JP3029061B2 - 熱転写記録用受像シートの製造方法 - Google Patents

熱転写記録用受像シートの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱転写記録用受像シ−ト
の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、本発
明は、印字濃度が高く、画質が良好であることに加え
て、高光沢を有する記録画像が得られる熱転写記録用受
像シートの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱転写記録方法は、熱転写シ−ト(イン
クフィルム)とこのシ−トを用いて加熱により記録可能
な受像層を有する媒体(受像シ−ト)とを積層し、サ−
マルヘッドを用いて加熱により染料を媒体側へ移行させ
て行う記録方法である。この記録方法は記録画像の階調
再現性が良いため、プリンタ−、ファクシミリ、ビデオ
プリンタ−等に利用されている。
【0003】この記録方法に用いる受像シ−トとしては
一般に、良好な画質を得るために、基材シ−トと受像層
との間に断熱性、クッション性等を有し、更に有機溶剤
系受像層塗料を塗工する場合には耐有機溶剤性持った中
間層を設けたものが使用される。断熱性、クッション
性、耐有機溶剤性等を持たせた中間層を有する熱転写記
録用受像シ−トを製造する方法としては、例えば特開昭
64−27996に記載されているように、基材上に中
空粒子、多孔性物質、膨張性マイクロカプセル等を含有
した耐有機溶剤性高分子材料を塗工した中間層を設ける
方法がある。しかしながら、十分な印字濃度が得られる
程度に中空粒子を配合すると該中間層の表面性は著しく
低下し、受像層塗工後においても表面性は悪く、光沢が
低い。又膨張性マイクロカプセルを使用すると、表面の
凹凸が顕著になり、画質が劣るのに加えてマット調を持
った表面のため光沢が得られない。
【0004】又、断熱性、クッション性等を持った層を
形成させる方法として、電子線あるいは紫外線硬化性不
飽和プレポリマ−、重合性モノマ−及び膨張性マイクロ
カプセルあるいは熱分解型発泡剤よりなる塗料を基材上
に塗工し、電子線あるいは紫外線照射により硬化と同時
にあるいは硬化後に発泡させる方法が提案されている。
しかし、通常電子線硬化型塗料に含有している発泡剤あ
るいは膨張剤を使って断熱性、クッション性等を有する
中間層を得る方法は、発泡ムラ、塗工ムラ等に起因する
加熱処理後の塗工層表面の凹凸により、本来電子線又は
紫外線硬化によって得られる高平滑な表面を著しく低下
させるため、受像層塗工後においても表面性が劣り、高
い光沢、良好な画質は得ることができない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来の熱転写
記録用受像シ−ト用中間層の有する上記問題点を解消
し、印字濃度が高く画質が良好であることに加えて高光
沢な記録画像が得られる熱転写記録用受像シ−トの製造
方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記目的を
達成するために鋭意検討を重ねた結果、紙等の基材上に
中間層を設ける場合、中空粒子を混合した電子線照射に
よって硬化する塗料を用い、塗工後に基材とキャストド
ラムを圧着させ、その後硬化させることによりキャスト
ドラムの高平滑な表面を中間層表面に転写させると、高
平滑で耐有機溶剤性に優れ、断熱性、クッション性等を
有する中間層が得られ、この上に受像層を設けることに
より、印字濃度が高く画質が良好であることに加えて高
光沢な記録画像を有する熱転写記録用受像シ−トを作製
できることを見い出し、本発明を完成した。
【0007】すなわち本発明は、基材上に中空粒子およ
び電子線照射によって硬化する樹脂を主成分として含む
組成物からなる中間層を形成し、次いで前記中間層上に
受像層を形成する熱転写記録用受像シ−トの製造方法に
