JP3030536U - 壁面シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造が容易で、コスト的に有利な、しかも透
明シートの剥離も簡単に行なうことができる壁面シート
を提供すること。 【解決手段】 複数層の透明シートＴの各層をＰＥＴか
らなる薄膜１２とオレフィンからなる薄膜１３とをアン
カーコート剤を塗布して接合し、前記各層の透明シート
Ｔ１，Ｔ２，Ｔ３間の空気層を加圧により排除して各透
明シート相互を密着して剥離可能に積層し、当該透明シ
ートＴ１，Ｔ２，Ｔ３の最下位に接着剤Ｓを介して剥離
紙１１を取付けてなる壁面シート１０であって、前記各
透明シート間の側端部に剥離剤Ｈを塗布したことを特徴
とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、台所等の壁面に付着する汚れを簡単に取除くことができるように、 予め壁面に貼着して用いる壁面シートに関する。

【０００２】

【従来の技術】

台所等の壁面は、調理時に油等が飛散し汚れる。この汚れを簡単に除去し、清 潔な壁面にするものとして、最近、張り替え式の壁面シートと称されるものが使 用されている。

【０００３】 この壁面シートは、剥離可能に積層された複数層の透明シートを剥離紙に接着 剤により接着したもので、剥離紙を剥がして台所等の壁面に貼着し、壁面が汚れ ると、透明シートを１枚ずつ剥がし、透明シートを通して常に壁面が目視できる ようにし、壁面の汚れが簡単に除去できる、いわゆる使い捨ての張り替えシート である。

【０００４】 この壁面シートにおける複数層の透明シートは、各透明シートの厚さが数１０ ミクロンという極めて薄く、これが接着剤により接着されているので、汚れたシ ートを剥す場合に、剥がしにくく、特に、台所の壁面の隅から隅まで全面にわた って壁面シートを貼着した場合には、剥離をする隅部に手や爪が入りにくく、一 層剥離しにくいものとなる。

【０００５】 この汚れたシートの剥離を容易にするため、従来の壁面シートは、複数層の透 明シートを接着剤により接着する場合に、表面から剥がれやすいように接着剤の 接着力を変えたもの（例えば、実開平２−１４７，７１１号公報参照）、透明シ ートの角部に接着剤が塗布されていない部分を設けたもの（実開平２−２２，８ ２４号公報）、シートとシートとを接合する場合にシートの全面に接着力が弱い 部分と強い部分とを設けたもの（実開平５−２７，５１３号公報）等が提案され ている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、このような従来の壁面シートは、製造が面倒で、コスト的にも不利で ある。例えば、複数層の透明シート相互を接着力の異なる接着剤により接着する 場合には、多種類の接着剤が必要となったり、接着剤を希釈する溶剤が必要とな り、コスト的に不利である。また、接着剤が塗布されている部分と塗布されてい ない部分を形成する場合や、部分的に接着力を異ならしめる場合には、装置自体 が複雑で特殊な機構を必要としたり、塗布作業自体も面倒となる。

【０００７】 本考案は、このような課題を解決するためになされたもので、製造が容易で、 コスト的に有利な、しかも透明シートの剥離も簡単に行なうことができる壁面シ ートを提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するための本考案は、複数層の透明シートの各層をＰＥＴから なる薄膜とオレフィンからなる薄膜とをアンカーコート剤を塗布して接合し、前 記各層の透明シート間の空気層を加圧により排除して各透明シート相互を密着し て剥離可能に積層し、当該透明シートの最下位に接着剤を介して剥離紙を取付け てなる壁面シートであって、前記各透明シート間の側端部に剥離剤を塗布したこ とを特徴とする。

【０００９】 このようにすれば、汚れた表面の透明シートを下位の透明シートから剥離する 場合に、側端部に剥離剤が塗布されているので、側端部を摘むのみで極めて簡単 に剥離することができる。

【００１０】 請求項２に記載の考案に係る透明シートは、上位の透明シートのオレフィン薄 膜と下位の透明シートのＰＥＴ薄膜との間は各透明シート間の空気層を排除して 相互に密着し、該下位の透明シートのオレフィン薄膜とさらに下位の透明シート のＰＥＴ薄膜との間はコロナ放電処理により密着したことを特徴とする。

