ない。従
って発泡合成樹脂粒2の膨脹が小さく隣接する粒子が部
分的に密着し、多数の微小空隙6を形成するものであ
る。
【0014】尚、雌金型8と雄金型9の空洞部11内
は、蒸気温度、蒸気の噴出圧、噴出時間等を考慮して、
空洞部11の上部が摂氏110度〜120度、空洞部1
1の下部及び底壁が摂氏80度〜100度になるように
蒸気孔密度(蒸気孔の数/周壁面積,蒸気孔の数/底壁
面積)を夫々設定してある。
【0015】さらに前記蒸気孔密度を底壁5の相当位置
より周壁上部3の相当位置につれて徐々に多く形成した
ものであれば、底壁5と周壁下部4の微小空隙6を多
く、そして周壁下部4から周壁上部3につれて微小空隙
6を少なく形成することができる。また周壁全体を微小
空隙6が生じないように発泡合成樹脂粒2を全面的に密
着して一体化し、底壁には微小空隙6を生じるように部
分的に発泡合成樹脂粒を密着した状態で熱融着してもよ
い。
【0016】次に、本発明によるプランターの実施例を
図3、図4及び図5に従って説明する。箱型に形成した
プランター本体13内に上下二段に分ける仕切板14を
載置し、該仕切板14で支持される吸水材15及び給水
マット16によりプランター本体13内の下部に溜めら
れた水を吸い上げ、更にその上から保持部材17を嵌め
込み、植木鉢1内の培養土7に給水され得るように構成
したものである。
【0017】プランター本体13は、軽くて丈夫な発泡
プラスチックを使用し、内周壁に段部18を全周にわた
って形成し、平坦な内底面全体に段部18より僅かに低
いリブ19を分散して設けたものである。この実施例の
リブ19は相対向する周壁から互い違いに櫛歯状に延
び、また途中で直交方向にも分岐している。しかし、プ
ランター本体13内に注水した場合に、リブ19の間を
流れてプランター本体13内に万遍なく水が行き渡るも
のであれば、リブ19の形状や配置は適宜変更可能であ
る。尚、プランター本体13の形状は四角形の形状に限
らず、台形形状は基より楕円形、三角形、多角の形状、
L型、コ字型、さらには舟型などの特種形状など多彩な
形状であっても良い。
【0018】プランター本体13には、隅角の厚肉の段
部18上からプランター本体13内の底部に通じる給水
孔20を設け、その給水孔20に給水管21を上方に突
出する状態で嵌合し、周壁の給水管21に近接する箇所
にリブ19とほぼ同じ高さのオーバーフロー穴22とプ
ランター本体13内の底部に通じる栓付きの排水口23
とをそれぞれ設け、給水管21からプランター本体13
内の下部に水をオーバーフロー穴22から溢れ出るまで
入れるものである。
【0019】仕切板14は、軽くて丈夫で適度の弾力性
を有する発泡プラスチック(発泡スチロール)の板材か
らなり、段部18よりやや下方でプランター本体13内
に丁度納まる概ね長方形状と成し、隅角の厚肉部分に対
応する箇所に切欠部24を設け、中央部分に吸水材15
を挿通する二本の切目25を広い間隔で平行に形成した
もので、当該仕切板14をプランター本体13内のリブ
19全体にわたって載せれば、段部18と略面一で内接
し、プランター本体13内を上下に仕切ることができ
る。
【0020】給水マット16は、不織布等の吸水性及び
耐久性に優れた素材を用い、仕切板14とほぼ同じ大き
さ及び形状に形成し、仕切板14と同様に中央部分に吸
水材15を挿通する二本の切目25を広い間隔で平行に
形成したもので、仕切板14の上に載置してある。
【0021】吸水材15はシート状で可撓性があり、且
つ吸水性及び耐久性に優れた織布等を用いたもので、前
記仕切板14及び給水マット16の各切目25の途中ま
で挿通し、一端側を仕切板14の下に垂れ下げ、他端側
を広げて給水マット16の上に載置してあり、プランタ
ー本体13内下部に貯留する水を各吸水材15の毛細管
現象により仕切板14の上方へ少しずつ吸い上げるもの
である。
【0022】尚、仕切板14及び給水マット16は、図
6のイとロに示すように仕切板14の一対の対向する辺
の近傍にスリット26を設け、仕切板14の上面略全域
を覆い且つスリット26を通じて仕切板14の下方に一
部垂れ下がる吸水材15を載置して設けたものであって
も良い。
【0023】保持部材17は、給水マット16上に載る
ようにプランター本体13内に嵌装するもので、プラン
ター本体13の高さと略同じ程度で納まる肉厚の直方体
形状を成している。そして、この保持部材17には数個
の貫通孔27が設けてあり、各貫通孔27は植木鉢1が
丁度嵌まる大きさに形成してある。保持部材17の材質
については、特に限定されないが、発泡ウレタン製であ
ると、その摩擦が大きいことから、植木鉢1を貫通孔2
7に嵌めると強力に一体化する。
【0024】上記プランターの実施例では、プランター
本体13の下部内に多量の水を溜めることができるの
で、長期間に渡って散水しなくても植木鉢に植えた花や
野菜は培養土7から水や栄養分を吸収して良好に成育す
る。
【0025】尚、普段はプランター本体13内の下部に
雨水等を貯水しているが、夏や雨の少ない時には給水管
