JP3028422B2 - 遠心成分要素を有する軸流フアン - Google Patents

遠心成分要素を有する軸流フアン

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    • F04D29/384—Blades characterised by form

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は内燃機関用のフアンの改良に関する。
（従来の技術） 近年、自動車用の内燃機関には各種の付属装置が施さ
れるようになり、エンジンルーム内のスペースに余裕が
なくなってきている。フアンを通過した空気は、その一
部が自動車の下部や車体のボンネットの隙間から外に流
出するが、一方フアンとラジエータシュラウドとの間の
隙間を通ってフアンの上流側に流れ込む空気流も存在す
る。後者の空気流は、特にフアンと内燃機関との間に流
体カツプリング装置を取付けた場合に、チップクリアラ
ンスが大きくなることに基因して増大するという問題が
ある。空気流のこの逆流によってフアンの風量が実質的
に減少し、フアンの効率が低下することになる。
実開昭56−71921号「自動車用冷却フアンのシュラウ
ド」には、前述した空気流の回り込みの様子が図示され
ている。すなわち、本願に添付の第11図に示すように、
フアンブレード90の先端付近を通過した空気流の一部は
シュラウド91との間の隙間を通って回り込むようにな
り、フアンの流量を低下させていた。実開昭56−71921
号では、ラジエータのシュラウドの自由端部につば状の
隔壁を形成してこの逆流を阻止することを提案している
が、チップクリアランスを小さくするとフアンブレード
がシュラウドに衝突するおそれが出てくるという問題が
ある。
（発明が解決しようとする問題点） 本発明の目的は、フアンを通過した流れがフアンの上
流側へと逆流することを防止できるような構造のフアン
を提供し、フアンの効率を高めることにある。
（問題点を解決するための手段とその作用） 本発明の前述した目的は、内燃機関から延伸する駆動
軸の一端に取付けられて回転する軸流フアンにおいて、
フアンブレードの側面にフアンの回転軸線を含む平面と
概ね平行に向けられた遠心成分要素が一体的に取付けら
れ、フアンブレードと前記遠心成分要素との間が略三角
形の補助部材で接続され、前記補助部材はフアンブレー
ドの後縁側に接続されかつ前記補助部材のフアン回転方
向後側に前記遠心成分要素が接続されており、前記遠心
成分要素はその一辺が前記補助部材の一辺に接続された
略三角形に形成され、フアンの回転軸線方向に沿ったフ
アンブレードの幅は前記遠心成分要素を取付けた状態と
取付けない状態とで同一に保たれていることを特徴とす
る遠心成分要素を有する軸流フアンによって達成され
る。
かかる構成に基づき、本発明によれば、フアンを通過
する空気の一部がこの遠心成分要素に衝突して遠心力で
半径方向外側へと放射される。従って、この半径方向へ
の放射流が円板状の空気の隔壁を形成することになっ
て、空気流がフアンの前面側へと回り込むのをほぼ完全
に阻止できるようになる。
この遠心成分要素は、従来のフアンの外径から突出し
ないような形状とし、同時にフアンの回転軸線方向に沿
ったフアンブレードの幅が同一に保たれることが大切で
あり、フアンブレードの一部を屈曲させる方法で形成す
ることが望ましい。すなわち、フアンブレードと遠心成
分要素との間は略三角形の補助部材で接続し、補助部材
はフアンブレードの後縁側に接続しかつ補助部材のフア
ン回転方向後側に遠心成分要素を接続する。この遠心成
分要素はその一辺が前記補助部材の一辺に接続された略
三角形に形成する。
以下、添付図面の実施例を参照しながら、本発明をさ
らに詳細に説明する。
（実施例） 第１図は本発明による軸流フアン10の好適な実施例を
表わしており、プラスチック製のボス部11のまわりに８
枚のフアンブレード12が一体に取付けられている。各フ
アンブレード12の本体部分13は通常のフアンと同じくね
じられた形状になっており、その先端付近に略三角形の
補助部材14と遠心成分要素15とが一体的に接続されてい
る。第１図のフアンはその正面側（ラジエータ側）から
見たものであり、矢印Ｒ方向に回転して空気を吹き出す
ように作られている。従って、遠心成分要素15はフアン
ブレードの先端付近の内燃機関側に配置されている。
第２図乃至第６図は、同一のフアンブレード12を様々
な角度から見た形状を表わしており、遠心成分要素15は
その一辺が補助部材14の一辺に接続された略三角形であ
ることが理解されよう。また、遠心成分要素15の半径方
向先端部分はフアンブレードの本体部分13の先端と同じ