【００１１】 このようにすれば、上位の透明シートのオレフィン薄膜と下位の透明シートの ＰＥＴ薄膜との間は各透明シート間の空気層を排除して相互に密着し、該下位の 透明シートのオレフィン薄膜とさらに下位の透明シートのＰＥＴ薄膜との間はコ ロナ放電処理により密着することになるので、上位の透明シートと下位の透明シ ートあるいは該下位の透明シートとさらに下位の透明シートとの密着力に差が生 じ、剥離時に不必要に剥離されることがなく、簡単でかつ確実な剥離ができる。

【００１２】 請求項３に記載の考案に係る剥離剤は、シリコン樹脂により構成したことを特 徴とする。 このようにすれば、極めて安価な材料を塗布すればよいので、コスト的に極め て有利となる。

【００１３】 請求項４に記載の考案に係る剥離剤は、着色したものにより構成したことを特 徴とする。ここにおいて、着色とは、有彩色のみでなく、無彩色等も含むもので ある。 このようにすれば、全体が透明シートである壁面シートにおいて、剥離する部 分が明確に分かり、使用に当たっての利便性が向上する。

【００１４】

【考案の実施の形態】

以下、本考案の実施の形態を図面について説明する。 図１は本考案に係る壁面シートの実施の形態の端部を示す断面図、図２は同実 施の形態において各層の透明シートを剥離している状態を示す斜視説明図である 。なお、図１の左端側は、透明シートＴが完全に接合されていない状態が容易に 分かるように便宜的に分離して示している。

【００１５】 図１に示す本実施の形態の壁面シート１０は、３枚の透明シートＴが剥離可能 に積層され、最下位の透明シートＴ3 が接着剤Ｓを介して剥離紙１１と接着され ている。各層の透明シートＴは、ポリエチレンテレフタレート（以下、ＰＥＴと 略称）薄膜１２と、オレフィン薄膜１３からなり、これら両薄膜１２，１３をア ンカーコート剤を塗布して接合したものである。

【００１６】 なお、本明細書では、「接合」とは、両者が一体的に合体する程度に接合され ている状態をいい、「密着」とは、両者が前記接合することなく付着している状 態をいうものとする。

【００１７】 ここに、アンカーコート剤としては、例えば、アルキルチタネート、ポリウレ タン、ポリエチレンイミン等を挙げることができるが、本実施の形態では、ＰＥ Ｔ薄膜１２とオレフィン薄膜１３の接合であるため、前記アンカーコート剤とし ては、好ましくは、ポリウレタンを使用することである。なお、前記ＰＥＴ薄膜 １２の厚さとしては、通常、１２〜５０ミクロン程度であるが、好ましくは１２ 〜１６ミクロン程度であり、オレフィン薄膜１３の厚さは、通常、４〜５０ミク ロン程度であるが、好ましくは４〜７ミクロン程度である。

【００１８】 このようにして形成した透明シートＴを相互に密着させるには、第１層の透明 シートＴ1 と第２層の透明シートＴ2 は、例えば、ローラ等を用いて両透明シー トＴ1 ，Ｔ2 間の空気層を排除することにより行なう。両透明シートＴ1 ，Ｔ2 間の空気をローラ等により排除すれば、両透明シートＴ1 ，Ｔ2 は大気圧により 加圧されて密着状態となる。また、第２層の透明シートＴ2 と第３層の透明シー トＴ3 は、第２層の透明シートＴ2 のオレフィン薄膜１３に対してコロナ放電処 理を施すことにより表面を荒らして密着させている。表面を荒らすと、両薄膜１ ２，１３の表面の細かな凹凸が嵌合することになり、第１，第２の透明シートＴ 1 ，Ｔ2 間の密着より強力な密着状態になる。

【００１９】 このように第１層と第２層との間と、第２層と第３層との間の密着状態を異な らしめ、第２層と第３層の透明シートＴ2 ，Ｔ3 間の密着力が、第１層と第２層 の透明シートＴ1 ，Ｔ2 間の密着力より強力とすれば、接着剤を使用しなくても 、各層の透明シートＴ1 ，Ｔ2 ，Ｔ3 が第１層、第２層、第３層の順で剥がれ易 くなる。