おいて、前記中間層が、前記組成物からなる塗料を基材
上に塗工後、塗工面をキャストドラムに圧着させ、塗工
面とは反対側の基材面に電子線を照射して塗料を硬化さ
せ、しかる後にキャストドラムから塗工面を剥離して形
成されることを特徴とする熱転写記録用受像シートの製
造方法である。
【0008】さらに本発明は、基材上に中空粒子および
電子線によって硬化する樹脂を主成分として含む組成物
からなる中間層を形成し、次いで前記中間層上に受像層
を形成する熱転写記録用受像シートの製造方法におい
て、前記中間層が、前記組成物からなる塗料をキャスト
ドラム上に塗工後、塗工面に基材を圧着させ、塗工面と
接している側とは反対側の基材面に電子線を照射して塗
料を硬化させ、しかる後にキャストドラムから塗工面を
剥離して形成されることを特徴とする熱転写記録用受像
シートの製造方法である。
【0009】本発明の中間層に用いられる電子線照射に
よって硬化する樹脂としては、エチレン性不飽和結合を
1つ以上有するアクリレ−トあるいはメタクリレ−ト系
モノマ−あるいはオリゴマ−等を使用することができ、
特に限定するものではないが、例えば単官能モノマ−と
してはN−ビニルピロリドン、アクリロニトリルあるい
はその誘導体、スチレンあるいはその誘導体、アクリル
アミド等のアミド基含有モノマ−、ラウリル(メタ)ア
クリレ−トのような脂肪酸のアクリレ−トあるいはメタ
クリレ−ト、ベンジルアクリレ−ト、2−エチルヘキシ
ルアクリレ−ト、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−
ト、テトラヒドロフルフリルアクリレ−ト、フェノキシ
エチルアクリレ−ト、ノニルフェノキシエチルアクリレ
−ト、ε−カプロラクトン付加物のアクリレ−ト、ブト
キシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシ−3
−フェノキシプロピルアクリレ−ト、シクロヘキシル
(メタ)アクリレ−ト、N,N−ジメチルアミノ(メ
タ)アクリレ−ト、N,N−ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレ−ト、3−フェノキシプロピルアクリレ−
ト、2−メトキシエチル(メタ)アクリレ−ト等のアク
リレ−トあるいはメタクリレ−ト、あるいはエチレン性
不飽和結合を2つ以上有するモノマ−としては、ヘキサ
ンジオ−ルジアクリレ−ト、ネオペンチルグリコ−ルジ
アクリレ−ト、ジエチレングリコ−ルジアクリレ−ト、
トリプロピレングリコ−ルジアクリレ−ト、テトラエチ
レングリコ−ルジアクリレ−ト、トリシクロデカンジメ
チロ−ルジアクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリ
アクリレ−ト、ジトリメチロ−ルプロパンテトラアクリ
レ−ト、エチレンオキサイド変性ビスフェノ−ルAのジ
アクリレ−ト等をあげることができる。
【0010】これらエチレン性不飽和結合を1つ以上有
する化合物は、必要に応じ1種または2種以上を混合し
て使用してよい。
【0011】上記のエチレン性不飽和モノマ−組成物に
分子内にエチレン性不飽和結合を2つ以上有するアクリ
レ−トあるいはメタクリレ−トオリゴマ−、例えばウレ
タンアクリレ−トオリゴマ−、ブタジエン変性アクリレ
−トオリゴマ−等を1種以上配合することは、中間層の
硬化性の点から有効であり、高平滑で耐有機溶剤性に優
れ表面タックの無い柔軟性に富んだ中間層を得ることが
可能である。
【0012】本発明の電子線照射によって硬化する組成
物中には、塗膜の硬化性及び耐有機溶剤性を損なわない
範囲で、これらの組成物に可溶な重合体を加えてもよ
い。
【0013】本発明の中間層に用いられる中空粒子とし
ては、粒子中に空隙を有するものであればいずれも使用
可能であり、特に限定するものではないが、例えば下記
の如き物質があげられる。 (1)日本ペイント製、商標:ニッペマイクロジェル
MBB−1000、平均粒子径10μm、多孔 度0.