21から水を入れ、オーバーフロー穴22から溢れ出た
ら補水を止める。またプランターを移動する時には、排
水口23の栓を外してプランター本体13内下部の水を
全部排出し、貫通孔27から全ての植木鉢1を引き抜け
ば、水の重量及び植木鉢1の重量が軽減されるので、プ
ランターの移動が著しく容易になる。また、給水管2
1、オーバーフロー穴22及び排水口23を近接して設
けたのは、一カ所で給排水等を手際良く管理するためで
ある。
【0026】
【発明の効果】本発明による植木鉢は、少なくとも底壁
の発泡合成樹脂粒を部分的に熱融着して透水性を有する
微小空隙を形成してあるので、植木鉢の底壁に水が接す
るよううにしておけば、微小空隙の毛細管現象によって
迅速且つ確実に植木鉢内の培養土への水分の供給が可能
となり、人手を要することなく培養土に過不足のない給
水を行なうことができる。
【0027】しかも、前記の微小空隙は周壁の一部また
は全部にも形成してあるので、この微小空隙を通して植
木鉢内の培養土と外気との空気の流通が促進され、草木
の根腐れを防止して健全な生育を維持することができ
る。
【0028】本発明によるプランターは以上のように構
成されており、プランター内部に貯留する水が、毛細管
現象によって吸水材から植木鉢の底壁を介して培養土に
水分を供給すると共に、吸水材から伝わる給水マットの
水分が植木鉢の周壁と保持部材の貫通孔との隙間による
毛細管現象によって吸い上げられ、更に周壁の毛細管現
象によって培養土に水分を供給するものであるので、こ
の相乗効果によって長期間に渡って給水しなくても培養
土を常に適度に湿った状態に保つことができる。従っ
て、本発明プランターは水やり等の手間暇をあまり掛け
なくても草花を良好に育成することができ、毎日の世話
が困難な会社や公共施設、公園に設置するプランター或
いは家庭菜園用プランターとして最適である。
【0029】また、前記のプランターの吸水材上に載置
した保持部材によって、一つのプランターに複数の植木
鉢を確実に保持でき、植木鉢の取り扱い上の便利さとも
相俟って別の植木鉢に簡便に取替えることができ、四季
折々好みに応じた多様のバリエーションを楽しむことが
できる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】の(イ)(ロ)本発明による植木鉢の一実施例
を示す斜視図とA部の拡大図である。
【図2】植木鉢成形金型の断面図である。
【図3】本発明によるプランターの一実施例を示す分解
斜視図である。
【図4】本発明によるプランターの要部断面図である。
【図5】プランター本体の要部平面図である。
【図6】の(イ)(ロ)本発明によるプランターの他の
例の仕切板を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 植木鉢 2 発泡合成樹脂粒 3 周壁上部 4 周壁下部 5 底壁 6 微小空隙 7 培養土 13 プランター本体 14 仕切板 15 吸水材 16 給水マット 17 保持部材 27 貫通孔

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発泡合成樹脂を予備発泡した発泡合成樹
    脂粒(2)を熱融着して形成した植木鉢(1)であっ
    て、植木鉢(1)の底壁(5)及び周壁の一部を部分的
    に熱融着することにより、毛細管現象によって水を吸い
    上げる程度の透水性を有する多数の微小空隙(6)を形
    成してあることを特徴とする植木鉢。
  2. 【請求項2】 発泡合成樹脂を予備発泡した発泡合成樹
    脂粒(2)を熱融着して形成した植木鉢(1)の全体を
    部分的に熱融着することにより、毛細管現象によって水
    を吸い上げる程度の程度の透水性を有する多数の微小空
    隙(6)を形成してあることを特徴とする植木鉢。
  3. 【請求項3】 プランター本体(13)は上面を開放し
    た箱形状であって、該プランター本体(13)内を仕切
    板(14)で上下に区画し、仕切板(14)の上に吸水
    性の優れた給水マット(16)を敷設し、仕切板(1
    4)及び給水マット(16)を上下に貫く吸水性の優れ
    た吸水材(15)を、仕切板(14)の下方に一端側を
    垂れ下げると共に他端側を給水マット(16)の上面に
    載置して設け、プランター本体(13)内に、請求項1
    又は2記載の植木鉢(1)を着脱可能に保持する複数の
    貫通孔(27)を形成した保持部材(17)を、吸水マ
    ット(16)の上面に当接するように嵌装し、貫通孔
    (27)内に植木鉢(1)を嵌めることによって、吸水
    材(15)の上に植木鉢(1)を載置すると共に、貫通
    孔(27)で植木鉢(1)の周壁の下端まで覆い、更に
    植木鉢(1)内に培養土(7)を備えていることを特徴
    とするプランター。
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