【００２０】 本実施の形態の壁面シート１０は、図１，２に示すように、３つの層の透明シ ートＴ1 ，Ｔ2 ，Ｔ3 間の側端部に剥離剤Ｈを塗布し、各透明シートＴ1 ，Ｔ2 ，Ｔ3 が容易に剥離できるようにしている。ここに、剥離剤Ｈとは、例えば、シ リコン樹脂あるいはテフロン樹脂等があるが、コスト的な面からすれば、シリコ ン樹脂を使用することが好ましい。また、塗布とは、前記シリコン樹脂等を透明 シートＴ1 ，Ｔ2 ，Ｔ3 間の側端部に塗布ないしはコーティングすることをいい 、側端部全長にわたって塗布するのみでなく角部のみあるいは部分的に塗布する 場合も含むものである。

【００２１】 さらに、この剥離剤Ｈは、着色したものにより構成することが好ましい。ここ において、着色とは、有彩色のみでなく、無彩色、金属色等も含むものであり、 全体が透明シートである壁面シートにおいて、剥離する部分が明確に分かるもの であれば、どのような色でもよい。

【００２２】 次に、作用を説明する。 まず、台所等の壁面に壁面シート１０を貼る場合には、剥離紙１１を徐々に剥 しつつ壁面シート１０に皺が生じないように貼る。これにより台所等の壁面には 第３層の透明シートＴ3 （ＰＥＴ薄膜１２のみからなる）が接着剤Ｓにより接着 される。この透明シートＴ3 の上には、２つの層の透明シートＴ1 ，Ｔ2 が存在 し、壁面は３つの層の透明シートＴ1 ，Ｔ2 ，Ｔ3 により覆われることになるが 、これらはすべて透明であるため、目視したとき透明シートＴを通して綺麗な壁 面が目視できる。

【００２３】 この状態で調理等を行なうと、第１層の透明シートＴ1 の表面に油等が付着し 汚れるが、この汚れが激しくなると、第１層の透明シートＴ1 の側端部の剥離剤 Ｈを塗布している部分をつまんで第１層の透明シートＴ1 を剥離する。この場合 、剥離剤Ｈが着色されていると、簡単に剥離するためにつまむ部分が分かる。

【００２４】 この剥離を行なう場合において、第１層の透明シートＴ1 と第２層の透明シー トＴ2 との間は、単に密着しているのみであり、また第２層の透明シートＴ2 と 第３層の透明シートＴ3 との間はコロナ放電処理により比較的強固に密着されて いるので、第１層の透明シートＴ1 を剥離しても第２層の透明シートＴ2 がこれ に追随することなく、第１層の透明シートＴ1 のみが剥離される。

【００２５】 第２層の透明シートＴ2 が表面となった状態で、さらに調理等を行ない第２層 の透明シートＴ2 の表面が汚れると、この透明シートＴ2 の側端部をつまんで剥 離する。

【００２６】 この第２層の透明シートＴ2 と第３層の透明シートＴ3 との間はコロナ放電処 理により比較的強固に密着されていても、第３層の透明シートＴ3 と壁面とは強 力な接着剤により接着されているので、第２層の透明シートＴ2 と第３層の透明 シートＴ3 との間の密着力は第３層の透明シートＴ3 と壁面との間の密着力より も弱く、第２層の透明シートＴ2 を剥離しても第３層の透明シートＴ3 がこれに 追随することはなく、第２層の透明シートＴ2 のみが剥離される。

【００２７】 そして、最後に第３層の透明シートＴ3 のみが残ることになるが、これが汚れ ると、第３層の透明シートＴ3 を壁面から剥離し、新たな壁面シート１０と交換 する。

【００２８】 このように汚れた透明シートＴを剥離し、次々に新たな透明シートＴと交換す れば、常に透明シートＴを通して綺麗な壁面が目視されるので、外観上、台所等 の壁面は、長期に亘り綺麗な状態とすることができる。

【００２９】 しかも、本実施の形態の壁面シート１０のように、接着剤を使用せず、圧着あ るいは表面処理した後の圧着により透明シートＴを次々と密着すれば、製造が容 易となるのみでなく、コスト的に有利となり、しかも透明シートの剥離も簡単に 行なうことができ、また、第１層と第２層の間、第２層と第３層の間の密着状態 を異ならしめると、透明シートＴ1 ，Ｔ2 の剥離が確実でかつ簡単に行なうこと ができるが、さらに各透明シートＴ1 ，Ｔ2 ，Ｔ3 の側端部に剥離剤Ｈを塗布す れば、剥離がより一層確実でかつ簡単になる。