37cc/g (2)日本合成ゴム製、商標:JSR−SX863
(A)、平均粒子径0.4μm、内孔径/粒子径比
0.66 (3)日本フィライト社製、商標:エクスパンセル55
1DE20、平均粒子径20μm、密度0.03g/c
3
【0014】上記の粒子は0.1〜100μm、好まし
くは、0.2〜50μm程度の粒子径を有することが必
要であり、0.1μm未満では断熱性、クッション性の
点で不十分であり、100μmを越えると高平滑な中間
層表面が得られない。又、多孔度は高い程好ましいが、
上記の中空粒子でも十分な断熱性等を得ることが可能で
ある。
【0015】中空粒子の配合量は、電子線照射によって
硬化する樹脂100重量部に対し、0.5〜100重量
%、好ましくは1〜70重量%であり、0.5%未満で
は断熱性が十分ではなく、100%を越すと表面性の低
下が起こり所望の結果をえることが難しい。
【0016】上記の如く本発明の中間層は中空粒子とア
クリレ−トあるいはメタクリレ−ト系モノマ−、オリゴ
マ−を主成分とした組成物で構成されるが、必要に応じ
て表面性、耐有機溶剤性、断熱性等を損なわない範囲内
で有色の染料、有色の顔料、潤滑剤、帯電防止剤等の助
剤を配合することは何らさしつかえなく、更に炭酸カル
シウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、カオリンクレ−、タ
ルク、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ケイソ
ウ土、サチンホワイト、硫酸バリウム、塩基性炭酸カル
シウム、二酸化珪素、酸化アルミニウム等の白色顔料を
配合することも可能である。
【0017】又キャストドラムからの剥離を容易にする
ために、必要に応じてシリコ−ン系、高級脂肪酸系等の
離型剤を配合してもよい。調整された組成物は、基材上
に塗工後電子線の照射により瞬時に硬化させる。この場
合塗工量は1〜100g/m2、好ましくは5〜70g/
m2の範囲に抑えることが必要であり、1g/m2未満では
十分な断熱性は得られず、100g/m2を越えると塗料
内部の硬化が十分な中間層は得られない。
【0018】塗料の塗工方法としては、ロ−ルコ−タ
−、メイヤ−バ−、スリットダイコ−タ−、カ−テンコ
−タ−等の通常の塗工方法はすべて使用可能であり、印
刷方法による塗工あるいは基材の一部への部分的な塗工
も可能である。
【0019】受像シ−トを構成する基材としては、紙、
合成紙、合成樹脂フィルム、またはそれらを組み合わせ
た積層シ−トなどを用いることができるが、更に接着
性、バリヤ−性を改善する目的で、表面処理した基材を
用いることもできる。このような基材の厚さには特に制
限はないが、強度、作業性等の点から20〜250μm
であることが好ましく、またその坪量は20〜250g
/m2であることが好ましい。
【0020】
【実施例】以下実施例により本発明を更に詳しく説明す
るが、これらに限定されるものではない。 実施例1 ノニルフェノキシエチルアクリレ−ト75重量部に1、
6−ヘキサンジオ−ルジアクリレ−ト5重量部、エチレ
ン性不飽和結合を3つ有するウレタンアクリレ−トオリ
ゴマ−(荒川化学製、商標:ビ−ムセット550B)を
20重量部配合した塗料に中空粒子(JSR社製、商
標:JSR−SX863(A))を60重量部加えボ−
ルミルで混合分散後、127.9g/m2のキャストコ−
ト紙(王子製紙製、商標:OKエナメルコ−ト)上にア
プリケ−タ−バ−を用いて塗工量が40g/m2になるよ
うに塗工し、塗工面をキャストドラムに圧着させ、キャ
ストコ−ト紙側から加速電圧175KeVの電子線照射
装置で吸収線量が6Mradになるように電子線を照射
しタックのない十分に硬化した中間層を得た。キャスト
ドラムから剥離後、さらにこの中間層上に下記組成の受
像層形成用組成物を乾燥後の塗工量が6g/m2となるよ
うに塗工した後、乾燥、硬化して受像層を形成し、熱転
写記録用受像シ−トを得た。
【0021】 受像層形成用組成物 ポリエステル樹脂 (東洋紡製、商標:Vylon200) 100g 架橋剤:3官能イソシアネ−ト (日本ウレタン工業製、商標:コロネ−トL) 5g シリコ−ン樹脂 (ト−レシリコ−ン製、商標:SH3476) 3g トルエン 200g メチルエチルケトン 200g 上記で得られた受像シ−トと転写シ−トとを組み合わせ
て熱転写プリンタ−により印字を行い、得られた記録物
を記録物1とした。なお、転写シ−トは市販のソニ−社
製、UPC5010Aを使用し、熱転写プリンタ−は市
販のソニ−社製、UP−5000を使用した。
【0022】実施例2 ジプロピレングリコ−ルモノアクリレ−ト70重量部に
テトラエチレングリコ−ルジアクリレ−ト10重量部、
エチレン性不飽和結合を2つ有するポリエステルアクリ
レ−ト(東亜合成製、商標:M6200)を20重量部