半径方向位置にあって、フアンの外径寸法はそのままに
保たれていることに注目されたい。
第７図及び第８図は、他の実施例を表わしており、遠
心成分要素35が三角形の補助部材34を介してフアンブレ
ード32の根元から先端付近まで略三角形に形成されてい
る。この実施例によると、遠心成分要素と補助部材の成
形が容易になるという利点がある。
遠心成分要素15の形状は、第１図乃至第８図に示した
以外の形状とすることも可能である。
第９図は、最初の実施例に示した最もフアン効率が良
いと思われる形状の遠心成分要素を取付けた場合と取付
けない場合とで、風量Ｑに対し、静圧Ｐ、消費馬力Ｌ、
静圧効率Ｅがどのように変化するかを実験した結果を表
わしている。
ここで、静圧効率Ｅは次式で算出される。
Ｅ＝100×Ｐ×Q/60×75×Ｌ ただし、Ｐは圧力（mmAq） Ｑは風量（m3/min） Ｌは馬力（PS）である。
最近の軸流フアンは、通気抵抗ｋが0.006〜0.01くら
いの範囲で使用されている。すなわち、グラフの中の斜
線を施した部分で最も頻繁に使用されていることにな
り、この範囲では静圧効率において、本発明におけるフ
アンの効率E1の方が従来のフアンの効率E0よりも優れて
いるということが明らかである。
遠心成分要素を取付けない場合の静圧P0と取付けた場
合の静圧P1との曲線は交差しており、また遠心成分要素
を取付けない場合の馬力L0と取付けた場合の馬力L1との
曲線は交差しているが、フアンの性能はこれらを総合し
た静圧効率で判定されるので、本発明による遠心成分の
効果が実証されたことになる。
第10図は本発明による遠心成分要素81をフアンブレー
ド80に取付けた場合の空気流の様子を表わしている。遠
心成分要素81に衝突した空気が半径方向外側へと放射さ
れる結果、遠心成分要素81の外側にフアンの軸線と垂直
な円板状の壁が形成され、この壁が空気流の回り込みを
阻止することになる。かくして、従来の空気流の回り込
みが阻止されてフアンの流量が増大し、効率が高められ
ることになる。
内燃機関85から延伸するフアン駆動軸86とフアン87と
の間に、流体カップリング装置が接続されている場合に
は、特にフアン先端とシュラウドとの間の隙間、すなわ
ちチップクリアランスをあまり小さくすることができな
いので、空気流の回り込みが起こりやすかった。このよ
うな場合に本発明を適用すると、チップクリアランスを
無理に小さくすることなく、フアンの流量を増大できる
という利点が得られることになる。
（発明の効果） 以上、詳細に説明した如く、本発明の遠心成分要素付
フアンによれば、フアンを通過した流れがフアンの前側
へと回り込む逆流を阻止することができ、フアンの流量
が増大してフアン効率が高められる。特に、チップクリ
アランスを無理に小さくすることなく、フアンの流量を
増大できるという点で、その技術的効果には極めて顕著
なものがある。
【図面の簡単な説明】 第１図は本発明による軸流フアンの斜視図、第２図は第
１図のフアンブレードの拡大斜視図、第３図はフアンブ
レードの正面図、第４図はフアンブレードの背面図、第
５図は第３図の矢視Ａから見た側面図、第６図は第４図
の矢視Ｂから見た側面図、第７図は他のフアンによる第
３図と類似の正面図、第８図は第７図のフアンによる第
４図と類似の背面図、第９図はフアンの特性曲線を表わ
すグラフ、第10図は本発明によるフアンの気流を表わす
概略側面図、第11図は従来のフアンによる気流を表わす
概略側面図である。 10,30……軸流フアン 12,32……フアンブレード 13……本体部分 14,34……補助部材 15,35……遠心成分要素 80……フアンブレード 81……遠心成分要素、85……内燃機関 86……駆動軸、87……フアン

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】内燃機関から延伸する駆動軸の一端に取付
    けられて回転する軸流フアンにおいて、 フアンブレードの側面にフアンの回転軸線を含む平面と
    概ね平行に向けられた遠心成分要素が一体的に取付けら
    れ、フアンブレードと前記遠心成分要素との間が略三角
    形の補助部材で接続され、前記補助部材はフアンブレー
    ドの後縁側に接続されかつ前記補助部材のフアン回転方
    向後側に前記遠心成分要素が接続されており、前記遠心
    成分要素はその一辺が前記補助部材の一辺に接続された
    略三角形に形成され、フアンの回転軸線方向に沿ったフ
    アンブレードの幅は前記遠心成分要素を取付けた状態と
    取付けない状態とで同一に保たれていることを特徴とす
    る遠心成分要素を有する軸流フアン。
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