【００３０】 上述したものは、本考案の実施の形態であり、本考案は、これのみでなく、実 用新案登録請求の範囲に記載の要旨を逸脱することなく、種々変更することがで きる。例えば、前記実施の形態は、台所で使用する壁面シートについて述べたが 、これのみでなく、種々の場所、例えば、清潔さが要求される工場あるいは自動 車の窓ガラス等で使用することもできる。また、前記実施の形態は、３つの層の 透明シートを有する壁面シート１０について説明したが、本考案は、これのみで なく、２つの層の透明シートあるいはさらに多数の透明シートを有する壁面シー トについても適用できる。この各層の透明シートを密着するに当たり、前記実施 の形態では、加圧により各透明シート間の空気層を排除して相互に密着する部分 と、コロナ放電処理により比較的強固に密着する部分とを有しているが、１枚ず つ順序よく剥離する必要がない場合もあることから、場合によっては、複数層の 透明シートを加圧により密着させるのみとし、コロナ放電処理をしなくても良い 。

【００３１】 また、前記着色する場合に、各層の透明シートに付す色を変えると、確実に所 望の層のシートを剥離できることになる。

【００３２】

【考案の効果】

以上述べたように本考案によれば、汚れた表面の透明シートを下位の透明シー トから剥離する場合に、側端部に剥離剤が塗布されているので、側端部を摘むの みで極めて簡単に剥離することができる。

【００３３】 また、上位の透明シートのオレフィン薄膜と下位の透明シートのＰＥＴ薄膜と の間は各透明シート間の空気層を排除して相互に密着し、該下位の透明シートの オレフィン薄膜とさらに下位の透明シートのＰＥＴ薄膜との間はコロナ放電処理 により密着すれば、上位の透明シートと下位の透明シートあるいは該下位の透明 シートとさらに下位の透明シートとの密着力に差が生じ、剥離時に不必要に剥離 されることがなく、簡単でかつ確実な剥離ができる。

【００３４】 さらに、この剥離剤をシリコン剤により構成すれば、コスト的に極めて有利と なり、これを着色すると、全体が透明シートである壁面シートにおいて、剥離す る部分が明確に分かり、使用に当たっての利便性が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の実施の形態を示す要部断面図であ
る。

【図２】 同実施の形態の斜視説明図である。

【符号の説明】

１０…壁面シート、 １１…剥離紙、１
２…ＰＥＴ薄膜、 １３…オレフィン薄
膜、Ｈ…剥離剤、 Ｓ…接着剤 Ｔ，Ｔ1 ，Ｔ2 ，Ｔ3 …透明シート。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｃ０８Ｊ 7/00 ３０３ Ｃ０８Ｊ 7/00 ３０３

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数層の透明シート(T）の各層をＰＥＴ
   からなる薄膜(12)とオレフィンからなる薄膜(13)とをア
   ンカーコート剤を塗布して接合し、前記各層の透明シー
   ト(T1,T2,T3)間の空気層を加圧により排除して各透明シ
   ート相互を密着して剥離可能に積層し、当該透明シート
   (T1,T2,T3)の最下位に接着剤(S）を介して剥離紙(11)を
   取付けてなる壁面シート(10)であって、前記各透明シー
   ト間の側端部に剥離剤(H）を塗布したことを特徴とする
   壁面シート。
2. 【請求項２】 前記複数層の透明シート(T1,T2,T3)は、
   上位の透明シートのオレフィン薄膜(13)と下位の透明シ
   ートのＰＥＴ薄膜(12)との間は各透明シート間の空気層
   を排除して相互に密着し、該下位の透明シートのオレフ
   ィン薄膜(13)とさらに下位の透明シートのＰＥＴ薄膜(1
   2)との間はコロナ放電処理を施し密着したことを特徴と
   する請求項１に記載の壁面シート。
3. 【請求項３】 前記剥離剤(H）は、シリコン樹脂である
   請求項１又は２に記載の壁面シート。
4. 【請求項４】 前記剥離剤(H）は、着色したものである
   請求項１乃至３のいずれかに記載の壁面シート。