配合した塗料に中空粒子(ロ−ムアンドハ−ス社製、商
標:ロ−ベイクOP84−J)を50重量部加えカウレ
スホモミキサ−で混合分散後、塗料をキャストドラム上
にロ−ルコ−タ−を用いて塗工量が40g/m2になりよ
うに塗工し、塗工面に104.7g/m2のコ−ト紙(王
子製紙製、商標:OKコ−ト)を圧着させ、コ−ト紙側
から加速電圧175KeVの電子線照射装置で吸収線量
が4Mradになるように電子線を照射しタックのない
十分に硬化した中間層を得た。この中間層上に実施例1
と同様に受像層を形成し、熱転写記録用受像シ−トを作
製した。この受像シ−トを用いて実施例1と同様にして
記録物を得て、記録物2とした。
【0023】実施例3 フェノキシジエチレングリコ−ルアクリレ−ト80重量
部にトリメチロ−ルプロパントリアクリレ−ト5重量
部、エチレン性不飽和結合を2つ有するポリブタジエン
アクリレ−トオリゴマ−(日本ソ−ダ社製、商標:TE
A1000)を15重量部配合した塗料に中空粒子(日
本ペイント社製、商標:ニッペマイクロジェルMBB−
1000)を50重量部加えカウレスホモミキサ−で混
合分散後、塗料を127.9g/m2のコ−ト紙(王子製
紙製、商標:OKコ−ト)上にアプリケ−タ−バ−を用
いて塗工量が30g/m2になるように塗工し、塗工面を
キャストドラムに圧着させ、コ−ト紙側から加速電圧1
75KeVの電子線照射装置で吸収線量が4Mradに
なるように電子線を照射しタックのない十分に硬化した
中間層を得た。この中間層上に実施例1と同様に受像層
を形成し、熱転写記録用受像シ−トを作製した。この受
像シ−トを用いて実施例1と同様にして記録物を得て、
記録物3とした。
【0024】比較例1 実施例1において、キャストドラムと圧着せずに塗料に
直接電子線を照射して硬化させた以外は、実施例1と同
様にして熱転写記録用受像シ−トを作製し、さらに記録
物を得て記録物4とした。比較例2 実施例2において、中空粒子を含有しない樹脂からのみ
なる中間層を設けた以外は、実施例2と同様にして熱転
写記録用受像シ−トを作製し、さらに記録物を得て記録
物5とした。 比較例3 実施例3において、キャストドラムと圧着せずに塗料に
直接電子線を照射して硬化させた以外は、実施例3と同
様にして熱転写記録用受像シ−トを作製し、さらに記録
物を得て記録物6とした。
【0025】以上の記録物1〜6について、下記に示す
方法で最高色濃度、光沢度の測定、記録画像の画質の評
価を行った。結果を表1に示す。 (1)最高色濃度 マクベス濃度計(Kollmorgen Corp.製、RD−914)
を使用し、5回の測定の平均値として求めた。 (2)光沢度 JIS-Z-8741の方法(入射角60度、受光角60
度の鏡面光沢度)に従い、グロスメ−タ−(日本電色工
業製、VG−10)で測定し5回の測定値を平均した。 (3)画質 記録物について、各5枚を視覚により、鮮明さ、コント
ラスト、画像の濃度ムラ等を判断し、○:良好、△:や
や不良、×:不良の3段階で評価した。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】表1から明かなように、本発明の熱転写
記録用受像シ−トは、印字濃度が高く、画質が良好であ
ることに加えて高光沢な記録画像が得られるものであ
り、実用上極めて有用なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/38 - 5/40

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材上に中空粒子および電子線照射によ
    って硬化する樹脂を主成分として含む組成物からなる中
    間層を形成し、次いで前記中間層上に受像層を形成する
    熱転写記録用受像シ−トの製造方法において、前記中間
    層が、前記組成物からなる塗料を基材上に塗工後、塗工
    面をキャストドラムに圧着させ、塗工面とは反対側の基
    材面に電子線を照射して塗料を硬化させ、しかる後にキ
    ャストドラムから塗工面を剥離して形成されることを特
    徴とする熱転写記録用受像シ−トの製造方法。
  2. 【請求項2】 基材上に中空粒子および電子線照射によ
    って硬化する樹脂を主成分として含む組成物からなる中
    間層を形成し、次いで前記中間層上に受像層を形成する
    熱転写記録用受像シ−トの製造方法において、前記中間
    層が、前記組成物からなる塗料をキャストドラム上に塗
    工後、塗工面に基材を圧着させ、塗工面と接している側
    とは反対側の基材面に電子線を照射して塗料を硬化さ
    せ、しかる後にキャストドラムから塗工面を剥離して形
    成されることを特徴とする熱転写記録用受像シ−トの製
    造方法。
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